説明

酸化染毛剤組成物

【課題】染めムラや毛髪損傷の防止に加えて、染毛処理による地肌汚れの防止効果を向上させる酸化染毛剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)成分:特定の化学式で表される第4級アンモニウム塩の1種以上と、(B)成分:ポリエチレングリコールの1種以上とを含有する酸化染毛剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸化染毛剤組成物に関する。更に詳しくは本発明は、特定の第4級アンモニウム塩とポリエチレングリコールとを含有することにより、染めムラや毛髪損傷の防止に加えて、染毛処理による地肌汚れの防止効果を向上させる酸化染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化染毛剤や酸性染毛料等の染毛剤においては染めムラのない均一な染め上がりが要求される。又、酸化染毛剤のようなアルカリ剤を用いる染毛剤においては、毛髪損傷を抑制することが強く要求される。
【特許文献1】特開平04−164018号公報 特許文献1は本願出願人の出願に係る公報であって、請求項1に規定する特定の第4級アンモニウム塩を含有する染毛剤を開示している。この染毛剤は、未熟な人が染毛の処理を行っても染めムラが生じ難く、又、染毛剤がアルカリ性の状態で染毛処理を行なう酸化染毛剤である場合にも、染毛処理によって毛髪が損傷する恐れが少ない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に開示された染毛剤は、染めムラ及び毛髪の損傷が生じ難い優れた染毛剤ではあるが、その後の研究により、更に有用な改善の余地を残すことが分かった。即ち、特許文献1に開示された染毛剤は、染毛処理による地肌汚れの防止の点において、未だ十分ではなかった。
【0004】
そこで本発明は、特許文献1に開示された染毛剤の利点を維持しつつ、更に染毛処理による地肌汚れの防止効果を向上させる酸化染毛剤を提供することを、解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(第1発明)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、以下の(A)成分及び(B)成分を含有する、酸化染毛剤組成物である。
【0006】
(A)下記の「化3」式に示す第4級アンモニウム塩の1種以上。
【0007】
【化3】

(「化3」式においてR、Rはそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示し、RとRが互いに同一でも異なっていても良く、Rは下記の「化4」式に示す基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基であり、Xは塩素イオン又は臭素イオンから選ばれる陰イオンである。
【0008】
【化4】

(「化4」式においてRは炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは3〜60の整数である。)
(B)ポリエチレングリコールの1種以上。
【0009】
(第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る酸化染毛剤組成物の使用時における(A)成分の合計含有量と(B)成分の合計含有量の質量比(B)/(A)が1〜30の範囲内である、酸化染毛剤組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の酸化染毛剤組成物は、(A)成分として「化3」式に示す第4級アンモニウム塩の1種以上を含有するため、染めムラ及び毛髪の損傷をほとんど生じることなく酸化染毛処理を行うことができる。このような効果が得られる理由として、(1)「化3」式に示す第4級アンモニウム塩がカチオン界面活性剤であるため、その親水性の基が、水中で負に帯電し易い毛髪の表面に吸着し、かつ、第4級アンモニウム塩の親油性の基の働きによって染料を引き付けるため染料が毛髪表面に均一に付着し、染毛剤の染めムラを低減できること、また、(2)第4級アンモニウム塩が毛髪の表面に吸着することによって、毛髪表面のキューティクルのアルカリ性の染毛剤による損傷を軽減すること、を指摘できる。
【0011】
更に重要な効果として、本発明の酸化染毛剤組成物は、このような(A)成分と、(B)成分であるポリエチレングリコールとを併せ含有するため、酸化染毛剤による染毛処理における地肌汚れを有効に防止することができる。
【0012】
本発明におけるこれらの効果は、酸化染毛剤組成物の使用時における(A)成分の合計含有量と(B)成分の合計含有量の質量比(B)/(A)が1〜30の範囲内である場合に、特に好ましく発揮される。
【特許文献2】特開2005−053877号公報 なお、上記の特許文献2には「酸化染料、アルカリ剤、界面活性剤及び水を含有し、使用時に酸化剤を含有する酸化剤組成物と混合調製される染毛剤組成物であって、アスコルビン酸類とポリエチレングリコールを含有する染毛剤組成物」を開示し、この界面活性剤としてはカチオン性界面活性剤も包含され、又、発明の効果として「染毛力を維持しつつ地肌汚れを抑制できる」点が指摘されている。しかし、この発明に係る染毛剤組成物は、アスコルビン酸類を2〜10重量%含有することを必要条件とし、しかもカチオン性界面活性剤として本発明の(A)成分を開示しない。更に特許文献2の各実施例と比較例2、3との評価から分かるように、染毛剤組成物が十分量のアスコルビン酸類を含有しない場合には、本発明の(A)成分に該当しないカチオン性界面活性剤とポリエチレングリコールとを含有していても、「地肌汚れ」、「染毛力」が明らかに劣る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態を、その最良の形態を含めて説明する。
【0014】
〔酸化染毛剤組成物〕
本発明に係る酸化染毛剤組成物は、少なくとも、後述する(A)成分及び(B)成分を含有する。酸化染毛剤組成物における(A)成分の合計含有量、(B)成分の合計含有量、及び(A)成分の合計含有量と(B)成分の合計含有量の質量比(B)/(A)は基本的に制約されないが、(B)/(A)は、好ましくは、使用時に1〜30の範囲内、より好ましくは5〜25の範囲内である。
【0015】
本発明において、各成分の含有量や含有比率を「使用時」と限定して表記するときは、使用時に混合調製される複数剤式の酸化染毛剤に関しては、使用時に混合調製した際の含有量や含有比率を意味している。
【0016】
本発明の酸化染毛剤組成物は、通常は使用時に混合調製される2剤式や3剤式等の複数剤式に構成されるが、このような複数剤式に限定されない。複数剤式の酸化染毛剤組成物において、(A)成分、(B)成分やその他の各成分は任意の単一の剤に全量を配合し、又は任意の複数の剤に分散配合することができるが、通常、染料中間体等の染料成分及びアルカリ剤は第1剤に配合され、酸化剤は第2剤に配合される。
【0017】
本発明の酸化染毛剤における各剤の剤型は、公知の各種の剤型の内から、その用途や使用目的等に応じて任意に選択することができる。例えば、液体状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、霧状(噴霧式)、エアゾールフォーム等を例示することができる。
【0018】
〔本発明の酸化染毛剤組成物に特有の必須成分〕
本発明の酸化染毛剤組成物に特有の必須成分は、以下に述べる(A)成分及び(B)成分である。
【0019】
((A)成分)
(A)成分は、前記した「化3」式で表される第4級アンモニウム塩の1種以上である。この第4級アンモニウム塩のうち、特に「化4」式におけるR5がメチル基であるものが好ましい。又、「化4」式におけるnが9〜41であるものが好ましい。即ち、(A)成分としては、Rの基が、オキシプロピレンの9単位〜41単位の重合体であるポリオキシプロピレン基であるもの、例えば、塩化ポリオキシプロピレン(9)メチルジエチルアンモニウム、塩化ポリオキシプロピレン(25)メチルジエチルアンモニウム、塩化ポリオキシプロピレン(40)メチルジエチルアンモニウム等が特に好ましく、それらの市販品としては、Witco
Chemical Company社製のEmcol CC−9,36,42及び旭電化工業(株)製のアデカコールEC−CC−9,36,42等が例示される。
【0020】
酸化染毛剤組成物における1種以上の(A)成分の使用時の合計配合量は限定されないが、例えば0.01〜30質量%の範囲内とすることができ、より好ましくは、0.1〜10質量%の範囲内とすることができる。(A)成分の使用時の合計配合量が0.01質量%未満であると、絶対量の不足から本発明の効果が相対的に不足し易く、30質量%を超えても、効果が飽和する。
【0021】
((B)成分)
(B)成分はポリエチレングリコールの1種以上である。この場合の「1種以上」とは、重合度の異なるポリエチレングリコールの1種以上を意味する。(B)成分であるポリエチレングリコールの重合度は限定されないが、200〜6000程度の平均分子量のものを好ましく例示することができ、より好ましくは平均分子量が300〜4000、特に好ましくは400〜1500のものである。
【0022】
酸化染毛剤組成物におけるポリエチレングリコールの使用時における合計配合量は限定されないが、例えば0.1〜30質量%の範囲内とすることができ、より好ましくは0.5〜20質量%の範囲内とすることができる。
【0023】
〔酸化染毛剤組成物としての一般的な必須成分〕
本発明の酸化染毛剤組成物は、酸化染毛剤組成物としての一般的な必須成分として、酸化染料中間体等の染料成分、アルカリ剤及び酸化剤を含有する。
【0024】
(酸化染料中間体等の染料成分)
酸化染毛剤組成物には酸化染料中間体が配合され、必要に応じて直接染料も配合される。酸化染料中間体は主要中間体からなり、又は主要中間体とカプラーからなる。
【0025】
主要中間体としては、特段に限定はされないが、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類、ジアミノピリジン類及びこれらの塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩類の1種又は2種以上を例示することができる。具体的には、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、N−β−ヒドロキシエチル−N−エチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェニルスルファミン酸、2,5−ジアミノピリジン及びそれらの塩類等を例示することができる。
【0026】
カプラーとしては、レゾルシン、カテコール、ピロガロール、フロログルシン、没食子酸、ハイドロキノン、5−アミノ−o−クレゾール、m−アミノフェノール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、トルエン−3,4−ジアミン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、3,3’−イミノジフェノール、1,5−ジヒドロキシナフタレンおよびタンニン酸等が例示される。
【0027】
主要中間体、あるいは主要中間体およびカプラーの種類及び配合量は、目的とする染毛色の色調や濃淡に応じて適宜に決定すれば良く、特段に限定されない。
【0028】
直接染料としては、酸性染料、塩基性染料、ニトロ染料、天然染料及び分散染料を例示することができる。
【0029】
酸性染料としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号の(1)、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色401号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、かっ色201号、黒色401号等を例示できる。
【0030】
塩基性染料としては、Basic Blue 3、Basic Blue 6、Basic Blue 7、Basic Blue 9、Basic Blue 26、Basic Blue 41、Basic Blue 47、Basic Blue 99、Basic Brown 4、Basic Brown 16、Basic Brown
17、Basic Green 1、Basic Green 4、Basic Orange
1、Basic Orange 2、Basic Orange 31、Basic Red 1、Basic Red 2、Basic Red 22、Basic Red 46、Basic Red 51、Basic Red 76、Basic Red 118、Basic Violet 1、Basic Violet
3、Basic Violet 4、Basic Violet 10、Basic Violet
11:1、Basic Violet 14、Basic Violet 16、Basic Yellow
11、Basic Yellow 28、Basic Yellow 57、Basic Yellow
87等を例示できる。
【0031】
ニトロ染料としては、4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、ピクラミン酸、ピクリン酸、及びそれらの塩、HC Blue No.2、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Orange
No.1、HC Orange No.2、HC Orange No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet
No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、HC Yellow
No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow
No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow
No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow
No.15等を例示できる。
【0032】
天然染料としては、クチナシ色素、ウコン色素、アナトー色素、銅クロロフィリンナトリウム、パプリカ色素、ラック色素等を例示できる。
【0033】
分散染料としては、Disperse Black 9、Disperse Blue 1、Disperse
Blue 3、Disperse Blue 7、Disperse Brown 4、Disperse
Orange 3、Disperse Red 11、Disperse Red 15、Disperse
Red 17、Disperse Violet
1、Disperse Violet
4、Disperse Violet
15等を例示できる。
【0034】
直接染料の種類及び配合量は、目的とする染毛色の色調や濃淡に応じて適宜に決定すれば良く、特段に限定されない。
【0035】
(アルカリ剤)
酸化染毛剤組成物に含有させるアルカリ剤の種類は限定されないが、例えばアンモニア、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、アンモニウム塩、有機アミン類(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等を適宜に選択して使用することができる。
【0036】
酸化染毛剤組成物におけるアルカリ剤の合計含有量は限定されないが、使用時においてpHが7〜12の範囲となるように配合することが好ましい。
【0037】
(酸化剤)
酸化剤としては、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化物等。過酸化物としては、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が例示される。
【0038】
酸化剤の種類及び配合量は、酸化染毛剤組成物の使用目的および技術常識に応じて適宜に決定すれば良く、特段に限定されない。
【0039】
〔酸化染毛剤組成物におけるその他の任意的配合成分〕
本発明の酸化染毛剤組成物には、上記の各種成分の他にも、必要に応じて、ビタミン類、油性成分、多価アルコール、界面活性剤、高分子物質、ポリペプタイド、タンパク加水分解物、アミノ酸、金属封鎖剤、酸化防止剤、香料、殺菌・防腐剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、噴射剤、増粘剤、着色料等を任意に配合できる。これらの配合成分は各種の周知又は公知のものを任意に使用することができる。又、酸化染毛剤組成物の各成分の溶媒又は分散媒として水が配合され、各成分の濃度(質量パーセンテージ)が調整される。これらの配合成分の幾つかについて以下に述べる。
【0040】
(ビタミン類)
酸化染毛剤組成物には、各種のビタミン類の1種又は2種以上を任意の配合量範囲において配合することができる。ビタミン類の種類は限定されず、例えば、アスコルビン酸類、トコフェロール類等の脂溶性又は水溶性のビタミン類を任意に選択して使用できる。
【0041】
(油性成分)
油性成分としては油脂、高級アルコール、アルキルグリセリルエーテル、シリコーン類、脂肪酸等が挙げられる。他にも油性成分として、炭化水素、ロウ及びエステル類も挙げられる。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
【0042】
油脂としては、各種の植物油、動物油、等が挙げられる。
【0043】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0044】
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0045】
シリコーン類としては、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、平均重合度が650〜10000の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。アミノ変性シリコーンとしては、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(トリメチルシリルアモジメチコン)等が挙げられる。
【0046】
脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸等が例示される。
【0047】
(多価アルコール)
多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類等が挙げられる。グリコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール等、グリセリン類としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0048】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、前記した(A)成分以外のカチオン性界面活性剤の他、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0049】
(A)成分以外のカチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミドプロピルエチルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、N,N−ジ(アシロキシ),N−(ヒドロキシエチル),N−メチルアンモニウムメトサルフェート等が例示される。
【0050】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレン(以下、POEという)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩類、N−ラウロイルメチル−β−アラニン塩類等が挙げられる。
【0051】
非イオン性界面活性剤としては、POEアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪族アルカノールアミド類等が挙げられる。
【0052】
両性界面活性剤としては、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0053】
(高分子物質)
高分子物質としては、カチオン性ポリマー、カルボキシビニルポリマー等のアニオン性ポリマー、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリル酸共重合体等の両性ポリマー、あるいは各種の水溶性ポリマーが例示される。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
【0054】
水溶性ポリマーの具体例としては、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、デンプン等の植物性ポリマー、デキストラン、プルラン等の微生物系ポリマー、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物性ポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系ポリマーが例示され、その他にも、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール以外のポリオキシエチレン系ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミドポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等が挙げられる。
【0055】
(ポリペプタイド、タンパク加水分解物、アミノ酸)
ポリペプタイドとしては、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、フィブロイン、エッグ、シルク、コンキオリン、カゼイン、ゼラチン等の蛋白質、コメ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、ダイズ、エンドウ、アーモンド、ブラジルナッツ、ジャガイモ及びトウモロコシなどの植物から得られるタンパク質が挙げられる。タンパク加水分解物としては、上記の各種のタンパク質を酸、アルカリ、酵素等により加水分解したタンパク加水分解物が挙げられる。アミノ酸としては各種の酸性、中性又は塩基性アミノ酸が挙げられる。
【実施例】
【0056】
以下に本発明の実施例を比較例と共に説明する。本発明の技術的範囲はこれらの実施例や比較例によって限定されない。
【0057】
〔酸化染毛剤組成物の調製〕
末尾の表1に示す組成の実施例1〜実施例9、比較例1〜比較例4に係る組成の酸化染毛剤第1剤と、末尾の表2に示す組成の酸化染毛剤第2剤とを、それぞれ常法に従って調製した。表1及び表2において、各成分の含有量は質量%単位の数値で表記している。又、(A)成分及び(B)成分については、表1中の成分名の前にその旨を表記し、更に、(A)成分に対する比較用の成分は、その成分名の前に「(A比)」と表記し、(B)成分に対する比較用の成分は、その成分名の前に「(B比)」と表記した。
【0058】
更に、前記の質量比(B)/(A)を算出できる実施例及び比較例については、表1の「B/A」の欄にその値を表記した。なお、(B)成分に代えて(B比)成分を含有する比較例3については(B比)/(A)の質量比を、(A)成分に代えて(A比)成分を含有する比較例4については(B)/(A比)の質量比を、表1の「B/A」の欄に表記した。
【0059】
〔酸化染毛剤組成物の評価:その1〕
以上の各実施例及び各比較例に係る酸化染毛剤第1剤をそれぞれ、前記の酸化染毛剤第2剤と質量比1:1の割合で混合したもとで、これらの混合物を腕の内側部表皮における直径1cmの円形エリアに塗布し、10分間放置した後、温水で洗い流した。次に、石鹸を使用して1分間指で軽く擦り、温水で洗い流した。
【0060】
(地肌汚れ)
10名のパネラーが、上記処理後の表皮部分について地肌汚れ(表皮への染着の度合い)を目視にて観察し、地肌汚れの改善効果を評価した。評価は、比較例2の場合の地肌汚れをコントロール(比較対象)とし、これに比べて「地肌汚れが非常に少ない」を5点、「地肌汚れが少ない」を4点、「同等」を3点、「地肌汚れがやや多い」を2点、「地肌汚れが多い」を1点とした。そして各実施例及び各比較例ごとに10名のパネラーの点数の平均値を算出し、平均値が4.6点以上であれば最高のランク「5」、平均値が3.6点〜4.5点であればランク「4」、平均値が2.6点〜3.5点であればランク「3」、平均値が1.6点〜2.5点であればランク「2」、平均値が1.5点以下であれば最低のランク「1」とした。表1にこれらのランクを表記した。
【0061】
〔酸化染毛剤組成物の評価:その2〕
以上の評価とは別に、前記の各実施例及び各比較例に係る酸化染毛剤を用いて「酸化染毛剤組成物の評価:その1」の項で述べた染毛処理を行った後の乾燥させた人毛毛束について、「均一でムラのない染め上がり」か否か、及び、「人毛毛束における毛髪の損傷が少なく、しなやかで櫛通りがよい」か否かを評価した。
【0062】
その結果、表1には示さないが、(A)成分を含有する酸化染毛剤組成物は、実施例はもちろん比較例であっても、(A)成分を含有せずあるいは(A比)成分を含有する酸化染毛剤組成物に対して一律に優れた評価結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によって、染めムラや毛髪損傷の防止に加えて、染毛処理による地肌汚れの防止効果を向上させる酸化染毛剤組成物が提供される。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)成分及び(B)成分を含有することを特徴とする酸化染毛剤組成物。
(A)下記の「化1」式に示す第4級アンモニウム塩の1種以上。
【化1】

(「化1」式においてR、Rはそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示し、RとRが互いに同一でも異なっていても良く、Rは下記の「化2」式に示す基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基であり、Xは塩素イオン又は臭素イオンから選ばれる陰イオンである。
【化2】

(「化2」式においてRは炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは3〜60の整数である。)
(B)ポリエチレングリコールの1種以上。
【請求項2】
前記酸化染毛剤組成物の使用時における(A)成分の合計含有量と(B)成分の合計含有量の質量比(B)/(A)が1〜30の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の酸化染毛剤組成物。

【公開番号】特開2010−53103(P2010−53103A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221562(P2008−221562)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】