配線基板の製造方法
【課題】配線導体に対して厚みバラツキの小さなめっき金属層を電解めっきにより被着させることが可能な配線基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】製品領域3の周囲の捨て代領域4の表面に電解めっきのための給電パターン5を配線導体2から電気的に独立した状態で形成する第1の工程と、次に製品領域3および捨て代領域4の表面に、給電パターン5と配線導体2とを電気的に接続する無電解めっき層6を被着させる第2の工程と、次に製品領域3および捨て代領域4の表面に、配線導体2のうちの一部を選択的に露出させるめっきレジスト層R1を被着させる第3の工程と、配線導体2の一部にめっき被覆層7を電解めっきにより選択的に被着させる第4の工程と、次にめっきレジスト層R1を剥離除去する第5の工程と、次に無電解めっき層をエッチング除去する第6の工程とを行なう。
【解決手段】製品領域3の周囲の捨て代領域4の表面に電解めっきのための給電パターン5を配線導体2から電気的に独立した状態で形成する第1の工程と、次に製品領域3および捨て代領域4の表面に、給電パターン5と配線導体2とを電気的に接続する無電解めっき層6を被着させる第2の工程と、次に製品領域3および捨て代領域4の表面に、配線導体2のうちの一部を選択的に露出させるめっきレジスト層R1を被着させる第3の工程と、配線導体2の一部にめっき被覆層7を電解めっきにより選択的に被着させる第4の工程と、次にめっきレジスト層R1を剥離除去する第5の工程と、次に無電解めっき層をエッチング除去する第6の工程とを行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路素子等の電子部品を搭載するために好適に使用される配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体集積回路素子等の電子部品を搭載するために使用される配線基板は、1層以上の絶縁層から成る絶縁基板の表面に導体層から成る配線導体を形成してなる。絶縁層としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する樹脂系の電気絶縁材料が好適に使用される。また導体層としては、銅箔や銅めっき層等の銅から成る導電材料が好適に使用される。このような配線基板においては、絶縁基板の表面に形成された配線導体の一部に半導体集積回路素子等の電子部品の電極が半田やボンディングワイヤ等を介して接続される。この配線導体における電子部品が接続される部位には、電子部品の電極との接続を良好とするためにめっき被覆層が被着されている。このめっき被覆層としては、配線導体の表面にニッケルめっき層と金めっき層とを電解めっきにより順次被着させてたものが好適に使用される。
【0003】
ここで、配線導体の表面の一部にめっき被覆層を電解めっきにより被着させる従来の方法について説明する。まず図13に部分的な上面図および断面図で図示するように、配線基板を形成するための絶縁層および導体層を有する大型のパネル20の中に絶縁基板11および配線導体12を有する配線基板となる複数の製品領域13を縦横の並びに一体的に配列形成する。なお、各製品領域13の周囲には、配線基板を形成するための絶縁層および導体層と同じ絶縁層および導体層から成る捨て代領域14を介在させておく。さらに捨て代領域14の表面には配線導体12と同じ導体層から成る電解めっき用の給電パターン15を設けておくとともに、この給電パターン15と各配線導体12とを配線導体12や給電パターン15と同じ導体層から成るめっき引き出し線16により接続しておく。
【0004】
次に、図14に示すように、パネル20の表面に、給電パターン15やめっき引き出し線16を覆うとともに配線導体12におけるめっき被覆層を被着させるべき一部を露出させるめっきレジスト層R3を被着させる。
【0005】
次に図15に示すように、めっきレジスト層R3から露出する配線導体12の表面に電解めっきによりめっき被覆層17を被着する。このとき、電解めっきのための電荷は、給電パターン15からめっき引き出し線16を介して配線導体12に供給される。
【0006】
次に図16に示すように、めっきレジスト層R3を剥離除去する。このようにして配線導体12の一部にめっき被覆層17が被着される。
【0007】
次に図17に示すように、パネル20の表面に、配線導体12を覆うとともに給電パターン15およびその周辺を露出させるエッチングレジスト層R4を被着させる。
【0008】
次に図18に示すように、エッチングレジストR4から露出する給電パターン15およびその近傍のめっき引き出し線16をエッチング除去する。
【0009】
次に図19に示すように、エッチングレジストR4を除去する。このようにして各配線導体12の所定のもの同士が電気的に独立するとともに、捨て代領域14表面の導体層が除去される。
【0010】
次に、図20に示すように、めっき被覆層17が被着された配線導体12の一部およびめっき被覆層17が被着されていない配線導体12の一部を露出させるようにしてソルダーレジスト層18を被着させた後、パネル20を各製品領域13に沿って捨て代領域14を切断することによって個々の配線基板が得られることとなる。
【0011】
しかしながら、上述した従来の方法によると、各製品領域13の配線導体12に電解めっきによりめっき被覆層17を被着させるために、捨て代領域14に電解めっきのための給電パターン15を設けるとともに給電パターン15と配線導体12とをめっき引き出し線16によって接続する必要がある。ところが近時の配線基板においては、配線導体12の配線密度が極めて高いものとなってきており、配線導体12に接続するめっき引き出し線16を設けることが困難となってきている。
【0012】
そこで、図21に示すように、パネル20に上述した給電パターン15およびめっき引き出し線16を設けずにおき、次に図22に示すように、配線導体12の上からパネル20の表面の全面に無電解めっき層19を被着させて各配線導体12同士を電気的に接続し、次に図23に示すように、無電解めっき層19の表面に配線導体12におけるめっき被覆層17で被覆すべき部分およびその近傍を選択的に露出させるめっきレジスト層R5を被着させ、次に図24に示すように、めっきレジスト層R5から露出する無電解めっき層19を選択的にエッチング除去した後、図25に示すように、めっきレジスト層R5から露出する配線導体12に電解めっきによりめっき被覆層17を被着させ、次に図26に示すように、めっきレジストR5を剥離除去した後、図27に示すように、各配線導体12同士を接続する無電解めっき層19をエッチング除去することにより、配線導体12の一部に電解めっきによるめっき被覆層17を被着させる方法が提案されている。この場合、電解めっきのための電荷は、各配線導体12同士を接続する無電解めっき層19を介して配線導体12に供給される。
【0013】
しかしながら、各配線導体12に電解めっきのための電荷を供給する経路となる無電解めっき層19は、その厚みが0.1〜0.8μm程度と薄いため、各配線導体12に電解めっきのための電荷を供給する際の電気抵抗が高くなり、その結果、各製品領域におけるめっき被覆層が被着されるべき全ての配線基板12に厚みバラツキの小さなめっき被覆層17を被着させることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003−13281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、各製品領域におけるめっき被覆層が被着されるべき全ての配線導体に対して厚みバラツキの小さなめっき金属層を電解めっきにより被着させることが可能な配線基板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の配線基板の製造方法は、1層以上の絶縁層からなる絶縁基板の表面に形成された導体層からなる配線導体の一部にめっき被覆層を電解めっきにより被着させてなる配線基板の製造方法であって、前記絶縁基板および前記配線導体を有する前記配線基板となる複数の製品領域を、該製品領域の各々の周囲に前記絶縁層および前記導体層から成る捨て代領域を介在させて縦横の並びに一体的に配列形成するとともに前記捨て代領域の表面に前記電解めっきのための給電パターンを前記配線導体から電気的に独立した状態で前記導体層により形成する第1の工程と、次に前記製品領域および前記捨て代領域の表面に、前記給電パターンと前記配線導体とを電気的に接続する無電解めっき層を被着させる第2の工程と、次に前記製品領域および前記捨て代領域の表面に、前記配線導体のうちの前記一部を選択的に露出させるめっきレジスト層を被着させる第3の工程と、前記配線導体の前記一部に前記めっき被覆層を電解めっきにより選択的に被着させる第4の工程と、次に前記めっきレジスト層を剥離除去する第5の工程と、次に前記無電解めっき層をエッチング除去する第6の工程とを行なうことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の配線基板の製造方法によれば、配線基板となる製品領域の周囲の捨て代領域に配線導体と同じ導体層からなる給電パターンを配線導体から電気的に独立した状態で設けるとともに、それらの給電パターンと配線導体とを電気的に接続する無電解めっき層を被着させ、次に配線導体の一部を選択的に露出させるめっきレジスト層を被着させた後、配線導体の露出部にめっき被覆層を電解めっきにより被着させることから、電解めっきのための電荷は各製品領域の周囲にある給電パターンから無電解めっき層を介して各製品領域の配線導体に供給されることとなる。各製品領域の周囲の給電パターンは、配線導体と同じ導体層からなり、その厚みが一般的には5〜25μm程度と厚いため、この給電パターンを介して各製品領域の配線導体に電解めっきのための電荷を低抵抗で供給することができる。その結果、製品領域におけるめっき被覆層が被着されるべき全ての配線導体に対して厚みバラツキの小さなめっき金属層を電解めっきにより被着させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図3】図3は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図4】図4は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図5】図5は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図6】図6は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図7】図7は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図8】図8は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図9】図9は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図10】図10は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図11】図11は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図12】図12は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図13】図13は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図14】図14は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図15】図15は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図16】図16は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図17】図17は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図18】図18は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図19】図19は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図20】図20は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図21】図21は、従来の配線基板の製造方法を説明するため部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図22】図22は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図23】図23は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図24】図24は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図25】図25は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図26】図26は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図27】図27は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明の配線基板の製造方法における実施形態の一例を添付の図1〜図11を基に説明する。
【0020】
まず、図1に示すように、配線基板を形成するための絶縁層および導体層を有する大型のパネル10の中に、絶縁層からなる絶縁基板1および導体層からなる配線導体2を有する配線基板となる複数の製品領域3を縦横の並びに一体的に配列形成する。なお、各製品領域3の周囲には、配線基板を形成するための絶縁層および導体層と同じ絶縁層および導体層から成る捨て代領域4を介在させておく。さらに、捨て代領域4には、配線導体2と同じ導体層から成る電解めっき用の帯状の給電パターン5を配線導体2から電気的に独立した状態で設けておく。
【0021】
絶縁層としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する有機材料系の電気絶縁材料が好適に使用される。絶縁層の厚みは、10〜1000μm程度である。絶縁層は、単一層で用いられても良いし、複数層が積層されて用いられてもよい。また導体層としては銅箔や銅めっき層等の銅から成る導電材料が好適に使用される。導体層の厚みは、5〜25μm程度である。導体層は、銅箔または銅めっき層が単独で用いられても良いし、銅箔と銅めっき層とが積層されて用いられてもよい。
【0022】
給電パターン5の幅は、20〜200μm程度が好適である。給電パターン5の幅が20μm未満では、給電パターン5の電気抵抗が高くなり、後述するように、給電パターン5を介して各製品領域3の配線導体2にめっき被覆層7を被着する際に、厚みバラツキの小さなめっき被覆層7を被着させることが困難となる傾向にある。逆に、給電パターン5の幅が200μmを超えると、製品領域3同士の間に設ける捨て代領域4の幅をその分広くする必要があり、そのためパネル10中に形成可能な製品領域3の数が少なくなって配線基板の生産性が低下してしまう傾向にある。したがって、給電パターン5の幅は20〜200μmの範囲が好ましい。
【0023】
次に図2に示すように、パネル10の表面の全面に、配線導体2および給電パターン5を覆うようにして無電解めっき層6を被着させる。これにより全ての配線導体2と給電パターン5とが無電解めっき層6を介して電気的に接続されることとなる。無電解めっき層6としては、無電解銅めっきが好適に使用される。無電解めっき層6の厚みは、0.1〜0.8μm程度である。無電解めっき層6の厚みが0.1μm未満では、無電解めっき層6の電気抵抗が高くなり、後述するように、無電解めっき層6を介して配線導体2にめっき被覆層7を被着する際に、厚みバラツキの小さなめっき被覆層7を被着させることが困難となる。逆に、無電解めっき層6の厚みが0.8μmを超えると、無電解めっき層6を形成したり、除去したりするのに長時間を要し、配線基板の生産性が低下してしまう傾向にある。したがって、無電解めっき層6の厚みは0.1〜0.8μmの範囲が好ましい。
【0024】
次に図3に示すように、各製品領域3の配線基板2におけるめっき被覆層7を被着させるべき部位およびその周辺の絶縁基板1の表面を選択的に露出させるめっきレジスト層R1をパネル10の各製品領域3および捨て代領域4にわたり被着させる。このとき、めっきレジスト層R1が給電パターン5および給電パターン5と配線導体2との間の無電解めっき層6を覆うようにする。また、めっき被覆層7を被着させない配線導体2がある場合、その配線導体2もめっきレジスト層R1で覆うようにする。めっきレジスト層R1としては、例えばアクリル変性エポキシ樹脂等の感光性を有する樹脂から成るレジスト材料が好適に使用される。
【0025】
次に図4に示すように、めっきレジスト層R1から露出する無電解めっき層6をエッチング除去する。これにより、配線導体2におけるめっき被覆層7を被着させるべき領域およびその周囲の絶縁基板1の表面が無電解めっき層6により覆われずに露出することとなる。
【0026】
次に図5に示すように、めっきレジスト層R1から露出する配線導体2の表面にめっき被覆層7を電解めっきにより被着させる。めっき被覆層7としては、配線導体2の表面にニッケルめっき層を被着させ、さらにその上に金めっき層を被着させたものが好適に用いられる。あるいは、配線導体2の表面に錫めっき層を被着させたものであってもよい。めっき被覆層7がニッケルめっき層および金めっき層から成る場合、ニッケルめっき層の厚みは0.04〜15μmの範囲が好ましい。また金めっき層の厚みは0.1〜1.5μmの範囲が好ましい。めっき被覆層7が錫めっき層から成る場合、錫めっき層の厚みは1〜10μmの範囲が好ましい。
【0027】
このとき、電解めっきのための電荷は、各製品領域3の周囲に設けた給電パターン5から無電解めっき層6を介して各配線導体2に供給される。各製品領域3の周囲に設けた給電パターン5は、配線導体2と同じ導体層から成り、その厚みが5〜25μmと厚いことから、その電気抵抗を低いものとすることができる。したがって、給電パターン5を介して各製品領域3の配線導体2に電解めっきのための電荷を低抵抗で供給することができる。なお、各製品領域3において給電パターン5と配線導体2とを電気的に接続している無電解めっき層6は、厚みが0.1〜0.8μmと薄いものの、各製品領域3における給電パターン5と配線導体2との距離は十分に短いので、無電解めっき層6による電気抵抗の上昇はそれほど大きなものとはならない。その結果、製品領域3におけるめっき被覆層7が被着されるべき全ての配線導体2に対して厚みバラツキの小さなめっき被覆層7を電解めっきにより被着させることが可能となる。
【0028】
次に図6に示すように、めっきレジスト層R1を剥離除去する。これにより給電パターン5と配線導体2とを電気的に接続している無電解めっき層6が露出することとなる。
【0029】
次に図7に示すように、露出した無電解めっき層6をエッチング除去する。これにより給電パターン5と各配線導体2とが電気的に独立するとともに、各配線導体2同士が電気的に独立する。
【0030】
次に図8に示すように、パネル10の表面に、配線導体2を覆うとともに給電パターン5を露出させるエッチングレジスト層R2を被着させる。エッチングレジスト層R2としては、例えばアクリル変性エポキシ樹脂等の感光性を有する樹脂から成るレジスト材料が好適に使用される。
【0031】
次に図9に示すように、エッチングレジスト層R2から露出する給電パターン5をエッチング除去する。
【0032】
次に図10に示すように、エッチングレジスト層R2を除去する。このようにして捨て代領域4表面の導体層が除去されることとなる。なお、給電パターン5のエッチング除去は必ずしも必要ではなく、後述する切断の際に捨て代領域4に残る導体層の影響が無視できるようであれば、捨て代領域4に給電パターン5を残したままでも構わない。
【0033】
次に図11に示すように、めっき被覆層7が被着された配線導体2の一部およびめっき被覆層7が被着されていない配線導体2の一部を露出させるようにしてソルダーレジスト層8を被着させた後、各製品領域3に沿って捨て代領域4を切断することによって個々の配線基板が得られることとなる。ソルダーレジスト層8としては、例えばアクリル変性エポキシ樹脂等の感光性を有する熱硬化性樹脂から成るレジスト材料が好適に使用される。
【0034】
なお、ソルダーレジスト層8を被着させるに先立って、めっき被覆層7から露出する配線導体2の表面を酸化還元処理やエッチング処理により粗化しておくと、配線導体2とソルダーレジスト層8との密着を強固とすることができる。したがって、ソルダーレジスト層8を被着させるのに先立って、めっき被覆層7から露出する配線導体2の表面を酸化還元処理やエッチング処理により粗化しておくことが好ましい。この場合、ソルダーレジスト層8から露出している配線導体2のうち、めっき被覆層7が被着されていない部位については、ソルダーレジスト層8を被着させた後、配線導体2における粗化された表層部をエッチング除去することが好ましい。
【0035】
なお、本発明は上述の実施形態の一例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更は可能である。例えば、上述の実施の形態例では捨て代領域4に設けた給電パターン5として帯状のパターンを採用したが、必ずしも帯状である必要はなく、メッシュ状やドット状のパターンであってもよい。
さらには図12に示すように、各製品領域3内に例えば正方形や長方形、円形あるいは不定形の島状のパターン5aを配線導体2から独立して配置しておき、その上から上述の無電解めっき層6を被着させ、これらの島状のパターン5aおよび無電解めっき層6を介して各配線導体2に電解めっきのための電荷を供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 絶縁基板
2 配線導体
3 製品領域
4 捨て代領域
5 給電パターン
6 無電解めっき層
7 めっき被覆層
R1 めっきレジスト層
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路素子等の電子部品を搭載するために好適に使用される配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体集積回路素子等の電子部品を搭載するために使用される配線基板は、1層以上の絶縁層から成る絶縁基板の表面に導体層から成る配線導体を形成してなる。絶縁層としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する樹脂系の電気絶縁材料が好適に使用される。また導体層としては、銅箔や銅めっき層等の銅から成る導電材料が好適に使用される。このような配線基板においては、絶縁基板の表面に形成された配線導体の一部に半導体集積回路素子等の電子部品の電極が半田やボンディングワイヤ等を介して接続される。この配線導体における電子部品が接続される部位には、電子部品の電極との接続を良好とするためにめっき被覆層が被着されている。このめっき被覆層としては、配線導体の表面にニッケルめっき層と金めっき層とを電解めっきにより順次被着させてたものが好適に使用される。
【0003】
ここで、配線導体の表面の一部にめっき被覆層を電解めっきにより被着させる従来の方法について説明する。まず図13に部分的な上面図および断面図で図示するように、配線基板を形成するための絶縁層および導体層を有する大型のパネル20の中に絶縁基板11および配線導体12を有する配線基板となる複数の製品領域13を縦横の並びに一体的に配列形成する。なお、各製品領域13の周囲には、配線基板を形成するための絶縁層および導体層と同じ絶縁層および導体層から成る捨て代領域14を介在させておく。さらに捨て代領域14の表面には配線導体12と同じ導体層から成る電解めっき用の給電パターン15を設けておくとともに、この給電パターン15と各配線導体12とを配線導体12や給電パターン15と同じ導体層から成るめっき引き出し線16により接続しておく。
【0004】
次に、図14に示すように、パネル20の表面に、給電パターン15やめっき引き出し線16を覆うとともに配線導体12におけるめっき被覆層を被着させるべき一部を露出させるめっきレジスト層R3を被着させる。
【0005】
次に図15に示すように、めっきレジスト層R3から露出する配線導体12の表面に電解めっきによりめっき被覆層17を被着する。このとき、電解めっきのための電荷は、給電パターン15からめっき引き出し線16を介して配線導体12に供給される。
【0006】
次に図16に示すように、めっきレジスト層R3を剥離除去する。このようにして配線導体12の一部にめっき被覆層17が被着される。
【0007】
次に図17に示すように、パネル20の表面に、配線導体12を覆うとともに給電パターン15およびその周辺を露出させるエッチングレジスト層R4を被着させる。
【0008】
次に図18に示すように、エッチングレジストR4から露出する給電パターン15およびその近傍のめっき引き出し線16をエッチング除去する。
【0009】
次に図19に示すように、エッチングレジストR4を除去する。このようにして各配線導体12の所定のもの同士が電気的に独立するとともに、捨て代領域14表面の導体層が除去される。
【0010】
次に、図20に示すように、めっき被覆層17が被着された配線導体12の一部およびめっき被覆層17が被着されていない配線導体12の一部を露出させるようにしてソルダーレジスト層18を被着させた後、パネル20を各製品領域13に沿って捨て代領域14を切断することによって個々の配線基板が得られることとなる。
【0011】
しかしながら、上述した従来の方法によると、各製品領域13の配線導体12に電解めっきによりめっき被覆層17を被着させるために、捨て代領域14に電解めっきのための給電パターン15を設けるとともに給電パターン15と配線導体12とをめっき引き出し線16によって接続する必要がある。ところが近時の配線基板においては、配線導体12の配線密度が極めて高いものとなってきており、配線導体12に接続するめっき引き出し線16を設けることが困難となってきている。
【0012】
そこで、図21に示すように、パネル20に上述した給電パターン15およびめっき引き出し線16を設けずにおき、次に図22に示すように、配線導体12の上からパネル20の表面の全面に無電解めっき層19を被着させて各配線導体12同士を電気的に接続し、次に図23に示すように、無電解めっき層19の表面に配線導体12におけるめっき被覆層17で被覆すべき部分およびその近傍を選択的に露出させるめっきレジスト層R5を被着させ、次に図24に示すように、めっきレジスト層R5から露出する無電解めっき層19を選択的にエッチング除去した後、図25に示すように、めっきレジスト層R5から露出する配線導体12に電解めっきによりめっき被覆層17を被着させ、次に図26に示すように、めっきレジストR5を剥離除去した後、図27に示すように、各配線導体12同士を接続する無電解めっき層19をエッチング除去することにより、配線導体12の一部に電解めっきによるめっき被覆層17を被着させる方法が提案されている。この場合、電解めっきのための電荷は、各配線導体12同士を接続する無電解めっき層19を介して配線導体12に供給される。
【0013】
しかしながら、各配線導体12に電解めっきのための電荷を供給する経路となる無電解めっき層19は、その厚みが0.1〜0.8μm程度と薄いため、各配線導体12に電解めっきのための電荷を供給する際の電気抵抗が高くなり、その結果、各製品領域におけるめっき被覆層が被着されるべき全ての配線基板12に厚みバラツキの小さなめっき被覆層17を被着させることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2003−13281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、各製品領域におけるめっき被覆層が被着されるべき全ての配線導体に対して厚みバラツキの小さなめっき金属層を電解めっきにより被着させることが可能な配線基板の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の配線基板の製造方法は、1層以上の絶縁層からなる絶縁基板の表面に形成された導体層からなる配線導体の一部にめっき被覆層を電解めっきにより被着させてなる配線基板の製造方法であって、前記絶縁基板および前記配線導体を有する前記配線基板となる複数の製品領域を、該製品領域の各々の周囲に前記絶縁層および前記導体層から成る捨て代領域を介在させて縦横の並びに一体的に配列形成するとともに前記捨て代領域の表面に前記電解めっきのための給電パターンを前記配線導体から電気的に独立した状態で前記導体層により形成する第1の工程と、次に前記製品領域および前記捨て代領域の表面に、前記給電パターンと前記配線導体とを電気的に接続する無電解めっき層を被着させる第2の工程と、次に前記製品領域および前記捨て代領域の表面に、前記配線導体のうちの前記一部を選択的に露出させるめっきレジスト層を被着させる第3の工程と、前記配線導体の前記一部に前記めっき被覆層を電解めっきにより選択的に被着させる第4の工程と、次に前記めっきレジスト層を剥離除去する第5の工程と、次に前記無電解めっき層をエッチング除去する第6の工程とを行なうことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の配線基板の製造方法によれば、配線基板となる製品領域の周囲の捨て代領域に配線導体と同じ導体層からなる給電パターンを配線導体から電気的に独立した状態で設けるとともに、それらの給電パターンと配線導体とを電気的に接続する無電解めっき層を被着させ、次に配線導体の一部を選択的に露出させるめっきレジスト層を被着させた後、配線導体の露出部にめっき被覆層を電解めっきにより被着させることから、電解めっきのための電荷は各製品領域の周囲にある給電パターンから無電解めっき層を介して各製品領域の配線導体に供給されることとなる。各製品領域の周囲の給電パターンは、配線導体と同じ導体層からなり、その厚みが一般的には5〜25μm程度と厚いため、この給電パターンを介して各製品領域の配線導体に電解めっきのための電荷を低抵抗で供給することができる。その結果、製品領域におけるめっき被覆層が被着されるべき全ての配線導体に対して厚みバラツキの小さなめっき金属層を電解めっきにより被着させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図3】図3は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図4】図4は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図5】図5は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図6】図6は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図7】図7は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図8】図8は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図9】図9は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図10】図10は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図11】図11は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図12】図12は、本発明の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図13】図13は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図14】図14は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図15】図15は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図16】図16は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図17】図17は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図18】図18は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図19】図19は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図20】図20は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図21】図21は、従来の配線基板の製造方法を説明するため部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図22】図22は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図23】図23は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図24】図24は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図25】図25は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図26】図26は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【図27】図27は、従来の配線基板の製造方法を説明するための部分的な概略上面図および概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明の配線基板の製造方法における実施形態の一例を添付の図1〜図11を基に説明する。
【0020】
まず、図1に示すように、配線基板を形成するための絶縁層および導体層を有する大型のパネル10の中に、絶縁層からなる絶縁基板1および導体層からなる配線導体2を有する配線基板となる複数の製品領域3を縦横の並びに一体的に配列形成する。なお、各製品領域3の周囲には、配線基板を形成するための絶縁層および導体層と同じ絶縁層および導体層から成る捨て代領域4を介在させておく。さらに、捨て代領域4には、配線導体2と同じ導体層から成る電解めっき用の帯状の給電パターン5を配線導体2から電気的に独立した状態で設けておく。
【0021】
絶縁層としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する有機材料系の電気絶縁材料が好適に使用される。絶縁層の厚みは、10〜1000μm程度である。絶縁層は、単一層で用いられても良いし、複数層が積層されて用いられてもよい。また導体層としては銅箔や銅めっき層等の銅から成る導電材料が好適に使用される。導体層の厚みは、5〜25μm程度である。導体層は、銅箔または銅めっき層が単独で用いられても良いし、銅箔と銅めっき層とが積層されて用いられてもよい。
【0022】
給電パターン5の幅は、20〜200μm程度が好適である。給電パターン5の幅が20μm未満では、給電パターン5の電気抵抗が高くなり、後述するように、給電パターン5を介して各製品領域3の配線導体2にめっき被覆層7を被着する際に、厚みバラツキの小さなめっき被覆層7を被着させることが困難となる傾向にある。逆に、給電パターン5の幅が200μmを超えると、製品領域3同士の間に設ける捨て代領域4の幅をその分広くする必要があり、そのためパネル10中に形成可能な製品領域3の数が少なくなって配線基板の生産性が低下してしまう傾向にある。したがって、給電パターン5の幅は20〜200μmの範囲が好ましい。
【0023】
次に図2に示すように、パネル10の表面の全面に、配線導体2および給電パターン5を覆うようにして無電解めっき層6を被着させる。これにより全ての配線導体2と給電パターン5とが無電解めっき層6を介して電気的に接続されることとなる。無電解めっき層6としては、無電解銅めっきが好適に使用される。無電解めっき層6の厚みは、0.1〜0.8μm程度である。無電解めっき層6の厚みが0.1μm未満では、無電解めっき層6の電気抵抗が高くなり、後述するように、無電解めっき層6を介して配線導体2にめっき被覆層7を被着する際に、厚みバラツキの小さなめっき被覆層7を被着させることが困難となる。逆に、無電解めっき層6の厚みが0.8μmを超えると、無電解めっき層6を形成したり、除去したりするのに長時間を要し、配線基板の生産性が低下してしまう傾向にある。したがって、無電解めっき層6の厚みは0.1〜0.8μmの範囲が好ましい。
【0024】
次に図3に示すように、各製品領域3の配線基板2におけるめっき被覆層7を被着させるべき部位およびその周辺の絶縁基板1の表面を選択的に露出させるめっきレジスト層R1をパネル10の各製品領域3および捨て代領域4にわたり被着させる。このとき、めっきレジスト層R1が給電パターン5および給電パターン5と配線導体2との間の無電解めっき層6を覆うようにする。また、めっき被覆層7を被着させない配線導体2がある場合、その配線導体2もめっきレジスト層R1で覆うようにする。めっきレジスト層R1としては、例えばアクリル変性エポキシ樹脂等の感光性を有する樹脂から成るレジスト材料が好適に使用される。
【0025】
次に図4に示すように、めっきレジスト層R1から露出する無電解めっき層6をエッチング除去する。これにより、配線導体2におけるめっき被覆層7を被着させるべき領域およびその周囲の絶縁基板1の表面が無電解めっき層6により覆われずに露出することとなる。
【0026】
次に図5に示すように、めっきレジスト層R1から露出する配線導体2の表面にめっき被覆層7を電解めっきにより被着させる。めっき被覆層7としては、配線導体2の表面にニッケルめっき層を被着させ、さらにその上に金めっき層を被着させたものが好適に用いられる。あるいは、配線導体2の表面に錫めっき層を被着させたものであってもよい。めっき被覆層7がニッケルめっき層および金めっき層から成る場合、ニッケルめっき層の厚みは0.04〜15μmの範囲が好ましい。また金めっき層の厚みは0.1〜1.5μmの範囲が好ましい。めっき被覆層7が錫めっき層から成る場合、錫めっき層の厚みは1〜10μmの範囲が好ましい。
【0027】
このとき、電解めっきのための電荷は、各製品領域3の周囲に設けた給電パターン5から無電解めっき層6を介して各配線導体2に供給される。各製品領域3の周囲に設けた給電パターン5は、配線導体2と同じ導体層から成り、その厚みが5〜25μmと厚いことから、その電気抵抗を低いものとすることができる。したがって、給電パターン5を介して各製品領域3の配線導体2に電解めっきのための電荷を低抵抗で供給することができる。なお、各製品領域3において給電パターン5と配線導体2とを電気的に接続している無電解めっき層6は、厚みが0.1〜0.8μmと薄いものの、各製品領域3における給電パターン5と配線導体2との距離は十分に短いので、無電解めっき層6による電気抵抗の上昇はそれほど大きなものとはならない。その結果、製品領域3におけるめっき被覆層7が被着されるべき全ての配線導体2に対して厚みバラツキの小さなめっき被覆層7を電解めっきにより被着させることが可能となる。
【0028】
次に図6に示すように、めっきレジスト層R1を剥離除去する。これにより給電パターン5と配線導体2とを電気的に接続している無電解めっき層6が露出することとなる。
【0029】
次に図7に示すように、露出した無電解めっき層6をエッチング除去する。これにより給電パターン5と各配線導体2とが電気的に独立するとともに、各配線導体2同士が電気的に独立する。
【0030】
次に図8に示すように、パネル10の表面に、配線導体2を覆うとともに給電パターン5を露出させるエッチングレジスト層R2を被着させる。エッチングレジスト層R2としては、例えばアクリル変性エポキシ樹脂等の感光性を有する樹脂から成るレジスト材料が好適に使用される。
【0031】
次に図9に示すように、エッチングレジスト層R2から露出する給電パターン5をエッチング除去する。
【0032】
次に図10に示すように、エッチングレジスト層R2を除去する。このようにして捨て代領域4表面の導体層が除去されることとなる。なお、給電パターン5のエッチング除去は必ずしも必要ではなく、後述する切断の際に捨て代領域4に残る導体層の影響が無視できるようであれば、捨て代領域4に給電パターン5を残したままでも構わない。
【0033】
次に図11に示すように、めっき被覆層7が被着された配線導体2の一部およびめっき被覆層7が被着されていない配線導体2の一部を露出させるようにしてソルダーレジスト層8を被着させた後、各製品領域3に沿って捨て代領域4を切断することによって個々の配線基板が得られることとなる。ソルダーレジスト層8としては、例えばアクリル変性エポキシ樹脂等の感光性を有する熱硬化性樹脂から成るレジスト材料が好適に使用される。
【0034】
なお、ソルダーレジスト層8を被着させるに先立って、めっき被覆層7から露出する配線導体2の表面を酸化還元処理やエッチング処理により粗化しておくと、配線導体2とソルダーレジスト層8との密着を強固とすることができる。したがって、ソルダーレジスト層8を被着させるのに先立って、めっき被覆層7から露出する配線導体2の表面を酸化還元処理やエッチング処理により粗化しておくことが好ましい。この場合、ソルダーレジスト層8から露出している配線導体2のうち、めっき被覆層7が被着されていない部位については、ソルダーレジスト層8を被着させた後、配線導体2における粗化された表層部をエッチング除去することが好ましい。
【0035】
なお、本発明は上述の実施形態の一例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更は可能である。例えば、上述の実施の形態例では捨て代領域4に設けた給電パターン5として帯状のパターンを採用したが、必ずしも帯状である必要はなく、メッシュ状やドット状のパターンであってもよい。
さらには図12に示すように、各製品領域3内に例えば正方形や長方形、円形あるいは不定形の島状のパターン5aを配線導体2から独立して配置しておき、その上から上述の無電解めっき層6を被着させ、これらの島状のパターン5aおよび無電解めっき層6を介して各配線導体2に電解めっきのための電荷を供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 絶縁基板
2 配線導体
3 製品領域
4 捨て代領域
5 給電パターン
6 無電解めっき層
7 めっき被覆層
R1 めっきレジスト層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1層以上の絶縁層からなる絶縁基板の表面に形成された導体層からなる配線導体の一部にめっき被覆層を電解めっきにより被着させてなる配線基板の製造方法であって、前記絶縁基板および前記配線導体を有する前記配線基板となる複数の製品領域を、該製品領域の各々の周囲に前記絶縁層および前記導体層から成る捨て代領域を介在させて縦横の並びに一体的に配列形成するとともに前記捨て代領域の表面に前記電解めっきのための給電パターンを前記配線導体から電気的に独立した状態で前記導体層により形成する第1の工程と、次に前記製品領域および前記捨て代領域の表面に、前記給電パターンと前記配線導体とを電気的に接続する無電解めっき層を被着させる第2の工程と、次に前記製品領域および前記捨て代領域の表面に、前記配線導体のうちの前記一部を選択的に露出させるめっきレジスト層を被着させる第3の工程と、前記配線導体の前記一部に前記めっき被覆層を電解めっきにより選択的に被着させる第4の工程と、次に前記めっきレジスト層を剥離除去する第5の工程と、次に前記無電解めっき層をエッチング除去する第6の工程とを行なうことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項1】
1層以上の絶縁層からなる絶縁基板の表面に形成された導体層からなる配線導体の一部にめっき被覆層を電解めっきにより被着させてなる配線基板の製造方法であって、前記絶縁基板および前記配線導体を有する前記配線基板となる複数の製品領域を、該製品領域の各々の周囲に前記絶縁層および前記導体層から成る捨て代領域を介在させて縦横の並びに一体的に配列形成するとともに前記捨て代領域の表面に前記電解めっきのための給電パターンを前記配線導体から電気的に独立した状態で前記導体層により形成する第1の工程と、次に前記製品領域および前記捨て代領域の表面に、前記給電パターンと前記配線導体とを電気的に接続する無電解めっき層を被着させる第2の工程と、次に前記製品領域および前記捨て代領域の表面に、前記配線導体のうちの前記一部を選択的に露出させるめっきレジスト層を被着させる第3の工程と、前記配線導体の前記一部に前記めっき被覆層を電解めっきにより選択的に被着させる第4の工程と、次に前記めっきレジスト層を剥離除去する第5の工程と、次に前記無電解めっき層をエッチング除去する第6の工程とを行なうことを特徴とする配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図11】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2013−110203(P2013−110203A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252626(P2011−252626)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(304024898)京セラSLCテクノロジー株式会社 (213)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(304024898)京セラSLCテクノロジー株式会社 (213)
【Fターム(参考)】
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