説明

配電システム

【課題】住戸において蓄電池が電気機器に電力を供給している場合に蓄電池の残量および蓄電池が用いられていることを使用者に知らせる。
【解決手段】配電システムは、住戸9において、蓄電池21を含む複数個の電源から電気機器6に電力を供給することを可能とする。配電システムは、蓄電池21の残量を管理する管理装置4と、管理装置4と通信する端末5とを備える。管理装置4は、蓄電池21が電気機器6に電力を供給していることを検出する電力供給検出部と、蓄電池21の残量を検出する残量検出部と、蓄電池21の残量に関する残量情報を端末5に送信する管理側通信部とを有する。管理側通信部は、蓄電池21が電気機器6に電力を供給している場合に残量情報を端末5に伝送する。端末5は、管理装置4から残量情報を取得する端末側通信部と、端末側通信部で取得された残量情報に応じて蓄電池21の残量を提示する提示部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住戸において蓄電池から電気機器に電力を供給することを可能とする配電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住戸において電力会社の商用電源から電気機器に電力を供給する配電システムが構築されている。商用電源から電気機器に電力を供給する場合、住戸で使用可能な電力の上限値は、電力会社との契約および分電盤に設置されるブレーカの容量によって定められる。上限値を超える電力が使用された場合、ブレーカが動作して電力供給が停止するという状況が発生する。上記のような状況になった場合、点灯中の照明器具が消灯したり、動作中のエアコンが停止したり、電子レンジなどの電化調理器具が停止したりするといったように、本来停止してほしくない電気機器が停止してしまうことになり、電気機器の復旧作業に手間を要するといった問題があった。
【0003】
上記問題を解決する手段として、電源供給部にセンサを備え、センサの検知量が予め決められた供給量を超えた場合に、予め登録された電気機器に対する電力使用を削減または停止させるように制御するシステムが知られている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−110424号公報
【特許文献2】特開2010−74591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載されたような従来のシステムでは、商用電源のみから電気機器に電力を供給する場合を前提とし、太陽光発電などによって生成された電力を蓄電可能な蓄電池が電気機器に電力を供給する場合については考慮されていない。住戸に設置される蓄電池の蓄電容量は一般的に高くない。したがって、蓄電容量が限られている蓄電池から電気機器に電力を供給する場合、使用者が気付かないうちに蓄電池の蓄電容量を超えて使い過ぎてしまう可能性がある。蓄電池の残量が減少していき、全量を放電した場合、電力コストの高い商用電源を使用する必要があるため、エネルギーコストを抑制することができないという問題があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みて為され、本発明の目的は、住戸において蓄電池が電気機器に電力を供給している場合に蓄電池の残量および蓄電池が用いられていることを使用者に知らせることができる配電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の配電システムは、住戸において、蓄電池と当該蓄電池とは異なる他の電源とから、前記住戸に設置された電気機器に電力を供給することを可能とする配電システムであって、前記蓄電池の残量を管理する管理装置と、前記住戸に設置され前記管理装置と通信する端末とを備え、前記管理装置は、前記蓄電池が前記電気機器に電力を供給していることを検出する電力供給検出部と、前記蓄電池の残量を検出する残量検出部と、前記蓄電池が前記電気機器に電力を供給していることが前記電力供給検出部で検出された場合に、前記残量検出部で検出された前記蓄電池の残量に関する残量情報を前記端末に伝送する管理側通信部とを有し、前記端末は、前記管理装置から前記残量情報を取得する端末側通信部と、前記端末側通信部で取得された前記残量情報に応じて前記蓄電池の残量を提示する提示部とを有することを特徴とする。
【0008】
この配電システムにおいて、前記管理側通信部は、有線通信によって前記残量情報を前記端末に伝送することが好ましい。
【0009】
この配電システムにおいて、前記管理側通信部は、無線通信によって前記残量情報を前記端末に伝送することが好ましい。
【0010】
この配電システムにおいて、前記蓄電池の残量を前記提示部に提示させるために操作される残量確認操作部を備え、前記提示部は、前記残量確認操作部が操作されると前記蓄電池の残量を提示することが好ましい。
【0011】
この配電システムにおいて、前記提示部による前記蓄電池の残量を提示する機能について有効と無効とを切り替えるために操作される機能制御操作部を備え、前記提示部は、前記機能制御操作部に対する切替操作に従って、前記蓄電池の残量を提示する機能について有効と無効とを切り替えることが好ましい。
【0012】
この配電システムにおいて、前記提示部は、光を発する発光部を含み、当該発光部の点灯状態を変化させることで前記蓄電池の残量を提示することが好ましい。
【0013】
この配電システムにおいて、前記提示部は、音を出力する音出力部を含み、当該音出力部から出力される音の状態を変化させることで前記蓄電池の残量を提示することが好ましい。
【0014】
この配電システムにおいて、前記端末は、配線器具用の取付枠に取付可能なケースを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、住戸において蓄電池が電気機器に電力を供給している場合に蓄電池の残量を提示することによって、蓄電池の残量を常時提示する場合とは異なり、使用者に対して、蓄電池の残量とともに、現在、蓄電池が用いられていることを知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1に係る配線システムの構成を示す概略図である。
【図2】同上に係る管理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同上に係る端末の構成を示すブロック図である。
【図4】同上に係る端末の正面図である。
【図5】同上に係る端末であって、取付枠に取り付けられた状態の正面図である。
【図6】(a)は同上に係る端末の一部の外観図、(b)は同上に係る端末が取り付けられる取付枠の斜視図である。
【図7】実施形態2に係る端末の構成を示すブロック図である。
【図8】同上に係る端末の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の実施形態1〜3では、住戸において蓄電池から電気機器に電力を供給することを可能とする配電システムについて説明する。
【0018】
(実施形態1)
実施形態1に係る配電システムは、図1に示すように、戸建住宅である住戸9に設置され、商用電源7から複数台(図示例では2台)の電気機器6,6への電力供給を可能とする。電気機器6は、住戸9内の部屋91に設置されている。
【0019】
本実施形態の配電システムは、系統連系を行う太陽電池モジュール1と、太陽電池モジュール1で生成された直流電力を蓄電するための蓄電装置2と、直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナ31と、交流電力を分電する分電盤32とを備えている。本実施形態の配電システムは、住戸9において、複数個の電源(太陽電池モジュール1、商用電源7、後述の蓄電池21)から各電気機器6に電力を供給することを可能とする。なお、配電システムの設置場所は、図1に示すような戸建住宅に限定されず、集合住宅内の1戸の住戸であってもよい。配電システムが集合住宅内の1戸の住戸に設置される場合、太陽電池モジュール1と蓄電装置2とパワーコンディショナ31の各々は、集合住宅全体で1台ずつ設置されている。
【0020】
また、本実施形態の配電システムは、後述の蓄電池21の残量を管理する管理装置4と、住戸9に設置され管理装置4と通信する複数台(図示例では2台)の端末5,5とを備えている。端末5は、住戸9において任意の場所に配置することが可能であり、本実施形態では電気機器6が設置されている部屋91に設置されている。
【0021】
太陽電池モジュール1は、複数枚の太陽電池が並んで接続された状態で住戸9の屋根92に設置され、太陽光発電によって直流電力を生成する。
【0022】
蓄電装置2は、太陽電池モジュール1によって生成された直流電力を蓄電可能な蓄電池21を備え、蓄電池21の充放電を制御する充放電制御機能を有している。蓄電池21は、例えばニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池または鉛蓄電池などであり、住戸9に設けられている。蓄電装置2は、太陽電池モジュール1による電力供給が不足している場合(夜間の場合を含む)に、蓄電池21を放電させることによって、蓄電池21から電気機器6に電力を供給させる。
【0023】
パワーコンディショナ31は、太陽電池モジュール1で生成された直流電力および蓄電池21から出力された直流電力を交流電力に変換する。
【0024】
分電盤32は、パワーコンディショナ31から出力される交流電力および商用電源7から供給される交流電力を分電する。
【0025】
管理装置4は、図2に示すように、蓄電池21が電気機器6に電力を供給していることを検出する電力供給検出部41と、蓄電池21の残量を検出する残量検出部42と、各端末5(図1参照)と通信する管理側通信部43とを備えている。管理装置4は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)を主構成要素とする。さらに、管理装置4は、管理装置4の動作電源である管理側電源部44を備えている。
【0026】
電力供給検出部41は、蓄電池21がパワーコンディショナ31に向けて直流電力を出力していることを蓄電装置2から検出する。つまり、電力供給検出部41は、蓄電池21が放電していることを蓄電装置2から検出する。これにより、電力供給検出部41は、蓄電池21が複数台の電気機器6,6の少なくとも1台に電力を供給していることを検出する。
【0027】
残量検出部42は、例えば蓄電池21の出力電圧を計測することによって蓄電池21の残量を検出する。残量検出部42で検出された蓄電池21の残量に関する残量情報は、残量検出部42から管理側通信部43に出力される。
【0028】
管理側通信部43は、蓄電池21が少なくともいずれかの電気機器6に電力を供給していることが電力供給検出部41で検出された場合に、残量検出部42から取得した残量情報を端末5に伝送する。本実施形態では、管理側通信部43は、残量情報を含む通信信号を有線通信によって端末5に伝送する。具体的には、電力線8を通信回線として用いる電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)によって、管理側通信部43は、残量情報を含む通信信号を端末5に伝送する。つまり、管理側通信部43は、管理装置4と分電盤32との間の電力線8(図1参照)に接続され、上記電力線8に上記通信信号を重畳させて端末5に伝送する。また、管理側通信部43は、端末5から送信された通信信号を供給電力に重畳した状態で分電盤32から受信し、上記通信信号と供給電力とに分離することによって、上記通信信号を取得することができる。
【0029】
管理側電源部44は、分電盤32からの電力供給によって管理装置4の動作電源となる。
【0030】
端末5は、図3に示すように、管理装置4(図1参照)と通信する端末側通信部51と、蓄電池21の残量を提示する表示部52とを備えている。さらに、端末5は、端末5の動作を制御する制御部53と、端末5の動作電源である端末側電源部54とを備えている。また、端末5は、図4に示すように、端末側通信部51と表示部52と制御部53と端末側電源部54とが収納されるケース55を備えている。
【0031】
図3に示す端末側通信部51は、分電盤32と端末5との間の電力線8(図1参照)に接続され、電力線搬送通信によって管理装置4から残量情報を取得する。つまり、端末側通信部51は、管理装置4から送信された通信信号を供給電力に重畳した状態で受信し、上記通信信号と供給電力とに分離することによって、上記通信信号に含まれている残量情報を取得する。端末側通信部51で取得された残量情報は、制御部53の指示に従って、端末側通信部51から表示部52に出力される。また、端末側通信部51は、上記電力線8に通信信号を重畳させて端末5に伝送することができる。
【0032】
表示部52は、図4に示すように、各々が異なる色の光を発する複数(図示例では5つ)の発光部521〜525を備えている。発光部521〜525は、ケース55の前面に露出している。本実施形態では、発光部521が青色に点灯し、発光部522が緑色に点灯し、発光部523が黄色に点灯し、発光部524がオレンジ色に点灯し、発光部525が赤色に点灯する。
【0033】
上記のような構成の表示部52は、制御部53の指示に従って、端末側通信部51で取得された残量情報に応じて複数の発光部521〜525の点灯状態を変化させることによって、蓄電池21(図1参照)の残量を提示する。表示部52は提示部の機能を有している。つまり、表示部52は、残量情報に応じて異なる色の光を点灯させることによって蓄電池21の残量を表示する。例えば蓄電池21の残量が100%である場合に発光部521が点灯し、蓄電池21の残量が80%である場合に発光部522が点灯し、蓄電池21の残量が50%である場合に発光部523が点灯する。蓄電池21の残量が30%である場合に発光部524が点灯し、蓄電池21の残量が10%である場合に発光部525が点灯する。
【0034】
なお、表示部52は、上記点灯方法に限定されず、1つの発光部を用いて多色表示したり、1色で点滅間隔を変化させて表示したりすることによって、蓄電池21の残量を提示してもよい。点滅間隔を変化させる場合、点滅間隔は、例えば蓄電池21の残量が100%であるときに10秒間に設定され、蓄電池21の残量が80%であるときに5秒間に設定され、蓄電池21の残量が50%であるときに2秒間に設定される。蓄電池21の残量が30%であるときに1秒間に設定され、蓄電池21の残量が10%であるときに0.5秒間に設定される。
【0035】
制御部53は、CPUを主構成要素とし、例えば端末側通信部51および表示部52の動作を制御したり、端末側通信部51と表示部52との間の情報の授受を制御したりする。例えば、蓄電池21の残量を提示する機能が有効である場合、制御部53は、表示部52が予め設定された時間間隔で蓄電池21の残量を表示するように表示部52を制御する。
【0036】
端末側電源部54は、分電盤32からの電力供給によって端末5の動作電源となる。
【0037】
ケース55は、図5に示すように、単位寸法の配線器具(図示せず)が複数個取付可能に形成された取付枠561に取り付けられている。配線器具は、JIS規格で規格化されている大角形連用配線器具である。図6(b)に示すように、取付枠561には、矩形枠状であって細長の器具取付用の窓孔563が形成されている。窓孔563は、長手方向の寸法が単位寸法の配線器具を3個並べて取付可能な寸法になるように形成されている。取付枠561の長手方向に沿う両側枠片564,564には配線器具を取り付けるための2個1組の器具取付孔565が3組ずつ形成されている。取付枠561は、住戸9において壁面などの造営面に取り付けられ、ケース55の後部は造営面に埋設される。取付枠561の前面側には、図4に示すように、プレート562が重ね合わせて配置される。
【0038】
ケース55は、壁スイッチの標準規格で規定された寸法に形成されている。つまり、窓孔563の長手方向に沿う方向において、ケース55の寸法は、単位寸法の配線器具を3個並べたような寸法に設定されている。窓孔563の短手方向に沿う方向において、ケース55の寸法は、窓孔563の短手方向の寸法に略等しい。なお、ケース55の寸法は、上記に限定されず、窓孔563の長手方向に沿う方向において、単位寸法の配線器具を1個または2個並べたような寸法であってもよい。また、ケース55は、1連用の取付枠561ではなく、2連用の取付枠(図示せず)に取付可能な大きさであってもよい。
【0039】
図6に示すように、ケース55の両側面には、取付枠561に形成された器具取付孔565に係合可能な取付爪551がそれぞれ一対ずつ突出して設けられている。取付爪551を器具取付孔565に係合させることで、ケース55が取付枠561に保持される。ケース55の一方の側壁には、取付爪551が設けられた部位の上下両側に、後端が開放された2本の切り込み溝552,552が前後方向に沿って形成されている。2本の切り込み溝552,552の間の部位は厚み方向において可撓性を有する撓み片553が形成されている。すなわち、撓み片553をケース55の内側に撓ませることで、一対の取付爪551,551をケース55の側面から弾性的に後退させることができる。
【0040】
ところで、端末5は、図3に示すように、蓄電池21(図1参照)の残量を表示部52に表示させるために操作される残量確認操作部57を備えている。本実施形態では、残量確認操作部57として押ボタンスイッチが用いられている。残量確認操作部57は、使用者が操作できるようにケース55の前面に露出している(図4参照)。
【0041】
制御部53は、使用者が残量確認操作部57を押下した際に、端末側通信部51を制御して管理装置4から残量情報を取得し、上記残量情報に従って表示部52が蓄電池21の最新の残量を表示するように表示部52を制御する。
【0042】
表示部52は、残量確認操作部57が操作された際に、制御部53の指示に従って、蓄電池21の残量を表示する。
【0043】
上記のように残量確認操作部57が操作された場合は、蓄電池21が放電中であっても充電中であっても、残量確認操作部57が操作された時点での蓄電池21の残量を示す残量情報が、管理装置4から端末5に伝送される。このとき表示部52に表示される蓄電池21の残量は、蓄電池21が放電中である場合、これから放電可能な容量(放電可能容量)を示し、蓄電池21が充電中である場合、既に充電済の容量(充電済容量)を示す。
【0044】
さらに、端末5は、表示部52による蓄電池21の残量を提示する機能について有効と無効とを切り替えるために操作される機能制御操作部58を備えている。本実施形態では、機能制御操作部58としてスライドスイッチが用いられている。機能制御操作部58は、使用者が操作できるように操作摘み581がケース55の前面に露出している(図4参照)。
【0045】
制御部53は、使用者による機能制御操作部58での切替操作に従って、表示部52による蓄電池21の残量を提示する機能を有効にするか無効にするかを切り替える。具体的には、蓄電池21の残量を提示する機能について機能制御操作部58で有効に切替操作された場合、制御部53は、表示部52による蓄電池21の残量を提示する機能を有効にさせる。蓄電池21の残量を提示する機能について機能制御操作部58で無効に切替操作された場合、制御部53は、表示部52による蓄電池21の残量を提示する機能を停止させる。
【0046】
表示部52は、制御部53の指示に従って、蓄電池21の残量を提示する機能を有効にするか無効にするかを切り替える。
【0047】
次に、本実施形態に係る配電システムの動作について図1〜3を用いて説明する。まず、管理装置4において、蓄電池21が電気機器6に電力を供給していることを電力供給検出部41が検出すると、残量検出部42が蓄電池21の残量を検出する。その後、管理側通信部43が残量情報を端末5に伝送する。端末5では、端末側通信部51が管理装置4から残量情報を取得し、表示部52が残量情報に応じて蓄電池21の残量を表示する。
【0048】
以上の説明より、本実施形態の配電システムは、蓄電池21による電力供給が可能な住戸9において、蓄電池21が電気機器6に電力を供給している場合に、端末5の表示部52が蓄電池21の残量を提示する。これにより、本実施形態の配電システムでは、蓄電池21の残量を使用者へ知らせることができるので、例えば使用者による蓄電池21の使い過ぎを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態の配電システムは、上述したように、蓄電池21が電気機器6に電力を供給している場合に蓄電池21の残量を提示する。これにより、本実施形態の配電システムは、蓄電池21の残量を常時提示する場合とは異なり、使用者に対して、蓄電池21の残量とともに、現在、蓄電池21が用いられていることを知らせることができる。その結果、使用者に対して電気機器6の使用方法および使用時期を変更させて使用することができ、省エネルギーの意識付けを支援することができる。
【0050】
さらに、本実施形態の配電システムは、蓄電池21が電気機器6に電力を供給している場合に蓄電池21の残量を提示するので、蓄電池21の残量を常に提示する場合に比べて、管理装置4と端末5との間の通信による通信トラフィックを低減することができる。
【0051】
本実施形態の配電システムは、使用者が残量確認操作部57を操作することによって、任意のタイミングで蓄電池21の残量を確認することができ、電気機器6を使用してよいか否かを判断することができる。
【0052】
また、本実施形態の配電システムは、使用者が機能制御操作部58を切替操作することによって、蓄電池21の残量を提示する機能を有効にするか無効にするかを切り替えることができる。これにより、例えば就寝時や残量提示が不要な場合に、使用者が上記機能を無効にするように機能制御操作部58を切替操作することによって、無駄な残量提示を防止することができる。
【0053】
さらに、本実施形態の配電システムは、残量情報に応じて複数の発光部521〜525を発光させて蓄電池21の残量を提示することによって、使用者が蓄電池21の残量を視覚的に確認することができる。
【0054】
また、本実施形態の配電システムでは、端末5のケース55の形状が、配線器具用の取付枠561に端末5を取付可能な形状になっている。これにより、本実施形態の配電システムによれば、端末5を部屋91に設置する際に配線器具を設置するための部材を用いることができ、配線器具を設置する場合と同じ施工方法で端末5を部屋91に設置することができる。
【0055】
(実施形態2)
実施形態に係る配電システムは、提示部として表示部52に代えて図7に示すような警報音出力部59を端末5に備えている点で、実施形態1に係る配電システムと相違する。なお、実施形態1の配電システムと同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
本実施形態の端末5は、図7に示すように、端末側通信部51で取得された残量情報に応じて蓄電池21の残量を提示する警報音出力部59を備えている。なお、本実施形態の端末5は、端末側通信部51と制御部53と端末側電源部54と残量確認操作部57とを実施形態1の端末5と同様に備えている。
【0057】
警報音出力部59は、例えばスピーカなどの音源(図示せず)を含み、上記音源から出力される音の状態を変化させることで、蓄電池21(図1参照)の残量を提示する。警報音出力部59は提示部の機能を有している。警報音出力部59は、ケース55の前面から外部に音が出力されるようにケース55に収納されている(図8参照)。
【0058】
上記のような構成の警報音出力部59は、蓄電池21の残量が100%である場合に「ピッ」という警報音を出力し、蓄電池21の残量が80%である場合に「ピッピッ」という警報音を出力する。警報音出力部59は、蓄電池21の残量が50%である場合に「ピッピッピッ」という警報音を出力し、蓄電池21の残量が30%である場合に「ピッピッピッピッ」という警報音を出力し、蓄電池21の残量が10%である場合に「ピー」という警報音を出力する。
【0059】
本実施形態の機能制御操作部58は、警報音出力部59による蓄電池21の残量を提示する機能について有効と無効とを切り替えるために操作される。なお、実施形態1の機能制御操作部58(図3,4参照)と同様の機能については説明を省略する。
【0060】
本実施形態の制御部53は、使用者による機能制御操作部58での切替操作に従って、警報音出力部59による蓄電池21の残量を提示する機能を有効にするか無効にするかを切り替える。
【0061】
警報音出力部59は、制御部53の指示に従って、蓄電池21の残量を提示する機能を有効にするか無効にするかを切り替える。
【0062】
以上、本実施形態の配電システムによれば、警報音出力部59の音の状態を変化させることによって蓄電池21の残量を提示することができるので、目視による確認が不要となる。これにより、使用者が端末5を視認しにくい場所で電気機器6を操作する場合であっても、使用者に対して、電力コストを抑制した電気機器6の使用を支援することができる。
【0063】
(実施形態3)
実施形態3に係る配電システムは、管理装置4と端末5とが有線通信ではなく無線通信を行う点で、実施形態1に係る配電システムと相違する。なお、実施形態1の配電システムと同様の構成要素については、説明を省略する。
【0064】
本実施形態の管理側通信部43は、例えば無線LAN(Local Area Network)などの無線通信によって残量情報を端末5に伝送する。なお、実施形態1の管理側通信部43と同様の機能については説明を省略する。
【0065】
なお、本実施形態における管理装置4と端末5とが無線通信を行う機能は、実施形態2の配電システムに適用してもよい。
【符号の説明】
【0066】
21 蓄電池
4 管理装置
41 電力供給検出部
42 残量検出部
43 管理側通信部
5 端末
51 端末側通信部
52 表示部(提示部)
521〜525 発光部
55 ケース
57 残量確認操作部
58 機能制御操作部
59 警報音出力部(提示部)
6 電気機器
9 住戸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住戸において、蓄電池と当該蓄電池とは異なる他の電源とから、前記住戸に設置された電気機器に電力を供給することを可能とする配電システムであって、
前記蓄電池の残量を管理する管理装置と、前記住戸に設置され前記管理装置と通信する端末とを備え、
前記管理装置は、
前記蓄電池が前記電気機器に電力を供給していることを検出する電力供給検出部と、
前記蓄電池の残量を検出する残量検出部と、
前記蓄電池が前記電気機器に電力を供給していることが前記電力供給検出部で検出された場合に、前記残量検出部で検出された前記蓄電池の残量に関する残量情報を前記端末に伝送する管理側通信部とを有し、
前記端末は、
前記管理装置から前記残量情報を取得する端末側通信部と、
前記端末側通信部で取得された前記残量情報に応じて前記蓄電池の残量を提示する提示部とを有する
ことを特徴とする配電システム。
【請求項2】
前記管理側通信部は、有線通信によって前記残量情報を前記端末に伝送することを特徴とする請求項1記載の配電システム。
【請求項3】
前記管理側通信部は、無線通信によって前記残量情報を前記端末に伝送することを特徴とする請求項1記載の配電システム。
【請求項4】
前記蓄電池の残量を前記提示部に提示させるために操作される残量確認操作部を備え、
前記提示部は、前記残量確認操作部が操作されると前記蓄電池の残量を提示する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項5】
前記提示部による前記蓄電池の残量を提示する機能について有効と無効とを切り替えるために操作される機能制御操作部を備え、
前記提示部は、前記機能制御操作部に対する切替操作に従って、前記蓄電池の残量を提示する機能について有効と無効とを切り替える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項6】
前記提示部は、光を発する発光部を含み、当該発光部の点灯状態を変化させることで前記蓄電池の残量を提示することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項7】
前記提示部は、音を出力する音出力部を含み、当該音出力部から出力される音の状態を変化させることで前記蓄電池の残量を提示することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項8】
前記端末は、配線器具用の取付枠に取付可能なケースを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の配電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−170298(P2012−170298A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31196(P2011−31196)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】