説明

酸化第2鉄スラッジを鉄原料としてポリ硫酸第2鉄を効率的に製造する方法

【課題】シリカを含有する赤水スラッジ等の酸化第2鉄スラッジを鉄原料としてポリ硫酸第2鉄を製造する際に、酸化第2鉄スラッジ溶解時における粘度上昇の抑制及び酸化第2鉄溶解後の夾雑物濾過時の濾過性を改善したポリ硫酸第2鉄の製造方法の提供。
【解決手段】濃硫酸とシリカ含有酸化第2鉄スラッジの必要量未満の量とを混合して酸化第2鉄を溶解し、溶解後希釈水を混合し、次いで残りの必要量のシリカ含有酸化第2鉄スラッジを更に混合して酸化第2鉄を溶解し、溶解後濾過してポリ硫酸第2鉄を取得すると共に、分離した濾過スラッジを水で洗浄し、洗浄後洗浄スラッジを固液分離し、分離した洗浄水を前記希釈水として利用することを特徴とする。 この方法では、シリカを含有する酸化第2鉄スラッジ中の酸化第2鉄の溶解時間を短縮でき、かつ溶解後の残留物のろ過性を改善することができ、さらに水質汚染の問題が発生することもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤水スラッジ等の酸化第2鉄スラッジを廃棄処分することなく鉄原料とし、硫酸と反応させてポリ硫酸第2鉄を、効率的、すなわち短時間で製造する方法に関する。
より詳しくは、本発明は、シリカを含有する赤水スラッジ等の酸化第2鉄スラッジを鉄原料として、硫酸と反応させ、反応後鉄原料に混在する夾雑物を固液分離するポリ硫酸第2鉄を製造する方法において、鉄原料の溶解・反応、夾雑物の固液分離を効率的、すなわち短時間で行う製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ硫酸第2鉄は、硫酸第1鉄を含有する溶液を亜硝酸ナトリウム等の触媒の存在下で酸素等の酸化剤により酸化することにより製造されるものであり、その硫酸第1鉄含有溶液を形成する鉄原料としては、酸洗廃硫酸から回収した硫酸第1鉄(特許文献1参照)、四三酸化鉄(特許文献2及び3参照)、酸化鉄と金属鉄(特許文献4参照)、硫酸第二鉄溶液と含水三酸化二鉄(特許文献5参照)、酸化鉄(特許文献6参照)、ゲータイト(特許文献7参照)等を利用することが提案されている。
【0003】
[先行技術文献]
【特許文献1】特公昭51−17516号公報
【特許文献2】特公平2−22012号公報
【特許文献3】特公平5−53730号公報
【特許文献4】特公平5−13094号公報
【特許文献5】特開平6−47205号公報
【特許文献6】特開平7−275609号公報
【特許文献7】特開平7−241404号公報
【0004】
このポリ硫酸第2鉄及びその製造方法は、本出願人企業が独自に開発した独創的な技術であり、本出願人企業の指導の下でポリ硫酸第2鉄を多くの企業が製造しており、多くの地方自治体あるいは企業等によって凝集剤として利用され、実用化されている。
このポリ硫酸第2鉄の鉄原料としては、前記したとおり多くの鉄及び鉄化合物の利用が提案されているものの、現状で実用化されているのは、酸化チタン製造時に発生する廃液、硫酸酸洗廃液、酸洗廃硫酸等から回収した硫酸第1鉄であり、他は実用化されていないのが実状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように多くの種類の鉄及び鉄化合物がポリ硫酸第2鉄製造原料として利用されており、赤水スラッジの主要成分が酸化第2鉄であるにもかかわらず、鉄原料として利用されることなく、専ら廃棄処分されているのが赤水スラッジである。
この赤水スラッジは、石炭廃鉱から湧出あるいは揚水した鉄イオンを含有する無色からやや赤色を帯びた水をバクテリア酸化槽等で酸化し、固液分離して水を浄化する際に副生するものであり赤色を呈している。
なお、このような浄化処理が必要なのは、鉄イオンを含有する水をそのまま河川等に放出した場合には水質汚染を引き起こすので、それを回避するためである。
【0006】
本出願人も、過去に石炭を採掘し現在も廃鉱を所有しており、そのため湧出あるいは揚水した赤い色の水に先の処理を行っており、赤水スラッジが副生する問題を抱えている。
そして、本出願人は、ポリ硫酸第2鉄製造技術の開発経緯から、その技術に関し指導的立場にあり、そのようなことから赤水スラッジ等の酸化第2鉄スラッジを廃棄処分することなく鉄原料として利用し、ポリ硫酸第2鉄製造の実用化技術における鉄原料の範囲を拡充すべく、この赤水スラッジと硫酸とを反応させてポリ硫酸第2鉄を製造し、赤水スラッジを活用することを試みた。
【0007】
その際には、まず単純に赤水スラッジと濃硫酸とを混合し、次いで赤水スラッジ中の夾雑物を分離すべく固液分離を行うことにした。
その結果、赤水スラッジを濃硫酸に添加して攪拌しながら溶解しようとすると、粘度が上昇して攪拌し難く、思いもよらず溶解に数時間を要し、更に溶解後夾雑物を分離するために濾過しようとすると濾過性が悪く長時間を要するものとなった。
そこで、本発明者らは、このような問題を解消すべく鋭意検討することとし、まず赤水スラッジについて、前記した粘度が上昇し、濾過性が悪い場合に関し、その原因を解明すべく夾雑物に関し調査したところ、シリカの含有量が極端に高いことが判明した。
【0008】
そこで、本発明者らは、このような場合にも、可能な限り粘度の上昇を抑え、濾過性を改善したポリ硫酸第2鉄の製造技術を開発すべく鋭意努め、その結果、開発に成功したのが本発明である。
したがって、本発明は、シリカを含有する赤水スラッジ等の酸化第2鉄スラッジを鉄原料としてポリ硫酸第2鉄を製造する際に、酸化第2鉄スラッジ溶解時における粘度上昇の抑制及び酸化第2鉄溶解後の夾雑物濾過時の濾過性を改善したポリ硫酸第2鉄の製造技術を開発することを解決すべき課題、すなわち目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が、前記目的を達成するために採用したポリ硫酸第2鉄の製造方法は、濃硫酸とシリカ含有酸化第2鉄スラッジの必要量未満の量とを混合して酸化第2鉄を溶解し、溶解後希釈水を混合し、次いで残りの必要量のシリカ含有酸化第2鉄スラッジを更に混合して酸化第2鉄を溶解し、溶解後濾過してポリ硫酸第2鉄を取得すると共に、分離した濾過スラッジを水で洗浄し、洗浄後洗浄スラッジを固液分離し、分離した洗浄水を前記希釈水として利用することを特徴とするものである。
【0010】
そして、そのポリ硫酸第2鉄の製造方法においては、濃硫酸は分離した洗浄水を混合して希釈したものであること、シリカ含有酸化第2鉄スラッジの混合と、酸化第2鉄の溶解は20℃以下の温度で行うこと、及び濃硫酸とシリカ含有酸化第2鉄スラッジとの混合は、濃硫酸中にシリカ含有酸化第2鉄スラッジを徐々に添加することにより行うものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
石炭廃鉱等から湧出あるいは揚水した鉄酸化物を含有する赤色の水は、そのまま河川等に放出した場合には水質汚染を引き起こすので、それを回避するためにバクテリア酸化槽等で酸化し、固液分離して着色原因物質である鉄酸化物を赤水スラッジとして分離し専ら廃棄処分されており、その結果、処分費用がかさみ、これを管理する企業あるいは自治にとってはこれを解決できる技術の出現が望まれるところである。
本発明は、この専ら廃棄処分されていた、赤水スラッジ、特にシリカを含有する赤水スラッジ等の酸化第2鉄スラッジを鉄原料として利用する路、特に効率的に利用できる路を拓いたものであり、画期的な発明である。
【0012】
本発明は、シリカを含有する赤水スラッジ等の酸化第2鉄スラッジ中の酸化第2鉄の硫酸による溶解は1度で行うことなく2回に分け、第1回目の溶解では硫酸を高濃度で、かつ低温で行い、しかも第2回目の溶解も低温で行うものである。
本発明では、これらのことによりシリカを含有する酸化第2鉄スラッジ中の酸化第2鉄の硫酸による溶解時間を短縮でき、かつ溶解後の残留物のろ過性を改善することができるものである。
また、濾過スラッジの洗浄に使用した後の洗浄水は硫酸の希釈に利用するので酸性水を廃棄することもないので、それによる水質汚染の問題が発生することもない。
以上のとおりであり、本発明は卓越した作用効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図1を用いて詳細に説明するが、本発明は、それによって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって特定されるものであることはいうまでもない。
それに先だって、まずポリ硫酸第2鉄の基本的なことについて言及する。
本発明で製造するポリ硫酸第2鉄は、下記の式(1)で表される液状の物質である。
[Fe2(OH)n(SO4)3-n/2m(但しn<2、m>10である。)・・・式(1)
【0014】
そのポリ硫酸第2鉄は、前記式(1)のとおりのものであるから、このポリ硫酸第2鉄における全硫酸根と全鉄との比率は、モル比で1.5>SO4-2/Fe>1.0の範囲にあることになる。
また、このポリ硫酸第2鉄については、安定した性質が発現できる全鉄濃度の最大値は約11wt%であり、その際の全硫酸根濃度は28.3wt%である。
なお、全鉄濃度が11wt%を超えると安定性が次第に低下するが勿論それを製造することは可能であり、その際には全硫酸根濃度も28.3wt%を超えることになる。
【0015】
さらに、そのポリ硫酸第2鉄の最大の用途である凝集剤の凝集性能は、鉄含有量に依存するものであり、そのため現在市販されているポリ硫酸第2鉄は、鉄含有量が最大値の約11wt%のものである。
前記のとおりであるから、本発明では、市販されているポリ硫酸第2鉄の性能に匹敵するものを製造することを好ましくは意図するものであり、全鉄濃度8〜11wt%、全硫酸根濃度17〜28.5wt%の範囲のものを製造することを好ましくは意図するものである。
【0016】
次に、本発明を実施するための最良の形態等に関し図1を用いて詳細に説明する。
まず、ポリ硫酸第2鉄製造プロセスの概要について、図1に図示するフローシートに沿って説明する。
シリカを含有する赤水スラッジ等の酸化第2鉄スラッジを溶解する濃硫酸は、高濃度の場合には必要に応じ、スラッジ洗浄に使用され、洗浄スラッジから分離された洗浄水により希釈される(以下、「予備希釈」ということもある)。
その後、シリカを含有する赤水スラッジ等の酸化第2鉄スラッジの必要量の一部を徐々に添加し、低温に維持しながら酸化第2鉄を溶解する第1次溶解を行う。
【0017】
その溶解後、酸化第2鉄を溶解した硫酸中に、洗浄水を添加して希釈し、更に残りの必要量の酸化第2鉄スラッジを添加し前記の溶解の場合と同様に低温に維持しながら酸化第2鉄を溶解する第2次溶解を行う。
ついで、不溶解物(夾雑物)を分離するために濾過を行い、生成したポリ硫酸第2鉄を製品として取得する。
その際の濾過は特に限定されることなく各種のものが使用可能であるが、濾過時に圧力をかけることで濾過速度が速くなる点でフィルタープレスが好ましい。
その濾過により分離したシリカ等の不溶解物は工業用水等の水により洗浄され、硫酸等が分離された洗浄スラッジを固液分離し、その際に分離された洗浄水は前記した濃硫酸あるいは第1次溶解後の液の希釈に使用される。
【0018】
本発明においては、濃硫酸は市販の濃度98%のものは勿論使用可能であり望ましいが、酸化第2鉄スラッジ中の水分量にもよるが、通常の含有量(40〜50%)であれば、第1次溶解の前、すなわち酸化第2鉄スラッジ添加前の硫酸濃度が40%以上であれば使用可能であり、廃酸であってもポリ硫酸第2鉄を製造するのに支障がない限り使用可能である。
また、濃硫酸の濃度は50%〜98%がよく、50%以上の場合には酸化第2鉄スラッジ添加前の硫酸濃度が40%以上であればよいから、その際に洗浄水により予備希釈することも可能ではあるものの、その使用量は濃度が低い場合には当然少量となる。
【0019】
本発明におけるもう一方の反応原料であるシリカを含有する酸化第2鉄スラッジについては、硫酸に添加した際に粘度が上昇し撹拌し難いほどの量のシリカを含有する酸化第2鉄スラッジであれば、特に制限されることなく使用可能であるが、その開発動機からして赤水スラッジが好ましい。
その酸化第2鉄スラッジに含有されるシリカの量については、硫酸に添加した際に粘度が上昇し撹拌し難いほどのもの、あるいは溶解後の不溶解物を分離するための濾過時に濾過性を極端に低減させるほどのものであれば利用可能であるが、具体的には1〜15%のものがよい。
なお、15%を超えると、シリカ量が多くなり過ぎ本発明を採用することの意義が薄くなる。
【0020】
その赤水スラッジ等の酸化第2鉄スラッジに含有される鉄酸化物は、酸化第2鉄ということになるが、それのみでなく水酸化第2鉄あるいは水酸化酸化鉄(FeO(OH))等の水酸化物であってもよい。
なお、好ましい酸化第2鉄スラッジが前記したとおり酸化工程を経て得られた赤水スラッジであることからして、酸化して第2鉄化合物にすることが必要なほどの第1鉄化合物を含有しない酸化第2鉄スラッジであれば特に制限されることなく使用可能であるが、具体的には、含有量は40〜70%がよいが、20%以上の含有量であっても使用可能である。
また、前記したとおりであるから、酸化第1鉄の含有量は具体的には1%以下がよい。
【0021】
本発明においては、第1次溶解時における酸化第2鉄スラッジの添加量は、ポリ硫酸第2鉄を製造するのに必要な量の全量ではなく、その一部であることが必要であり、それは必要量の60〜90%がよく、好ましくは70〜80%がよい。
このように本発明においては第1次溶解で酸化第2鉄スラッジを硫酸と全量混合するのではなく、必要量の一部を混合することが酸化第2鉄スラッジの溶解性及びポリ硫酸第2鉄生成後の濾過性を改善できた大きな要因の1つである。
その混合・溶解を行う槽には、それらを円滑に行うために撹拌機を具備するのがよい。
【0022】
その添加前の硫酸濃度は、前記したとおり40〜70%がよく、添加前、添加時、酸化第2鉄溶解時の温度は30℃以下に維持するのがよく、好ましくは20℃以下に維持するのがよく、これも前記改善ができた要因の1つである。
そのためには前記した槽には冷却する装置を具備するのがよく、その溶解に要する時間は、0.5〜2時間がよく、好ましくは0.5〜1時間がよい。
なお、その溶解時には、酸化第2鉄を全量完全に溶解することは必ずしも必要ではなく、一部残存しても第2次溶解で溶解できるので問題ない。
【0023】
第1次溶解後、シリカ含有酸化第2鉄スラッジを添加した硫酸中に洗浄水を添加して希釈する(以下、本希釈という)が、その洗浄水の量は、希釈水が含有する硫酸の濃度も考慮しつつ希釈後の硫酸濃度が24〜29%になるような量を添加するのがよい。
この本希釈後の液に、ポリ硫酸第2鉄を製造するのに必要な量の残りのシリカ含有酸化第2鉄スラッジを添加し、酸化第2鉄を全量溶解する第2次溶解を行う。
その溶解後、不溶解物を分離するために濾過を行い、生成したポリ硫酸第2鉄を製品として取得する。
【0024】
その濾過により分離したシリカ等の不溶解物は工業用水等の水により洗浄され、硫酸等が分離された不溶解物は洗浄スラッジとして固液分離される。
その際に分離された低濃度の硫酸を含む洗浄水は、前記した硫酸あるいは第1次溶解後の液の希釈に使用され、有効活用される。
その結果、分離された洗浄スラッジは、含有する硫酸濃度も低く、その処分は赤水スラッジの場合のような水質汚染問題の発生を危惧することもなく簡便に行うことが可能である。
【実施例1】
【0025】
以下に、図1に記載のポリ硫酸第2鉄製造プロセスを用いて、本発明のポリ硫酸第2鉄を製造する実施例1及び比較例を示すが、本発明はこの実施例等によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によって特定されるものであることはいうまでもない。
【0026】
濃度98%の市販濃硫酸10.98kgと洗浄水9.6kgとを反応槽に供給して、温度20℃に維持しながら濃硫酸を希釈し、希釈した後の硫酸に、シリカを5.18%の濃度で含有する赤水スラッジ11.696kgを添加し、同じく20℃に維持しながら1時間撹拌して、赤水スラッジ中の酸化第2鉄を溶解する第1次溶解を行った。
その第1溶解後、洗浄水9.6kgを更に添加して希釈した後、残りの赤水スラッジ2.924kgを添加し、同様に20℃に維持しながら2時間撹拌して赤水スラッジ中の酸化第2鉄全量を溶解する第2次溶解を行った。
その溶解後、ブフナー漏斗を用いて真空で濾過して不溶解物を分離し、生成したポリ硫酸第2鉄33.8kgを製品として取得した。
【0027】
その生成したポリ硫酸第2鉄は、T−Fe11.01%、T−SO428.4 %であった。
その濾過により分離したシリカ等の不溶解物は工業用水等の水により洗浄され、硫酸等が分離された不溶解物は洗浄スラッジとして固液分離された。
その際に分離された洗浄水は19.2kgであり、前記記載から明らかなとおり全量が濃硫酸の希釈に使用された。
本実施例では、第1次溶解及び第2次溶解とも粘度上昇は少なく、容易に撹拌を行うことができた。
また、ポリ硫酸第2鉄分離時の濾過時間も2.5時間と短く濾過性も良かった。
【0028】
[比較例]
実施例1と同一濃度で、同一量の市販濃硫酸と、同一の赤水スラッジを同一量用いてポリ硫酸第2鉄の製造を行った。
その際には、濃硫酸の希釈には実施例1と同一の洗浄水を同一量で使用した。
すなわち、濃硫酸に洗浄水全量19.2kgを一度に混合して希釈し、この希釈された硫酸にシリカ含有赤水スラッジ全量14.62kgを添加し、酸化第2鉄を溶解するものである。
【0029】
また、その際には濃硫酸と洗浄水との混合以後は特に温度管理を行うことなく放置したところ、赤水スラッジ溶解操作終了時には79℃まで上昇した。
その結果、赤水スラッジの溶解時には、粘度が上昇し、該溶解には実施例に比較し遙かに長い4時間を要し、しかも溶解後のポリ硫酸第2鉄分離のための濾過には25時間を要し、濾過性の非常に悪いものであった。
なお、これについて図1のフローシートを利用して具体的に説明すると、そのフローシートにおいて、「第2次溶解」、及び「第1次溶解」と「第2次溶解」の間にある洗浄水の流れを削除した場合が本比較例に該当することになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のポリ硫酸第2鉄製造方法の好ましい形態のフローを示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃硫酸とシリカ含有酸化第2鉄スラッジの必要量未満の量とを混合して酸化第2鉄を溶解し、溶解後希釈水を混合し、次いで残りの必要量のシリカ含有酸化第2鉄スラッジを更に混合して酸化第2鉄を溶解し、溶解後濾過してポリ硫酸第2鉄を取得すると共に、分離した濾過スラッジを水で洗浄し、洗浄後洗浄スラッジを固液分離し、分離した洗浄水を前記希釈水として利用することを特徴とするポリ硫酸第2鉄の製造方法。
【請求項2】
濃硫酸が分離した洗浄水を混合して希釈したものである請求項1に記載のポリ硫酸第2鉄の製造方法。
【請求項3】
シリカ含有酸化第2鉄スラッジの混合と、酸化第2鉄の溶解を20℃以下の温度で行う請求項1又は2に記載のポリ硫酸第2鉄の製造方法。
【請求項4】
濃硫酸とシリカ含有酸化第2鉄スラッジとの混合は、濃硫酸中にシリカ含有酸化第2鉄スラッジを徐々に添加することにより行うものである請求項1、2又は3に記載のポリ硫酸第2鉄の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−106655(P2007−106655A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301521(P2005−301521)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000227250)日鉄鉱業株式会社 (82)
【Fターム(参考)】