説明

酸化プロピレンとスチレンとを一緒に製造するプロセスにおける廃棄物である水性ストリームの再評価

酸化プロピレンとスチレンとを一緒に製造するプロセスにて生成した廃棄物である水性ストリームを再評価するための方法。特に、夾雑物が多く混入した水性ストリームから有機性の夾雑物の量を低減し、このストリームから有機化合物を回収する方法を開示する。この有機化合物は、再循環してもよいし、エネルギーのコジェネレーションにおける燃料として用いてもよい。この方法は、無機酸を用いて上記ストリームを4.5未満のpHに酸性化する工程、生じた2つの相を40℃よりも高い温度にて分離する工程、分離する工程にて生成した有機相を、過剰量の酸性水溶液を用いて洗浄し、生じた2つの相を分離する工程、を包含している。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、酸化プロピレンとスチレンとを一緒に製造するプロセス(propylene oxide and styrene co-production process)にて生成した廃棄物である水性ストリームを再評価するための方法に関する。特に、本発明は、夾雑物が多く混入した水性ストリームから有機性の夾雑物の量を低減するプロセスと、再循環され得るか、エネルギーのコジェネレーションにおける燃料として用いられ得る有機化合物を、このストリームから回収するプロセスとを開示する。
【0002】
〔従来技術〕
酸化プロピレンとスチレンとを一緒に製造するプロセスは、(a)エチルベンゼンを酸素と反応させて、エチルベンゼンヒドロペルオキシドを形成するステージ、(b)触媒の存在下にてエチルベンゼンヒドロペルオキシドをプロピレンと反応させて、酸化プロピレンとメチルベンジルアルコールとを形成するステージ、および(c)メチルベンジルアルコールを脱水してスチレンを製造するステージ、に基本的に基づいている。
【0003】
初めの2つのステージにおいて、酸性のフェノール化合物が形成する。これらフェノール化合物は、当該フェノール化合物によって以後のプロセスが妨害されないように、エポキシ化に用いられた上記触媒と一緒に除去されることが必要である。また、酸性のフェノール化合物は、エポキシ化の後のカラムおよび反応器に対して問題を引き起こすことがある。このような理由から、エポキシ化の後に排出されるストリーム(epoxidation outlet stream)をアルカリによって洗浄することが不可欠である。
【0004】
このアルカリによって洗浄する手法は、有機化合物およびナトリウムを多く含んでいる水性ストリーム(アルカリ性パージ(alkaline purge)とも呼ばれる。)を生成する。この水性ストリームは、水処理に全体的に用いられることができれば、如何なる前処理を行うことなく、有機物の回収が可能になる。アルカリ性パージの典型的な組成物は、4〜8%のアルコール性化合物、3〜6%の有機塩、および2%よりも多い量の水酸化ナトリウムを含んでいる。このアルコール性化合物の大部分はモノプロピレングリコールおよびメチルベンジルアルコールであり、この有機塩の大部分は安息香酸ナトリウムおよびナトリウムフェノラートである。
【0005】
酸化プロピレンおよびスチレンのプロセスにて生じた排水の浄化処理は、非常に高額であるが、これは、排水中の有機物の含有量が多いこと(このことは、化学的酸素要求量の値が高い(CODが40重量%よりも高い)と解釈される。)、上記ストリームの流量が多いこと、そして、最後に、容易に分解されない有機化合物を排水が含んでいるという事実、という3つの局面に起因している。
【0006】
上述の事項の全ては、全体的なプロセスに対して2つの問題を生じさせる一方、焼却、酸素を用いた高温および高圧での湿式酸化(damp oxidation)、または生物学的な処理からなるか、あるいはより典型的にこれら3つの処理のいくつかの組み合わせからなる、高価な処理が必要になる。
【0007】
一方、現在用いられている処理は、有機物の化学的および/または生物学的な酸化に基づいているが、この有機物は、回収不可能であり、上記プロセスにて再使用されることができないか、エネルギー発生プロセスに使用されることができない有機物を意味する。
【0008】
参考文献には、上述した処理の代わりとなる処理が記載されている。しかし、参考文献に記載の処理は、工業的な実施を複雑化するという欠点を有している。例えば、米国特許第5558778号明細書には、廃棄物である水性ストリームを処理するための方法が開示されている。この方法は、塩を凍結させ、この塩をろ過し、そして水を蒸発させるプロセスを行い、次いで、有機成分を回収することによって実施される。これらの低温処理は、エネルギーを大量に消費することを必要とし、大流量のストリームを処理するための複雑な施設を伴う。
【0009】
米国特許第5675055号明細書には、酸化プロピレンとスチレンとを一緒に製造するプラントにて生成されたアルカリ性ストリームを処理するプロセスが開示されている。このプロセスは、硫酸によって酸性化した後に、溶媒を用いて抽出することによって実施される。このプロセスでは、水性廃棄物と軽い化合物とを予め蒸発させることを実施することもできるし、このような蒸発を実施しないこともできる。この方法では、上記有機物の分離を促進するために、実際のプロセスの廃棄物であるストリームであり得る有機性ストリームを使用することが必要になる。上述したプロセスの知見によって、我々は、上記ストリームが、スチレンを精製するカラムの底部から得られ、高分子量の芳香族生成物を含んでいるストリームであることを特定することができる。この芳香族生成物の一部は、スチレンの前駆体であることが知られており、硫酸と接触することによってガムの形態のポリマーを生成し得る。このようなガムの形成は、より穏やかな酸(リン酸など)を使用しても回避されない。
【0010】
国際公開第0132561号パンフレットA1には、アルカリ性の水性ストリームを連続的な蒸発に供して、精製された水を最終的に取得するプロセスが開示されている。この方法では、非常に大流量の水を蒸発させることが必要になる。このような蒸発は、多量のエネルギーの消費を伴い、大容量の蒸留カラムの設置が必要になる。一方、最近の国際公開第2006104222号パンフレットA1に開示されたプロセスは、クミルヒドロペルオキシドを用いてプロピレンをエポキシ化するプロセスに適用されるが、SM/POプロセスにも適用可能であり、その後の処理を容易にする水相を生成するために蒸発を行うことにも基づいている。
【0011】
〔本発明の説明〕
本発明は、酸化プロピレン、スチレン、および誘導体(SM/PO)を一緒に製造するプラントからの廃棄物である水性ストリームを回収するのに有用なツールを提供する。この回収は、夾雑物の量が多い廃棄物である水性ストリームの化学的酸素要求量(COD)の値を低減させることによって実施される。また、本発明は、回収した有機物の使用を提供する。よって、本発明によれば、有機物の工業的なリサイクルの可能性が増加し、環境保護的なバランスが保持される。
【0012】
現在、SM/POを一緒に製造するプロセスにて生成されたアルカリ性パージは、有機物が破壊される処理に供されることが一般的である。有機物の含有量が多いと、非常に強力な処理(酸素による高温での湿潤空気酸化、または焼却など)を用いることが必要になる。本発明の処理は、従来技術にて公知の方法と比較して以下の利点を可能にする。
【0013】
1.CODの含有量がより少ない水性ストリームが生成されること。これによって、湿潤空気酸化または焼却のステージを必要とせずに、このストリームを生物学的な処理へ直接的に送ることが可能になるか、あるいはより穏やかな技術(例えば促進酸化など)によってこのストリームを処理することが可能になる。
【0014】
2.有機物が回収されること。これによって、この有機物をさらなる費用がかかる処理に送る代わりに、この有機物を燃料として用いることができる。このことは、従来の燃料の消費を節約することを伴う。また、メチルベンジルアルコールまたはモノプロピレングリコールなどの生成物を回収する実際のプロセスに、この有機物を再度組み込むことも可能となる。
【0015】
3.モリブデンを回収できる可能性があること(モリブデンを回収することは、有機塩が豊富なアルカリ性ストリームでは不可能であり、有機含有量のより少ない酸性ストリームにて可能である。)。
【0016】
一方、本発明の方法を用いて、上記ストリームに対する任意の蒸留処理または低温処理を実施することは不要である。本発明の方法において、水性ストリームは、酸性化、デカンテーションによる分離、有機相の洗浄、およびデカンテーションによるさらなる分離という連続的なステージに供される。これらの操作にかかる全体的なエネルギーを計算したところ、蒸留処理または低温処理にかかるエネルギーよりも有利である。
【0017】
さらに、抽出および有機溶媒を用いるプロセスと比較した場合、本発明は、さらなる任意の有機溶媒を添加することが不要であるという利点を有している。そして、溶媒として使用する生成物がスチレンを精製するためのカラムの底部(重い芳香族化合物が豊富である。)から得られたストリームである場合、本発明は、このようにして、ろ過不可能なガムの形態に重合して、相を分離するプロセスにて問題を引き起こしてしまうスチレンポリマーの形成を回避する。
【0018】
本発明の方法は、SM/POのプラントにて生成した水性ストリームからの廃水を処理するための方法であり、水相の有機部分を除去するための酸処理を包含している。この処理は、2つの相(有機含有量がより少ない水相と有機相と)の分離が生じる適切な条件にて実施される。この分離のプロセスは、大部分が温度によって影響を受けることが確認されており、相の良好な分離を達成するための温度条件を決定することが必要である。しかし、損失が生じ得ることおよび上記処理にて溶媒を再使用することが必要であることの両方に起因してこのプロセスの収益性を低減させる、有機溶媒の導入は不要である。
【0019】
したがって、本発明の第1の局面は、ナトリウムおよび有機化合物の含有量が多い廃棄物である水性ストリームを処理するための方法に関する。「有機化合物の含有量が多いこと」は、化学的酸素要求量の値が40重量%よりも高いストリームが意図されると理解される。この廃棄物であるストリーム(この水性ストリームを「アルカリ性パージ」とも呼ぶ。)は、SM/POを一緒に製造するプラントからのエチルベンゼンヒドロペルオキシドによるプロピレンのエポキシ化から生じた生成物を洗浄するプロセスに由来する。本処理は、以下の工程(a)〜工程(d)を包含している。
【0020】
工程(a)は、水性ストリームを無機酸によって4.5未満のpHに酸性化する工程である。工程(a)は、40℃よりも高い温度にて行うことが好ましく、50℃よりも高い温度にて行うことがより好ましい。この酸性化処理において、2つの相(一方が水相であり、他方が有機相である。)が生成される。
【0021】
工程(b)は、工程(a)にて形成された相(水相および有機相)を40℃よりも高い温度にて(より好ましくは、50℃よりも高い温度にて)分離する工程である。この分離は、デカンターにて実施されることが好ましい。この分離の後に生成した水相は、CODの低減が30〜70%であり、より好ましくは40〜55%である。有機性のストリームは、この水相から水およびナトリウムの一部を引き込んでいる。このため、有機相の含水量は15〜25重量%であり、より好ましくは20〜22重量%である。一方、有機相におけるナトリウム含有量は3000〜10000ppmであり、より好ましくは、5000〜7000ppmである。
【0022】
工程(c)は、工程(b)にて分離した有機相を、酸性水溶液によって洗浄する工程である。有機相を洗浄すると、水相が再び生成されるが、水に再度溶解する有機成分が最小になることが達成される。この水相の有機含有量は極めて少ないため、より費用がかからない代わりの処理を検討することができる。このような代わりの処理としては、例えば、徹底的な酸化、湿潤空気式の酸化または焼却の実施を必要としない、促進酸化による処理、あるいは直接的な生物学的な処理などが挙げられる。工程(c)の洗浄にて生成された水相と工程(b)のアルカリ性パージの酸処理にて生成された水相とを、その後の処理のために合わせることが可能である。このようにすれば、両方のステージであることを考慮して、本処理の全体的なCODの除去が26〜66%、より好ましくは36〜51%となる。
【0023】
工程(d)は、工程(c)にて生成された有機相を分離する工程である。好ましくは、この分離は、デカンターによって実施される。この有機相は、メチルベンジルアルコールおよびモノプロピレングリコールを回収するためのプロセスに再度組み込まれるために使用され、より好ましくは、エネルギーコジェネレーションボイラーにおける燃料として使用される。
【0024】
一方、本発明の方法によれば、当業者に公知の任意の方法(例えば、イオン交換樹脂の使用など)によって、工程(b)にて分離された水相からモリブデンを回収することができる可能性もある(このようなモリブデンの回収は、有機化合物に富んだアルカリ性ストリームでは不可能であるが、この化合物の含有量がより少ない酸性ストリームでは可能である。)。このように、水相に残留する有機化合物の含有量が少ないので、SM/POを一緒に製造する際に触媒として使用したモリブデンを回収することが可能となる。このようなモリブデンの回収は、中性の有機化合物とナトリウム塩との両方によって妨害されるので、アルカリ性パージでは不可能である。
【0025】
工程(d)にて生成された有機物を、2種類の節約をもたらす処理に送る代わりに、コジェネレーションプロセスにおける燃料として使用することができる。なお、この2種類の節約のうち一方では、この有機物が処理される必要がなく、他方では、SM/POを一緒に製造するプロセスにおける燃料としてこの有機物を再使用し、このプロセスに必要な従来の燃料の量を低減する。
【0026】
工程(b)にて生成された有機物の組成物は、塩と含水量とが多いので、燃料としてすぐに使用することができない。しかし、この有機相を酸性水溶液によって洗浄することによって、工程(d)にて生成された有機相を、ナトリウム含有量および含水量が少ない有機相にすることができる。このような有機相は、燃料として直接的に使用することができる。洗浄溶液は、有機物が水相へ新たに抽出されることを最小にする酸性溶液であることが重要であり、有機酸または無機酸の使用が可能である。しかし、水相の有機成分の電荷を最小にするために、無機酸を使用することが好ましく、硫酸を使用することがより好ましい(その理由は、本処理の第1のステージにて用いた酸と同一であるからである。)。用いられる水と有機相との比は1:2〜3:1であり得、1:1〜2:1であることがより好ましい。用いられる酸性溶液は、3〜6重量%、より好ましくは4.5〜5.5重量%の過剰量の酸を有しているべきである。
【0027】
工程(b)にて生成された有機相は、15〜25重量%、より好ましくは20〜22重量%の含水量を有していてもよく、3000〜10000ppm、より好ましくは5000〜7000ppmのナトリウム含有量を有していてもよい。ナトリウム含有量は、工程(a)の後に実施された工程(b)における廃水に起因していることに留意すると、含水量を低減することが全体的に必要である。このため、有機相から水相へ再び移る有機物の量を最小にする酸性水溶液による抽出が選択されている。洗浄ストリームの消費がより少なくなれば、水相に再度溶解する有機成分の量がより少なくなることを考慮すれば、この工程を実施するに最適であると考えられる方法は、抽出カラムを逆流させて洗浄することを経由することである。しかし、この系が非効率的であることが確認されており、そして、驚くべきことに、酸性溶液による標準的な洗浄が、80〜95%、より好ましくは90〜95%という抽出の値をもたらすこと、水相に再度溶解した有機成分の量のみがCODの有効性を1〜5%、より好ましくは2〜3%低減させること、が確認されている。このようにして、洗浄後に得られる有機相は、1000ppm未満、より好ましくは500ppm未満のナトリウム含有量を有している。
【0028】
本発明の第2の局面は、本発明の方法によって生成することができた有機物に関する。この有機物は大部分が、酸性化合物およびアルコールから構成されている。酸性化合物として主なものは、安息香酸およびフェノールである。主なアルコール成分はモノプロピレングリコールである。少数成分として、我々は、軽い酸(酢酸およびプロピオン酸)およびメチルベンジルアルコールを発見することができる。このストリームが上述した組成であるので、このストリームを多種多様に使用することができ、このストリームを、貴重な化合物(本質的にモノプロピレングリコールおよびメチルベンジルアルコール)を回収するためのいくつかのステージにて再度組み込むことが可能である。
【0029】
酸性の生成物のプロセスにおける再組み込みを回避するためのより好ましい使用は、この有機物をエネルギーコジェネレーションボイラーにおける燃料として使用することである。この使用によって、我々が、この有機物を再使用することが可能になり、全体的なプロセスの条件に従って生成された有機物の流量に依存するが、従来の燃料の消費を5%〜20%、より好ましくは5%〜10%低減することが可能になる。
【0030】
それ故、本発明の別の局面は、本発明の有機物の、燃料としての(より好ましくは、エネルギーコジェネレーションボイラーにおける燃料としての)、使用に関する。
【0031】
本明細書および特許請求の範囲の全体にわたって、文言「包含している」およびその変形は、他の技術的特徴点、添加物、成分または工程を排除することを目的としていない。当業者にとっての本発明の他の目的、利点および特徴は、本明細書からの一部および本発明の実施形態からの一部を寄せ集めたものであるだろう。以下の実施例および図面は、説明のために提供されており、本発明を限定することを意図されていない。
【0032】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、硫酸(HSO)を用いたアルカリ性パージの連続的な処理施設(AIP)を表す図である。
【0033】
図2Aは、抽出カラムにて有機相(OP)を連続的に洗浄することを示す図である。HO(c)は熱水であり、TOはサーマルオイル(thermal oil)であり、Sはサンプル採取(sample taking)であり、HO(l)は洗浄水である。図2Bは、2つのさらなる本体(2 E.B.)を示す図である。
【0034】
図3は、連続的な洗浄の略図およびその後のデカンテーションを示す図である。tOPは処理された有機相である。
【0035】
〔実施例〕
以下に示す本発明は、本発明者らによって実施されたテストによって説明される。このテストは本発明の方法の有効性を示す。
【0036】
比較と呼ばれる実施例を、本発明について説明した条件の範囲外で実施した。比較と呼ばれる実施例は、最良の結果が本発明を適用することによって達成されることを実証する。全ての実施例は、特に断りのない限り、エポキシ化を終了させたストリームを洗浄したときに形成されたストリームを用いて開始した。エポキシ化を終了させたストリームは、凡そ以下の平均的な組成(重量%で表す。)を含んでいた:水(80%)、ベンズアルデヒド(1.5%)、モノプロピレングリコール(5%)、メチルベンジルアルコール(0.5%)、水酸化ナトリウム(2%)、ナトリウムフェノラート(2%)、安息香酸ナトリウム(2.5%)、ナトリウムホルミエート(sodium formiate)(1.5%)、プロピオン酸ナトリウム(0.5%)、酢酸ナトリウム(1%)、および我々が「ヘビー(heavy)」と呼ぶポリマーの性質の有機化合物(3.5%)。さらに、この水性ストリームは、前のステージにて触媒として使用されたモリブデンを約0.5%の割合で含んでいる。このストリームのCOD含有量は48.5%である。
【0037】
比較例1a:アルカリ性パージとカラムの底部との硫酸による60℃での処理
アルカリ性パージ(100g)とスチレンを精製するカラムの底部(10g)との混合物を60℃にて濃硫酸によってpHが最終的に4になるまで酸性化した(この底部の大部分が重い芳香族誘導体から構成されている)。酸性化の後に、ガムの形成が観察された。このガムの形成によって、ろ過を含む次の処理が不可能となった。ガムを分析した結果、このガムは、大部分がスチレンポリマーであることが明らかになった。
【0038】
比較例1b:アルカリ性パージとカラムの底部との硫酸による25℃での処理
比較例1aの処理を周囲温度にて繰り返した。観察された結果は、全く同一であり、ガムの形成が観察され、次の処理が不可能となった。
【0039】
比較例1c:アルカリ性パージの硫酸による処理後のカラムの底部の添加
アルカリ性パージ(100g)を60℃にて濃硫酸によってpHが最終的に4になるまで酸性化した。酸性化の後に、混合物を遅延型のデカンター(lagged decanter)に移した。この混合物を半時間、放置して混合物の上清を回収した。その後、相が分離して、11gの有機相(上相(upper phase))および89gの水相(下相(lower phase))を取得した。有機相が分離し、大部分が重い芳香族化合物を含んでいるカラムの底部(10g)と周囲温度にて混合した。この混合によってガムが形成された。これは、ろ過を含む如何なる方法によってもサンプルを処理することができないことを意味している。ガムを分析した結果、このガムは大部分がスチレンポリマーであることが明らかになった。
【0040】
比較例1d:アルカリ性パージとカラムの底部とのリン酸による25℃での処理
アルカリ性パージ(100g)とカラムの底部(10g)との混合物を25℃にて濃リン酸によってpHが最終的に4になるまで酸性化した(このカラムの底部の大部分が重い芳香族化合物から構成されている)。酸性化の後に、ガムの形成が観察された。このガムの形成によって、ろ過を含む次の処理が不可能となった。ガムを分析した結果、このガムは、大部分がスチレンポリマーであることが明らかになった。
【0041】
比較例2a:アルカリ性パージの硫酸による25℃での処理
アルカリ性パージ(100g)を25℃にて濃硫酸によってpHが最終的に4になるまで酸性化した。酸性化の後に、混合物をデカンターに移した。この混合物を半時間、25℃にて放置して混合物の上清を回収した。この時間の後では、相の分離は観察されず、相を分離させることができなかった。
【0042】
比較例2b:アルカリ性パージの硫酸による40℃での処理
アルカリ性パージ(100g)を40℃にて濃硫酸によってpHが最終的に4になるまで酸性化した。酸性化の後に、混合物をデカンターに移した。この混合物を半時間、40℃にて放置して混合物の上清を回収した。この時間の後では、3つの異なる相がこの相の間の界面と共に観察されたが、相を分離することができなかった。
【0043】
比較例2c:アルカリ性パージの硫酸による25℃での処理の後の、メチル−tert−ブチルエーテルの添加
比較例2aを繰り返したが、酸性化の後に、相の分離が観察されるまでメチル−tert−ブチルエーテルを添加した。この相の分離は20gの溶媒を添加したときに生じた。
【0044】
比較例2d:アルカリ性パージの硫酸による25での処理の後の、メチルイソブチルケトンの添加
比較例2aを繰り返したが、酸性化の後に、相の分離が観察されるまでメチルイソブチルケトンを添加した。この相の分離は20gを添加したときに生じた。
【0045】
実施例1a:アルカリ性パージの硫酸による60℃、pH6での処理
アルカリ性パージ(100g)に60℃にて濃硫酸をpHが最終的に6になるまで添加した。酸性化の後に、混合物を60℃にて遅延型のデカンターに移した。この混合物を半時間、放置して上清を回収した。この時間の後に、相の分離は観察されなかった。
【0046】
実施例1b:アルカリ性パージの硫酸による60℃、pH5.5での処理
アルカリ性パージ(100g)を60℃にて濃硫酸によってpHが最終的に5.5になるまで酸性化した。酸性化の後に、混合物を60℃にて遅延型のデカンターに移した。この混合物を半時間、放置して上清を回収した。その後、相が分離し、5gの有機相(上相)と95gの水相(下相)とが生成された。水相にてもたらされたCODの低減は38%であった。生成された有機相は、含水量が28.24%であり、ナトリウム含有量が16775ppmであった。
【0047】
実施例1c:アルカリ性パージの硫酸による60℃、pH5での処理
アルカリ性パージ(100g)を60℃にて濃硫酸によってpHが最終的に5になるまで酸性化した。酸性化の後に、混合物を60℃にて遅延型のデカンターに移した。この混合物を半時間、放置して上清を回収した。その後、相が分離し、6.2gの有機相(上相)と93.8gの水相(下相)とが生成された。水相にてもたらされたCODの低減は39.5%であった。生成された有機相は、含水量が27.45%であり、ナトリウム含有量が15245ppmであった。
【0048】
実施例1d:アルカリ性パージの硫酸による60℃、pH4.5での処理
アルカリ性パージ(100g)を60℃にて濃硫酸によってpHが最終的に4.5になるまで酸性化した。酸性化の後に、混合物を60℃にて遅延型のデカンターに移した。この混合物を半時間、放置して上清を回収した。その後、相が分離し、8.1gの有機相(上相)と93.8gの水相(下相)とが生成された。水相にてもたらされたCODの低減は57%であった。生成された有機相は、含水量が24.52%であり、ナトリウム含有量が14.817ppmであった。
【0049】
実施例1e:アルカリ性パージの硫酸による60℃、pH4での処理
アルカリ性パージ(100g)を60℃にて濃硫酸によってpHが最終的に4になるまで酸性化した。酸性化の後に、混合物を60℃にて遅延型のデカンターに移した。この混合物を半時間、放置して上清を回収した。その後、相が分離し、11gの有機相(上相)と89gの水相(下相)とが生成された。水相にてもたらされたCODの低減は63.22%であった。生成された有機相は、含水量が17.77%であり、ナトリウム含有量が8.765ppmであった。
【0050】
実施例1f:アルカリ性パージの硫酸による60℃、pH3.5での処理
アルカリ性パージ(100g)を60℃にて濃硫酸によってpHが最終的に3.5になるまで酸性化した。酸性化の後に、混合物を60℃にて遅延型のデカンターに移した。この混合物を半時間、放置して上清を回収した。その後、相が分離し、12.8gの有機相(上相)と87.2gの水相(下相)とが生成された。水相にてもたらされたCODの低減は67.5%であった。生成された有機相は、含水量が15.34%であり、ナトリウム含有量が6.895ppmであった。
【0051】
実施例2a:アルカリ性パージの硫酸によるpH4.5〜5での連続的な処理
図1に示す施設を用いて以下の方法によって、上述したアルカリ性パージに対して連続的なテストを実施した。アルカリ性パージ(AIP)および硫酸を含んでいる2つのタンクから、両方の生成物をスタティックミキサに添加した。硫酸は、ドーシングポンプ(dosage pump)を用いてスタティックミキサに添加した。アルカリ性パージは重力によってスタティックミキサに滴下して、その流量を、バルブを用いることによって制御した。このミキサの排出部には、pHコントローラが配置されている。pHコントローラは、排出部のpHにしたがって、硫酸のドーシングポンプの流量をより多くしたり、より少なくしたりする。選択される参照pHは4.5であった。アルカリ性パージおよび硫酸の用いられた流量は、それぞれ90kg/hおよび7.7kg/hであった。酸性化された混合物は、60℃のデカンターを通過した。このデカンターは2つの排出部(下側の排出部および側面の排出部)を有している。下側の排出部を介して水相(AP)が収集され、側面の排出部を介して有機相(OP)が収集される。デカンターのレベルおよびデカンター内に滞在する時間は、システムの両方の相を除去する2つのドーシングポンプによって制御される。水相の排出部において、リカレントpHメーター(recurrent pH meter)が配置されている。リカレントpHメーターの機能は、第1のメータの測定が正確であることを保障することであり、pHのユニットが0.5高くなる変化を良いと考える。
【0052】
これらの条件において、分離の問題は観察されず、流量が90.5kg/hである水相(排出部における平均的なpHの値が5である。)、および流量が7.2kg/hである水相が生成された。水相にて観察されたCODの低減は28%であった。有機相におけるナトリウム含有量は17,800ppmであり、有機相の含水量は37.5%であった。
【0053】
実施例2b:アルカリ性パージの硫酸によるpH4〜4.5での連続的な処理
実施例2aに記載した方法と同一の方法に従ったが、コントローラにおけるpHの参照値として4を用いた。処理した水相の排出部における平均pHは4.2であった。アルカリ性パージおよび硫酸について用いた流量は、それぞれ90kg/hおよび7.9kg/hであった。相は問題なく分離し、排出部における水相の流量は89.5kg/hであり、排出部における有機相の流量は8.4kg/hであった。水相にて観察されたCODの低減は33%であった。有機相のナトリウム含有量は8365ppmであり、有機相の含水量は20.8%であった。
【0054】
実施例2c:アルカリ性パージの硫酸によるpH3.5〜4での連続的な処理
実施例2aに記載した方法と同一の方法に従ったが、コントローラにおけるpHの参照値として3.5を用いた。処理した水相の排出部における平均pHは3.8であった。アルカリ性パージおよび硫酸について用いた流量は、それぞれ120kg/hおよび10.7kg/hであった。相は問題なく分離し、排出部における水相の流量は118.9kg/hであり、排出部における有機相の流量は12.5kg/hであった。水相にて観察されたCODの低減は39%であった。有機相のナトリウム含有量は7315ppmであり、有機相の含水量は21.7%であった。
【0055】
実施例2d:アルカリ性パージの硫酸によるpH3〜3.5での連続的な処理
実施例2aに記載した方法と同一の方法に従ったが、コントローラにおけるpHの参照値として3を用いた。処理した水相の排出部における平均pHは3.5であった。アルカリ性パージおよび硫酸について用いた流量は、それぞれ90kg/hおよび8.2kg/hであった。相は問題なく分離し、排出部における水相の流量は87.2kg/hであり、排出部における有機相の流量は10.2kg/hであった。水相にて観察されたCODの低減は42%であった。有機相のナトリウム含有量は5335ppmであり、有機相の含水量は20.8%であった。
【0056】
この実施例において、両方の相を分析したところ、以下に示す組成物であることが判明した。
【0057】
水相:水(84%)、硫酸ナトリウム(8.5%)、プロピレングリコール(4.5%)、プロピオン酸(0.5%)、酢酸(0.5%)、安息香酸(0.5%)、およびヘビー(1.5%)。
【0058】
有機相:酢酸(1.5%)、プロピオン酸(2%)、プロピレングリコール(4%)、メチルベンジルアルコール(2%)、フェノール(26%)、安息香酸(40%)、ヘビー(3%)、硫酸ナトリウム(1.5%)、および水(20%)。
【0059】
比較例3:抽出カラムにおける有機相の連続的な洗浄のテスト
実施例2dにて生成された有機相を対応する水溶液と混合し、図2に示すカラムにて処理した。このカラムでは、洗浄が、60℃の浴温(bath temperature)を用いた逆流によって実施される。作業方法を図2に示し、以下に要約する。カラムにおいて、有機相(OP)が(上側の注入部を介して)導入され、対応する量の水相(AP)が(下側の注入部を介して)導入された。有機相は重力によって落下する一方、水相は密度に起因して上昇する傾向にある。このようにして、いくつかの充填材を、有機相と水相の比のいくつか、数種の本体(接触時間を変更する。)、およびいくつかの充填材(充填材の一貫性が異なることも接触時間に影響を及ぼす。)についてテストした。全てのテストは硫酸溶液を用いて実施した。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
観察されたように、ナトリウムの抽出の程度が不十分であるので、全事例における結果が改善された。特に、不十分な水(deficient water)を用いた場合、良好な結果が得られていない。
【0062】
実施例3a:5重量%という過剰量の酸を用いた硫酸によって1の相比を用いて有機相を洗浄し、次いでデカンテーションを行うことによる、不連続的なテスト
生成された有機相の洗浄を実施例2dに従って実施したが、100gの有機相に、1.20重量%の硫酸を含有している水溶液100gを混合した。混合物を60℃にて15分間攪拌し、この同じ温度にて遅延型のデカンターへ移した。遅延型のデカンターにてこの混合物は半時間、放置され、上清が得られた。その後、2つの相が問題なく分離した。有機相におけるナトリウムの除去が93.75%(処理した相における330ppmのナトリウム)であり、洗浄用の水相のCOD値は28.6%であった。この水相を、アルカリ性パージの酸処理にて生成された水相と合わせた。その結果、全体的な処理におけるCODの除去効率は39%に達した。
【0063】
実施例3b:5重量%という過剰量の酸を用いた硫酸によって0.5の相比を用いて有機相を洗浄し、次いでデカンテーションを行うことによる、不連続的なテスト
生成された有機相の洗浄を実施例2dに従って実施したが、100gの有機相に、2.40重量%の硫酸を含有している水溶液50gを混合した。混合物を60℃にて15分間攪拌し、この同じ温度にて遅延型のデカンターへ移した。遅延型のデカンターにてこの混合物は半時間、放置され、上清が得られた。その後、2つの相が問題なく分離した。有機相におけるナトリウムの除去が62.33%(処理した相における2025ppmのナトリウム)であり、洗浄用の水相のCOD値は36.1%であった。この水相を、アルカリ性パージの酸処理にて生成された水相と合わせた。その結果、全体的な処理におけるCODの除去効率は41%に達した。
【0064】
実施例3c:5重量%という過剰量の酸を用いた硫酸によって0.25の相比を用いて有機相を洗浄し、次いでデカンテーションを行うことによる、不連続的なテスト
生成された有機相の洗浄を実施例2dに従って実施したが、100gの有機相に、4.80重量%の硫酸を含有している水溶液25gを混合した。混合物を60℃にて15分間攪拌し、この同じ温度にて遅延型のデカンターへ移した。遅延型のデカンターにてこの混合物は半時間、放置され、上清が得られた。その後、2つの相が問題なく分離した。有機相におけるナトリウムの除去が47.01%(処理した相における2825ppmのナトリウム)であり、洗浄用の水相のCOD値は42%であった。この水相を、アルカリ性パージの酸処理にて生成された水相と合わせた。その結果、全体的な処理におけるCODの除去効率は41.5%に達した。
【0065】
実施例3d:0.7重量%という過剰量の酸を用いた硫酸によって1の相比を用いて有機相を洗浄し、次いでデカンテーションを行うことによる、不連続的なテスト
生成された有機相の洗浄を実施例2dに従って実施したが、100gの有機相に、1.14重量%の硫酸を含有している水溶液100gを混合した。混合物を60℃にて15分間攪拌し、この同じ温度にて遅延型のデカンターへ移した。遅延型のデカンターにてこの混合物は半時間、放置され、上清が得られた。その後、2つの相が問題なく分離した。有機相におけるナトリウムの除去が87.67%(処理した相における650ppmのナトリウム)であり、洗浄用の水相のCOD値は24.4%であった。この水相を、アルカリ性パージの酸処理にて生成された水相と合わせた。その結果、全体的な処理におけるCODの除去効率は40%に達した。
【0066】
実施例3e:3.1重量%という過剰量の酸を用いた硫酸によって1の相比を用いて有機相を洗浄し、次いでデカンテーションを行うことによる、不連続的なテスト
生成された有機相の洗浄を実施例2dに従って実施したが、100gの有機相に、1.17重量%の硫酸を含有している水溶液100gを混合した。混合物を60℃にて15分間攪拌し、この同じ温度にて遅延型のデカンターへ移した。遅延型のデカンターにてこの混合物は半時間、放置され、上清が得られた。その後、2つの相が問題なく分離した。有機相におけるナトリウムの除去が88.12%(処理した相における630ppmのナトリウム)であり、洗浄用の水相のCOD値は22.1%であった。この水相を、アルカリ性パージの酸処理にて生成された水相と合わせた。その結果、全体的な処理におけるCODの除去効率は40.3%に達した。
【0067】
実施例3f:5.6重量%という過剰量の酸を用いた硫酸によって1の相比を用いて有機相を洗浄し、次いでデカンテーションを行うことによる、不連続的なテスト
生成された有機相の洗浄を実施例2dに従って実施したが、100gの有機相に、1.22重量%の硫酸を含有している水溶液100gを混合した。混合物を60℃にて15分間攪拌し、この同じ温度にて遅延型のデカンターへ移した。遅延型のデカンターにてこの混合物は半時間、放置され、上清が得られた。その後、2つの相が問題なく分離した。有機相におけるナトリウムの除去が89.5%(処理した相における600ppmのナトリウム)であり、洗浄用の水相のCOD値は22.1%であった。この水相を、アルカリ性パージの酸処理にて生成された水相と合わせた。その結果、全体的な処理におけるCODの除去効率は40%に達した。
【0068】
実施例4a:1.7の相比および5%の過剰量の硫酸(sulphuric)を用いた有機相の連続的な洗浄およびその後のデカンテーションのテスト
図3に示す洗浄スキームを用いた。方法を以下に記載する。実施例2dに記載の方法に従って生成された有機相(OP)0.5kgと、0.70重量%の硫酸を含んでいる水溶液(HO/HSO)0.85kgとを導入し、60℃にて20分間攪拌し続けた。その後、下側のバルブを開き、同時に、有機相(1.5kg/hの流量)および硫酸の水溶液(2.55kg/hの流量)の連続的な添加を開始した。反応器(R)の次に、混合物をデカンター(D)へ移した。デカンター(D)は側面の排出部と下側の排出部とを有している。この排出部を通って水相(AP)が排出され、下側の排出部を通って処理された有機相(tOP)が排出される。両方の排出部のバルブは制御され、滞留時間が凡そ20分間であった。このようにして、以下の特性を有する2つの相が得られた。すなわち、有機相では、ナトリウムの除去が97%(処理された有機相における160ppmのナトリウム)に達し、水相は17.6%のCOD値を有していた。この水相を、アルカリ性パージの酸処理にて生成された水相と合わせた。その結果、全体的な処理におけるCODの除去効率は38.7%に達した。
【0069】
実施例4b:1.4の相比および5%の過剰量の硫酸(sulphuric)を用いた有機相の連続的な洗浄およびその後のデカンテーションのテスト
実施例4aに記載の方法(ただし、相の間の比を変更した。)を用いた。反応器に導入された相の最初の量は、実施例2dに記載の方法に従って生成された有機相0.5kgおよび硫酸含有量が0.85重量%である水溶液0.7kgであった。バルブを開いた後に、両方のストリームの導入を開始した。このとき、有機相の流量および水相の流量はそれぞれ1.5kg/hおよび2.1kg/hであった。デカンテーションの後に、以下の特性を有する2つの相が得られた。すなわち、有機相では、ナトリウムの除去が91%(処理された有機相における480ppmのナトリウム)に達し、水相は23.1%のCOD値を有していた。この水相を、アルカリ性パージの酸処理にて生成された水相と合わせた。その結果、全体的な処理におけるCODの除去効率は38.2%に達した。
【0070】
実施例4c:1の相比および5%の過剰量の硫酸(sulphuric)を用いた有機相の連続的な洗浄およびその後のデカンテーションのテスト
実施例4aに記載の方法(ただし、相の間の比を変更した。)を用いた。反応器に導入された相の最初の量は、実施例2dに記載の方法に従って生成された有機相0.5kgおよび硫酸含有量が1.20重量%である水溶液0.5kgであった。バルブを開いた後に、両方のストリームの導入を開始した。このとき、有機相の流量および水相の流量はそれぞれ1.5kg/hおよび1.5kg/hであった。デカンテーションの後に、以下の特性を有する2つの相が得られた。すなわち、有機相では、ナトリウムの除去が79%(処理された有機相における1120ppmのナトリウム)に達し、水相は22.5%のCOD値を有していた。この水相を、アルカリ性パージの酸処理にて生成された水相と合わせた。その結果、全体的な処理におけるCODの除去効率は40%に達した。
【0071】
実施例4d:0.7の相比および5%の過剰量の硫酸(sulphuric)を用いた有機相の連続的な洗浄およびその後のデカンテーションのテスト
実施例4aに記載の方法(ただし、相の間の比を変更した。)を用いた。反応器に導入された相の最初の量は、実施例2dに記載の方法に従って生成された有機相0.5kgおよび硫酸含有量が1.7重量%である水溶液0.35kgであった。バルブを開いた後に、両方のストリームの導入を開始した。このとき、有機相の流量および水相の流量はそれぞれ1.5kg/hおよび1kg/hであった。デカンテーションの後に、以下の特性を有する2つの相が得られた。すなわち、有機相では、ナトリウムの除去が74%(処理された有機相における1385ppmのナトリウム)に達し、水相は26.7%のCOD値を有していた。この水相を、アルカリ性パージの酸処理にて生成された水相と合わせた。その結果、全体的な処理におけるCODの除去効率は41%に達した。
【0072】
実施例4e:0.5の相比および5%の過剰量の硫酸(sulphuric)を用いた有機相の連続的な洗浄およびその後のデカンテーションのテスト
実施例4aに記載の方法(ただし、相の間の比を変更した。)を用いた。反応器に導入された相の最初の量は、実施例2dに記載の方法に従って生成された有機相0.5kgおよび硫酸含有量が2.4重量%である水溶液0.25kgであった。バルブを開いた後に、両方のストリームの導入を開始した。このとき、有機相の流量および水相の流量はそれぞれ1.5kg/hおよび0.75kg/hであった。デカンテーションの後に、以下の特性を有する2つの相が得られた。すなわち、有機相では、ナトリウムの除去が65%(処理された有機相における1865ppmのナトリウム)に達し、水相は26.7%のCOD値を有していた。この水相を、アルカリ性パージの酸処理にて生成された水相と合わせた。その結果、全体的な処理におけるCODの除去効率は41.9%に達した。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、硫酸(HSO)を用いたアルカリ性パージの連続的な処理施設(AIP)を表す図である。
【図2A】図2Aは、抽出カラムにて有機相(OP)を連続的に洗浄することを示す図である。HO(c)は熱水であり、TOはサーマルオイル(thermal oil)であり、Sはサンプル採取(sample taking)であり、HO(l)は洗浄水である。
【図2B】図2Bは、2つのさらなる本体(2 E.B.)を示す図である。
【図3】図3は、連続的な洗浄の略図およびその後のデカンテーションを示す図である。tOPは処理された有機相である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化プロピレンとスチレンとを製造するプロセスからの、有機物の含有量の多いアルカリ性の水性ストリームを処理するための方法であって、
該アルカリ性の水性ストリームを無機酸によって4.5未満のpHに酸性化する工程(a)、
工程(a)にて生じた2つの相を40℃よりも高い温度にて分離する工程(b)、
工程(b)にて生成された有機相を、該有機相に存在するナトリウムに対応する化学量論的な量に関連する過剰量の酸を用いた酸性水溶液によって洗浄する工程(c)、および、
工程(c)にて生成された2つの相を分離する工程(d)、
を包含している、方法。
【請求項2】
前記工程(a)の酸性化が硫酸によって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(b)からの相の分離が、50℃よりも高い温度にて実施される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(b)および/または前記工程(d)からの相の分離がデカンテーションによって実施される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記工程(c)からの酸が無機酸である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記無機酸が硫酸である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記工程(c)の有機相と水相との比が1:2〜3:1である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記有機相と水相との比が1:1〜2:1である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記工程(c)からの過剰量の酸が3〜6重量%である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記過剰量の酸が4.5〜5.5重量%である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法によって得られた有機物。
【請求項12】
ナトリウム含有量が1000ppm未満である、請求項11に記載の有機物。
【請求項13】
ナトリウム含有量が500ppm未満である、請求項12に記載の有機物。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか1項に記載の有機物の、燃料としての、使用。
【請求項15】
請求項14に記載の有機物の、エネルギーコジェネレーションボイラーのための、使用。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−520851(P2011−520851A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508954(P2011−508954)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/ES2008/070093
【国際公開番号】WO2009/138530
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(510301493)レプソル イーペーエフェ ソシエダッド アノニマ (1)
【氏名又は名称原語表記】REPSOL YPF,S.A.
【住所又は居所原語表記】Paseo de la Castellana 278,E−28046 Madrid,Spain
【Fターム(参考)】