説明

配線基板及びその製造方法、半導体装置

【課題】シリコン層又はガラス層とコア基板とをバンプを介在させないで接続した配線基板及びその製造方法、並びに前記配線基板を有する半導体装置を提供すること。
【解決手段】本配線基板は、絶縁性基材の一方の面から他方の面に貫通する複数の線状導体を備えたコア基板と、前記一方の面側及び前記他方の面側の少なくとも一面側に接合されたシリコン層と、前記シリコン層を貫通する貫通配線と、を有し、前記貫通配線は、バンプを介さずに前記線状導体と電気的に接続されており、1つの前記貫通配線の端部に対して、複数の前記線状導体が電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン層又はガラス層を有する配線基板及びその製造方法、並びに前記配線基板を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シリコン層と、このシリコン層を接合するコア基板とを有する配線基板又は半導体装置が知られている。シリコン層を有する配線基板では、シリコン層は貫通孔や配線が形成される基体として機能するが、シリコン層に半導体回路は形成されていない。一方、このような配線基板において、シリコン層に半導体回路を形成したものが半導体装置である。
【0003】
このような配線基板又は半導体装置において、シリコン層とコア基板との電気的な接続は、一般に、はんだバンプ等のバンプを介して行われている。又、バンプの接続信頼性を向上するために、シリコン層とコア基板との間に、バンプを被覆するアンダーフィル樹脂を充填する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−72596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シリコン層とコア基板とはバンプを介して接続されるため、バンプ形成技術、シリコン層とコア基板との位置あわせ技術、バンプの形状維持等の限界から、接続密度を向上することが困難であり、接続数にも制約がある。又、シリコン層とコア基板との間に、アンダーフィル樹脂を均一で完全に充填することは困難である。更に、シリコン層が薄くなった場合に(例えば、50μm)、バンプ接続時の取り扱いが困難である。シリコン層に代えてガラス層を用いる場合も同様の問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、シリコン層又はガラス層とコア基板とをバンプを介在させないで接続した配線基板及びその製造方法、並びに前記配線基板を有する半導体装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本配線基板は、絶縁性基材の一方の面から他方の面に貫通する複数の線状導体を備えたコア基板と、前記一方の面側及び前記他方の面側の少なくとも一面側に接合されたシリコン層又はガラス層と、前記シリコン層又はガラス層を貫通する貫通配線と、を有し、前記貫通配線は、バンプを介さずに前記線状導体と電気的に接続されており、1つの前記貫通配線の端部に対して、複数の前記線状導体が電気的に接続されていることを要件とする。
【0008】
本配線基板の製造方法は、絶縁性基材の一方の面から他方の面に貫通する複数の線状導体を備えたコア基板を作製する第1工程と、前記一方の面側及び前記他方の面側の少なくとも一面側にシリコン層又はガラス層を接合する第2工程と、前記シリコン層又はガラス層を貫通する貫通孔を形成する第3工程と、前記貫通孔に導電材料を充填し、バンプを介さずに前記線状導体と電気的に接続された貫通配線を形成する第4工程と、を有し、前記第4工程では、1つの前記貫通配線の端部に対して、複数の前記線状導体を電気的に接続することを要件とする。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、シリコン層又はガラス層とコア基板とをバンプを介在させないで接続した配線基板及びその製造方法、並びに前記配線基板を有する半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。
【図2】図1のA部を拡大して例示する斜視透視図である。
【図3】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【図4】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【図5】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【図6】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
【図7】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その5)である。
【図8】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その6)である。
【図9】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その7)である。
【図10】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その8)である。
【図11】第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板を例示する断面図である。
【図12】図11のB部を拡大して例示する部分断面図である。
【図13】第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【図14】第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【図15】第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【図16】第1の実施の形態の変形例2に係る配線基板を例示する断面図である。
【図17】第1の実施の形態の変形例3に係る配線基板を例示する断面図である。
【図18】第1の実施の形態の変形例4に係る配線基板を例示する断面図である。
【図19】第1の実施の形態の変形例5に係る配線基板を例示する断面図である。
【図20】第2の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。
【図21】第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【図22】第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【図23】第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【図24】第2の実施の形態の変形例1に係る配線基板を例示する断面図である。
【図25】第2の実施の形態の変形例1に係る配線基板を例示する部分平面図である。
【図26】第2の実施の形態の変形例2に係る配線基板を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る配線基板の構造]
まず、第1の実施の形態に係る配線基板の構造について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。図2は、図1のA部を拡大して例示する斜視透視図である。但し、図2において、一部の構成要素は省略されている。図1及び図2において、X方向は後述するコア基板13の一方の面13aと平行な方向、Y方向はX方向に垂直な方向(紙面奥行き方向)、Z方向はX方向及びY方向に垂直な方向(コア基板13の厚さ方向)をそれぞれ示している(他の図においても同様)。
【0013】
図1及び図2を参照するに、第1の実施の形態に係る配線基板10は、コア基板13と、接着層21と、シリコン層22と、絶縁膜23と、貫通配線24と、絶縁層31と、配線層32と、絶縁層33と、配線層34と、ソルダーレジスト層35とを有する。
【0014】
配線基板10において、コア基板13は、例えば厚さ70〜100μm程度、大きさ10×10mm程度の基板であり、基板本体11全体に亘りそのZ方向(厚さ方向)に形成された多数の貫通孔11xに金属材料を充填して線状導体(ビア)12が形成された基板である。
【0015】
基板本体11としては、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)、ムライト、窒化アルミニウム、ガラスセラミックス(ガラスとセラミックスの複合材料)、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタンジルコン酸鉛等の無機誘電体を含む絶縁性基材を用いることができる。
【0016】
コア基板13の一方の面13aに接合されているシリコン層22の熱膨張係数(CTE)は3ppm/℃程度である。又、コア基板13の他方の面13bに形成されている配線層32や配線層34等が例えば銅(Cu)である場合、その熱膨張係数(CTE)は16〜17ppm/℃程度である。基板本体11の材料として例えば熱膨張係数(CTE)が6〜7ppm/℃程度のアルミナや熱膨張係数(CTE)が4.5ppm/℃程度のムライト等のシリコン層22の熱膨張係数(CTE)と配線層32や配線層34等の熱膨張係数(CTE)との中間的な値の熱膨張係数(CTE)を有するセラミックス等を用いることにより、シリコン層22と配線層32や配線層34等との熱膨張係数(CTE)の差に起因する応力を緩和することができる。
【0017】
線状導体12は、その一端面がコア基板13の一方の面13aから露出しており、その他端面がコア基板13の他方の面13bから露出している。各線状導体12は、互いに略平行に略一定間隔で基板本体11の略全面に亘って形成されている。線状導体12は、例えば平面視円形に形成されており、その直径は例えば30nm〜2000nm程度とすることができる。なお、平面視とは、対象物を図1のZ方向から見た場合を指す。又、線状導体12は、隣接する線状導体12の間隔が線状導体12の直径よりも小さくなる程度に密に形成されていることが好ましい。但し、線状導体12の配置形態については、特に限定されず、例えばヘキサゴナル状に配置されていてもよいし、グリッド状に配置されていてもよい。
【0018】
各線状導体12は、コア基板13の一方の面13aに形成された導体と他方の面13bに形成された導体とを接続するビアとしての機能を有する。但し、線状導体12の一部は導体には接続されず、電気的に孤立(フローティング)した状態であっても構わない。線状導体(ビア)12を形成する金属材料としては、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等を用いることができる。
【0019】
シリコン層22は、接着層21を介して、コア基板13の一方の面13aに接合されている。シリコン層22の厚さは、例えば20〜50μm程度とすることができる。接着層21及びシリコン層22には、接着層21及びシリコン層22を貫通する貫通孔22xが形成されている。貫通孔22xは、平面形状が略円形の孔である。貫通孔22xの径は、例えば3〜30μm程度とすることができる。貫通孔22xの深さ(接着層21及びシリコン層22の厚さ)は、例えば、30〜80μm程度とすることができる。
【0020】
絶縁膜23は、貫通孔22xの内側面を含むシリコン層22の表面を被覆するように形成されている。絶縁膜23は、シリコン層22と貫通配線24等との間を絶縁するための膜である。絶縁膜23の材料としては、例えば、二酸化珪素(SiO)や窒化珪素(SiN)、ポリイミド(PI)等を用いることができる。絶縁膜23の厚さは、例えば1〜2μm程度とすることができる。
【0021】
貫通配線24は、内側面が絶縁膜23に被覆された貫通孔22xを充填するように形成されている。貫通配線24の一端部は、複数の線状導体12の端部と直接接続されている。貫通配線24の他端部は、シリコン層22から露出している。貫通配線24の他端部は、シリコン層22の上面を被覆する絶縁膜23の上面と略面一とされている。貫通配線24の他端部は、半導体チップや他の配線基板等(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。或いは、シリコン層22を被覆する絶縁膜23の表面に、貫通配線24と電気的に接続された配線層や、この配線層を被覆する絶縁層等を含む電気回路を積層してもよい。
【0022】
貫通配線24は、第1層24aと、第2層24bとを有する。第1層24aは、貫通孔22x内に露出するコア基板13の一方の面13a、及び貫通孔22xの内側面を被覆する絶縁膜23を被覆するように形成されている。第1層24aとしては、例えばチタン(Ti)膜と銅(Cu)膜が絶縁膜23の表面等に、この順番で順次積層した導電層等を用いることができる。第1層24aの最下層にチタン(Ti)膜を用いると、絶縁膜23の材料が二酸化珪素(SiO)や窒化珪素(SiN)である場合に密着性が良好となる。第1層24aの厚さは、例えば0.05〜0.5μm程度とすることができる。第2層24bは、第1層24aを被覆し、貫通孔22xを充填するように形成されている。第2層24bの材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0023】
絶縁層31は、コア基板13の他方の面13bを被覆するように形成されている。絶縁層31の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層31の厚さは、例えば15〜25μm程度とすることができる。
【0024】
配線層32は、絶縁層31の表面に形成されている。配線層32は、絶縁層31を貫通しコア基板13の他方の面13bの一部を露出するビアホール31x内に充填されたビア配線、及び絶縁層31の表面に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線パターンは、所定の平面形状にパターニングされている。ビアホール31xは、絶縁層33側に開口されていると共に、コア基板13の他方の面13bの一部によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となっている。又、この凹部内にビア配線が形成されている。
【0025】
配線層32は、ビアホール31x内に露出した多数の線状導体12と電気的に接続されている。配線層32の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層32の一部である配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0026】
絶縁層33は、絶縁層31の表面に、配線層32を覆うように形成されている。絶縁層33の材料としては、絶縁層31と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層33の厚さは、例えば15〜25μm程度とすることができる。
【0027】
配線層34は、絶縁層33の表面に形成されている。配線層34は、絶縁層33を貫通し配線層32の表面を露出するビアホール33x内に充填されたビア配線、及び絶縁層33の表面に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線パターンは、所定の平面形状にパターニングされている。ビアホール33xは、ソルダーレジスト層35側に開口されていると共に、配線層32の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となっている。又、この凹部内にビア配線が形成されている。
【0028】
配線層34は、ビアホール33x内に露出した配線層32と電気的に接続されている。配線層34の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層34の一部である配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0029】
ソルダーレジスト層35は、絶縁層33の表面に、配線層34を覆うように形成されている。ソルダーレジスト層35は開口部35xを有し、開口部35x内には配線層34の一部が露出している。ソルダーレジスト層35の材料としては、感光性の絶縁性樹脂等を用いることができる。ソルダーレジスト層35の厚さは、例えば15〜25μm程度とすることができる。
【0030】
開口部35x内に露出する配線層34は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。必要に応じ、開口部35x内に露出する配線層34の表面に、金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。又、金属層に代えて、開口部35x内に露出する配線層34の表面にOSP(Organic Solderability Preservative)処理を施しても構わない。
【0031】
更に、開口部35x内に露出する配線層34の表面に(配線層34の表面に金属層が形成されている場合には、金属層の表面に)はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成しても構わない。外部接続端子は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するための端子となる。但し、開口部35x内に露出する配線層34の表面(配線層34の表面に金属層が形成されている場合には、金属層の表面)自体を、外部接続端子としても良い。なお、開口部35x内に露出する配線層34の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば200〜1000μm程度とすることができる。
【0032】
[第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。図3〜図10は、第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【0033】
まず、図3に示す工程では、基板本体11を準備し、準備した基板本体11全体に亘りその厚さ方向に、多数の貫通孔11xを形成する。基板本体11としては、例えば厚さ70〜100μm程度、大きさ10×10mm程度のアルミナ(酸化アルミニウム)のグリーンシート等を用いることができる。貫通孔11xは、例えば平面視円形とすることができ、その場合の直径φは例えば30nm〜2000nm程度とすることができる。又、貫通孔11xは、隣接する貫通孔11xの間隔Pが貫通孔11xの直径φよりも小さくなる程度に密に形成することが好ましい。但し、貫通孔11xの配置形態については、特に限定されず、例えばヘキサゴナル状に配置してもよいし、グリッド状に配置してもよい。
【0034】
貫通孔11xの形成方法の一例を以下に示す。貫通孔11xは、例えば陽極酸化法を用いて形成することができる。具体的には、例えばアルミニウム(Al)の基板の一方の面を絶縁被膜したAl基板、又はガラス基板上にスパッタリング等によりアルミニウム(Al)の電極層を形成したAl電極層を用意し、用意したAl基板又はAl電極層の表面を洗浄後、電解液(好適には硫酸水溶液)中に浸漬し、浸漬したAl基板又はAl電極層を陽極とし、これに対向配置される白金(Pd)電極を陰極として通電(パルス電圧を印加)することで、Al基板又はAl電極層の表面に多孔質金属酸化膜(微小径の孔が規則正しく形成された酸化アルミニウムの膜)を形成することができる。
【0035】
この後、陽極酸化とは逆電位の電圧を各電極に印加(Al基板又はAl電極層を陰極とし、白金(Pd)電極を陽極として通電)することで、多孔質金属酸化膜をAl基板又はAl電極層から分離する。これによって、所望の微小径(例えば30nm〜2000nm)の貫通孔11xが高密度に形成された基板本体11が得られる。
【0036】
なお、基板本体11の材料としては、アルミナ(酸化アルミニウム)以外に、ムライト、窒化アルミニウム、ガラスセラミックス(ガラスとセラミックスの複合材料)、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタンジルコン酸鉛等の絶縁性基材を用いてもよい。
【0037】
次に、図4に示す工程では、基板本体11に形成された貫通孔11xに金属材料を充填して線状導体(ビア)12を形成する。以降、線状導体12を有する基板本体11をコア基板13と称する場合がある。線状導体12は、例えばスクリーン印刷法やインクジェット法等を用いて、例えば銀(Ag)や銅(Cu)等の導電性ペーストを貫通孔11xに充填することにより形成することができる。
【0038】
例えば金属材料として銅(Cu)を用いる場合には、基板本体11の表面(貫通孔11xの内壁面を含む)に、無電解銅(Cu)めっき法によりシード層を形成し、形成したシード層を給電層として利用した電解銅(Cu)めっき法により、貫通孔11xに銅(Cu)を充填することができる。又、無電解銅(Cu)めっき法のみにより、銅(Cu)を貫通孔11xに充填しても構わない。
【0039】
更に、必要に応じて機械研磨、化学機械研磨(CMP)等により両面を研磨して平坦化し、線状導体12の両端を基板本体11の両面に露出させることができる。このようにして、基板本体11に、基板本体11の厚さ方向に貫通する微小径の線状導体12が高密度に設けられた構造体(図2参照)を形成することができる。
【0040】
次に、図5に示す工程では、表面が絶縁膜23で被覆されたシリコン層22を、接着層21を介して、コア基板13の一方の面13aに接合する。そして、絶縁膜23の表面に保護層91を形成する。シリコン層22としては、例えば6インチ(約150mm)、8インチ(約200mm)、12インチ(約300mm)等のシリコンウェハを個片化したもの等を用いることができる。シリコンウェハの厚さは、例えば0.625mm(6インチの場合)、0.725mm(8インチの場合)、0.775mm(12インチの場合)等であるが、シリコン層22の厚さはバックサイドグラインダー等で適宜薄型化することができる。
【0041】
薄型化後のシリコン層22の厚さは、例えば、20〜50μm程度とすることができる。シリコン層22の厚さを50μm程度以下にすると、後工程で貫通孔22xを容易に形成でき、又、貫通孔22x内に電解めっきを行うための給電層を容易に形成できる。シリコン層22の厚さを20μm程度以上にしないと、半導体回路が形成されている場合に、その機能を維持することが困難となる。なお、薄型化前のシリコン層22を接着層21を介してコア基板13の一方の面13aに接合し、その後に薄型化してもよい。
【0042】
接着層21としては、例えば、エポキシ系等の接着剤を用いることができる。接着層21として、溶融温度が500℃以下の低融点ガラスを用いてもよい。
【0043】
絶縁膜23としては、例えば熱酸化膜(SiO)を用いることができる。絶縁膜23は、シリコン層22の表面近傍の温度を例えば1000℃以上とするウェット熱酸化法により熱酸化することで形成できる。絶縁膜23の厚さは、例えば1〜2μm程度とすることができる。なお、絶縁膜23として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により、例えば二酸化珪素(SiO)や窒化珪素(SiN)、ポリイミド(PI)等の膜を形成しても構わない。
【0044】
保護層91は、後述の工程でシリコン層22に貫通孔22xを形成する際に、ドロスの飛び散りを防止するために設ける層である。保護層91としては、例えば、銅(Cu)板や樹脂等を用いることができる。保護層91は、絶縁膜23の表面に、ラミネート又は塗布することにより形成できる。
【0045】
次に、図6に示す工程では、接着層21及びシリコン層22を貫通し、複数の線状導体12の端部を露出する貫通孔22xを形成する。貫通孔22x内には、コア基板13の一方の面13aの一部が露出する。貫通孔22xは、例えば、接着層21及びシリコン層22の貫通孔22x形成位置を開口するレジスト層(図示せず)を形成し、レジスト層(図示せず)をマスクとして接着層21及びシリコン層22をエッチングすることにより形成できる。エッチングとしては、例えばSF(六フッ化硫黄)を用いた反応性イオンエッチング(DRIE:Deep Reactive Ion Etching)等の異方性エッチング法を用いると好適である。
【0046】
貫通孔22xは、例えば、COレーザ等を用いたレーザ加工法により形成してもよい。貫通孔22xは、例えば平面形状が略円形の孔であり、その径は、例えば3〜30μm程度とすることができる。貫通孔22xの深さ(接着層21及びシリコン層22の厚さ)は、例えば、30〜80μm程度とすることができる。レジスト層(図示せず)は、この工程の後に除去する。
【0047】
次に、図7に示す工程では、貫通孔22xの内側面に絶縁膜23を形成する。そして、貫通孔22x内に露出するコア基板13の一方の面13a、貫通孔22xの内側面を被覆する絶縁膜23、及び保護層91の表面を被覆する導電層92を形成する。導電層92は、例えばスパッタ法や無電解めっき法等により形成できる。導電層92は、不要部分が除去されて、最終的には貫通配線24の第1層24aとなる層である。導電層92としては、例えばチタン(Ti)膜と銅(Cu)膜がコア基板13の一方の面13a等に、この順番で順次積層した導電層等を用いることができる。導電層92の厚さは、例えば1μm程度とすることができる。
【0048】
なお、保護層91を除去してから導電層92を形成する工程としてもよい。このような工程にした場合には、保護層91に付着した異物を保護層91と同時に除去できるメリットがある。
【0049】
次に、図8に示す工程では、貫通孔22x内を露出するレジスト層93を形成する。レジスト層93は、例えば、ドライフィルムレジスト等を貫通孔22x内を除く導電層92の表面にラミネートすることにより形成できる。
【0050】
次に、図9に示す工程では、導電層92を給電層とする電解めっき法により、貫通孔22x内にめっき膜を析出成長させることで、貫通孔22xを充填し貫通孔22xから一部が突出する導電層94を形成する。導電層94は、導電層92を介して、複数の線状導体12と電気的に接続される。なお、導電層94は、不要部分が除去されて、最終的には貫通配線24の第2層24bとなる層である。導電層94の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0051】
次に、図10に示す工程では、レジスト層93を除去後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等により、保護層91、貫通孔22x外の導電層92(図9参照)、及び貫通孔22xから突出する導電層94(図9参照)を研磨する。これにより、第1層24a及び第2層24bを含む貫通配線24が形成される。
【0052】
次に、図10に示す工程の後(図示せず)、コア基板13の他方の面13bに、絶縁層31、配線層32、絶縁層33、配線層34、ソルダーレジスト層35を順次積層形成する。
【0053】
具体的には、まず、コア基板13の他方の面13bに例えば液状の感光性ポリイミド系樹脂を例えばスピンコート法等により塗布する。そして、液状の感光性ポリイミド系樹脂を硬化させ、絶縁層31を形成する。次に、絶縁層31を貫通しコア基板13の他方の面13bを露出するビアホール31xを、例えばフォトリソグラフィ法等により形成する。
【0054】
このように、絶縁層31の材料として感光性の絶縁性樹脂を用いることにより、絶縁層31にフォトリソグラフィ法によりビアホール31xを形成できるため、ビアホール31xを狭ピッチで形成できる(他の絶縁層についても同様)。なお、ビアホール31xの狭ピッチ化が不要な場合には、絶縁層31の材料として非感光性のエポキシ系樹脂等を用い、レーザ加工法等でビアホール31xを形成しても構わない。
【0055】
次に、絶縁層31上に配線層32を形成する。配線層32は、ビアホール31x内に充填されたビア配線、及び絶縁層31の表面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層32は、ビアホール31x内に露出した複数の線状導体12と電気的に接続される。配線層32の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層32は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できる。
【0056】
以降、同様にして、絶縁層33、配線層34、及びソルダーレジスト層35を順次積層形成する。最後に、ソルダーレジスト層35に開口部35xを形成することにより、図1に示す配線基板10が完成する。なお、必要に応じ、開口部35x内に露出する配線層34の表面に、金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。又、金属層に代えて、開口部35x内に露出する配線層34の表面にOSP(Organic Solderability Preservative)処理を施しても構わない。
【0057】
更に、開口部35x内に露出する配線層34の表面に(配線層34の表面に金属層が形成されている場合には、金属層の表面に)はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成しても構わない。外部接続端子は、マザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するための端子となる。但し、開口部35x内に露出する配線層34の表面(配線層34の表面に金属層が形成されている場合には、金属層の表面)自体を、外部接続端子としても良い。なお、開口部35x内に露出する配線層34の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば200〜1000μm程度とすることができる。
【0058】
なお、第1の実施の形態では、1つの配線基板10を作製する工程について説明したが、複数の配線基板10を一体的に形成し、最後に個片化する工程としてもよい。又、コア基板13の他方の面13bに2層の配線層を形成する例を示したが、配線層は1層でもよいし、3層以上形成してもよい。
【0059】
このように、第1の実施の形態によれば、コア基板13の一方の面13aに接着層21を介してシリコン層22を接合する。そして、シリコン層22を貫通し、複数の線状導体12の端部を露出する貫通孔22xを形成し、更に貫通孔22xに導電材料を充填し、複数の線状導体12と電気的に接続された貫通配線24を形成する。これにより、貫通配線24と複数の線状導体12とをバンプを介さずに接続できるため、接続密度を向上できると共に、接続信頼性を向上できる。
【0060】
又、シリコン層22は、コア基板13に積層された積層体として扱えるので、シリコン層22が薄型化(例えば、20〜50μm程度)されていても、強度を維持でき取り扱いが容易となる。
【0061】
又、シリコン層22は薄型化(例えば、20〜50μm程度)されているので、貫通孔22xの加工等に必要なエネルギーを低減できる。
【0062】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、貫通配線を1層のみから形成する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0063】
図11は、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板を例示する断面図である。図12は、図11のB部を拡大して例示する部分断面図である。図11及び図12を参照するに、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板10Aは、貫通配線24が貫通配線27に置換されている点が、配線基板10(図1参照)と相違する。
【0064】
貫通配線27は、内側面が絶縁膜23に被覆された貫通孔22xを充填するように1層のみから形成されている。貫通配線27の一端部は、貫通孔22x内に露出する複数の線状導体12の端部と直接接続されている。貫通配線27の他端部は、シリコン層22の上面を被覆する絶縁膜23の上面と略面一とされている。貫通配線27の他端部は、シリコン層22から露出している。貫通配線27の他端部は、半導体チップや他の配線基板等(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。或いは、シリコン層22を被覆する絶縁膜23の表面に、貫通配線27と電気的に接続された配線層や、この配線層を被覆する絶縁層等を含む電気回路を積層してもよい。貫通配線27の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0065】
配線基板10Aを製造するには、第1の実施の形態の図7〜図9に示す工程に代えて、図13及び図14の工程を実行すればよい。まず、図13に示す工程では、第1の実施の形態の図6に示す工程の後、貫通孔22xの内側面に絶縁膜23を形成する。そして、シリコン層22が接合されたコア基板13を、他方の面13bが給電板95と接するように、給電板95上に載置する。給電板95としては、例えば、銅(Cu)板等を用いることができる。給電板95は、コア基板13の他方の面13bから露出する複数の線状導体12の端面と電気的に接続される。なお、絶縁膜23の形成方法は、図5で説明した通りである。
【0066】
次に、図14に示す工程では、給電板95及び複数の線状導体12を給電経路とする電解めっき法により、貫通孔22x内にコア基板13の一方の面13a側からめっき膜を析出成長させることで、貫通孔22xを充填し貫通孔22xから一部が突出する導電層96を形成する。なお、導電層96は、不要部分が除去されて、最終的には貫通配線27となる層である。導電層96の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。この工程の後、シリコン層22が接合されたコア基板13を、給電板95から取り外す。
【0067】
次に、第1の実施の形態の図10に示す工程と同様にして、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等により、保護層91及び貫通孔22xから突出する導電層96(図14参照)を研磨し、貫通配線27を形成する(図示せず)。以降、第1の実施の形態と同様の工程により、図11に示す配線基板10Aが完成する。
【0068】
なお、コア基板13の他方の面13bに、絶縁層31、配線層32、絶縁層33、及び配線層34を順次積層形成した後に、コア基板13の一方の面13aに接着層21を介してシリコン層22を接合し、その後、接着層21及びシリコン層22を貫通する貫通孔22xを形成してもよい。この場合には、線状導体12と配線層34とを配線層32を介して電気的に接続しておけば、配線層34と接触するように給電板95を配設することにより、給電板95、配線層34、配線層32、及び複数の線状導体12を給電経路とする電解めっき法により、貫通孔22xを充填し貫通孔22xから一部が突出する導電層96を形成できる。
【0069】
このように、第1の実施の形態の変形例1によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するが、更に、以下の効果を奏する。すなわち、複数の線状導体を給電経路の一部として利用することにより、導電層92やレジスト層93を形成しない簡易な工程で、コア基板13の一方の面13a側から、電解めっき法により貫通孔22xを充填し、貫通配線27を形成できる。
【0070】
又、図14に示す工程により、導電層96(最終的に貫通配線27となる層)が多数の線状導体12と連続的に形成されるので、導電層96(最終的に貫通配線27となる層)と多数の線状導体12との密着強度を向上できる。
【0071】
なお、図15に示すように、例えば、第1の実施の形態の図6に示す工程において、貫通孔22xを基板本体11の一部に連通するように形成し、線状導体12の先端部(線状導体12の端部と側面)を基板本体11から露出させてもよい。換言すれば、絶縁性基材である基板本体11の貫通孔22xに対応する位置に凹部を形成し、凹部に線状導体12の端部と側面とを露出させ、凹部の内部と貫通孔22xとに導電材料を充填して貫通配線27を凹部内に延在させてもよい。これにより、図14に示す工程において、導電層96(最終的に貫通配線27となる層)が隣接する線状導体12間に食い込むため、アンカー効果により、更に導電層96(最終的に貫通配線27となる層)と多数の線状導体12との密着強度を向上できる。又、図14に示す工程において、電解めっき法により導電層96(最終的に貫通配線27となる層)を形成する際に、給電経路の一部となる線状導体12の表面積が増加するため、めっき速度を向上できる。線状導体12の先端部は、例えば、貫通孔22xを形成する際のエッチング時間を調整することにより、基板本体11から露出させることができる。
【0072】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、コア基板13の一方の面13a及び他方の面13bに配線層を形成する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0073】
図16は、第1の実施の形態の変形例2に係る配線基板を例示する断面図である。図16を参照するに、第1の実施の形態の変形例2に係る配線基板10Bは、コア基板13の一方の面13aに配線層41が形成され、他方の面13bに配線層42されている点が、配線基板10(図1参照)と相違する。
【0074】
配線層41は、コア基板13の一方の面13aに形成されている。配線層41は、接着層21により被覆されているが、配線層41の一部は貫通孔22x内に露出し、貫通配線24の一端部と電気的に接続されている。つまり、貫通配線24の一端部は、配線層41を介して間接的に複数の線状導体12の端部と接続されている。配線層41は、複数の線状導体12を介して、配線層42と電気的に接続されている。配線層41の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層41の厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0075】
配線層42は、コア基板13の他方の面13bに形成されている。配線層42の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層42の厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。絶縁層31は、コア基板13の他方の面13bに、配線層42を覆うように形成されている。配線層32は、ビアホール31x内に露出した配線層42と電気的に接続されている。配線層41及び42は、例えば、スパッタ法等により形成できる。
【0076】
このように、コア基板13の一方の面13a及び他方の面13bに配線層を形成しても、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0077】
〈第1の実施の形態の変形例3〉
第1の実施の形態の変形例3では、コア基板13の一方の面13aに絶縁層及び配線層を積層形成する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0078】
図17は、第1の実施の形態の変形例3に係る配線基板を例示する断面図である。図17を参照するに、第1の実施の形態の変形例3に係る配線基板10Cは、コア基板13の一方の面13aと接着層21との間に、配線層51、絶縁層52、及び配線層53が積層形成され、他方の面13bに配線層54が形成されている点が、配線基板10(図1参照)と相違する。
【0079】
配線層51は、コア基板13の一方の面13aに形成されている。配線層51は、複数の線状導体12を介して、配線層54と電気的に接続されている。配線層51の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層51の厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。絶縁層52は、コア基板13の一方の面13aに、配線層51を覆うように形成されている。絶縁層52の材料としては、絶縁層31と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層52の厚さは、例えば15〜25μm程度とすることができる。
【0080】
配線層53は、絶縁層52の表面に形成されている。配線層53は、絶縁層52を貫通し配線層51の表面を露出するビアホール52x内に充填されたビア配線、及び絶縁層52の表面に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線パターンは、所定の平面形状にパターニングされている。ビアホール52xは、接着層21側に開口されていると共に、配線層51の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となっている。又、この凹部内にビア配線が形成されている。
【0081】
配線層53は、ビアホール52x内に露出した配線層51と電気的に接続されている。配線層53の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層53の一部である配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。配線層53は、接着層21により被覆されているが、配線層53の一部は貫通孔22x内に露出し、貫通配線24の一端部と電気的に接続されている。つまり、貫通配線24の一端部は、配線層51及び53を介して間接的に複数の線状導体12の端部と接続されている。
【0082】
配線層54は、コア基板13の他方の面13bに形成されている。配線層54の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層54の厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。絶縁層31は、コア基板13の他方の面13bに、配線層54を覆うように形成されている。配線層32は、ビアホール31x内に露出した配線層54と電気的に接続されている。配線層51、絶縁層52、及び配線層53は、配線層32や絶縁層33等と同様な方法を用いて形成できる。
【0083】
このように、コア基板13の一方の面13aに絶縁層及び配線層を積層形成しても、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0084】
〈第1の実施の形態の変形例4〉
第1の実施の形態の変形例4では、コア基板13の両面にシリコン層を設ける例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例4において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0085】
図18は、第1の実施の形態の変形例4に係る配線基板を例示する断面図である。図18を参照するに、第1の実施の形態の変形例4に係る配線基板10Dは、コア基板13の他方の面13b側にシリコン層62が形成されている点が、配線基板10C(図17参照)と相違する。
【0086】
接着層61は、絶縁層31の表面に配線層32を覆うように形成されており、更に、接着層61にシリコン層62が積層形成されている。接着層61及びシリコン層62には、接着層61及びシリコン層62を貫通する貫通孔62xが形成され、貫通孔62xを充填するように貫通配線64(第1層64a及び第2層64b)が形成されている。貫通配線64は、貫通孔62x内に露出する配線層32と電気的に接続されている。
【0087】
なお、接着層61、シリコン層62、絶縁膜63、及び貫通配線64(第1層64a及び第2層64b)は、それぞれ接着層21、シリコン層22、絶縁膜23、及び貫通配線24(第1層24a及び第2層24b)に対応するものであるため、詳細な説明は省略する。
【0088】
このように、コア基板13の両面にシリコン層を形成しても、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0089】
〈第1の実施の形態の変形例5〉
第1の実施の形態の変形例5では、コア基板13の片面にシリコン層を積層する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例5において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0090】
図19は、第1の実施の形態の変形例5に係る配線基板を例示する断面図である。図19を参照するに、第1の実施の形態の変形例5に係る配線基板10Eは、コア基板13の一方の面13a側のシリコン層22に更にシリコン層72が積層されている点が、配線基板10C(図17参照)と相違する。
【0091】
接着層71は、シリコン層22の接着層21と接していない側の面に形成されており、更に、接着層71にシリコン層72が積層形成されている。接着層71及びシリコン層72には、接着層71及びシリコン層72を貫通する貫通孔72xが形成され、貫通孔72xを充填するように貫通配線74(第1層74a及び第2層74b)が形成されている。貫通配線74は、貫通孔72x内に露出する貫通配線24と電気的に接続されている。
【0092】
なお、接着層71、シリコン層72、絶縁膜73、及び貫通配線74(第1層74a及び第2層74b)は、それぞれ接着層21、シリコン層22、絶縁膜23、及び貫通配線24(第1層24a及び第2層24b)に対応するものであるため、詳細な説明は省略する。
【0093】
このように、コア基板13の片面にシリコン層を積層形成しても、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0094】
なお、コア基板13の片面にシリコン層を3層以上積層形成してもよいし、コア基板13の両面にシリコン層を積層形成してもよい。
【0095】
〈第1の実施の形態の変形例6〉
以上の実施の形態及びその変形例では、半導体回路が形成されていないシリコン層を用いる場合を例に説明したが、各実施の形態及びその変形例において、半導体回路が形成されているシリコン層を用いてもよい。その場合には、コア基板の一方の面側及び他方の面側の少なくとも一面側に、半導体回路が形成されているシリコン層が接合された半導体装置を実現することができる。
【0096】
シリコン層を貫通する貫通孔は、シリコン層に半導体回路を形成する前に設けてもよいし、シリコン層に半導体回路を形成した後に設けてもよい。シリコン層に半導体回路を形成した後に貫通孔を設ける場合には、シリコン層の表面に形成される半導体装置と電気的に接続された電極パッドを貫通するように貫通孔を設け、電極パッドと貫通配線とを電気的に接続してもよい。
【0097】
なお、例えば、コア基板の一方の面に、一面側に半導体回路が形成されたシリコン層を接合する場合には、回路形成面がコア基板の一方の面と対向するように接合することが好ましい。この理由は、背面(回路形成面の反対面)がコア基板の一方の面と対向するように接合すると、例えば、図10に示す工程で保護層等を除去する際に、回路形成面に損傷を与える虞があるためである。
【0098】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、コア層の両面に配線層を形成し、更に配線層を覆うガラス層を形成する例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0099】
[第2の実施の形態に係る配線基板の構造]
まず、第2の実施の形態に係る配線基板の構造について説明する。図20は、第2の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。図20を参照するに、第2の実施の形態に係る配線基板100は、コア基板13と、配線層41と、配線層42と、ガラス層220と、配線層240と、ガラス層320と、配線層340とを有する。
【0100】
ガラス層220は、配線層41を覆うように、コア基板13の一方の面13aに形成されている。なお、ガラス層220とコア基板13の一方の面13aとの間に接着層は介在していない。ガラス層220の厚さは、例えば20〜50μm程度とすることができる。ガラス層220には、ガラス層220を貫通する貫通孔220xが形成されている。貫通孔220xは、平面形状が略円形の孔である。貫通孔220xの径は、例えば3〜30μm程度とすることができる。
【0101】
配線層240は、貫通孔220x内に充填されたビア配線、及びガラス層220上に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線層240は、貫通孔220x内に露出している配線層41と電気的に接続されている。配線層240は、第1層240aと、第2層240bとが積層された構造を有する。
【0102】
第1層240aとしては、例えばチタン(Ti)膜と銅(Cu)膜がガラス層220の表面等に、この順番で順次積層した導電層等を用いることができる。第1層240aの厚さは、例えば1μm程度とすることができる。第2層240bは、第1層240aを被覆し、貫通孔220xを充填するように形成されている。第2層240bの材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0103】
ガラス層320は、配線層42を覆うように、コア基板13の他方の面13bに形成されている。なお、ガラス層320とコア基板13の他方の面13bとの間に接着層は介在していない。ガラス層320の材料や厚さは、ガラス層220と同様とすることができる。ガラス層320には、ガラス層320を貫通する貫通孔320xが形成されている。貫通孔320xの平面形状や径は、貫通孔220xと同程度とすることができる。
【0104】
配線層340は、貫通孔320x内に充填されたビア配線、及びガラス層320上に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線層340は、貫通孔320x内に露出している配線層42と電気的に接続されている。配線層340は、第1層340aと、第2層340bとが積層された構造を有する。配線層340の第1層340a及び第2層340bは、それぞれ配線層240の第1層240a及び第2層240bに対応するため、材料や厚さ等の説明は省略する。
【0105】
ガラス層220及び320の材料としては、例えば、低融点ガラス等を用いることができる。低融点ガラスとしては、例えば、硼珪酸ガラスにビスマスやインジウム等を含有させて融点を下げたもの等を用いることができる。低融点ガラスとして、例えば、硼珪酸ガラスに鉛やアルカリ金属等を含有させて融点を下げたもの等を用いてもよい。
【0106】
なお、ガラス層220及び320は絶縁体であるため、貫通孔220x及び320x内を含むガラス層220及び320の表面に配線基板10の絶縁膜23に相当する絶縁膜(図1等参照)を形成する必要はない。
【0107】
[第2の実施の形態に係る配線基板の製造方法]
次に、第2の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。図21〜図23は、第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【0108】
まず、図21に示す工程では、図3及び図4と同様の工程によりコア基板13を作製し、コア基板13の一方の面13a及び他方の面13bにそれぞれ配線層41及び42を形成する。配線層41及び42は、例えば、スパッタ法等により形成できる。配線層41は、複数の線状導体12を介して、配線層42と電気的に接続される。配線層41及び42の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。配線層41及び42の厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。
【0109】
次に、図22に示す工程では、ガラス層220及び320を形成する。具体的には、例えば、配線層41及び42を覆うように低融点ガラスペーストをコア基板13の一方の面13a及び他方の面13bにそれぞれ印刷法等により塗布し、例えば450℃程度で焼成してガラス層220及び320を形成する。或いは、固体の低融点ガラスをコア基板13の一方の面13a及び他方の面13bにそれぞれ配置し、例えば450℃程度で加熱及び押圧して軟化させた後、固化させることにより形成してもよい。ガラス層220及び320の厚さは、それぞれ、例えば20〜50μm程度とすることができる。
【0110】
ガラス層220及び320の材料である低融点ガラスとしては、例えば、硼珪酸ガラスにビスマスやインジウム等を含有させて融点を下げたもの等を用いることができる。低融点ガラスとして、例えば、硼珪酸ガラスに鉛やアルカリ金属等を含有させて融点を下げたもの等を用いてもよい。
【0111】
次に、図23に示す工程では、ガラス層220及び320にそれぞれを貫通孔220x及び320xを形成する。貫通孔220x及び320xは、例えばドライエッチング法やレーザ加工法等により形成できる。貫通孔220x及び320xは、平面形状が略円形の孔である。貫通孔220x及び320xの径は、例えば3〜30μm程度とすることができる。図23に示す工程の後、例えばセミアディティブ法等により配線層240及び340を形成することにより、図20に示す配線基板100が完成する。
【0112】
このように、第2の実施の形態では、コア基板13の一方の面13aに接着層を介さずに直接ガラス層220を接合する。そして、ガラス層220を貫通し、配線層41を露出する貫通孔220xを形成し、更に貫通孔220xに導電材料を充填し、配線層41と電気的に接続された配線層240を形成する。又、コア基板13の他方の面13bに接着層を介さずに直接ガラス層320を接合する。そして、ガラス層320を貫通し、配線層42を露出する貫通孔320xを形成し、更に貫通孔320xに導電材料を充填し、配線層42と電気的に接続された配線層340を形成する。
【0113】
これにより、第1の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、熱膨張係数が数10ppm/℃程度である有機樹脂系の接着層が存在せず、コア基板13、配線層41及び42、ガラス層220及び320、並びに配線層240及び340により配線基板100を構成している。そのため、構成材料間の熱膨張係数の不整合を低減できる。
【0114】
又、耐熱性の低い有機樹脂系の接着層が存在しないため、配線基板100の耐熱性を向上できる。
【0115】
又、ガラス層220及び320は、シリコン層22より安価であるため、配線基板100の製造コストを低減できる。
【0116】
又、配線層41及び42にアライメントマークを形成しておくと、ガラス層220及び320を介してアライメントマークを透視できるため、アライメント性を向上できる。
【0117】
なお、コア基板13の一方の面13a及び他方の面13bの何れか一面のみに配線層及びガラス層を形成し、その反対面には層を形成せずに線状導体12が露出する構造としても上記の効果を奏する。又、コア基板13の一方の面13a及び他方の面13bにそれぞれ配線層を形成し、コア基板13の一方の面13a及び他方の面13bの何れか一面のみに配線層を覆うようにガラス層を形成する構造としても上記の効果を奏する。
【0118】
更に、コア基板13の両面にそれぞれ配線層41及び42を形成し、配線層41及び42の何れか一方のみを覆うようにガラス層を形成する構造において、以下のようにしてもよい。すなわち、ガラス層に覆われていない方の配線層を覆うようにエポキシ系の絶縁性樹脂等からなる絶縁層を形成し、更にこの絶縁層を介して下層の配線層と電気的に接続される他の配線層を形成してもよい。
【0119】
又、コア基板13の両面に配線層41及び42が形成されていない状態で、直接ガラス層220及び320を形成する形態(図20において、配線層41及び42を削除した形態)としてもよい。
【0120】
なお、第2の実施の形態を、第1の実施の形態及びその変形例1〜2と同様の形態に変形することができる。
【0121】
〈第2の実施の形態の変形例1〉
第2の実施の形態の変形例1では、配線層を擬似同軸構造とする例を示す。なお、第2の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0122】
図24は、第2の実施の形態の変形例1に係る配線基板を例示する断面図である。図25は、第2の実施の形態の変形例1に係る配線基板を例示する部分平面図である。但し、図25において、図24に示すガラス層220及び配線層240の図示は省略されている。図24及び図25を参照するに、第2の実施の形態の変形例1に係る配線基板100Aは、配線層41及び42が擬似同軸構造である点が、配線基板100(図20参照)と相違する。
【0123】
配線層41及び42において、信号配線41s及び42s並びにそれらを接続する複数の線状導体12の周囲には、所定の間隔を空けてGND(グランド)配線41g及び42g並びにそれらを接続する複数の線状導体12が配置されている。信号配線41s及び42sは、信号が伝送される配線である。GND配線41g及び42gは、配線基板100Aの基準電位(GND)と電気的に接続される配線である。
【0124】
このように、信号配線41s及び42s並びに信号配線41sと42sを接続する複数の線状導体12と、これらの周囲に位置するGND配線41g及び42g並びにGND配線41gと42gを接続する複数の線状導体12により、同軸線路と同等の構造となる。その結果、信号配線41s及び42s並びに信号配線41sと42sを接続する複数の線状導体12に対する外部からのノイズをシールド(遮蔽)する効果を奏する。
【0125】
又、隣接して配置される信号配線41s及び42s並びに信号配線41sと42sを接続する複数の線状導体12間には、GND配線41g及び42g並びにGND配線41gと42gを接続する複数の線状導体12が配置されることになる。そのため、隣接して配置される信号配線41s及び42s並びに信号配線41sと42sを接続する複数の線状導体12間に生じる電気的結合(容量結合)を低減することが可能となる。その結果、信号配線41s及び42s並びに信号配線41sと42sを接続する複数の線状導体12自体がノイズ源となることを防止できる。
【0126】
又、コア基板13の一方の面13aにおける配線層41の占有率、及びコア基板13の他方の面13bにおける配線層42の占有率が配線基板100と比較して高い。そのため、例えばガラス層220及び320形成前に配線層41及び42の表面を粗化しておくと、アンカー効果により、配線層41及び42の表面とガラス層220及び320との密着性を向上できる。
【0127】
なお、第2の実施の形態の変形例1で示した擬似同軸構造は、第1の実施の形態の変形例2〜5にも適用可能である。
【0128】
〈第2の実施の形態の変形例2〉
第2の実施の形態の変形例2では、ガラス層上に機能素子を形成する例を示す。なお、第2の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0129】
図26は、第2の実施の形態の変形例2に係る配線基板を例示する断面図である。図26を参照するに、第2の実施の形態の変形例2に係る配線基板100Bは、配線基板100(図20参照)のガラス層220上に機能素子400を形成したものである。なお、機能素子とは、トランジスタやフォトダイオード、レーザダイオード等の半導体素子、コンデンサ等の受動素子等を意味する。
【0130】
本実施の形態では、機能素子400としてTFT(Thin Film Transistor)を形成する例を示すが、機能素子400としてLED(Light Emitting Diode)等を形成してもよい。又、機能素子400としてLEDを形成し、更にLEDから出射される光を反射して光路を変換する反射板を形成してもよい。
【0131】
配線基板100Bにおいて、ガラス層220上に形成されている機能素子400はトップゲート型のTFTであり、ソース電極410と、ドレイン電極420と、チャネル領域430と、ゲート絶縁膜440と、ゲート電極450とを有する。
【0132】
ソース電極410とドレイン電極420は、X方向に所定の間隔で並設されている。ソース電極410とドレイン電極420は、それぞれ配線層240と電気的に接続されている。ソース電極410とドレイン電極420とに挟持された領域には、チャネル領域430が形成されている。更に、チャネル領域430にオーバーラップする位置には、ゲート絶縁膜440を介して、ゲート電極450が形成されている。ゲート電極450に印加する電圧により、ソース電極410とドレイン電極420との間に流れる電流を制御できる。
【0133】
ソース電極410とドレイン電極420としては、例えば、アモルファスシリコン等を用いることができる。チャネル領域430としては、例えば、ポリシリコン等を用いることができる。ソース電極410、ドレイン電極420、及びチャネル領域430のそれぞれの厚さは、例えば、50nm程度とすることができる。
【0134】
ゲート絶縁膜440としては、例えば、シリコン酸化膜(SiO)や窒化シリコン(SiN)等を用いることができる。ゲート絶縁膜440の厚さは、例えば、80nm程度とすることができる。ゲート電極450としては、例えば、モリブデン(Mo)やアルミニウム(Al)等を用いることができる。ゲート電極450の厚さは、例えば、50nm程度とすることができる。
【0135】
ソース電極410、ドレイン電極420、及びチャネル領域430を形成するには、例えば、以下のようにする。すなわち、ガラス層220上のソース電極410、ドレイン電極420、及びチャネル領域430を形成する領域に、プラズマCVD法等によりアモルファスシリコン薄膜(例えば50nm程度)を形成する。
【0136】
そして、アモルファスシリコン薄膜のチャネル領域430を形成する領域に、例えば、パルス発振のエキシマレーザ(例えば、波長308nm)を照射する(アニーリング)。これにより、エキシマレーザを照射した部分のアモルファスシリコンは加熱され溶解し、これを冷やすと再度結晶化が起こりポリシリコンが形成される。すなわち、ポリシリコンからなるチャネル領域430が形成され、チャネル領域430を挟持ように、アモルファスシリコンからなるソース電極410及びドレイン電極420が形成される。
【0137】
なお、プラズマCVD法では、グロー放電により原料ガスのシラン(SiH)、シランジシラン(SiH)を分解し、ガラス層220上にアモルファスシリコン薄膜を成長させることができる。この際、ガラス層220周囲は400℃以下程度の温度となるが、ガラス層220として軟化温度が450℃程度の低融点ガラスを用いていれば、ガラス層220に損傷を与える問題は生じない。又、融点の低い有形樹脂系の接着層を用いていないため、接着層に損傷を与える問題も生じない。
【0138】
ゲート絶縁膜440及びゲート電極450は、それぞれ、例えば、フォトリソグラフィ法等により形成できる。
【0139】
このように、配線基板100は、耐熱性の低い有形樹脂系の接着層を有さないため耐熱性に優れている。そのため、例えば、400℃以下程度の温度となるプラズマCVD法等を用いて、配線基板100のガラス層220上に機能素子400を形成した配線基板100Bを実現できる。なお、ガラス層320上に機能素子を形成しても構わない。
【0140】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0141】
例えば、放熱性を考慮し、コア基板13の一部(例えば、コア基板13の周縁部)に、線状導体12が形成されていない金属領域を設けてもよい。この場合、金属領域は、例えば、アルミニウム(Al)から形成することができる。コア基板13の一部に金属領域を形成するには、図3に示す工程において、陽極酸化法等を用いて貫通孔11xを形成する際に、コア基板13の一部をマスクしておけばよい。
【0142】
又、配線基板10等の製造方法において、シリコン層22を貫通する貫通孔22xを形成してから、接着層21を介して、コア基板13の一方の面13aに接合する工程としてもよい。
【0143】
又、各実施の形態及びその変形例は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0144】
10、10A、10B、10C、10D、10E、100、100A、100B 配線基板
11 基板本体
11x、22x、62x、72x、220x、320x 貫通孔
12 線状導体
13 コア基板
13a コア基板の一方の面
13b コア基板の他方の面
21、61、71 接着層
22、62、72 シリコン層
23、63、73 絶縁膜
24、27、64、74 貫通配線
24a、64a、74a、240a、340a 第1層
24b、64b、74b、240b、340b 第2層
31、33、52 絶縁層
31x、33x、52x ビアホール
32、34、41、42、51、53、54、240、340 配線層
35 ソルダーレジスト層
35x 開口部
41g、42g GND配線
41s、42s 信号配線
91 保護層
92、94、96 導電層
93 レジスト層
95 給電板
220、320 ガラス層
400 機能素子
410 ソース電極
420 ドレイン電極
430 チャネル領域
440 ゲート絶縁膜
450 ゲート電極
P 間隔
φ 直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基材の一方の面から他方の面に貫通する複数の線状導体を備えたコア基板と、
前記一方の面側及び前記他方の面側の少なくとも一面側に接合されたシリコン層と、
前記シリコン層を貫通する貫通配線と、を有し、
前記貫通配線は、バンプを介さずに前記線状導体と電気的に接続されており、
1つの前記貫通配線の端部に対して、複数の前記線状導体が電気的に接続されている配線基板。
【請求項2】
前記貫通配線の端部が複数の前記線状導体の端部と直接接続されている請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
複数の前記線状導体の端部と電気的に接続された配線層が形成され、
前記貫通配線の端部が前記配線層と直接接続されている請求項1記載の配線基板。
【請求項4】
前記貫通配線は前記絶縁性基材に形成された凹部内に延在しており、前記凹部には前記線状導体の端部と側面とが露出している請求項4記載の配線基板。
【請求項5】
前記シリコン層に更に他のシリコン層が積層形成されている請求項1乃至6の何れか一項記載の配線基板。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項記載の配線基板において、前記シリコン層の少なくとも1層に半導体回路が形成されている半導体装置。
【請求項7】
絶縁性基材の一方の面から他方の面に貫通する複数の線状導体を備えたコア基板と、
前記一方の面側及び前記他方の面側の少なくとも一面側に接合されたガラス層と、
前記ガラス層を貫通する貫通配線と、を有し、
前記貫通配線は、バンプを介さずに前記線状導体と電気的に接続されており、
1つの前記貫通配線の端部に対して、複数の前記線状導体が電気的に接続されている配線基板。
【請求項8】
前記ガラス層は、前記一方の面及び前記他方の面の少なくとも一面に直接接合されている請求項7記載の配線基板。
【請求項9】
前記貫通配線の端部が複数の前記線状導体の端部と直接接続されている請求項7又は8記載の配線基板。
【請求項10】
複数の前記線状導体の端部と電気的に接続された配線層が形成され、
前記貫通配線の端部が前記配線層と直接接続されている請求項7又は8記載の配線基板。
【請求項11】
前記貫通配線は前記絶縁性基材に形成された凹部内に延在しており、前記凹部には前記線状導体の端部と側面とが露出している請求項9記載の配線基板。
【請求項12】
請求項7乃至11の何れか一項記載の配線基板において、前記ガラス層上に前記貫通配線と電気的に接続される機能素子が形成されている半導体装置。
【請求項13】
絶縁性基材の一方の面から他方の面に貫通する複数の線状導体を備えたコア基板を作製する第1工程と、
前記一方の面側及び前記他方の面側の少なくとも一面側にシリコン層を接合する第2工程と、
前記シリコン層を貫通する貫通孔を形成する第3工程と、
前記貫通孔に導電材料を充填し、バンプを介さずに前記線状導体と電気的に接続された貫通配線を形成する第4工程と、を有し、
前記第4工程では、1つの前記貫通配線の端部に対して、複数の前記線状導体を電気的に接続する配線基板の製造方法。
【請求項14】
前記第3工程は、前記第2工程よりも前に行われる請求項13記載の配線基板の製造方法。
【請求項15】
絶縁性基材の一方の面から他方の面に貫通する複数の線状導体を備えたコア基板を作製する第1工程と、
前記一方の面側及び前記他方の面側の少なくとも一面側にガラス層を形成する第2工程と、
前記ガラス層を貫通する貫通孔を形成する第3工程と、
前記貫通孔に導電材料を充填し、バンプを介さずに前記線状導体と電気的に接続された貫通配線を含む配線層を形成する第4工程と、を有し、
前記第4工程では、1つの前記貫通配線の端部に対して、複数の前記線状導体を電気的に接続する配線基板の製造方法。
【請求項16】
前記第2工程では、前記一方の面側及び前記他方の面側の少なくとも一面側にガラスペーストを塗布した後、固化させて前記ガラス層を形成する請求項15記載の配線基板の製造方法。
【請求項17】
前記第2工程では、前記一方の面側及び前記他方の面側の少なくとも一面側に、固体のガラスを配置し、所定の温度で加熱及び押圧して軟化させた後、固化させて前記ガラス層を形成する請求項15記載の配線基板の製造方法。
【請求項18】
前記第4工程では、前記複数の線状導体を給電経路の一部とする電解めっき法により前記貫通配線を形成する請求項13乃至17の何れか一項記載の配線基板の製造方法。
【請求項19】
前記絶縁性基材の前記貫通孔に対応する位置に、前記線状導体の端部と側面とがその内部に露出している凹部を形成する工程を有し、
前記第4工程では、前記凹部の内部と前記貫通孔とに導電材料を充填する請求項13乃至18の何れか一項記載の配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−33894(P2013−33894A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213528(P2011−213528)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】