説明

配線用配管

【課題】本発明の課題は、任意の角度に容易に曲げて設置でき、かつ軽量で単純な構造を持ち、1本の配管に複数の配線を容易に区画して通線できる配線用配管を提供することにある。
【解決手段】本発明は、一続きの壁によって複数の配線領域を形作られた断面を持つ可塑性材料で作られた管を螺旋状に捻じった形状を持つことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビル内や住宅内の壁裏への光配線をする際などに用いられる配線用配管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信の高度化、高速化に伴い、ビル内や住宅内への光配線の必要性が増大している。この際、主な配線方法として、(1)壁面にステップルなどを設置しケーブルを布設するもの、(2)壁面にワイヤプロテクタなどを設置しその内部にケーブルを布設するもの、そして(3)壁裏に配管を配置しその内部にケーブルを通線するものの3つがある。配線を想定した配管が予め布設してないケースでは(1)、(2)の配線形態が採用されているが、美観とケーブル保護の観点では(3)の配線形態が優れている。
【0003】
図5は従来のケーブルの配線施工を示す構成説明図である。すなわち、前記(3)の配線形態における通常使用される配管の形状を示したものである。図5において、11は配線しようとするケーブル、12は従来の配管、13は通線器である。前記配管12は蛇腹構造で円筒状に形成され、曲げ易い特性を持っている。前記配管12はビル内や住宅内の壁裏で柱などに固定された後、通線器13を配管12中に通し、その後、通線器13の先端部にケーブル11の先端部を接続して後、通線器13を配管12中から引き戻すことにより配管12にケーブル11を通線する。通線器13はその材料特性により曲がり部などで配管12の遠心側の壁に沿って曲がっていくことで配管12の端からもう一方の端まで通すことができる構造になっている。
【0004】
【非特許文献1】JIS規格を用いた商品資料 「合成樹脂製可とう電線管」 JIS C8411
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の配管では既に配線が通っている状況で新しい配線を通す場合、既存の配線の配線場所と通線器が通る経路の領域が分かれていないため、既存線と通線器や新規線が絡まることが多々ある。この場合、既存線を引き出して新たに新規線を共引きする必要がある。
【0006】
また、既存の配線の配線場所と通線器が通る経路の領域を分けるために配管内部に仕切壁を設けると構造が複雑になるという問題と配管の曲げ容易性が失われるという問題点がある。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、任意の角度に容易に曲げて設置でき、かつ軽量で単純な構造を持ち、1本の配管に複数の配線を容易に区画して通線できる配線用配管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の配線用配管は、一続きの壁によって複数の配線領域を形作られた断面を持つ可塑性材料で作られた管を螺旋状に捻じった形状を持つことを特徴とするものである。
【0009】
また本発明の配線用配管は、管の断面として、複数の配線領域を形作るように円周の一部が複数連続して形成されることを特徴とするものである。
【0010】
また本発明の配線用配管は、管の断面として、4つの配線領域を形作るように円周の一部が4つ連続して形成されることを特徴とするものである。
【0011】
また本発明の配線用配管は、管の断面として、3つの配線領域を形作るように円周の一部が3つ連続して形成されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の配線用配管は、一続きの壁によって複数の配線領域を形作られた断面を持つ可塑性材料で作られた管を螺旋状に捻じった形状を持つことにより、任意の角度に容易に曲げて設置でき、かつ軽量で単純な構造を持ち、1本の配管に複数の配線を絡むことなく容易に区画して通線できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態例に係る配線用配管への配線施工を示す構成説明図であり、図2は本発明の実施形態例に係る配線用配管を示す断面図である。図1及び図2において、21は配線しようとするケーブル、22は配線用配管、23は通線器である。図1に示すように、配線用配管22は一続きの壁によって複数の配線領域例えば4つの配線領域A1,A2,A3,A4を形作られた断面を持つ例えば合成樹脂等の可塑性材料で作られた管を螺旋状に捻じった形状を持つ。前記配線用配管22の断面として、図2に示すように、複数の配線領域例えば4つの配線領域A1,A2,A3,A4を形作るように円周の一部L1,L2,L3,L4が複数例えば4つ連続して形成される。
【0014】
図3(a),(b)は本発明の実施形態例に係る配線用配管の曲げを説明するための断面図である。図3(a)に示すように、4つの配線領域A1,A2,A3,A4を形作るように円周の一部L1,L2,L3,L4が4つ連続して形成された配線用配管22は曲げることにより、図3(b)に示すように、円周の一部L1,L2,L3,L4が歪んで変形するため、容易に曲げることができる。また、前記配線用配管22は螺旋状に捻じられた構造を有しているため、曲げ部での内径側と外径側の長さの差を吸収する構造になっているので容易に曲げることができる。また、前記通線器23は先端部に取り外し自在にケーブル21を接続する接続部24が設けられると共に、柔軟な材料特性により曲がり部などで配管22の遠心側の壁に沿って曲がっていくことで配管22の端からもう一方の端まで通すことができる構造になっている。
【0015】
すなわち、前記配線用配管22はビル内や住宅内の壁裏で柱などに固定された後、通線器23の接続部24を配管22中の配線領域A1に通し、その後、通線器23の接続部24にケーブル21の先端部を接続して後、通線器23を配管22中の配線領域A1から引き戻すことにより配管22の配線領域A1にケーブル21を通線することができる。
【0016】
図1の例では配線用配管22は4つの配線領域A1,A2,A3,A4を持っており、通線器23がそのうちの一つの配線領域A1を通って配線用配管22内を通り抜けたところで通線器23の接続部24とケーブル21が接続されている様子を示している。この状態で通線器23を引き戻すことにより4つの配線領域A1,A2,A3,A4のうちの一つの配線領域A1のみに配線することが可能である。この配線用配管22の場合は残り3つの配線領域A2,A3,A4があり、4つの配線領域A1,A2,A3,A4全てに配線することで配線用配管22内の空間を効率よく利用することができる。
【0017】
本実施形態例によれば、通線器23はその特性により、配線用配管22の4つの配線領域A1,A2,A3,A4の一つのみを通っていくので、通線される配線もこの領域のみに収容される。新たに次の配線を通線する際には上記とは別の領域に通線器23を通すことで、既存線と通線器や新規線が絡まることなく通線することが可能である。したがって、配線用配管22の4つの配線領域A1,A2,A3,A4の数だけの配線を容易に通線することができる。さらに、配線用配管22の断面が歪むことと螺旋構造により容易に曲げることができる。また、配線用配管22の壁が一続きで形成される単純な構造であるので生産コストを小さくすることが容易である。
【0018】
図4は本発明の実施形態例に係る配線用配管の他の例を示す断面図である。図4に示すように、配線用配管32の断面として、3つの配線領域A11,A12,A13を形作るように円周の一部L11,L12,L13が3つ連続して形成される。前記配線用配管32は一続きの壁によって3つの配線領域A11,A12,A13を形作られた断面を持つ例えば合成樹脂等の可塑性材料で作られた管を螺旋状に捻じった形状を持つように構成される。図4の配線用配管32の場合にも、図1〜図3の配線用配管22と同様に実施することができる。
【0019】
なお、本発明は、上記実施形態例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態例に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態例に係る配線用配管への配線施工を示す構成説明図である。
【図2】本発明の実施形態例に係る配線用配管を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態例に係る配線用配管の曲げを説明するための断面図である。
【図4】本発明の実施形態例に係る配線用配管の他の例を示す断面図である。
【図5】従来のケーブルの配線施工を示す構成説明図である。
【符号の説明】
【0021】
21…配線しようとするケーブル、22…配線用配管、23…通線器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一続きの壁によって複数の配線領域を形作られた断面を持つ可塑性材料で作られた管を螺旋状に捻じった形状を持つことを特徴とする配線用配管。
【請求項2】
管の断面として、複数の配線領域を形作るように円周の一部が複数連続して形成されることを特徴とする請求項1に記載の配線用配管。
【請求項3】
管の断面として、4つの配線領域を形作るように円周の一部が4つ連続して形成されることを特徴とする請求項2に記載の配線用配管。
【請求項4】
管の断面として、3つの配線領域を形作るように円周の一部が3つ連続して形成されることを特徴とする請求項2に記載の配線用配管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−17618(P2007−17618A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197749(P2005−197749)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】