説明

配線基板付ケーブルアセンブリ

【課題】配線基板付ケーブルアセンブリの実装空間をより小さくすることができること。
【解決手段】同軸ケーブル12aiおよび12biの横断面が、配線基板16を挟んで千
鳥掛け配置となるように同軸ケーブル12aiおよび12biが、それぞれ、配線基板1
6の表面部16A,裏面部16Bに配されるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本のケーブルを並列に有する配線基板付ケーブルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器内部における電装部品相互間の電気的接続を行うにあたり、ケーブル用コネクタが実用に供されている。ケーブル用コネクタは、例えば、配線基板付ケーブルアセンブリを介してプリント配線基板に電装品を電気的に接続するものとされる。そのような配線基板付ケーブルアセンブリは、例えば、特許文献1にも示されるように、互いに並列に配される複数本の同軸ケーブルと、その各同軸ケーブルの接続端が接続されるフレキシブル回路基板とを主な要素として含んで構成されている。そのフレキシブル回路基板の両面には、各同軸ケーブルの接続端が接続される導体パターン(特許文献1においては、接続パターンと呼称される)が相対向して形成されている。これにより、各同軸ケーブルの接続端は、フレキシブル回路基板を挟んで相対向して配置されることとなる。
【0003】
このような構成により、電気機器のデータ伝送容量の増加等の理由によって同軸ケーブル数が増えた場合、フレキシブル回路基板およびコネクタ等の幅をより小さくすることができるので携帯電話、デジタルカメラ、ノートパソコン等の電子機器の小型化が図られることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−259598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
配線基板付ケーブルアセンブリにおける各同軸ケーブルの接続端が、上述のように、フレキシブル回路基板を挟んで相対向して配置される場合、配線基板付ケーブルアセンブリの実装空間は、同軸ケーブルの外径の約2倍の寸法のある空間が必要とされる。即ち、その実装空間は、同軸ケーブルが上下に重なり、フレキシブル回路基板の両面にそれぞれ設けられた同軸ケーブルの外径の約2倍の寸法よりも薄くすることが困難となる。
【0006】
しかしながら、携帯電話等の電子機器の小型化および低背化の傾向にある現状にあっては、配線基板付ケーブルアセンブリの実装空間をより小さくすることが要望される。
【0007】
以上の問題点を考慮し、本発明は、複数本のケーブルを並列に有する配線基板付ケーブルアセンブリであって、配線基板付ケーブルアセンブリの実装空間をより小さくすることができる配線基板付ケーブルアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明に係る配線基板付ケーブルアセンブリは、複数本のケーブルと、表面部および裏面部のうちの少なくとも一方に一列に形成される複数個の第1のコンタクトパッドと、第1のコンタクトパッドと共通の平面上に、第1のコンタクトパッドとともに千鳥掛けに配置され、ケーブルの一端が、それぞれ、接続される複数個の第2のコンタクトパッドと、第1のコンタクトパッドに電気的に接続され、前記共通の平面に対向する平面上に形成され、ケーブルの一端がそれぞれ接続される複数個の第3
のコンタクトパッドとを有する配線基板と、を備え、第2のコンタクトパッドに接続されるケーブルの横断面、および、第3のコンタクトパッドに接続されるケーブルの横断面が配線基板を挟んで千鳥掛け配置となるように、ケーブルの一端が、それぞれ、配線基板の表面部および裏面部に配置され、ケーブルの外周部の端面が配線基板の端面に対し相対向し近接した状態で、ケーブルの端部から突出する内部導体が、第2のコンタクトパッドまたは第3のコンタクトパッドに接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る配線基板付ケーブルアセンブリによれば、第2のコンタクトパッドに接続されるケーブルの横断面、および、第3のコンタクトパッドに接続されるケーブルの横断面が配線基板を挟んで千鳥掛け配置となるように、ケーブルの一端が、それぞれ、配線基板の表面部および裏面部に配置され、ケーブルの外周部の端面が配線基板の端面に対し相対向し近接した状態で、ケーブルの端部から突出する内部導体が、第2のコンタクトパッドまたは第3のコンタクトパッドに接続されるので配線基板付ケーブルアセンブリの実装空間をより小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る配線基板付ケーブルアセンブリの一例の要部を示す正面図である。
【図2】本発明に係る配線基板付ケーブルアセンブリの一例の一方の端部を示す斜視図である。
【図3】図2に示される例における一部を拡大して示す斜視図である。
【図4】図3に示される部分における裏面側部分を示す斜視図である。
【図5】図3に示される一部をさらに拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2は、本発明に係る配線基板付ケーブルアセンブリの一例の要部の外観を示す。
【0012】
図2において、配線基板付ケーブルアセンブリ10は、後述する導体パターンを有する一対の配線基板16と、各配線基板16の表面部16Aおよび裏面部16Bの導体パターンにそれぞれ、接続される同軸ケーブル12ai,12bi(i=1〜n,nは正の整数)とを含んで構成されている。なお、図2においては、一方の配線基板16のみを示す。
【0013】
配線基板付ケーブルアセンブリ10の配線基板16は、例えば、特開2007−73411号公報にも示されるようなケーブル用コネクタに対して電気的に接続される。
【0014】
配線基板16は、例えば、フレキシブル配線基板とされ、保護層に覆われた複数の導電層が絶縁性基材上の両面に形成された構成とされる。絶縁性基材は、例えば、厚さ50μm程度の液晶ポリマー、ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいは、ポリエーテルイミド(PEI)で成形されている。その保護層は、例えば、熱硬化型のレジスト層、あるいは、ポリイミドフィルムにより形成されている。なお、配線基板付ケーブルアセンブリ10の両端部における配線基板16の構造は、それぞれ、互いに同一の構造を有するのでアセンブリ10の一方の端部についてのみ説明し、他方の端部についての説明を省略する。
【0015】
配線基板16における絶縁性基材の表面部16Aの最端部には、第1のコンタクトパッド16CPAi(i=1〜n,nは正の整数)が配線基板16の幅方向に沿って所定の間隔で互いに平行に形成されている。各第1のコンタクトパッド16CPAiは、銅合金の層で形成され、後述する裏面部16Bの導体パターンとしての各導電層16SLBi(i=1〜n,nは正の整数)にバンプ16bi(i=1〜n,nは正の整数)を介して層間接続されている。
【0016】
第1のコンタクトパッド16CPAiは、例えば、信号ラインおよび接地ラインとして形成される。
【0017】
第1のコンタクトパッド16CPAiの列と共通の平面上に第2のコンタクトパッド16SLAi(i=1〜n,nは正の整数)が隣接し、配線基板16の幅方向に沿って所定の間隔で互いに平行に形成されている。各第2のコンタクトパッド16SLAiは、隣接する二個の第1のコンタクトパッド16CPAi相互間に対応する位置に形成されている。従って、図5に示されるように、第1のコンタクトパッド16CPAiと第2のコンタクトパッド16SLAiとは、共通の平面上に千鳥掛けで形成されることとなる。第2のコンタクトパッド16SLAiは、第1のコンタクトパッド16CPAiとは異なる他の信号ラインおよび接地ラインとして形成される。
【0018】
第2のコンタクトパッド16SLAiにおける第1のコンタクトパッド16CPAiに対し離隔する方向の端部には、即ち、後述するカバーレイ部材14とカバーレイ部材15との間の部分には、後述する同軸ケーブル12aiの内部導体12Cが半田付け固定されている。
【0019】
また、各第2のコンタクトパッド16SLAiの中間部分、および、第1のコンタクトパッド16CPAiに対し離隔する方向の最端部には、図3に示されるように、同一の厚さを有するカバーレイ部材14および15が、それぞれ、第2のコンタクトパッド16SLAiの配列方向に沿って各第2のコンタクトパッド16SLAi上に積層されている。
【0020】
これにより、同軸ケーブル12aiを伴って配線基板16が、第2のコンタクトパッド16SLAiが剥離する方向に捩じられた場合であっても、カバーレイ部材14および15により補強されるので第2のコンタクトパッド16SLAiが剥離する事態が回避される。なお、カバーレイ部材14および15は、後述する裏面部16Bの各導電層16SLBi上にも同様に形成されている。
【0021】
一方、裏面部16Bには、図4に示されるように、補強板18がカバーレイ部材14の一部を覆うように積層されている。補強板18は、配線基板16を上述のケーブル用コネクタに接続する際、配線基板16の変形を抑制するものとされる。また、補強板18の端部には、各導電層16SLBiの端部が露出した第3のコンタクトパッドが形成されている。各導電層16SLBiは、裏面部16Bにおける上述の隣接する第2のコンタクトパッド16SLAi相互間に対応する位置に形成されている。従って、導電層16SLBiおよび第2のコンタクトパッド16SLAiは、配線基板16の厚さ方向において、所謂、千鳥掛け配置に形成されることとなる。その各第3のコンタクトパッドには、同軸ケーブル12biの内部導体12Cが半田付け固定されている。これにより、配線基板16の両面に導電層(導体パターン)が形成されることとなる。
【0022】
同軸ケーブル12aiおよび12biは、互いに同一の構造を有しているので同軸ケーブル12aiについて説明し、同軸ケーブル12biについての説明を省略する。
【0023】
同軸ケーブル12aiは、図1に拡大されて示されるように、例えば、円柱状の内部導体12Cと、内部導体12Cと同心上に内部導体12Cの直径よりも大なる直径を有する円筒状の外部導体12Eとを主な要素として含んで構成されている。内部導体12Cと外部導体12Eとの間には、環状の絶縁体12Scが設けられている。また、外部導体12Eの外周部は、シース12Saで覆われている。
【0024】
同軸ケーブル12biは、図1に拡大されて示されるように、表面部16Aに隣接して固定される同軸ケーブル12ai相互間に対応する位置で裏面部16Bに固定されている。
【0025】
即ち、同軸ケーブル12aiおよび同軸ケーブル12biは、その横断面が、配線基板16を挟んで千鳥掛け配置となるように固定されるので図1において、同軸ケーブル12aiの外周部の最端から同軸ケーブル12biの外周部の最端までの最大寸法Tを、従来のケーブルアッセンブリの対応する寸法に比べて小とすることができる。
【0026】
同軸ケーブル12aiおよび同軸ケーブル12biにおけるシース12Saの端面は、配線基板16の端面に対して相対向し、かつ、近接して配されることとなる。
【0027】
また、同軸ケーブル12aiおよび12biのシースが配線基板16上に配置される場合と比べて同軸ケーブル12aiおよび12biの内部導体12Cのみが半田付け固定されるのでそのシースの厚さ分だけより同軸ケーブル12aiおよび12biを互いにより近づけることが可能となる。
【符号の説明】
【0028】
10 配線基板付ケーブルアセンブリ
12ai,12bi 同軸ケーブル
14、15 カバーレイ部材
16 配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のケーブルと、
表面部および裏面部のうちの少なくとも一方に一列に形成される複数個の第1のコンタ
クトパッドと、該第1のコンタクトパッドと共通の平面上に、該第1のコンタクトパッド
とともに千鳥掛けに配置され、前記ケーブルの一端が、それぞれ、接続される複数個の第
2のコンタクトパッドと、該第1のコンタクトパッドに電気的に接続され、前記共通の平
面に対向する平面上に形成され、前記ケーブルの一端がそれぞれ接続される複数個の第3
のコンタクトパッドとを有する配線基板と、を備え、
前記第2のコンタクトパッドに接続されるケーブルの横断面、および、前記第3のコン
タクトパッドに接続されるケーブルの横断面が前記配線基板を挟んで千鳥掛け配置となる
ように、該ケーブルの一端が、それぞれ、前記配線基板の表面部および裏面部に配置され、
前記ケーブルの外周部の端面が前記配線基板の端面に対し相対向し近接した状態で、該
ケーブルの端部から突出する内部導体が、前記第2のコンタクトパッドまたは前記第3の
コンタクトパッドに接続されることを特徴とする配線基板付ケーブルアセンブリ。
【請求項2】
前記第2のコンタクトパッドまたは前記第3のコンタクトパッドの剥離を抑制するカバーレイ部材が、該第2のコンタクトパッドまたは該第3のコンタクトパッドの延在する方
向に所定の間隔をもって2箇所に、隣接する該第2のコンタクトパッドまたは前記第3の
コンタクトパッドに跨った状態で形成され、
前記ケーブルの端部から突出する内部導体が、前記第2のコンタクトパッドまたは前記
第3のコンタクトパッドにおける前記カバーレイ部材相互間の部分に接続されることを特
徴とする請求項1記載の配線基板付ケーブルアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−40405(P2011−40405A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221774(P2010−221774)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【分割の表示】特願2008−221850(P2008−221850)の分割
【原出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】