配電函
【課題】 ケーブルの剛性が高い場合であっても、本体の内部へ雨水が浸入し難く、かつ、ケーブルの抜き差し作業が困難になることのない、配電函を提供する。
【解決手段】 配電函1は、周壁2bと底壁2cとを有する函本体2と、函本体2の開口2dを閉塞する蓋体3とを備え、周壁2bを構成する一の本体壁2eを下にして被取付体1aに取り付けられる。蓋体3は、開口2dを覆う閉塞部3aと、側壁3bとを有し、回動連結軸4を中心として回動可能である。側壁3bを構成する一の蓋壁3dには、蓋体3が、所定の中間回動位置に位置する状態で、一の本体壁2eの前端2g部分とで通過口6を形成する、通過口形成部5が設けられる。側壁3bは、蓋体3が中間回動位置に位置する状態において、通過口形成部5が形成された部分を除き、周壁2bの外周面2fに被る長さとなるように延出形成されている。
【解決手段】 配電函1は、周壁2bと底壁2cとを有する函本体2と、函本体2の開口2dを閉塞する蓋体3とを備え、周壁2bを構成する一の本体壁2eを下にして被取付体1aに取り付けられる。蓋体3は、開口2dを覆う閉塞部3aと、側壁3bとを有し、回動連結軸4を中心として回動可能である。側壁3bを構成する一の蓋壁3dには、蓋体3が、所定の中間回動位置に位置する状態で、一の本体壁2eの前端2g部分とで通過口6を形成する、通過口形成部5が設けられる。側壁3bは、蓋体3が中間回動位置に位置する状態において、通過口形成部5が形成された部分を除き、周壁2bの外周面2fに被る長さとなるように延出形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の壁とかポール等の被取付体に取り付けられる配電函に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配電函は、図31に示すように、開口部を有して機器等が収容される本体21と、前記開口部を閉じる蓋体(図示せず)とから構成されていた(例えば、特許文献1参照)。ここで、蓋体は、本体21における周壁21aの先端部分を含めて前記開口部に被せられた。そして、本体21には、周壁21aにノックアウト部21bが形成されており、このノックアウト部21bを打ち抜いて、ケーブル引出口が形成された。
【0003】
ところで、上記の配電函にあっては、前記引出口は、周壁21aの先端側が、外側に被せられる蓋体によって閉鎖される。また、この種の配電函においては、例えば、コンセントのような、プラグの差込口を有する器具を、その差込口が開口部側を向くように、本体21における底壁21cに固定し、プラグ付のケーブルを前記差込口に差して前記引出口から引き出すことがある。このため、上記の配電函において、剛性のあるケーブルを前記差込口に差して前記引出口から引き出す場合、差込口から延びるケーブルを屈曲させて引出口に合わせるとともに、そのケーブルを引出口内に移動させるように押え込みながら、蓋体を閉めていた。また、ケーブルの剛性が高く、ケーブルを引出口内に移動させることが困難な場合には、蓋体を完全に閉めることができず、本体21の内部が露出し、本体21の内部への雨水の浸入を防ぐことができなかった。
【0004】
ここにおいて、図32に示すように、機器が収容されるボックス本体31と、そのボックス本体31の開口部を閉塞するための蓋体32とから構成される機器収容ボックスであって、ボックス本体31の底壁部31aに形成される固定部33と、底壁部31aから開口部に向けて垂直に延びるように底壁部31a(固定部33)に取り付けられる機器固定板34とを備える、機器収容ボックスがあった(例えば、特許文献2参照)。この機器収容ボックスにあっては、機器固定板34にコンセントが固定される場合、差込口がボックス本体31の周壁部35側を向くことで、電源線(ケーブル)の立ち上がり方向が、ボックス本体31の開口面に平行となり、機器からの電源線(ケーブル)の立ち上がり部分と、蓋体32との干渉を避けることができた。
【0005】
そこで、前記従来の配電函において、上記の機器収容ボックスに係る技術思想を導入し、例えば、差込口を有する器具を、その差込口が引出口側を向くように、周壁21aに固定することにより、ケーブルの剛性が高い場合であっても、蓋体を完全に閉めることができ、本体21の内部への雨水の浸入を防ぐことができる、配電函とすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−229464号公報
【特許文献2】特開2009−55753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の機器収容ボックスにあっては、差込口がボックス本体31の周壁部35側を向くことで、ケーブルの抜き差し作業が困難になるという問題があった。このため、前記従来の配電函において、上述のように、差込口を有する器具を、その差込口が引出口側を向くように、周壁21aに固定した場合にも、同様の問題が生じる虞がある。
【0008】
この発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ケーブルの剛性が高い場合であっても、本体の内部へ雨水が浸入し難く、かつ、ケーブルの抜き差し作業が困難になることのない、配電函を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る配電函は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配電函は、周壁とその周壁により囲まれた空間の後方を塞ぐ底壁とを有して、前記空間の前方が開口する函本体と、前記函本体における前方に開口する開口を閉塞する蓋体とを備え、前記周壁を構成する複数の本体壁のうちの一の本体壁を下にして被取付体に取り付けられる。ここで、前記蓋体は、前記開口を覆う閉塞部と、その閉塞部から前記周壁の外周面に被るように延出する側壁とを有するとともに、前記開口を開閉自在とすべく、前記配電函の上方部または側方部に設けられる回動連結部を中心として、その回動連結部の反対側から開閉するように回動可能である。また、前記側壁には、前記蓋体が、前記開口の全体を閉塞する第1の回動位置と、前記開口の全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、前記一の本体壁の前端部分とで囲むようにしてケーブルの通過口を形成する、通過口形成部が設けられる。この通過口形成部は、前記側壁を構成する複数の蓋壁のうちの、前記一の本体壁に対応する一の蓋壁が、その延出端から一部または全部が除去されるようにして設けられる。そして、前記側壁は、前記蓋体が前記中間回動位置に位置する状態において、前記通過口形成部が設けられた部分を除き、前記周壁の前記外周面に被る長さとなるように延出形成されている。
【0010】
この配電函によると、蓋体が、函本体の開口の全体を閉塞する第1の回動位置と、前記開口の全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、側壁の下方部に位置する一の蓋壁に設けられた通過口形成部と、周壁の下方部に位置する一の本体壁の前端部分とで囲むようにして、ケーブルの通過口が形成される。すなわち、通過口は、配電函の下方部であって、函本体の前記一の本体壁の前端(周壁の前端)よりもさらに前方側に形成されることになる。また、蓋体が、前記第1の回動位置から前記中間回動位置に回動することで、配電函の内部空間が、周壁の前方側に拡張される。そこで、例えば、コンセントのような、プラグの差込口を有する器具を、その差込口が前記開口側を向くように底壁に固定し、かつ、その差込口に剛性の高いケーブル(プラグ付のケーブル)を差す場合には、函本体の開口を露出させた状態で(例えば、蓋体が前記第2の回動位置に位置する状態で)、ケーブルを、前記一の本体壁の前端に接する程度に屈曲させながら、蓋体を、閉方向に回動させて前記中間回動位置に位置させることにより、ケーブルが前記内部空間における拡張された部分を通って通過口から引き出された状態となる。ここで、蓋体の側壁は、蓋体が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口形成部が設けられた部分を除き、周壁の外周面に被る長さとなるように延出形成されているため、前記中間回動位置に位置する蓋体によって、函本体の開口側における、上方および側方ならびに前方が覆われることになり、これにより、函本体の内部へ雨水が浸入し難くなる。そして、上述のように、プラグの差込口を有する器具を、その差込口が前記開口側を向くように底壁に固定すれば、ケーブルの抜き差し作業が困難になるようなこともない。
【0011】
また、請求項2に記載の発明に係る配電函は、請求項1に記載の配電函において、前記配電函は、前記蓋体を前記中間回動位置に位置する状態に保持する保持手段を備える。こうして、保持手段により、蓋体が前記中間回動位置に位置する状態に保持されることによって、ケーブルが通過口形成部と一の本体壁の前端部分とで挟まれて潰れたり、あるいは、屈曲させながら引き出したケーブルの復元力により、通過口形成部がケーブルに押されて、蓋体が不意に開いたりする虞をなくすことができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明に係る配電函は、請求項2に記載の配電函において、前記配電函は、前記蓋体を前記第2の回動位置に位置する状態に保持する他の保持手段を備える。こうして、他の保持手段により、蓋体が前記第2の回動位置に位置する状態、すなわち、函本体の開口の全体を露出させる状態に保持されることによって、例えば、被取付体に予め取り付けられた配電函に器具とか機器を収容する場合に、その収容作業を容易に行うことができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明に係る配電函は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配電函において、前記一の蓋壁には、前記延出端から前記一の蓋壁を切り欠いた切欠き部が設けられており、その切欠き部が前記通過口形成部となっている。
【0014】
また、請求項5に記載の発明に係る配電函は、請求項4に記載の配電函において、前記切欠き部は、前記閉塞部との間に、前記一の蓋壁を形成する補助側壁を残すように、かつ、前記補助側壁の高さ寸法が、前記通過口の、前記一の本体壁の前端から前記閉塞部側に向かう方向の開口高寸法と同一、または前記開口高寸法よりも大きくなるように、前記延出端から前記一の蓋壁を切り欠いている。こうして、切欠き部と閉塞部との間に残される補助側壁により、蓋体の下方部の強度を確保することができる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明に係る配電函は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の配電函において、前記周壁の前端側には、前記周壁から外方へと突出するフランジ部が設けられ、前記フランジ部は、少なくとも、前記一の本体壁の前端側における前記通過口を形成する部分を除いた前記周壁の全周に渡って、連続するように設けられている。こうすることで、周壁を伝って流れる雨水が、周壁と側壁との間の間隙を通って函本体の内部へ浸入するのを防ぐことができる。
【0016】
また、請求項7に記載の発明に係る配電函は、請求項6に記載の配電函において、前記複数の本体壁のうちの、前記回動連結部が設けられる側に位置する本体壁には、その本体壁から外方へと突出する他のフランジ部が、前記フランジ部よりも前記底壁側に位置するように設けられている。こうすることで、回動連結部が設けられる側に位置する本体壁を伝って流れる雨水が、その本体壁と、複数の蓋壁のうちの、回動連結部が設けられる側に位置する蓋壁との間の間隙を通って函本体の内部へ浸入するのを確実に防ぐことができる。
【0017】
また、請求項8に記載の発明に係る配電函は、請求項7に記載の配電函において、前記他のフランジ部は、前記回動連結部が設けられる側に位置する本体壁から外方へと突出する突出高さが、前記フランジ部の前記本体壁から外方へと突出する突出高さよりも大きくなっているとともに、前記蓋体が前記第1の回動位置に位置する状態で、前記複数の蓋壁のうちの、前記回動連結部が設けられる側に位置する蓋壁の延出端と略接するようになっている。こうすることで、蓋体が第1の回動位置に位置する状態、すなわち、函本体の開口の全体を閉塞する状態において、他のフランジ部が、回動連結部が設けられる側に位置する本体壁と、回動連結部が設けられる側に位置する蓋壁との間の間隙を塞ぐことになる。したがって、蓋体が第1の回動位置に位置する状態において、雨水が、回動連結部が設けられる側から函本体の内部へ浸入するのを防ぐことができる。
【0018】
また、請求項9に記載の発明に係る配電函は、周壁とその周壁により囲まれた空間の後方を塞ぐ底壁とを有して、前記空間の前方が開口する函本体と、前記函本体における前方に開口する開口を閉塞する蓋体とを備え、前記周壁を構成する複数の本体壁のうちの一の本体壁を下にして被取付体に取り付けられる。ここで、前記蓋体は、前記開口を覆う閉塞部と、その閉塞部から前記周壁の外周面に被るように延出する側壁とを有するとともに、前記開口を開閉自在とすべく、前記配電函の上方部または側方部に設けられる回動連結部を中心として、その回動連結部の反対側から開閉するように回動可能である。また、前記側壁または/および前記周壁には、前記蓋体が、前記開口の全体を閉塞する第1の回動位置と、前記開口の全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、ケーブルを引き出し可能に開口する、通過口を構成する、通過口形成部が設けられる。この通過口形成部は、前記側壁を構成する複数の蓋壁のうちの、前記一の本体壁に対応する一の蓋壁、または/および、前記一の本体壁が、前記一の蓋壁の延出端または/および前記一の本体壁の前端から切り欠かれるようにして設けられるとともに、前記蓋体が前記第1の回動位置に位置する状態において前記通過口を構成しないように設けられる。そして、前記側壁は、前記蓋体が前記中間回動位置に位置する状態において、前記通過口が形成された部分を除き、前記周壁の前記外周面に被る長さとなるように延出形成されている。
【0019】
この配電函によると、蓋体が、函本体の開口の全体を閉塞する第1の回動位置と、前記開口の全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、通過口がケーブルを引き出し可能に開口する。そして、この通過口を構成する通過口形成部は、側壁の下方部に位置する一の蓋壁、または/および、周壁の下方部に位置する一の本体壁に設けられている。すなわち、通過口は、配電函の下方部に形成されることになる。そこで、例えば、コンセントのような、プラグの差込口を有する器具を、その差込口が前記開口側を向くように底壁などに固定し、かつ、その差込口にケーブル(プラグ付のケーブル)を差す場合には、函本体の開口を露出させた状態で(例えば、蓋体が前記第2の回動位置に位置する状態で)、ケーブルを屈曲させながら、蓋体を、閉方向に回動させて前記中間回動位置に位置させることにより、ケーブルが通過口から引き出された状態となる。ここで、蓋体の側壁は、蓋体が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口が形成された部分を除き、周壁の外周面に被る長さとなるように延出形成されているため、前記中間回動位置に位置する蓋体によって、函本体の開口側における、上方および側方ならびに前方が覆われることになり、これにより、函本体の内部へ雨水が浸入し難くなる。そして、上述のように、プラグの差込口を有する器具を、その差込口が前記開口側を向くように固定すれば、ケーブルの抜き差し作業が困難になるようなこともない。
【発明の効果】
【0020】
この発明に係る配電函によれば、蓋体が、函本体の開口の全体を閉塞する第1の回動位置と、前記開口の全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態において、ケーブルが配電函の下方部に形成された通過口から引き出された状態となるとともに、前記中間回動位置に位置する蓋体によって、函本体の開口側における、上方および側方ならびに前方が覆われることになるため、函本体の内部へ雨水が浸入し難くなり、しかも、ケーブルの抜き差し作業が困難になるようなこともない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施の形態の、蓋体が中間回動位置に位置する状態を示す、下側から見た斜視図である。
【図2】同じく、上側から見た斜視図である。
【図3】同じく、底面図である。
【図4】同じく、図3におけるA−A線による断面図である。
【図5】同じく、図3におけるB−B線による拡大断面図である。
【図6】同じく、配電函の分解斜視図である。
【図7】同じく、函本体の、上側から見た斜視図である。
【図8】同じく、図7におけるC部拡大図である。
【図9】同じく、蓋体の、裏側から見た斜視図である。
【図10】同じく、図9におけるD部拡大図である。
【図11】同じく、蓋体が第1の回動位置に位置する状態を示す、下側から見た斜視図である。
【図12】同じく、底面図である。
【図13】同じく、図12におけるE−E線による断面図である。
【図14】同じく、図12におけるF−F線による拡大断面図である。
【図15】同じく、蓋体が第2の回動位置に位置する状態を示す、下側から見た斜視図である。
【図16】同じく、底面図である。
【図17】同じく、図16におけるG−G線による断面図である。
【図18】同じく、図16におけるH−H線による拡大断面図である。
【図19】同じく、配電函を被取付体に取り付けた状態を示す、下側から見た斜視図である。
【図20】この発明の他の実施の形態の、蓋体が中間回動位置に位置する状態を示す、下側から見た斜視図である。
【図21】同じく、底面図である。
【図22】同じく、図21におけるI−I線による断面図である。
【図23】同じく、蓋体が第1の回動位置に位置する状態を示す、底面図である。
【図24】この発明のさらに他の実施の形態の、蓋体が中間回動位置に位置する状態を示す、下側から見た斜視図である。
【図25】同じく、底面図である。
【図26】同じく、図25におけるJ−J線による断面図である。
【図27】同じく、蓋体が第1の回動位置に位置する状態を示す、底面図である。
【図28】この発明のさらに他の実施の形態の、蓋体が中間回動位置に位置する状態を示す、底面図である。
【図29】同じく、蓋体が別の中間回動位置に位置する状態を示す、底面図である。
【図30】この発明の変形例の、図19相当図である。
【図31】従来の配電函の一部断面図である。
【図32】従来の機器収容ボックスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明に係る配電函を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1〜図19は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、建物の壁とかポール等の被取付体1aに取り付けられる配電函であって、主に屋外に仮設あるいは常設されて、例えば、ブレーカーとかコンセントとかの配線器具(とくに、プラグの差込口を有する器具1b)や、ブースター等の機器等を収容する。
【0024】
この配電函1は、周壁2bとその周壁2bにより囲まれた空間の後方を塞ぐ底壁2cとを有して、前記空間の前方が開口する函本体2と、その函本体2における前方に開口する開口2dを閉塞する蓋体3とを備える(図6参照)。そして、周壁2bを構成する複数の本体壁2a、2aのうちの一の本体壁2eを下にして被取付体1aに取り付けられる(図19参照)。ここで、蓋体3は、開口2dを覆う閉塞部3aと、その閉塞部3aから周壁2bの外周面2fに被るように延出する側壁3bとを有するとともに、開口2dを開閉自在とすべく、配電函1の上方部または側方部(図示実施の形態においては、上方部)に設けられる回動連結部を中心として、詳しくは、後述する連結筒部4a、4aと連結軸部4b、4bとによって形成される回動連結軸4を中心として、その回動連結部(回動連結軸4)の反対側(図示実施の形態においては、配電函1の下方部側)から開閉するように回動可能である(図1参照)。また、側壁3bには、蓋体3が、開口2dの全体を閉塞する第1の回動位置と、開口2dの全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、前記一の本体壁2e(すなわち、周壁2bの下方部に位置する下本体壁2e)の前端2g部分とで囲むようにしてケーブル1cの通過口6を形成する、通過口形成部5が設けられる(図1、図3および図4参照)。この通過口形成部5は、側壁3bを構成する複数の蓋壁3k、3kのうちの、前記一の本体壁2e(下本体壁2e)に対応する一の蓋壁としての下壁3d(すなわち、側壁3bの下方部に位置する下壁3d)が、その延出端3mから一部または全部(図示実施の形態においては、一部)が除去されるようにして設けられる。そして、側壁3bは、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口形成部5が設けられた部分を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被る長さとなるように延出形成されている(図1、図2および図4参照)。
【0025】
具体的には、この配電函1は、略直方体形状をしており、函本体2の底壁2cが鉛直方向に延びる向きで配備される。そこで、函本体2においては、正面視略方形状(詳しくは、正面視略長方形状)に形成された底壁2cの各辺から前方に向かって起立する4つの本体壁2a、2aによって、方形枠状(詳しくは、長方形枠状)の周壁2bが形成されている(図6および図7参照)。また、蓋体3においては、閉塞部3aは、正面視略方形状(詳しくは、正面視略長方形状)であって、左右の中央に向かうほど外方に若干膨らむ湾曲板状に形成されている(図12参照)。また、側壁3bは、周壁2bの4つの本体壁2a、2aと対応するように閉塞部3aの各辺から延出される4つの蓋壁3k、3kによって、方形枠状(詳しくは、長方形枠状)に形成されている(図9参照)。そして、下壁3dには、その延出端3mから下壁3dを切り欠いた切欠き部5aが設けられており、その切欠き部5aが、下壁3dをその延出端3mから一部除去することにより設けられる、前記通過口形成部5となっている。
【0026】
詳細には、切欠き部5aは、底面視において、下壁3dの延出端3m側ほど(すなわち、閉塞部3aから離れるほど)幅広となる略台形状(詳しくは、左右非対称な略台形状)に形成されている(図12参照)。また、切欠き部5aの周縁は、下壁3dの外面から外方に(詳しくは、下方に)若干突き出るように形成されている(図1および図4参照)。ここで、切欠き部5aは、閉塞部3aとの間に、下壁3dを形成する補助側壁3eを残すように、かつ、その補助側壁3eの高さ寸法が、通過口6の、下本体壁2eの前端2gから閉塞部3a側に向かう方向の開口高寸法よりも大きくなるように、延出端3mから下壁3dを切り欠くことによって形成されている(図3、図4参照)。図示実施の形態においては、下壁3dおよび補助側壁3eは、その閉塞部3a側が、切欠き部5aに近づくほど(すなわち、閉塞部3aから離れるほど)外方に(詳しくは、下方に)向かうように、若干傾斜している。そして、下壁3dおよび補助側壁3eは、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において、その閉塞部3a側が、函本体2の底壁2cに向かうほど下本体壁2eの外面から離れるように、若干傾斜するとともに、その切欠き部5a側が、下本体壁2eと平行に延びている(図13参照)。また、切欠き部5aは、側壁3bを構成する複数(図示実施の形態においては、4つ)の蓋壁3k、3kのうちの、側壁3bの左右の側方部に位置する左右壁3f、3fとの間にも下壁3dを残すようにして、下壁3dに切り欠かれている。
【0027】
側壁3bにおける左右壁3f、3fは、その延出端3c、3cが下方側ほど(すなわち、下壁3d側ほど)閉塞部3aから離れるように傾斜する、言い換えれば、下方側ほど(すなわち、下壁3d側ほど)壁の延出長が大きくなるように傾斜する、傾斜辺を備えている(図1、図2および図9参照)。また、左右壁3f、3fは、その上端部3g、3gが、前記傾斜辺の上端付近から側壁3bの延出方向に向かって突き出て、その先端に円弧面Qを備えるように形成されており、その上端部3g、3gの内面側に、後述する連結筒部4aに嵌まって前記回動連結軸4を形成する連結軸部4b、4bが、それぞれ蓋体3の内方に突出するように設けられている(図9および図10参照)。また、側壁3bを構成する複数(図示実施の形態においては、4つ)の蓋壁3k、3kのうちの、側壁3bの上方部に位置する上壁3hは、平面視方形状(詳しくは、長方形状)であって、閉塞部3aからの長さ寸法が、前記補助側壁3eの閉塞部3aからの長さ寸法と同程度の長さとなるように、延出形成されている。なお、図示実施の形態においては、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態で、閉塞部3aの下端が、下本体壁2eの内側(すなわち、上方側)に位置しているが、例えば、閉塞部3aの上下の長さ寸法を大きくとることにより、閉塞部3aの下端が、下本体壁2eの外側(すなわち、下方側)に位置するようにしても構わない(図4参照)。
【0028】
一方、函本体2の周壁2bを構成する複数(図示実施の形態においては、4つ)の本体壁2a、2aのうちの、周壁2bの左右の側方部に位置する左右の本体壁2h、2hの上端部には、その外面側に略円筒状(詳しくは、先端の一部が斜めに切り欠かれた略円筒状)の連結筒部4a、4aが突設されている(図6〜図8参照)。そして、それら連結筒部4a、4aに、蓋体3に設けられた連結軸部4bが嵌まって、前記回動連結軸4が形成されるとともに、蓋体3が、函本体2に回動可能に連結される。すなわち、連結筒部4a、4aおよび連結軸部4b、4bが、前記回動連結部を構成している。また、連結筒部4aの下方には、蓋体3の回動(詳しくは、左右壁3f、3fの上端部3g、3gの回動)を案内する、案内曲面を備えた案内部7が設けられている。
【0029】
なお、図示実施の形態においては、蓋体3の側壁3bにおける下壁3dに、切欠き部5a(通過口形成部5)が設けられるとともに、側壁3bにおける左右壁3f、3fの上端部3g、3gに、連結軸部4b、4bが設けられ、また、函本体2の周壁2bにおける左右の本体壁2h、2hの上端部に、連結筒部4a、4aが設けられており、これによって、配電函1の上方部に前記回動連結部が設けられる(すなわち、回動連結軸4が形成される)とともに、その反対側となる配電函1の下方部に、通過口6が形成されることになる。また、図示実施の形態においては、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において、通過口形成部5(切欠き部5a)の全体が前記一の本体壁2e(下本体壁2e)に重なっているため、その通過口形成部5(切欠き部5a)が通過口6を構成せず、ケーブル1cが引き出し不能となっている(図11〜図13参照)が、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において通過口形成部5(切欠き部5a)が通過口6を構成しない(すなわち、ケーブル1cが引き出し不能となる)のであれば、通過口形成部5(切欠き部5a)の全体でなく例えば先端側の一部が前記一の本体壁2e(下本体壁2e)に重なるように、切欠き部5aの開口高寸法を大きくしても構わない。
【0030】
また、下本体壁2eには、ノックアウト部8が複数設けられている(図1および図3参照)。詳細には、下本体壁2eの前端2g側に、略台形板状に形成された第1ノックアウト部8aが設けられている。この第1ノックアウト部8aは、下本体壁2eの前端2gから底壁2c側に向かって延びるように、かつ、その周縁8bが下本体壁2eから外方に(詳しくは、下方に)突き出るように形成されている。また、下本体壁2eの底壁2c側には、円板状に形成された第2ノックアウト部8c、8cが設けられている。
【0031】
また、配電函1は、蓋体3を前記中間回動位置に位置する状態に保持する保持手段9と、蓋体3を前記第2の回動位置に位置する状態に保持する他の保持手段10とを備える。詳細には、函本体2の、各連結筒部4a、4aの回りにそれぞれ設けられた係止部11、11、および、蓋体3の、各連結軸部4b、4bの回りにそれぞれ設けられた被係止部12、12が、前記保持手段9として、または、前記他の保持手段10として機能する(図5および図18参照)。具体的には、係止部11は、連結筒部4aの回りに並ぶ第1係止凸部11aおよび第2係止凸部11bからなる。そして、第1係止凸部11aは、先端部が尖った第1突起部11cおよび第2突起部11dを備え、また、第2係止凸部11bも、先端部が尖った第3突起部11eおよび第4突起部11fを備える。また、被係止部12は、連結軸部4bの回りに並ぶ第1被係止凹部12aおよび第2被係止凹部12bからなる。そして、第1被係止凹部12aは、奥端部ほど(溝底側ほど)幅狭となった第1溝部12cを備え、また、第2被係止凹部12bも、奥端部ほど(溝底側ほど)幅狭となった第2溝部12dを備える。なお、図示実施の形態においては、第1係止凸部11aおよび第2係止凸部11bは、互いに同一の形状をしており、また、第1被係止凹部12aおよび第2被係止凹部12bも、互いに同一の形状をしている。また、係止部11および被係止部12は、蓋体3を前記第1の回動位置に位置する状態に保持する、さらなる他の保持手段としても機能する(図14参照)。
【0032】
そして、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態にあっては、図14に示すように、函本体2側の第2係止凸部11bの第4突起部11fが、蓋体3側の第1被係止凹部12aの第1溝部12cに嵌まり込んで、蓋体3が完全に閉じた状態に保持される(図13参照)。つまり、第4突起部11fおよび第1溝部12cが、前記さらなる他の保持手段となっている。また、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態(すなわち、蓋体3が前記第1の回動位置から開方向に若干回動した状態)にあっては、図5に示すように、函本体2側の第2係止凸部11bの第3突起部11eが、蓋体3側の第1被係止凹部12aの第1溝部12cに嵌まり込んで、蓋体3が不完全に閉じた状態に保持される(図4参照)。つまり、第3突起部11eおよび第1溝部12cが、前記保持手段9となっている。そして、蓋体3が前記第2の回動位置に位置する状態(すなわち、蓋体3が前記中間回動位置からさらに開方向に回動した状態)にあっては、図18に示すように、函本体2側の第1係止凸部11aの第1突起部11cが、蓋体3側の第1被係止凹部12aの第1溝部12cに嵌まり込むとともに、函本体2側の第2係止凸部11bの第3突起部11eが、蓋体3側の第2被係止凹部12bの第2溝部12dに嵌まり込んで、蓋体3が完全に開いた状態(図示実施の形態においては、図17に示されるように、蓋体3が、函本体2に対して略直角を形成するように開いた状態)に保持される。つまり、第1突起部11cおよび第1溝部12c、ならびに、第3突起部11eおよび第2溝部12dが、前記他の保持手段10となっている。
【0033】
なお、この配電函にあっては、図示しないが、第2突起部11dおよび第1溝部12c、ならびに、第4突起部11fおよび第2溝部12dを、前記他の保持手段10とすることもできる。すなわち、函本体2側の第1係止凸部11aの第2突起部11dが、蓋体3側の第1被係止凹部12aの第1溝部12cに嵌まり込むとともに、函本体2側の第2係止凸部11bの第4突起部11fが、蓋体3側の第2被係止凹部12bの第2溝部12dに嵌まり込んで、蓋体3が、函本体2に対して略直角を形成するように開いた状態(図17および図18に示される状態)から若干閉方向に回動した状態に保持され、このときの蓋体3の回動位置を、前記第2の回動位置としてもよい。
【0034】
また、周壁2bの前端2i側には、周壁2bから外方へと突出するフランジ部13が設けられ、そのフランジ部13は、少なくとも、下本体壁2eの前端2g側における通過口6を形成する部分を除いた周壁2bの全周に渡って、連続するように設けられている(図6および図7参照)。図示実施の形態においては、フランジ部13は、下本体壁2eの前端2g側を含む周壁2bの全周に渡って、連続するように設けられている。詳細には、フランジ部13は、周壁2bの前端2iに、周壁2bの全周に渡って連続する第1フランジ部13aと、その第1フランジ部13aの後方側(すなわち、底壁2c側)にて、周壁2bにおける複数(図示実施の形態においては、4つ)の本体壁2a、2aのうちの、前記左右の本体壁2h、2h、および、周壁2bの上方部に位置する上本体壁2jに渡って連続する第2フランジ部13bとからなる。すなわち、フランジ部13は、左右の本体壁2h、2hおよび上本体壁2jにおいて、二重に形成されている。そして、蓋体3の、側壁3bにおける左右壁3f、3fおよび上壁3hは、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、第2フランジ部13bを覆う長さとなるように延出している(図4参照)。図示実施の形態においては、フランジ部13(第1フランジ部13aおよび第2フランジ部13b)は、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において、蓋体3の、側壁3bにおける左右壁3f、3fおよび上壁3hの内面と略接している。また、第1フランジ部13aは、下本体壁2eにおいて、第1ノックアウト部8aの周縁8bと繋がっている。
【0035】
また、蓋体3の側壁3bの内側には、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態で第1フランジ部13aに当接する、当接部3iと、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態で第1フランジ部13aと第2フランジ部13bとの間の溝に嵌まる、嵌合部3jとが設けられている(図9および図13参照)。詳細には、当接部3iは、側壁3bにおける左右壁3f、3fおよび上壁3hの内面の、閉塞部3a側に、内方に突出するように、かつ、それら左右壁3f、3fおよび上壁3hの長手方向に沿って連続するように設けられている。また、嵌合部3jは、左右壁3f、3fの内面の、下壁3d側であって当接部3iに対して延出端3c側に若干離れた位置に、内方に突出するように設けられている。なお、第1フランジ部13aおよび第2フランジ部13b、ならびに嵌合部3jは、前記さらなる他の保持手段(すなわち、蓋体3を前記第1の回動位置に位置する状態に保持するさらなる他の保持手段)としての役割も果たす。
【0036】
さらに、複数(図示実施の形態においては、4つ)の本体壁2a、2aのうちの、前記回動連結部が設けられる側(すなわち、回動連結軸4が形成される側である、配電函1の上方部側または側方部側であって、図示実施の形態においては、配電函1の上方部側)に位置する本体壁としての、前記上本体壁2jには、その上本体壁2jから外方へと突出する他のフランジ部14が、前記フランジ部13よりも底壁2c側に位置するように設けられている(図7参照)。そして、他のフランジ部14は、前記上本体壁2jから外方へと突出する突出高さが、前記フランジ部13(13a、13b)の前記上本体壁2jから外方へと突出する突出高さよりも大きくなっているとともに、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態で、複数(図示実施の形態においては、4つ)の蓋壁3k、3kのうちの、前記回動連結部が設けられる側(すなわち、回動連結軸4が形成される側である、配電函1の上方部側または側方部側であって、図示実施の形態においては、配電函1の上方部側)に位置する蓋壁としての前記上壁3hの、延出端3nと略接する(図13参照)。詳しくは、他のフランジ部14は、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態で、上壁3hの延出端3nの後方に位置するとともに、その上壁3hの内面よりも高く突出して、延出端3nと略接している。そして、他のフランジ部14は、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態で、上壁3hの延出端3nと上本体壁2jとの間に位置する(図4参照)。
【0037】
また、図示実施の形態においては、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態から開方向に回動しないように(すなわち、蓋体3が開かないように)その蓋体3を固定する固定手段としての施錠具15が取り付けられる、施錠具取付部15aが設けられている(図11参照)。この施錠具取付部15aは、函本体2の周壁2bにおける下本体壁2eに、その下本体壁2eから下方側に突出するように設けられた函本体側取付部15bと、蓋体3の側壁3bにおける下壁3dに設けられた蓋体側取付部15cとからなる。ここで、函本体側取付部15bは、左右方向に貫通する第1貫通孔15dを備える。また、蓋体側取付部15cは、下壁3dを貫通する第2貫通孔15eを備える。そして、施錠具15を、それら第1貫通孔15dおよび第2貫通孔15eを通すように取り付けることで、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態から開方向に回動しないように固定される。図示実施の形態においては、蓋体側取付部15cは、図1にて明示するように、切欠き部5aの周縁と連続するように、下壁3dの外面から外方に(詳しくは、下方に)若干突き出ている。また、函本体側取付部15bは、その先端側が、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態で、切欠き部5aの周縁と略面一となるように立設されている(図13参照)。すなわち、函本体側取付部15bおよび蓋体側取付部15cは、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態で、切欠き部5aの周縁から外方に(詳しくは、下方に)突出しておらず、突出している場合に比べて、配電函1の外観がすっきりとしており、かつ、函本体側取付部15bおよび蓋体側取付部15cが破損し難くなっている。
【0038】
次に、以上の構成からなる配電函1の作用効果について説明する。この配電函1によると、蓋体3が、函本体2の開口2dの全体を閉塞する第1の回動位置と、開口2dの全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、側壁3bの下方部に位置する下壁3dに設けられた通過口形成部5(詳しくは、切欠き部5aの周縁)と、周壁2bの下方部に位置する下本体壁2eの前端2g部分とで囲むようにして、ケーブル1cの通過口6が形成される(図1、図3および図4参照)。すなわち、通過口6は、配電函1の下方部であって、函本体2の下本体壁2eの前端2g(周壁2bの前端2i)よりもさらに前方側に形成されることになる。また、蓋体3が、前記第1の回動位置から前記中間回動位置に回動することで、閉塞部3aが、下方側ほど(すなわち、下壁3d側ほど)周壁2bの前端2iから離れるように傾斜し、配電函1の内部空間が、周壁2bの前方側に拡張される。そこで、例えば、コンセントのような、プラグの差込口を有する器具1bを、その差込口が開口2d側を向くように底壁2cに固定し、かつ、その差込口に剛性の高いケーブル(プラグ付のケーブル)1cを差す場合には、函本体2の開口2dを露出させた状態で(例えば、蓋体3が前記第2の回動位置に位置する状態で)、ケーブル1cを、下本体壁2eの前端2gに接する程度に屈曲させながら、蓋体3を、閉方向に回動させて前記中間回動位置に位置させることにより、ケーブル1cが前記内部空間における拡張された部分を通って通過口6から引き出された状態となる(図4参照)。ここで、蓋体3の側壁3bは、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口形成部5(切欠き部5a)が設けられた部分を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被る長さとなるように延出形成されているため、前記中間回動位置に位置する蓋体3によって、函本体2の開口2d側における、上方および側方ならびに前方が覆われることになり、これにより、函本体2の内部へ雨水が浸入し難くなる。そして、上述のように、プラグの差込口を有する器具1bを、その差込口が開口2d側を向くように底壁2cに固定すれば、ケーブル1cの抜き差し作業が困難になるようなこともない。
【0039】
また、前記保持手段9により、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態に保持されることによって、ケーブル1cが通過口形成部5(詳しくは、切欠き部5aの周縁)と下本体壁2eの前端2g部分とで挟まれて潰れたり、あるいは、屈曲させながら引き出したケーブル1cの復元力により、通過口形成部5(詳しくは、切欠き部5aの周縁)がケーブル1cに押されて、蓋体3が不意に開いたりする虞をなくすことができる。また、前記他の保持手段10により、蓋体3が、前記第2の回動位置に位置する状態、すなわち、函本体2の開口2dの全体を露出させる状態に保持されることによって、例えば、被取付体1aに予め取り付けられた配電函1に器具1bとか機器を収容する場合に、その収容作業を容易に行うことができる。
【0040】
また、切欠き部5aと閉塞部3aとの間に残される補助側壁3eにより、蓋体3の下方部の強度(とくに、下壁3dの強度)を確保することができる。しかも、補助側壁3eを、その高さ寸法が、通過口6の、下本体壁2eの前端2gから閉塞部3a側に向かう方向の開口高寸法よりも大きくなるように設けることで、例えば、蓋体3の代わりに、その蓋体3と略同一形状であって、補助側壁3eの高さ寸法が小さい、あるいは、切欠き部5aと閉塞部3aとの間に補助側壁3eが残されていない、蓋体を用い、かつ、その蓋体を、この配電函1に係る通過口6の前記開口高寸法と同程度の開口高寸法を有する通過口を形成するように回動させた場合に比して、配電函1の内部空間が周壁2bの前方側に大きく拡張される。これにより、例えば、ケーブル1cの剛性が極めて高く、ケーブル1cを、通過口6から引き出すために、大きな曲率半径を有する円弧を描くように屈曲(湾曲)させなければならない場合であっても、ケーブル1cと蓋体3とが干渉し難い。
【0041】
また、フランジ部13を設けることで、周壁2bを伝って流れる雨水が、周壁2bと側壁3bとの間の間隙を通って函本体2の内部へ浸入するのを防ぐことができる。また、他のフランジ部14を設けることで、前記上本体壁2jを伝って流れる雨水が、その上本体壁2jと前記上壁3hとの間の間隙を通って函本体2の内部へ浸入するのを確実に防ぐことができる。しかも、他のフランジ部14が、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において、前記上壁3hの延出端3nと略接することで、他のフランジ部14が、前記上本体壁2jと前記上壁3hとの間の間隙を塞ぐことになる。したがって、蓋体3が第1の回動位置に位置する状態において、雨水が、前記回動連結部が設けられる側(すなわち、回動連結軸4が形成される側である、配電函1の上方部側または側方部側であって、図示実施の形態においては、配電函1の上方部側)から函本体2の内部へ浸入するのを防ぐことができる。特に、図示実施の形態においては、他のフランジ部14は、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態で、上壁3hの延出端3nと上本体壁2jとの間に位置しており、これにより、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態における、上壁3hと上本体壁2jとの間の間隙(詳しくは、延出端3n付近の、上壁3hと上本体壁2jとの間の間隙)が、他のフランジ部14の高さ分だけ小さくなる。すなわち、この配電函1にあっては、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、雨水が浸入し易い配電函1の上方部側から、上壁3hと上本体壁2jとの間の間隙を介して雨水が浸入するのを、フランジ部13と他のフランジ部14とで困難にすることができる。
【0042】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、補助側壁3eの高さ寸法は、通過口6の、下本体壁2eの前端2gから閉塞部3a側に向かう方向の開口高寸法よりも大きくなくてもよく、前記開口高寸法と同一であってもよいし、あるいは、前記開口高寸法よりも小さくてもよい。また、切欠き部5aは、閉塞部3aとの間に補助側壁3eを残すように、下壁3dを切り欠いていなくてもよく、切欠き部5aの周縁が閉塞部3aに達するように、下壁3dを切り欠いてもよい。また、切欠き部5aは、側壁3bにおける左右壁3f、3fとの間に下壁3dを残すようにして、下壁3dに切り欠かれていなくてもよく、切欠き部5aの周縁が左右壁3f、3fに達するようにして、下壁3dに切り欠かれてもよい。
【0043】
また、通過口形成部5は、下壁3dが、その延出端3mから一部が除去されるようにして設けられていなくてもよく、下壁3dが、その延出端3mから全部が除去されるようにして設けられていてもよい。すなわち、延出端3mから下壁3dを切り欠いた切欠き部5aが前記通過口形成部5となる構成でなくてもよく、下壁3d全体が除去されて、その除去された部分が前記通過口形成部5となる構成であってもよい。なお、この場合には、前述したように、閉塞部3aの上下の長さ寸法を大きくとることにより、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態で、閉塞部3aの下端が、下本体壁2eの外側(すなわち、下方側)に位置するのが望ましい。
【0044】
また、図20〜図23に示される実施の形態のように、側壁3bおよび周壁2bの双方に通過口形成部5が設けられる構成であっても構わない。図示実施の形態においては、側壁3bおよび周壁2bには、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態で、ケーブル1cを引き出し可能に開口する、前記通過口6を構成する、通過口形成部5が設けられる。この通過口形成部5は、前記一の蓋壁としての下壁3dおよび前記一の本体壁2e(下本体壁2e)が、下壁3dの延出端3mおよび下本体壁2eの前端2gから切り欠かれるようにして(言い換えれば、下壁3dの延出端3mから一部が除去され、かつ、下本体壁2eの前端2gから一部が除去されるようにして)設けられるとともに、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において通過口6を構成しないように設けられている。そして、側壁3bは、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口6が形成された部分を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被る長さとなるように延出形成されている。
【0045】
詳細には、下本体壁2eには、その前端2gから下本体壁2eを切り欠いた他の切欠き部5bが設けられており、この他の切欠き部5bおよび前記切欠き部5aが、通過口形成部5となっている。そして、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、切欠き部5aと他の切欠き部5bとで囲むようにして、通過口6が形成される。具体的には、他の切欠き部5bは、前記第1ノックアウト部8aを打ち抜くことにより形成されており、底面視において、下本体壁2eの前端2g側ほど(すなわち、底壁2cから離れるほど)幅広となる略台形状(詳しくは、左右対称な略台形状)に形成されている(図21参照)。そして、前記周縁8bが、他の切欠き部5bの周縁となって、下本体壁2eから外方に(詳しくは、下方に)突き出るように形成されている(図20および図22参照)。ここで、他の切欠き部5bは、底壁2cとの間に、下本体壁2eを形成する補助周壁2kを残すように、前端2gから下本体壁2eを切り欠くことによって形成されている(図20〜図22参照)。図示実施の形態においては、他の切欠き部5bは、前記左右の本体壁2h、2hとの間にも下本体壁2eを残すようにして、下本体壁2eに切り欠かれている。こうして、既述の実施の形態と同様に、配電函1の上方部に前記回動連結部が設けられる(すなわち、回動連結軸4が形成される)とともに、その反対側となる配電函1の下方部に、通過口6が形成されることになる。
【0046】
なお、図示実施の形態においては、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において、切欠き部5a(通過口形成部5)の全体でなくその先端側の一部が前記一の本体壁2e(下本体壁2e、詳しくは、補助周壁2k)に重なるとともに、他の切欠き部5b(通過口形成部5)の全体でなくその先端側の一部に下壁3d(詳しくは、補助側壁3e)が被っている(図23参照)。このため、それら切欠き部5aと他の切欠き部5bとの間に隙間が形成されてはいるものの、その隙間の高さ寸法は小さい。したがって、両通過口形成部5(切欠き部5aおよび他の切欠き部5b)が通過口6を構成せず、ケーブル1cが引き出し不能となっているが、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において切欠き部5a(通過口形成部5)の全体が前記一の本体壁2e(下本体壁2e、詳しくは、補助周壁2k)に重なるとともに、他の切欠き部5b(通過口形成部5)の全体に下壁3d(詳しくは、補助側壁3e)が被るように、切欠き部5aまたは/および他の切欠き部5bの開口高寸法を小さくしても構わない。
【0047】
そして、この配電函1にあっても、蓋体3の側壁3bは、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口6が形成された部分を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被る長さとなるように延出形成されているため、既述の実施の形態と同様に、前記中間回動位置に位置する蓋体3によって、函本体2の開口2d側における、上方および側方ならびに前方が覆われることになり、これにより、函本体2の内部へ雨水が浸入し難くなる。そして、既述のように、プラグの差込口を有する器具1bを、その差込口が開口2d側を向くように固定すれば、ケーブル1cの抜き差し作業が困難になるようなこともない。また、他の切欠き部5bと底壁2cとの間に残される補助周壁2kにより、函本体2の下方部の強度(とくに、下本体壁2eの強度)を確保することができる。しかも、通過口6は、切欠き部5aと他の切欠き部5bとで囲むようにして形成されるため、側壁3bのみに通過口形成部5(切欠き部5a)を設ける場合に比して、切欠き部5aの開口高寸法を小さくしても、通過口6は、充分にケーブル1cを引き出し可能に開口する。こうして、切欠き部5aの開口高寸法を小さくすることができ、ひいては、側壁3bの高さ寸法を小さくすることができる。
【0048】
また、図24〜図27に示される実施の形態のように、周壁2bのみに通過口形成部5が設けられる構成であっても構わない。図示実施の形態においては、蓋体3の下壁3dには、切欠き部が設けられておらず、その下壁3dの延出端3mが左右方向に渡って直線状に延びている。また、下本体壁2eには前記他の切欠き部5bが設けられており、この他の切欠き部5bが、通過口形成部5となっている。そして、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、下壁3dの延出端3m部分と通過口形成部5(他の切欠き部5b)とで囲むようにして、通過口6が形成される。こうして、既述の実施の形態と同様に、配電函1の上方部に前記回動連結部が設けられる(すなわち、回動連結軸4が形成される)とともに、その反対側となる配電函1の下方部に、通過口6が形成されることになる。なお、図示実施の形態においては、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において、通過口形成部5(他の切欠き部5b)の全体に下壁3dが被っているため、その通過口形成部5(他の切欠き部5b)が通過口6を構成せず、ケーブル1cが引き出し不能となっている(図27参照)が、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において通過口形成部5(他の切欠き部5b)が通過口6を構成しない(すなわち、ケーブル1cが引き出し不能となる)のであれば、通過口形成部5(他の切欠き部5b)の全体でなく例えば先端側の一部に下壁3dが被るように、他の切欠き部5bの開口高寸法を大きくしてしても構わない。
【0049】
そして、この配電函1にあっても、蓋体3の側壁3bは、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口6が形成された部分を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被る長さとなるように延出形成されているため、既述の実施の形態と同様に、前記中間回動位置に位置する蓋体3によって、函本体2の開口2d側における、上方および側方ならびに前方が覆われることになり、これにより、函本体2の内部へ雨水が浸入し難くなる。そして、既述のように、プラグの差込口を有する器具1bを、その差込口が開口2d側を向くように固定すれば、ケーブル1cの抜き差し作業が困難になるようなこともない。また、他の切欠き部5bと底壁2cとの間に残される補助周壁2kにより、函本体2の下方部の強度(とくに、下本体壁2eの強度)を確保することができる。
【0050】
このように、通過口形成部5は、側壁3bまたは周壁2bのいずれか一方に設けられてもよいし、側壁3bおよび周壁2bの両方に設けられてもよい。ここで、例えば、ケーブル1cの剛性が高く、ケーブル1cを引き出す際の屈曲半径を大きくしたい場合には、通過口6が、函本体2の下本体壁2eの前端2g(周壁2bの前端2i)よりもさらに前方側に形成されるように、通過口形成部5を側壁3bに設けるのが望ましい。加えて、例えば、側壁3bの高さ寸法を小さくしたい場合、すなわち、側壁3bの延出量を小さくしたい場合には、側壁3bに設けた通過口形成部5(図示実施の形態においては、切欠き部5a)の開口高寸法を小さくすることができるように、通過口形成部5を側壁3bおよび周壁2bの両方に設けるのが望ましい。一方、周壁2bのみに通過口形成部5が設けられる構成を採用する場合としては、例えば、函本体2の周壁2bの高さ寸法が大きい場合、すなわち、函本体2が深い場合などが望ましい。
【0051】
また、切欠き部5aは、例えば、図28および図29に示される実施の形態のように、略逆T字形状に切り欠かれていてもよい。この切欠き部5aは、下壁3dの延出端3mから下壁3dを略方形状(詳しくは、略長方形状)に切り欠いた第1切欠き部5cと、その第1切欠き部5cの中央部分からさらに閉塞部3a側に向かって幅狭に延びるように切り欠いた(詳しくは、半円形と方形とを接合した形状に切り欠いた)第2切欠き部5dとからなる。また、切欠き部5a(第1切欠き部5cおよび第2切欠き部5d)の周縁は、下壁3dの外面から外方に(詳しくは、下方に)若干突き出るように形成されている。さらに、切欠き部5a(第1切欠き部5cおよび第2切欠き部5d)は、閉塞部3aとの間に、下壁3dを形成する補助側壁3eを残すように、下壁3dを切り欠いている。
【0052】
ここで、図28は、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態を示しており、通過口6は、第1切欠き部5cおよび第2切欠き部5dの周縁と、下本体壁2eの前端2g部分とで囲むようにして、略逆T字形状に形成されている。そして、通過口6の中央に位置する、第2切欠き部5dによって囲まれた部分が、ケーブル1cの左右方向へのずれ動きを制限するように、そのケーブル1cを支持する、ケーブル支持部1dとなっている。また、このケーブル支持部1dの両側は、下壁3d(補助側壁3e)が下本体壁2e側に向かって延出する壁となっている(すなわち、通過口6において、引き出されるケーブル1cの両脇に補助側壁3eの壁を残している)。そして、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口6が形成された部分(第1切欠き部5cおよび第2切欠き部5dが設けられた部分)を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被っている。
【0053】
また、図29は、蓋体3が、前記中間回動位置から閉方向に若干回動した別の中間回動位置に位置する状態を示しており、ケーブル1cの通過口6は、第2切欠き部5dの周縁と、下本体壁2eの前端2g部分とで囲むようにして、幅狭に(詳しくは、半円形と方形とを接合した形状に)形成されている。そして、ケーブル支持部1dの両側の、下壁3d(補助側壁3e)が下本体壁2e側に向かって延出する壁は、下本体壁2eの前端2gに達している。また、蓋体3がこの別の中間回動位置に位置する状態において、通過口6が形成された部分(第2切欠き部5dが設けられた部分)を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被っている。
【0054】
ところで、函本体2の内部へ雨水を浸入し難くするしたり、通過口6から函本体2の内部に手を差し入れ難くしていたずらを防止するという観点においては、通過口6は、必要以上に大きく形成されることなく、引き出すケーブル1cの太さとか本数に対応した大きさに形成される(すなわち、ケーブル1cが通る部分以外の部分を極力少なくする)のが望ましい。そこで、図28および図29に示される配電函1にあっては、複数本のケーブル1c、1cを引き出す場合には、蓋体3を、それら複数本のケーブル1c、1cに対応した大きさの通過口6が形成される前記中間回動位置(図28参照)に位置させるのが望ましく、また、1本のケーブル1cを引き出す場合には、蓋体3を、その1本のケーブル1cに対応した大きさの通過口6が形成される前記別の中間回動位置(図29参照)に位置させるのが望ましい。
【0055】
また、1本のケーブル1cを引き出す場合であっても、とくに、ケーブル1cの左右方向へのずれ動きが可能となるように引き出す場合については、蓋体3を、ケーブル1cの左右方向へのずれ動きが可能となる大きさの通過口6が形成される前記中間回動位置(図28参照)に位置させるのが望ましい。
【0056】
このように、図28および図29に示される配電函1にあっては、蓋体3が、回動量が異なる2つの中間回動位置(前記中間回動位置および前記別の中間回動位置)に位置する状態において、通過口6が形成された部分を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被るため、それら2つの中間回動位置(前記中間回動位置および前記別の中間回動位置)でのケーブル1cの引き出しを、必要に応じて使い分けることができ、汎用性に優れる。とくに、この配電函1にあっては、蓋体3の回動量を若干変更するだけで、前記中間回動位置と前記別の中間回動位置とを使い分けることができ、使い勝手がよい。これは、切欠き部5aを略逆T字形状に切り欠くことで、通過口6に、1本のケーブル1cを前記ずれ動きを制限するようにして引き出すことができる部分(詳しくは、ケーブル支持部1d)と、複数本のケーブル1c、1cを引き出したり、ケーブル1cを前記ずれ動きが可能となるように引き出したりすることができる部分(詳しくは、通過口6の、ケーブル支持部1dを除いた幅広部分1e)とが連続するように形成されることによるものである。もちろん、配電函1は、蓋体3の回動量が異なる3つ以上の中間回動位置でケーブル1cの引き出しができるものであってもよいし、1つの中間回動位置のみでケーブル1cの引き出しができるものであってもよい。このとき、前記保持手段9は、蓋体3を各中間回動位置に位置する状態に保持することができるものであってもよい。また、ケーブル支持部1dは、通過口6の中央に位置しなくてもよく、通過口6の左右いずれかの側に位置してもよい。また、通過口6は、複数のケーブル支持部1dを有していてもよい。
【0057】
また、他の切欠き部5bは、底壁2cとの間に補助周壁2kを残すように、下本体壁2eを切り欠いていなくてもよく、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において通過口6を構成しない(すなわち、ケーブル1cが引き出し不能となる)のであれば、他の切欠き部5bの周縁が底壁2cに達するように、下本体壁2eを切り欠いてもよい。また、切欠き部5aおよび他の切欠き部5bの両方を設ける場合には、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において通過口6を構成しない(すなわち、ケーブル1cが引き出し不能となる)のであれば、切欠き部5aは、その周縁が閉塞部3aに達するように、下壁3dを切り欠いてもよい。また、他の切欠き部5bは、周壁2bにおける左右の本体壁2h、2hとの間に下本体壁2eを残すようにして、下本体壁2eに切り欠かれていなくてもよく、他の切欠き部5bの周縁が左右の本体壁2h、2hに達するようにして、下本体壁2eに切り欠かれてもよい。
【0058】
また、他の切欠き部5b(通過口形成部5)は、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において通過口6を構成しない(すなわち、ケーブル1cが引き出し不能となる)のであれば、前記一の本体壁2e(下本体壁2e)が、その前端2gから全部が除去されるようにして設けられてもよい。
【0059】
また、他の切欠き部5bは、第1ノックアウト部8aを打ち抜くことにより形成されなくてもよく、予め下本体壁2eに切り欠かれていてもよい。また、切欠き部5aは、予め下壁3dに切り欠かれていなくてもよく、例えば、ノックアウト部(図示せず)を打ち抜くことにより形成されてもよい。ここで、例えば、下壁3dに設けられたノックアウト部(図示せず)と、下本体壁2eに設けられた第1ノックアウト部8aとの、いずれか一方または両方を打ち抜くことで、通過口形成部5を、側壁3bまたは周壁2bのいずれか一方、または、側壁3bおよび周壁2bの両方に、選択的に設けることができるようにしても構わない。また、切欠き部5a(第1切欠き部5c、第2切欠き部5d)や、他の切欠き部5bは、不使用時に、別体からなる蓋部材によって塞ぐことができるようにしてもよい。
【0060】
また、下壁3dおよび補助側壁3eは、その閉塞部3a側が、切欠き部5aに近づくほど(すなわち、閉塞部3aから離れるほど)外方に(詳しくは、下方に)向かうように傾斜していなくてもよく、例えば、下壁3dおよび補助側壁3eの全体が、閉塞部3aから離れるほど外方に(詳しくは、下方に)向かうように傾斜してもよいし、あるいは、下壁3dおよび補助側壁3eの全体が、閉塞部3aから垂直方向に延びてもよい。反対に、下本体壁2eの一部あるいは全体が、その前端2g側ほど(すなわち、底壁2cから離れるほど)外方に(詳しくは、下方に)向かうように傾斜してもよい。
【0061】
また、側壁3bにおける左右壁3f、3fは、その延出端3c、3cが、下方側ほど(すなわち、下壁3d側ほど)壁の延出長が大きくなるように傾斜する、傾斜辺を備えるものでなくてもよく、延出端3c、3cが閉塞部3aに対して平行に延びる、平行辺を備えるもの(すなわち、側面視略長方形状に形成されるもの)であってもよい。
【0062】
また、この配電函1にあっては、蓋体3の側壁3b(詳しくは、左右壁3f、3fの上端部3g、3g)に、連結軸部4bが設けられ、函本体2の周壁2b(詳しくは、左右の本体壁2h、2hの上端部)に、その連結軸部4bが嵌まる連結筒部4aが設けられているが、反対に、函本体2の周壁2b(詳しくは、左右の本体壁2h、2hの上端部)に、連結軸部が設けられ、蓋体3の側壁3b(詳しくは、左右壁3f、3fの上端部3g、3g)に、その連結軸部が嵌まる連結筒部が設けられてもよい。また、連結筒部4aおよび連結軸部4bが前記回動連結部となるような構成でなくてもよく、例えば、函本体2と蓋体3とを、前記回動連結部としての薄肉のヒンジ部を介して、互いに一体に形成し、そのヒンジ部が回動連結軸4を形成するような構成であってもよい。
【0063】
また、配電函1の上方部に前記回動連結部が設けられ(すなわち、回動連結軸4が形成され)、かつ、その反対側となる配電函1の下方部に、通過口6が形成される構成でなくてもよく、例えば、図30に示すように、配電函1の側方部に前記回動連結部が設けられ(すなわち、回動連結軸4が形成され)、かつ、配電函1の下方部に、通過口6が形成される構成であってもよい。要するに、配電函1は、必ずしも前記回動連結部が設けられる側(すなわち、回動連結軸4が形成される側)とは反対の側に通過口6が形成される構成でなくてもよい。
【0064】
また、この配電函1にあっては、係止部11および被係止部12が、前記保持手段9として、または、前記他の保持手段10として機能するように(図示実施の形態においては、前記さらなる他の保持手段としても機能するように)、前記保持手段9および前記他の保持手段10(ならびに、前記さらなる他の保持手段)が、共通の部材により形成されているが、これら前記保持手段9および前記他の保持手段10(ならびに、前記さらなる他の保持手段)は、それぞれ別の部材により形成されてもよい。そこで、例えば、周壁2bにおける左右の本体壁2h、2hの下方側(詳しくは、下本体壁2e側)に、それら本体壁2h、2hから外方へと突出し、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態で、側壁3bにおける左右壁3f、3fと係合する、係合部が設けられ、その係合部が、前記保持手段9となってもよい。そして、前記他の保持手段10が、連結筒部4aの回りに設けられる係止部および連結軸部4bの回りに設けられる被係止部からなってもよい。このとき、前記さらなる他の保持手段が、第1フランジ部13aおよび第2フランジ部13b、ならびに嵌合部3jからなるようにしても構わない。また、配電函1は、前記保持手段9および前記他の保持手段10(ならびに、前記さらなる他の保持手段)を備えていなくてもよい。
【0065】
また、当接部3i、嵌合部3j、案内部7、ノックアウト部8(第1ノックアウト部8aおよび第2ノックアウト部8c)、フランジ部13(第1フランジ部13aおよび第2フランジ部13b)、他のフランジ部14、および施錠具取付部15a(函本体側取付部15bおよび蓋体側取付部15c)等は、省略しても構わない。
【0066】
また、この配電函1にプラグの差込口を有する器具1bからなる配線器具を収容する場合において、必ずしも、その器具1bの差込口が開口2d側を向くように収容する(例えば、底壁2cに固定する)必要はなく、周壁2b側など、他の方向を向くように収容する(例えば、底壁2cに固定する)ようにしてもよい。さらには、配線器具1b(器具1b)は、底壁2cに固定されていなくてもよく、例えば、周壁2bに固定されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 配電函
1a 被取付体
1c ケーブル
2 函本体
2a 本体壁
2b 周壁
2c 底壁
2d 開口
2e 下本体壁(一の本体壁)
2f 周壁の外周面
2g 下本体壁(一の本体壁)の前端
2i 周壁の前端
3 蓋体
3a 閉塞部
3b 側壁
3d 下壁(一の蓋壁)
3e 補助側壁
3k 蓋壁
3m 下壁(一の蓋壁)の延出端
5 通過口形成部
5a 切欠き部
6 通過口
9 保持手段
10 他の保持手段
13 フランジ部
14 他のフランジ部
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の壁とかポール等の被取付体に取り付けられる配電函に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配電函は、図31に示すように、開口部を有して機器等が収容される本体21と、前記開口部を閉じる蓋体(図示せず)とから構成されていた(例えば、特許文献1参照)。ここで、蓋体は、本体21における周壁21aの先端部分を含めて前記開口部に被せられた。そして、本体21には、周壁21aにノックアウト部21bが形成されており、このノックアウト部21bを打ち抜いて、ケーブル引出口が形成された。
【0003】
ところで、上記の配電函にあっては、前記引出口は、周壁21aの先端側が、外側に被せられる蓋体によって閉鎖される。また、この種の配電函においては、例えば、コンセントのような、プラグの差込口を有する器具を、その差込口が開口部側を向くように、本体21における底壁21cに固定し、プラグ付のケーブルを前記差込口に差して前記引出口から引き出すことがある。このため、上記の配電函において、剛性のあるケーブルを前記差込口に差して前記引出口から引き出す場合、差込口から延びるケーブルを屈曲させて引出口に合わせるとともに、そのケーブルを引出口内に移動させるように押え込みながら、蓋体を閉めていた。また、ケーブルの剛性が高く、ケーブルを引出口内に移動させることが困難な場合には、蓋体を完全に閉めることができず、本体21の内部が露出し、本体21の内部への雨水の浸入を防ぐことができなかった。
【0004】
ここにおいて、図32に示すように、機器が収容されるボックス本体31と、そのボックス本体31の開口部を閉塞するための蓋体32とから構成される機器収容ボックスであって、ボックス本体31の底壁部31aに形成される固定部33と、底壁部31aから開口部に向けて垂直に延びるように底壁部31a(固定部33)に取り付けられる機器固定板34とを備える、機器収容ボックスがあった(例えば、特許文献2参照)。この機器収容ボックスにあっては、機器固定板34にコンセントが固定される場合、差込口がボックス本体31の周壁部35側を向くことで、電源線(ケーブル)の立ち上がり方向が、ボックス本体31の開口面に平行となり、機器からの電源線(ケーブル)の立ち上がり部分と、蓋体32との干渉を避けることができた。
【0005】
そこで、前記従来の配電函において、上記の機器収容ボックスに係る技術思想を導入し、例えば、差込口を有する器具を、その差込口が引出口側を向くように、周壁21aに固定することにより、ケーブルの剛性が高い場合であっても、蓋体を完全に閉めることができ、本体21の内部への雨水の浸入を防ぐことができる、配電函とすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−229464号公報
【特許文献2】特開2009−55753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の機器収容ボックスにあっては、差込口がボックス本体31の周壁部35側を向くことで、ケーブルの抜き差し作業が困難になるという問題があった。このため、前記従来の配電函において、上述のように、差込口を有する器具を、その差込口が引出口側を向くように、周壁21aに固定した場合にも、同様の問題が生じる虞がある。
【0008】
この発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ケーブルの剛性が高い場合であっても、本体の内部へ雨水が浸入し難く、かつ、ケーブルの抜き差し作業が困難になることのない、配電函を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る配電函は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配電函は、周壁とその周壁により囲まれた空間の後方を塞ぐ底壁とを有して、前記空間の前方が開口する函本体と、前記函本体における前方に開口する開口を閉塞する蓋体とを備え、前記周壁を構成する複数の本体壁のうちの一の本体壁を下にして被取付体に取り付けられる。ここで、前記蓋体は、前記開口を覆う閉塞部と、その閉塞部から前記周壁の外周面に被るように延出する側壁とを有するとともに、前記開口を開閉自在とすべく、前記配電函の上方部または側方部に設けられる回動連結部を中心として、その回動連結部の反対側から開閉するように回動可能である。また、前記側壁には、前記蓋体が、前記開口の全体を閉塞する第1の回動位置と、前記開口の全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、前記一の本体壁の前端部分とで囲むようにしてケーブルの通過口を形成する、通過口形成部が設けられる。この通過口形成部は、前記側壁を構成する複数の蓋壁のうちの、前記一の本体壁に対応する一の蓋壁が、その延出端から一部または全部が除去されるようにして設けられる。そして、前記側壁は、前記蓋体が前記中間回動位置に位置する状態において、前記通過口形成部が設けられた部分を除き、前記周壁の前記外周面に被る長さとなるように延出形成されている。
【0010】
この配電函によると、蓋体が、函本体の開口の全体を閉塞する第1の回動位置と、前記開口の全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、側壁の下方部に位置する一の蓋壁に設けられた通過口形成部と、周壁の下方部に位置する一の本体壁の前端部分とで囲むようにして、ケーブルの通過口が形成される。すなわち、通過口は、配電函の下方部であって、函本体の前記一の本体壁の前端(周壁の前端)よりもさらに前方側に形成されることになる。また、蓋体が、前記第1の回動位置から前記中間回動位置に回動することで、配電函の内部空間が、周壁の前方側に拡張される。そこで、例えば、コンセントのような、プラグの差込口を有する器具を、その差込口が前記開口側を向くように底壁に固定し、かつ、その差込口に剛性の高いケーブル(プラグ付のケーブル)を差す場合には、函本体の開口を露出させた状態で(例えば、蓋体が前記第2の回動位置に位置する状態で)、ケーブルを、前記一の本体壁の前端に接する程度に屈曲させながら、蓋体を、閉方向に回動させて前記中間回動位置に位置させることにより、ケーブルが前記内部空間における拡張された部分を通って通過口から引き出された状態となる。ここで、蓋体の側壁は、蓋体が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口形成部が設けられた部分を除き、周壁の外周面に被る長さとなるように延出形成されているため、前記中間回動位置に位置する蓋体によって、函本体の開口側における、上方および側方ならびに前方が覆われることになり、これにより、函本体の内部へ雨水が浸入し難くなる。そして、上述のように、プラグの差込口を有する器具を、その差込口が前記開口側を向くように底壁に固定すれば、ケーブルの抜き差し作業が困難になるようなこともない。
【0011】
また、請求項2に記載の発明に係る配電函は、請求項1に記載の配電函において、前記配電函は、前記蓋体を前記中間回動位置に位置する状態に保持する保持手段を備える。こうして、保持手段により、蓋体が前記中間回動位置に位置する状態に保持されることによって、ケーブルが通過口形成部と一の本体壁の前端部分とで挟まれて潰れたり、あるいは、屈曲させながら引き出したケーブルの復元力により、通過口形成部がケーブルに押されて、蓋体が不意に開いたりする虞をなくすことができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明に係る配電函は、請求項2に記載の配電函において、前記配電函は、前記蓋体を前記第2の回動位置に位置する状態に保持する他の保持手段を備える。こうして、他の保持手段により、蓋体が前記第2の回動位置に位置する状態、すなわち、函本体の開口の全体を露出させる状態に保持されることによって、例えば、被取付体に予め取り付けられた配電函に器具とか機器を収容する場合に、その収容作業を容易に行うことができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明に係る配電函は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配電函において、前記一の蓋壁には、前記延出端から前記一の蓋壁を切り欠いた切欠き部が設けられており、その切欠き部が前記通過口形成部となっている。
【0014】
また、請求項5に記載の発明に係る配電函は、請求項4に記載の配電函において、前記切欠き部は、前記閉塞部との間に、前記一の蓋壁を形成する補助側壁を残すように、かつ、前記補助側壁の高さ寸法が、前記通過口の、前記一の本体壁の前端から前記閉塞部側に向かう方向の開口高寸法と同一、または前記開口高寸法よりも大きくなるように、前記延出端から前記一の蓋壁を切り欠いている。こうして、切欠き部と閉塞部との間に残される補助側壁により、蓋体の下方部の強度を確保することができる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明に係る配電函は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の配電函において、前記周壁の前端側には、前記周壁から外方へと突出するフランジ部が設けられ、前記フランジ部は、少なくとも、前記一の本体壁の前端側における前記通過口を形成する部分を除いた前記周壁の全周に渡って、連続するように設けられている。こうすることで、周壁を伝って流れる雨水が、周壁と側壁との間の間隙を通って函本体の内部へ浸入するのを防ぐことができる。
【0016】
また、請求項7に記載の発明に係る配電函は、請求項6に記載の配電函において、前記複数の本体壁のうちの、前記回動連結部が設けられる側に位置する本体壁には、その本体壁から外方へと突出する他のフランジ部が、前記フランジ部よりも前記底壁側に位置するように設けられている。こうすることで、回動連結部が設けられる側に位置する本体壁を伝って流れる雨水が、その本体壁と、複数の蓋壁のうちの、回動連結部が設けられる側に位置する蓋壁との間の間隙を通って函本体の内部へ浸入するのを確実に防ぐことができる。
【0017】
また、請求項8に記載の発明に係る配電函は、請求項7に記載の配電函において、前記他のフランジ部は、前記回動連結部が設けられる側に位置する本体壁から外方へと突出する突出高さが、前記フランジ部の前記本体壁から外方へと突出する突出高さよりも大きくなっているとともに、前記蓋体が前記第1の回動位置に位置する状態で、前記複数の蓋壁のうちの、前記回動連結部が設けられる側に位置する蓋壁の延出端と略接するようになっている。こうすることで、蓋体が第1の回動位置に位置する状態、すなわち、函本体の開口の全体を閉塞する状態において、他のフランジ部が、回動連結部が設けられる側に位置する本体壁と、回動連結部が設けられる側に位置する蓋壁との間の間隙を塞ぐことになる。したがって、蓋体が第1の回動位置に位置する状態において、雨水が、回動連結部が設けられる側から函本体の内部へ浸入するのを防ぐことができる。
【0018】
また、請求項9に記載の発明に係る配電函は、周壁とその周壁により囲まれた空間の後方を塞ぐ底壁とを有して、前記空間の前方が開口する函本体と、前記函本体における前方に開口する開口を閉塞する蓋体とを備え、前記周壁を構成する複数の本体壁のうちの一の本体壁を下にして被取付体に取り付けられる。ここで、前記蓋体は、前記開口を覆う閉塞部と、その閉塞部から前記周壁の外周面に被るように延出する側壁とを有するとともに、前記開口を開閉自在とすべく、前記配電函の上方部または側方部に設けられる回動連結部を中心として、その回動連結部の反対側から開閉するように回動可能である。また、前記側壁または/および前記周壁には、前記蓋体が、前記開口の全体を閉塞する第1の回動位置と、前記開口の全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、ケーブルを引き出し可能に開口する、通過口を構成する、通過口形成部が設けられる。この通過口形成部は、前記側壁を構成する複数の蓋壁のうちの、前記一の本体壁に対応する一の蓋壁、または/および、前記一の本体壁が、前記一の蓋壁の延出端または/および前記一の本体壁の前端から切り欠かれるようにして設けられるとともに、前記蓋体が前記第1の回動位置に位置する状態において前記通過口を構成しないように設けられる。そして、前記側壁は、前記蓋体が前記中間回動位置に位置する状態において、前記通過口が形成された部分を除き、前記周壁の前記外周面に被る長さとなるように延出形成されている。
【0019】
この配電函によると、蓋体が、函本体の開口の全体を閉塞する第1の回動位置と、前記開口の全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、通過口がケーブルを引き出し可能に開口する。そして、この通過口を構成する通過口形成部は、側壁の下方部に位置する一の蓋壁、または/および、周壁の下方部に位置する一の本体壁に設けられている。すなわち、通過口は、配電函の下方部に形成されることになる。そこで、例えば、コンセントのような、プラグの差込口を有する器具を、その差込口が前記開口側を向くように底壁などに固定し、かつ、その差込口にケーブル(プラグ付のケーブル)を差す場合には、函本体の開口を露出させた状態で(例えば、蓋体が前記第2の回動位置に位置する状態で)、ケーブルを屈曲させながら、蓋体を、閉方向に回動させて前記中間回動位置に位置させることにより、ケーブルが通過口から引き出された状態となる。ここで、蓋体の側壁は、蓋体が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口が形成された部分を除き、周壁の外周面に被る長さとなるように延出形成されているため、前記中間回動位置に位置する蓋体によって、函本体の開口側における、上方および側方ならびに前方が覆われることになり、これにより、函本体の内部へ雨水が浸入し難くなる。そして、上述のように、プラグの差込口を有する器具を、その差込口が前記開口側を向くように固定すれば、ケーブルの抜き差し作業が困難になるようなこともない。
【発明の効果】
【0020】
この発明に係る配電函によれば、蓋体が、函本体の開口の全体を閉塞する第1の回動位置と、前記開口の全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態において、ケーブルが配電函の下方部に形成された通過口から引き出された状態となるとともに、前記中間回動位置に位置する蓋体によって、函本体の開口側における、上方および側方ならびに前方が覆われることになるため、函本体の内部へ雨水が浸入し難くなり、しかも、ケーブルの抜き差し作業が困難になるようなこともない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施の形態の、蓋体が中間回動位置に位置する状態を示す、下側から見た斜視図である。
【図2】同じく、上側から見た斜視図である。
【図3】同じく、底面図である。
【図4】同じく、図3におけるA−A線による断面図である。
【図5】同じく、図3におけるB−B線による拡大断面図である。
【図6】同じく、配電函の分解斜視図である。
【図7】同じく、函本体の、上側から見た斜視図である。
【図8】同じく、図7におけるC部拡大図である。
【図9】同じく、蓋体の、裏側から見た斜視図である。
【図10】同じく、図9におけるD部拡大図である。
【図11】同じく、蓋体が第1の回動位置に位置する状態を示す、下側から見た斜視図である。
【図12】同じく、底面図である。
【図13】同じく、図12におけるE−E線による断面図である。
【図14】同じく、図12におけるF−F線による拡大断面図である。
【図15】同じく、蓋体が第2の回動位置に位置する状態を示す、下側から見た斜視図である。
【図16】同じく、底面図である。
【図17】同じく、図16におけるG−G線による断面図である。
【図18】同じく、図16におけるH−H線による拡大断面図である。
【図19】同じく、配電函を被取付体に取り付けた状態を示す、下側から見た斜視図である。
【図20】この発明の他の実施の形態の、蓋体が中間回動位置に位置する状態を示す、下側から見た斜視図である。
【図21】同じく、底面図である。
【図22】同じく、図21におけるI−I線による断面図である。
【図23】同じく、蓋体が第1の回動位置に位置する状態を示す、底面図である。
【図24】この発明のさらに他の実施の形態の、蓋体が中間回動位置に位置する状態を示す、下側から見た斜視図である。
【図25】同じく、底面図である。
【図26】同じく、図25におけるJ−J線による断面図である。
【図27】同じく、蓋体が第1の回動位置に位置する状態を示す、底面図である。
【図28】この発明のさらに他の実施の形態の、蓋体が中間回動位置に位置する状態を示す、底面図である。
【図29】同じく、蓋体が別の中間回動位置に位置する状態を示す、底面図である。
【図30】この発明の変形例の、図19相当図である。
【図31】従来の配電函の一部断面図である。
【図32】従来の機器収容ボックスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明に係る配電函を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1〜図19は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、建物の壁とかポール等の被取付体1aに取り付けられる配電函であって、主に屋外に仮設あるいは常設されて、例えば、ブレーカーとかコンセントとかの配線器具(とくに、プラグの差込口を有する器具1b)や、ブースター等の機器等を収容する。
【0024】
この配電函1は、周壁2bとその周壁2bにより囲まれた空間の後方を塞ぐ底壁2cとを有して、前記空間の前方が開口する函本体2と、その函本体2における前方に開口する開口2dを閉塞する蓋体3とを備える(図6参照)。そして、周壁2bを構成する複数の本体壁2a、2aのうちの一の本体壁2eを下にして被取付体1aに取り付けられる(図19参照)。ここで、蓋体3は、開口2dを覆う閉塞部3aと、その閉塞部3aから周壁2bの外周面2fに被るように延出する側壁3bとを有するとともに、開口2dを開閉自在とすべく、配電函1の上方部または側方部(図示実施の形態においては、上方部)に設けられる回動連結部を中心として、詳しくは、後述する連結筒部4a、4aと連結軸部4b、4bとによって形成される回動連結軸4を中心として、その回動連結部(回動連結軸4)の反対側(図示実施の形態においては、配電函1の下方部側)から開閉するように回動可能である(図1参照)。また、側壁3bには、蓋体3が、開口2dの全体を閉塞する第1の回動位置と、開口2dの全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、前記一の本体壁2e(すなわち、周壁2bの下方部に位置する下本体壁2e)の前端2g部分とで囲むようにしてケーブル1cの通過口6を形成する、通過口形成部5が設けられる(図1、図3および図4参照)。この通過口形成部5は、側壁3bを構成する複数の蓋壁3k、3kのうちの、前記一の本体壁2e(下本体壁2e)に対応する一の蓋壁としての下壁3d(すなわち、側壁3bの下方部に位置する下壁3d)が、その延出端3mから一部または全部(図示実施の形態においては、一部)が除去されるようにして設けられる。そして、側壁3bは、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口形成部5が設けられた部分を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被る長さとなるように延出形成されている(図1、図2および図4参照)。
【0025】
具体的には、この配電函1は、略直方体形状をしており、函本体2の底壁2cが鉛直方向に延びる向きで配備される。そこで、函本体2においては、正面視略方形状(詳しくは、正面視略長方形状)に形成された底壁2cの各辺から前方に向かって起立する4つの本体壁2a、2aによって、方形枠状(詳しくは、長方形枠状)の周壁2bが形成されている(図6および図7参照)。また、蓋体3においては、閉塞部3aは、正面視略方形状(詳しくは、正面視略長方形状)であって、左右の中央に向かうほど外方に若干膨らむ湾曲板状に形成されている(図12参照)。また、側壁3bは、周壁2bの4つの本体壁2a、2aと対応するように閉塞部3aの各辺から延出される4つの蓋壁3k、3kによって、方形枠状(詳しくは、長方形枠状)に形成されている(図9参照)。そして、下壁3dには、その延出端3mから下壁3dを切り欠いた切欠き部5aが設けられており、その切欠き部5aが、下壁3dをその延出端3mから一部除去することにより設けられる、前記通過口形成部5となっている。
【0026】
詳細には、切欠き部5aは、底面視において、下壁3dの延出端3m側ほど(すなわち、閉塞部3aから離れるほど)幅広となる略台形状(詳しくは、左右非対称な略台形状)に形成されている(図12参照)。また、切欠き部5aの周縁は、下壁3dの外面から外方に(詳しくは、下方に)若干突き出るように形成されている(図1および図4参照)。ここで、切欠き部5aは、閉塞部3aとの間に、下壁3dを形成する補助側壁3eを残すように、かつ、その補助側壁3eの高さ寸法が、通過口6の、下本体壁2eの前端2gから閉塞部3a側に向かう方向の開口高寸法よりも大きくなるように、延出端3mから下壁3dを切り欠くことによって形成されている(図3、図4参照)。図示実施の形態においては、下壁3dおよび補助側壁3eは、その閉塞部3a側が、切欠き部5aに近づくほど(すなわち、閉塞部3aから離れるほど)外方に(詳しくは、下方に)向かうように、若干傾斜している。そして、下壁3dおよび補助側壁3eは、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において、その閉塞部3a側が、函本体2の底壁2cに向かうほど下本体壁2eの外面から離れるように、若干傾斜するとともに、その切欠き部5a側が、下本体壁2eと平行に延びている(図13参照)。また、切欠き部5aは、側壁3bを構成する複数(図示実施の形態においては、4つ)の蓋壁3k、3kのうちの、側壁3bの左右の側方部に位置する左右壁3f、3fとの間にも下壁3dを残すようにして、下壁3dに切り欠かれている。
【0027】
側壁3bにおける左右壁3f、3fは、その延出端3c、3cが下方側ほど(すなわち、下壁3d側ほど)閉塞部3aから離れるように傾斜する、言い換えれば、下方側ほど(すなわち、下壁3d側ほど)壁の延出長が大きくなるように傾斜する、傾斜辺を備えている(図1、図2および図9参照)。また、左右壁3f、3fは、その上端部3g、3gが、前記傾斜辺の上端付近から側壁3bの延出方向に向かって突き出て、その先端に円弧面Qを備えるように形成されており、その上端部3g、3gの内面側に、後述する連結筒部4aに嵌まって前記回動連結軸4を形成する連結軸部4b、4bが、それぞれ蓋体3の内方に突出するように設けられている(図9および図10参照)。また、側壁3bを構成する複数(図示実施の形態においては、4つ)の蓋壁3k、3kのうちの、側壁3bの上方部に位置する上壁3hは、平面視方形状(詳しくは、長方形状)であって、閉塞部3aからの長さ寸法が、前記補助側壁3eの閉塞部3aからの長さ寸法と同程度の長さとなるように、延出形成されている。なお、図示実施の形態においては、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態で、閉塞部3aの下端が、下本体壁2eの内側(すなわち、上方側)に位置しているが、例えば、閉塞部3aの上下の長さ寸法を大きくとることにより、閉塞部3aの下端が、下本体壁2eの外側(すなわち、下方側)に位置するようにしても構わない(図4参照)。
【0028】
一方、函本体2の周壁2bを構成する複数(図示実施の形態においては、4つ)の本体壁2a、2aのうちの、周壁2bの左右の側方部に位置する左右の本体壁2h、2hの上端部には、その外面側に略円筒状(詳しくは、先端の一部が斜めに切り欠かれた略円筒状)の連結筒部4a、4aが突設されている(図6〜図8参照)。そして、それら連結筒部4a、4aに、蓋体3に設けられた連結軸部4bが嵌まって、前記回動連結軸4が形成されるとともに、蓋体3が、函本体2に回動可能に連結される。すなわち、連結筒部4a、4aおよび連結軸部4b、4bが、前記回動連結部を構成している。また、連結筒部4aの下方には、蓋体3の回動(詳しくは、左右壁3f、3fの上端部3g、3gの回動)を案内する、案内曲面を備えた案内部7が設けられている。
【0029】
なお、図示実施の形態においては、蓋体3の側壁3bにおける下壁3dに、切欠き部5a(通過口形成部5)が設けられるとともに、側壁3bにおける左右壁3f、3fの上端部3g、3gに、連結軸部4b、4bが設けられ、また、函本体2の周壁2bにおける左右の本体壁2h、2hの上端部に、連結筒部4a、4aが設けられており、これによって、配電函1の上方部に前記回動連結部が設けられる(すなわち、回動連結軸4が形成される)とともに、その反対側となる配電函1の下方部に、通過口6が形成されることになる。また、図示実施の形態においては、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において、通過口形成部5(切欠き部5a)の全体が前記一の本体壁2e(下本体壁2e)に重なっているため、その通過口形成部5(切欠き部5a)が通過口6を構成せず、ケーブル1cが引き出し不能となっている(図11〜図13参照)が、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において通過口形成部5(切欠き部5a)が通過口6を構成しない(すなわち、ケーブル1cが引き出し不能となる)のであれば、通過口形成部5(切欠き部5a)の全体でなく例えば先端側の一部が前記一の本体壁2e(下本体壁2e)に重なるように、切欠き部5aの開口高寸法を大きくしても構わない。
【0030】
また、下本体壁2eには、ノックアウト部8が複数設けられている(図1および図3参照)。詳細には、下本体壁2eの前端2g側に、略台形板状に形成された第1ノックアウト部8aが設けられている。この第1ノックアウト部8aは、下本体壁2eの前端2gから底壁2c側に向かって延びるように、かつ、その周縁8bが下本体壁2eから外方に(詳しくは、下方に)突き出るように形成されている。また、下本体壁2eの底壁2c側には、円板状に形成された第2ノックアウト部8c、8cが設けられている。
【0031】
また、配電函1は、蓋体3を前記中間回動位置に位置する状態に保持する保持手段9と、蓋体3を前記第2の回動位置に位置する状態に保持する他の保持手段10とを備える。詳細には、函本体2の、各連結筒部4a、4aの回りにそれぞれ設けられた係止部11、11、および、蓋体3の、各連結軸部4b、4bの回りにそれぞれ設けられた被係止部12、12が、前記保持手段9として、または、前記他の保持手段10として機能する(図5および図18参照)。具体的には、係止部11は、連結筒部4aの回りに並ぶ第1係止凸部11aおよび第2係止凸部11bからなる。そして、第1係止凸部11aは、先端部が尖った第1突起部11cおよび第2突起部11dを備え、また、第2係止凸部11bも、先端部が尖った第3突起部11eおよび第4突起部11fを備える。また、被係止部12は、連結軸部4bの回りに並ぶ第1被係止凹部12aおよび第2被係止凹部12bからなる。そして、第1被係止凹部12aは、奥端部ほど(溝底側ほど)幅狭となった第1溝部12cを備え、また、第2被係止凹部12bも、奥端部ほど(溝底側ほど)幅狭となった第2溝部12dを備える。なお、図示実施の形態においては、第1係止凸部11aおよび第2係止凸部11bは、互いに同一の形状をしており、また、第1被係止凹部12aおよび第2被係止凹部12bも、互いに同一の形状をしている。また、係止部11および被係止部12は、蓋体3を前記第1の回動位置に位置する状態に保持する、さらなる他の保持手段としても機能する(図14参照)。
【0032】
そして、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態にあっては、図14に示すように、函本体2側の第2係止凸部11bの第4突起部11fが、蓋体3側の第1被係止凹部12aの第1溝部12cに嵌まり込んで、蓋体3が完全に閉じた状態に保持される(図13参照)。つまり、第4突起部11fおよび第1溝部12cが、前記さらなる他の保持手段となっている。また、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態(すなわち、蓋体3が前記第1の回動位置から開方向に若干回動した状態)にあっては、図5に示すように、函本体2側の第2係止凸部11bの第3突起部11eが、蓋体3側の第1被係止凹部12aの第1溝部12cに嵌まり込んで、蓋体3が不完全に閉じた状態に保持される(図4参照)。つまり、第3突起部11eおよび第1溝部12cが、前記保持手段9となっている。そして、蓋体3が前記第2の回動位置に位置する状態(すなわち、蓋体3が前記中間回動位置からさらに開方向に回動した状態)にあっては、図18に示すように、函本体2側の第1係止凸部11aの第1突起部11cが、蓋体3側の第1被係止凹部12aの第1溝部12cに嵌まり込むとともに、函本体2側の第2係止凸部11bの第3突起部11eが、蓋体3側の第2被係止凹部12bの第2溝部12dに嵌まり込んで、蓋体3が完全に開いた状態(図示実施の形態においては、図17に示されるように、蓋体3が、函本体2に対して略直角を形成するように開いた状態)に保持される。つまり、第1突起部11cおよび第1溝部12c、ならびに、第3突起部11eおよび第2溝部12dが、前記他の保持手段10となっている。
【0033】
なお、この配電函にあっては、図示しないが、第2突起部11dおよび第1溝部12c、ならびに、第4突起部11fおよび第2溝部12dを、前記他の保持手段10とすることもできる。すなわち、函本体2側の第1係止凸部11aの第2突起部11dが、蓋体3側の第1被係止凹部12aの第1溝部12cに嵌まり込むとともに、函本体2側の第2係止凸部11bの第4突起部11fが、蓋体3側の第2被係止凹部12bの第2溝部12dに嵌まり込んで、蓋体3が、函本体2に対して略直角を形成するように開いた状態(図17および図18に示される状態)から若干閉方向に回動した状態に保持され、このときの蓋体3の回動位置を、前記第2の回動位置としてもよい。
【0034】
また、周壁2bの前端2i側には、周壁2bから外方へと突出するフランジ部13が設けられ、そのフランジ部13は、少なくとも、下本体壁2eの前端2g側における通過口6を形成する部分を除いた周壁2bの全周に渡って、連続するように設けられている(図6および図7参照)。図示実施の形態においては、フランジ部13は、下本体壁2eの前端2g側を含む周壁2bの全周に渡って、連続するように設けられている。詳細には、フランジ部13は、周壁2bの前端2iに、周壁2bの全周に渡って連続する第1フランジ部13aと、その第1フランジ部13aの後方側(すなわち、底壁2c側)にて、周壁2bにおける複数(図示実施の形態においては、4つ)の本体壁2a、2aのうちの、前記左右の本体壁2h、2h、および、周壁2bの上方部に位置する上本体壁2jに渡って連続する第2フランジ部13bとからなる。すなわち、フランジ部13は、左右の本体壁2h、2hおよび上本体壁2jにおいて、二重に形成されている。そして、蓋体3の、側壁3bにおける左右壁3f、3fおよび上壁3hは、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、第2フランジ部13bを覆う長さとなるように延出している(図4参照)。図示実施の形態においては、フランジ部13(第1フランジ部13aおよび第2フランジ部13b)は、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において、蓋体3の、側壁3bにおける左右壁3f、3fおよび上壁3hの内面と略接している。また、第1フランジ部13aは、下本体壁2eにおいて、第1ノックアウト部8aの周縁8bと繋がっている。
【0035】
また、蓋体3の側壁3bの内側には、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態で第1フランジ部13aに当接する、当接部3iと、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態で第1フランジ部13aと第2フランジ部13bとの間の溝に嵌まる、嵌合部3jとが設けられている(図9および図13参照)。詳細には、当接部3iは、側壁3bにおける左右壁3f、3fおよび上壁3hの内面の、閉塞部3a側に、内方に突出するように、かつ、それら左右壁3f、3fおよび上壁3hの長手方向に沿って連続するように設けられている。また、嵌合部3jは、左右壁3f、3fの内面の、下壁3d側であって当接部3iに対して延出端3c側に若干離れた位置に、内方に突出するように設けられている。なお、第1フランジ部13aおよび第2フランジ部13b、ならびに嵌合部3jは、前記さらなる他の保持手段(すなわち、蓋体3を前記第1の回動位置に位置する状態に保持するさらなる他の保持手段)としての役割も果たす。
【0036】
さらに、複数(図示実施の形態においては、4つ)の本体壁2a、2aのうちの、前記回動連結部が設けられる側(すなわち、回動連結軸4が形成される側である、配電函1の上方部側または側方部側であって、図示実施の形態においては、配電函1の上方部側)に位置する本体壁としての、前記上本体壁2jには、その上本体壁2jから外方へと突出する他のフランジ部14が、前記フランジ部13よりも底壁2c側に位置するように設けられている(図7参照)。そして、他のフランジ部14は、前記上本体壁2jから外方へと突出する突出高さが、前記フランジ部13(13a、13b)の前記上本体壁2jから外方へと突出する突出高さよりも大きくなっているとともに、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態で、複数(図示実施の形態においては、4つ)の蓋壁3k、3kのうちの、前記回動連結部が設けられる側(すなわち、回動連結軸4が形成される側である、配電函1の上方部側または側方部側であって、図示実施の形態においては、配電函1の上方部側)に位置する蓋壁としての前記上壁3hの、延出端3nと略接する(図13参照)。詳しくは、他のフランジ部14は、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態で、上壁3hの延出端3nの後方に位置するとともに、その上壁3hの内面よりも高く突出して、延出端3nと略接している。そして、他のフランジ部14は、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態で、上壁3hの延出端3nと上本体壁2jとの間に位置する(図4参照)。
【0037】
また、図示実施の形態においては、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態から開方向に回動しないように(すなわち、蓋体3が開かないように)その蓋体3を固定する固定手段としての施錠具15が取り付けられる、施錠具取付部15aが設けられている(図11参照)。この施錠具取付部15aは、函本体2の周壁2bにおける下本体壁2eに、その下本体壁2eから下方側に突出するように設けられた函本体側取付部15bと、蓋体3の側壁3bにおける下壁3dに設けられた蓋体側取付部15cとからなる。ここで、函本体側取付部15bは、左右方向に貫通する第1貫通孔15dを備える。また、蓋体側取付部15cは、下壁3dを貫通する第2貫通孔15eを備える。そして、施錠具15を、それら第1貫通孔15dおよび第2貫通孔15eを通すように取り付けることで、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態から開方向に回動しないように固定される。図示実施の形態においては、蓋体側取付部15cは、図1にて明示するように、切欠き部5aの周縁と連続するように、下壁3dの外面から外方に(詳しくは、下方に)若干突き出ている。また、函本体側取付部15bは、その先端側が、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態で、切欠き部5aの周縁と略面一となるように立設されている(図13参照)。すなわち、函本体側取付部15bおよび蓋体側取付部15cは、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態で、切欠き部5aの周縁から外方に(詳しくは、下方に)突出しておらず、突出している場合に比べて、配電函1の外観がすっきりとしており、かつ、函本体側取付部15bおよび蓋体側取付部15cが破損し難くなっている。
【0038】
次に、以上の構成からなる配電函1の作用効果について説明する。この配電函1によると、蓋体3が、函本体2の開口2dの全体を閉塞する第1の回動位置と、開口2dの全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、側壁3bの下方部に位置する下壁3dに設けられた通過口形成部5(詳しくは、切欠き部5aの周縁)と、周壁2bの下方部に位置する下本体壁2eの前端2g部分とで囲むようにして、ケーブル1cの通過口6が形成される(図1、図3および図4参照)。すなわち、通過口6は、配電函1の下方部であって、函本体2の下本体壁2eの前端2g(周壁2bの前端2i)よりもさらに前方側に形成されることになる。また、蓋体3が、前記第1の回動位置から前記中間回動位置に回動することで、閉塞部3aが、下方側ほど(すなわち、下壁3d側ほど)周壁2bの前端2iから離れるように傾斜し、配電函1の内部空間が、周壁2bの前方側に拡張される。そこで、例えば、コンセントのような、プラグの差込口を有する器具1bを、その差込口が開口2d側を向くように底壁2cに固定し、かつ、その差込口に剛性の高いケーブル(プラグ付のケーブル)1cを差す場合には、函本体2の開口2dを露出させた状態で(例えば、蓋体3が前記第2の回動位置に位置する状態で)、ケーブル1cを、下本体壁2eの前端2gに接する程度に屈曲させながら、蓋体3を、閉方向に回動させて前記中間回動位置に位置させることにより、ケーブル1cが前記内部空間における拡張された部分を通って通過口6から引き出された状態となる(図4参照)。ここで、蓋体3の側壁3bは、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口形成部5(切欠き部5a)が設けられた部分を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被る長さとなるように延出形成されているため、前記中間回動位置に位置する蓋体3によって、函本体2の開口2d側における、上方および側方ならびに前方が覆われることになり、これにより、函本体2の内部へ雨水が浸入し難くなる。そして、上述のように、プラグの差込口を有する器具1bを、その差込口が開口2d側を向くように底壁2cに固定すれば、ケーブル1cの抜き差し作業が困難になるようなこともない。
【0039】
また、前記保持手段9により、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態に保持されることによって、ケーブル1cが通過口形成部5(詳しくは、切欠き部5aの周縁)と下本体壁2eの前端2g部分とで挟まれて潰れたり、あるいは、屈曲させながら引き出したケーブル1cの復元力により、通過口形成部5(詳しくは、切欠き部5aの周縁)がケーブル1cに押されて、蓋体3が不意に開いたりする虞をなくすことができる。また、前記他の保持手段10により、蓋体3が、前記第2の回動位置に位置する状態、すなわち、函本体2の開口2dの全体を露出させる状態に保持されることによって、例えば、被取付体1aに予め取り付けられた配電函1に器具1bとか機器を収容する場合に、その収容作業を容易に行うことができる。
【0040】
また、切欠き部5aと閉塞部3aとの間に残される補助側壁3eにより、蓋体3の下方部の強度(とくに、下壁3dの強度)を確保することができる。しかも、補助側壁3eを、その高さ寸法が、通過口6の、下本体壁2eの前端2gから閉塞部3a側に向かう方向の開口高寸法よりも大きくなるように設けることで、例えば、蓋体3の代わりに、その蓋体3と略同一形状であって、補助側壁3eの高さ寸法が小さい、あるいは、切欠き部5aと閉塞部3aとの間に補助側壁3eが残されていない、蓋体を用い、かつ、その蓋体を、この配電函1に係る通過口6の前記開口高寸法と同程度の開口高寸法を有する通過口を形成するように回動させた場合に比して、配電函1の内部空間が周壁2bの前方側に大きく拡張される。これにより、例えば、ケーブル1cの剛性が極めて高く、ケーブル1cを、通過口6から引き出すために、大きな曲率半径を有する円弧を描くように屈曲(湾曲)させなければならない場合であっても、ケーブル1cと蓋体3とが干渉し難い。
【0041】
また、フランジ部13を設けることで、周壁2bを伝って流れる雨水が、周壁2bと側壁3bとの間の間隙を通って函本体2の内部へ浸入するのを防ぐことができる。また、他のフランジ部14を設けることで、前記上本体壁2jを伝って流れる雨水が、その上本体壁2jと前記上壁3hとの間の間隙を通って函本体2の内部へ浸入するのを確実に防ぐことができる。しかも、他のフランジ部14が、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において、前記上壁3hの延出端3nと略接することで、他のフランジ部14が、前記上本体壁2jと前記上壁3hとの間の間隙を塞ぐことになる。したがって、蓋体3が第1の回動位置に位置する状態において、雨水が、前記回動連結部が設けられる側(すなわち、回動連結軸4が形成される側である、配電函1の上方部側または側方部側であって、図示実施の形態においては、配電函1の上方部側)から函本体2の内部へ浸入するのを防ぐことができる。特に、図示実施の形態においては、他のフランジ部14は、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態で、上壁3hの延出端3nと上本体壁2jとの間に位置しており、これにより、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態における、上壁3hと上本体壁2jとの間の間隙(詳しくは、延出端3n付近の、上壁3hと上本体壁2jとの間の間隙)が、他のフランジ部14の高さ分だけ小さくなる。すなわち、この配電函1にあっては、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、雨水が浸入し易い配電函1の上方部側から、上壁3hと上本体壁2jとの間の間隙を介して雨水が浸入するのを、フランジ部13と他のフランジ部14とで困難にすることができる。
【0042】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、補助側壁3eの高さ寸法は、通過口6の、下本体壁2eの前端2gから閉塞部3a側に向かう方向の開口高寸法よりも大きくなくてもよく、前記開口高寸法と同一であってもよいし、あるいは、前記開口高寸法よりも小さくてもよい。また、切欠き部5aは、閉塞部3aとの間に補助側壁3eを残すように、下壁3dを切り欠いていなくてもよく、切欠き部5aの周縁が閉塞部3aに達するように、下壁3dを切り欠いてもよい。また、切欠き部5aは、側壁3bにおける左右壁3f、3fとの間に下壁3dを残すようにして、下壁3dに切り欠かれていなくてもよく、切欠き部5aの周縁が左右壁3f、3fに達するようにして、下壁3dに切り欠かれてもよい。
【0043】
また、通過口形成部5は、下壁3dが、その延出端3mから一部が除去されるようにして設けられていなくてもよく、下壁3dが、その延出端3mから全部が除去されるようにして設けられていてもよい。すなわち、延出端3mから下壁3dを切り欠いた切欠き部5aが前記通過口形成部5となる構成でなくてもよく、下壁3d全体が除去されて、その除去された部分が前記通過口形成部5となる構成であってもよい。なお、この場合には、前述したように、閉塞部3aの上下の長さ寸法を大きくとることにより、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態で、閉塞部3aの下端が、下本体壁2eの外側(すなわち、下方側)に位置するのが望ましい。
【0044】
また、図20〜図23に示される実施の形態のように、側壁3bおよび周壁2bの双方に通過口形成部5が設けられる構成であっても構わない。図示実施の形態においては、側壁3bおよび周壁2bには、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態で、ケーブル1cを引き出し可能に開口する、前記通過口6を構成する、通過口形成部5が設けられる。この通過口形成部5は、前記一の蓋壁としての下壁3dおよび前記一の本体壁2e(下本体壁2e)が、下壁3dの延出端3mおよび下本体壁2eの前端2gから切り欠かれるようにして(言い換えれば、下壁3dの延出端3mから一部が除去され、かつ、下本体壁2eの前端2gから一部が除去されるようにして)設けられるとともに、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において通過口6を構成しないように設けられている。そして、側壁3bは、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口6が形成された部分を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被る長さとなるように延出形成されている。
【0045】
詳細には、下本体壁2eには、その前端2gから下本体壁2eを切り欠いた他の切欠き部5bが設けられており、この他の切欠き部5bおよび前記切欠き部5aが、通過口形成部5となっている。そして、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、切欠き部5aと他の切欠き部5bとで囲むようにして、通過口6が形成される。具体的には、他の切欠き部5bは、前記第1ノックアウト部8aを打ち抜くことにより形成されており、底面視において、下本体壁2eの前端2g側ほど(すなわち、底壁2cから離れるほど)幅広となる略台形状(詳しくは、左右対称な略台形状)に形成されている(図21参照)。そして、前記周縁8bが、他の切欠き部5bの周縁となって、下本体壁2eから外方に(詳しくは、下方に)突き出るように形成されている(図20および図22参照)。ここで、他の切欠き部5bは、底壁2cとの間に、下本体壁2eを形成する補助周壁2kを残すように、前端2gから下本体壁2eを切り欠くことによって形成されている(図20〜図22参照)。図示実施の形態においては、他の切欠き部5bは、前記左右の本体壁2h、2hとの間にも下本体壁2eを残すようにして、下本体壁2eに切り欠かれている。こうして、既述の実施の形態と同様に、配電函1の上方部に前記回動連結部が設けられる(すなわち、回動連結軸4が形成される)とともに、その反対側となる配電函1の下方部に、通過口6が形成されることになる。
【0046】
なお、図示実施の形態においては、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において、切欠き部5a(通過口形成部5)の全体でなくその先端側の一部が前記一の本体壁2e(下本体壁2e、詳しくは、補助周壁2k)に重なるとともに、他の切欠き部5b(通過口形成部5)の全体でなくその先端側の一部に下壁3d(詳しくは、補助側壁3e)が被っている(図23参照)。このため、それら切欠き部5aと他の切欠き部5bとの間に隙間が形成されてはいるものの、その隙間の高さ寸法は小さい。したがって、両通過口形成部5(切欠き部5aおよび他の切欠き部5b)が通過口6を構成せず、ケーブル1cが引き出し不能となっているが、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において切欠き部5a(通過口形成部5)の全体が前記一の本体壁2e(下本体壁2e、詳しくは、補助周壁2k)に重なるとともに、他の切欠き部5b(通過口形成部5)の全体に下壁3d(詳しくは、補助側壁3e)が被るように、切欠き部5aまたは/および他の切欠き部5bの開口高寸法を小さくしても構わない。
【0047】
そして、この配電函1にあっても、蓋体3の側壁3bは、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口6が形成された部分を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被る長さとなるように延出形成されているため、既述の実施の形態と同様に、前記中間回動位置に位置する蓋体3によって、函本体2の開口2d側における、上方および側方ならびに前方が覆われることになり、これにより、函本体2の内部へ雨水が浸入し難くなる。そして、既述のように、プラグの差込口を有する器具1bを、その差込口が開口2d側を向くように固定すれば、ケーブル1cの抜き差し作業が困難になるようなこともない。また、他の切欠き部5bと底壁2cとの間に残される補助周壁2kにより、函本体2の下方部の強度(とくに、下本体壁2eの強度)を確保することができる。しかも、通過口6は、切欠き部5aと他の切欠き部5bとで囲むようにして形成されるため、側壁3bのみに通過口形成部5(切欠き部5a)を設ける場合に比して、切欠き部5aの開口高寸法を小さくしても、通過口6は、充分にケーブル1cを引き出し可能に開口する。こうして、切欠き部5aの開口高寸法を小さくすることができ、ひいては、側壁3bの高さ寸法を小さくすることができる。
【0048】
また、図24〜図27に示される実施の形態のように、周壁2bのみに通過口形成部5が設けられる構成であっても構わない。図示実施の形態においては、蓋体3の下壁3dには、切欠き部が設けられておらず、その下壁3dの延出端3mが左右方向に渡って直線状に延びている。また、下本体壁2eには前記他の切欠き部5bが設けられており、この他の切欠き部5bが、通過口形成部5となっている。そして、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、下壁3dの延出端3m部分と通過口形成部5(他の切欠き部5b)とで囲むようにして、通過口6が形成される。こうして、既述の実施の形態と同様に、配電函1の上方部に前記回動連結部が設けられる(すなわち、回動連結軸4が形成される)とともに、その反対側となる配電函1の下方部に、通過口6が形成されることになる。なお、図示実施の形態においては、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において、通過口形成部5(他の切欠き部5b)の全体に下壁3dが被っているため、その通過口形成部5(他の切欠き部5b)が通過口6を構成せず、ケーブル1cが引き出し不能となっている(図27参照)が、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において通過口形成部5(他の切欠き部5b)が通過口6を構成しない(すなわち、ケーブル1cが引き出し不能となる)のであれば、通過口形成部5(他の切欠き部5b)の全体でなく例えば先端側の一部に下壁3dが被るように、他の切欠き部5bの開口高寸法を大きくしてしても構わない。
【0049】
そして、この配電函1にあっても、蓋体3の側壁3bは、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口6が形成された部分を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被る長さとなるように延出形成されているため、既述の実施の形態と同様に、前記中間回動位置に位置する蓋体3によって、函本体2の開口2d側における、上方および側方ならびに前方が覆われることになり、これにより、函本体2の内部へ雨水が浸入し難くなる。そして、既述のように、プラグの差込口を有する器具1bを、その差込口が開口2d側を向くように固定すれば、ケーブル1cの抜き差し作業が困難になるようなこともない。また、他の切欠き部5bと底壁2cとの間に残される補助周壁2kにより、函本体2の下方部の強度(とくに、下本体壁2eの強度)を確保することができる。
【0050】
このように、通過口形成部5は、側壁3bまたは周壁2bのいずれか一方に設けられてもよいし、側壁3bおよび周壁2bの両方に設けられてもよい。ここで、例えば、ケーブル1cの剛性が高く、ケーブル1cを引き出す際の屈曲半径を大きくしたい場合には、通過口6が、函本体2の下本体壁2eの前端2g(周壁2bの前端2i)よりもさらに前方側に形成されるように、通過口形成部5を側壁3bに設けるのが望ましい。加えて、例えば、側壁3bの高さ寸法を小さくしたい場合、すなわち、側壁3bの延出量を小さくしたい場合には、側壁3bに設けた通過口形成部5(図示実施の形態においては、切欠き部5a)の開口高寸法を小さくすることができるように、通過口形成部5を側壁3bおよび周壁2bの両方に設けるのが望ましい。一方、周壁2bのみに通過口形成部5が設けられる構成を採用する場合としては、例えば、函本体2の周壁2bの高さ寸法が大きい場合、すなわち、函本体2が深い場合などが望ましい。
【0051】
また、切欠き部5aは、例えば、図28および図29に示される実施の形態のように、略逆T字形状に切り欠かれていてもよい。この切欠き部5aは、下壁3dの延出端3mから下壁3dを略方形状(詳しくは、略長方形状)に切り欠いた第1切欠き部5cと、その第1切欠き部5cの中央部分からさらに閉塞部3a側に向かって幅狭に延びるように切り欠いた(詳しくは、半円形と方形とを接合した形状に切り欠いた)第2切欠き部5dとからなる。また、切欠き部5a(第1切欠き部5cおよび第2切欠き部5d)の周縁は、下壁3dの外面から外方に(詳しくは、下方に)若干突き出るように形成されている。さらに、切欠き部5a(第1切欠き部5cおよび第2切欠き部5d)は、閉塞部3aとの間に、下壁3dを形成する補助側壁3eを残すように、下壁3dを切り欠いている。
【0052】
ここで、図28は、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態を示しており、通過口6は、第1切欠き部5cおよび第2切欠き部5dの周縁と、下本体壁2eの前端2g部分とで囲むようにして、略逆T字形状に形成されている。そして、通過口6の中央に位置する、第2切欠き部5dによって囲まれた部分が、ケーブル1cの左右方向へのずれ動きを制限するように、そのケーブル1cを支持する、ケーブル支持部1dとなっている。また、このケーブル支持部1dの両側は、下壁3d(補助側壁3e)が下本体壁2e側に向かって延出する壁となっている(すなわち、通過口6において、引き出されるケーブル1cの両脇に補助側壁3eの壁を残している)。そして、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態において、通過口6が形成された部分(第1切欠き部5cおよび第2切欠き部5dが設けられた部分)を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被っている。
【0053】
また、図29は、蓋体3が、前記中間回動位置から閉方向に若干回動した別の中間回動位置に位置する状態を示しており、ケーブル1cの通過口6は、第2切欠き部5dの周縁と、下本体壁2eの前端2g部分とで囲むようにして、幅狭に(詳しくは、半円形と方形とを接合した形状に)形成されている。そして、ケーブル支持部1dの両側の、下壁3d(補助側壁3e)が下本体壁2e側に向かって延出する壁は、下本体壁2eの前端2gに達している。また、蓋体3がこの別の中間回動位置に位置する状態において、通過口6が形成された部分(第2切欠き部5dが設けられた部分)を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被っている。
【0054】
ところで、函本体2の内部へ雨水を浸入し難くするしたり、通過口6から函本体2の内部に手を差し入れ難くしていたずらを防止するという観点においては、通過口6は、必要以上に大きく形成されることなく、引き出すケーブル1cの太さとか本数に対応した大きさに形成される(すなわち、ケーブル1cが通る部分以外の部分を極力少なくする)のが望ましい。そこで、図28および図29に示される配電函1にあっては、複数本のケーブル1c、1cを引き出す場合には、蓋体3を、それら複数本のケーブル1c、1cに対応した大きさの通過口6が形成される前記中間回動位置(図28参照)に位置させるのが望ましく、また、1本のケーブル1cを引き出す場合には、蓋体3を、その1本のケーブル1cに対応した大きさの通過口6が形成される前記別の中間回動位置(図29参照)に位置させるのが望ましい。
【0055】
また、1本のケーブル1cを引き出す場合であっても、とくに、ケーブル1cの左右方向へのずれ動きが可能となるように引き出す場合については、蓋体3を、ケーブル1cの左右方向へのずれ動きが可能となる大きさの通過口6が形成される前記中間回動位置(図28参照)に位置させるのが望ましい。
【0056】
このように、図28および図29に示される配電函1にあっては、蓋体3が、回動量が異なる2つの中間回動位置(前記中間回動位置および前記別の中間回動位置)に位置する状態において、通過口6が形成された部分を除き、側壁3bの全周が周壁2bの外周面2fに被るため、それら2つの中間回動位置(前記中間回動位置および前記別の中間回動位置)でのケーブル1cの引き出しを、必要に応じて使い分けることができ、汎用性に優れる。とくに、この配電函1にあっては、蓋体3の回動量を若干変更するだけで、前記中間回動位置と前記別の中間回動位置とを使い分けることができ、使い勝手がよい。これは、切欠き部5aを略逆T字形状に切り欠くことで、通過口6に、1本のケーブル1cを前記ずれ動きを制限するようにして引き出すことができる部分(詳しくは、ケーブル支持部1d)と、複数本のケーブル1c、1cを引き出したり、ケーブル1cを前記ずれ動きが可能となるように引き出したりすることができる部分(詳しくは、通過口6の、ケーブル支持部1dを除いた幅広部分1e)とが連続するように形成されることによるものである。もちろん、配電函1は、蓋体3の回動量が異なる3つ以上の中間回動位置でケーブル1cの引き出しができるものであってもよいし、1つの中間回動位置のみでケーブル1cの引き出しができるものであってもよい。このとき、前記保持手段9は、蓋体3を各中間回動位置に位置する状態に保持することができるものであってもよい。また、ケーブル支持部1dは、通過口6の中央に位置しなくてもよく、通過口6の左右いずれかの側に位置してもよい。また、通過口6は、複数のケーブル支持部1dを有していてもよい。
【0057】
また、他の切欠き部5bは、底壁2cとの間に補助周壁2kを残すように、下本体壁2eを切り欠いていなくてもよく、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において通過口6を構成しない(すなわち、ケーブル1cが引き出し不能となる)のであれば、他の切欠き部5bの周縁が底壁2cに達するように、下本体壁2eを切り欠いてもよい。また、切欠き部5aおよび他の切欠き部5bの両方を設ける場合には、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において通過口6を構成しない(すなわち、ケーブル1cが引き出し不能となる)のであれば、切欠き部5aは、その周縁が閉塞部3aに達するように、下壁3dを切り欠いてもよい。また、他の切欠き部5bは、周壁2bにおける左右の本体壁2h、2hとの間に下本体壁2eを残すようにして、下本体壁2eに切り欠かれていなくてもよく、他の切欠き部5bの周縁が左右の本体壁2h、2hに達するようにして、下本体壁2eに切り欠かれてもよい。
【0058】
また、他の切欠き部5b(通過口形成部5)は、蓋体3が前記第1の回動位置に位置する状態において通過口6を構成しない(すなわち、ケーブル1cが引き出し不能となる)のであれば、前記一の本体壁2e(下本体壁2e)が、その前端2gから全部が除去されるようにして設けられてもよい。
【0059】
また、他の切欠き部5bは、第1ノックアウト部8aを打ち抜くことにより形成されなくてもよく、予め下本体壁2eに切り欠かれていてもよい。また、切欠き部5aは、予め下壁3dに切り欠かれていなくてもよく、例えば、ノックアウト部(図示せず)を打ち抜くことにより形成されてもよい。ここで、例えば、下壁3dに設けられたノックアウト部(図示せず)と、下本体壁2eに設けられた第1ノックアウト部8aとの、いずれか一方または両方を打ち抜くことで、通過口形成部5を、側壁3bまたは周壁2bのいずれか一方、または、側壁3bおよび周壁2bの両方に、選択的に設けることができるようにしても構わない。また、切欠き部5a(第1切欠き部5c、第2切欠き部5d)や、他の切欠き部5bは、不使用時に、別体からなる蓋部材によって塞ぐことができるようにしてもよい。
【0060】
また、下壁3dおよび補助側壁3eは、その閉塞部3a側が、切欠き部5aに近づくほど(すなわち、閉塞部3aから離れるほど)外方に(詳しくは、下方に)向かうように傾斜していなくてもよく、例えば、下壁3dおよび補助側壁3eの全体が、閉塞部3aから離れるほど外方に(詳しくは、下方に)向かうように傾斜してもよいし、あるいは、下壁3dおよび補助側壁3eの全体が、閉塞部3aから垂直方向に延びてもよい。反対に、下本体壁2eの一部あるいは全体が、その前端2g側ほど(すなわち、底壁2cから離れるほど)外方に(詳しくは、下方に)向かうように傾斜してもよい。
【0061】
また、側壁3bにおける左右壁3f、3fは、その延出端3c、3cが、下方側ほど(すなわち、下壁3d側ほど)壁の延出長が大きくなるように傾斜する、傾斜辺を備えるものでなくてもよく、延出端3c、3cが閉塞部3aに対して平行に延びる、平行辺を備えるもの(すなわち、側面視略長方形状に形成されるもの)であってもよい。
【0062】
また、この配電函1にあっては、蓋体3の側壁3b(詳しくは、左右壁3f、3fの上端部3g、3g)に、連結軸部4bが設けられ、函本体2の周壁2b(詳しくは、左右の本体壁2h、2hの上端部)に、その連結軸部4bが嵌まる連結筒部4aが設けられているが、反対に、函本体2の周壁2b(詳しくは、左右の本体壁2h、2hの上端部)に、連結軸部が設けられ、蓋体3の側壁3b(詳しくは、左右壁3f、3fの上端部3g、3g)に、その連結軸部が嵌まる連結筒部が設けられてもよい。また、連結筒部4aおよび連結軸部4bが前記回動連結部となるような構成でなくてもよく、例えば、函本体2と蓋体3とを、前記回動連結部としての薄肉のヒンジ部を介して、互いに一体に形成し、そのヒンジ部が回動連結軸4を形成するような構成であってもよい。
【0063】
また、配電函1の上方部に前記回動連結部が設けられ(すなわち、回動連結軸4が形成され)、かつ、その反対側となる配電函1の下方部に、通過口6が形成される構成でなくてもよく、例えば、図30に示すように、配電函1の側方部に前記回動連結部が設けられ(すなわち、回動連結軸4が形成され)、かつ、配電函1の下方部に、通過口6が形成される構成であってもよい。要するに、配電函1は、必ずしも前記回動連結部が設けられる側(すなわち、回動連結軸4が形成される側)とは反対の側に通過口6が形成される構成でなくてもよい。
【0064】
また、この配電函1にあっては、係止部11および被係止部12が、前記保持手段9として、または、前記他の保持手段10として機能するように(図示実施の形態においては、前記さらなる他の保持手段としても機能するように)、前記保持手段9および前記他の保持手段10(ならびに、前記さらなる他の保持手段)が、共通の部材により形成されているが、これら前記保持手段9および前記他の保持手段10(ならびに、前記さらなる他の保持手段)は、それぞれ別の部材により形成されてもよい。そこで、例えば、周壁2bにおける左右の本体壁2h、2hの下方側(詳しくは、下本体壁2e側)に、それら本体壁2h、2hから外方へと突出し、蓋体3が前記中間回動位置に位置する状態で、側壁3bにおける左右壁3f、3fと係合する、係合部が設けられ、その係合部が、前記保持手段9となってもよい。そして、前記他の保持手段10が、連結筒部4aの回りに設けられる係止部および連結軸部4bの回りに設けられる被係止部からなってもよい。このとき、前記さらなる他の保持手段が、第1フランジ部13aおよび第2フランジ部13b、ならびに嵌合部3jからなるようにしても構わない。また、配電函1は、前記保持手段9および前記他の保持手段10(ならびに、前記さらなる他の保持手段)を備えていなくてもよい。
【0065】
また、当接部3i、嵌合部3j、案内部7、ノックアウト部8(第1ノックアウト部8aおよび第2ノックアウト部8c)、フランジ部13(第1フランジ部13aおよび第2フランジ部13b)、他のフランジ部14、および施錠具取付部15a(函本体側取付部15bおよび蓋体側取付部15c)等は、省略しても構わない。
【0066】
また、この配電函1にプラグの差込口を有する器具1bからなる配線器具を収容する場合において、必ずしも、その器具1bの差込口が開口2d側を向くように収容する(例えば、底壁2cに固定する)必要はなく、周壁2b側など、他の方向を向くように収容する(例えば、底壁2cに固定する)ようにしてもよい。さらには、配線器具1b(器具1b)は、底壁2cに固定されていなくてもよく、例えば、周壁2bに固定されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 配電函
1a 被取付体
1c ケーブル
2 函本体
2a 本体壁
2b 周壁
2c 底壁
2d 開口
2e 下本体壁(一の本体壁)
2f 周壁の外周面
2g 下本体壁(一の本体壁)の前端
2i 周壁の前端
3 蓋体
3a 閉塞部
3b 側壁
3d 下壁(一の蓋壁)
3e 補助側壁
3k 蓋壁
3m 下壁(一の蓋壁)の延出端
5 通過口形成部
5a 切欠き部
6 通過口
9 保持手段
10 他の保持手段
13 フランジ部
14 他のフランジ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁とその周壁により囲まれた空間の後方を塞ぐ底壁とを有して、前記空間の前方が開口する函本体と、前記函本体における前方に開口する開口を閉塞する蓋体とを備え、前記周壁を構成する複数の本体壁のうちの一の本体壁を下にして被取付体に取り付けられる、配電函であって、
前記蓋体は、前記開口を覆う閉塞部と、その閉塞部から前記周壁の外周面に被るように延出する側壁とを有するとともに、前記開口を開閉自在とすべく、前記配電函の上方部または側方部に設けられる回動連結部を中心として、その回動連結部の反対側から開閉するように回動可能であって、
前記側壁には、前記蓋体が、前記開口の全体を閉塞する第1の回動位置と、前記開口の全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、前記一の本体壁の前端部分とで囲むようにしてケーブルの通過口を形成する、通過口形成部が設けられ、その通過口形成部は、前記側壁を構成する複数の蓋壁のうちの、前記一の本体壁に対応する一の蓋壁が、その延出端から一部または全部が除去されるようにして設けられており、かつ、
前記側壁は、前記蓋体が前記中間回動位置に位置する状態において、前記通過口形成部が設けられた部分を除き、前記周壁の前記外周面に被る長さとなるように延出形成されている、配電函。
【請求項2】
前記配電函は、前記蓋体を前記中間回動位置に位置する状態に保持する保持手段を備える、請求項1に記載の配電函。
【請求項3】
前記配電函は、前記蓋体を前記第2の回動位置に位置する状態に保持する他の保持手段を備える、請求項2に記載の配電函。
【請求項4】
前記一の蓋壁には、前記延出端から前記一の蓋壁を切り欠いた切欠き部が設けられており、その切欠き部が前記通過口形成部となっている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配電函。
【請求項5】
前記切欠き部は、前記閉塞部との間に、前記一の蓋壁を形成する補助側壁を残すように、かつ、前記補助側壁の高さ寸法が、前記通過口の、前記一の本体壁の前端から前記閉塞部側に向かう方向の開口高寸法と同一、または前記開口高寸法よりも大きくなるように、前記延出端から前記一の蓋壁を切り欠いている、請求項4に記載の配電函。
【請求項6】
前記周壁の前端側には、前記周壁から外方へと突出するフランジ部が設けられ、
前記フランジ部は、少なくとも、前記一の本体壁の前端側における前記通過口を形成する部分を除いた前記周壁の全周に渡って、連続するように設けられている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の配電函。
【請求項7】
前記複数の本体壁のうちの、前記回動連結部が設けられる側に位置する本体壁には、その本体壁から外方へと突出する他のフランジ部が、前記フランジ部よりも前記底壁側に位置するように設けられている、請求項6に記載の配電函。
【請求項8】
前記他のフランジ部は、前記回動連結部が設けられる側に位置する本体壁から外方へと突出する突出高さが、前記フランジ部の前記本体壁から外方へと突出する突出高さよりも大きくなっているとともに、前記蓋体が前記第1の回動位置に位置する状態で、前記複数の蓋壁のうちの、前記回動連結部が設けられる側に位置する蓋壁の延出端と略接するようになっている、請求項7に記載の配電函。
【請求項9】
周壁とその周壁により囲まれた空間の後方を塞ぐ底壁とを有して、前記空間の前方が開口する函本体と、前記函本体における前方に開口する開口を閉塞する蓋体とを備え、前記周壁を構成する複数の本体壁のうちの一の本体壁を下にして被取付体に取り付けられる、配電函であって、
前記蓋体は、前記開口を覆う閉塞部と、その閉塞部から前記周壁の外周面に被るように延出する側壁とを有するとともに、前記開口を開閉自在とすべく、前記配電函の上方部または側方部に設けられる回動連結部を中心として、その回動連結部の反対側から開閉するように回動可能であって、
前記側壁または/および前記周壁には、前記蓋体が、前記開口の全体を閉塞する第1の回動位置と、前記開口の全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、ケーブルを引き出し可能に開口する、通過口を構成する、通過口形成部が設けられ、
前記通過口形成部は、前記側壁を構成する複数の蓋壁のうちの、前記一の本体壁に対応する一の蓋壁、または/および、前記一の本体壁が、前記一の蓋壁の延出端または/および前記一の本体壁の前端から切り欠かれるようにして設けられるとともに、前記蓋体が前記第1の回動位置に位置する状態において前記通過口を構成しないように設けられ、かつ、
前記側壁は、前記蓋体が前記中間回動位置に位置する状態において、前記通過口が形成された部分を除き、前記周壁の前記外周面に被る長さとなるように延出形成されている、配電函。
【請求項1】
周壁とその周壁により囲まれた空間の後方を塞ぐ底壁とを有して、前記空間の前方が開口する函本体と、前記函本体における前方に開口する開口を閉塞する蓋体とを備え、前記周壁を構成する複数の本体壁のうちの一の本体壁を下にして被取付体に取り付けられる、配電函であって、
前記蓋体は、前記開口を覆う閉塞部と、その閉塞部から前記周壁の外周面に被るように延出する側壁とを有するとともに、前記開口を開閉自在とすべく、前記配電函の上方部または側方部に設けられる回動連結部を中心として、その回動連結部の反対側から開閉するように回動可能であって、
前記側壁には、前記蓋体が、前記開口の全体を閉塞する第1の回動位置と、前記開口の全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、前記一の本体壁の前端部分とで囲むようにしてケーブルの通過口を形成する、通過口形成部が設けられ、その通過口形成部は、前記側壁を構成する複数の蓋壁のうちの、前記一の本体壁に対応する一の蓋壁が、その延出端から一部または全部が除去されるようにして設けられており、かつ、
前記側壁は、前記蓋体が前記中間回動位置に位置する状態において、前記通過口形成部が設けられた部分を除き、前記周壁の前記外周面に被る長さとなるように延出形成されている、配電函。
【請求項2】
前記配電函は、前記蓋体を前記中間回動位置に位置する状態に保持する保持手段を備える、請求項1に記載の配電函。
【請求項3】
前記配電函は、前記蓋体を前記第2の回動位置に位置する状態に保持する他の保持手段を備える、請求項2に記載の配電函。
【請求項4】
前記一の蓋壁には、前記延出端から前記一の蓋壁を切り欠いた切欠き部が設けられており、その切欠き部が前記通過口形成部となっている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配電函。
【請求項5】
前記切欠き部は、前記閉塞部との間に、前記一の蓋壁を形成する補助側壁を残すように、かつ、前記補助側壁の高さ寸法が、前記通過口の、前記一の本体壁の前端から前記閉塞部側に向かう方向の開口高寸法と同一、または前記開口高寸法よりも大きくなるように、前記延出端から前記一の蓋壁を切り欠いている、請求項4に記載の配電函。
【請求項6】
前記周壁の前端側には、前記周壁から外方へと突出するフランジ部が設けられ、
前記フランジ部は、少なくとも、前記一の本体壁の前端側における前記通過口を形成する部分を除いた前記周壁の全周に渡って、連続するように設けられている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の配電函。
【請求項7】
前記複数の本体壁のうちの、前記回動連結部が設けられる側に位置する本体壁には、その本体壁から外方へと突出する他のフランジ部が、前記フランジ部よりも前記底壁側に位置するように設けられている、請求項6に記載の配電函。
【請求項8】
前記他のフランジ部は、前記回動連結部が設けられる側に位置する本体壁から外方へと突出する突出高さが、前記フランジ部の前記本体壁から外方へと突出する突出高さよりも大きくなっているとともに、前記蓋体が前記第1の回動位置に位置する状態で、前記複数の蓋壁のうちの、前記回動連結部が設けられる側に位置する蓋壁の延出端と略接するようになっている、請求項7に記載の配電函。
【請求項9】
周壁とその周壁により囲まれた空間の後方を塞ぐ底壁とを有して、前記空間の前方が開口する函本体と、前記函本体における前方に開口する開口を閉塞する蓋体とを備え、前記周壁を構成する複数の本体壁のうちの一の本体壁を下にして被取付体に取り付けられる、配電函であって、
前記蓋体は、前記開口を覆う閉塞部と、その閉塞部から前記周壁の外周面に被るように延出する側壁とを有するとともに、前記開口を開閉自在とすべく、前記配電函の上方部または側方部に設けられる回動連結部を中心として、その回動連結部の反対側から開閉するように回動可能であって、
前記側壁または/および前記周壁には、前記蓋体が、前記開口の全体を閉塞する第1の回動位置と、前記開口の全体を露出させる第2の回動位置との間の、所定の中間回動位置に位置する状態で、ケーブルを引き出し可能に開口する、通過口を構成する、通過口形成部が設けられ、
前記通過口形成部は、前記側壁を構成する複数の蓋壁のうちの、前記一の本体壁に対応する一の蓋壁、または/および、前記一の本体壁が、前記一の蓋壁の延出端または/および前記一の本体壁の前端から切り欠かれるようにして設けられるとともに、前記蓋体が前記第1の回動位置に位置する状態において前記通過口を構成しないように設けられ、かつ、
前記側壁は、前記蓋体が前記中間回動位置に位置する状態において、前記通過口が形成された部分を除き、前記周壁の前記外周面に被る長さとなるように延出形成されている、配電函。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2012−231660(P2012−231660A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−72319(P2012−72319)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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