説明

配線間不良箇所特定方法

【課題】配線の信頼性試験で検出された不良配線の短絡箇所を、ボルテージコントラスト法により、短時間に確実に特定できる方法を提供する。
【解決手段】多数の第1の並列配線領域が第1の接続領域で接続された一方の(櫛歯状)配線11と、多数の第2の並列配線領域が第2の接続領域で接続された他方の(櫛歯状)配線12とを、第1と第2の並列配線領域が対向する配置で、絶縁膜に埋め込まれた状態で形成し、第1の並列配線領域と第2の並列配線領域との間の絶縁膜の信頼性試験を行い、短絡を生じさせ、一方の(櫛歯状)配線11と他方の(櫛歯状)配線12のいずれか一方の接続領域を除去ないし断線させ、ボルテージコントラスト法の観察を行ない、並列配線領域間短絡箇所を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の配線間絶縁膜の信頼性試験において発生した不良箇所を特定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置においては、年々トランジスタ等の素子の微細化と高集積化が進められている。微細化と高集積化に伴い、配線ピッチは減少して配線幅、配線間隔が減少すると共に、配線は多層化する。配線幅の減少は配線の信頼性を低下させる傾向があり、配線間隔の減少は配線間寄生容量を増加させ、配線間絶縁膜の信頼性を低下させる傾向がある。全体として配線の信頼性を確保することが困難になってきている。
【0003】
先端システムLSIにおいては、高速動作を保証するため配線遅延を低減することが重要である。配線遅延は、配線抵抗と配線間容量に依存する。配線抵抗を低くするためにアルミニウムより低抵抗な銅配線が用いられる。配線間容量を低くするために酸化シリコンより低い誘電率を有するSiOC等の低誘電率(ローk)材料を層間絶縁膜に用いるようになってきた。低誘電率絶縁膜として、多孔質膜が注目されている(例えば、特開2007−227720号)。比誘電率1の空孔を含むことにより、誘電率の低減に有効である。
【0004】
配線間絶縁膜の信頼性に関して、顧客の要求基準を満足するかどうかを確認するため、絶縁膜で分離された対向配線のテストエレメントグループ(TEG)を用いて、配線間の経時的絶縁破壊(TDDB、time dependent dielectric breakdown)を評価することが多い。TDDBは、温度を高く、印加電圧(ストレス)を高く設定し、配線間絶縁膜の絶縁破壊を生じるまでの時間を測定する。顧客の信頼性要求基準を満足できない場合は、プロセス条件の改善が必要になってくる。何が原因で不良が生じるのかを調べ、そこを改善するのが最も効率が高い。原因特定には、TDDB試験後のサンプルの故障解析を行うことが有効である。できるだけ確実に短時間で解析を行なうことが要求されてくる。そのためには、不良箇所を確実に短時間で特定することが必要である。
【0005】
配線不良箇所の特定方法として、OBIRCH(optical beam induced resistance change)法等抵抗変化を測定する方法と、導体配線パターンのチャージアップの影響を2次電子像により観察する方法が知られている。
【0006】
OBIRCH法は、赤外レーザ光を配線上に照射し、配線抵抗の上昇率の違いから不良部を限定する方法である(例えば、特開平10−307164号、特開2005−191249号)。1度に広範囲の観察ができる。但し一定の電流を流すため、発熱により破壊が進むことがある。TDDBにより不良が発生したままの状態が観察できない可能性がある。
【0007】
特開2003−179111号は、櫛状に組み合わされた第1と第2の配線パターンを形成し、その一方のみを接地し、両導体配線パターンにイオンビームを照射し、その際に生じるチャージアップの影響を2次電子像のコントラストの変化で観察することを提案する。接地された配線は、電荷が接地に流れる為チャージアップしにくい。チャージアップしない配線にはイオンが入射し、2次電子が発生して明るく見える。電気的に浮遊状態の配線は、入射するイオンによりチャージアップする。チャージアップを生じると、入射する電荷を反発するので入射イオン量が減少し、2次電子も減少して暗く見える。以下、図を参照して、特開2003−179111号の提案をさらに説明する。
【0008】
図5Aは、組み合わせて配置された櫛状導体配線パターン41,42間にショート箇所55が存在する場合を示す。検出手順としては、まず接地処理用コンタクト52と測定用パッド46との間をFIB装置により配線加工を行い、接続部54により短絡させて、一方の導体配線パターン42を接地処理する。
【0009】
図5Bに示すように、接地処理を行っていない片方の導体配線パターン41上の任意の部分56をFIB装置にて切断加工する。切断加工を施した部分56を境として2次電子検出器で観測したコントラスト像に変化が確認できる。接地処理した導体配線パターン42とショート不良を起こしている部分の導体配線パターン41は、切断加工部分56を境にコントラスト像が明るく見え、ショートしていない部分の導体配線パターン41は暗く見える。ショートを起こしているパターン部分を再度FIB装置にて切断加工、コントラスト像観察を繰り返しながら、ショート部分を絞り込んでいく。
【0010】
2次電子像を用いる方法にボルテージコントラスト(VC、voltage contrast)法がある。VC法は、通常、導電パターンを有する試料をSEM(走査型電子顕微鏡)内に搬入し、電子線を試料表面に当て、帯電させることにより、帯電量に応じた電位を導電パターンに持たせ、電位によって2次電子の発生率が異なってSEM像の明るさが変わることを利用し、導電パターンに断線があるか否かを検出する方法である(例えば、特開2006−19421号)。櫛歯状配線をボルテージコントラスト法で観察すると、断線している箇所から先の配線が暗く見える。低電圧で観察するため、破壊が進むことはほとんどない。但し、観察範囲が狭く、広い範囲の観察には時間がかかる。
【0011】
【特許文献1】特開2004−227720号公報
【特許文献2】特開平10−307164号公報
【特許文献3】特開2005−191249号公報
【特許文献4】特開2003−179111号公報
【特許文献5】特開2006−19421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、配線間絶縁膜の信頼性試験で発生した不良箇所を、ボルテージコントラスト法により、短時間に確実に特定できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1観点によれば、
多数の第1の並列配線領域が第1の接続領域で接続された第1の配線と、多数の第2の並列配線領域が第2の接続領域で接続された第2の配線とを、第1と第2の並列配線領域が対向する配置で、絶縁膜に埋め込まれた状態で形成し、
第1の並列配線領域と第2の並列配線領域との間の絶縁膜の信頼性試験を行い、短絡を生じさせ、
第1、第2の配線の一方の接続領域を除去ないし断線させ、
ボルテージコントラスト法の観察を行ない、並列配線領域間短絡箇所を特定する、
配線間不良箇所特定方法
が提供される。
【発明の効果】
【0014】
多数の並列配線領域の中から、短絡した並列配線領域を浮かび上がらせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
配線間絶縁膜の信頼性試験(TDDB)においては、長い配線長を実現するため通常インターデジタル配置の一対の櫛歯状配線が用いられる。試験の対象となるのは、並列配線領域である櫛歯状配線の歯の部分、が対向する領域の絶縁膜である。配線間の短絡不良が生じると一対の櫛歯状配線が電気的に接続されてしまう。
【0016】
一方の配線を接地してボルテージコントラスト(VC)法で観察すると、両配線が全て明るく見えてしまい、短絡箇所の特定に時間がかかってしまう。接地していない方の配線を切断してVC観察を繰り返せば、短絡箇所を絞り込んで行くことはできるが、切断工程、VC観察工程を繰り返すことで時間がかかる。
【0017】
図1は、櫛歯状配線の構成を概略的に示す平面図である。櫛歯状配線11,12が互いに嵌め合わされた配置で形成され、パッドPD1,PD2に接続されている。本発明者らは、櫛歯状配線を、歯の部分が並列配置される並列配線領域PWR1、PWR2と、並列配線領域を相互接続する接続領域CN1,CN2に分けて考えた。TDDB信頼性試験においては、並列配線領域PWR1とPWR2とが対向配置され、接続領域CN1,CN2が並列配線領域PWR1、PWR2とパッドPD1、PD2を電気的に接続している。
【0018】
TDDB試験後、一方の配線の接続領域例えばCN1を除去ないし切断する。該一方の配線の並列配線領域PWR1は相互に分離され、電気的に浮遊状態となる。短絡SCが生じている部分のみは一方の並列配線領域が他方の並列配線領域に接続される。一方の並列配線領域を電気的に分離した状態でVC観察を行なえば、他方の並列配線領域と短絡が生じている一方の並列配線領域のみが明るく見え、不良箇所を容易に特定できる。より詳細な実施例の説明に先立ち、対象とする半導体装置の多層配線の構成例を説明する。
【0019】
図2は、多層配線を有する半導体装置の構成例を示す断面図である(例えば特開2004−227720号参照)。8層の銅配線と最上アルミ配線とを含む多層配線を有する半導体装置を示す。
【0020】
シリコン基板SUBにシャロートレンチアイソレーションによる素子分離領域STIを形成し、イオン注入によってn型ウェルNW,p型ウェルPWを作成する。素子分離領域STIに囲まれたシリコン基板表面を熱酸化し、ゲート絶縁膜を形成し、ゲート絶縁膜上にポリシリコンを堆積し、パターニングしてゲート電極Gを作成する。ゲート電極Gをマスクとしてイオン注入を行い、エクステンション領域を作成する。ゲート電極側壁上にサイドウォールスペーサを作成し、サイドウォールスペーサをマスクとしてイオン注入を行い、高濃度の拡散層を形成して、ソース/ドレイン領域S/Dを作成する。このようにして、p型ウェルPWにnチャネルMOSトランジスタ(NMOS)が作成される。n型ウェルNWには導電型を反転したpチャネルMOSトランジスタ(PMOS)が作成される。NMOSとPMOSに対しては、必要に応じてホトレジストマスクを用い、イオン注入工程等を別工程で行う。
【0021】
トランジスタを覆って、シリコン基板上にフォスフォシリケートガラス(PSG)等の下方層間絶縁膜LIIを形成し、ソース/ドレイン領域S/Dなどに達するコンタクト孔をエッチングし、バリアメタル層を介してタングステンを埋め込んで導電性プラグPLを形成する。下方層間絶縁膜LIIの上に、SiCのエッチストッパ膜ES1をCVDで厚さ50nm程度堆積し、その上に厚さ200nm程度のSiOC膜等のポーラス絶縁膜PD1を形成し、その上にSiCのキャップ層CL1をCVDで厚さ50nm程度堆積する。これら3層ES1,PD1,CL1を貫通するトレンチをエッチングし、銅配線層を埋め込み、キャップ層CL1上の不要部を化学機械研磨(CMP)で除去し、シングルダマシン構造の第1銅配線CW1を形成する。
【0022】
第1銅配線CW1を覆って、キャップ層CL1上に、銅の拡散を防止する銅拡散防止膜DB1を厚さ50nm程度のSiC膜で形成する。銅拡散防止膜DB1の上に、SiOC等のポーラス絶縁材料を塗布し、ベークしてポーラス絶縁膜PD2Lを形成する。ポーラス絶縁膜PD2Lは、後にダマシン配線のビア導電体を囲む部分となる。ポーラス絶縁膜PD2Lに紫外線UVや水素プラズマを照射して、ポーラス絶縁膜PD2Lの機械的強度を増大する。この時、比誘電率は増大する。ポーラス絶縁膜PD2L上に厚さ200nm程度のポーラス絶縁膜PD2Uを形成する。このポーラス絶縁膜PD2Uは、ダマシン配線の配線パターンを囲む部分であり、塗布後ベークしてポーラス絶縁とはするが、紫外線処理や水素プラズマ処理は行わず、誘電率を低い状態に保つ。ポーラス絶縁膜PD2U上に、SiCのキャップ層CL2をCVDで厚さ50nm程度堆積する。これらの絶縁積層DB1,PD2L,PD2U,CL2により、層間絶縁膜が形成される。
【0023】
第1銅配線CW1の接続箇所に対応する開口を有するマスクを用いて、キャップ層CL2,ポーラス絶縁膜PD2U,ポーラス絶縁膜PD2Lを貫通し、銅拡散防止膜DB1を露出するビア孔をエッチングし、ビア孔内に詰め物をした後,配線パターンの開口を有するマスクを用いて、キャップ層CL2,ポーラス絶縁膜PD2Uに配線用トレンチをコントロールエッチングする。ビア孔内の詰め物を除去し、ビア孔の底面に露出したSiC膜DB1をエッチングして、第1銅配線CW1の接続部を露出する。その後、バリアメタル層、銅シード層をスパッタリングし、銅層をメッキし、層間絶縁膜上の不要部をCMPで除去する。このようにして,層間絶縁膜に埋め込まれたデュアルダマシン構造の第2銅配線CW2を作成する。
【0024】
さらに、銅拡散防止膜DB(i−1)、下側ポーラス絶縁膜PDiL、上側ポーラス絶縁膜PDiU,SiCのキャップ層CLi(iは銅配線層の順番に相当する数字)を1組の層間絶縁膜として、i=3〜8までの層間絶縁膜を積層する。下側ポーラス絶縁膜PDiLは紫外線又は水素プラズマで処理し、機械的強度を増加させる。各層間絶縁膜にはデュアルダマシン構造の銅配線CWi(i=3〜8)を埋め込む。8層の銅配線が積層される。
【0025】
なお、各層間絶縁膜の上側ポーラス絶縁膜PDiLと下側ポーラス絶縁膜PDiLの間にSiCのエッチストップ膜を挿入した構成も作成できる。
【0026】
銅配線CW8を覆って、キャップ層CL8の上に銅拡散防止膜DB8を形成し、さらに酸化シリコン膜IL1を形成する。酸化シリコン膜IL1にビア孔を形成し、タングステンビアVMを埋め込む。酸化シリコン膜IL1上にタングステンビアVMに接続されるアルミ配線TALを形成する。アルミ配線TALを覆って、酸化シリコン膜IL2を形成し、パッド部に開口を形成する。さらにパッシベーション膜PSを形成し、パッド部を開口する。このようにして多層配線を有する半導体装置を形成する。なお、シングルダマシン配線を2層以上形成してもよい。その他、層間絶縁膜、配線の構造として種々の置換、変更を行なうこともできる。
【0027】
新たな機種の開発においては、要素毎の開発が行なわれることも多い。例えば、シリコンウエハ上に下層配線のみを作成することも行われる。完成品用ウエハ、要素開発用ウエハを問わず、テストエレメントグループ(TEG)が形成される。テストエレメントグループ(TEG)は複数のテストエレメント(TE)をまとめて呼ぶ名称である。
【0028】
図3Aは、TDDB試験用のテストエレメントの構成例の平面図、図3Bは櫛歯状配線の歯の部分(並列配線領域)を含む配線パターンの平面図,3C、3Dは櫛歯状配線の並列配線領域とパッドを接続する接続領域を示す断面図、図3Eは絶縁膜に埋め込まれた配線構造の断面図、図3Fはボルテージコントラスト法の準備工程を示す断面図である。
【0029】
図3Aに示すように、多数の並列配線領域PWR1を歯の部分として含み、並列配線領域が櫛歯の背の部分に当たる接続領域で接続された一方の櫛歯状配線11を1つの配線層で形成する。対向配置される他方の櫛歯状配線12の歯の部分(並列配線領域)PWR2を同一又は異なる配線層で形成する。並列配線領域PWR2の各端部上にビア導電体を有する接続領域CN2が形成され、並列配線領域PWR2を相互接続する。パッドPD1,PD2が、各接続領域CN1,CN2に接続される。
【0030】
図3Bは、並列配線領域PWR1とPWR2が対向する部分を抽出した平面図である。他方の並列配線領域PWR2は互いに電気的に分離した配線領域の集合である。配線間短絡SCが生じると、他方の並列配線領域PWR2の何れかのみが一方の配線の並列配線領域PWR1に接続され、残りの並列配線領域は一方の櫛歯状配線から分離された状態を保つ。但し、図3Aの状態では他方の櫛歯状配線12の全並列配線領域PWR2が接続領域CN2により接続されている。
【0031】
図3Cに示すように、一方の櫛歯状配線は、例えば図2に示す第1銅配線CW1で形成され、背の部分の接続領域CN1が延長され、その上に例えば図2の第2銅配線CW2のデュアルダマシン配線で形成された、ビア導電体V1が形成され、パッドPD1に接続される。
【0032】
図3Dに示すように、他方の櫛歯状配線は、例えば図2に示す第1銅配線CW1で形成された並列配線領域PWR2の各端部上に、例えば図2の第2銅配線CW2のデュアルダマシン配線のビア部で形成されたビア導電体V2が形成される。接続領域CN2の配線パターンが各ビア導電体を介して並列配線領域PWR2を相互接続し、パッドPD2に接続する。なお、パッドPD1,PD2は、タングステンプラグとアルミニウム配線パターンの積層で形成しても、単層アルミニウムパターンで形成してもよい。
【0033】
図3Eに示すように、櫛歯状配線は絶縁積層に埋め込まれた状態である。他方の櫛歯状配線を例示するが、一方の櫛歯状配線も同一の絶縁積層に埋め込まれる。配線間絶縁膜の信頼性試験はこの状態で行われる。
【0034】
第1銅配線と第2銅配線を用いてTDDB試験用テストエレメントを形成する場合を説明したが、テストエレメントの構成配線層は自由に選択できる。但し、下層配線ほど配線ピッチが狭い傾向があるので、下層配線に対する信頼性試験が特に必要である。
【0035】
図3Fに示すように、配線間の信頼性試験終了後、絶縁積層を上部からエッチング又は化学機械研磨等の研磨により除去する。レベルL1は、他方の配線の接続領域CN2の表面が露出するレベルである。ここで、接続領域CN2をウェットエッチングすることができる。接続領域CN2をウェットエッチングすると、他方の配線の並列配線領域PWR2は、電気的に互いに分離された状態となる。接続領域をウェットエッチングする場合は、対象となる接続領域CNを並列配線領域PWRと異なるエッチング特性を有する材料で形成することが好ましい。
【0036】
レベルL2は、研磨により接続領域CN2が除去された状態となるレベルを示す。この場合、接続領域は、並列配線領域と同じ材料でも、異なる材料でもよい。接続領域が研磨で除去されると、他方の並列配線領域PWR2は互いに分離された状態となる。研磨としては、例えば化学機械研磨(CMP)を用いることができる。
【0037】
さらに、エッチング又は研磨を行い、櫛歯状配線の歯の部分である並列配線領域表面を露出することが好ましい。図3Bの状態となる。さらに一方の櫛歯状配線11の近傍をフォーカスドイオンビーム(FIB)等でエッチングし、基板表面を露出することが好ましい。スパッタリングにより、一方の配線11が基板と接続(接地)された状態となる。ボルテージコントラスト法においてコントラストを強調して、浮遊状態の配線と接続された配線を識別し易くなる。
【0038】
この状態でボルテージコントラスト法による観察を行うと、一方の櫛歯状配線11と他方の配線の並列配線領域PWR2の内、短絡で一方の櫛歯状配線11に接続されたものが明るく見え、他方の配線の他の並列配線領域は暗く見える。従って、短絡箇所を容易に、迅速に、かつ確実に特定できる。
【0039】
図4Aは、トランジスタにより接続状態を切り替える実施例の等価回路である。一方の配線11は、上記実施例と同様である。例えば、信頼性試験においてストレス電圧Vstが印加される。他方の配線は、並列配線領域の各々がトランジスタTRによって、接続領域CN2に接続される。信頼性試験においてはトランジスタTRのゲートにオン電圧Vgが印加されて、全トランジスタがオンとなり、並列配線領域PWR2が接続領域CN2に接続される。接続領域CN2は例えば接地電位に接続される。
【0040】
図4Bは、上層絶縁層が除去された状態における配線とトランジスタの配置例を示す断面図である。1対の配線の並列配線領域PWR1,PWR2の表面が露出された状態で、トランジスタTRは絶縁膜に覆われ、動作可能な状態である。ゲートGにオフ電圧を印加してトランジスタTRをオフ状態とすると、並列配線領域PWR2がそれぞれ電気的に分離された状態となる。一方の配線11を基板に接続することが好ましいことは前述の実施例同様である。
【0041】
以上、実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、種々の変更、置換、組み合わせ、改良等が可能なことは当業者に自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、櫛歯状配線の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】図2は、多層配線を有する半導体装置の構成例を示す断面図である
【図3】図3Aは、TDDB試験用のテストエレメントの構成例の平面図、図3Bは櫛歯状配線の歯の部分を含む配線パターンの平面図,3C、3Dは櫛歯状配線の歯の部分とパッドを接続する接続領域の構成を示す断面図、図3Eは絶縁膜に埋め込まれた他方の配線の断面図、図3Fはボルテージコントラスト法の準備工程を示す断面図である。
【図4】図4A,4Bは、トランジスタを用いて並列配線と接続領域を接続する実施例の等価回路図、断面図である。
【図5】図5A,5Bは、従来技術による配線不良箇所特定方法を示す平面図である。
【符号の説明】
【0043】
11 一方の(櫛歯状)配線、
12 他方の(櫛歯状)配線、
PWR 並列配線領域、
CN 接続領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の第1の並列配線領域が第1の接続領域で接続された第1の配線と、多数の第2の並列配線領域が第2の接続領域で接続された第2の配線とを、第1と第2の並列配線領域が対向する配置で、絶縁膜に埋め込まれた状態で形成し、
第1の並列配線領域と第2の並列配線領域との間の絶縁膜の信頼性試験を行い、短絡を生じさせ、
第1、第2の配線の一方の接続領域を除去ないし断線させ、
ボルテージコントラスト法の観察を行ない、並列配線領域間短絡箇所を特定する、
配線間不良箇所特定方法。
【請求項2】
前記第1、第2の配線の並列配線領域表面を露出させてから、前記ボルテージコントラスト法の観察を行なう請求項1記載の配線間不良箇所特定方法。
【請求項3】
前記一方の配線の並列配線領域と接続領域とをエッチング特性の異なる材料で形成し、前記接続領域の除去ないし断線を、ウェットエッチングで行なう請求項1又は2記載の配線間不良箇所特定方法。
【請求項4】
前記接続領域の除去ないし断線を、研磨で行なう請求項1又は2記載の配線間不良箇所特定方法。
【請求項5】
前記一方の配線の並列配線領域の各々と接続領域との間にトランジスタを接続し、トランジスタをオンにして前記絶縁膜の信頼性試験を行い、トランジスタをオフにして前記ボルテージコントラスト法の観察を行なう請求項1又は2記載の配線間不良箇所特定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−98111(P2010−98111A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267441(P2008−267441)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】