説明

酸化防止容器

【課題】 樹脂製容器、金属容器、ガラス容器で内容物を湿気から保護し、酸化による劣化を防ぐためになされたもの。
【解決手段】 例えば炭粉と樹脂接着剤を混合した炭塗工液を得、これを所定の容器内面に塗布して炭層と容器を一体化して得た酸化、湿気を防止する密閉容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内面に炭層を有する酸化防止密閉容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特願平11−039349に炭含有シートを不織布で包んだものを敷いたり張ったりして食品を長期に保存するものはある。
【0003】
特願平08−198377に炭粉、セラミックス粉末、磁気水及び木酢液の混合物と紙とを一体化した炭等含有紙シート1を不織布3で包んだものであり、殺菌、防黴、湿気・臭気防止・鮮度保持、酸化防止等の多様な作用を有するため、木製、プラスチック製又は紙製の保存容器に貼付けるか、底や棚に配置すると長期保存できるとある。
【0004】
しかし、炭層と容器が一体化した密閉容器に関しての文献は見当たらない。
【参考文献】
【0005】
【参考文献1】
特願平11−039349
【参考文献2】
特願平08−198377
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原料や商品から、水分を取り除き乾燥させると長期保存ができ、流通コストも安い。しかし、腐敗はしなくても、酸化によって劣化して食味や薬効が変化する。
【0007】
樹脂容器は量産の仕組みが整っていて価格が安く、軽量で使い勝手がよいが、一定の酸素や水分を透過するので湿気を吸収し、短期間で酸化して食味が変化し、薬効なども低下する。
【0008】
金属やガラス容器は酸素や水分は透過しないが、やはり長期間保存すると酸化し、価格が高く重いため使い勝手が悪い。
【0009】
また、完全に密閉していても外部に臭いの漏れる商品があり、現状ではこれを防ぐ手立てはない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
木炭粉を樹脂製袋に封入すると、空気がなくなって次第に硬くなって板のようになる。袋を開けると元の木炭粉であり、これを再度袋に封入しても同じく板のように硬くなる。何度繰り返しても同じように、空気がなくなって板のように硬くなる。
【0011】
炭が空気を吸着するのが原因であれば、数回で飽和状態になるはずであり、空気を吸着することだけでは説明が付かないが、原因は解明されていない。樹脂製袋には微量の空気の流通はあるためそれ以上の速度で袋中の空気に変化が起こっているはずである。
【0012】
発明者はこのような現象は、炭が酸素を吸収するだけではなく、空気に何らかの解明困難な作用を及ぼしていて、抗酸化空間を出現させると推測している。
【0013】
炭は紫外線はじめ太陽が放射する電磁波の大半を吸収して熱エネルギーに変換するため劣化しないことは知られている。また、腐敗系の細菌の増殖を抑制する作用がある。
【0014】
本発明は炭が空気を吸着し続ける作用や、太陽が放射する紫外線を含む電磁波の大半を吸収する作用を利用して、酸化を防ぎ、食物などを長期間保存できる低コストの酸化防止密閉容器を得るためになされたものである。
【0015】
請求項1は、容器内部を抗酸化空間にするために、内面に炭層を設けて、炭層と容器が一体化した密閉容器を得ることが特徴であり、例えばエチレン酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤と炭粉を混合して得た炭塗工液を、密閉容器の内面に塗布したものなどや、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ペット樹脂のいずれか、または複数と炭粉を溶融混合して接着したものである。
【0016】
封入した物が汚れないで、光や酸素によって劣化しない抗酸化空間を得ることが特徴である。
【0017】
請求項2は外部に臭いが漏れないようにするために、外面を炭層で覆って、容器と炭層が一体化した密閉容器を得ることが特徴であり、請求項1と同様に炭塗工液や熱可塑性樹脂を用いて外面に炭層を設けたものであり、炭の吸着機能や太陽光の吸収作用を利用して、密閉容器から発する微量の臭いを吸着し、酸化を抑制することが特徴である。
【0018】
例えば、商品を封入した後噴霧して炭層で覆うことができる。
【0019】
炭粉には木炭粉、竹炭粉、活性炭粉を使用して、0.5mm粒状以下が望ましく、容器は樹脂、金属、ガラス、複合紙製のいずれでも良い。
【発明の効果】
【0020】
炭は酸素を含む空気を吸着して抗酸化空間を創造する作用や紫外線などの太陽光線を吸収する作用があり、光や酸素によって内容物の劣化が生じない密閉容器を得ることができる。
【実施例1】
【0021】
樹脂10重量、炭粉3〜10重量、望ましくは樹脂10重量、炭粉10重量を過熱溶融して、樹脂製容器の内側面全部に塗布したものであり、塗布後冷却すれば炭層と容器は強固に接着して一体化する。
【0022】
食品、医薬品、化粧品を封入した後、密閉蓋をする。
【実施例2】
【0023】
樹脂容器の内面一部に、エチレン酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤と炭粉と水を望ましくは4:5:3の重量比で混合して得た炭塗工液を、噴霧して塗布したものであり、塗布後の乾燥に一定の時間を要するが、大きな容器にも容易に塗布できる。
【0024】
食品、医薬品、化粧品を封入した後、密閉蓋をする。
【実施例3】
【0025】
エチレン酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤と炭粉を混合して得た炭塗工液を、密閉容器の外側全面に塗布して容器を覆った。
【産業上の利用可能性】
【0026】
紫外線や酸素の影響を受けないため、食品、医薬品、化粧品原料や商品の保存に適している。
【0027】
樹脂製容器でも実施できるためコストが安く、例えばコーヒーの粉を封入して、飲む時に湯と混合できるような商品もできる
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例2の概略断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1.密閉容器
2.炭層
3.蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に炭層を設けて、容器と炭層が一体化した密閉容器である。
【請求項2】
外面を炭層で覆った、容器と炭層が一体化した密閉容器である。

【図1】
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【公開番号】特開2010−6467(P2010−6467A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192820(P2008−192820)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(598095042)株式会社森林研究所 (24)
【Fターム(参考)】