説明

配線基板

【課題】メタルコア基板をベース基板として用いた配線基板において、基板厚さを低減できる技術を提供する。
【解決手段】メタルコア31を有するベース基板10に、電子部品80が内層部品として配置された配線基板1であって、前記電子部品80が配置される領域に形成された部品配置開口部15と、部品配置開口部15の周囲に、ベース基板10の表面より基板内部側に窪んで形成され、電子部品80の第1〜3の端子部81〜83を配置する端子配置部と、を備える。部品配置開口部15の内部には、電子部品80の部品本体85が収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気・電子部品が内層部品として実装された配線基板に係り、特に、基板内部に金属板を絶縁層で挟み込んだメタルコア基板を用いた配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種の電気・電子部品が実装される配線基板として、メタルコア基板がある。このメタルコア基板では、金属板のメタルコアの表裏面に絶縁層が設けられ、その絶縁層に配線層(導電層)が積層される。このメタル基板によれば、メタルコアによって実装される電気・電子部品の熱が良好に放熱される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図1に、電子部品を実装可能なメタルコア基板のベース基板110の斜視図を示す。図2には、FETである電子部品80の部品実装パッドへの配置例を示す。ベース基板110には、内層部品として、図2(a)及び(b)に示すようなパッケージ化された電子部品80が取り付けられ、更にその上に図2(c)に示すように絶縁層190等が積層され配線基板が構成される。
【0004】
具体的には、ベース基板110は、中央に設けられた部品実装パッド120と、内部溝部13によって3分割された第1〜第3の配線領域111a〜111cと、外周溝部12の外側領域の外周フレーム19とから構成されている。外周フレーム19と第1〜第3の配線領域111a〜111cとの間には、外周溝部12をわたすように連絡部18が設けられている。部品実装パッド120には、電子部品80の第1〜第3の端子部81〜83がそれぞれ配置される第1〜第3のパッド部121〜123が、凸状に盛り上がって形成されている。
【0005】
より具体的には、図2に示すように、部品実装パッド120は、ベース基板10を貫通する部品配置開口部115の周囲において、電子部品80の第1〜3の端子部81〜83の形状等に対応した位置に形成されている。ベース基板110は、内部にメタルコア131を設けている。メタルコア131を挟むように絶縁層132が積層されている。さらに、上面側の絶縁層132には、部品実装パッド120や、その他の配線パターンが形成される。なお、図示では、部品実装パッド120のみを示している。そして、図2(a)や(b)のように、部品本体85の側面下側から突出して設けられた第1〜第3の端子部81〜83が、第1〜第3のパッド部121〜123に配置・接続される。配置が完了した後、図2(c)に示すように、ラミネート処理工程等によって所定の層数の絶縁層190及び導電層が形成され、配線基板が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−31730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のように、導電層(内層導体)の一部である部品実装パッド120は、エッチングされた台形状の盛り上がった形状を呈している。したがって、内層導体上に電子部品80を配置する場合、より具体的には電子部品80を配置した後にさらにその上を絶縁層190等で覆う構成の場合、内層導体(部品実装パッド120)と電子部品80の各厚みが足しあわされることから、積層処理が難しくなるという課題があった。また、部品本体85の厚さを考慮して、その上に絶縁層190を形成することから、絶縁層190を薄くできず、最終的な基板全体が厚くなってしまうという課題があった。
【0008】
本発明の目的は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様は、メタルコア基板であるベース基板に、電気部品又は電子部品が内層部品として配置された配線基板であって、前記内層部品が配置される領域に形成された凹部と、前記凹部の周囲に、前記ベース基板の表面より基板内部側に窪んで形成され、前記内層部品の端子を配置する端子配置部と、を備え、前記内層部品の本体が、前記凹部の中に配置されている。
また、前記内層部品は、前記端子配置部に配置されたときに、前記ベース基板の表面より外部に露出しなくともよい。
また、前記内層部品は、パッケージ化された部品であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、メタルコア基板をベース基板として用いた配線基板において、基板厚さを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来技術に係る、電子部品を実装可能なベース基板の斜視図である。
【図2】従来技術に係る、電子部品の部品実装パッドへの配置例を示す図である。
【図3】実施形態に係る、電子部品を実装可能なベース基板の斜視図である。
【図4】実施形態に係る、電子部品の部品実装パッドへの配置例を示す図である。
【図5】実施形態に係る、電子部品が部品実装パッドに配置され絶縁層が形成された配線基板を示す図である。
【図6】実施形態の変形例に係る、電子部品の部品実装パッドへの配置例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照しつつ説明する。図3は、本実施形態に係るベース基板10の斜視図であり、さらに、その一部の領域Aについて拡大して示している。なお、図3のベース基板10と、図1の従来技術のベース基板110との違いは、主に部品実装パッド20にある。また、図4に、電子部品80の配置前後の部品実装パッド20の斜視図及び配置後の断面図を示す。図2の配置と異なるのは、電子部品80を上下逆さまに配置している点にある。なお、電子部品80は、パッケージ化された部品を想定する。つまり、予め部品として完成して存在するものを想定する。
【0013】
図3に示すように、ベース基板10は、図示中央の表面に設けられた部品実装パッド20と、内部溝部13によって3分割された第1〜第3の配線領域11a〜11cと、外周溝部12の外側の領域の外周フレーム19とから構成されている。外周フレーム19と第1〜第3の配線領域11a〜11cとの間には、外周溝部12を渡すように連絡部18が設けられている。3つの内部溝部13が交わるベース基板10の中央には、上下に貫通する部品配置開口部15が形成されている。
【0014】
部品配置開口部15の外縁領域には、部品実装パッド20が形成されている。部品実装パッド20は、電子部品80の第1〜第3の端子部81〜83がそれぞれ配置される第1〜第3のパッド部21〜23を備える。第1〜第3のパッド部21〜23は、ベース基板10の表面より一段下がって窪んで形成されている。ここでは、第1のパッド部21は第1の配線領域11aに、第2のパッド部22は第2の配線領域11bに、第3のパッド部23は第3の配線領域11cに、後述するメタルコア31を露出させることで形成されている。
【0015】
図4に示すように、ベース基板10は、内部にメタルコア31を設けている。メタルコア31は、上述の第1〜第3の配線領域11a〜11cのそれぞれに形成されている。メタルコア31として、例えば、銅板やアルミニウム合金板等が用いられる。このメタルコア31を挟むように絶縁層32が積層されている。さらに、上面側の絶縁層32の上には、内層導体として各種の配線パターン(図示せず)が積層形成される。さらにまた、特に図4(c)に示すように、上面側の絶縁層32の部品配置開口部15の外縁領域は、切削又はエッチング処理等によって、絶縁層32の厚さ(深さH)だけ取り除かれて、メタルコア31が露出することで、第1〜第3のパッド部21〜23が形成されている。
【0016】
部品実装パッド20の第1〜第3のパッド部21〜23は、ベース基板10を貫通する部品配置開口部15の外縁部分において、電子部品80の第1〜3の端子部81〜83の形状等に対応した位置に形成されている。第1〜第3のパッド部21〜23の表面からの深さHは、電子部品80の第1〜3の端子部81〜83の厚さより深く設定されている。
【0017】
さらに、電子部品80を部品実装パッド20に配置するときに、部品本体85が部品配置開口部15の内部に存在するようにする。つまり、従来と比較して、電子部品80を上下逆さまにして配置している。したがって、部品配置開口部15は、少なくとも部品本体85を内部に配置可能な大きさ及び形状となっている。なお、ここでは、部品配置開口部15は、3つの内部溝部13の交差位置に形成されているが、これに限る趣旨ではない。内部溝部13と関係なく部品配置開口部15が形成されてもよい。
【0018】
言い換えると、電子部品80の第1〜3の端子部81〜83が第1〜第3のパッド部21〜23に配置されたときに、第1〜3の端子部81〜83がベース基板10の表面より突出することなく内側に位置する。なお、本実施形態では、部品本体85が完全に内部に収容されているが、突出量が僅かであれば一部が表面より突出してもよい。
【0019】
そして、電子部品80が部品実装パッド20に配置されるときには、部品本体85の側面下側から突出して設けられた第1〜第3の端子部81〜83が、電子部品80自体を上下逆さまにして第1〜第3のパッド部21〜23に配置され、電気的接続が確立される。このとき、必要に応じて、ハンダ固定されたり導電性接着剤で固定されてもよい。電子部品80をFETとした場合には、例えば、第1〜第3の端子部81〜83は、ゲート電極端子、ソース電極端子及びドレイン電極端子となる。
【0020】
電子部品80が部品実装パッド20に配置され、必要に応じてその他の部品等が所定の位置に配置されると、図5に示すように、上下の表面にプリプレグからなる絶縁層91がラミネート処理工法等によって積層され、配線基板1が形成される。なお、図5(a)は、ベース基板10に絶縁層91が積層された状態の配線基板1の斜視図である。図5(b)は、図5(a)の内部構造の一部を破線で示した斜視図である。さらに、図5(c)は、電子部品80が部品実装パッド20に配置されている領域の断面図である。
【0021】
絶縁層91のプリプレグとして、例えば、ガラスクロスにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたものが用いられる。このプリプレグが、ラミネート処理工法において、真空下で、ベース基板10の上下から張り合わされ、加圧・加熱される。その処理で、その熱硬化性樹脂が、加熱され溶融することで、部品配置開口部15や内部溝部13等の空間に隙間無く入り込む。なお、ベース基板10の絶縁層32が、ラミネート処理工法で形成されてもよい。
【0022】
以上の本実施形態によると、電子部品80を、部品配置開口部15の内部に配置するようにしたことで、プリプレグである絶縁層91の厚さを薄くできる。したがって、メタルコア31から外部への距離が近くなるため、配線基板1全体の放熱効果を向上させることができる。
【0023】
また、従来では、図2(c)のに示すように、ラミネート処理後に冷却した場合、電子部品80と絶縁層91との境界Dに歪みやクラックが発生することがあった。その結果、放熱効果が低下したり、絶縁層91の上面部分に凹凸が発生したりすることがあり、製品歩留まり向上の点で改善が求められていた。特に、絶縁層91の上面に回路パターンを積層する場合に、表面処理をする必要が出るなど、課題があった。積層工程の一部として、電子部品80を形成する場合には、電子部品80の外装パッケージ(樹脂)に相当する部分が、積層される絶縁層が担うことから、そのような課題は生じることは少なかったが、予めパッケージ化された電子部品80を使用する場合には、上記の課題が顕在化した。
【0024】
しかし、本実施形態では、電子部品80(部品本体85)が部品配置開口部15の内部に配置されることから、電子部品80の周囲の空間が小さい。したがって、電子部品80の周囲に充填される絶縁層91が少なく、冷却によって絶縁層91の部材の体積が大きく変化することが防止される。その結果、電子部品80(部品本体85)と絶縁層91との境界C(図5(c)参照)における、歪みやクラックの発生を防止でき、仮に発生した場合でも、小さなものとすることができる。
【0025】
さらに、部品本体85とメタルコア31との距離が近くなるため、電子部品80で発生した熱のメタルコア31への伝達を向上させることができる。さらに、第1〜第3のパッド部21〜23を、絶縁層32より一段低い位置に形成しているので、電子部品80の配置の際の位置合わせが容易となる。
【0026】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素及びその組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば、図6(a)に示すように、絶縁層32だけでなくメタルコア31についても一部取り除かれて第1〜第3のパッド部21a〜23aが形成されてもよい。このような構成の場合、メタルコア31は配線回路の一部として機能する。また、図6(b)に示すように、第1〜第3のパッド部21b〜21cは、メタルコア31を露出させて形成されるのではなく、上面側の絶縁層32を一部残存させ、その上に銅等の導体よって所定形状にエッチングされて形成されてもよい。このような構成の場合、メタルコア31は、電子部品80の駆動とは直接関係無い配線回路の一部として機能させることもできるし、単に基板冷却構造として機能させることもできる。
【符号の説明】
【0027】
1 配線基板
10 ベース基板
11a 第1の配線領域
11b 第2の配線領域
11c 第3の配線領域
12 外周溝部
13 内部溝部
15 部品配置開口部
18 連絡部
19 外周フレーム
20 部品実装パッド
21、21a、21b 第1のパッド部
22、22a、22b 第2のパッド部
23、23a、23b 第3のパッド部
31 メタルコア
32 絶縁層
80 電子部品
81 第1の端子部
82 第2の端子部
83 第3の端子部
85 部品本体
91 絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタルコア基板であるベース基板に、電気部品又は電子部品が内層部品として配置された配線基板であって、
前記内層部品が配置される領域に形成された凹部と、
前記凹部の周囲に、前記ベース基板の表面より基板内部側に窪んで形成され、前記内層部品の端子を配置する端子配置部と、
を備え、
前記内層部品の本体が、前記凹部の中に配置されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記内層部品は、前記端子配置部に配置されたときに、前記ベース基板の表面より外部に露出しないことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記内層部品は、パッケージ化された部品であることを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−45796(P2013−45796A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180422(P2011−180422)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】