説明

配電柱間架設用ケーブル及び該ケーブルの引留め方法

【課題】従来メッセンジャーワイヤを予め架設し、これに光ケーブルをケーブルハンガーを用いて支持させる従来の方法は、極めて面倒であり、低コストで済む手段について鋭意検討したが、従来メッセンジャーワイヤを予め架設するときの作業上の問題点を解決し、しかも、従来メッセンジャーワイヤとケーブルとは共通のプラスチック被覆でなければ、ならないという既成概念の束縛から解放された、新しいメッセンジャーワイヤ付き光ケーブルを生み出した。
【解決手段】 メッセンジャーワイヤを構成する高抗張力線と、光ファイバを収納した鋼パイプとが同径であって、少なくとも光ファイバを収納した鋼パイプの1条ないし3条を隣接することなく周囲の撚り構成中に存在させたことを特徴とする配電柱間架設用ケーブル及び上記配電柱間架設用ケーブルを配電電柱間に架設し、該ケーブルの高張力線を纏めて引留め金具で引き留めるようにした引留め方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電柱間に配線される光ファイバケーブル入りのメッセンジャーワイヤで、ハンガー不要なケーブル及びケーブルの引留め方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
配電柱間にケーブルを架設するには、従来から予め配電柱間に架設したメッセンジャーワイヤに沿わせてケーブルを掛け渡し、ハンガーと呼ばれる吊具を用いてメッセンジャーワイヤにケーブルをハンガーで吊り下げるか、予め配電柱間に架設したメッセンジャーワイヤに一方向の螺旋コイルを外挿し、コイルの内側にケーブルを挿入し、ケーブルを一束化することが行われている。前者は高所作業で面倒であり、後者は例えば特公昭52―4033号公報に見られるように、ケーブルの挿入が面倒である。
【0003】
この改良案として左右交互螺旋を用いる特開2005−168284号公報が知られている。しかし、左右交互螺旋のコイルの引き伸ばしや、メッセンジャーワイヤとケーブルを別途架設する作業は、配電柱間の高所作業であることと、落雷や強風により、線路に断線や光ケーブルの場合通信障害を引き起こすなどの問題が懸念される。
【0004】
一方、メッセンジャーワイヤと光ファイバケーブルとを共通プラスチックシースの首部で連結した自己支持型ケーブルがある。例えば特開平10−133071号公報参照がある。このようなケーブルは、側方からの横風を受けた場合、揚力がおき、ケーブルに低周波振動であるダンシングを発生しやすいため、ケーブルコア内に収納される光ファイバや配電ケーブルが劣化しやすいという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特公昭52−4033号公報
【特許文献2】特開2005−168284号公報
【特許文献3】特開平10−133071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような問題を生じない配電電柱間に架設する光ケーブルを提供することを目的とするものである。
すなわち、配電電柱は30m〜50mの間隔で設けられており、ここに架設する光ケーブルはあまり大サイズで重量の大きいものは適用されていない。
従って、従来メッセンジャーワイヤを予め架設し、これに光ケーブルをケーブルハンガーを用いて支持させる従来の方法は、極めて面倒であり、また螺旋コイルを用いる方法もハンガーのように多数のハンガーを取り付ける作業が無く、低コストで済む手段について鋭意検討した。
すなわち、従来メッセンジャーワイヤを予め架設するときの作業上の問題点を解決し、しかも、従来メッセンジャーワイヤとケーブルとは共通のプラスチック被覆でなければ、ならないという既成概念の束縛から解放された、新しい光ケーブル付きメッセンジャーワイヤを生み出し、かつ新しいケーブル支持工法を生み出したものである。
本発明によれば、比較的簡単な構造で、予めメッセンジャーワイヤを架設することや、ハンガーが必要でなく、所望のケーブルにあるメッセンジャーワイヤを電柱の箇所で引き留めればよいので、ケーブルの構造が簡単で、電柱間に架設することも容易で、低コストで安全に架設作業を達成できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、メッセンジャーワイヤを構成する高抗張力線と、光ファイバを収納した鋼パイプとが同径であって、少なくとも光ファイバを収納した鋼パイプの1条ないし3条を隣接することなく周囲の撚り構成中に存在させたことを特徴とする配電柱間架設用ケーブルであり(請求項1)、ここには外周の撚り構造中に光ファイバを収納した鋼パイプが1条でもよいし、光ファイバを収納した鋼パイプ2条を用い、高抗張力線の2条を介して1条あて配列した場合や、光ファイバを収納した鋼パイプ3条を用い、請求項2に記載のように中心を鋼線とし、その周囲に高抗張力線と光ファイバを収納した鋼パイプとを交互に撚り合わせてなるものであってもよい。この場合は光りファイバを最も多く収納したケーブルを提供できる。
また、本発明は、光ファイバを収納した鋼パイプとして実績のあるステンレス鋼パイプを用いたことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の配電柱間架設用ケーブルであり(請求項3)、
請求項1乃至3いずれかに記載の配電柱間架設用ケーブルを配電電柱間に架設し、該ケーブに於ける高張力線を纏めて引留め金具で引き留めるようにしたことを特徴とする配電柱間架設用ケーブルの引留め方法である(請求項4)。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電柱間架設用ケーブルは、特にメッセンジャーワイヤを別途架設し、螺旋状支持具を用いることなしに、簡単に架設することができ、しかも、光ケーブルを管路内に挿入してあるので、外部の気象条件に影響されず、微振動による通信不良や、塩害に基づく問題を発生せず、
さらに中心部の高抗張力線及び外周より線層中の高抗張力線は、電柱の引留め部で全て集合してメッセンジャーワイヤとして引留めるので、特別なハンガーを必要とせず、ケーブルの架設にあたり必要な機材がすくなくなり、かつ高所での作業が容易となる等の効果
を奏する。
さらに、光ファイバを収納した鋼パイプは高抗張力線と同径で全体的にバランスよく撚り合わされ、全体的撚り線構造であるから、ケーブルはどの方向を上にしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明により得られた配電柱間架設用ケーブルの構造例を示す断面図で、中心部及びその周囲に1条おきに高抗張力線1が設けられ,光ファイバを収納した鋼パイプ2と交互に撚り合せて構成されている。
なお、図示していないが、光ファイバを収納した鋼パイプ2は1条でもよいし、2条を高抗張力線1の2条おきに介して配列してもよい。
図では全ての高抗張力線1と、光ファイバを収納した鋼パイプ2の外径は同一であり、その引張り荷重より、公称断面積及び外径が計算されるが、一部に光ファイバを収納した鋼パイプが用いられていても、全体的には抗張力より線すなわち、メッセンジャーワイヤの設計値を近似値として判断して設計することができる。例えば断面積22mmでは直径が6.0mmであり、断面積が55mmでは直径が9.6mmであり、断面積が135mmでは直径が15.0mmである。通常外径が6.0mm〜15.0mm程度のものが実用可能である。
【0010】
光ファイバを収納した鋼パイプ2のパイプの材質は通常実績のあるSUSが強度と、雰囲気による腐食防止の観点から、有利に用いられ、高抗張力線1は、亜鉛メッキ鋼線が廉価であり、使用される。
勿論アルミ被覆鋼線を用いても良い。この場合、塩害にも強いので好ましい。
図1では高抗張力線の一本を中心にして、その周囲に同径の高抗張力線1と金属管収納光ファイバ2とが交互にされて全体として6条が撚り合わされている。
高抗張力線1と光ファイバを収納した鋼パイプ2とが交互に位置して撚り合わされているが、先に述べたように、必要に応じて光ファイバを収納した鋼パイプ2は1条、又は2条でも差し支えない。すなわち、光ファイバを収納した鋼パイプを隣接しないことが強度保持や光ファイバへの影響を考えると好ましい。
なお、光ファイバを収納した鋼パイプ2は一層であるが、中に収納される光ファイバの数を考えると、これで十分であり、2層以上とする必要はない。
【0011】
また、図示していないが、外周の鋼線と光ファイバを収納した鋼パイプとを、それぞれ偏って集合状態、外周の鋼線3条と光ファイバを収納した鋼パイプ3条とはグループ別にして撚り合わせた場合は、一見電柱に於ける引留めが簡単に思えるが、ケーブル自体の強度が円周方向で一様でないので、好ましくない。要は鋼線と光ファイバを収納した鋼パイプとがバランスよく撚り合わされることが製造上も、製品としても好ましい。
なお、中心の高抗張力線の存在は、周囲の光ファイバのマイクロベンドの防止に効果ががある。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、配電電柱間に光ファイバを架設するに際して、ケーブル構造中の高抗張力線を利用して引留めので、別途メッセンジャーワイヤの架設や、ハンガあるいはラッシングロッドを必要としないで容易に架線できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の架空ケーブルの一例の断面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 高抗張力線
2 光ファイバを収納した鋼パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッセンジャーワイヤを構成する高抗張力線と、光ファイバを収納した鋼パイプとが同
径であって、少なくとも光ファイバを収納した鋼パイプの1条ないし3条を隣接することなく周囲の撚り構成中に存在させたことを特徴とする配電柱間架設用ケーブル。
【請求項2】
中心を高抗張力線とし、その周囲に高抗張力線と光ファイバを収納した鋼パイプとを交互に配列して撚り合わせてなることを特徴とする請求項1に記載の配電柱間架設用ケーブル。
【請求項3】
光ファイバを収納した鋼パイプとしてステンレス鋼パイプを用いたことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の電柱間架設用ケーブル。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかに記載の配電柱間架設用ケーブルを配電電柱間に架設し、該ケーブに於ける高張力線を纏めて引留め金具で引き留めるようにしたことを特徴とする電柱間架設用ケーブルの引留め方法。

【図1】
image rotate