説明

酸性セルロース繊維及び有機亜鉛塩を含む吸収物品

本発明は、液体透過性トップシート、バックシート、及び前記液体透過性トップシートと前記バックシートとの間に封入された吸収芯を含む、おむつ、パンツ型おむつ、衛生ナプキン、又は失禁用品等の吸収物品に関し、前記吸収芯はpHの値が5.5以下である酸性セルロース繊維と有機亜鉛塩、特にリシノール酸亜鉛とを含む。有機亜鉛塩と酸性フラッフパルプとを組み合わせることによって、アンモニア抑制において相乗的な効果を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効な臭気制御系を含む、おむつ、パンツ型おむつ、衛生ナプキン又は失禁用品等の吸収物品、及びそのような吸収物品内で使用され得る臭気制御セルロース繊維に関する。本発明は、pH5.5以下の酸性フラッフパルプ等の酸性セルロース繊維と、リシノール酸亜鉛等の有機亜鉛塩とが、特に相乗的に、好ましく相互作用してアンモニア等の悪臭を低減するような吸収物品に特に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のタイプの吸収物品の分野における一つの重要な発展領域は、体液が放出された後、特に長時間経過後に典型的に形成される臭気を有する化合物の制御である。これらの化合物は、脂肪酸、アンモニア、アミン、硫黄含有化合物、及びケトン及びアルデヒドを含む。それらは体液の通常の成分として存在するか、又は尿素等通常の成分の分解工程の結果生じ、尿生殖器フローラ(urogenital flora)内に生じる微生物又は細菌によってアンモニアへと分解される。
【0003】
吸収物品内の不快な臭気の形成を抑制するために、様々な方法が存在する。国際公開第97/46188号パンフレット、国際公開第97/46190号パンフレット、国際公開第97/46192号パンフレット、国際公開第97/46193号パンフレット、国際公開第97/46195号パンフレット、及び国際公開第97/46196号パンフレットは、例えば臭気阻害添加剤又はゼオライト及びシリカ等の脱臭剤を組み込むことを教示する。しかしながら、例えば国際公開第98/17239号パンフレットにおいて言及されるように、体液の吸収によって、それが水で飽和されるとすぐに、ゼオライトの臭気阻害能は減少する。
【0004】
第2の方法は、製品中の悪臭形成細菌を阻害する意図での乳酸菌の添加を含む。乳酸菌の組み込み、及びそれらの好ましい効果は、例えばスウェーデン特許第9703669−3号明細書、スウェーデン特許第9502588−8号明細書、国際公開第92/13577号パンフレット、スウェーデン特許第9801951−6号明細書、及びスウェーデン特許第9804390−4号明細書に開示される。
【0005】
さらに、国際公開第98/57677号パンフレット、国際公開第00/35503号パンフレット、及び国際公開第00/35505号パンフレットから、部分的に中和された超吸収材料(酸性超吸収材料)が吸収物品中の不快な臭気の形成を妨げることが開示される。しかしながら、酸性超吸収材料は通常の超吸収材料(以下で超吸収ポリマー、SAPとも呼ばれる)と比較して体液の吸収量が少ない。上述の国際公開第98/57677号パンフレットに記載される吸収物品は、pHが7未満、好ましくは6未満であるフラッフセルロースパルプをさらに含んでよい。
【0006】
さらに、米国特許第6,852,904号明細書は酸性臭気制御剤で処理されたセルロース繊維、及び吸収製品中でのそれらの使用を開示する。
【0007】
しかしながら、様々な既知の臭気制御系は十分な効果を持たないか、又は吸収製品の消費者が受け入れるにはその効果がなくなるのが早すぎる。
【0008】
したがって、吸収物品中の有効な臭気制御系に関して、従来技術における継続的な需要が存在する。
【0009】
他の技術分野から、リシノール酸亜鉛等の不飽和ヒドロキシル化脂肪酸の有機亜鉛塩が活性成分を脱臭することがさらに知られる(例えば、独国特許第1792074A1号明細書、独国特許第2548344A1号明細書、及び独国特許第3808114A1号明細書を参照されたい)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第97/46188号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/46190号パンフレット
【特許文献3】国際公開第97/46192号パンフレット
【特許文献4】国際公開第97/46193号パンフレット
【特許文献5】国際公開第97/46195号パンフレット
【特許文献6】国際公開第97/46196号パンフレット
【特許文献7】国際公開第98/17239号パンフレット
【特許文献8】スウェーデン特許第9703669−3号明細書
【特許文献9】スウェーデン特許第9502588−8号明細書
【特許文献10】国際公開第92/13577号パンフレット
【特許文献11】スウェーデン特許第9801951−6号明細書
【特許文献12】スウェーデン特許第9804390−4号明細書
【特許文献13】国際公開第98/57677号パンフレット
【特許文献14】国際公開第00/35503号パンフレット
【特許文献15】国際公開第00/35505号パンフレット
【特許文献16】米国特許第6,852,904号明細書
【特許文献17】独国特許第1792074A1号明細書
【特許文献18】独国特許第2548344A1号明細書
【特許文献19】独国特許第3808114A1号明細書
【特許文献20】米国特許第5,558,655号明細書
【特許文献21】欧州特許第0640330A1号明細書
【特許文献22】欧州特許第0631768A1号明細書
【特許文献23】国際公開第95/01147号パンフレット
【特許文献24】欧州特許第0878481A1号明細書
【特許文献25】欧州特許第1217978A1号明細書
【特許文献26】米国特許第6,852,904号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Geigy、Scientific Tables、Vol 2、8th ed. 1981 p.53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術と関連して上記議論した欠点を克服することは本発明の一つの技術目的である。
【0013】
有効な臭気制御系を有する吸収物品を提供することは一つのさらなる技術目的である。
【0014】
吸収物品中のアンモニア形成を有意に低減又は排除することは、本発明の一つのさらなる技術目的である。
【0015】
さらなる目的は本発明の以下の記述から明確になるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、おむつ、パンツ型おむつ、パンティライナー、衛生ナプキン、又は失禁用品等の吸収物品に関し、前記吸収物品は液体透過性トップシート、(好ましくは液体不透過性)バックシート、及び前記液体透過性トップシートと前記バックシートとの間に封入された吸収芯を含み、前記吸収芯はpHの値が5.5以下である酸性セルロース繊維、特に酸性フラッフパルプ繊維、及び有機亜鉛塩、特にモノカルボン酸の亜鉛塩、を含む。
【0017】
本発明は、モノカルボン酸の亜鉛塩を含むことで特徴付けられるpH5.5以下の酸性セルロース繊維、及び臭気制御のためのそれらの使用、特に上述の吸収物品内での使用、にも関する。
【0018】
本明細書において、pHの値が5.5以下の酸性セルロース繊維(CF)はしばしば単純に「酸性セルロース繊維(CF)」と呼ばれ、pHの値が5.5以下の酸性フラッフパルプは「酸性フラッフパルプ」と呼ばれる。
【0019】
本発明の発明者は、酸性CF、特にフラッフパルプ、及び有機亜鉛塩、特にリシノール酸亜鉛等の亜鉛のモノカルボン酸塩が、好ましくは尿生殖器領域における通常の細菌フローラを保持すると同時に、アンモニアの抑制において相互作用することを見出し、この発見に基づいて本発明を完成させた。
【0020】
理論に拘束されることは望まないが、本発明の臭気低減の基礎をなすメカニズムは以下のように仮定される。失禁用品等の吸収物品中で悪臭を生成するアンモニアは以下のように形成されると考えられた。
細菌+尿素 −> NH
【0021】
本発明において、酸性CF、特にフラッフパルプ繊維は細菌にとって好ましくない環境を作る機能を有し、同時に有機亜鉛塩、例えばリシノール酸亜鉛、は現に生成されたアンモニアを除去する。
【0022】
本発明の目的は、アンモニア生成細菌等の望ましくない細菌又は微生物の量が使用中に増加しない吸収物品を開発することである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
明細書及びクレーム全体で、「含む」の使用は「本質的になる」及び「からなる」といったより制限的な意味をも含むことを意図する。
【0024】
「吸収物品」としては、我々は、尿、水分の多い便、女性の分泌物、又は経血等の体液を吸収することが可能な物品であると理解する。これらの吸収物品は、おむつ、パンツ型おむつ、パンティライナー、衛生ナプキン、又は失禁用品(例えば大人に対して使用される)を含むが、これらに制限されない。
【0025】
そのような吸収物品は使用中着用者の体に面する液体透過性トップシートを有する。それらは、例えばプラスチックフィルム、プラスチックコート不織布、又は疎水性不織布である(好ましくは液体不透過性)バックシート、及び液体透過性トップシートとバックシートとの間に封入された吸収芯をさらに含む。
【0026】
適切なトップシートは、織布及び不織布材料(例えば繊維の不織ウェブ)、開口されたプラスチックフィルム等のポリマー材料(例えば孔形成熱可塑性プラスチック)、及びハイドロホーム熱可塑性フィルム;多孔発泡体;網状発泡体;網状熱可塑性フィルム;及び熱可塑性スクリム等の幅広い材料から製造されてよい。適切な織布及び不織布材料は天然繊維(例えば、木材又は綿繊維)、合成繊維(例えばポリエステル、ポリプロピレン又はポリエチレン繊維等のポリマー繊維)、又は天然繊維及び合成繊維の組み合わせから構成されることができる。トップシートが不織ウェブを含むとき、ウェブは様々な既知の方法によって製造されてよい。例えば、ウェブはスパンボンデッド、カーデッド(carded)、ウェットレイド(wet−laid)、メルトブロー(melt−blown)、ハイドロエンタングルド(hydroentangled)、これらの組み合わせ等によって形成されてよい。本発明によれば、開口されたプラスチックフィルム(例えば、熱可塑性フィルム)、又は合成繊維に基づく不織布材料(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンホモポリマー又はコポリマー及びそれらに基づくポリマー組成物から作られる)を用いることが好ましい。
【0027】
任意に、少なくとも一つのさらなる層が吸収芯とトップシートとの間に存在し、前記層は疎水性及び親水性ウェブ又は発泡材料から作られてよい。「ウェブ材料」として、我々はペーパティッシュ、織布又は不織布タイプ、の緊密で平坦な繊維ベース構造体と理解する。不織布材料はトップシートに対して上述したものと同じ特徴を有してよい。
【0028】
特に、少なくとも一つのさらなる層は、例えば少なくとも一つの取得/分配層の形態で、流体の管理に寄与してよい。そのような構造は例えば米国特許第5,558,655号明細書、欧州特許第0640330A1号明細書、欧州特許第0631768A1号明細書又は国際公開第95/01147号パンフレットによって教示される。
【0029】
「発泡材料」も同様に従来技術でよく知られており、例えば本発明の出願人の名で欧州特許第0878481A1号明細書、又は欧州特許第1217978A1号明細書に記載される。
【0030】
吸収芯は部分的に、又は全体が芯ラップによって囲まれてよく、酸性セルロース繊維、特にpHが5.5以下の酸性フラッフパルプ繊維を含む。
【0031】
用語「セルロース繊維」は「CF」とも呼ばれ、木材、木質の植物及び特定の非木質の植物からの繊維、及びセルロースベースの回収された、及び再生された繊維に関する。木質植物は例えば落葉樹木(硬木)、及び針葉樹木(軟木)を含む。非木質植物は、例えば綿、亜麻、アフリカハネガヤ、草、トウワタ、藁、黄麻、及びバガスを含む。セルロース繊維は、好ましくは「パルプ繊維」である。
【0032】
用語「パルプ繊維」は、化学パルプ繊維及び機械パルプ繊維を含む。
【0033】
DIN6730によれば、「化学パルプ」は、実質的な機械的後処理なしで化学パルピングによって殆どの非セルロース成分が除去された植物原材料から得られた繊維材料である。亜硫酸塩又は硫酸塩(クラフト)プロセス等の化学パルピング法の場合、主としてリグニン成分及びヘミ−セルロース成分がある程度(化学パルプの用途分野に依存して変わる)まで木材から溶解される。結果として、主としてセルロースからなる繊維材料が得られる。
【0034】
「機械パルプ」は、全体的に又は殆ど全体的に機械的な手段によって、任意に高温において、木材で作られる繊維質材料に関する一般的な用語である。機械パルプは純粋な機械パルプ(砕木パルプ及びリファイナー機械パルプ)ならびに化学的前処理を受けた機械パルプ(ケモサーモメカニカルパルプ(CTMP)等のケモメカニカルパルプ(CMP))にさらに分類される。
【0035】
本発明で使用されてよい開始時のパルプは一次繊維質材料(原パルプ)又は二次繊維質材料に関してよく、それによって二次繊維質材料は再生工程から回収された繊維質原材料として定義される。一次繊維質材料は化学的に溶解されたパルプ、及びサーモリファイナーメカニカルパルプ(TMP)、ケモサーモリファイナーメカニカルパルプ(CTMP)、又は高温ケミサーモメカニカルパルプ(HTCTMP)等の機械パルプの両方に関連してよい。合成セルロース含有繊維が使用されてもよい。それにも関わらず、植物材料、特に木質形成植物からのパルプが使用されることが好ましい。例えば、軟木(通常針葉樹木に由来する)繊維、硬木(通常落葉樹木に由来する)繊維、又は綿リンターからの繊維が使用されてよい。アフリカハネガヤ(アルファ)草、バガス(穀類藁、米藁、竹、麻)、粗毛繊維、亜麻からの繊維、及び他の木質繊維及びセルロース繊維源が原材料として使用されてもよい。対応する繊維源は、柔らかさ、及び吸収能等吸収芯に望まれる性質に従って従来技術において既知の方法で選択される。製品の柔らかさに関して、化学原パルプの使用も同様に好ましく、それによって完全に漂白された、部分的に漂白された、及び漂白されていない繊維を用いることが可能である。本発明による適切な化学原パルプは、とりわけ亜硫酸塩パルプ、クラフトパルプ(硫酸塩プロセス)、ソーダパルプ(水酸化ナトリウムで処理)、有機溶媒により高圧処理されたパルプ(例えば、オルガノソルブ、オルガノセル、アセトソルブ、アルセル)、及び変更されたプロセス(例えば、ASAM、Stora、又はSivolaプロセス)からのパルプを含む。クラフトパルプの中で、連続的処理システム(MCC(修正された連続処理)、EMCC(拡張された修正された連続処理)、及びITC(等温処理))において得られたものを使用することが可能である。不連続なクラフトプロセス(例えば、RDH(ラピッドディスプレースメントヒーティング(rapid displacement heating)、スーパーバッチ及びエネバッチ(Enerbatch))の製品も同様に開始製品として適切である。亜硫酸塩プロセスは、酸性亜硫酸塩/重亜硫酸塩プロセス、重亜硫酸塩プロセス、「中性亜硫酸塩セミケミカルパルピング」(NSSC)プロセス、及びアルカリ水溶液を添加するプロセス等のアルカリ亜硫酸塩プロセス、メタノール等の有機溶媒と組み合わせた亜硫酸塩及び/又はアントラキノンが処理に使用される、例えばいわゆるASAMプロセス(アルカリ亜硫酸塩アントラキノンメタノール)を含む。酸性及び中性又はアルカリ亜硫酸塩プロセスの間の大きな相違は、酸性処理プロセス(カッパナンバーが低い)において脱リグニンの度合いが高いことである。NSSCプロセスは、本発明により酸化の目的で使用される前に、下流の機械的な繊維形成において有利に脱繊維(defiber)されるセミケミカルパルプを提供する。亜硫酸塩及びクラフトパルプは、それらの繊維材料としての性質の観点において大きく異なる。亜硫酸塩パルプの個々の繊維強度は通常クラフトパルプの強度と比較して非常に低い。膨潤した繊維の平均孔幅も同様に亜硫酸塩パルプにおいて大きく、セル壁の密度は硫酸塩パルプと比較して小さく、これは亜硫酸塩パルプにおいてセル壁の体積が大きいことを同時に意味する。この理由で、セルロース繊維材料の水吸収及び膨潤挙動に関する自明の相違が存在し、これは吸収芯のための材料を選択するとき考慮されなくてはならない。
【0036】
本発明の目的において、一般的なセルロース繊維、特に上述のパルプ繊維は「標準CF」、又は「非酸性CF」とも呼ばれる。
【0037】
吸収芯内に使用されるセルロース繊維は、好ましくはフラッフパルプ繊維である。ここで用いられる用語「フラッフパルプ繊維」は紙及び吸収製品を作る従来技術においてよく知られる。それはその毛羽立った状態で特徴付けられる上述のような「標準CF」の変形を指し、標準的な化学パルプ(例えばクラフト又は亜硫酸塩)、機械パルプ(例えば砕木パルプ及びリファイナーメカニカルパルプ)、又はTMP、CTMP、又はHTCTMP等のケモメカニカルパルプ(CMP)を粉砕することによって実現され得る。好ましくは、化学又はケモメカニカルパルプが、任意に漂白された形態で、フラッフパルプの調製のために使用される。フラッフパルプは、主に、好ましくは専ら、吸収製品における使用において必要な柔らかさを与える軟木繊維を含んでよい。フラッフパルプを製造するのに適した木材パルプ繊維は、例えば南部軟木クラフト(Southern Softwood Kraft)及び北部軟木亜硫酸塩(Northern Softwood Sulphite)である。フラッフパルプには、通常のフラッフよりも柔らかいデボンデッドフラッフパルプ(処理されたフラッフパルプとも呼ばれる)等様々な等級がある。フラッフパルプの主な製造者は、米国のWeyerhaeuser Co.及びGeorgia Pacific Corp.、及びフィンランドに基盤を有するStora Enso Oyである。本発明の目的に関して、上述のような一般的なフラッフパルプは「標準フラッフパルプ」又は「非酸性フラッフパルプ」と呼ばれる。以下では、「フラッフパルプ」及び「フラッフCF」は類似の用語として用いられる。
【0038】
標準フラッフパルプを含む標準CFのpH値は、例えば製造方法に依存して、有意に変わる。一般的には、標準(フラッフ)CFは約5.5から6.5、好ましくは約6、のpHを有する。標準(フラッフ)CFとは違って、本発明において使用される酸性(フラッフ)CFは5.5以下のpHを有する。細菌を除去するために、5.5以下のpH値は有利である。酸性(フラッフ)CFのpH値は好ましくは2.0から5.0であり、より好ましくは2.5から4.5であり、さらに好ましくは3.0から4.0であり、最も好ましくは3.2から3.6である。CFのpHは標準試験Tappi T 509−02、特にTappi法T509om−02を用いて測定することができる。
【0039】
酸性(フラッフ)CF繊維は、標準(フラッフ)CF及び/又は超吸収ポリマー材料(SAP)と混合されてもよい。
【0040】
対応する吸収芯において、もしも実用的であれば、各層の、セルロース繊維(すなわち酸性(フラッフ)CF又は酸性及び非酸性(フラッフ)CFの混合物)の全量は、(フラッフ)CFと超吸収材料との全混合物の重量に対して(有機亜鉛塩を含まない)、好ましくは90から30wt%、より好ましくは80から35wt%、特に70から40wt%、例えば70から50wt%である。用語「(フラッフ)CF」は、「非フラッフパルプ等の非フラッフセルロース繊維及び/又はフラッフセルロース繊維、すなわちフラッフパルプ」の短縮形で使用される。
【0041】
混合物の中で使用される場合、酸性(フラッフ)CFと非酸性(フラッフ)CFの重量比は特に制限されない(例えば、5/95から95/5、10/90から90/10、20/80から80/20)。したがって、酸性(フラッフ)CF/非酸性(フラッフ)CFの重量比100/0から50/50(例えば、95/5から60/40、90/10から70/30)は、好ましくは実現される性能に依存して選択されることができる。
【0042】
上述のように、吸収芯は超吸収材料をさらに含んでよく、前記超吸収材料は酸性又は非酸性であってよい。一つの実施形態によれば、吸収芯はpH値が5.5以下の酸性超吸収体を含み(EDANA WSP 200.2により測定された)、第2の代替的な実施形態によれば、吸収芯はそのような材料を含まない。
【0043】
超吸収材料の全量は、芯の重量(有機亜鉛塩を除く)に対して10から70重量%であってよい。
【0044】
用語「超吸収材料」は従来技術においてよく知られており、水に対して膨潤し、水に非可溶であり、体液内で自身の重量の数倍を吸収することができる材料を表す。好ましくは、超吸収材料は、0.9重量%の塩化ナトリウムを含む水溶液中で自身の重量の少なくとも約10倍、好ましくは自身の重量の少なくとも約15倍、特に自身の重量の少なくとも約20倍吸収することができる(超吸収表面が吸収される液体に自由に接する、通常の測定条件の下)。超吸収材料の吸収容量の測定のため、標準試験EDANA WSP241.2が使用されてよい。
【0045】
酸性及び非酸性超吸収材料は、それらのpH値によって区別されてよい。非酸性SAP(標準SAPとも呼ばれる)が例えば5.8以上の範囲のpHを有すると同時に、酸性SAPは5.5以下のpHを有する。その結果、非酸性SAPは本発明による酸性(フラッフ)CFを含む吸収芯内のpHを増加する場合がある。したがって、本発明による酸性(フラッフ)CFが非酸性SAPと共に使用される場合、使用される酸性(フラッフ)CFのpHは好ましくは十分低く、湿潤後吸収芯のpHが5.5以下、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0から5.0を実現する。吸収芯のpHは例において記述される試験法Aによって測定される。吸収芯の上述のpHを実現するための酸性(フラッフ)CFのpHが吸収芯中の酸性フラッフパルプ及び非酸性SAPの相対的な量に依存する一方で、この場合酸性(フラッフ)CFは好ましくは2.5から4.5、より好ましくは3.0から4.0、最も好ましくは3.2から3.6のpH値を有する。
【0046】
上述の材料、すなわち酸性(フラッフ)CF及び任意に非酸性(フラッフ)CF及び超吸収材料、に加えて、吸収芯は、混合物中に、他の吸収材料を含んでよい。一般的に、圧縮でき、コンフォーマブルであり、着用者の皮膚を刺激せず、尿及び他の体からの滲出物等の液体を吸収及び保持することができる任意の他の吸収材料を使用することができる。吸収芯内に組み込まれる他の吸収材料の例としては、使い捨ておむつ及びクレープセルロースウォッディング等の他の吸収物品において通常使用される幅広い液体吸収材料;コポリマーの形態(co−form)を含む溶融ブローポリマー;化学的に硬化された、修飾された、又は架橋されたセルロース繊維;ティッシュラップ及びティッシュラミネートを含むティッシュ、吸収発泡体、吸収スポンジ、吸収ゲル材料、又は任意の他の既知の吸収材料、又は材料の組み合わせが含まれる。
【0047】
上述のように、本発明の吸収物品中の吸収芯は、酸性フラッフパルプ繊維等の酸性CF以外の繊維を含んでもよい。これらの他の繊維は、親水性繊維の場合にそうであるように、好ましくは同様に体液を吸収することができる。最も好ましくは、繊維は、標準フラッフパルプ、綿、綿リンター、レーヨン、酢酸セルロース等他のセルロース繊維である。標準フラッフパルプは、上述の機械又は化学タイプのものであってよく、化学パルプが好ましい。
【0048】
本発明における使用に関して酸性(フラッフ)セルロース繊維の製造法に関して特に制限はない。好ましい実施形態によると、酸性(フラッフ)CFは標準CFを酸性化剤で処理することによって得られる。もしも酸性化剤が使用される場合、同じものは有機亜鉛塩とは構造的に異なる。
【0049】
処理される標準フラッフパルプを破壊又は分解しない限り、本発明において使用される酸性化剤は特に種類を限定されない。一つの例は、SO−水である。好ましくは、酸性化剤は適切な酸、例えば弱酸又はそれらの塩である。ハロゲンを含まない非酸化酸の使用が好ましい。適切な酸は、標準(フラッフ)CFに組み込まれたとき、皮膚に対して有害又は刺激性である任意の物質を放出しないものである。吸収物品と接触する領域の皮膚が、幼児及び大人において同様に、非常に敏感であることには留意されたい。したがって、酸性化剤として使用される酸は、食品及び/又は化粧品における使用が承認された又は認められたものであることが好ましい。
【0050】
好ましくは、酸性化剤は任意にヒドロキシ−置換モノ及びポリカルボン酸、それらの塩、及びそれらの混合物から選択される。モノ又はポリカルボン酸は脂肪族又は芳香族であってよい。塩は、好ましくはアルカリ金属(例えば、K又はNa)塩、又はアルカリ土類金属(例えば、Ca又はMg)塩である。塩の形態で使用される場合、酸性化剤、好ましくは任意のヒドロキシ−置換モノ及びポリカルボン酸は、部分的にのみ中和され、水中で酸性溶液を与える。
【0051】
任意のヒドロキシ置換モノカルボン酸は、1から18個、より好ましくは2から8個、特に2から4個の炭素原子を有する、好ましくは飽和又は不飽和、線形又は分岐脂肪酸カルボン酸から選択されることが好ましい。酸は一つ、二つ又はそれ以上のヒドロキシ基で置換されてよい。このモノカルボン酸の例は、蟻酸、酢酸、又はプロピオン酸、又は乳酸を含む。
【0052】
任意のヒドロキシ置換ポリカルボン酸(例えば二酸又は三酸)は、一つ、二つ又はそれ以上のヒドロキシ基で置換されてよい。有機(ポリ)酸は、好ましくは2から18個、より好ましくは3から8個、例えば4から6個の炭素原子を有する、不飽和(例えばモノ又はジ不飽和)又は飽和、線形又は分岐脂肪酸カルボン酸であってよい。これらの例は、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、又はソルビン酸を含む。
【0053】
任意のヒドロキシ置換ポリ酸、それらの塩及びそれらの混合物の使用が好ましい。これらのポリ酸は、好ましくは部分的に中和された状態で用いられ、バッファとして働くことができる。中和の程度は、好ましくはカルボキシ基の15から95%、より好ましくは30から90%、例えば50から80%の範囲である。そのような部分的に中和されたポリカルボン酸はポリ酸と対応する塩とを必要なモル比で混合することによっても提供され得る。
【0054】
一般的には、上記モノ及びポリ酸弱酸の中から、特に25℃において水中で測定されたpK値が少なくとも1.5、より好ましくは少なくとも2、さらに好ましくは少なくとも3、例えば4から5(ポリ酸の場合pk1)であるものから選択されることが好ましい。
【0055】
より好ましくは、酸性化剤は、クエン酸、シュウ酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、ソルビン酸、蟻酸、それらの塩、及びそれらの混合物、の水溶液の中から選択される。本発明において使用される最も好ましい酸性化剤は、クエン酸及びその塩である。
【0056】
酸性CF、特に酸性フラッフCFは標準(フラッフ)CFを酸性化剤の溶液で処理することによって得ることができる。同じものが0.5から10重量%の濃度で好ましくは使用され、好ましくは約2から6のpH、特に3から5のpHを与える。望ましくは、酸性化剤の濃度は、乾燥CFに対する酸性化剤の重量比が約1から20%、特に3から10%であるように選択される。処理に使用される溶液は、(フラッフ)CFの乾燥を容易にするために揮発性有機溶媒が使用されてもよいが、好ましくは水溶液である。
【0057】
標準(フラッフ)CFの酸性化剤溶液での処理は、標準(フラッフ)CFと酸性化剤の溶液とを(例えば、スラリーを調製することによって、浸漬によって、又は噴霧によって)混合し、その後混合物を混合及び/又は乾燥する好ましい段階、その後おそらく凝集されている繊維をばらばらにする、任意の繊維分解段階によって、実現される。前記乾燥は、処理された繊維を雰囲気中に配置して、又は好ましくは例えば50から95℃に加熱することによって実現されてよい。適切な加熱条件も米国特許第6,852,904号明細書(カラム5、30から53行目)に開示される。吸収物品の製造者による標準フラッフパルプの処理の追加の段階を不要にするので、処理はパルプ製造者によって行なわれることがこのましい。
【0058】
適切な酸性(フラッフ)セルロース繊維に関しては、米国特許第6,852,904B2号明細書を参照することができる。
【0059】
非常に少量の有機亜鉛塩は非常に有効な臭気制御において酸性(フラッフ)CFと共同で働く。有機亜鉛塩の好ましい重量下限(亜鉛として計算)は、乾燥(フラッフ)CF1gあたり少なくとも10−5gであると思われる。ここで、酸性(フラッフ)CFに関連して用いられる用語「乾燥」は、酸性SAPに対して水が加えられておらず、酸性(フラッフ)CF内に存在する水が製造上不可避な残留水であるようなものと理解される。本発明の目的に関して、酸性(フラッフ)CF又は吸収芯は、それらの円形試験サンプル(厚さ5から6mm、直径5cm、約8−10cm/gの塊に圧縮されている)が少なくとも一週間雰囲気温度(例えば20℃)及び相対湿度例えば50%RHで保持された後、好ましくは「乾燥」とみなされる。
【0060】
より好ましくは、有機亜鉛塩は酸性(フラッフ)CF1gあたり少なくとも5×10−5g、より好ましくは少なくとも10−4g、さらに好ましくは少なくとも5×10−4g、よりさらに好ましくは少なくとも10−3gの量で存在する。経済的理由にも関わらず、特定の上限は存在しないが、例えば酸性(フラッフ)CF1gあたり亜鉛0.1又は1gを超えるとき亜鉛含量をさらに増加することはもはや有効ではない点に達する可能性がある(臭気抑制の強化が同時に起こらない場合)。
【0061】
吸収芯内の有機亜鉛塩の量も特に制限されない。しかしながら、量は、乾燥吸収芯1gあたり好ましくは少なくとも1×10−5g、より好ましくは少なくとも1×10−4g、最も好ましくは少なくとも5×10−4gである。
【0062】
使用される有機亜鉛塩に関しても特定の制限は存在しない。本発明の一つの実施形態によれば、好ましくは2から30個、特に12から24個の炭素原子を有する、少なくとも一つの有機カルボン酸、特にモノカルボン酸、の亜鉛塩が使用される。カルボン酸基は脂肪族、脂肪族−芳香族、芳香族−脂肪族、脂環式、又は芳香族残渣に結合されてよく、脂肪族鎖又は脂環は不飽和であってよく、任意に、例えばヒドロキシ又はC1−C4アルキルで置換されてよい。これらの塩は、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、及びアビエチン酸塩を含む。より好ましくは、亜鉛塩は8から18個の炭素原子を有する不飽和ヒドロキシル化脂肪酸の亜鉛塩である。不飽和二重結合又はヒドロキシ基の数に関して特に制限はないが、一つ又は二つの不飽和二重結合及び一つ又は二つのヒドロキシ基を有する脂肪酸が好ましいと思われる。最も好ましい実施形態は、リシノール酸亜鉛である。本発明の一つの実施形態によると、有機亜鉛塩は、Degussaから入手可能なTEGO(登録商標)でそうであるように、アミノ酸によって活性化される。
【0063】
本発明で使用される有機亜鉛塩は、化学的にアミンに基づく悪臭性の物質、例えばタバコの煙の中のニコチン、硫化化合物、例えばにんにく及び玉ねぎ中のアリシン、及び酸、例えば人の汗中のイソ吉草酸、及びブチル酸を除去することが可能である。例えばTEGO(登録商標)Sorbとの商品名でDegussaによって販売されるリシノール酸亜鉛は、例えばアンモニアを除去することとは別に、記載される追加の臭気を除去する効果を有する。
【0064】
本発明は、吸収芯内部に有機亜鉛塩を組み込む技術に関してどのような制限も受けない。浸漬及び噴霧が好ましい。
【0065】
例えば、吸収芯内に存在する繊維[酸性(フラッフ)CF、任意に非酸性(フラッフ)CFとの混合物中である]を、SAP等他の吸収材料との混合の前、混合の間、又は混合の後、及び前記吸収材料からの吸収芯の形成の前、形成の間、又は形成後、有機亜鉛塩の溶液で処理することが考えられる。
・一つの好ましい実施形態によれば、酸性(フラッフ)セルロース繊維は、任意に非酸性(フラッフ)CFと混合して、すなわち他の吸収材料のない状態で、有機亜鉛塩の溶液で処理される。
・代わりに、標準(フラッフ)CFは同時に(例えば、噴霧によって、スラリーを調製することによって、又は浸漬によって)酸性化剤及び有機亜鉛塩で処理される。それから、上述のように、好ましくは酸性化剤を含む水溶液は第2成分として有機亜鉛塩、特にリシノール酸亜鉛等のモノカルボン酸の亜鉛塩、を含む。亜鉛塩は、好ましくは上述の乾燥酸性CFあたりのZn含量になる量で含まれる。他の処理条件に関しては、酸性(フラッフ)CFの製造に関する上記記述を参照することができる。
【0066】
双方の技術は、吸収物品の製造者へのシートの輸送の前に製造者によって調製されるとき、(フラッフ)CF繊維(例えばスラリーを調製することによって、噴霧によって、又は前記溶液内部に繊維を浸漬することによって)及び(フラッフ)CFシート(例えば浸漬又は噴霧によって)で同等に実行され得る。吸収物品を製造するとき有機亜鉛塩溶液を噴霧する過剰な段階を回避するので、これらの二つの技術は特に好ましい。SAP等任意に存在する他の吸収材料は、その後吸収芯の形成の間、又は形成後加えられる。
【0067】
好ましくは、セルロース繊維及び/又はSAPは酸性化剤及び有機亜鉛塩の溶液を添加することによって前処理され、その後これらは芯形成の間吸収芯の内部に組み込まれる。
【0068】
上記噴霧の技術によれば、有機亜鉛塩、特にリシノール酸亜鉛、を含む溶液は吸収芯の一面又は両面、又は吸収芯を構成する個々の層の両面の一方に噴霧されてよい。
【0069】
有機亜鉛塩の溶液に関して使用される溶媒は水であってよく、好ましくはエタノール又は水とエタノール等の親水性有機溶媒との混合物等の揮発性有機溶媒である。好ましくは、有機亜鉛溶媒は相対的に高濃度、好ましくは1から30重量%、の溶液で存在する。そのような濃縮された溶液の使用は、超吸収材料の吸収容量が必要以上に与えられないことを確実にする。Degussaから入手可能なTEGO(登録商標)Sorb A30のような有機亜鉛塩の商業的に入手可能な溶液(活性部の含量は30重量%、アミノ酸によって活性化されるリシノール酸亜鉛)が使用されてよい。
【0070】
バックシートは典型的には、吸収層によって吸収され、物品内部に含まれる浸出物が、吸収物品と接触するであろう、ベッドシート及び下着等他の外部の物品を汚すことを防ぐ。好ましい実施形態において、バックシートは実質的に液体(例えば、尿)に対して不浸透性であり、不織布と厚みが約0.012mmから約0.051mmの熱可塑性フィルム等のプラスチック薄膜との積層体を含む。適切なバックシートフィルムは、Terre HauteのTredegar Industries Inc.により製造され、X15306、X10962、及びX10964という商品名で販売されるものを含む。他の適切なバックシート材料は、バックシートを通過する滲出物を防ぐと同時に吸収物品から蒸気を逃がすことを可能にする通気性の材料を含んでよい。例示的な通気性材料は、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコートされた不織布等の複合材料、及びミクロ多孔フィルム等の材料を含む。通気性と液体不浸透性との間のトレードオフが常に存在するため、特定の、相対的に低い液体透過性と、非常に高い通気性の値とを示すバックシートを提供することが望まれ得る。
【0071】
吸収物品の上述の要素は、任意に従来技術で知られるような方法で吸収物品の他の典型的な要素と共に組み合わされることができる。
【0072】
本発明は5.5以下のpHを有する酸性セルロース繊維にも関し、モノカルボン酸の亜鉛塩を含むことを特徴とする。この有機亜鉛塩において、モノカルボン酸は好ましくは上述の特徴を有する。最も好ましくは、亜鉛塩はリシノール酸亜鉛である。
【0073】
同様にセルロース繊維の上記記載、特にフラッフパルプ繊維及び酸性化に関する技術は、クレームに記載の酸性セルロース繊維に完全に適用可能である。一つの実施形態によると、それらはセルロース繊維を酸性化剤(上述の)及びモノカルボン酸の亜鉛塩で処理することによって得ることができる。他の実施形態によれば、酸性化剤は未処理の繊維の乾燥重量に対して1から20重量%の量で存在する。
【0074】
本発明は、臭気制御に関してそのような酸性セルロース繊維の使用にも拡張され、好ましくは細菌性の制御が問題である領域において、クレームに記載されたもの、ならびにワイプ、例えば女性の衛生用ワイプ、子供用ワイプ、医療用ワイプ、及び例えばトイレ等バスルーム設備の清掃用ワイプ、包帯、アンダーパッド、吸収ドレープ、アンダーパンツ等の吸収物品を含む。
【0075】
以下の実施例及び比較例は本発明を説明するものである。
【0076】
実施例
試験方法
A)吸収芯のpH
吸収芯のpHは、試験吸収芯の調製及びそれを用いるpH測定を含む以下の方法で非常に正確に測定され得る。
【0077】
方法1:試験のための吸収芯の調製
吸収芯はパイロットプラントにおいて製造された吸収芯から打ち抜かれた。芯を形成するマットの標準的方法が、パイロットプラントでの芯の製造において使用された。吸収芯は酸性(フラッフ)パルプと任意に超吸収材料との均一な混合物からなるものであった。吸収芯は約8−10cm/gの塊にまで圧縮された。抜き出された芯のサイズは直径5cmであり、その重さは約1.2gであった。
【0078】
方法2:吸収芯のpHの測定
約50mmの直径を有する吸収芯は方法1に従って調製された。所定の量の試験液体1が加えられ、全てのサンプルに対して16mlであり、その後吸収芯は30分間膨張させられた。その後、液体が絞り出されたサンプルで、表面電極(フラットボトム、タイプSingle Pore Flat、Hamilton)を用いてpHが測定された。三つの試験結果は測定に関して平均化された。
【0079】
試験液体1(方法2において参照される):
以下の物質を含む合成尿:KCl、NaCl、MgSO、KHPO、NaHPO、NHCONH。この組成物のpHは6.0±0.5である。
【0080】
使用される試験液体は、各芯吸収体に対して16mlの合成尿(上述のもの)である。
【0081】
例1
約1.16gの重量を有する直径5cmの円形の試験吸収芯は、パイロットプラントにおいて製造された吸収芯から打ち抜かれた。芯を形成するマットの標準的方法が、パイロットプラントでの芯の製造において使用された。吸収芯は酸性フラッフパルプと超吸収材料との均一な混合物からなるものであった。使用されたフラッフパルプは0.69gのWeyerhaeuser酸性フラッフパルプであり、超吸収材料は0.47gの超吸収剤(SXM 9155、Degussa)であった。酸性フラッフパルプは材料名TR118でWeyerhaeuserから商業的に入手可能であり、100%米国南部松材に基づいて、添加剤として4%クエン酸及び1%クエン酸塩でECFクラフトパルプを処理することによって製造される。pHは3.4±0.2である。酸性フラッフパルプのpHは標準Tappi T 509−02に従って測定された。より詳細には、上記pH値は、Tappi法 T 509 om−02に基づく5分パルプシートpHである。吸収芯は約8−10cm/gの塊にまで圧縮された。
【0082】
吸収芯に対してリシノール酸亜鉛(商品名TEGO(登録商標)Sorb A30でDegussaから入手可能、適切には希釈されたもの)の0.5重量%溶液1.3mlが、表面(一つの面上)上部に溶液を滴下することによって、又は芯の一面を溶液内部に浸漬することによって、添加された。処理された吸収体は一週間周囲空気中に配置された。これによって乾燥吸収芯1gあたり5.55×10−4gのZn濃度が得られた。その後、以下に記載される方法3に従って吸収体に16mlの合成尿を吸収させ、室温で置いた。
【0083】
合成尿を吸収した6時間後及び8時間後、生成されたアンモニアの量が測定された。
【0084】
5回の測定結果は平均値として平均化された。結果は表1に示される。
【0085】
方法3:吸収芯内のアンモニア抑制の測定
吸収芯は方法1に従って調製された。試験液体2が調製された。Proteus mirabilisの細菌懸濁液が30℃の培養液の中で終夜培養された。グラフト培養物は希釈され、細菌の総数が測定された。最終的な培養物は試験液体1mlあたり10の生物体を含んでいた。吸収芯はプラスチック容器中に配置され、試験液体2は吸収芯に添加され、その後容器は各々35℃で6及び8時間培養され、その後サンプルはハンドポンプ及びいわゆるドラガーチューブを用いて容器から取得された。アンモニア含量はppm又は体積%で段階スケールの色変化として得られた。
【0086】
試験液体2:
無菌の合成尿に微生物のための成長媒体が添加された。合成尿は1価及び2価のカチオン及びアニオン及び尿素を含み、Geigy、Scientific Tables、Vol 2、8th ed. 1981 p.53の情報に従って調製された。微生物のための成長媒体はエンテロバクテリアに関するHook−及びFSA−媒体の情報に基づく。この混合物のpHは6.6である。
【0087】
比較例 1
吸収芯は、リシノール酸亜鉛溶液での処理が行われなかった点を除いては、例1と同じ方法で形成された。
【0088】
比較例 2
吸収体は例1と同様の方法で形成されたが、リシノール酸亜鉛の6重量%溶液が使用され、酸性フラッフパルプが標準フラッフパルプ(WeyerhaeuserのNB416)で置き換えられた点で異なっていた。この手順により乾燥吸収芯1gあたり6.66×10−3gのZn量が得られた。
【0089】
例1及び比較例1及び2のアンモニア形成の観点からの結果が、下記表1に示される。
【0090】
【表1】

【0091】
上記実験は酸性フラッフパルプとリシノール酸亜鉛等の有機亜鉛塩とを組み合わせて使用することにより、アンモニアの形成が非常に驚くべき程度まで抑制されることを示す。人が150ppmの濃度においてアンモニア臭をかすかに検知することができるという事実を考えると、本発明は吸収物品の使用中アンモニアの臭気が着用者によって知覚されないであろうことを確実にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体透過性トップシート、バックシート、及び前記液体透過性トップシートと前記バックシートとの間に封入された吸収芯を含む、おむつ、パンツ型おむつ、衛生ナプキン、又は失禁用品等の吸収物品であり、前記吸収芯はpHの値が5.5以下である酸性セルロース繊維と有機亜鉛塩とを含む、吸収物品。
【請求項2】
前記セルロース繊維がフラッフパルプ繊維である、請求項1に記載の吸収物品。
【請求項3】
前記吸収芯に含まれる酸性セルロース繊維がセルロース繊維を酸性化剤で酸性化することによって得られる、請求項1又は2に記載の吸収物品。
【請求項4】
前記酸性化剤が少なくとも1.5のpK値(25℃の水中で測定)を有する有機酸である、請求項3に記載の吸収物品。
【請求項5】
前記酸性化剤が、クエン酸、シュウ酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、ソルビン酸、蟻酸、それらの塩、及びそれらの混合物、の水溶液の中から選択される、請求項3又は4に記載の吸収物品。
【請求項6】
前記酸性フラッフパルプが5.0以下のpH値を有する、請求項1から5の何れか一項に記載の吸収物品。
【請求項7】
前記酸性フラッフパルプが2.0から5.0のpH値、好ましくは3.0から4.0のpH値を有する、請求項1から6の何れか一項に記載の吸収物品。
【請求項8】
有機亜鉛塩の量が乾燥酸性セルロース繊維1gあたり少なくとも10−5gのZnである、請求項1から7の何れか一項に記載の吸収物品。
【請求項9】
吸収物品に含まれる吸収芯又は酸性セルロース繊維を有機亜鉛塩の溶液で処理することによって得られる、請求項1から8の何れか一項に記載の吸収物品。
【請求項10】
前記有機亜鉛塩が2から30個の炭素原子を有するカルボン酸の亜鉛塩から選択される、請求項1から9の何れか一項に記載の吸収物品。
【請求項11】
前記カルボン酸が8から18個の炭素原子を有する不飽和ヒドロキシル化脂肪酸である、請求項10に記載の吸収物品。
【請求項12】
前記亜鉛塩がリシノール酸亜鉛である、請求項10に記載の吸収物品。
【請求項13】
前記バックシートが液体不透過性である、請求項1から12の何れか一項に記載の吸収物品。
【請求項14】
モノカルボン酸の亜鉛塩を含むことを特徴とする、5.5以下のpH値を有する酸性セルロース繊維。
【請求項15】
前記モノカルボン酸が8から18個の炭素原子を有する不飽和ヒドロキシル化脂肪酸である、請求項14に記載の酸性セルロース繊維。
【請求項16】
前記有機亜鉛塩がリシノール酸亜鉛である、請求項14又は15に記載の酸性セルロース繊維。
【請求項17】
セルロース繊維を酸性化剤及びモノカルボン酸の亜鉛塩で処理することによって得られる、請求項14から16の何れか一項に記載の酸性セルロース繊維。
【請求項18】
前記酸性化剤が少なくとも1.5のpK値(水、25℃)を有する有機酸の中から選択される、請求項14から17の何れか一項に記載の酸性セルロース繊維。
【請求項19】
前記酸性化剤が、未処理の繊維の乾燥重量に対して1から20重量%の量で存在する、請求項18に記載の酸性セルロース繊維。
【請求項20】
前記セルロース繊維がフラッフパルプ繊維である、請求項14から19の何れか一項に記載の酸性セルロース繊維。
【請求項21】
臭気制御のための請求項14から20の何れか一項に記載の酸性セルロース繊維の使用。
【請求項22】
吸収物品中の臭気制御のための請求項21に記載の使用。

【公表番号】特表2010−509953(P2010−509953A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536609(P2009−536609)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011066
【国際公開番号】WO2008/058563
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(506215320)エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー (157)
【Fターム(参考)】