説明

配線構造体

【構成】下部導体層8と上部導体層12の間の配線層間絶縁膜11として、ポリアミド酸に水酸基を有するアミン化合物と炭素−炭素2重結合を有するイソシアネート化合物を反応させ、更に感光剤を配合した感光性重合体組成物の硬化物を用いる配線構造体。
【効果】感光性被膜が高感度で硬化物の機械的特性が優れた感光性重合体組成物を保護膜、α線遮蔽膜、配線層間絶縁膜に用いることで従来品に比べ生産性や信頼性に優れた配線構造体を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基板上に薄膜配線層を持つ配線構造体に係わり、特に絶縁層として耐熱性有機絶縁膜を用いる配線構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜配線層の絶縁層として耐熱性有機絶縁膜を用いる配線構造体は、従来ポリイミド樹脂を用いて図2に示す方法で製造されている。すなわち、基板1上に所定のパターンの導体層2を周知のフォトエッチング技術によって形成する。次に、ポリアミド酸(ポリイミド前駆体)ワニスを塗布、硬化してポリイミド樹脂層3とする(図2a)。次いで、ポリイミド樹脂層3上にフォトレジスト4を塗布し、乾燥する(図2b)。フォトレジスト4は所定のフォトマスクを用いて露光し、現像、リンス、乾燥を行って所定のパターンを得る(図2c)。しかる後、ポリイミド樹脂層3はフォトレジストのパターンをマスクとして、エッチングにより所定の部分を選択的に除去して貫通孔5とし、この部分の導体層2を露出させる(図2d)。不要と成ったフォトレジスト4除去することによりポリイミド樹脂層3のパターンが形成される(図2e)。ポリイミド樹脂層3を表面保護膜又はα線遮蔽膜として用いる場合は、基板外部との電気的導通を得るためにこの開孔部を用いる。例えば、金配線に対するボンディングパッド部やはんだ接続部として用いる。多層配線構造体を形成する場合は、導体層2を下部導体層とし、上記によって形成された配線層上に更に上部導体層を形成する。すなわち、上部導体層6は真空蒸着法、スパッタリング法等の方法で基板全面に堆積され、フォトエッチング技術によって下部導体層2とポリイミド樹脂層3の貫通孔5の部分で電気的に接続された所定のパターンに形成され、2層配線構造体が形成される(図2f)。更に、この操作を多数回繰り返すことにより3層以上の多層配線構造体が形成される。かかる従来技術においては、ポリイミド樹脂層はフォトレジストを用いて間接的にパターン化を行わねばならないため、上記のように工程数が多く、従って製造コストが高い、製造期間が長い、歩留まりが低下する等の問題点があった。
【0003】そこで、上記問題点を解決するために感光性耐熱材料を用いる多層配線構造体や、配線構造体の絶縁層として用いる感光性耐熱材料が種々提案された。例えば、特公昭63−31939には、、絶縁層として(イ)ポリアミド酸、ビスアジド光架橋剤及び不飽和結合を持つアミン化合物とから成る感光性耐熱材料、の硬化物を用いた多層配線構造体が提案された。この多層配線構造体は、下部導体層が形成された基板上に上記感光性耐熱材料の溶液を塗布、乾燥した後、上記材料の皮膜上を所定のマスクを用いて露光、現像して貫通孔を形成し、次いで加熱キュア処理によってポリイミドの硬化膜を形成し、最後に貫通孔の部分で電気的に接続された上部導体層を形成することによって作成される。この方法は、前記の方法に比べホトレジストの塗布及び除去、ポリイミド膜のエッチング工程を省くことができるので、絶縁層形成工程数を約1/2に低減することができる。しかしながら、この多層配線構造体に用いる上記材料は、感度は非常に高いものの表層硬化性が高いため、7〜10μm程度の比較的厚い膜厚ではスルーホールの断面形状は逆テーパ上に成りやすく、貫通孔上部の鋭角部分で上部配線層が断線しやすかった。また、配線構造体に供する感光性耐熱材料として、硬化物が耐熱性高分子と成るものとしては上記材料の他に(ロ)特開昭60−228537号に芳香族テトラカルボン酸二無水物を光反応性炭素炭素二重結合を持つアルコールと反応させてエステル残基に光反応性炭素炭素二重結合を持つ芳香族テトラカルボン酸ジエステルを生じしめ、この化合物とジアミンとをカルボジイミドを用いた脱水縮合反応により重合させたもの、(ハ)特開昭60−100143号に芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミンおよびシロキサン骨格を有する脂肪族ジアミンを共重合させて得られるポリアミド酸をメタクリル基を持つイソシアネート化合物により変性し、光重合開始剤を加えたものが知られている。しかしながら、上記(ロ)の材料は最終硬化膜としたときの膜の可とう性や強度が低いため、膜にクラックが生じやすかった。多層配線の層間絶縁膜として用いる場合には、配線層や基板との熱膨張率の違いのために、層を重ねるに従って絶縁膜に内部応力が蓄積し、クラック発生を押さえることが困難であった。従って、薄膜多層配線基板、半導体集積回路素子、個別トランジスタ素子、薄膜感熱ヘッド、薄膜磁気ヘッド等の配線層間絶縁膜に供するには実用上不十分であった。また、半導体集積回路素子の保護膜や、α線遮蔽膜として用いる場合においても膜の脆さに起因する問題点があった。すなわち、半導体集積回路素子においてはチップ面積に大型化に対応するため、リードフレームを従来のチップ周辺からチップ上に乗せる方法が実用化されつつあり、この場合下部に接着層付きのリードフレームをチップ上に熱圧着するため、リードフレーム直下に位置する保護膜やα線遮蔽膜が脆いとクラックの発生を押さえることができない。更に、ゲートターンオフサイリスタにおいては基板上の凹凸が激しいため、この上を覆う保護膜には硬化収縮時の内部応力が凹凸の角に集中し易く、クラックが発生し易い。また、上記(ハ)の材料は高分子量のポリアミド酸に感光基を導入しているため最終硬化膜の機械特性は比較的良好なものの感度が低い、ワニスの安定性が低い、イソシアネート化合物による変性の際に全芳香族ポリアミド酸を用いるとワニスがゲル化しやすく、用いうる構造が耐熱性の低いシロキサン骨格を有するものに限られる等の問題点があった。このため、生産性が低かったり、製造過程の高温処理プロセスでボンディングパッド部や貫通孔部下部の配線が分解ガスによって汚染される場合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記した従来技術の種々の問題点を解決して、生産性や信頼性の高い配線構造体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は、配線構造体に用いる感光性耐熱材料として、感光性被膜の状態では光に対する表層硬化性が少なくかつ感度が高いもの、加熱キュア後の硬化物の状態では膜強度、可とう性、耐熱性の良いものを用いることで達成される。したがって、本発明ではこのような特性を有する感光性耐熱材料を見い出せば良いと考えた。尚、ここに言う配線構造体とは、半導体集積回路素子、個別トランジスタ素子、計算機等に用いる薄膜多層配線基板、薄膜感熱ヘッド、薄膜磁気ヘッド、ゲートターンオフサイリスタ等を指す。
【0006】上記(イ)の材料で貫通孔が逆テーパ形状に成り易い原因は、感光剤として用いるビスアジド光架橋剤の光吸収性が強く、また露光によって光吸収性の強いアゾ化合物が副成するために表層のみに光硬化層ができ、現像時に硬化不十分な膜下層の溶解が進むためと考えられる。上記(ロ)の材料の最終硬化膜にクラックが生じやすいのは、エステル残基に光反応性炭素炭素二重結合を持つ芳香族テトラカルボン酸ジエステルがカルボキシル基に隣接した立体的にかさ高いエステル基を有しているため、ジアミンとの脱水重縮合に際して重合が十分に進まず、得られるポリマーの分子量が低いためと考えられる。また、上記(ハ)の材料のワニスがゲル化しやすく感度が低いのは、イソシアネート化合物がポリアミド酸のカルボキシル基と反応するのみならず脱水剤としても作用するためポリマー内にイミド環が形成して溶剤不溶化したり、カルボキシル基がイミド化反応のために消費されて感光基導入率が低下するためと考えられ、又ワニスの安定性が低いのはイソシアネート化合物とポリアミド酸との反応性が低いために、合成後も未反応のイソシアネート化合物が残り、これが長期的に徐々に反応するためと考えられる。
【0007】そこで本発明では、感光基として用いられる炭素−炭素2重結合を有するイソシアネート化合物をポリアミド酸に反応させる際に、水酸基を有するアミン化合物を用いれば高分子量のポリアミド酸に効率良く感光基を導入することができ、上記目的にかなった感光性耐熱材料を得ることができるとの着想に基いてなされたものである。すなわち、本発明に用いる感光性耐熱材料では高分子量のポリアミド酸を用いるために最終硬化膜の機械的特性や耐熱性が優れている。又、水酸基を有するアミン化合物のアミノ基はカルボキシル基とイソシアネート基との反応を促進すると同時に、イソシアネート基は酸存在下で水酸基とも効率良く反応するので反応系からイソシアネート化合物を除去することが出来、感光基導入反応を促進すると同時にワニスを安定化することができる。また、イソシアネート化合物と水酸基を有するアミノ化合物との反応生成物は炭素−炭素2重結合を有するアミン化合物であるためポリアミド酸のカルボキシル基とイオン結合することによってポリアミド酸に導入され、感光基の導入効率が向上する。このため、ビスアジド光架橋剤の配合量を減らしたり、又は用いずとも通常の感光剤によって高感度化が図れ、逆テーパ形状の原因物質を低減することができる。
【0008】そこで、本発明者らが上記着想に基づいて鋭意検討した結果、表面保護膜又はα線遮蔽膜又は配線用絶縁膜が、下記[A]で示される感光性重合体組成物の硬化物であることを特徴とする配線構造体が生産性や信頼性の高い配線構造体に成りうることを見い出した。ここで配線用絶縁膜とは配線層間絶縁膜及び最外部絶縁膜である。
【0009】[A]一般式化1
【0010】
【化1】


【0011】(但し、式中R1は少なくとも4個以上の炭素を含む4価の有機基、R2は2価の有機基であり、化1は1種又は2種以上のR1及び1種又は2種以上のR2で構成される)で示される繰り返し単位を主成分とするポリマーに対し、水酸基を有するアミン化合物1〜400重量部と炭素−炭素2重結合を有するイソシアネート化合物1〜400重量部を反応させて成る重合体と、1種又は2種以上の感光剤とから成る感光性重合体組成物。
【0012】なお、感光性重合体組成物[A]として、水酸基を有するアミン化合物が一般式化2
【0013】
【化2】


【0014】(但し、R3、R4は水素、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、-R5OHから選択された基、R5は2価の有機基である)または一般式化3
【0015】
【化3】


【0016】(但し、R6は水素、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、-R5OHから選択された基、R7は環状アミノ基を形成する2価の有機基でありR6とR7のいずれにもまたはいずれかに水酸基を有する)で表される化合物、炭素−炭素2重結合を有するイソシアネート化合物が一般式化4
【0017】
【化4】


【0018】(但し、R8、R9、R10は水素、アルキル基、フェニル基、ビニル基、プロペニル基から選択された基、R11は2価の有機基である)で表される化合物を用いた組成物を用いるのが好ましい。
【0019】以下、本発明の配線構造体の製造方法を図1を用いて説明する。
【0020】基板又は必要な素子構造が作りこまれた基板7上に、導体金属を真空蒸着法やスパッタリング法によって堆積し、周知のフォトエッチング法によって所定のパターンの導体層8を形成する。次に前記感光性重合体組成物[A]の溶液を塗布し、50℃以上120℃以下で乾燥して感光性被膜9を形成する(図1a)。次に、所定のフォトマスクを露光、次いで現像、リンスして貫通孔10を形成する。前記感光性重合体組成物は、露光部が現像液に不溶化するネガ型の画像を与える。しかる後、感光性被膜9を150℃以上500℃以下の温度で硬化物層(ポリイミド)11に変換する(図1b)。これまでの工程で、保護膜又はα線遮蔽膜の製造工程が完成する。配線層間絶縁膜として用いるには更に以下の工程を続ける。真空蒸着法またスパッタリング法等によって基板全面に上部導体層12を堆積し、フォトエッチング技術によって下部の導体層8とポリイミド樹脂層11の貫通孔10の部分で電気的に接続された所定のパターンを形成して2層配線が完成する(図1c)。3層以上の多層配線を形成するには上記の操作を繰り返す。
【0021】本発明に用いる基板はシリコンウェハ、ガラス、セラミックなどであり、目的に応じてSiO2,Ta25,In23などの金属酸化膜を設けることができる。 導体層に用いる金属としては主としてAlが用いられるがCu,Au,Pt,Cr,Ti,Mo,W,Mnなどの金属又はこれらの2種以上の合金膜又は多重膜であっても良い。
【0022】本発明で用いる感光性重合体組成物[A]において、一般式化1の繰り返し単位で表されるポリマーのR1として好ましいものの例としては、化5、化6、化7、化8、化9、化10等があげられるがこれらに限定されない。
【0023】
【化5】


【0024】
【化6】


【0025】
【化7】


【0026】
【化8】


【0027】
【化9】


【0028】
【化10】


【0029】R2の好ましいものの例としては、化11、化12、化13、化14、化15、化16、化17、化18等があげられるがこれらに限定されない。
【0030】
【化11】


【0031】
【化12】


【0032】
【化13】


【0033】
【化14】


【0034】
【化15】


【0035】
【化16】


【0036】
【化17】


【0037】
【化18】


【0038】水酸基を有するアミン化合物の好適な具体例は、一般式化2の化合物として、2−ジメチルアミノエタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、4−ジメチルアミノ−1−ブタノ−ル、5−ジメチルアミノ−1−ペンタノ−ル、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノ−ル、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノ−ル、3−ジメチルアミノ−2,2−ジメチル−1−プロパノ−ル、2−ジエチルアミノエタノ−ル、3−ジエチルアミノ−1−プロパノ−ル、2−ジイソプロピルアミノエタノ−ル、2−ジ−n−ブチルアミノエタノ−ル、N,N−ジベンジル−2−アミノエタノ−ル、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノ−ル、2−(2−ジエチルアミノエトキシ)エタノ−ル、1−ジメチルアミノ−2−プロパノ−ル、1−ジエチルアミノ−2−プロパノ−ル、2−(N,N−ジメチルアミノ)エタノ−ル、3−ジメチルアミノ−3,3−ジメチル−1−プロパノ−ル、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノ−ルアミン、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオ−ル、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−シクロヘキシルエタノールアミン、ジエタノ−ルアミン、ジイソプロパノ−ルアミン、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ−2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−アミノブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられ、一般式化3の化合物としては、N−メチル−3−ヒドロキシピペリジン、N−メチル−4−ヒドロキシピペリジン、N−エチル−3−ヒドロキシピペリジン、1−メチル−4−ピペリジンメタノ−ル、1−メチル−3−ピペリジンメタノ−ル、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、N−(2−ヒドロキシプロピル)モルホリン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンイミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)プペリジン、3−ヒドロキシピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、2−ピペリジンメタノール等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0039】水酸基を有するアミン化合物の配合割合は、一般式化1で表されるポリマー100重量部に対し1〜400重量部が好ましく、更に好ましくは50〜200重量部の範囲である。この範囲を逸脱すると現像性に好ましくない影響をおよぼす。 炭素−炭素2重結合を有するイソシアネート化合物の好適な具体例としては、2−イソシアネートエチルメタクリレート、3−イソシアネートプロピルメタクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレート、3−イソシアネートプロピルアクリレート、イソシアネートエチル−2,4−ペンタジエノエート等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0040】炭素−炭素2重結合を有するイソシアネート化合物の配合割合は、一般式化1で表されるポリマー100重量部に対し1〜400重量部が好ましく、更に好ましくは20〜200重量部の範囲である。この範囲を逸脱すると現像性に好ましくない影響をおよぼす。
【0041】本発明による感光性重合体は一般式化1で表されるポリマーと炭素−炭素2重結合を有するイソシアネート化合物からなる溶液に対し、水酸基を有するアミン化合物またはその溶液を加えても良いし、逆に一般式化1で表されるポリマーと水酸基を有するアミン化合物からなる溶液に対し、炭素−炭素2重結合を有するイソシアネート化合物またはその溶液を加えても良い。
【0042】本発明による感光性耐熱重合体組成物には、実用に供しうる感光感度を達成するために感光剤の添加が必須である。感光剤の種類としては増感剤、光重合開始剤、光架橋剤、増感助剤、光重合助剤等があげられる。これらの好ましいものの例としては、ミヒラケトン、ビス−4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾフェノン、3,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)−N−メチルピペリドン、3,5−ビス(4’−ジメチルアミノベンジリデン)−N−メチルピペリドン、3,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)−N−エチルピペリドン、2,6−ビス(4’−ジメチルアミノベンジリデン)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジメチルアミノベンジリデン)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジメチルアミノベンジリデン)−4−ヒドロキシメチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)−4−ヒドロキシメチルシクロヘキサノン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、3−(2−ベンゾチアゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンズイミダゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、2−(4’−ジメチルアミノスチリル)キノリン、4−(4’−ジメチルアミノスチリル)キノリン、2−(4’−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(4’−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(4’−ジメチルアミノスチリル)−3、3’−ジメチル−3H−インドール、4−リボフラビンテトラブチレート、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、3,5−ジメチルチオキサントン、3,5−ジイソプロピルチオキサントン、ベンゾインエーテル、ベンゾインイソピルエーテル、1,9−ベンズアントロン,5−ニトロアセナフテン、2−ニトロフロオレン、アントアントロン、1,2−ベンズアントラキノン、4,4’−ジアジドカルコン、4−アジドカルコン、2,6−ジ(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ジ(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジ(4’−アジドベンザル)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(4’−アジドベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(4’−アジドシンナミリデン)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(4’−シンナミリデン)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、3,5−ジ(4’−アジドベンザル)−N−メチルピペリドン、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、チオキサンテン−9−オン、10−チオキサンテノン、3−アセチルインドール、エチル 4−ジエチルアミノベンゾエート、エチル 4−ジメチルアミノベンゾエート、プロピル 4−ジエチルアミノベンゾエート、プロピル 4−ジメチルアミノベンゾエート、イソアミル 4−ジメチルアミノベンゾエート、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−(4−シアノフェニル)グリシン、4−ジメチルアミノベンゾニトリル、エチレングリコールジチオグリコレート、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンチオグリコレート、トリメチロールプロパントリ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールエタントリ(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)、チオグリコール酸、α−メルカプトプロピオン酸、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−フェニルイソキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらは単独又は数種混合して用いられる。
【0043】上記感光性重合体組成物において用いる感光剤の好適な配合割合は、一般式化1で表されるポリマー100重量部に対し0.1〜30重量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜20重量部の範囲である。この範囲を逸脱すると目的とする増感効果が得られなかったり、現像性に好ましくない影響をおよぼす。
【0044】上記感光性重合体組成物には、感光性を改良するために共重合モノマーを加えても差し支えない。共重合モノマーは炭素−炭素二重結合を有する化合物であり、その好適な例としては1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0045】上記共重合モノマーの好適な配合割合は、一般式化1で表されるポリマー100重量部に対し1〜100重量部が好ましく、更に好ましくは3〜50重量部の範囲である。この範囲を逸脱すると目的とする効果が得られなかったり、現像性に好ましくない影響をおよぼす。
【0046】上記感光性重合体組成物には、ワニスとした時の保存安定性を図るために更に重合禁止剤または安定化剤を加えても差し支えない。重合禁止剤または安定化剤の好適なものの例としては、ヒドロキノン、パラメトキシフェノール、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0047】上記重合禁止剤または安定化剤の好適な配合割合は、一般式化1で表されるポリマー100重量部に対し0.001〜10重量部が好ましく、更に好ましくは0.01〜5重量部の範囲である。この範囲を逸脱すると目的とする効果が得られなかったり、現像性に好ましくない影響をおよぼす。
【0048】上記感光性耐熱重合体組成物は、上記構成成分を適当な有機溶剤に溶解した溶液状態で用いられる。この場合に用いる溶剤としては、溶解性の観点から非プロトン性極性溶剤が望ましく、具体的にはN−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N−ベンジル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−アセチル−ε−カプロラクタム、ジメチルイミダゾリジノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチロラクトンなどが好適な例としてあげられる。これらは単独で用いても良いし、混合系として用いることも可能である。また、塗布性を改善するために、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤をポリマーの溶解に悪影響を及ぼさない範囲で混合しても差し支えない。
【0049】上記感光性耐熱重合体組成物の乾燥塗膜または加熱硬化後のポリイミド被膜と支持基板の接着性を向上させるため、適宜支持基板を接着助剤で処理することもできる。
【0050】上記感光性耐熱重合体組成物は、通常のホトリソグラフィー技術でパターン加工が可能である。支持基板への本組成物の塗布にはスピンナーを用いた回転塗布、浸漬、噴霧印刷、スクリーン印刷などの手段が可能であり、適宜選択することが出来る。塗布膜厚は塗布条件、本組成物の固形分濃度等によって調節可能である。 乾燥工程をへて支持基板上で塗膜と成った上記感光性重合体組成物に、ホトマスクを介して紫外線を照射し、次いで未露光部を現像液で溶解除去することにより、所望のレリーフ・パターンを得る。
【0051】乾燥は50℃以上120℃以下の範囲から選択される温度で行われる。50℃より低いと溶媒の蒸発に時間がかかったり、乾燥が不十分であったりして実用的でない。120℃より高いと熱反応による部分的な架橋反応のため現像性が損なわれる。
【0052】現像液は上記感光性重合体組成物の良溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N−ベンジル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−アセチル−ε−カプロラクタム、ジメチルイミダゾリジノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチロラクトンなどを、単独あるいは2種以上の混合液として用いることができる。更に、現像力を調節するために上記良溶媒に対してメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、1,2−ジメトキシエタン、2−メトキシエタノール、1−アセトキシ−2−メトキシエタン、水等の上記感光性重合体組成物の非溶媒との混合液として用いることも出来る。
【0053】現像によって形成したレリーフ・パターンは次いでリンス液により洗浄して、現像溶剤を除去する。リンス液には現像液との混和性の良いメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレン、1,2−ジメトキシエタン、2−メトキシエタノール、1−アセトキシ−2−メトキシエタン、水などが好適な例としてあげられる。
【0054】上記の処理によって得られたレリーフ・パターンのポリマはポリイミドの前駆体であり、150℃から500℃までの範囲から選ばれた加熱温度で処理することにより高耐熱性を有し、機械特性の優れたポリイミドのパターンが得られる。
【0055】加熱温度が150℃より低いとイミド環形成反応が起こらないか、あるいは極端に遅くなり実用的でない。500℃より高い場合は硬化物自身の熱分解が起こり、好ましくない。加熱温度が300℃を超える場合はN2などの不活性ガス雰囲気にするのが望ましい。
【0056】上部導体金属を堆積する場合にはポリイミドを予めプラズマ放電雰囲気中で処理すると上部導体との接着性が向上する。また、貫通孔の部分で下部導体と上部導体の電気的接続をより確実なものにするために表面処理を行うことができる。これは、下部導体表面にできる薄い酸化被膜を取り除くための処理で、下部導体金属のエッチング液、酸化物のエッチング液、あるいはArプラズマ等を用いる方法で達成できる。
【0057】
【作用】以上詳述したように、感光性重合体組成物として感光性被膜の状態では光に対する表層硬化性が少なくかつ感度が高いもの、加熱キュア後の硬化物の状態では膜強度、可とう性、耐熱性の良いものを見出し、これを保護膜、α線遮蔽膜、配線層間絶縁膜に用いることにより生産性や信頼性の高い配線構造体を形成することができた。
【0058】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0059】予め下記の合成例に示す如くして感光性重合体組成物の溶液を調製した。
【0060】合成例1窒素気流下に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10g(0.05モル)をN−メチル−2−ピロリドンとN,N−ジメチルアセトアミドの1:1混合液179gに溶解し、アミン溶液を調合した。次に、この溶液を氷冷によって約15℃の温度に保ちながら、撹拌下にピロメリット酸二無水物10.9g(0.05モル)を加えた。加え終えてから更に15℃で5時間反応させ、加温による粘度調節を行って粘度20ポアズ(25℃)のポリアミド酸溶液を得た。
【0061】このポリアミド酸溶液20gにイソシアネートエチルメタクリレート1.40g(0.009モル)を加えて一時間反応させた後、2−(N,N−ジメチルアミノ)エタノール0.80g(0.009モル)を0.5gのN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液を20℃でゆっくり適下し、適下後更に三時間反応させた。次いで、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール20mgを加えた。この溶液は室温で一週間後もゲル化すること無く安定であった。
【0062】この溶液にたいし、3,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)−N−メチル−4−ピペリドン30mgと3,3’,4,4’テトラキス(t−ブチルジオキシ)ベンゾフェノン80mgを加えて、5μm孔のフィルタを用いて加圧濾過した(感光性重合体組成物No1)。
【0063】得られた溶液をスピンナでシリコンウエハ上に回転塗布し、次いで90℃で30分間乾燥して4μm厚の塗膜を得た。この塗膜を縞模様のパターンを有するホトマスクで未着被覆し、500Wの高圧水銀灯で紫外線照射した。露光後、N−メチル−2−ピロリドン4容、水1容から成る現像液で現像し、ついでイソプロピルアルコールでリンスしてレリーフパターンを得た。現像後膜厚の露光量依存性を測定し、現像後膜厚が塗布膜厚の半分になる露光量を感度として、感度80mJ/cm2を得た。感度の4倍の露光量でシャープな端面を持つ5μm幅のレリーフパターンを得た。このパターンを200℃30分間、400℃30分間加熱して最終的にポリイミドのパターンを得た。これとは別に、パターンを形成しないことのほかは上記と全く同一の処理をした厚さ8μmのポリイミドフィルムを作成し、伸び特性を測定したところ伸びは10%と良好であった。
【0064】合成例2合成例1で合成したポリアミド酸溶液20gに2−(N,N−ジメチルアミノ)エタノール0.80g(0.009モル)を加えて一時間反応させた後2,6−ジ−tert−ブチルフェノール20mgを加え、イソシアネートエチルメタクリレート1.40g(0.009モル)を1.5gのN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液を20℃でゆっくり適下し、適下後更に三時間反応させた。この溶液は室温で一週間後もゲル化すること無く安定であった。
【0065】この溶液に対し、3,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)−N−メチル−4−ピペリドン30mgと3,3’,4,4’テトラキス(t−ブチルジオキシ)ベンゾフェノン80mgを加えて、5μm孔のフィルタを用いて加圧濾過した(感光性重合体組成物No2)。
【0066】得られた溶液をスピンナでシリコンウエハ上に回転塗布し、次いで90℃で30分間乾燥して5μm厚の塗膜を得た。この塗膜を縞模様のパターンを有するホトマスクで未着被覆し、500Wの高圧水銀灯で紫外線照射した。露光後、N−メチル−2−ピロリドン4容、イソプロピルアルコール1容から成る現像液で現像し、ついでイソプロピルアルコールでリンスしてレリーフパターンを得た。現像後膜厚の露光量依存性を測定し、現像後膜厚が塗布膜厚の半分になる露光量を感度として、感度70mJ/cm2を得た。感度の4倍の露光量でシャープな端面を持つ7μm幅のレリーフ・パターンを得た。このパターンを200℃で30分間、400℃で30分間加熱して最終的にポリイミドのパターンを得た。これとは別に、パターンを形成しないことのほかは上記と全く同一の処理をした厚さ8μmのポリイミドフィルムを作成し、伸び特性を測定したところ伸びは10%と良好であった。
【0067】合成例3窒素気流下に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10g(0.05モル)をN−メチル−2−ピロリドンとN,N−ジメチルアセトアミドの1:1混合液140gに溶解し、アミン溶液を調合した。次に、この溶液を氷冷によって約15℃の温度に保ちながら、撹拌下に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物14.7g(0.05モル)を加えた。加え終えてから更に15℃で5時間反応させて、加温による粘度調節を行って粘度60ポアズ(25℃)のポリアミド酸溶液を得た。
【0068】このポリアミド酸溶液20gに2,6−ジ−tert−ブチルフェノール30mg、イソシアネートエチルメタクリレート1.71g(0.011モル)を加えて一時間反応させた後、2−(N,N−ジメチルアミノ)エタノール1.07g(0.012モル)を1.0gのN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液を20℃でゆっくり適下し、適下後更に三時間反応させた。この溶液は室温で一週間後もゲル化すること無く安定であった。
【0069】この溶液にたいし、3,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)−N−メチル−4−ピペリドン50mgと3,3’,4,4’テトラキス(t−ブチルジオキシ)ベンゾフェノン100mgを加えて、5μm孔のフィルタを用いて加圧濾過した(感光性重合体組成物No3)。
【0070】得られた溶液をスピンナでシリコンウエハ上に回転塗布し、次いで90℃で30分間乾燥して3μm厚の塗膜を得た。この塗膜を縞模様のパターンを有するホトマスクで未着被覆し、500Wの高圧水銀灯で紫外線照射した。露光後、N−メチル−2−ピロリドン4容、水1容から成る現像液で現像し、ついでイソプロピルアルコールでリンスしてレリーフパターンを得た。現像後膜厚の露光量依存性を測定し、現像後膜厚が塗布膜厚の半分になる露光量を感度として、感度90mJ/cm2を得た。感度の4倍の露光量でシャープな端面を持つ5μm幅のレリーフパターンを得た。このパターンを200℃30分間、400℃30分間加熱して最終的にポリイミドのパターンを得た。これとは別に、パターンを形成しないことのほかは上記と全く同一の処理をした厚さ8μmのポリイミドフィルムを作成し、伸び特性を測定したところ伸びは15%と良好であった。
【0071】合成例4合成例3で合成したポリアミド酸溶液20gに2−(N,N−ジメチルアミノ)エタノール1.06g(0.012モル)を加えて一時間反応させた後更に2,6−ジ−tert−ブチルフェノール30mgを加え、イソシアネートエチルメタクリレート2.02g(0.013モル)を2.0gのN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液を20℃でゆっくり適下し、適下後更に三時間反応させた。この溶液は室温で一週間後もゲル化すること無く安定であった。
【0072】この溶液に対し、ミヒラケトン60mgとペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオネ−ト)150mgを加えて、5μm孔のフィルタを用いて加圧濾過した(感光性重合体組成物No4)。
【0073】得られた溶液をスピンナでシリコンウエハ上に回転塗布し、次いで90℃で30分間乾燥して4μm厚の塗膜を得た。この塗膜を縞模様のパターンを有するホトマスクで未着被覆し、500Wの高圧水銀灯で紫外線照射した。露光後、N−メチル−2−ピロリドン4容、イソプロピルアルコール1容から成る現像液で現像し、ついでイソプロピルアルコールでリンスしてレリーフパターンを得た。現像後膜厚の露光量依存性を測定し、現像後膜厚が塗布膜厚の半分になる露光量を感度として、感度80mJ/cm2を得た。感度の4倍の露光量でシャープな端面を持つ5μm幅のレリーフ・パターンを得た。このパターンを200℃で30分間、400℃で30分間加熱して最終的にポリイミドのパターンを得た。これとは別に、パターンを形成しないことのほかは上記と全く同一の処理をした厚さ8μmのポリイミドフィルムを作成し、伸び特性を測定したところ伸びは15%と良好であった。
【0074】合成例5〜25表1にポリマー化1(ポリアミド酸)の構造、表2に感光性重合体組成物を構成する成分とその配合割合及び感光性被膜の感度と硬化物の伸びを示す(感光性重合体組成物No5〜25)。ポリマー化1及び感光性重合体組成物の合成条件は合成例1〜4に示すものと同様である。ポリマー化1と水酸基を有するアミン化合物化2又は化3を先に反応させる場合を(A)、ポリマー化1と炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物化4を先に反応させる場合を(B)とする。なお、ここで用いたポリアミド酸の濃度は10〜15%であり、溶剤はN−メチル−2−ピロリドンとN,N−ジメチルアセトアミドの1:1混合液を用いた。成膜、評価条件は合成例1〜4で用いたのと同様の条件を用い、膜厚は5〜20μmに設定した。感光性被膜の感度は、測定波長365nmで300mJ/cm2以下のものを良好とした。硬化物(ポリイミド)の伸びは5%以上を良好とした。
【0075】
【表1】


【0076】
【表1】続き

【0077】
【表2】


【0078】
【表2】続き1

【0079】
【表2】続き2

【0080】
【実施例】
実施例1本発明により製造したダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)の断面図とその製造プロセスを図3に示す。素子領域及び配線層を作り込んだシリコンウェハ13上にNo25の感光性重合体組成物の溶液を回転塗布し、次いでホットプレート上で90℃4分、100℃4分の順に乾燥して18μm厚の塗膜を得た(図3a)。この塗膜をミラープロジェクション型露光装置を用いて所定のフォトマスクを介し、20秒間紫外線照射した。露光後、N−メチル−2−ピロリドン4容、水1容から成る現像液で現像し、ついでイソプロピルアルコールでリンスして光の当たらなかったボンディングパッド部16とスクライブ領域17の塗膜を除去した(図3b)。更に200℃30分、350℃30分の順に加熱してポリイミド膜15へと硬化させた(図3c)。ポリイミド膜の膜厚は10μmであった。以上のように作成したボンディングパッド部16、スクライブ領域17の部分で下地が露出したポリイミド膜15をα線遮蔽膜とした。次に上記によって作成した基板をスクライブ領域で切断し、チップに切り出した(図3d)。このチップの表面に、下部にポリアミドイミドエーテルの接着層を持つポリイミドフィルム19上に支持された外部端子18を400℃にて熱圧着した(図3e)。しかる後にボンディングパッド部と外部端子18間をワイヤボンダーで金線20を配線し(図3f)、更にシリカ含有のエポキシ系封止材を用いて成型温度180℃、成型圧力70kg/cm2でモールドすることにより樹脂封止部21を形成した(図3g)。最後に外部端子を所定の形に折り曲げることによりDRAMの完成品を得た(図3g)。以上によって製造したDRAMはポリイミド膜にクラックは認められなかった。また−55℃と150℃の雰囲気に交互に繰返し放置する温度サイクル試験や260℃10秒間で数回加熱する耐熱試験においても不良は認められず、信頼性の高い製品にすることができた。
【0081】実施例2〜3感光性重合体組成物としてNo9及び20の材料を用いることのほかは実施例1と同様の方法によってDRAMを作成した。製造したDRAMはいずれも温度サイクル試験や耐熱試験で不良は認められず、信頼性の高い製品にすることができた。
【0082】実施例4〜7ポリイミド層と下地との接着強度を増すために1%のアルミニウムモノエチルアセテートジイソプロピレートの溶液を塗布し、酸素雰囲気中で350℃で熱処理したことのほかは実施例1で使用したものと同一のシリコンウェハ13を用い、感光性重合体組成物としてNo1〜4の材料を用いて実施例1と同様の方法によってDRAMを作成した。製造したDRAMはいずれにおいても温度サイクル試験や耐熱試験で不良は認められず、信頼性の高い製品にすることができた。
【0083】実施例8本発明により製造した2層配線構造体の例として、図4にリニアICの断面概略図を示す。以下にその製法を示す。シリコンウェハ22に作り込まれたコレクタ23、ベース24、エミッタ25の各領域から電極を取り出すためにSiO2層26に開孔部を設けた。第1層目の配線導体として2μmのAl27を真空蒸着により堆積し、周知のフォトエッチング技術により所定のパターンを得た。ポリイミド層と下地との接着強度を増すために、上記基板に1%のアルミニウムモノエチルアセテートジイソプロピレートの溶液を塗布し、酸素雰囲気中で350℃で熱処理した。次に、組成No12の感光性重合体組成物の溶液を回転塗布し、次いでホットプレート上で90℃3分、100℃3分の順に乾燥して5μm厚の塗膜を得た。この塗膜をミラープロジェクション型露光装置を用いて所定のフォトマスクを介し、15秒間紫外線照射した。露光後、N−メチル−2−ピロリドン4容、水1容から成る現像液で現像し、ついで水でリンスして1辺が10μmの正方形の貫通孔29を得、更に窒素雰囲気中200℃30分、350℃30分の順に加熱してポリイミド膜(配線層間絶縁膜)28へと硬化させた。ポリイミド膜の膜厚は2.5μmであった。次に、貫通孔の部分で露出した第1層目Al配線の表面から酸化物層を除去するためにスルファミン酸水溶液で処理し、更に新鮮なAl面を得るためにAlのエッチング液で短時間処理した後水洗した。基板を乾燥後、第2層目の配線導体として2μmのAl30を真空蒸着により堆積し、周知のフォトエッチング技術により所定の配線パターンを得た。以上によって形成した2層配線構造において、No12の感光性重合体組成物の硬化物(ポリイミド)からなる配線層間絶縁膜にはクラックや欠陥は認められなかった。また、上記基板を切り出して外部端子を取付け、金配線した後に樹脂封止して得られた最終製品を、実施例1に示す信頼性試験にかけたが不良は認められなかった。実施例9〜12感光性重合体組成物として組成No5〜8の材料を用いることのほかは実施例8と同様の方法によって2層配線構造のリニアICを作成した。いずれの場合も感光性重合体組成物の硬化物(ポリイミド)からなる配線層間絶縁膜にはクラックや欠陥は認められなかった。また、温度サイクル試験や耐熱試験で不良は認められず、信頼性の高い製品にすることができた。
【0084】実施例13本発明により製造した個別トランジスタの断面図とその製造プロセスを図5に示す。シリコンウェハ31(コレクタを兼ねる)に作り込まれたベース32、エミッタ33の各領域から電極を取り出すためにSiO2層34に開孔部を設け、ボンディングパッド部の導体層として2μmのAl35を真空蒸着により堆積し、周知のフォトエッチング技術により所定のパターンを得た(図3a)。ポリイミド層と下地との接着強度を増すために、上記基板に1%のアルミニウムモノエチルアセテートジイソプロピレートの溶液を塗布し、酸素雰囲気中で350℃で熱処理した。次に、組成No2の感光性重合体組成物の溶液を回転塗布し、次いでホットプレート上で90℃3分、100℃3分の順に乾燥して7μm厚の塗膜を得た。この塗膜をミラープロジェクション型露光装置を用いて所定のフォトマスクを介し、15秒間紫外線照射した。露光後、N−メチル−2−ピロリドン4容、メタノール1容から成る現像液で現像し、ついで水でリンスして、1辺が100μmの矩形のボンディングパッド部36及び40μm幅のスクライブ領域37の部分を除去し、更に窒素雰囲気中200℃30分、350℃30分の順に加熱して保護膜として用いるポリイミド膜38へと硬化させた(図3b)。ポリイミド膜の膜厚は3.5μmであった。次に、ボンディングパッド部36の部分で露出したAl配線の表面から酸化物層を除去するためにスルファミン酸水溶液で処理し、更に新鮮なAl面を得るためにAlのエッチング液で短時間処理した後水洗した。次に上記によって作成した基板をスクライブ領域で切断し、チップ39に切り出した(図3c)。このチップを外部端子を兼ねたリードフレーム41上に取付け、しかる後にボンディングパッド部と外部端子40間をワイヤボンダーで金線42を配線し、更にシリカ含有のエポキシ系封止材を用いて成型温度180℃、成型圧力70kg/cm2でモールドすることにより樹脂封止部43を形成した。最後に樹脂封止したチップをリードフレームから切り出し、外部端子を所定の形に折り曲げることにより個別トランジスタの完成品を得た(図3d)。以上によって製造した個別トランジスタはポリイミド膜にクラックは認められなかった。また−55℃と150℃の雰囲気に交互に繰返し放置する温度サイクル試験や260℃10秒間で数回加熱する耐熱試験においても不良は認められず、信頼性の高い製品にすることができた。
【0085】実施例14感光性重合体組成物として組成No24の材料を用いること及びポリイミド層と下地との接着強度を増すためのアルミニウムモノエチルアセテートジイソプロピレート処理を行わないことを除いて、ほかは実施例13と同様の方法によって個別トランジスタを作成した。保護層として用いるポリイミド膜にはクラックや欠陥は認められなかった。また、温度サイクル試験や耐熱試験で不良は認められず、信頼性の高い製品にすることができた。
【0086】実施例15〜26感光性重合体組成物として組成No10、11、13〜19、21〜23の材料を用いることのほかは実施例13と同様の方法によって個別トランジスタを作成した。いずれの場合も保護層として用いるポリイミド膜にはクラックや欠陥は認められなかった。また、温度サイクル試験や耐熱試験で不良は認められず、信頼性の高い製品にすることができた。
【0087】実施例27本発明により製造した多層配線構造体の例として、図6にコンピューター用の薄膜多層配線基板の断面概略図を示す。以下にその製法を示す。セラミック層44の内部にタングステン配線45を有し、タングステン配線上部に上部電極としてめっき法によって形成したニッケル層46、タングステン配線下部に下部電極としてめっき法によって形成したニッケル層47、金層48を有するセラミック基板49の上に導体層として3μmのAlを真空蒸着により堆積し、周知のフォトエッチング技術によりニッケル層47を覆う所定のAlパターン50を得た。次に、組成No4の感光性重合体組成物の溶液を回転塗布し、次いでオーブン中で85℃30分間通風乾燥して14μm厚の塗膜を得た。この塗膜をミラープロジェクション型露光装置を用いて所定のフォトマスクを介し、20秒間紫外線照射した。露光後、N−メチル−2−ピロリドン4容、水1容から成る現像液で現像し、ついで水でリンスして、上記Alパターンの上に径70μmの貫通孔を形成し、更に200℃30分、350℃30分の順に加熱して第1層ポリイミド膜51へと硬化させた。ポリイミド膜の膜厚は7μmであった。更に、この上に3μmのAlを真空蒸着により堆積し、周知のフォトエッチング技術により第1層Al配線パターン52を形成した。上記操作を繰り返して貫通孔径70μm、膜厚7μmの第2層ポリイミド膜53、膜厚3μmの第2層Al配線パターン54、貫通孔径70μm、膜厚7μmの第3層ポリイミド膜55の順に絶縁層と配線層を交互に形成した。しかる後に、真空蒸着法により膜厚0.07μmのクロム、膜厚0.7μmのニッケル−銅合金を順に堆積し、周知のフォトエッチング技術によって第3層ポリイミド膜の貫通孔の部分で径150μmのクロム/ニッケル−銅層56をパターン化した。この上部を更にめっき法でニッケル層、金層の順に形成し、ニッケル/金複合膜57から成る上部電極を形成した。以上によって作成した薄膜多層配線基板においては、ポリイミド膜のクラック、欠陥等は見られず、また貫通孔上部のAl配線の被覆性も良好ですべての配線にわたって良好な電気的導通が得られた。
【0088】実施例28本発明により製造した2層配線構造体の例として、図7に薄膜感熱記録ヘッドの断面概略図を示す。以下にその製法を示す。グレーズドアルミナ基板58上にエッチングバリアとして約100nmのTa25層59を設け、スパッタリング法によって約100nmのCr−Si層60、約10nmのCr層61、約2μmのAl層62を順次堆積し、東京応化製ネガ型フォトレジストOMR−83を用いてレジストパターンを得た。次に、リン酸、硝酸、酢酸、水からなるエッチング液でAl層62、硝酸第2セリウムアンモニウム水溶液でCr層61、フッ酸、硝酸の混酸でCr−Si層60を順に選択エッチングした。しかる後に、東京応化製レジスト剥離液S−502を用いてレジストを除去し、配線幅90μm、配線感覚35μmの第1層Al配線パターン62を形成した。次に、別のレジストマスクを用いて上記と同様にAl,Crをエッチングして、一辺が90μm、もう一辺が250μmの矩形のCr−Si抵抗体パターン60を形成した。抵抗体上にマスクスパッタリング法によって2μm膜厚のSiO2、3μm膜厚のTa25をパターン形成して抵抗体保護層63とした。次に、組成No24の感光性重合体組成物の溶液を回転塗布し、次いでオーブン中で85℃30分間通風乾燥して8μm厚の塗膜を得た。この塗膜をミラープロジェクション型露光装置を用いて所定のフォトマスクを介し、15秒間紫外線照射した。露光後、N−メチル−2−ピロリドン4容、イソプロピルアルコール1容から成る現像液で現像し、ついで水でリンスして径50μmの貫通孔及び抵抗体保護層上の部分が除去されたパターンを形成し、更に200℃30分、350℃30分の順に加熱してポリイミド層64へと硬化させた。ポリイミド膜の膜厚は4μmであった。第2層配線導体は以下のようにして形成した。ポリイミド層を形成した上記基板を酸素プラズマで処理し、スパッタリング法によって約50nm膜厚のCr層、約1.2μm膜厚のCuを順次堆積してCr/Cu層65を形成した後、貫通孔上部が開口するようにフォトレジストの画像を形成した。次に、電気めっきにより約6μm膜厚のCu66、約2μm膜厚のPb、約3μm膜厚のSnを順に形成した。次に、フォトレジストを除去し、Cu、Crを順次エッチングで選択除去した。めっきされたPbとSnは380℃の熱処理によって溶融してはんだ67となり第2層配線は完結した。
【0089】以上によって作成した薄膜感熱記録ヘッドにおいては、ポリイミド膜のクラック、欠陥等は見られず、すべての配線にわたって良好な電気的導通が得られた。
【0090】実施例29本発明により製造した2層配線構造体の例として、図8に薄膜磁気ヘッドの断面概略図を示す。以下にその製法を示す。セラミック基板68全面にAl23をスパッタリングし、平坦な無機絶縁膜69を形成した。次に、スパッタリング法によって2μm膜厚のパーマロイを堆積し、周知のフォトエッチング技術によりパターン形成して下部磁性体70とした。次に、ギャップスペーサーとして1μm膜厚のAl2371をスパッタリングし、フォトエッチング技術によりパターン化した。次に、組成No4の感光性重合体組成物の溶液を回転塗布し、次いでオーブン中で85℃30分間通風乾燥して6μm厚の塗膜を得た。この塗膜をミラープロジェクション型露光装置を用いて所定のフォトマスクを介し、15秒間紫外線照射した。露光後、N−メチル−2−ピロリドン4容、イソプロピルアルコール1容から成る現像液で現像し、ついで水でリンスした後窒素雰囲気中200℃30分、350℃30分の順に加熱して3μm膜厚の下部ポリイミド膜のパターン72へと硬化させた。下部ポリイミド膜72を酸素プラズマ雰囲気で前処理した後、真空蒸着法によって10nm膜厚のCr、1.5μm膜厚のCu、10nm膜厚のCrを順次堆積し、フォトエッチング技術によりパターン化して導体コイル73とした。次に、下部ポリイミド膜のパターンと同様の方法によって3μm膜厚の上部ポリイミド膜のパターン74を形成した。上部ポリイミド膜74を酸素プラズマ雰囲気で前処理した後、スパッタリング法によって2μm膜厚のパーマロイを堆積し、フォトエッチング技術によりパターン形成して上部磁性体75とした。端子のメタライズは図示しないがCuとはんだで構成される。これはフォトレジスト膜を予め設け、必要部分にのみめっき技術によって堆積することで形成される。以上によって、1層7ターンの磁気ヘッド基板が完成する(図8a)。次に基板から素子を切り出し、基板を下部磁性体70、Al2371、上部磁性体75の3層が表れる端面76まで研磨して薄膜磁気ヘッドが完成した(図8b)。以上によって作成した薄膜磁気ヘッドにおいては、ポリイミド膜のクラック、欠陥等は見られず、すべての配線にわたって良好な電気的導通が得られた。
【0091】比較例1前述した特開昭60−228537号による実験結果を比較例として示す。
【0092】窒素気流下に、γ−ブチロラクトン50容量部に溶けたベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物32.2重量部に対し、ヒドロキシエチルメタクリレート26重量部および1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンを加えた。16時間反応させた後、N−メチル−2−ピロリドン50容量部に溶けた4,4’−ジアミノジフェニルエーテル16重量部の溶液を加えた。その後、反応溶液に、γ−ブチロラクトン100容量部に溶けたジシクロヘキシルカルボジイミド36重量部の溶液を適下した。反応溶液は室温で1夜放置した後沈殿物を濾別して感光性ワニスをえた。シリコンウエハ上にスピン塗布した後、200℃で30分間、350℃で30分間加熱して厚さ8μmの最終ポリイミドのフィルムを得た。この材料は極めて脆く、伸びは1%以下であった。
【0093】感光性重合体組成物として上記の感光性ワニスを用い、実施例1と同様の方法によってDRAMを製造した。図3を用いて以下にその製造法を示す。素子領域及び配線層を作り込んだシリコンウェハ13上に上記の感光性ワニスを回転塗布し、次いでホットプレート上で90℃3分、100℃3分の順に乾燥して17μm厚の塗膜を得た(図3a)。この塗膜をミラープロジェクション型露光装置を用いて所定のフォトマスクを介し、5分間紫外線照射した。露光後、γ−ブチロラクトン4、N−メチル−2−ピロリドン1容から成る現像液で現像し、ついでイソプロピルアルコールでリンスして光の当たらなかったボンディングパッド部16とスクライブ領域17の塗膜を除去した(図3b)。更に200℃30分、350℃30分の順に加熱してポリイミド膜15へと硬化させた(図3c)。ポリイミド膜の膜厚は8μmであった。以上のように作成したボンディングパッド部16、スクライブ領域17の部分で下地が露出したポリイミド膜15をα線遮蔽膜とした。次に上記によって作成した基板をスクライブ領域で切断し、チップに切り出した(図3d)。このチップの表面に、下部にポリアミドイミドエーテルの接着層を持つポリイミドフィルム19上に支持された外部端子18を400℃にて熱圧着した(図3e)。この時、ポリイミド膜15には多くのクラックが発生し、完成品には至らなかった。
【0094】次に、上記感光性ワニスを用い、実施例13と同様の方法によって個別トランジスタを製造した。この場合ポリイミドの膜厚を3.5μmにすることの他は上記と同様の方法によってポリイミドのパターンを形成した。−55℃と150℃の雰囲気に交互に繰返し放置する温度サイクル試験にかけた後、超音波探照法によって内部を検査したところ多数のクラックが認められ、完成品には至らなかった。
【0095】更に、上記感光性ワニスを用い、実施例8と同様の方法によってリニアICを製造した。この場合ポリイミドの膜厚を2.5μmにすることの他は上記と同様の方法によってポリイミドのパターンを形成した。この例においては、第2層目のAl配線パターンを形成したときにAl配線下部のポリイミド層に多数のクラックが認められ、完成品には至らなかった。
【0096】比較例2前述した特公昭63−31939号による実験結果を比較例として示す。
【0097】合成例1において調製したポリアミド酸溶液20gに2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート1.57g、2,6−ジ(4’−アジドベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン0.37gを溶解し、次いで5μm孔のフィルタを用いて加圧濾過して感光性重合体組成物の溶液を調製した。
【0098】感光性重合体組成物として上記材料を用いることのほかは実施例27と同様の方法にて、薄膜多層配線基板を製造した。この薄膜多層配線基板においては貫通孔が逆テーパ形状に成りやすく、貫通孔上部のAl配線の被覆が不十分な部分が見られた。このため、良品とするには露光条件や現像条件等を極めて精密に制御する必要があり作業性が悪かった。
【0099】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の配線構造体は、感光性被膜が高感度で硬化物の機械的特性が優れた感光性重合体組成物を保護膜、α線遮蔽膜、配線層間絶縁膜に用いることで従来品に比べ生産性や信頼性に優れたものにすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による配線構造体の製造方法を示す断面図。
【図2】従来技術による配線構造体の製造方法を示す断面図
【図3】本発明によるダイナミックランダムアクセスメモリの断面構造とその製造方法を示す断面図。
【図4】本発明によって製造されるリニアICの断面構造を示す断面図
【図5】本発明による個別トランジスタの断面構造とその製造方法を示す図断面。
【図6】本発明によって製造される薄膜多層配線基板の断面構造を示す断面図。
【図7】本発明によって製造される薄膜感熱記録ヘッドの断面構造を示す断面図。
【図8】本発明による薄膜磁気ヘッドの断面構造とその製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
1:基板、2:導体層、3:ポリイミド樹脂層、4:フォトレジスト、5:貫通孔、6:上部導体層、7:基板、8:導体層、9:感光性被膜、10:貫通孔、11:硬化物層(ポリイミド)、12:上部導体層、13:シリコンウェハ、14:塗膜、15:ポリイミド膜、16:ボンディングパッド部、17:スクライブ領域、18:外部端子、19:ポリイミドフィルム、20:金線、21:樹脂封止部、22:シリコンウェハ、23:コレクタ、24:ベース、25:エミッタ、26:SiO2層、27:Al、28:ポリイミド膜、29:貫通孔、30:Al、31:シリコンウェハ、32:ベース、33:エミッタ、34:SiO2層、35:Al、36:ボンディングパッド部、37:スクライブ領域、38:ポリイミド膜、39:チップ、40:外部端子、41:リードフレーム、42:金線、43:樹脂封止部、44:セラミック層、45:タングステン配線、46:ニッケル層、47:ニッケル層、48:金層、49:セラミック基板、50:Alパターン、51:第1層ポリイミド膜、52:第1層Al配線パターン、53:第2層ポリイミド膜、54:第2層Al配線パターン、55:第3層ポリイミド膜、56:クロム/ニッケル−銅層、57:ニッケル/金複合膜、58:グレーズドアルミナ基板、59:Ta25層、60:Cr−Si層、61:Cr層、62:Al層、63:抵抗体保護層、64:ポリイミド層、65:Cr/Cu層、66:Cu、67:はんだ、68:セラミック基板、69:無機絶縁膜、70:下部磁性体、71:Al23、72:下部ポリイミド膜パターン、73:導体コイル、74:上部ポリイミド膜パターン、75:上部磁性体、76:端面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】表面保護膜が、下記[A]で示される感光性重合体組成物の硬化物であることを特徴とする配線構造体。
[A]一般式化1
【化1】


(但し、式中R1は少なくとも4個以上の炭素を含む4価の有機基、R2は2価の有機基であり、化1は1種又は2種以上のR1及び1種又は2種以上のR2で構成される)で示される繰り返し単位を主成分とするポリマーに対し、水酸基を有するアミン化合物1〜400重量部と炭素−炭素2重結合を有するイソシアネート化合物1〜400重量部を反応させて成る重合体と、1種又は2種以上の感光剤とから成る感光性重合体組成物。
【請求項2】請求項1記載の配線構造体において、感光性重合体組成物[A]に含まれる水酸基を有するアミン化合物としては、一般式化2
【化2】


(但し、R3,R4は水素、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、−R5OHから選択された基、R5は2価の有機基である)または一般式化3
【化3】


(但し、R6は水酸基を有する1価の有機基、水素、アルキル基から選択された基、R7は環状アミノ基を形成する2価の有機基であり、R6とR7の少なくとも一方の水酸基を有する)で表される化合物を用い、炭素−炭素2重結合を有するイソシアネート化合物としては、一般式化4
【化4】


(但し、R8,R9,R10は水素、アルキル基、フェニル基、ビニル基、プロペニル基から選択された基、R11は2価の有機基である)で表される化合物を用いることを特徴とする配線構造体。
【請求項3】α線遮蔽膜が、下記[A]で示される感光性重合体組成物の硬化物であることを特徴とする配線構造体。[A]一般式化1
【化1】


(但し、式中R1は少なくとも4個以上の炭素を含む4価の有機基、R2は2価の有機基であり、化1は1種又は2種以上のR1及び1種又は2種以上のR2で構成される)で示される繰り返し単位を主成分とするポリマーに対し、水酸基を有するアミン化合物1〜400重量部と炭素−炭素2重結合を有するイソシアネート化合物1〜400重量部を反応させて成る重合体と、1種又は2種以上の感光剤とから成る感光性重合体組成物。
【請求項4】請求項3記載の配線構造体において、感光性重合体組成物[A]に含まれる水酸基を有するアミン化合物としては、一般式化2
【化2】


(但し、R3,R4は水素、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、−R5OHから選択された基、R5は2価の有機基である)または一般式化3
【化3】


(但し、R6は水酸基を有する1価の有機基、水素、アルキル基から選択された基、R7は環状アミノ基を形成する2価の有機基であり、R6とR7の少なくとも一方の水酸基を有する)で表される化合物を用い、炭素−炭素2重結合を有するイソシアネート化合物としては、一般式化4
【化4】


(但し、R8,R9,R10は水素、アルキル基、フェニル基、ビニル基、プロペニル基から選択された基、R11は2価の有機基である)で表される化合物を用いることを特徴とする配線構造体。
【請求項5】配線用絶縁膜が、下記[A]で示される感光性重合体組成物の硬化物であることを特徴とする配線構造体。[A]一般式化1
【化1】


(但し、式中R1は少なくとも4個以上の炭素を含む4価の有機基、R2は2価の有機基であり、化1は1種又は2種以上のR1及び1種又は2種以上のR2で構成される)で示される繰り返し単位を主成分とするポリマーに対し、水酸基を有するアミン化合物1〜400重量部と炭素−炭素2重結合を有するイソシアネート化合物1〜400重量部を反応させて成る重合体と、1種又は2種以上の感光剤とから成る感光性重合体組成物。
【請求項6】請求項5記載の配線構造体において、感光性重合体組成物[A]に含まれる水酸基を有するアミン化合物としては、一般式化2
【化2】


(但し、R3,R4は水素、アルキル基、フェニル基、ベンジル基、−R5OHから選択された基、R5は2価の有機基である)または一般式化3
【化3】


(但し、R6は水酸基を有する1価の有機基、水素、アルキル基から選択された基、R7は環状アミノ基を形成する2価の有機基であり、R6とR7の少なくとも一方の水酸基を有する)で表される化合物を用い、炭素−炭素2重結合を有するイソシアネート化合物としては、一般式化4
【化4】


(但し、R8,R9,R10は水素、アルキル基、フェニル基、ビニル基、プロペニル基から選択された基、R11は2価の有機基である)で表される化合物を用いることを特徴とする配線構造体。
【請求項7】配線構造体が半導体集積回路素子である請求項1〜6のいずれかに記載の配線構造体。
【請求項8】配線構造体が個別トランジスタ素子である請求項1又は2に記載の配線構造体。
【請求項9】配線構造体が薄膜多層配線基板である請求項5又は6に記載の配線構造体。
【請求項10】配線構造体が薄膜感熱記録ヘッドである請求項5又は6に記載の配線構造体。
【請求項11】配線構造体が薄膜磁気ヘッドである請求項5又は6に記載の配線構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開平5−214046
【公開日】平成5年(1993)8月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−21427
【出願日】平成4年(1992)2月6日
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)