説明

配車管理装置

【課題】従来の配車管理装置では、予め配車するための車両(タクシー)数の把握等の、待機車両の管理をしていない。このため、予約注文データが配車時間に到達した時に、運行中の車両(タクシー)が少ない場合や、予約の要求台数が多い場合には配車できる車両が不足してしまう。
【解決手段】通常の配車時間になってから予約注文データについて配車する他に、所定の時間内の要求台数と配車待ち車両の数との合計と、待機中のタクシー数とを比較し、待機中のタクシー数から所定の時間内の要求台数と配車待ち車両の数との合計を所定の周期で減算し、減算した値が予め定めたしきい値未満になったときには、所定の時間内の要求台数を配車待ち車両のデータに移動し、配車を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば業務用無線によるタクシー配車用AVM( Automatic Vehicle Monitoring )システム等の無線通信システムと、顧客からの電話注文をコンピュータで処理するCTI( Computer Telephony Integration )システムとを用いた配車管理装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
タクシー会社が管理するタクシー配車管理装置では、電話によって顧客からお迎え日時を指定された予約注文の場合、配車管理装置で配車を行っているオペレータは、予約日時から何分前に配車を行うかを示す「分前時間」を経験的に算出し、算出した「分前時間」、予約日時、顧客名、要求台数等の受付情報を入力内容データとして受付配車端末に入力する。即ち、オペレータは、顧客からの予約注文を電話で受付け、予約注文の情報である受付情報を受付配車端末に入力する。受付情報が入力されると、受付配車端末の端末画面を処理するGUI( Graphical User Interface )部は、「分前時間」を「配車日時」へ変換し、他の入力内容データと共に予約注文データへ保存する。例えば、予約時間が午前5時20分の場合に、オペレータが「分前時間」を10分と入力すると、「配車時間」が午前5時10分となる。GUI部の「配車時間」を含む受付情報は、データベース(以降、DBと称する)に出力され、予約注文データとして保存される。
受付配車端末の配車部は、DBに保存された予約注文データを、例えば1分間隔で参照し、予約注文データの「配車日時」が現在日時と同じか若しくは過去の時刻になった場合に、その予約注文データであった当該データを、配車待ちデータとして配車待ちデータに移動させ、かつGUI部に通知する。通知されたGUI部は、ブザーに信号を出力してブザー鳴動させると共に、表示データを端末画面に出力し、端末画面に配車待ちデータを表示させる。
これにより、オペレータは予約注文データが配車時間に到達したことを知り、空き車両(タクシー)を探し、見つかった車両に顧客情報などの配車データを送信し、顧客の場所へ車両(タクシー)を向かわせる。
【0003】
尚、従来のタクシー配車管理装置としては、例えば、特許文献1に開示がある。特許文献1の配車管理管理装置では、配車センタ(配車管理装置)は、顧客情報登録・変更要求時に顧客端末から送信されるメンバIDにより認証確認を行なったのち、顧客端末から入力される顧客情報を受信し、顧客情報を上記メンバIDに対応付けて顧客情報DBに記憶する。一方、無線移動局からの顧客情報要求時に送信されるメンバIDをもとに上記顧客情報DBから該当する顧客情報を読み出し、要求元の無線移動局に向け送信する。無線移動局は、上記送信された顧客情報を無線回線を介して受信し、提示するものである。
【0004】
【特許文献1】特開2007−025897
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の配車管理装置では、予め配車するための車両(タクシー)数の把握等の、待機車両の管理をしていない。このため、予約注文データが配車時間に到達した時に、運行中の車両(タクシー)が少ない場合や、予約の要求台数が多い場合には配車できる車両が不足してしまう。このため、空き車両が現れるまで待つことなり、結果的に予約の時間を守れず、予約時間に遅れて顧客の場所へ到着し、大きなクレームとなり顧客からの信頼を失ってしまう可能性がある。
本発明の配車管理装置は、予約注文の配車において顧客指定の予約時間を守ることによって、タクシーの配車をスムーズに行い、かつタクシー会社の信頼を失わないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、ある一定時間先までの予約注文データの要求台数合計と、配車待ちデータに残っているデータの要求台数と、現在の車両運行状況から空き車両台数を算出し、要求台数と空き台数を所定のしきい値で大小比較することで配車の可否を判定し、配車不可と判定した場合には、予約注文データを配車日時が早い順に配車待ちデータへ移動させ、端末画面にブザー鳴動させる。その後オペレータは、その配車待ちデータに対して配車を行う。このように、予定の配車時間に到達する前に早く配車することで車両不足を回避するようにしたものである。
【0007】
即ち、本発明の配車管理装置は、通常の配車時間になってから予約注文データについて配車する他に、所定の時間内の要求台数と配車待ち車両の数との合計と、待機中のタクシー数とを比較し、待機中のタクシー数から所定の時間内の要求台数と配車待ち車両の数との合計を所定の周期で減算し、減算した値が予め定めたしきい値未満になったときには、所定の時間内の要求台数を配車待ち車両のデータに移動し、配車をするものである。
【0008】
また好ましくは、上記目的を達成するために、本発明の配車管理装置は、移動局が送信する車両位置動態情報を収集する基地局装置を具備したAVM(Automatic Vehicle Monitoring)部、並びに、顧客からの電話による予約注文を顧客注文データとして格納しかつ上記車両位置動態情報を車両運行状況データとして格納するデータベース、及び、上記顧客からの予約注文を受け付け、上記データベースから読み出した顧客注文データと上記車両運行状況データとに基づいて配車管理する受付配車端末、とを具備する配車管理装置において、上記顧客注文データを所定の第1の時間間隔で上記データベースから読出し、現在の時刻と同一か若しくは現在の時刻を過ぎた配車時刻の予約注文データを配車待ちデータに移動し、該移動した配車待ちデータに基づいてオペレータが配車を行い、上記所定の第1の時間よりも長い所定の第2の時間間隔で上記顧客注文データのリストを上記データベースから読出し、読み出した時点の現在の時刻から上記所定の第2の時間よりも長い所定の第3の時間までの配車時刻の予約車両数と配車待ちデータのリストの車両数の合計を空き車両数から減算した値が所定のしきい値未満である場合には、上記所定の第3の時間までの配車時刻の予約注文データを配車待ちデータのリストに移動し、該移動した配車待ちデータに基づいて上記オペレータが配車を行う配車部を備えたものである。
また、好ましくは、上記発明の配車管理装置において、上記配車待ちデータが更新された場合には、上記オペレータに警告音を出力する警報出力手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、空き車両が少なくなる前に予約注文の配車を行うことによって、顧客が指定した予約時間に遅れずにタクシーを向かわせることができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、各図において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、説明の重複を避け、できるだけ説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明の配車管理装置の一実施例のを説明するためのブロック構成図である。110は配車管理装置、111は配車管理装置110の受付配車端末、115は配車管理装置110のデータベース(DB)、116は配車管理装置110のAVM( Automatic Vehicle Monitoring )部、112は受付配車端末111のCTI( Computer Telephony Integration )部、113は受付配車端末111の配車部、114は受付配車端末111のGUI( Graphical User Interface )部、120は配車管理装置110に結合された基地局、150は一般電話回線網、130は配車管理装置110に接続されたPBX( Private Branch Exchange:構内電話交換機)、136はオペレータ、131はオペレータ136がPBX130を介して顧客と通話するための電話機、132は入出力装置、133は入出力装置132の表示装置、134は入出力装置132のキーボード等の入力装置、135は入出力装置132のブザー、144はGPS( Global Positioning System )衛星、143は基地局120がカバーできる(送受信可能な)エリア(基地局カバーエリア)、141と142は基地局カバーエリア143内に存在するタクシー等の移動局である。
【0012】
図1は、受付配車端末、CTI( Computer Telephony Integration )システム、及び通信システムを連動させた実施例であり、GPSを利用したタクシー配車用AVMシステムの一実施例である。なお、以降の説明では、移動局を移動局141で代表して説明する。
図1において、配車管理装置110には、オペレータ136が待機しており、電話機131と入出力装置132とを操作する。
配車管理装置110の基地局カバーエリア143内に存在する移動局141は、GPS144により自車両の現在位置を検出し、配車管理装置110から到来するポーリング信号に応じて位置情報を送信している。また、配車管理装置110と移動局141と間では、無線回線を介して音声またはデータによる通信を行っている。
更に、配車管理装置110の受付配車端末111と電話機131は、顧客が配車予約等の配車依頼をするための顧客側電話機と、一般電話回線網150に接続されたPBX130を介して接続されており、顧客とオペレータ136は、一般電話回線網150を介して顧客電話機と電話機131とで通話を行う。
なお、PBX130の替りに、電話発信者番号を認識するナンバーディスプレイアダプタ装置を使用しても良い。
【0013】
配車管理装置110は、基地局120、PBX130、及び入出力装置132と結合し、受付配車端末111、DB115、及びAVM部116とを備える。
基地局120は、送/受信部や変調部及び復調部(図示しない)を備え、移動局141と無線通信を行う。
PBX130は、配車管理装置110の受付配車端末111のCTI部112と電話機131とに接続され、一般電話回線網150を介して、顧客からの注文を受ける。
CTI部112は、PBX130と連動してCTIシステムを実行する周知のアプリケーションソフトを内蔵し、顧客からの注文情報を配車部113に出力する。配車部113は、入力された注文情報を管理するための管理ソフトを内蔵し、CTI部112、GUI部114、及びDB115とアクセスし合い、配車管理を行う。
【0014】
GUI部114は、配車部113から入力された情報が表示装置133に向けた情報であれば、表示装置133が表示可能なデータに変換して表示装置133に出力する。また配車部113から入力された情報がブザー135に向けた情報であれば、ブザー135が出力可能なデータに変換してブザー135に出力する。表示装置133は、入力されたデータに従って画面表示を行い、とブザー135は、入力されたデータに従ってブザーを鳴らす。
またGUI部114は、オペレータ136が、表示装置133の表示画面上をキーボードやマウス等の入力装置134を使ってGUI( Graphical User Interface )操作した場合には、その操作情報を入力し、配車部113若しくはDB115に出力する。
【0015】
例えば、配車部113では、GUI操作に応じて注文日時、分前時間、顧客名、要求台数、配車日時、配車場所、等の顧客情報及び配車予約情報を記録若しくは更新し、かつ、DB115にその記録情報若しくは更新情報を出力する。DB115は、入力された情報を記録若しくは更新する。
また例えば、DB115は、入出力装置132からGUI部114を介してデータの読み出し命令を意味する信号データを入力されると、その命令に対応するデータをGUI部114を介して入出力装置132に出力する。また、データの内容が、配車部113の管理に関わるものであれば、配車部113にも出力する。
【0016】
配車部113は、例えば、顧客情報をDB115から読み出し、読み出した顧客情報と共に、顧客の注文を入出力装置132の表示装置133に表示させる。また例えば、配車部113の内蔵する注文情報を管理するためのアプリケーションソフトは、顧客情報登録若しくは変更と配車予約受付を実行する配車管理プログラムである。
配車部113は、配車管理プログラムに従って、顧客が一般電話回線網150を介して通話した注文情報等の顧客の通話内容をその電話番号や受付時間情報と共に記録する。また、配車部113は、配車管理プログラムに従って、オペレータ136が電話機131で受けて入出力装置132から入力した注文情報をもとに、顧客情報登録/変更要求に応じ、DB115内の顧客情報の登録若しくは変更処理を行う。また、配車部113は、配車管理プログラムに従って、顧客から配車予約要求を受け付け、配車予約内容をDB115に記録させる。
【0017】
DB115には、少なくとも、顧客情報データベース(顧客情報DB)と、配車予約データベース(配車予約DB)と、車両運行状況データベース(車両運行状況DB)とが格納される。車両運行状況DBには、タクシー向け無線データ伝送システムであるAVM部116が基地局120を介してエリア内の移動局(例えば、移動局141、142、等)からポーリング等で得た移動局の位置や移動体(タクシー)の現在の状況(例えば、空車中、実車中、待機中、迎車中、等)が蓄積(記録若しくは更新)されている。なお、空車中、又は待機中の車両が空き車両としてオペレータ136が配車できる移動体であるが、場合によっては、実車であっても配車予定の目的地近傍であれば配車対象としても良い。
顧客情報DBには、注文した顧客の顧客情報が格納される。顧客の識別には、例えば、タクシー乗車時に乗務員から配布されるメンバカードに記載されたメンバID(例えば、数桁の番号)が用いられる。このメンバIDを顧客固有の識別情報として用い、メンバIDに対応付けて氏名、自宅住所、変更日(顧客情報の変更日)等が記憶される。
また、配車予約DBには、顧客から受け付けた配車予約情報が格納される。配車予約情報には、注文日時(利用日時)、分前時間、顧客名(メンバID、名称。等)、要求台数(若しくは人数)、配車日時、配車場所(乗車場所)、等の情報が含まれる。なお、メンバIDは顧客名であっても良い。
また、上記実施例では、配車予約DB内に予約注文データと配車待ちデータとを格納されているが、配車予約DBを2つに分けたり、予約注文データを格納する予約注文DBと配車待ちデータを格納する配車待ちDBとを個々に備えても良い。
【0018】
配車管理プログラムは、配車予約DBと車両運行状況DBのデータ内容に基づいて、配車要求信号を基地局120に出力するように指示し、指示を受けた基地局120は、配車要求信号を移動局141に向け送信し、移動局141からの応答信号を受信する。
配車管理装置110の入出力装置132には、図示しないスタンドマイクが備えられ、オペレータ136が移動局141の乗務員と通話するために用いられる。スタンドマイクに入力された音声信号は、入出力装置132から、GUI部114を介して、例えばDB115とAVM部116を経由して基地局120に出力され、移動局141に対して送信される。また、移動局141からの音声は、上記経路を逆に経由して、配車管理装置110の図示しないスピーカから出力され、オペレータ136がその出力音を聞くことができる。
【0019】
顧客は、例えば、一般電話回線網150より、タクシー会社の配車管理装置110に電話し、配車管理装置110で待機するオペレータ136等との通話によってタクシーの配車注文を行う。又例えば、顧客は、インターネットを通してタクシーの配車注文を行う。
すると、配車部113は、DB115の配車予約DBを参照して、従来は、図2に示すような表示画面を表示装置133に表示する。図2(a) は予約注文データのリストである。リストは、時刻順に上下に並べられ、各行毎に予約日時、配車日時、顧客名、要求台数を表示する欄がある。このメンバ予約注文データの配車日時は、オペレータ136が経験的に配車場所や予約日時から算出して入力する。図2(a) では、予約時間の10分前若しくは15分前にしている。
【0020】
このような、予約注文データのリストの更新は、顧客からの配車要求の注文がある都度に行われるが、配車部113は、所定の周期(例えば、時間間隔が1分毎)で、予約注文データのリストから配車日時が現在の時刻を過ぎている予約があるか否かをチェックしている。
配車部113は、もし、予約注文データのリストから配車日時が現在の時刻と同じか若しくは現在の時刻を過ぎている予約注文データがあった場合には、図2(b) に示す配車待ちデータのリストにその予約注文データを移動する。そして、GUI部113を介して入出力装置132のブザー135を鳴らし、表示装置133に配車待ちデータのリストを表示させる。表示は、例えば、予約注文データのリストの上面(前面)にポップアップ表示しても良い。また、ブザーで警告音を出力する他に、表示灯を点灯若しくは点滅するようにしても良い。
これにより、オペレータ136は予約注文データが配車時間に到達したことを知り、車両運行状況DBを参照して空き車両(タクシー等の移動局)を探し、見つかった車両に顧客情報などの配車データを送信し、顧客の場所へ車両(タクシー)を向かわせていた。
しかしこのような運用システムでは、予約注文データが配車時間に到達した時に、運行中の車両(タクシー)が少ない場合や、予約の要求台数が多い場合には配車できる車両が不足して空き車両が現れるまで待つことなり、結果的に予約の時間を守れなくなることがある。
【0021】
更に、一般的な配車管理装置を図3によって説明する。図3は、配車部113が配車日時を監視する動作手順を説明するためのフローチャートである。DB115には、既に、顧客からの予約注文のデータが蓄積(記録若しくは更新)されているものとする。
ステップ301では、前に配車日時を監視してから、所定時間T(例えば、所定時間Tは1分である。)経過したか否かを判定する。もし所定時間Tが経過していなければ、ステップ301に戻り、ステップ301を繰り返す。もし所定時間Tが経過していれば、ステップ302に進む。
ステップ302では、予約注文データのリストを配車予約DBから読み出し、ステップ303に進む。
ステップ303では、現在の時刻とリスト内の配車日時とを比較し、配車日時が現在の時刻と同じか若しくは現在の時刻を過ぎてしまった予約注文データがあるか否かを判定する。もし配車日時が現在の時刻と同じか若しくは現在の時刻を過ぎてしまった予約注文データが無い場合にはステップ302に戻り、もし配車日時が現在の時刻と同じか若しくは現在の時刻を過ぎてしまった予約注文データがある場合には、ステップ304に進む。
ステップ304では、配車日時が現在の時刻と同じか若しくは現在の時刻を過ぎてしまった予約注文データを、配車待ちデータに移動し、ステップ305に進む。
ステップ305では、GUI部114を介して入出力装置132からブザー音の鳴動と画面に配車待ちデータのリスト表示をさせ、ステップ301に戻る。
【0022】
更に、一般的な配車管理装置を図4によって説明する。図4は、配車予約DBによる従来の配車管理装置を説明するための配車タイミング図である。
横軸は時間で、右より左になるほど過去に遡る時刻である。そして、時刻の横線と縦線が交差している時刻に枠で囲ったイベント401〜404が発生している。
時刻tでのイベント401は、予約注文受け付けたイベントの発生であり、その後、時刻tのイベント402は、配車日時になった若しくは経過したイベントが発生している。なお、配車日時とは、注文受付時(時刻t)にオペレータ136が受付配車端末111に入力した分前時刻である。
また、イベント402の発生後、時刻tでタクシーへの配車を行うイベント403が発生し、その後、時刻tで顧客が指定した予約日時になったイベント404が発生している。なお、時刻tと時刻tの時間差T34が、タクシー(移動局)が配車管理装置110から指示されて顧客指定の指定した配車場所に到達するまでの時間である。また、時刻tと時刻tの時間差T24が、オペレータ136(配車管理装置110)がタクシー(移動局)に配車指示して顧客指定の指定した配車場所に到達するまでの時間である。
【0023】
上述のように、配車部113は、配車管理プログラムによって、所定時間T(例えば、所定時間Tは1分である)経過する都度、配車予約DBを参照し、配車予約時間(配車日時)が到来する配車要求物件を監視している。そして、配車日時を過ぎた配車要求物件若しくは現在時刻と同時刻の配車要求物件があると、配車部113は、ブザー音や画面表示等で、オペレータ136に知らせる。オペレータ136は当該予約(配車要求物件)情報に対応して車両運行状況DBの車両運行状況データを参照して、乗車場所の近隣に存在する車両を検索する。ここで、配車部113は、例えば、各移動局から収集したGPSによる位置情報を利用する。
【0024】
そして、配車部113は、基地局120と送受信可能なエリア143内で検索された移動局から配車に適当な移動局141を選択し、当該移動局141に対して、予約情報を基地局120から送信する。移動局141は、この予約情報の提示を受けて、移動局141の乗務員は、配車可能であれば応答して、予約応答通知を配車部113に向け送信する。配車部113は、予約応答を基地局120を介して受信し、予約完了処理をとする。
【0025】
上述した図2〜図4の配車管理装置では、予め配車するための車両(タクシー)の数の把握等の空き車両の管理をしていなかった。このため、配車時間に到達し、予約注文データが表示された時に、配車できる車両が不足することがあった。そして、注文受付時には、「配車するための車両が無いので、予約時間には迎車ができません。」とか、「30分お待ちください。」と顧客に申し出ることができた連絡が、この時点ではできなくなってしまう状況に陥る。
【0026】
本発明は、このような状況をできるだけ起こさない配車管理装置である。例えば本発明は、顧客からの電話注文を受け付ける電話機と、電話発信者番号を認識するナンバーディスプレイアダプタ又はPBXと、車両位置動態情報を送信する移動局の情報を収集する基地局装置を具備したタクシー向け無線データ伝送システムと、データベース及び顧客注文データや車両運行状況を管理するタクシー受付配車端末を備えた配車管理装置とを備えた配車管理装置であって、所定の時刻に所定の場所に所定台数の配車を予約注文した顧客に対して、車両運行状況からタクシーの空き車両が少ないことを認識した場合には、早い時間に配車を行うことで、予約時刻にタクシーの到着を間に合わせることを特徴とする予約注文に対する配車管理装置である。
以下、図面によって、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図5によって、本発明の配車管理装置の一実施例を説明する。図5は、本発明の配車管理装置において、配車部113が配車管理プログラムによって配車日時を監視する動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。図5の動作は、例えば、図1で説明した配車管理装置110における配車部113が実行する。またこの時、配車管理装置110内のDB115には、既に、顧客からの予約注文のデータが格納(記録若しくは更新)されているものとする。
【0028】
ステップ501では、前に配車日時を監視してから、所定時間T(例えば、所定時間Tは5分である。)経過したか否かを判定する。もし所定時間Tが経過していなければ、ステップ501に戻り、ステップ501を繰り返す。もし所定時間Tが経過していれば、ステップ502に進む。
ステップ502では、予約注文データを現在時刻から所定時間T(例えば、所定時間Tは30分である。)後まで配車予約DBから読み出し、その時間中に必要な配車台数(要求台数A)を集計し、ステップ503に進む。
ステップ503では、配車待ちデータを配車予約DBから読み出して、配車待ちデータ中の台数(要求台数B)を集計し、ステップ504に進む。
ステップ504では、車両運行状況DBから車両運行状況データを読み出して、空き車両の台数(空き車両台数C)を算出して、ステップ505に進む。
【0029】
ステップ505では、要求台数Aと要求台数Bを加算し(A+B)、更に空き車両台数Cから、上述の加算した要求台数(A+B)を減算した値D(D=C−(A+B))を算出し、算出した値Dが所定のしきい値Q未満か否か(D<Q?)を判定する(例えば、Q=5)。もし、値Dがしきい値Q未満であればステップ506に進み、否であるならばステップ501に戻る。
ステップ506では、配車予約DBから読み出した予約注文データ(要求台数A:現在時刻から所定時間Tまでの時間中に必要な配車台数)を配車待ちデータに移動し、ステップ507に進む。
ステップ507では、GUI部114を介して入出力装置132からブザー音の鳴動と共に、表示装置133の表示画面に配車待ちデータのリスト表示をさせ、ステップ501に戻る。
【0030】
本発明の配車管理装置を図6によって説明する。図6は、配車予約DBによる本発明の配車管理装置の一実施例を説明するための配車タイミング図である。
現在時刻が配車時刻に到達する前に、空き車両が不足していることを認識すると、配車時刻に到達する前に、配車待ちデータへ移動させ、オペレータ136が配車を行うものである。
図4と同様に、横軸は時間で、右より左になるほど過去に遡る時刻である。そして、時刻の横線と縦線が交差している時刻に枠で囲ったイベント401、602、402、及び404が発生している。
時刻tでのイベント401は、予約注文受け付けたイベントの発生であり、その後、例えば、図5で説明したように、空き車両等の車両が不足していると判定された場合には、時刻t′でタクシーへの配車を行うイベント603が発生する。この時、時刻tと時刻t′の時間差T34′が、タクシー(移動局)が配車管理装置110から指示されて顧客指定の指定した配車場所に到達するまでの時間である。
その後、時刻tにおいて、配車日時になった若しくは経過したイベント402が発生するが、新たに注文予約がなければ、配車は行われない。
また、イベント402の発生後、その後、時刻tで顧客が指定した予約日時になったイベント404が発生している。
【0031】
次に、図7によって、本発明の配車管理装置の他の実施例を説明する。図7は、本発明の配車管理装置において、配車部113が配車管理プログラムによって配車日時を監視する動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。図7の動作は、例えば、図1で説明した配車管理装置110における配車部113が実行する。またこの時、配車管理装置110内のDB115には、既に、顧客からの予約注文のデータが格納(記録若しくは更新)されているものとする。
【0032】
図7の実施例は、従来の図3のチェック処理を行った後に、図5の処理を追加したものである。
即ち、先ずステップ501では、前に処理ステップ502以降の処理(ステップ502〜ステップ507)を実行してから、所定時間T(例えば、所定時間Tは5分である。)経過したか否かを判定する。もし所定時間Tが経過していなければ、ステップ301に進み、所定時間Tが経過していれば、ステップ502に進む。
以下、ステップ502からステップ507までの処理動作は、図5で説明した処理と同じである。そして、ステップ507では、GUI部114を介して入出力装置132からブザー音の鳴動と共に、表示装置133の表示画面に配車待ちデータのリスト表示をさせ、ステップ501に戻る。
【0033】
ステップ301では、前に処理ステップ302以降の処理(ステップ302〜ステップ305)を実行してから、所定時間T(例えば、所定時間Tは1分である。)経過したか否かを判定する。もし所定時間Tが経過していなければ、ステップ501に戻り、所定時間Tが経過していれば、ステップ302に進む。
ステップ302では、予約注文データのリストを配車予約DBから読み出し、ステップ303に進む。
ステップ303では、現在の時刻とリスト内の配車日時とを比較し、配車日時が現在の時刻と同じか若しくは現在の時刻を過ぎてしまった予約注文データがあるか否かを判定する。もし配車日時が現在の時刻と同じか若しくは現在の時刻を過ぎてしまった予約注文データが無い場合にはステップ501に戻り、もし配車日時が現在の時刻と同じか若しくは現在の時刻を過ぎてしまった予約注文データがある場合には、ステップ304に進む。
ステップ304では、配車日時が現在の時刻と同じか若しくは現在の時刻を過ぎてしまった予約注文データを、配車待ちデータに移動し、ステップ305に進む。
ステップ305では、GUI部114を介して入出力装置132からブザー音の鳴動と画面に配車待ちデータのリスト表示をさせ、ステップ501に戻る。
【0034】
上述の実施例によれば、空き車両が少なくなる前に予約注文の配車を行うことによって、顧客が指定した予約時間に遅れずにタクシーを向かわせることができるようになる。
【0035】
尚、上述の実施例では、配車する対象をタクシーとして説明したが、ハイヤーでも良いし、他の車両(例えば、マイクロバス、トラック等の輸送車、など)や工場内の移動搬送車でも良いことは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の配車管理装置の一実施例を説明するためのブロック構成図。
【図2】従来の予約注文データと配車待ちデータの一例を示す図。
【図3】従来の配車管理装置の一例を説明するためのフローチャート。
【図4】従来の配車管理装置の配車タイミングを示す図。
【図5】本発明の配車管理装置の動作手順の一実施例を説明するためのフローチャート。
【図6】本発明の配車管理装置の一実施例の配車タイミングを示す図。
【図7】本発明の配車管理装置の動作手順の一実施例を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0037】
110:配車管理装置、 111:受付配車端末、 112:CTI部、 113:配車部、 114:GUI部、 115:DB、 116:AVM部、 120:基地局、 130:PBX、 131:電話機、 132:入出力装置、 133:表示装置、 134:入力装置、 135:ブザー、 136:オペレータ、 141、142:移動局、 143:基地局カバーエリア、 144:GPS衛星、 150:一般電話回線、 401〜404:イベント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局が送信する車両位置動態情報を収集する基地局装置を具備したAVM(Automatic Vehicle Monitoring)部、並びに、顧客からの電話による予約注文を顧客注文データとして格納しかつ上記車両位置動態情報を車両運行状況データとして格納するデータベース、及び、上記顧客からの予約注文を受け付け、上記データベースから読み出した顧客注文データと上記車両運行状況データとに基づいて配車管理する受付配車端末、とを具備する配車管理装置において、
上記顧客注文データを所定の第1の時間間隔で上記データベースから読出し、現在の時刻と同一か若しくは現在の時刻を過ぎた配車時刻の予約注文データを配車待ちデータに移動し、該移動した配車待ちデータに基づいてオペレータが配車を行い、上記所定の第1の時間よりも長い所定の第2の時間間隔で上記顧客注文データのリストを上記データベースから読出し、読み出した時点の現在の時刻から上記所定の第2の時間よりも長い所定の第3の時間までの配車時刻の予約車両数と配車待ちデータのリストの車両数の合計を空き車両数から減算した値が所定のしきい値未満である場合には、上記所定の第3の時間までの配車時刻の予約注文データを配車待ちデータのリストに移動し、該移動した配車待ちデータに基づいて上記オペレータが配車を行う配車部を備えたことを特徴とする配車管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−294742(P2009−294742A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145461(P2008−145461)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】