説明

酵素阻害剤およびその使用

本発明は、疾患または障害、例えば心不全、高脂血症、高コレステロール血症、ゴナドトロピン欠乏症、真性糖尿病、メタボリック症候群、高血糖症、インスリン抵抗性、グルコース不耐症、肥満症、乾癬、アトピー性皮膚炎、およびがんなどの治療のための化合物ならびに方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼを阻害する化合物に関する。本発明はまた、該化合物を含む医薬組成物およびカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼに関連する疾患または障害の治療における該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)は、数種類の器官において見出され、細胞内小器官、例えばミトコンドリアなどに局在している膜結合長鎖アシルカルニチントランスフェラーゼのファミリーである。CPT1は、ミトコンドリア外膜に局在し、長鎖アシルカルニチン、例えばパルミトイルカルニチンなどの形成を触媒する。CPT1の3種類の組織特異的イソ型が、肝臓、脳、および筋肉において同定されている。CPT1は、長鎖アシルカルニチンの形成を触媒すると、ミトコンドリア内膜タンパク質カルニチン−アシルカルニチントランスロカーゼにより該ミトコンドリア膜を通過して輸送される。CPT2は、ミトコンドリア内膜に位置し、長鎖アシルカルニチンの長鎖アシル−コエンザイムAエステルへの変換を触媒し、次に、長鎖アシル−コエンザイムAエステルはミトコンドリアマトリックスで酸化されてアセチル−コエンザイムAとなる。アセチル−コエンザイムAは、糖新生経路の主要な酵素であるピルビン酸カルボキシラーゼを活性化する。
【0003】
糖尿病患者は脂肪酸の血中濃度が高いことが報告されている。これらの脂肪酸は、肝臓で酸化されて豊富なアセチル−コエンザイムA、ATP、およびNADHを生成し、その結果、該糖新生経路の過度の刺激および血糖レベルの上昇を生じさせる。従って、CPT1の阻害は、アセチル−コエンザイムAの量を減少させ、結果的に糖新生および血糖レベルを低下させる。
【0004】
米国特許第6,444,701号および同第6,369,073号、国際特許公報WO2006/092204号およびWO2008/015081号ならびにGiannessi et al.(J.Med.Chem.44:2382(2001))には、CPT1の阻害剤であるアミノカルニチン誘導体が多数開示される。しかし、当分野においてCPT1をより効果的に阻害する化合物およびCPTに関連する疾患を治療する方法に対する必要性が依然として残っている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、次式I:
RO(CHX (I)
(式中、Xは、
NHCONHCH(CHCOCHN(CH
NHCONHCH(CHCOH)CHN(CH、および
NHCONHCH(CHCO)CHN(CHからなる群から選択され;
Rは、CH(CH、PhC(CH、およびPh(CHからなる群から選択され;
は、C1−4直鎖もしくは分枝アルキル基であり;
は、陰イオンであり;
mは、3〜14であり;
nは、0〜11であり;
pは、0〜6であり;
qは、1〜9であり;
ここで、mにnを加えた和は、10〜14であり;
mにpを加えた和は、5〜9であり;かつ
mにqを加えた和は、8〜12である)を有する、CPT1の阻害剤である化合物;
またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体に関する。
【0006】
式Iの化合物の一実施形態では、Rは、CH(CHであり、mは、3〜14であり、nは、0〜11であり、mにnを加えた和は、10〜14である。もう一つの実施形態では、Rは、PhC(CHであり、mは、3〜9であり、pは、0〜6であり、mにpを加えた和は、5〜9である。さらなる実施形態では、Rは、Ph(CHであり、mは、3〜12であり、qは、1〜9であり、mにqを加えた和は、8〜12である。
【0007】
本発明はさらに、式II:
−ビフェニル(CHX (II)
(式中、Xは、
NHCONHCH(CHCOCHN(CH
NHCONHCH(CHCOH)CHN(CH、および
NHCONHCH(CHCO)CHN(CHからなる群から選択され;
は、C1−4直鎖もしくは分枝アルキル基であり;
は、陰イオンであり;
は、HおよびCH(CHからなる群から選択され;
vは、2〜10であり;
wは、0〜7であり;かつ
vにwを加えた和が、5〜10である)を有する、CPT1の阻害剤である化合物;
またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体に関する。
【0008】
一実施形態では、Rは、Hであり、vは、6〜10である。もう一つの実施形態では、Rは、CH(CHであり、vは、2〜9であり、wは、0〜7であり、かつvにwを加えた和は、5〜9である。
【0009】
本発明はさらに、本発明の化合物および製薬上許容される担体を含む、本質的にそれらからなる、またはそれらからなる医薬組成物に関する。本明細書において、用語「本質的になる」
【0010】
もう一つの態様として、本発明は、酵素と本発明の化合物を接触させることを含む、CPT1を阻害する方法を提供する。該酵素は、動物(例えば、ヒト)の、単離された細胞または組織に、あるいは溶液中に位置し得る。
【0011】
一態様では、本発明は、動物に有効量の本発明の化合物を投与することによる、CPTに関連する疾患または障害、例えば糖尿病、高血糖症、癌、または乾癬などを治療する方法を提供する。特定の実施形態では、該化合物は、CPT1の活性、例えば、CPT1の肝臓イソ型(CPT1L)の活性を低下させる。一実施形態では、化合物は局所に投与される。
【0012】
もう一つの態様では、本発明は、動物に有効量の本発明の化合物を投与することによる、疾患または障害を治療する方法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、本発明の化合物および/または医薬組成物を含むキットに関する。
【0014】
さらにもう一つの態様として、本発明は、イソブチルカルニチンと対応するイソシアネートを反応させてアミノカルニチンに由来する尿素エステルを形成し、その後アミノカルニチン由来尿素エステルのエステル基を加水分解して一般式IまたはIIを有する化合物を形成することにより、本発明の化合物を調製する方法を提供する。
【0015】
本発明の一実施形態は、CPT1の阻害のための薬物の調製における本発明の化合物の使用に関する。本発明のもう一つの実施形態は、CPTに関連する疾患または障害の治療のための薬物の調製における本発明の化合物の使用に関する。本発明の一実施形態は、CPT1の阻害のための本発明の化合物の使用に関する。本発明のもう一つの実施形態は、CPTに関連する疾患または障害の治療のための本化合物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書において、「a」、「an」、または「the」は、1以上のものを意味し得る。例えば、「a」で示された細胞は、単一の細胞または多数の細胞を意味し得る。
【0017】
また、本明細書において、「および/または」とは、1以上の関連する列挙項目のありとあらゆる可能性のある組合せ、ならびに、選択肢に解釈される場合には組合せの欠如(「または」)を指し、かつ包含する。
【0018】
さらに、用語「約」は、本明細書において、測定可能な値、例えば、本発明の化合物または薬剤の量、用量、時間、温度などを指す場合には、指定された量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、またさらには±0.1%の変動を包含することが意図される。
【0019】
用語「本質的になる」(および文法上の変化形)は、本発明の組成物に適用される時に、組成物が該組成物を物質的に変えるさらなる要素を含まないことを意味する。
【0020】
本発明は、次式I:
RO(CHX (I)
(式中、Xは、
NHCONHCH(CHCOCHN(CH
NHCONHCH(CHCOH)CHN(CH、および
NHCONHCH(CHCO)CHN(CHからなる群から選択され;
Rは、CH(CH、PhC(CH、およびPh(CHからなる群から選択され;
は、C1−4直鎖もしくは分枝アルキル基であり;
は、陰イオンであり;
mは、3〜14であり;
nは、0〜11であり;
pは、0〜6であり;
qは、1〜9であり;
ここで、mにnを加えた和は、10〜14であり;
mにpを加えた和は、5〜9であり;かつ
mにqを加えた和は、8〜12である)を有する、CPT1の阻害剤である化合物;
またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体に関する。
【0021】
式Iの化合物の一実施形態では、Rは、CH(CHであり、mは、3〜14であり、nは、0〜11であり、かつ、mにnを加えた和は、10〜14である。もう一つの実施形態では、Rは、PhC(CHであり、mは、3〜9であり、pは、0〜6であり、かつ、mにpを加えた和は、5〜9である。さらなる実施形態では、Rは、Ph(CHであり、mは、3〜12であり、qは、1〜9であり、かつ、mにqを加えた和は、8〜12である。その他の実施形態では、mは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14あるいはその中の任意の範囲であり、nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11あるいはその中の任意の範囲であり、pは、0、1、2、3、4、5、または6あるいはその中の任意の範囲であり、かつ、qは、1、2、3、4、5、6、7、8、または9あるいはその中の任意の範囲である。さらなる実施形態では、mにnを加えた和は、10、11、12、13、または14あるいはその中の任意の範囲であり、mにpを加えた和は、5、6、7、8、または9あるいはその中の任意の範囲であり、かつ、mにqを加えた和は、8、9、10、11、または12、あるいはその中の任意の範囲である。
【0022】
式Iの化合物の例としては、限定されないが、表1に示されるように、イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[6−(4−フェニルブトキシ)ヘキサ−1−イル]ウレイド]ブチレートホルメート、
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[6−(4−フェニルブトキシ)ヘキサ−1−イル]ウレイド]ブチレート、
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[6−(2−フェニルエトキシ)ヘキサ−1−イル]ウレイド]ブチレート、
イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(12−メトキシドデカ−1−イル)ウレイド]ブチレートホルメート、
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(12−メトキシドデカ−1−イル)ウレイド]ブチレート、
イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(6−ヘプチルオキシヘキサ−1−イル)ウレイド]ブチレートホルメート、
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(6−ヘプチルオキシヘキサ−1−イル)ウレイド]ブチレート、
イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[7−(4−ビフェニルオキシ)ヘプタ−1−イル]ウレイド]ブチレートホルメート、および
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[7−(4−ビフェニルオキシ)ヘプタ−1−イル]ウレイド]ブチレートが挙げられる。
【0023】
式Iの化合物の一実施形態では、pは、1〜6である。もう一つの実施形態では、式Iの化合物に、(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(7−(4−ビフェニルオキシ)ヘプチル)ウレイド]ブチレートは含まれない。
【0024】
本発明はさらに、式II:
−ビフェニル(CHX (II)
(式中、Xは、
NHCONHCH(CHCOCHN(CH
NHCONHCH(CHCOH)CHN(CH、および
NHCONHCH(CHCO)CHN(CHからなる群から選択され;
は、C1−4直鎖もしくは分枝アルキル基であり;
は、陰イオンであり;
は、HおよびCH(CHからなる群から選択され;
vは、2〜10であり;
wは、0〜7であり;かつ
vにwを加えた和が、5〜10である)を有する、CPT1の阻害剤である化合物;
またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体に関する。
【0025】
一実施形態では、Rは、Hであり、vは、6〜10である。もう一つの実施形態では、Rは、CH(CHであり、vは、2〜9であり、wは、0〜7であり、かつ、vにwを加えた和は、5〜9である。さらなる実施形態では、vは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10あるいはその中の任意の範囲であり、wは、0、1、2、3、4、5、6、または7あるいはその中の任意の範囲であり、かつ、vにwを加えた和は、5、6、7、8、9、または10あるいはその中の任意の範囲である。
【0026】
本発明の化合物の一実施形態では、R基は、Rが結合していないフェニル環に対してパラ位のビフェニル基に結合する。その他の実施形態では、R基は、オルトまたはメタ位のビフェニル基に結合する。
【0027】
式IIの化合物の例としては、限定されないが、表1に示されるように、イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[7−(4−ビフェニリル)ヘプタ−1−イル]ウレイド]ブチレートおよび(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[7−(4−ビフェニリル)ヘプタ−1−イル]ウレイド]ブチレートが挙げられる。
【表1A】

【表1B】

【表1C】

表1:式IおよびIIの化合物の例
構造
【0028】
適したRアルキル基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、またはsec−ブチルが挙げられる。
【0029】
は、下に考察される本発明の化合物に対する対イオンを形成する、任意の適した陰イオンであってよい。一実施形態では、Yは、製薬上許容される陰イオンである。
【0030】
本発明はまた、式IおよびIIの化合物の互変異性体、幾何異性体、鏡像異性体などの光学活性体およびラセミ化合物形態も含む。式IおよびIIの化合物は、ウレイド基に結合した炭素原子上に不斉中心を有する。本発明の目的において、式IおよびIIのそれぞれの化合物は、R,Sラセミ混合物として、かつ、別々のR異性体およびS異性体としての両方で存在することができる。
【0031】
本発明の化合物は、インビボで活性化合物に変換されるプロドラッグであってよい。用語「プロドラッグ」は、被験体に投与されると、代謝過程または化学過程により化学変換を受けて本発明の化合物をもたらす化合物を意味する。「プロドラッグ」は、(i)その親薬剤化合物の生物活性の一部、全部を保持するか、または全く保持せず、かつ(ii)被験体において代謝されて親薬剤化合物をもたらすように、化学的に誘導体化された本発明の化合物であってよい。例えば、化合物は、場合により、インビボで異なる置換基、例えば水素などに変換可能である置換基を含む。
【0032】
本発明の化合物のプロドラッグは、従来のエステルであってもよい。一部の一般的なエステルの例としては、限定されるものではないが、フェニルエステル、脂肪族エステル(C−C24)、アシルオキシメチルエステル、カルバミン酸塩、アミノ酸エステル、および、基が、アルキル、アリール、アラルキル、アシルオキシアルキル、またはアルコキシカルボニルオキシアルキルである、カルボン酸塩エステルが挙げられる。一実施形態では、該エステルは、CからCのエステル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、またはsec−ブチルである。説明される基は例であって、網羅的ではなく、当業者はその他の公知の種類のプロドラッグを調製することができる。適したプロドラッグ誘導体の選択および調製のための従来手順は、例えば、参照によりその全文が本明細書に援用される、「Design of Prodrugs,」ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。
【0033】
一実施形態では、本発明の化合物は、分子内塩、すなわち、そのXが、NHCONHCH(CHCOCHN(CHである、として存在してもよい。用語「分子内塩」とは、双性イオンとして存在する化合物を指し、化合物が負電荷と正電荷の両方を保有することを意味する。その他の実施形態では、本発明は、分子内塩でない、すなわち、そのXが、NHCONHCH(CHCOH)CHN(CHまたはNHCONHCH(CHCO)CHN(CHである、上記の化合物の塩を包含する。
【0034】
用語「製薬上許容される塩」とは、親化合物の所望の生物活性を保持し、かつ望ましくない毒物学的影響をそれに付与しない塩を指す。
【0035】
製薬上許容される塩基付加塩は、金属またはアミン、例えばアルカリおよびアルカリ土類金属または有機アミンなどと形成することができる。陽イオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどである。適したアミンの例は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、およびプロカインである(例えば、Berge et al.,「Pharmaceutical Salts,」J.of Pharm.Sci.66:1(1977)参照)。酸性化合物の塩基付加塩は、従来方式で、遊離酸形態と、塩を生成するために十分な量の所望の塩基とを接触させることにより調製される。遊離酸形態は、従来方式で、塩形態と酸を接触させること、および遊離酸を単離することにより再生することができる。遊離酸形態は、極性溶媒においては溶解度などの特定の物理的特性においてそれぞれの塩形態とは多少異なるが、そのほかの点では、該塩は、本発明の目的においてそれらのそれぞれの遊離酸と同等である。本明細書において用いられる「医薬付加加塩」には、本発明の組成物の成分うちの1種類の酸形態の製薬上許容される塩が含まれる。これらには、アミンの有機もしくは無機酸塩が含まれる。好ましい酸塩は、塩酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、硝酸塩およびリン酸塩である。その他の適した製薬上許容される塩は、当業者に周知であり、それには、多様な無機酸および有機酸の塩基性塩が挙げられ、それには、例えば、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸またはリン酸などとの塩基性塩;有機酸、例えばカルボン酸、スルホン酸、スルホもしくはホスホ酸またはN−置換スルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、粘液酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、エンボン酸、ニコチン酸またはイソニコチン酸などとの塩基性塩;およびアミノ酸、例えば天然に存在するα−アミノ酸、例えばグルタミン酸またはアスパラギン酸などとの塩基性塩、およびまた、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、2−もしくは3−ホスホグリセリン酸塩、グルコース−6−リン酸塩、N−シクロヘキシルスルファミン酸(サイクラミン酸の形態で)との塩基性塩、またはその他の酸有機化合物、例えばアスコルビン酸などとの塩基性塩が含まれる。化合物の製薬上許容される塩はまた、製薬上許容される陽イオンを用いて調製することもできる。適した製薬上許容される陽イオンは、当業者に周知であり、それには、アルカリ陽イオン、アルカリ土類陽イオン、アンモニウム陽イオンおよび第四級アンモニウム陽イオンが挙げられる。炭酸塩または水素炭酸塩もまた可能である。
【0036】
本発明の化合物は、以下の一般的な方法および手順並びに実施例に記載される方法および手順を用いて、容易に入手可能な出発物質から調製されてもよい。典型的または好ましい実験条件(すなわち、反応温度、時間、試薬のモル数、溶媒など)が与えられているところには、特に指定のない限り、その他の実験条件を使用することができることは当然理解される。最適な反応条件は、使用する特定の反応体または溶媒によって変動する可能性があるが、このような条件は、慣習的な最適化手順により当業者が決定できる。
【0037】
本発明の化合物を調製するためプロセスは、イソブチルカルニチン、例えば(R)−3−アミノカルニチンイソブチルエステルなどと、対応するイソシアネートを、双極性非プロトン性もしくはプロトン性溶媒、例えばイソブタノールなどの中で、約4℃〜約80℃の間、例えば約10℃〜約60℃の間などの温度にて、約1〜約72時間の間、例えば約15〜約48時間の間など、反応させてアミノカルニチン由来尿素エステルを生じることを含む。
【化1】

【0038】
イソシアネートは、市販のものでもよいし、任意の公知の方法、例えばDIPEAの存在下でトリホスゲンを用いて適当なアミンから出発して、所望のイソシアネートを生成する方法などにより生成されてもよい。アミンは、市販のものでもよいし、任意の公知の方法、例えばニトリルの還元により所望のアミンを生成する方法などにより調製されてもよい。アミノカルニチン由来尿素エステルの酸化合物への変換は、アミノカルニチン由来尿素エステルのエステル基を、水性の酸性または塩基性条件下、約10℃〜約40℃の間、例えば約10℃〜約25℃の間などの温度にて、かつ、約1〜約120時間の間、例えば約15〜約40時間の間などで加水分解することにより達成することができる。
【化2】

【0039】
一態様では、本発明は、CPT1を阻害する方法を提供する。この方法は、該酵素と本発明の化合物を接触させることを含む。この酵素は、動物(例えば、ヒト)の細胞に、単離された細胞または組織に、あるいは、溶液中に位置し得る。CPT1は、CPT1のいずれのイソ型であってもよく、それには、肝臓、脳、および/または筋肉イソ型が含まれる。化合物は、1種類のイソ型または1種類以上のイソ型を優先的に阻害することができる。
【0040】
もう一つの態様では、本発明の方法は、CPTに関連する疾患または障害を治療するための、有効量の式IまたはIIを有する化合物の投与を提供する。投与される化合物は、CPT1の活性を少なくとも約10%、例えば、少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%低下させるために効果的である。一部の実施形態では、CPT1の肝臓イソ型(CPT1L)の活性は低減される。一実施形態では、CPT1Lは、その他のCPT1酵素と比較して優先的に低減される。
【0041】
本明細書において用いられる用語「カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼに関連する疾病または障害」とは、CPT活性の低下が、有益な(例えば、治療の)効果をもたらすことになる疾病または障害を指す。疾病または障害は、少なくとも一部分、CPT1の過剰な活性に起因するもの、例えばCPT1による長鎖アシルカルニチンの触媒作用に直接関連する疾病または障害などであってもよい。あるいは、疾病または障害は、CPT1の活性に間接的に関連するもの、例えばCPT1活性のレベルを低下させることにより治療可能である症状を有する疾病または障害などであってもよい。
【0042】
さらなる態様において、本発明は、有効量の式IまたはIIを有する化合物を、それを必要とする被験体に投与することにより、疾病または障害を治療する方法を提供する。特定の実施形態では、該疾病または障害は、代謝性疾患、例えば真性糖尿病(例えば、I型またはII型)、メタボリック症候群、高血糖症、インスリン抵抗性、グルコース不耐症および/または肥満症などであってもよい。その他の実施形態では、該疾病または障害は、レプチン抵抗性、ゴナドトロピン欠乏症、心不全、虚血、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高血圧症、家族性リポタンパク質欠損症(familial lipoprotein deficiency)、無月経症、および/または多嚢胞性卵巣症候群である。さらなる実施形態では、該疾病または障害は、過剰増殖性疾患、例えばがん、例えば、肺、結腸、前立腺、乳、脳、頭頚部、卵巣、子宮、または精巣がん、白血病、またはリンパ腫などである。もう一つの実施形態では、該疾病または障害は、皮膚疾患であり、それには、限定されないが、乾癬、挫瘡、日光角化症、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、酒さ、蕁麻疹、血管性浮腫、脂漏性皮膚炎、皮膚性アトピー(例えば、湿疹)、ダリエー病(Darrier’s disease)、乾燥症、魚鱗癬(ichtyosis)、色素異常症、過角化症、菌状息肉症、扁平苔癬、および表皮の過形成である。皮膚疾患をいう場合、「皮膚」という語は、皮膚疾患が生じる、広がる、かつ/または常在する可能性のある皮膚のあらゆる層を含むことを意味し、それには四肢、体躯、頭部、ならびに粘膜などの皮膚が含まれる。従って、「皮膚」という語は、限定されるものではないが、上皮層および/または真皮層を含むことが意図され、また、下層にある皮下組織が含まれ得る。
【0043】
本明細書において用いられる、「有効量」とは、所望の効果を生じるために十分な化合物の量を指し、所望の効果とは、場合により治療効果(すなわち治療上有効な量の投与によるもの)である。例えば、「有効量」は、疾病または障害、例えば糖尿病または乾癬などを治療するために十分な量であってよい。一実施形態では、有効量は、CPT1活性を少なくとも約10%、例えば、少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上低下させる量である。もう一つの実施形態では、「有効量」は、疾病または障害の少なくとも1つの症状を改善させるために十分な量であってよい。
【0044】
本明細書において用いられる、用語「治療する」、「治療すること」および「治療」とは、例えば有益な効果であってよい調節効果を、障害、疾患または疾病に罹患している被験体に付与する、あらゆる種類の行為を指し、それには、当分野で周知であるように、被験体の状態の(例えば、1種類以上の症状における)改善、状態の進行の遅延または低下、疾患の発症の予防または遅延、および/または臨床パラメータ、疾患または疾病の変化などが含まれる。
【0045】
CPT1活性は、当分野で周知の方法、例えば分光光度アッセイまたはクロマトグラフィーアッセイなどにより測定することができる。CPT1アッセイの例としては、それぞれ参照により本明細書に援用される、米国特許第6,369,073号およびKerner et al,Biochemistry 29:4326(1990)に記載されるものが挙げられる。一実施形態では、化合物のCPT1活性への効果は、ウィスターラット肝臓ミトコンドリアにおいて検定される。化合物は、ミトコンドリア膜およびミトコンドリア基質(20μM L−カルニチン+L−[メチル−14C]−カルニチン)にバッファー(131.25mM Tris−HCl、pH7.4、0.31mM 還元グルタチオン、5mM ATP、5mM MgCl、18.75mM KCl、0.005% ロテノン、1.25% BSA)の存在下で添加され、37℃にて10分間インキュベートされる。活性は、[14C]−パルミトイルカルニチンの定量化により測定される。
【0046】
本明細書において用いられる「治療上有効な」量は、何らかの改善または利益を被験体にもたらす量である(例えば、糖尿病患者における血糖レベルの低下または乾癬の重篤度の低下)。別の言い方をすれば、「治療上有効な」量は、少なくとも1つの臨床症状において何らかの軽減、緩和、遅延および/または低下をもたらし、かつ/または少なくとも1つの臨床症状の発症または進行を防ぐ量である。本発明の方法により治療することのできる疾患または障害に関連する臨床症状は、当業者に周知である。さらに、治療効果は、何らかの利益が被験体に提供されている限り、徹底的または治癒的である必要がないことを当業者は理解する。
【0047】
一実施形態では、1より多くの本発明の化合物、例えば、2種類、3種類、4種類以上の化合物が、被験体に投与される。もう一つの実施形態では、本発明の化合物は、別の治療薬、例えば、疾病または障害を治療するために効果的であることの知られているあらゆる薬剤と共に(concurrently)被験体に投与される。本明細書において用いられる、「共に」という語は、併用効果を生じるほど十分に近い時間を意味する(つまり、共には、同時に(simultaneously)であってもよいし、2以上の事象が短い時間内に相互の前後に起こることであってもよい)。その他の薬剤は、本発明の化合物とは別に投与してもよいし、2種類の化合物を単一の組成物に一緒に合わせてもよい。
【0048】
一実施形態では、治療薬は、皮膚疾患の治療において有用な治療薬である。例えば、本発明の化合物は、マロニルCoAの阻害剤、ステロイド系および/または非ステロイド系化合物を含む抗炎症薬、局所麻酔薬、その他の脂肪酸酸化の阻害剤(例えば、マロニルCoAデカルボキシラーゼ阻害剤またはその他のCPT1阻害剤)、ビタミンD類似体(例えば、カルシポトリエン)、インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、アレファセプト、エファリズマブ、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス)、ホスホジエステラーゼIV阻害剤(例えば、CC−10004)、JB−991、AN−0128、AN−2728、レチノイド(例えば、タザロテン)、アントラリン、サリチル酸、抗IL12抗体、抗IL23抗体、抗IL15抗体、コールタール、ジトラノール、尿素、ヒイラギメギ(Mahonia aquifolium)、ビタミンBまたはその誘導体(例えば、ビタミンB12)、抗生物質、抗真菌薬、免疫調節薬(例えば、メトトレキサート、シクロスポリン)、および/あるいは、フマル酸、フマル酸エステルおよび/またはアラキドン酸のブロッカー(例えば、オメガ3脂肪酸)による全身治療と併せて投与することができる。
【0049】
一実施形態では、本発明の化合物は、抗がん剤、例えば、1)ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン);2)エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシドおよびテニポシド);3)抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシン(マイトマイシンC));4)酵素(例えば、L−アスパラギナーゼ);5)生物学的反応修飾物質(例えば、インターフェロン−α);6)白金配位錯体(例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン);7)アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン);8)置換尿素(例えば、ヒドロキシ尿素);9)メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン(N−メチルヒドラジン;MIH));10)タキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル);11)副腎皮質抑制剤(例えば、ミトタン(o,p’−DDD)およびアミノグルテチミド);12)副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン);13)プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、および酢酸メゲストロール);14)エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール);15)抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン);16)アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン);17)抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミド):ならびに18)ゴナドトロピン放出ホルモン類似体(例えば、ロイプロリド)などと併せて投与される。
【0050】
もう一つの実施形態では、本発明の化合物は、抗糖尿病薬、例えばインスリン、インスリンアゴニスト、インスリン様成長因子(IGF)、IGFアゴニスト、ビグアナイド(例えばメトホルミン(GLUCOPHAGE)など)、チアゾリジンジオン(例えばロシグリタゾン(AVANDIA)、ピオグリタゾン(ACTOS)、トログリタゾン(REZULIN)、エングリタゾン、およびシグリタゾンなど)、MBX−102(ハロゲン酸塩(halogenate)の鏡像異性体)、メグリチニド(meglitinides)(例えばレパグリニド(PRANDIN)およびナテグリニド(STARLIX)など)などを含むインスリン分泌促進薬、スルホニル尿素(例えばトルブタミド、クロルプロパニド(DIABINASE)、トラザミド(TOLINASE)、グリブリド(MICRONASE、DIABETA)、グリピジド(glypizide)(GLUCOTROL)、およびグリメピリド(AMARYL)など)、およびα−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース(PRECOSE)およびミグリトール(GLYSET)など)と併せて投与される。その他の有用な薬剤としては、米国特許第6,713,514号、同第6,677,298号、同第6,462,046号、同第5,925,657号、および同第5,326,770号ならびにCombs et al.,J.Neurosci.20:558(2000)に記載される、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)アゴニスト(PPAR−α、PPAR−γ、およびPPAR−δの選択的アゴニストを含む)が挙げられる。有用なPPAR−δ受容体選択的アゴニストとしては、限定されないが、GW501516、GW0742、L−165041、およびカルバプロスタサイクリンが挙げられる。
【0051】
本発明は、研究ならびに獣医学および医学用途に使用が見出される。本明細書において用いられる用語「動物」には、鳥類と哺乳類の両方が含まれる。本明細書において用いられる用語「鳥類」には、限定されるものではないが、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、シチメンチョウおよびキジが含まれる。本明細書において用いられる用語「哺乳類」には、限定されるものではないが、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、げっ歯類(例えば、ラットおよび/またはマウス)などが含まれる。特定の実施形態では、被験体は、疾病または障害、例えば、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼに関連する疾病または障害と診断されたか、またはその疾病または障害のリスクがあると考えられる、ヒト被験体である。
【0052】
被験体は、疾病または障害、例えば、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼに関連する疾病または障害と診断されたか、またはその疾病または障害のリスクのある被験体であってよい。ヒト被験体としては、新生児、乳児、未成年、および成人が挙げられる。その他の実施形態では、本発明の方法で使用される被験体は、疾病または障害、例えば、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼに関連する疾病または障害の動物モデルである。本発明の化合物を用いて、疾病または障害、例えば、CPTに関連する疾病または障害を疾患の動物モデルにおいて調査することができ、そのうえ単離された細胞または細胞株において、さらに溶液中でCPTの機能を調査することもできる。
【0053】
本発明の化合物は、公知の技法に従って、製薬担体に投与用に処方することができる。例えば、Remington,The Science And Practice of Pharmacy(9th Ed.1995)を参照されたい。本発明に従う医薬製剤の製造において、一般に化合物は、とりわけ許容される担体と混合される。当然、担体は、製剤中の他のどの成分とも適合性であるという意味で、許容されるべきであり、かつ、患者に対して有害であってはならない。担体は、固体であっても、液体であっても、またはその両方であってもよく、担体を、化合物とともに単位用量製剤として処方することができる。例えば錠剤は、0.01重量%または0.5重量%〜95重量%または99重量%の化合物を含有することができる。1種類以上の化合物を本発明の製剤中に組み込んでもよく、本発明の製剤は、場合により1種類以上の副成分を含む成分を混合することを含む、周知の薬学技法のいずれかにより調製することができる。
【0054】
本発明の製剤には、経口、直腸、口内(例えば、舌下)、膣、非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、または静脈内)、局所(すなわち、皮膚および/または、気道表面を含む粘膜表面)および経皮投与に適した製剤が含まれるが、どのような場合においても最も適した経路は、治療される状態の性質および重篤度に、かつ、使用される特定の活性化合物の性質によって決まる。
【0055】
経口投与に適した製剤は、分離した単位、例えば、それぞれが所定量の活性化合物を含有するカプセル剤、カシェ剤、トローチ剤、または錠剤などで;粉剤または顆粒剤として;水性もしくは非水性液体中の溶液または懸濁液として;あるいは、水中油型もしくは油中水型乳濁液として提示されてもよい。このような製剤は、化合物と適した担体を会合させる段階を含む、任意の適した製薬法により調製されてもよい(上記のように製剤は1種類以上の副成分を含有してもよい)。一般に、本発明の製剤は、化合物と、液体もしくは微粉化された固体担体あるいはその両方とを均一かつ緊密に混合すること、および次に結果として得られる混合物を必要に応じて成形することにより調製される。例えば、錠剤は、化合物と場合により1種類以上の副成分を含有する粉末または顆粒を、圧縮または成形することにより調製することができる。圧縮錠剤は、適した機械で、場合により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、および/または表面活性剤/分散剤(類)と混合した自由流動形態の化合物、例えば粉末または顆粒などを圧縮することにより調製することができる。成形錠は、適した機械で、不活性液体結合剤で湿らせた粉末の化合物を成形することにより製造することができる。
【0056】
口内(舌下)投与に適した製剤としては、香味づけられた基剤、通常スクロースおよびアラビアガムまたはトラガカントガム中に化合物を含むトローチ剤(lozenges);ならびに、不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアガムなどの中に化合物を含む香錠(pastilles)が挙げられる。
【0057】
非経口投与に適した本発明の製剤は、化合物の水性および非水性の滅菌注射液を含み、その調製物は、対象とするレシピエントの血液と等張性であることが好ましい。これらの調製物は、抗酸化剤、緩衝液、制菌剤および、製剤を対象とするレシピエントの血液と等張性にする溶質を含有してよい。水性および非水性滅菌懸濁液には、沈殿防止剤および増粘剤が含まれてもよい。これらの製剤は、単位/用量または多回用量容器、例えば密封されたアンプルおよびバイアル中に存在してもよく、かつ、滅菌液体担体、例えば、生理食塩水または注射用水を使用直前に添加することを必要とする、フリーズドライ(凍結乾燥)条件で貯蔵されてもよい。即時注射用溶液および懸濁液は、既に説明した種類の殺菌した粉剤、顆粒剤および錠剤から調製することができる。例えば、本発明の一態様では、1種類以上の化合物を含む、注射用の安定した滅菌組成物が、密封容器中の単位剤形で提供される。該化合物は、適した製薬上許容される担体によって再構成されて、被験体へのその注射に適した液体組成物を形成することのできる凍結乾燥物の形態で提供される。単位剤形は、一般に約0.1mg〜約10gの化合物を含む。化合物が実質的に水不溶性である場合(例えば、脂質と共役している場合)、十分な量の生理学的に許容される乳化剤を、該化合物を水性担体中に乳化させるために十分な量で用いてもよい。このような有用な乳化剤の一種は、ホスファチジルコリンである。
【0058】
直腸投与に適した製剤は、単位用量の坐剤として提示されることが好ましい。これらは、化合物を1種類以上の従来型固体担体、例えば、カカオバターと混合すること、および次に結果として得られる混合物を成形することにより、調製することができる。
【0059】
化合物は、局所に投与してもよく、公知の技法に従って製薬担体中で局所投与用に処方することができる。例えば、Remington,The Science And Practice of Pharmacy(20th edition,2000)を参照されたい。適した無毒の製薬上許容される局所用担体は、局所製剤処方の当業者には明らかである(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton latest edition 参照)。さらに、適した担体、吸収促進剤、保湿剤、接着剤などの選択は、一般に活性化合物および特定の局所製剤の性質によって決まることは、当業者には当然理解される。
【0060】
局所製剤は、当分野で公知である。局所投与に適した医薬組成物としては、限定されるものではないが、ローション、液体、クリーム、軟膏(ointment)、軟膏(salve)、乳濁液、乳(milk)、粉末、含浸パッド、溶液、スプレー、懸濁液またはゲルが挙げられる。さらに、医薬組成物は、シャンプー、コンディショナー、ヘアトニック、ヘアスプレー、またはヘアフォームの形態をとってよい。活性化合物は、懸濁液または溶液として存在してもよい。使用することのできる担体としては、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮促進剤、およびそれらの2種類以上の組合せが挙げられる。
【0061】
活性化合物は、場合により当分野で公知のような持続放出および/または制御放出のために、例えば脂質または高分子ミクロスフェアまたはナノスフェアまたは小胞として、あるいは高分子パッチまたはヒドロゲルとして処方されてよい。疾病または障害に対する処置仕様(treatment specification)にもよるが、最適な処方は、有効量の製剤を送達するための良好な皮膚浸透性および皮膚沈着を有することになる。
【0062】
経皮投与に適した製剤は、レシピエントの表皮に長期間の間密着したままでいるのに適した個別のパッチとして提示されてよい。また、経皮投与に適した製剤は、イオン導入法により送達されてもよく(例えば、Pharm.Res.3:318(1986)参照)、一般に場合により緩衝された化合物の水溶液の形態をとる。適した製剤は、クエン酸塩またはビス/トリスバッファー(pH6)またはエタノール/水を含み、0.1〜0.2Mの有効成分を含有する。
【0063】
本発明の化合物はまた、嗅部および/または洞部に投与されてもよい。化合物の送達は、点鼻剤、鼻腔スプレー、またはエアロゾルの形態であってもよい。
【0064】
さらに、本発明は、本明細書に開示される化合物のリポソーム製剤を提供する。リポソーム懸濁液を形成するための技術は、当分野で周知である。化合物が水性溶解性材料の形態である場合、従来のリポソーム技術を用いて、それと同じものを脂質小胞に組み込むことができる。そのような場合、化合物の水溶性に起因して、化合物は、リポソームの親水性の中心もしくはコアの内部に実質的に組み入れられることになる。用いる脂質層は、どのような従来組成であってもよく、コレステロールを含有してもよいし、コレステロールフリーであってもよい。関心対象の化合物が水不溶性である場合、やはり従来のリポソーム形成技術を用いて、化合物をリポソームの構造を形成する疎水性の脂質二重層の内部に実質的に組み入れることができる。化合物が本来、両親媒性である場合は、化合物は、分子の親油性部分がリポソームの脂質二重層に組み入れられ、分子の親水性部分が二重層の外面および/または内面から伸びるように位置することができる。いずれの場合でも、生成されるリポソームは、標準的な超音波処理および均質化法の使用により、サイズを小さくすることができる。
【0065】
当然、本明細書に開示される化合物を含有するリポソーム製剤を凍結乾燥させて、製薬上許容される担体、例えば水などで再構成されてリポソーム懸濁液を生成することのできる、凍結乾燥物を生成することができる。
【0066】
その他の医薬組成物は、水性基剤乳濁液など、本明細書に開示される化合物から調製することができる。そのよう場合、組成物は、所望の量の化合物を乳化するために十分な量の製薬上許容される乳化剤を含有することになる。特に有用な乳化剤としては、ホスファチジルコリンおよびレシチンが挙げられる。
【0067】
化合物に加えて、医薬組成物は、その他の添加剤、例えばpH調整添加剤などを含有してもよい。特に、有用なpH調節剤としては、酸、例えば塩酸など、塩基または緩衝液、例えば乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、またはグルコン酸ナトリウムなどが挙げられる。さらに、組成物は、微生物防腐剤を含有してもよい。有用な微生物防腐剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびベンジルアルコールが挙げられる。微生物防腐剤は、一般に、製剤が多回用量用に設計されたバイアル中に収容されている場合に用いられる。当然、示されるように、本発明の医薬組成物は、当分野で周知の技法を用いて凍結乾燥することができる。
【0068】
その使用が本発明の範囲内である、任意の1種類の化合物の治療効果のある投薬量は、化合物によって、かつ患者によって多少変動し、例えば患者の年齢および状態ならびに送達の経路などの要因によって決まる。そのような投薬量は、当業者に公知の日常的な薬理学的手順に従って決定されてよい。一般的な提案として、塩を用いる場合も含めて、すべての重量を活性化合物の重量に基づいて算出する場合、約0.001または0.01から約250または500mg/kgの投薬量が治療効力を有する。経口投与には約1mg/kgから約200mg/kgの投薬量を用いることができる。一般に、筋肉注射には約0.1mg/kgから100mg/kgの投薬量を用いることができる。局所投与には、局所的に許容される媒体中の活性化合物が約0.001%から約50%(w/w)、例えば、約0.01%〜約10%の投薬量を用いることができる。急性の状態には、治療の持続期間は、通常1日1回、2〜3週間、または状態が本質的に制御されるまでである。慢性の状態には、治療の持続期間は、1、2、3、4、5、または6ヶ月またはそれ以上の、あるいは必要に応じて不確定な期間であり得る。治療は、1日1回よりも高い頻度(例えば、1日に2回、3回、または4回)で投与されてもよいし、1日1回よりも低い頻度(例えば、隔日、3日ごと、4日ごと、5日ごと、または6日ごと、または週に1回、2週に1回、3週に1回、または4週に1回)で投与されてもよい。治療は、一定の期間(例えば、1、2、3、または4週以上)であってよく、その後に治療を行わない期間(例えば、1、2、3、または4週以上)が続き、その後治療が再び開始される。このパターンまたはその変形は、必要に応じて繰り返されてもよい。低頻度で低用量の投与を、疾患の再発の発生率を予防または低下させるために予防的に使用してよい。
【0069】
本発明のもう一つの態様は、本発明の化合物を含むキットに関する。キットは、化合物自体または化合物を含む医薬組成物を含んでもよい。キットは、単一の化合物または2種類以上の異なる化合物を、別々の容器中に、かつ/または1つの容器に貯蔵されて含むことができる。キットは、本発明の化合物と共に使用するためのその他の成分をさらに含むことができる。その他の成分の例としては、限定されないが、その他の治療薬、緩衝液、溶液、シリンジなどが挙げられる。キットは、1種類以上の容器、例えばバイアル、チューブなどを受けるために区分された、担体、パッケージおよび/または容器を含むことができ、その容器はそれぞれ、別々の要素のうちの1つを含む。
【0070】
本発明は、以下の限定されない実施例においてより詳細に説明される。
【実施例1】
【0071】
(R)−3−アミノカルニチンイソブチルエステル塩化物塩酸塩の調製
【化3】

(R)−3−アミノカルニチン塩化物塩酸塩(5.1g、21.89ミリモル)を、メタノール中のDowex550A(OH)樹脂で30分間処理した。濾過により樹脂を取り出し、遊離塩基の溶液を濃縮して、無色のシロップ剤を基本的に定量的収率で得た。遊離塩基をイソブタノール(100mL)に再び溶解した。塩化チオニル(9.8mL、131.33ミリモル)を滴加し、すぐに混合物を90℃まで14時間加熱した。発生した塩化水素および二酸化硫黄を隔離するための吸収装置(absorption train)が必要であった。溶媒を真空除去した。得られる淡黄色の油状物質にエーテルを添加するとすぐに無色固体の沈殿が起こった。これを流動する窒素流下で回収して真空乾燥した。得られる吸湿性の粉末(6.04g、96%)を、アルゴン雰囲気下、栓の付いた容器に貯蔵した。LCMS:Rt=0.985(m/z=217)。H NMR(400MHz,DO):4.20(m,1H)、3.83(dJ=6.55Hz,2H)、3.73(dd,J=4.55,1.77Hz,2H)、3.12(s,9H)、2.96−2.87(m,2H)、1.80(septet,J=6.82Hz,1H)、0.76(d,J=6.82Hz,6H)。
【実施例2】
【0072】
イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[6−(4−フェニルブトキシ)ヘキサ−1−イル]ウレイド]ブチレートホルメートの調製
【化4】

<中間体6−(4−フェニルブトキシ)ヘキサンニトリルの調製>
水素化ナトリウム(油中60%、480mg、1.2ミリモル)を、N下で氷冷しながらN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)に懸濁した。4−フェニル−1−ブタノール(1.54mL、1ミリモル)を、約5分にわたり添加した。さらに30分間攪拌した後、6−ブロモヘキサンニトリル(1.59mL、1.2ミリモル)を一滴ずつ導入した。添加が完了した後、混合物を室温まで到達させ、19時間攪拌した。水(50mL)を添加した。懸濁した固体が溶解すると、溶液を酢酸エチルで抽出した(3×25mL)。合した有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、蒸発させて淡黄色の自由流動性の油状物質を得た。SiOでのクロマトグラフィー(イソへキサン−20%酢酸エチル/イソへキサン勾配)により、6−(4−フェニルブトキシ)ヘキサンニトリルを無色の油状物質として得た(973mg、40%)。LCMS:Rt=3.35分、m/z=268.06(MNa)、245.95(MH)。H NMR(400MHz,CDCl):7.20(m,2H)、7.10(m,3H)、3.31(app dd,J=6.3,5.6Hz,4H)、2.81(app t,J=7.33Hz,2H)、2.23(app t,J=7.07Hz,2H)、1.62−1.40(m,10H)。
【0073】
<中間体6−(4−フェニルブトキシ)ヘキシルアミンの調製>
6−(4−フェニルブトキシ)ヘキサンニトリル(1.76g、7.18ミリモル)をTHF(20mL)に溶解し、N下、水素化リチウムアルミニウム(0.75g、19.75ミリモル)の同じ溶媒(10mL)中の冷却攪拌懸濁液に滴加した。添加が完了した後、混合物を50℃まで16時間加熱し、次いで氷/水中で冷却した。0.5Mの水酸化カリウム溶液(20mL)を、起沸が鎮まるまで慎重に添加し、その後残留溶液を連続的に流した。得られる乳濁液(milky suspension)を、室温にて2時間攪拌し、その後セライトに通して濾過した(不溶性物質の圧縮を避けるために時折攪拌を要する)。濾液を2N塩酸で酸性化し、酢酸エチルで抽出した(2×20mL)。2NのNaOHの添加により水相を塩基性にし、酢酸エチルでさらに抽出した(5×20mL)。これらの抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、蒸発させて淡黄色の油状物質0.53gを得た(31%)。H NMR(400MHz,CDCl):7.23−7.16(m,2H)、7.13−7.06(m,3H)、3.36−3.26(m,4H)、2.92−2.82(m,1H)、2.60−2.48(m,2H)、1.73−1.65(m,1H)、1.62−1.42(m,7H)、1.32−1.26(m,3H)。
【0074】
<中間体6−(4−フェニルブトキシ)ヘキシルイソシアネートの調製>
トリホスゲン(0.177g、0.396ミリモル)の無水ジクロロメタン(5mL)中の溶液に、6−(4−フェニルブトキシ)ヘキシルアミン(0.266g、1.069ミリモル)およびDIPEA(0.409mL、2.35ミリモル)の同じ溶媒(2.5mL)中の溶液を30分にわたり滴加した。添加が完了した後、混合物を室温にて1時間攪拌し、次いで溶媒を真空除去した。残渣をエーテル(10mL)で30分間処理した。不溶性の固体を濾過により取り出し、エーテルで洗浄した。合した濾液および洗液を真空濃縮し、標題化合物を無色の油状物質として得(0.170g、58%)、それをそのまま次に進めた。H NMR(400MHz,CDCl):7.23−7.17(m,2H)、7.13−7.07(m,3H)、3.37−3.26(m,4H)、2.90−2.84(m,1H)、2.60−2.52(m,2H)、1.73−1.65(m,1H)、1.63−1.43(m,8H)、1.35−1.26(m,4H)。
【0075】
<イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[6−(4−フェニルブトキシ)ヘキサ−1−イル]ウレイド]ブチレートホルメートの調製>
粗イソシアネート(170mg、0.618ミリモル)、(R)−3−アミノカルニチンイソブチルエステル塩化物塩酸塩(268mg、0.927ミリモル)およびDIPEA(236μL、1.360ミリモル)を、イソブタノール(5mL)中、室温にて合し、約24時間攪拌した。溶媒を真空除去した。残渣を含水アセトニトリルに溶かし、分取HPLCに供した。適切な画分を合し、蒸発させて、標題化合物を無色の油状物質、22mg(7%)として得た。H NMR(400MHz,CDCl):7.23−7.17(m,2H)、7.13−7.09(m,3H)、4.77−4.56(m,1H)、4.34−4.25(m,2H)、3.79(dd,J=10.60、6.53Hz,1H)、3.73(dd,J=10.60,6.59Hz,1H)、3.33(t,J=6.57Hz,2H)、3.30(t,J=6.57Hz,2H)、3.20(s,9H)、3.12−3.00(m,2H)、2.74−2.53(m,4H)、1.84(septet,J=6.57Hz,1H)、1.65−1.37(m,8H)、1.30−1.20(m,4H)、0.84(d,J=6.85Hz,6H)。
【実施例3】
【0076】
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[6−(4−フェニルブトキシ)ヘキサ−1−イル]ウレイド]ブチレート分子内塩の調製
【化5】

イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[6−(4−フェニルブトキシ)ヘキサ−1−イル]ウレイド]ブチレートホルメート(22mg、0.042ミリモル)(実施例2由来)およびDowex550A(OH)(200mg)をイソブタノール中で合し、室温にて38時間攪拌した。濾過により樹脂を取り出し、さらなるイソブタノール(5mL)で洗浄した。合した濾液および洗液を蒸発させ、残渣を50%含水アセトニトリルに溶かした。約16時間の凍結乾燥により、無色のガム、8.2mg(45%)を得た。LCMS:Rt=1.91分(m/z=871.25、456.13、377.10)。H NMR(400MHz,CDOD):7.17−7.12(m,2H)、7.09−7.02(m,3H)、4.45−4.40(m,1H)、3.50(dd,J=13.60,9.35Hz,1H)、3.33(t,J=6.32Hz,2H,3.30(t,J=6.57Hz,2H)、3.08(s,9H)、3.00(t,J=7.07Hz,2H)、2.53(t,J=7.33Hz,2H)、2.33−2.30(m,2H)、1.61−1.18(m,14H)。
【実施例4】
【0077】
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[6−(2−フェニルエトキシ)ヘキサ−1−イル]ウレイド]ブチレート分子内塩の調製
【化6】

<中間体6−(2−フェニルエトキシ)ヘキサニトリルの調製>
水素化ナトリウム(油状物質中60%、1.38g、34.38ミリモル)を、N下で氷冷しながらN,N−ジメチルホルムアミド(45mL)に懸濁した。2−フェニルエタノール(3.43mL、28.65ミリモル)を約5分にわたり添加した。さらに30分間攪拌した後、6−ブロモヘキサンニトリル(4.56mL、34.38ミリモル)を一滴ずつ導入した。添加が完了した後、混合物を室温まで到達させ、19時間攪拌した。その後、混合物を50℃まで3時間加熱し、次いで室温にてさらに18時間加熱した。水(200mL)および酢酸エチル(200mL)を添加した。相を分離し、水相を酢酸エチル(2×100mL)でさらに抽出した。合した有機相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、蒸発させて淡黄色の自由流動性の油状物質を得た。SiOでのクロマトグラフィー(イソへキサン−20%酢酸エチル/イソへキサン勾配)により、標題化合物を無色の油状物質(1.55g、25%)として得た。LCMS:Rt=3.01分、m/z=217.92,154.67,145.79。H NMR(400MHz,CDCl):7.24−7.11(m,5H)、3.55(t,J=7.07Hz,2H)、3.37(t,J=6.32Hz,2H)、3.35(t,J=6.57Hz,2H)、2.80(t,J=7.07Hz,2H)、2.23−2.20(m,3H)、1.62−1.40(m,10H)。
【0078】
<中間体6−(2−フェニルエトキシ)ヘキシルアミンの調製>
6−(2−フェニルエトキシ)ヘキサニトリル(1.38g、6.376ミリモル)を無水メタノール(30mL)に溶解し、氷/水中で冷却した塩化ニッケル(0.413g、3.188ミリモル)を一度に加えた。水素化ホウ素ナトリウム(1.651g、44.632ミリモル)を一部分ずつ添加した(最初の添加時、混合物は黒色に変化し、激しく起沸した)。添加が完了した後、混合物を室温にして3.5時間攪拌した。さらなる0.413gの塩化ニッケルおよび0.707gの水素化ホウ素ナトリウムをこの時点で添加した。室温にてさらに19時間後、混合物をメタノール(50mL)で希釈し、セライト(登録商標)パッドに通して濾過した。濾過ケーキをメタノールで洗浄した。合した濾液および洗液を真空濃縮して、淡緑色のスラリーを得、それを塩酸で室温にて1時間処理した。セライトによる濾過の後、淡緑色の溶液を30%水酸化アンモニウム溶液で処理してpH9とした(約pH7.5で色が青色に変化)。塩基性溶液をジクロロメタンで抽出した(5×30mL)。合した抽出物をブライン(20mL、飽和)で洗浄し、次いで乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させて淡黄色の油状物質、0.958g(%)を得た。
【0079】
<中間体6−(2−フェニルエトキシ)ヘキシルイソシアネートの調製>
トリホスゲン(0.475g、1.60ミリモル)のジクロロメタン(10mL、無水)溶液に、6−(2−フェニルエトキシ)ヘキシルアミン(0.266g、1.069ミリモル)およびDIPEA(0.409mL、2.35ミリモル)の同じ溶媒(2.5mL)中の溶液を30分にわたり滴加した。添加が完了した後、混合物を室温にて1時間攪拌し、次いで溶媒を真空除去した。残渣を、1N塩酸(10mL)および1N水酸化ナトリウム(10mL)で連続的に洗浄した。有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させて、粗イソシアネートを黄色の油状物質、486mg(91%)として得た。
【0080】
<(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[6−(2−フェニルエトキシ)ヘキサ−1−イル]ウレイド]ブチレート分子内塩の調製>
(R)−3−アミノカルニチン(233mg、0.957ミリモル)のメタノール(10mL)中溶液に、6−(2−フェニルエトキシ)ヘキシルイソシアネート(122mg、0.49ミリモル)の同じ溶媒(1mL)中の溶液を添加した。混合物を室温にて約24時間攪拌した。溶媒を真空除去し、残渣をアセトン(10mL)で処理した。不溶性の画分をデカントして不溶性材料から除去し、溶媒を蒸発させた。残渣は、H NMR(CDOD)により測定して標題化合物を60〜80%の間の純度で含有していた:7.30−7.17(m,5H)、4.68−4.71(m,1H)、3.67−3.62(m,2H)、3.47−3.44(m,2H)、3.22(s,9H)、3.14−3.10(m,2H)、2.87−2.84(m,2H)、2.68−2.60(m,2H)、1.060−1.44(m,4H)、1.42−1.31(m,4H)。
【実施例5】
【0081】
イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(12−メトキシドデカ−1−イル)ウレイド]ブチレートホルメートの調製
【化7】

<中間体12−ヒドロキシドデカンニトリルの調製>
11−ブロモ−1−ウンデカノール(5.24g、20.55ミリモル)、シアン化カリウム(1.63g、25.05ミリモル)およびヨウ化ナトリウム(0.63g、4.18ミリモル)を、N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)中で合し、この混合物を90℃まで約48時間加熱した。フラスコを冷却し、混合物を水(100mL)で希釈した。得られる溶液をジクロロメタンで抽出した(10×25mL)。合した有機物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させて、橙色の油状物質を得た。SiOでのクロマトグラフィー(イソへキサン−20%酢酸エチル/イソへキサン勾配)により、標題化合物を無色の油状物質、1.31g(33%)として得た。H NMR(400MHz,CDCl):3.68(m),2H)、2.34(t,J=7.07Hz,2H)、1.93(bs,1H)、1.68−1.28(m,18H)。
【0082】
<中間体12−メトキシドデカンニトリルの調製>
12−ヒドロキシドデカンニトリル(1.3g、6.67ミリモル)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し、この溶液を氷/水中で冷却した。水素化ナトリウム(0.32g、8.89ミリモル)を20分にわたり一部分ずつ添加した。添加が完了した後、混合物をN下室温にて2.5時間攪拌した。ヨードメタン(0.55mL)を一度に添加し、攪拌をさらに19時間継続した。粗混合物を塩化アンモニウム(20mL、飽和)で処理し、相を分離した。水相をさらに酢酸エチルで抽出し(3×10mL)、合した有機物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、蒸発させて、黄色の油状物質を得た。クロマトグラフィー(イソへキサン−30%酢酸エチル/イソへキサン勾配)により、標題化合物を無色の油状物質、375mg(27%)として得た。LCMS:Rt=3.44分(m/z=247.84、211.93、179.87)。H NMR(400MHz,CDCl):3.35(t,J=6.57Hz,2H)、3.32(s,3H)、2.32(t,J=7.07Hz,2H)、1.68−1.60(m,4H)、1.58−1.51(m,2H)、1.34−1.24(m,12H)。
【0083】
<中間体12−メトキシドデカ−1−イルアミンの調製>
12−メトキシドデカンニトリル(0.375g、1.777ミリモル)をTHF(10mL)に溶解し、冷却した、水素化リチウムアルミニウム(0.186g、4.887ミリモル)のTHF(10mL)中攪拌懸濁液に滴加した。添加が完了した後、混合物を60℃まで18時間加熱し、次いで氷/水中で冷却した。0.5M水酸化カリウム溶液(20mL)を、起沸が鎮まるまで慎重に添加し、その後残留溶液を連続的に流し入れた。得られる乳濁液を室温にて2時間攪拌し、その後セライトに通して濾過した。(不溶性物質の圧縮を避けるために時折攪拌を要する)。濾過ケーキを大量にジクロロメタンで洗浄した。合した濾液および洗液を分液し、水相をジクロロメタンで抽出した(2×20mL)。合した有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮させて、標題化合物を白色の固体、264mg(69%)として得た。LCMS(TIC):Rt=1.85(m/z=429.20,231.84,215.87。H NMR(400MHz,CDCl):3.29(t,J=6.82Hz,2H)、3.26(s,3H)、2.61(t,J=7.07Hz)、1.52−1.45(m,2H)、1.39−1.32(m,2H)、1.25−1.15(m,16H)。
【0084】
<中間体12−メトキシドデカ−1−イルイソシアネートの調製>
トリホスゲン(0.099g、0.332ミリモル)のジクロロメタン(5mL、無水)中溶液に、12−メトキシドデカ−1−イルアミン(0.193g、0.898ミリモル)およびDIPEA(0.343mL、1.975ミリモル)の同じ溶媒(5mL)中の溶液を30分にわたり滴加した。添加が完了した後、混合物を室温にて1時間攪拌し、次いで溶媒を真空除去した。残渣をエーテル(10mL)で30分間処理した。不溶性の固体を濾過により取り出し、エーテルで洗浄した。合した濾液および洗液を真空濃縮し、標題化合物を淡黄色の油状物質として得(0.161g、74%)、それをそのまま次に進めた。H NMR(400MHz,CDCl):3.35−3.28(m)、3.26(s)、3.24−3.20(m)、1.58−1.45(m)、1.27−1.15(m)。
【0085】
<イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(12−メトキシドデカ−1−イル)ウレイド]ブチレートホルメートの調製>
粗12−メトキシドデカ−1−イルイソシアネート(0.170mg、0.664ミリモル)、(R)−3−アミノカルニチンイソブチルエステル塩化物塩酸塩(0.288g、0.996ミリモル)およびDIPEA(0.254mL、1.461ミリモル)を、イソブタノール(5mL)中室温にて合し、攪拌しながら19時間60℃まで加熱した。溶媒を真空除去した。残渣を含水アセトニトリルに溶かし、分取HPLCに供した。適切な画分を合し、蒸発させて、標題化合物を無色の油状物質、0.082g(27%)として得た。H NMR(400MHz,CDCl):4.72(bs,1H)、4.30−4.20(m,1H)、3.86(dd,J=10.61,6.57Hz,1H)、3.79(dd,J=10.61,6.57Hz,1H)、3.35(t,J=6.82Hz,3H)、3.33(s,3H)、3.19−3.12(m,2H)、2.77−2.65(m,2H)、1.90(septet,J=6.57,1H)、1.59−1.51(m,2H)、1.49−1.41(m,2H)、1.33−1.21(m,2H)、0.91(d,J=6.57Hz)。
【実施例6】
【0086】
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(12−メトキシ−1−ドデシル)ウレイド]ブチレート分子内塩の調製
【化8】

イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(12−メトキシ−1−ドデシル)ウレイド]ブチレートホルメート(0.082g、0.166ミリモル)(実施例5由来)およびDowex550A(OH)(0.40g)を、イソブタノール(5mL)中で合し、室温にて38時間攪拌した。濾過により樹脂を取り出し、さらなるイソブタノール(5mL)で洗浄した。合した濾液および洗液を蒸発させ、残渣を50%含水アセトニトリルに溶かした。約16時間の凍結乾燥により、無色の固体、0.048g(72%)を得た。LCMS:Rt=1.95分(m/z=803.34、402.11)。H NMR(400MHz,CDOD):4.43(bs,1H)、3.51(dd,J=13.54,9.35Hz,1H)、3.37(dd,J=13.39,2.02Hz,1H)、3.28(t,J=6.57Hz,2H)、3.21(s,3H)、3.09(s,9H)、3.00(t,J=7.07Hz,2H)、3.38−2.26(m,2H)、1.50−1.41(m,2H)、1.39−1.31(m,2H)、1.24−1.18(m,16H)。
【実施例7】
【0087】
イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(6−ヘプチルオキシヘキサ−1−イル)ウレイド]ブチレートホルメートの調製
【化9】

<中間体6−ヘプチルオキシヘキシルイソシアネートの調製>
トリホスゲン(0.310g、1.03ミリモル)のジクロロメタン(20mL、無水)中溶液に、6−ヘプチルオキシヘキシルアミン(0.600g、2.8ミリモル)およびDIPEA(1.07mL、6.14ミリモル)の同じ溶媒(40mL)中の溶液を30分にわたり滴加した。添加が完了した後、混合物を室温にて1時間攪拌し、次いで溶媒を真空除去した。残渣をエーテル(40mL)で30分間処理した。不溶性の固体を濾過により取り出し、エーテルで洗浄した。合した濾液および洗液を真空濃縮し、標題化合物を黄色の不透明な油状物質(0.58g、86%)として得、それを直接加工した。
【0088】
イソブチル(R)4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(6−ヘプチルオキシヘキサ−1−イル)ウレイド]ブチレートホルメートの調製
6−ヘプチルオキシヘキシルイソシアネート(0.58g、2.40ミリモル)、(R)−3−アミノカルニチンイソブチルエステル(1.04g、3.6ミリモル)およびDIPEA(0.92mL、5.3ミリモル)を、イソブチルアルコール(20mL)中で合し、室温にて18時間攪拌した。溶媒を真空除去し、淡黄色の不透明な油状物質が残った。この残渣の約三分の一を、分取逆相HPLCに供した。適切な画分を合し、蒸発させ、標題化合物を無色の油状物質、0.19g(約58%)として得た。H NMR(400MHz,CDOD):4.70−4.64(m,1H)、3.96−3.91(m,2H)、3.63(dd,J=13.64,9.85Hz,1H)、3.49(dd,J=13.64,1.52Hz,1H)、3.46−3.41(m,4H)、3.24(s,9H)、3.15−3.10(m,2H)、2.76−2.63(m,2H)、1.95(septet,J=6.82Hz,1H)、1.62−1.53(m,4H)、1.52−1.46(m,2H)、1.42−1.29(m,12H)、0.97(d,J=6.82Hz)、0.92(t.J=6.57Hz,3H)。
【実施例8】
【0089】
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(6−ヘプチルオキシヘキサ−1−イル)ウレイド]ブチレートの調製
【化10】

イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(6−ヘプチルオキシヘキサ−1−イル)ウレイド]ブチレートホルメート(90mg、0.182ミリモル)(実施例7由来)をイソブチルアルコール(5mL)に溶解した。Dowex550A(OH)樹脂(900mg)を添加し、混合物を室温にて16時間かき混ぜた。溶媒を真空除去した。残渣を50%含水アセトニトリル(5mL)に溶解させ、15時間凍結乾燥させ、標題化合物を無色の固体、61mg(77%)として得た。H NMR(400MHz,CDOD):4.46−4.39(m,1H)、3.60(dd,J=13.64、9.60Hz,1H)、3.37(dd,J=13.64、1.77Hz,1H)、3.31(app t,J=6.57Hz,4H)、3.09(s,9H)、3.01(app t,J=6.95Hz,2H)、3.37−2.26、m,2H)、1.49−1.42(m,4H)、1.40−1.34(m,2H)、1.30−1.19(m,12H)、0.80(t,J=6.75Hz,3H)。
【実施例9】
【0090】
イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[7−(4−ビフェニルオキシ)ヘプタ−1−イル]ウレイド]ブチレートホルメートの調製
【化11】

<中間体7−(4−ビフェニルオキシ)ヘプタンニトリルの調製>
4−ヒドロキシビフェニル(11.1g、65.4ミリモル)および炭酸カリウム(13.6g、98.1ミリモル)を、N,N−ジメチルホルムアミド(100mL)中で合し、90℃まで加熱した。7−ブロモヘプタンニトリル(9.8mL、65.4ミリモル)を一滴ずつ導入した。添加が完了した後、温度を8時間110℃に調節し、次いでさらに65時間50℃に調節した。混合物を冷却し、不溶性材料を濾過により取り出した。濾過ケーキをDMFで洗浄し、合した濾液および洗液を氷(約200g)に注いだ。即座に濃い沈殿が生じた。これを回収し、ジクロロメタン(500mL)に溶解した。溶液をブライン(100mL、飽和)で洗浄し、次いで乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮させて灰白色の固体、19.75g(理論値より大きい;組み込まれた溶媒に起因)を得た。LCMS:Rt=3.65(m/z=296.97(M+HO)、279.90(MH)。H NMR(400MHz,CDCl):7.50−7.41(m,4H 0 7.37−7.32(m,2H)、7.26−7.21(m,1H)、6.91−6.88(m,2H)、3.92(t,J=6.32Hz,2H)、2.30(t,J=7.07Hz,2H)、1.80−1.72(m,2H)、1.68−1.60(m,2H)、1.50−1.44(m,4H)。
【0091】
<中間体7−(4−ビフェニルオキシ)−1−アミノヘプタンの調製>
7−(4−ビフェニルオキシ)ヘプタンニトリル(19.70g、65.4ミリモルと仮定(以前の反応からの理論的回収率に相当))を、THF(200mL)に溶解し、冷却した水素化リチウムアルミニウム(6.95g、175.2ミリモル)のTHF(300mL)中攪拌懸濁液に滴加した。添加が完了した後、混合物を、60℃まで18時間加熱し、次いで氷/水中で冷却した。0.5M水酸化カリウム溶液(20mL)を、起沸が鎮まるまで慎重に添加し、その後残留溶液を連続的に流し入れた。得られる乳濁液を室温にて2時間攪拌し、その後セライトに通して濾過した。(不溶性物質の圧縮を避けるために時折攪拌を要する)。濾過ケーキを大量にジクロロメタンで洗浄した。合した濾液および洗液を分液し、水相をジクロロメタンで抽出した(2×100mL)。合した有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮させて、標題化合物を淡黄色の固体、12.0g(65%)として得た。H NMR(400MHz,CDCl):7.49−7.42(m,4H)、7.36−7.30(m,2H)、7.24−7.19(m,1H)、6.91−6.86(m,2H)、3.92(t,J=6.57Hz,2H)、2.60(app dd,J=7.33,7.07Hz)2.62−2.57(m,2H)、1.77−1.69(m,4H)、1.45−1.37(m,4H)。
【0092】
<中間体7−(4−ビフェニルオキシ)−1−ヘプチルイソシアネートの調製>
トリホスゲン(0.110g、0.37ミリモル)のジクロロメタン(10mL、無水)中溶液に、7−(4−ビフェニルオキシ)−1−アミノヘプタン(0.283g、1.0ミリモル)およびDIPEA(0.38mL、2.2ミリモル)の同じ溶媒(20mL)中の溶液を30分にわたり滴加した。添加が完了した後、混合物を室温にて1時間攪拌し、次いで溶媒を真空除去した。残渣をエーテル(20mL)で30分間処理した。不溶性の固体を濾過により取り出し、エーテルで洗浄した。合した濾液および洗液を真空濃縮し、標題化合物を黄色の不透明なガム(0.106g、34%)として得、それを直接加工した。H NMR(400MHz,CDCl):7.49−7.41(m,4H)、7.36−7.30(m,2H)、7.25−7.20(m,1H)、6.91−6.87(m,2H)、3.92(t,J=6.57Hz,2H)、3.22(t,J=6.57Hz,2H)、1.77−1.69(m,2H)、1.59−1.52(m,2H)、1.49−1.25(m,8H)。
【0093】
<イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[7−(4−ビフェニルオキシ)ヘプタ−1−イル]ウレイド]ブチレートホルメートの調製>
7−(4−ビフェニルオキシ)−1−ヘプチルイソシアネート(0.088g、0.285ミリモル)、(R)−3−アミノカルニチンイソブチルエステル(0.123g、0.427ミリモル)およびDIPEA(0.107mL、0.627ミリモル)を、イソブチルアルコール(20mL)中で合し、室温にて48時間攪拌した。溶媒を真空除去した。残渣をジメチルスルホキシド(2mL)に溶解し、分取逆相HPLCに供した。適切な画分を合し、蒸発させて、標題化合物を、静置して凝固する無色の油状物質、0.042g(28%)として得た。LCMS:Rt=2.24分(m/z=526)。H NMR(400MHz,CDOD):8.47(bs,1H)、7.60−7.52(m,4H)、7.44−7.38(m,2H)、7.32−7.26(m,1H)、7.02−6.96(m,2H)、4.72−4.64(m,1H)、4.01(t,J=6.32Hz,2H)、3.94−3.88(m,2H)、3.68−3.60(app dd,J=13.13,9.60Hz,1H)、3.49(app d,J=13.39Hz,1H)、3.22(s,9H)、3.18−3.12(m,2H)、2.0−1.90(m,1H)、1.84−1.74(m,2H)、1.56−1.48(m,4H)、1.46−1.36(m,4H)。
【実施例10】
【0094】
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[7−(4−ビフェニルオキシ)ヘプタ−1−イル]ウレイド]ブチレート分子内塩の調製
【化12】

イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(7−(4−ビフェニルオキシ)ヘプタ−1−イル)ウレイド]ブチレートホルメート(0.02g、0.038ミリモル)(実施例9由来)を、イソブチルアルコール(1mL)に溶解させた。Dowex550A(OH)樹脂(0.20g)を添加し、混合物を室温にて15時間かき混ぜた。濾過により樹脂を取り出し、さらなるイソブタノール(2mL)で洗浄した。合した濾液および洗液を真空除去した。残渣を50%含水アセトニトリル(5mL)に溶解させ、15時間凍結乾燥させて、標題化合物を無色の固体、9.4mg(53%)として得た。H NMR(400MHz,CDOD):7.48−7.41(m,4H)、7.32−7.26(m,2H)、7.20−7.14(m,1H)、6.90−6.85(m,2H)、4.47−4.38(m,1H)、3.90(t,J=6.32Hz,2H)、3.50(dd,J=13.39、9.10Hz,1H)、3.38(dd,J=13.39,1.77Hz,1H)、3.09(s,9H)、3.02(t,J=6.82Hz,2.33−2.30(m,2H)、1.74−1.66(m,2H)、1.44−1.35(m,4H)、1.34−1.24(m,4H)。
【実施例11】
【0095】
イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[7−(4−ビフェニリル)ヘプタ−1−イル]ウレイド]ブチレートホルメートの調製
【化13】

<中間体(6−フタルイミドヘキシル)トリフェニルホスホニウムブロミドの調製>
トリフェニルホスフィン(6.42g、24.50ミリモル)を、N−(6−ブロモヘキシルフタルイミド)(5.17g、16.67ミリモル)のトルエン(100mL)中溶液に添加した。得られる透明な溶液を、還流まで約18時間加熱した。溶媒を真空除去し、残渣を超音波照射下、エーテルで約30分間処理した。得られる粉末を濾過により回収し、エーテルで洗浄し、次いで真空乾燥させた。収量3.3g(34%)。LCMS:Rt=2.06(m/z=492.07)。NB。この材料は感知できるほどに吸湿性である。
【0096】
<中間体[1−(4−ビフェニリル)−7−フタルイミド]−1−ヘプテンの調製>
(6−フタルイミドヘキシル)トリフェニルホスホニウムブロミド(2.5g、4.37ミリモル)を、無水THF(100mL)に懸濁し、−78℃に冷却した。カリウムt−ブトキシド(0.88g、7.86ミリモル)を一度に加えた。20分後、4−ビフェニルカルボキシアルデヒド(0.96g、5.24ミリモル)を一度に加えた。混合物を室温にさせた後、N下、攪拌しながら約16時間還流まで加熱した。水(30mL)および酢酸エチル(30mL)を添加した。水相をさらに酢酸エチルで抽出し(2×30mL)、合した有機相を水(30mL)およびブライン(30mL、飽和)で洗浄し、次いで乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮して黄色のシロップを得た。イソへキサン−20%酢酸エチル/イソへキサン勾配を用いるSiOでのクロマトグラフィーにより、低い収量(218mg、13%)の、トリフェニルホスフィンオキシドを組み込んだ標題化合物を得た。H NMR(400MHz,CDCl):7.64−7.56(m,4H)、7.48−7.44(m,3H)、7.38−7.33(m,3H)、6.46(dt,J=11.62,1.52Hz,1H)、5.69(dt,J=11.62,7.07Hz,1H)、3.71(app t,J=7.33Hz,2H)、2.40(qd,J=7.33,1.77Hz,2H)、1.78−1.68(m,2H)、1.60−1.51(m,2H)、1.47−1.39(m,2H)。
【0097】
<中間体7−(4−ビフェニリル)−1−アミノヘプタンの調製>
[1−(4−ビフェニリル)−7−フタルイミド]−1−ヘプテン(218mg、0.554ミリモル)をエタノール(10mL)に溶解した。10%パラジウム炭素(20mg)を活発に流動する窒素流下で添加した。フラスコを水素でフラッシし、次いで同じ気体の正圧下で約16時間攪拌しながら維持した。多重溶出TLC(10%酢酸エチル/イソへキサン)による分析により、この時間の後のアルケンの不在が明らかとなった。セライトパッドに通して触媒を濾過し、パッドをエタノールで洗浄した(2×5mL)。合した濾液および洗液を、90℃のヒドラジン一水和物(0.26mL)で24時間処理した。フラスコを冷却し、得られる沈殿物を濾過により取り出した後、エタノール(10mL)で洗浄した。合した濾液および洗液を真空濃縮して、標題化合物を無色の固体、144mg(97%(微量のフタラジンを含有した))として得た。LCMS:Rt=2.02分(m/z=492.07,268.06)(数ある中で)。H NMR(400MHz,CDOD):7.63−7.60(m,2H)、7.56−7.53(m,2H)、7.47−7.42(m,3H)、7.31−7.27(m,2H)、2.93(d,J=7.58Hz,1H)、2.9(d,J=6.82Hz,1H)、2.69(app t,J=7.58Hz,2H)、1.74−1.63(m,4H)、1.46−1.39(m,6H)。
【0098】
中間体7−(4−ビフェニリル)−1−ヘプチルイソシアネートの調製
トリホスゲン(0.074g、0.250ミリモル)のジクロロメタン(10mL、無水)中溶液に、7−(4−ビフェニリル)−1−アミノヘプタン(0.181g、0.677ミリモル)およびDIPEA(0.26mL、1.49ミリモル)の同じ溶媒(20mL)中の溶液を30分にわたり滴加した。添加が完了した後、混合物を室温にて2時間攪拌し、次いで溶媒を真空除去した。残渣をエーテル(20mL)で30分間処理した。不溶性の固体を濾過により取り出し、エーテルで洗浄した。合した濾液および洗液を真空濃縮し、標題化合物を黄色の油状物質として得(0.067g、34%)、それを直接加工した。
【0099】
イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[7−(4−ビフェニリル)ヘプタ−1−イル]ウレイド]ブチレートホルメートの調製
7−(4−ビフェニリル)−1−ヘプチルイソシアネート(0.067g、0.228ミリモル)、(R)−3−アミノカルニチンイソブチルエステル(0.099g、0.342ミリモル)およびDIPEA(0.087mL、0.502ミリモル)を、イソブチルアルコール(5mL)中で合し、40℃にて18時間攪拌した。溶媒を真空除去した。残渣をジメチルスルホキシド(2mL)に溶解し、分取逆相HPLCに供した。適切な画分を合し、蒸発させて、標題化合物を無色の固体、0.021g(18%)として得た。LCMS:Rt=2.24分(m/z=526)。H NMR(400MHz,CDOD):7.60−7.57(m,2H)、7.53−7.49(m,2H)、7.44−7.38(m,2H)、7.32−7.27(m,1H)、7.26−7.23(m,2H)、4.68−4.61(m,1H)、3.93−3.85(m,2H)、3.58(dd,J=13.89,9.60Hz,1H)、3.46(dd,J=13.64,2.02Hz,1H)、3.18(s,9H)、3.10(td,J=6.57,1.77Hz,2H)、2.72−2.60(m,4H)、1.91(septet,J=1.68−1.61(m,2H,1.50−1.42(m,2H)、1.39−1.61(m,6H)。
【実施例12】
【0100】
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[7−(4−ビフェニリル)ヘプタ−1−イル]ウレイド]ブチレート分子内塩の調製
【化14】

イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(7−(4−ビフェニリル)ヘプチル)ウレイド]ブチレートホルメート(0.018g、0.032ミリモル)(実施例11由来)を、イソブチルアルコール(2mL)に溶解した。Dowex550A(OH)樹脂(0.20g)を添加し、混合物を室温にて60時間かき混ぜた。濾過により樹脂を取り出し、イソブタノール(2mL)で洗浄した。溶媒を真空除去した。残渣を50%含水アセトニトリル(5mL)に溶解し、15時間凍結乾燥し、標題化合物を無色の固体、0.08g(55%)として得た。H NMR(400MHz,CDOD):7.62−7.57(m,2H)、7.53−7.50(m,3H)、7.43−7.38(m,2H)、7.32−7.37(m,1H)、7.26−7.22(m,2H)、4.54−4.47(m,1H)、3.58(dd,J=13.64、9.35Hz,1H)、3.45(dd,J=13.64,2.02Hz,1H)、3.16、(s,9H)、3.10(td,J=6.82,0.76Hz,2H)、2.64(dd,J=7.83,7.32Hz,2H)、2.46−2.35(m,2H)、1.70−1.60(m,2H)、1.49−1.42(m,2H)、1.39−1.27(m,6H)。
【実施例13】
【0101】
皮膚浸透試験
インビトロの皮膚浸透試験は、Bronaugh Flow−Thru拡散セルおよび/またはFranz静的拡散セルを用いて、本発明の化合物を含有する製剤で実施する。この製剤は、約1mCiの放射標識された薬物を含有する(その放射標識はトリチウムまたは炭素−14であってもよい)。それぞれの製剤の約10〜20gを準備する。製剤は、単一のドナーからのデルマトームで採取された(dermatomed)腹部ヒト皮膚を用いて試験する。皮膚は、均一性および完全性を確保するよう調製される。インビトロ試験では、該皮膚の様々な層上および層内の薬物沈着、ならびに製剤に24時間曝露した後の皮膚の薬物浸透が調べられる。製剤への24時間の曝露後、皮膚表面から残留用量を3回までの反復的なテープストリッピングにより除去し、残った表皮を物理的な手段により真皮から分離する。分析は、液体シンチレーション計数を用いて、拡散セル洗液、皮膚表面のテープストリッピング、ならびに表皮、真皮、およびレセプター液で実施する。
【実施例14】
【0102】
製剤試験
本発明の化合物を含有する製剤を試験して、製剤からの化合物のインビトロ放出を測定する。それぞれの製剤の約20gを準備する。この試験は、合成膜(Tuffryn HT−450、25mm、孔径0.45μm)および適当なレセプター溶液を用いて実施する。放出試験は、Franz静的拡散セルを用いて無限用量で(セルあたり製剤約1.5mL)6時間実行される。レセプター流体サンプルは、1、2、3、4、および6時間に手作業で回収する。レセプター流体サンプルは、回収され、標識され、HPLC分析またはその他の適当な方法による分析濃度決定を受ける。
【0103】
前述の内容は本発明を例証するものであり、本発明を限定すると解釈されるべきではない。本発明は、次の特許請求の範囲により定義される、該特許請求の範囲の等価物もそれに含められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
RO(CHX (I)
(式中、Xは、
NHCONHCH(CHCOCHN(CH
NHCONHCH(CHCOH)CHN(CH、および
NHCONHCH(CHCO)CHN(CHからなる群から選択され;
Rは、CH(CH、PhC(CH、およびPh(CHからなる群から選択され;
は、C1−4直鎖もしくは分枝アルキル基であり;
は、陰イオンであり;
mは、3〜14であり;
nは、0〜11であり;
pは、0〜6であり;
qは、1〜9であり;
ここで、mにnを加えた和は、10〜14であり;
mにpを加えた和は、5〜9であり;かつ
mにqを加えた和は、8〜12である)の化合物;
またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項2】
Rが、CH(CHであり;
mが、3〜14であり;
nが、0〜11であり;かつ
mにnを加えた和が、10〜14である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rが、PhC(CHであり;
mが、3〜9であり;
pが、0〜6であり;かつ
mにpを加えた和が、5〜9である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Rが、Ph(CHであり;
mが、3〜12であり;
qが、1〜9であり;かつ
mにqを加えた和が、8〜12である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[6−(4−フェニルブトキシ)ヘキサ−1−イルウレイド]ブチレートホルメート;
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[6−(4−フェニルブトキシ)ヘキサ−1−イル]ウレイド]ブチレート;
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[6−(2−フェニルエトキシ)ヘキサ−1−イル]ウレイド]ブチレート;
イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(12−メトキシドデカ−1−イル)ウレイド]ブチレートホルメート;
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(12−メトキシドデカ−1−イル)ウレイド]ブチレート;
イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(6−ヘプチルオキシヘキサ−1−イル)ウレイド]ブチレートホルメート;
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−(6−ヘプチルオキシヘキサ−1−イル)ウレイド]ブチレート;
イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[7−(4−ビフェニルオキシ)ヘプタ−1−イル]ウレイド]ブチレートホルメート;および
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[7−(4−ビフェニルオキシ)ヘプタ−1−イル]ウレイド]ブチレートからなる群から選択される請求項1に記載の化合物;またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項6】
【化1】

である、請求項1に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項7】
【化2】

である、請求項1に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項8】
【化3】

である、請求項1に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項9】
【化4】

である、請求項1に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項10】
【化5】

である、請求項1に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項11】
【化6】

である、請求項1に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項12】
【化7】

である、請求項1に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項13】
【化8】

である、請求項1に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項14】
【化9】

である、請求項1に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項15】
式II:
−ビフェニル(CHX (II)
(式中、Xは、
NHCONHCH(CHCOCHN(CH
NHCONHCH(CHCOH)CHN(CH、および
NHCONHCH(CHCO)CHN(CHからなる群から選択される;
は、C1−4直鎖もしくは分枝アルキル基であり;
は、陰イオンであり;
は、HおよびCH(CHからなる群から選択され;
vは、2〜10であり;
wは、0〜7であり;かつ
vにwを加えた和が、5〜10である)の化合物;
またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項16】
が、Hであり;かつ
vが、6〜10である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
が、CH(CHであり;
vが、2〜9であり;
wが、0〜7であり;かつ
vにwを加えた和が、5〜9である、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
イソブチル(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[7−(4−ビフェニリル)ヘプタ−1−イル]ウレイド]ブチレートホルメートおよび
(R)−4−トリメチルアンモニオ−3−[3−[7−(4−ビフェニリル)ヘプタ−1−イル]ウレイド]ブチレートからなる群から選択される請求項15に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項19】
【化10】

である、請求項15に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項20】
【化11】

である、請求項15に記載の化合物、またはその製薬上許容される塩、プロドラッグ、もしくは立体異性体。
【請求項21】
請求項1または15に記載の化合物と、製薬上許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項22】
局所投与用に処方された、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
請求項1または15に記載の化合物を含むキット。
【請求項24】
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT1)酵素を阻害する方法であって、前記酵素を請求項1または15に記載の化合物に接触させることを含む、方法。
【請求項25】
前記酵素が動物の細胞内に存在している、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記酵素が単離された細胞または組織に存在している、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記酵素が、溶液中に存在する、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
動物においてカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼに関連する疾病または障害を治療する方法であって、前記動物に有効量の請求項1または15に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項29】
動物において疾病または障害を治療する方法であって、前記動物に有効量の請求項1または15に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項30】
前記疾病または障害が、レプチン抵抗性、ゴナドトロピン欠乏症、心不全、虚血、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、家族性リポタンパク質リパーゼ欠損症、高血圧症、無月経症、真性糖尿病(I型およびII型)、メタボリック症候群、高血糖症、インスリン抵抗性、グルコース不耐症、肥満症、多嚢胞性卵巣症候群、過食症、皮膚疾患、およびがんからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記皮膚疾患が乾癬またはアトピー性皮膚炎である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記化合物が局所に投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記化合物が局所に投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記動物がヒトである、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記動物がヒトである、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記動物が疾病または障害の動物モデルである、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記動物が疾病または障害の動物モデルである、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記請求項1または15の化合物を調製する方法であって、
(a)イソブチルカルニチンと対応するイソシアネートを反応させてアミノカルニチンに由来する尿素エステルを形成するステップと、
(b)前記アミノカルニチン由来尿素エステルの前記エステル基を加水分解して一般式IまたはIIを有する化合物を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項39】
前記イソブチルカルニチンが、(R)−3−アミノカルニチンイソブチルエステルまたはその製薬上許容される塩である、請求項38に記載の方法。

【公表番号】特表2011−525530(P2011−525530A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516296(P2011−516296)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/003757
【国際公開番号】WO2010/008473
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(510339843)ダラ・バイオサイエンシズ,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】