説明

酸水素ガスの生産および利用による廃棄物流からの汚染物質の除去

廃棄物流を廃棄物処理システムにおいて処理するための方法およびシステムは、廃棄物流を、水解離技術を履行する酸水素ガス発生機によりその場で生成される酸水素豊富ガスと接触させることによって、廃棄物処理システムのユニットプロセスを実行することに関与する。酸水素ガス発生機は、廃棄物流の水成分から酸水素富化ガスを生成させるために、廃棄物流において浸漬される一連の近接された電極に対してパルス電気信号を与えることに関係する。廃棄物流における酸水素ガス発生機の操作は、とりわけ、酸化、ストリッピング(揮散、剥離)、浮遊、消毒、調節、安定化、濃厚化、および脱水のような、廃棄物処理のための1種またはそれよりも多くのユニットプロセスを成し遂げうる。酸水素豊富ガスの少なくとも一部分は、廃棄物処理システムにおける二次使用で、例えば、焼却または発電のための可燃性燃料の供給源のようなもののために運搬することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、産業汚水、都市下水およびその他のような、廃棄物流を処理するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物流の多くに見出される有害物質は、未処理なまま残留すると環境および/または人々の健康に重大な危険をみせることがある。政府規制は、廃棄物流を環境に排出することがある前に、廃棄物流の様々な有機、無機、化学、および微生物の成分を処理するよう義務付けることが多い。そのような廃棄物流の例には、産業廃水および都市下水、化学加工流出物(排水)、動物の排せつ物、製紙工場流出物、および他のものが含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図1は都市下水を処理するための先行技術のシステムの実例となる処理施設の模式図である。図1に関連し、汚水流入100は廃水処理施設の第1次浄化器102に入り、そこでは原料汚泥104を、凝集、沈殿、および他の一次沈降技術を介して廃水(汚水)から分離する。第1次浄化器102からの廃水は次いで曝気槽106へ輸送され、そこでは好気性微生物108が曝気槽106中にポンプで圧入される空気110の存在下で汚水の処理を支援する。廃水はその後第2次浄化器112に移送され、そこでさらに沈降を行うことができる。また第2次汚泥114を第2次浄化器において収集し、および処理された廃水116を水の流出物本体または他の分配供給源へ輸送する(例えば、消毒(殺菌)のような一定の高度処理の手順を受けた後だけのこともある)。
【0004】
第2次汚泥114のいくらかは曝気槽106へ戻してリサイクル118され、好気性生分解プロセスが持続されるのを支援される。第2次浄化器112からの残留する第2次汚泥114および第1次浄化器102からの原料汚泥104は、ダイジェスター(消化装置、蒸解がま)フィード(供給管)120を介して嫌気性ダイジェスター122へ輸送される。嫌気性ダイジェスター122では、嫌気性微生物124がさらに汚泥を分解し、およびメタン128のような副生産物ガス126を産出する。嫌気性ダイジェスター122からの消化された汚泥は液体130として移送され、それは直接農地に適用することができるか、または脱水プロセス132に送ることができる。脱水プロセスからは、典型的に、セントレート(centrate、濃縮物)または液状画分134が、処理プラント(処理場)100の初期段階に処理のために返され、および脱水された汚泥ケーキ136は焼却、土地応用、または他の適切な用途のために用いることができる。
【0005】
バイオソリッドは水および微小な固形物粒子(主に細菌および原生動物)の混合物である。粒子は、凝集、即ち、より一層小さな粒子のより一層大きな複合粒子への集塊に抵抗する正味負電荷を運ぶ。マトリクスを生産し、それがマトリクスを通って水の移動が許され、および脱水が成し遂げられるのに十分な多孔性を持つように、典型的に、有機高分子電解質またはポリマー(重合体)を、コンディショニング(調節)補助としてバイオソリッドに加える。簡潔に述べると、これらのポリマーは本質的に、正味正電荷を持つ多くの活性部位を有する長い有機のストランド(鎖)またはリボンである。ポリマーはバイオソリッド上の負電荷を中和し、そして粒子をポリマー上の各活性部位に結びつける。ポリマーは互いに正味の影響を用いて、付着しあう傾向を持ち、その影響はより一層大きな粒子が創生され、およびその結果は多孔性マトリクスであり、それを通って脱水プロセスの間に水を排出することができる。
【0006】
伝統的なポリマーの調節には多数のそれに関係する問題がある。ポリマーは高価であり、そしてバイオソリッドの加工予算のうち操作経費のかなりの部分を占めることがある。バイオソリッドの特徴は連続的なベースで変化し、そして適正な性能がポリマーの過剰供給および浪費なく達成されるのを確実にするために、任意の所定の時間に必要とされるポリマーの正確な量を供給するのは難しい。普通、バイオソリッドを調節するために用いるポリマーは、高分子量、高電荷密度物質であり、それは生物学的分解に抵抗性であり、そして水生生物に対して有毒であることが知られている。ポリマーの何らかの過剰供給は魚および他の水生種に対して有毒な効果を有する過剰分の環境中への放出を招くこともあるという懸念がある。蓄えられたバイオソリッドにおけるポリマーの分解はまた、有意な臭気の生産と関係している。
【0007】
廃液流はまた焼却により処理してもよい。焼却は、専門的根拠に基づく解法を、病原体、ウイルス、および毒性有機物を完全に破壊するために提示する少数の技術の1種である。加えて、それは、バイオソリッドを処理する能力を持ち、バイオソリッドは高レベルの汚染物質を含むものであり、それはそのために農業への利用が受け入れられないものである。しかし、慣習的な焼却炉の高い資本経費およびバイオソリッドの広範囲な予備加工(例は、脱水)は、プロセスを非常に高価にする。それゆえ、焼却は典型的に非常に大きな廃水処理施設においてのみ経済的であり、そこでは規模の経済から利益を得ることができる。
【0008】
極めて高価な多量の輸入エネルギーを先行技術の焼却システムの燃焼プロセスの間で避けるためには、バイオソリッドはおよそ30%の固形分を有するケーキになるまで脱水されなければならない。乾燥のこのレベルでは、ケーキは可塑性、粘着性、半固体物質であり、それは脱水装置から焼却炉へのケーキの移送に関して重要な操作上の問題をみせることがある。また、ケーキの固体含量における変動および熱の要求における付随する変動は、燃焼プロセスを非常に制御し難くすることがある。
【0009】
バイオソリッドの安定化は廃棄物汚泥の農業利用に必須の前提条件であり、そして特定の場所に応じて、連邦政府、州、または地方の当局により規制されうる。規制はバイオソリッドにおいて含まれる病原体に関係する潜在的危険から人々の健康および環境を守る。規制機関は典型的にどの処理プロセスが受入れ可能であるか、および/または処理された生産物において特定の病原体のどのレベルが許容可能かを条件として要求する。慣習的に、安定化は、次のプロイセスの1種またはそれよりも多くを通して起こり、すなわち、有機物の生分解、高められたpH、水分の低減、および特定の時間/温度のレイジームによる廃棄物の取扱いである。これらのプロセスの全てが比較的高価であり、そしてエネルギーを大量に消費し、大容量の混ぜ物を要し、または制御するのが難しい。
【0010】
慣習的な廃水処理施設を操作するのに必要な電気は配電網から購入されている。その場で発電する誘因はほとんどなく、それはその配管網からの電力は安価で、および安定(安全)であり、発電機器のための資本経費は高く、そして電力生産のための燃料の安価な供給源は消化ガスのみであるからである。しかし、消化ガスをエネルギー源として利用するには多くの問題がある。それは高い割合でメタンを含んでいるものの、消化ガスはまた水で飽和され、そしてかなりの量の硫化水素を含む。これは消化ガスを極度に腐食性にさせ、そしてそれを使用するに先立ち大規模な洗浄が必要となる。さらに、消化ガスは廃棄物処理プロセスのただの副生産物であって、それ自体の生産プロセスがあるのとは対照的である。生産されるガスの量はバイオソリッドの安定化プロセスの関数であり、そして変化する需要に合わせて修飾することができない。メタン豊富生物ガス(バイオガス)の燃焼はまた、かなりの温室効果ガスの放出を生む。
【0011】
ほとんどの固体を流入廃水から分離させた後、残存流出物は、典型的に環境中へのその放出のための調製において消毒される。廃水流出物の消毒は歴史的に塩素化合物の添加を通して成し遂げられている。塩素化合物の取扱いに関係して健康と安全面で大いに懸念される。近年、塩素は、流出物における有機物と化合して塩素化有機物を生成し、それらは有毒であるとともに潜在的に発癌性であるという懸念が増大している。毒性の少ない塩素化合物に代用するためにいくつかの試みもなされているが、産業界全体の傾向としては消毒薬剤としての塩素の使用を段階的に廃止する方へ向かっている。
【0012】
廃水処理において採用する他の消毒技術には、病原体の破壊のために紫外線(UV)光またはオゾンを使用することが含まれる。これらのプロセスはどちらも、処理された流出物において環境に影響するような感知できるほどの残余を残さない。しかし、これらのシステムの双方は資本経費および操作経費が比較的高い。UVプロセスの場合、資本経費には、貫流機構、および求められる複数のUVバルブ(ランプ)の構築が含まれる。操作経費には、電力、バルブの交換、およびバルブの定期的な洗浄が含まれる。オゾンでの消毒のための主な経費には、オゾン発生機(装置)および搬送供給源として用いる商業上の酸素が含まれる。搬送供給源として空気を用いる場合、オゾン発生機の大きさはおよそ倍にならざるをえず、よって資本経費も倍化する。
【0013】
廃棄物処理施設において使用する水の多くは、懸濁(浮遊)粒子状物質が存在しない比較的高品質な水を必要とするが、飲用水の場合のように、塩素化され、または残留塩素の存在を持つ必要はない。最終的な流出物は懸濁固形物が存在するため、これらの基準を満たさない。したがって、それは、補給ポリマー(making up polymer)ような用途のための代替物として適切でなく、浮遊物質が補給水(makeup water)自体においてポリマー需要を生むからである。目下、廃棄物処理プラントは、飲用水の使用以外のこれらの高品質な最終用途のための選択肢を持たず、それらは市の上水道システムから購入しなくてはならない。
【0014】
本発明者らは、廃水処理プラントにおける凝集、焼却、脱水、エネルギー効率、安定化、流出物消毒、および高品質プロセス水の生産のための優れた方法およびシステムのための、および他の種類の廃棄物流を処理するための必要性を認識した。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の概略)廃棄物流を廃棄物処理システムにおいて処理するための方法およびシステムは、廃棄物流を、水解離技術を履行する酸水素ガス発生機によりその場で生成される酸水素豊富ガスと接触させることによって、廃棄物処理システムの単位(ユニット)プロセスを実行することに関与する。1種の具体例において、酸水素ガス発生機は、廃棄物流の水成分から酸水素豊富ガスを生産するために、廃棄物流において浸漬される一連の近接された電極に対してパルス電気信号を適用することに関係する。廃棄物流における酸水素ガス発生機の操作は、とりわけ、調節、安定化、濃厚化(thickening)、および脱水のような、廃棄物処理のための1種またはそれよりも多い単位プロセスを成し遂げられうる。
【0016】
酸水素豊富ガスの少なくとも一部分は、廃棄物処理システムにおける二次使用で、例えば、焼却または発電用の可燃性燃料の供給源のようなもののために運搬することができる。また酸素を酸水素豊富ガスから分離し、廃棄物処理システムの曝気槽において使用したり、廃棄物処理システムの流出物の消毒に利用しうるオゾン発生機に供給したりしてもよい。酸水素豊富ガスの燃焼からの排出は、処理システム内の様々な用途のための水を回収するために凝縮させることができる。
【0017】
本発明の付加的な局面および利益は以下の本発明の具体例の詳細な説明により明らかになり、それは図面を参照して進められる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】先行技術に従う廃水処理施設の構成要素を例証する模式図である。
【図2】第1具体例に従う廃棄物処理システムを介した廃棄物流の処理を例証する模式図である。
【図3】具体例に従う廃棄物処理システムを例証する模式図であり、そこでは酸水素ガス発生器具を廃棄物処理システムにおいて1種またはそれよりも多い単位プロセスを実行するために用いうる。
【図3−1】廃水処理施設を例証する模式図であり、そこでは酸水素ガス発生器具を施設の嫌気性ダイジェスターおよび調節および/または凝集の単位プロセスを実行するための脱水プロセスの間に組み込む。
【図3−2】嫌気性消化装置の代わりに酸水素ガス発生器具を利用して安定化単位プロセスを実行するための廃水処理施設を例証する模式図である。
【図3−3】焼却単位プロセスの前に脱水のために酸水素ガス発生器具を利用する廃水処理施設を例証する模式図である。
【図4】酸水素豊富ガスの典型的な二次使用を例証する模式図であり、酸水素豊富ガスは図2、3−1、3−2、3−3、および5に従う酸水素発生器具を採用する1種またはそれよりも多くの単位プロセスにより生産される。
【図5】様々な具体例と整合する器具を例証し、そして例えば、図3−1、3−2、および3−3の具体例におけるような、廃水処理施設における廃水バイオソリッドの処理でのその適用を表示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(本発明の具体例の詳細な記載)本明細書を通して、“1種の具体例”、“ある具体例”、または“いくつかの具体例”への言及は、少なくとも1種の具体例において、特定の記載された特長、構造、または特徴を含むことを意味する。それゆえ、この明細書中の様々な箇所における“1種の具体例において”、“ある具体例において”、または“いくつかの具体例において”という語句の出現は、必ずしも同じ具体例に言及するものではない。なお、記載する特長、構造、または特徴は、1種またはそれよりも多くの具体例において任意の適切な様式において組み合わせてよい。
【0020】
さらにまた、記載された特長、構造、特徴、および方法は、1種またはそれよりも多くの具体例における任意の適切な様式において組み合わせられうる。この技術において熟練する者は、様々な具体例を、1種またはそれよりも多くの特定の詳細がなくても、または他の方法、構成要素、材料、などを用いても実践することができることを認識するであろう。他の場合には、具体例の局面を不明瞭にしないため、よく知られた構造、材料、または操作を示さず、または詳しく記載することはしない。
【0021】
図2は第1具体例に従う簡易化した廃棄物処理システム204を介した廃棄物流202の処理を例証する模式図である。図2に関連して、廃棄物流202は、例えば、産業廃水または都市下水(未処理下水)のような流入廃棄物流を含みうる。代わりに、廃棄物流202は、より一層大きな廃棄物処理プロセスという状況で、例えば、浮遊物質(supernatant)またはバイオソリッドのような中間廃棄物流を含みうる。さらに他の具体例において、廃棄物流202には、例えば、化学加工流出物(化学処理廃水)、動物のし尿、製紙工場流出物、埋立ごみ(埋立地浸出水)、海洋廃水(marine wastewater)、ストーム水の流出(storm water runoff、流出雨水)、地下水、地表水、インサイツ(原位置)処理プロセス流出物、および環境汚染改善プロセス流出物(environmental contaminate remediation process effluent、環境汚染浄化処理廃水)が含まれうる。廃棄物流202は、下記のように、単位プロセス206を被る前に、スクリーニング(選別)および砂岩除去のような、予備的な加工工程を受けうる。選別および砂岩除去は、廃棄物流202が未処理下水の流入を含む時にとくに重要でありうる。
【0022】
1種の具体例において、単位プロセス206は酸水素ガス発生機207(GG1)を含み、それは流路208において、廃棄物流202の水成分からの酸水素豊富ガス214の生成のために、廃棄物処理システム204の入口210および出口212の間に介在する。廃棄物流202から生成される酸水素豊富ガス214は、好ましくは流路208の少なくとも一区分を通して泡立てるか、またはさもなければそれを通過し、それにより廃棄物流202の少なくとも一部分と接触する。いくつかの具体例において、半透膜または他の分離技術の使用を通して廃棄物流207から水成分を別け、そしてガス発生機207をその別けられた水成分において浸ける。他の具体例において、酸水素豊富ガスは、流路208の外部に生成され、そして廃棄物流202の少なくとも一部分と接触させるために、単位プロセス206で加えられうる。例えば、酸水素ガス発生機207のための水の供給源には、水道水、地表水、または廃棄物流から分離された水成分が含まれうる。
【0023】
単位プロセス206は1工程廃水処理プロセスとして動作しうるもので、そこでは汚染物質が規制され、その例は、生化学的酸素要求量(BOD)、アンモニア、リン、懸濁された固形物および病原体である。規制された汚染物質は流路208におけるガス発生器具の操作を介して廃棄物流202から除去される。例えば、廃棄物流202が都市下水を含む場合、有機汚染物質(BOD)を酸水素豊富ガス214において含有される酸化性化合物によって酸化する。揮発性汚染物質で、通常の廃水加工温度で様々な程度に蒸発し、アンモニア(無機)およびアセトン、トルエン、ジクロロメタンおよびジクロロベンゼン(有機)のようなものは、酸水素ガス発生機207(GG1)により生産される酸水素豊富ガス214の上昇流を通して廃水からストリップ(剥離、揮散)される(液相から気相にまで移る)。懸濁された固形物およびリンのような固相汚染物質は、酸水素ガス発生機207(GG1)からマイクロバブル(超微粒気泡)の形態で生産される酸水素豊富ガス214により創作される自然浮揚機構(natural flotation mechanism)を通して除去される。ストリップされた揮発性汚染物質は単位プロセス206の表面で酸水素豊富ガス214と組み合わせて収集され、そして二次プロセスモジュール(モジュール:交換可能な構成部分)222へ運搬され、そこでそれらは酸水素豊富ガス220とともに焼却されるか、または膜のようなプロセスによって酸水素豊富ガスから、さらなる処理(示せず)のために分離される。単位プロセス206から浮遊層(float layer)をすくい取ることにより、直接、またはその後の沈殿によるいずれかでも、固体画分216を液状流から除去することができる。この具体例において、1工程廃水処理プロセスとして、生物学的プロセスは、単位プロセス206の構成要素ではなく、そして従ってバイオソリッドの生産は起きない。この具体例における固体画分はバイオソリッドではないが、むしろ不活性な、無機の固体216からなり、それはさらなる処理なしに直接埋め立て地で処分することができる。処理された廃棄物流は一斉に病原体を消毒し、その結果、それは流出物218についての規制標準および産業標準を満たす。しかる後、流出物218は、例えば、河川のような地表水の本体へ放出されるか、または廃棄物処理システム204において再使用されうる。別の具体例において、単位プロセス206の後、および放出または再使用の前に、流出物218は三次砂ろ過のようなさらなる加工(示さず)を施しうる。
【0024】
廃棄物流202と接触した後、抜け出る(exiting)量の酸水素豊富ガス220を、廃棄物処理システム204の単位プロセス206から、例えば焼却単位のような、二次プロセスモジュール222へ運搬しうる。下記の図4は、酸水素豊富ガス220、次いでその単位プロセス206での使用のための様々な他の二次使用を例証する。二次使用の種類に応じ、そのために酸水素豊富ガス220を採用し、未使用の酸水素豊富ガスまたは二次プロセス222の副生産物224を回収し、またはさもなければ廃棄物処理システム204の第三の局面(局面群)または外用(類)での使用のために、1種またはそれよりも多くの他のプロセスモジュール226へ運搬しうる。
【0025】
酸水素ガス発生機207は、Chambers(チェンバーズ)の米国特許第6,419,815号および第6,126,794号で、双方ともXogen Power Inc.(エクサジャン・パワー社)に発行されたもの(以下「Xogen特許」と称する)に開示される種類のような、水解離技術を履行しうる。Xogen特許の第3−5欄に記載されているように、具体例に従うガス発生器具には、電極の“セル”が含まれ、それぞれが水を含有する作動流体(working fluid、加工液)において浸けられるように適合される2つまたはそれよりも多くの相隔たる電極を含む。本明細書に記載する具体例において、作動流体は廃棄物流202を含む。電極は好ましくは、同じ物質で作成する。1種の電極物質はその低い経費および永続性のためにステンレス鋼であるが、他の導電性の高い金属を用いることが可能でありうる。電極間は等間隔に維持され、そして好ましくは電極間の間隔は最小にする。しかし、電極間の間隔を過度に近く位置づけることはできず、電極間のアーク放電が起こるからである。1mmまたはそれよりも短い間隔は酸水素豊富ガスを生産するために最適な間隔であるが、およそ5mmまでの拡げられた間隔は効果的に作動し、一方で電極間の固体の堆積による付着物の影響を受けにくい。5mmより上の間隔もまた実現可能ではあるが、酸水素ガスの生成量は減少する傾向があり、そして所要電力は増加する。
【0026】
各セル内に多数の電極対(例は、数ダース、数百)を含むことが好ましい。電極はほぼどのような形状でも可能であるが、好ましくは近接した、そして互いに平行なフラットプレート(平板)を備える。別の具体例は同軸上に整列された円筒を含みうる。絶縁スペーサは隣接した電極の間に介在させ、電極間の等間隔を保ち、そしてそれらの間の漏電電流を防止する。
【0027】
Xogen特許においてさらに記載されているように、高周波パルス直流電流(DC)の電気信号を電極に与える。パルス信号はほぼどのような波形でもよく、そして可変の電流レベル、電圧レベル、周波数およびマーク−スペース比(mark-space ratio、すなわち、単一パルスの持続時間と2つの継続するパルスの間の間隔との比)を持つことができる。電源のための電力の供給源には、本線の110ボルトまたはバッテリー(電池)で、12−ボルトのカーバッテリーのようなものが含まれうる。例えば、電源は、直列に配置される2つの12−ボルトバッテリーを備えうるものであり、24−ボルト供給を提供する。都市下水処理プラントのような大きな廃棄物処理システムにおける大規模ガス発生機GG1に電力を供給するためには、所要の大きなセルを駆動させるのに十分な電力を持つ24−ボルトのパルスDC信号を生成するために、より一層複雑な電源が必要な場合がある。代わりに、多重のより一層小さい電極セルは、冗長性(redundancy)のために設けられ、そして反応容器(reaction vessel、反応槽)または他の反応ゾーン(反応帯)において相隔てられてよく、その場合には、セルはより一層簡素な独立した電源によって駆動されうる。
【0028】
制御装置はバッテリーまたは他の電力供給源と併せて使用し、多種多様なパルス出力波形で、方形波、鋸歯状波、または三角波のようなものの1種を生成させ、それを電極に与えることができる。酸水素豊富ガスを生産するための最良の結果は方形波を用いて得られた。1種の具体例において、パルス信号はおよそ1:1および10:1の間のマーク−スペース比およびおよそ10−250kHzのパルス周波数を持つ。
【0029】
電源からのパルス信号の開始後、電極は連続的に、そしてほぼ瞬間的に、電極間および電極の縁部をやや超えて延在する相互作用ゾーンにおいて、水分子から酸水素豊富ガスの泡を生成する。生成された泡は電極の周囲またはその上に集まらず、ひいてはリアクター容器または他の反応ゾーンにおいて、流体の表面にまですぐに浮く。そのため、溶液の伝導を支援するか、または泡が電極の周囲またはその上に集まるのを抑制する化学触媒を加える必要はない。それゆえ、多様な種類の廃棄物流を、地表水および普通の水道水のような他の水の供給源と同様に、作動流体として用いることができる。
【0030】
図3は廃棄物処理システム240を例証する模式図であり、そこでは酸水素ガス発生機GG2,GG3,GG4,およびGG5を、廃棄物処理システム240の1種またはそれよりも多くの単位プロセス242a,242b,242c,および242d(集合的に単位プロセス242)の実行において用いうる。例えば、図2および5に関連して、酸水素ガス発生機GG2,GG3,GG4,およびGG5は、ここに記載するもの(項目207および500)と似た装置を備えうる。図3に関連して、廃棄物処理システム240は都市下水(未処理下水)を備える廃棄物流244を処理するための廃水処理プラントとして具現化される。しかし、様々な他の具体例と一致して、廃棄物処理システムは代わりに、異なる種類の廃棄物流で、例えば、産業廃水、化学加工流出物、動物のし尿、製紙工場流出物、埋め立てごみ、海洋廃水、ストーム水の流出、地下水、地表水、原位置処理プロセス流出物、および環境汚染改善プロセス流出物のようなものを処理するために配置し、そして構成してよい。廃水流入は既知の方法に従う第1次浄化器246、曝気槽248および最終浄化器250を使用することにより処理しうるもので、そこではバイオソリッド252を原料汚泥254および廃棄物活性化汚泥256の形態において廃棄物流244から除去する。
【0031】
処理された廃水を流出物258として放出することができる前に、それは典型的に病原体が受入水(receiving water)に入るの防ぐために消毒されなければならず、そこではそれらが健康上の危険をみせることがあるからである。上記のように、慣習的な消毒プロセスは、紫外線(UV)放射、塩素、またはオゾンを利用する。1種の具体例に従い、処理された廃棄物流の流路において、最終浄化器250および流出物出口(余水吐)258の間に介在される最酸水素ガス発生装置GG2によって、消毒プロセス260を置換し、または補う。酸水素ガス発生機GG2に与えられるパルス電気信号は酸水素豊富ガスを生成するように動作し、その操作により、処理された廃水を消毒する。過剰な酸水素豊富ガス(H/O)262を次いで、図4に関連して下に記載するように、廃棄物処理システム240内での二次使用へ運搬することができる。代わりに、消毒単位プロセス242a以外の1種またはそれよりも多くの単位プロセス242により生産される酸水素豊富ガス(H/O)の酸素成分を、消毒プロセス260のオゾン発生機のための搬送供給源として、消毒単位260へ運搬することができ、それは流出物の消毒のための大幅なすべての経費の削減を招く。典型的に、酸素成分はオゾン発生機のための搬送供給源として使用する前に、酸水素豊富ガス(H/O)から分離させる必要がある。酸水素豊富ガスから酸素成分を分離するための1種の可能な技術は、圧力スウィング吸着法(“PSA”)として既知であり、その1種のバージョンは、カナダ国、British Columbia(ブリティッシュコロンビア州)、Burnaby(バーナビー)所在のQuestAir Technologies Inc.(クエストエアー・テクノロジー社)によって販売されるガス分離機器において利用可能である。酸水素豊富ガスからの酸素成分を分離するためには、他の技術および装置をも使用しうる。
【0032】
図3および本明細書の他の箇所において、酸水素豊富ガスは、記号で表すために表記“H/O”を用いるが、清浄な酸水素ガスに、または2原子水素(H)および2原子酸素(O)の純粋なガス状混合物に制限されない。酸水素豊富ガスは典型的に主に水素および酸素を含むガス混合物から構成されるが、2原子酸素(O)および2原子水素(H)以外の形態における少なくともいくらかの酸素および水素で、例えば、ヒドロキシラジカルのようなものが含まれうる。酸水素豊富ガスは、さらに水素および酸素以外の測定可能な量の成分を含みうるが、それは例えば、高濃度の汚染物質の存在下での酸水素ガス発生機の操作に、または廃棄物流における生成された酸水素ガスと汚染物質との反応に起因する。例えば、小量(例は、1%から4%までのモル分率)の二酸化炭素(CO)ガスは、廃水または水道水から生成する酸水素豊富ガス中に存在しうることが多い。微量の窒素もまた、とくに廃水から生成される時、酸水素豊富ガス中に存在しうるものであり、そしてこれは廃水において存在する窒素化合物の分解を指し示しうる。さらに、具体例のガス発生機GG2−GG5に従い生成する酸素および水素は、典型的に、それぞれおよそ1:2の化学量論比(stoichiometric ratio、二段燃焼率)において生成し、それでもここで使用する簡単な表記法“H/O”において化学量論比または他のガス成分の指示はない。
【0033】
安定化単位プロセス242cより前に、廃棄物活性化汚泥256の形態におけるバイオソリッド252は濃厚化単位プロセス242bを受ける。1種の具体例に従い、例えば、重力ベルトろ過(gravity belt filtering)、遠心分離、または気泡浮上分離法(DAF、dissolved air floatation、溶解空気浮遊)のような慣習的な濃厚化プロセス264を、酸水素ガス発生機GG3によって補い、または置換する。酸水素ガス発生機GG3は好ましくは、廃棄物活性化汚泥の流れにおいて最終浄化器250および下流バイオソリッド処理プロセスで、安定化242c、調節242d、脱水266、乾燥268、および/または焼却270のようなものの間に介在する。酸水素ガス発生機GG3の操作は好ましくは、バイオソリッドおよび他の懸濁固体の浮遊(floatation、浮選、浮揚)(即ち、廃棄物流の表面での固体の収集)を引き起こし、それはさらなる処理のために廃棄物流から簡単に除去または分離することができる濃縮された浮動層を招く。
【0034】
1種の具体例において、酸水素ガス発生機GG3を、反応容器において含まれる廃水に浸漬し、そしておよそ60秒からおよそ10分までの間隔のために操作し、次いでガス発生機GG3への電力を止める。本発明者らは、ガス発生機GG3の操作の間隔の後、かなりの量の固体が廃水の表面に集まることを知見した。適度な量の固体はガス発生機GG3の操作の間に廃水の表面上に集まる一方、ガス発生機GG3の電源を切り、そして反応容器を通るリサイクルの流れを止めたほとんど直後に、思いのほか多くの浮遊固体の増加が起こる(下記の、ポンプ526により提供されるリサイクルの流れ詳細については、図5の記載を参照)。ガス発生機GG3の電源切断およびリサイクルの流れの停止により、反応容器内は静止条件が招かれ、それは固体の妨害されない浮遊を許す。予備的な実験は、ガス発生機GG3をおよそ5分の間隔の間操作し、次いでリサイクルの流れを伴わずに、およそ2分の期間の間、電源を切ったところ、浮動層における固体濃度は、搬送材料における0.54%(即ち、ガス発生機GG3の操作に先立つもの)に対して4.82%であることを示した。これは元の搬送材料からの汚泥粒子の93.5%の除去を表す。注目すべきは、この分離効率が、慣習的な技術に匹敵するもので、相当する有機ポリマーのような任意の凝集剤の添加なしに成し遂げられたことである。本発明者らは“抽出ガス浮遊”としてのガス発生機の浮遊効果に言及する。抽出ガス浮遊単位プロセスは1種またはそれよりも多くのサイクルを含み、各々は次の工程を含む、すなわち、(1)ガス発生機GG3を操作する工程(典型的に、高周波パルス電気信号を与えることによるもの)で、およそ60秒およびおよそ10分の間のもの、(2)ガス発生機GG3の電源を切る工程、(3)固体が流体の表面上に集まるまで待つ工程(典型的に、およそ30秒および2分の間)、および(4)固体を表面から除去する工程(例えば、表面をすくい取ることによる)である。サイクルは、望ましい量の固体が廃液から除去されるまで連続的に繰り返すことができる。
【0035】
農地に適用されるべきバイオソリッド252は典型的に、病原体の数および生存能力を低減させるために適用に先立ち安定化242cさせなければならない。安定化は慣習的に、好気的に(酸化による)または嫌気的に(酸素の不存在下で有機物をメタンに変換することにより)成し遂げられる。双方の取組みとも高価であり、エネルギーを大量に消費する(エネルギー集約的な)好気性安定化および資本集約的な嫌気性安定化を用いる。1種の具体例に従い、酸水素ガス発生機GG4を、廃棄物流におけるバイオソリッド252の安定化および酸水素豊富ガス(H/O)272の生成のために利用する。ガス発生機GG4は、反応容器502(図3−2)において浸漬しうるものであり、そこで廃棄物流はガス発生機GG4により生産される酸水素豊富ガス272と直接接触する。安定化のための酸水素ガス発生機GG4の利用は、有効な量の病原体を殺し、または無害にするのに慣習的な安定化プロセス274において要するよりも短い滞留の時間しか必要としないでよい。結果として、ガス発生機GG4を、バイオソリッドを処理するための連続リアクターにおいて直接浸すことができ、そのときそれら(バイオソリッド)はそのリアクターの加工ゾーンを貫流する。ガス発生機GG4の大きさおよび加工ゾーンでの所要の滞留時間(即ち、連続的なリアクターを通る流路の長さ)は、規制基準(regulatory requirements)を満たすのに必要な安定化のレベルの関数である。例えば、米国環境保護庁(“U.S.EPA、United States Environmental Protection Agency(米国環境保護庁)”)Regulation(規則)503に記載の標準を満たす“クラスA”バイオソリッド生産物を生産することを目的とする場合、完成品は典型的に、バイオソリッドにおける全固形分グラム当たり1000未満の最確数(MPN)の糞便大腸菌(fecal coliform)の密度および揮発性固形分含量における38パーセント減少のような“ベクター・アトラクション・リダクション”(媒介物誘引力減少)を持たなければならない。これを達成するために認可された慣習的なやり方のうち2種は、55℃から60℃までの温度で10日間(240時間)または50℃で5日間(120時間)の代わりの時間/温度のレイジームの下、サーモフィリックな(好熱性の)好気性消化によりバイオソリッドを処理することである。その一方、酸水素ガス発生機GG4を利用する実験的調査は、安定化および媒介物誘引力減少の基準が25℃の加工温度および4から6時間までのバッチ滞留時間を満たすことができることを示した。
【0036】
酸水素ガス発生機GG4の操作は、反応容器または貫流加工ゾーン内に、安定化のために要求される条件と一致する雰囲気を創作する。酸水素豊富ガスを解放すると、リアクターまたは加工ゾーンの内容物の温度が上昇し、そしてそれを特定システムの既知の滞留時間を考慮して、安定化のための必要な温度の要件を達成するために制御することができる。時間/温度のレイジームは、規制の要件を満たし、そして必要な病原体破壊を提供するためにカスタマイズすることができる。液体の滞留時間もまた、温度とは関係なく制御することができ、その結果、時間および温度の任意の組合せも達成することができる。安定化の後、バイオソリッドは農業的利用のために脱水するか、または液体注入プログラムにおいて直接利用するかのいずれも可能である。ガス発生機GG4によって解放される酸素は高い酸化の環境を生成し、有機物の酸化を招き、それはそれ自体において、安定化の要件を満足させることができる。これら2種の安定化の取組みの1工程における組合せは、極めて効率的なプロセスのための可能性を提示する。これらの条件の組合せはU.S. EPA Regulation503において特定されるように“病原体をさらに減少させるためのプロセス”として認められるには十分でありうるもので、そして液体の形態において、直接農地に適用することができるクラスAのバイオソリッドを生産しうる。処理された物質は、その後の取扱いおよび再使用の操作の間、臭気をより一層少ししか出さないことがあり、そしてハエおよび齧歯類のような媒介物をより一層少なくしか引き付けないことができる。これら利益が解放された酸水素豊富ガス272の形態において貯蔵されるエネルギーの出力に合わされるとき、安定化の単位プロセス242cの全体の経費が慣習的な安定化プロセスのためのものよりも有意に低いことが期待される。
【0037】
いくつかの具体例において、分かれた調節工程242dを安定化242c(慣習的な274またはガス発生機GG4を介するのどちらかでも)の後および脱水266の前に行う。慣習的な化学的調節276は、ポリマーまたは有機高分子電解質を添加して、固体粒子を廃棄物流から除去するために固体粒子の凝集を促すことを伴う。1種の具体例と一致する調節は、酸水素ガス発生機GG5を利用し、化学的調節276を補い、または置換する。ガス発生機GG5は高酸化力および高められた温度レイジームを生成し、それはバイオソリッドのまわりの多糖類層を破壊する傾向があり、それはバイオソリッドの凝集に対する障壁をみせることがあるものである。多糖類における減少はバイオソリッドの表面特性を変え、それにより、必要なポリマーの量を減らし、または場合によってはポリマー添加物のための必要性を完全に排除する。それゆえ、調節の単位プロセス242dにおける酸水素ガス発生機の履行は、調節のコストを減少させ、毒性および臭気生成の問題を減少させ、そしてバイオソリッドの廃棄物流252の水成分から酸水素豊富ガス(H/O)278を一斉に解放する。次いで、酸水素豊富ガス278を回収し、そして廃棄物処理システム240内または他所での二次使用のために運搬することができる。安定化242cと同様に、調節プロセス242dのガス発生機GG5は反応容器502(図3−1)において浸され、または廃棄物流が流れる導管または他の流路の反応ゾーンに置かれる。さらに、酸水素ガス発生機の利用は、双方の安定化および調節が単一の組み合わせられた安定化/調節の単位プロセスにおいて、図3−2に関連して後述するように、一斉に実行されることを許しうる。
【0038】
図3−1,3−2および3−3は、バイオソリッドを含有する廃棄物流を加工するための酸水素ガス発生機500を含む廃水処理施設のさらなる実例となる具体例を表す。図3−1,3−2および3−3について、300シリーズにおける参照符号は対応する上記図1における100シリーズの符号と関連する。例えば、図3−1,3−2および3−3において、第1次浄化器を参照符号302によって表し、これは図1の対応する単位プロセスのための参照符号102に対応する。図3−1,3−2および3−3において500シリーズの参照符号を用いて番号をつけたものの詳細は、図5に関連して以下により一層詳しく記載する。図3−1について、ガス発生機500を、調節および/または凝集の単位プロセスを行うための、嫌気性ダイジェスター322および脱水プロセス332の間での操作において例証する。図3−2において、ガス発生機500を、嫌気性ダイジェスター(図1からの122)の代わりに廃棄物流の安定化の目的のために操作する。図3−2の具体例において、ガス発生機500はまた、反応容器502に入る廃棄物流の性質に応じて、調節単位プロセスまたは組み合わせられた安定化/調節の単位プロセスとして機能しうる。図3−3において、ガス発生機500を、慣習的な脱水プロセス(図1からの132)の代わりに、記載される具体例と一致する組み合わせられた脱水および焼却の手法の一部分として操作する。
【0039】
図5において、廃水バイオソリッドの処理に適用する具体例をさらに詳しく模式的に例証する。図5は図2の酸水素ガス発生機GG2−GG5の1種の具体例を表し、およびさらに具体的に、図3−1,3−2および3−3のガス発生機500の履行の追加的詳細を提供する。図5に関連して、ガス発生機500を、水およびバイオソリッド含有の流体懸濁物504を含む反応容器502において浸漬する。流体懸濁物504は、流入廃水におけるように、希薄でよく、または活性化された廃棄物汚泥、原料汚泥、または濃厚化汚泥におけるように、より一層濃縮されうる。流体懸濁物504は典型的に、1.0よりもわずかだけ大きい集合(aggregate)比重を持つ生物学的凝集塊(biological flocs、生物フロック)(バイオソリッド)の実質的部分を含む。
【0040】
ガス発生機500は、ガス発生機500の浸漬(submergence)が流体504の表面下で望ましいレベルで維持されるように、一組のフロート(浮き)522にぶら下がるフレーム(枠)510に取り付ける。代わりに、ガス発生機500は、反応容器502において固定された高さに位置づけるために固定された蓋または他の固定された支持体に取り付けてもよい。図5に示す具体例において、浮き522はまた反応容器502の頂部分に封をするのに役立ちうる。フレーム510は調整可能であり、その結果、ガス発生機500の浸漬レベルは反応容器502における流体504の深さに関係なく調整することができる。
【0041】
別の具体例において、ガス発生機500は、反応容器502において流体504の深さの中程度より下に位置するように、台または他の支持体の上に置かれる。反応容器(または他の反応ゾーン)における低いガス発生機500の設置は、酸水素豊富ガスの泡が流体504を通って上昇しなければならない距離を増やし、それによりそれらの滞留時間およびバイオソリッド粒子または他の処理可能な分子と接触する可能性が増える。好ましくは、ガス発生機500を、反応容器502の床より少なくともわずかに上に位置させ、ガス発生機500の電極間での堆積物および汚泥の集積を避ける。
【0042】
ガス発生機500には、一連の近接した電極プレートが含まれ、それらを概して縦方向に配向させ、そして隣接するプレート(板)の間の空間がリアクターの内容物に対してプレートの双方の上部および下部の縁部で開口するように配置される。電力供給源505からのパルス電気信号を、送電線(power transmission wires)507を介して電極プレートに供給する。パルス電気信号の適用は、プレート間およびプレート間の開口をやや超えて延在する相互作用ゾーンにおいて解離すべき流体懸濁物504における水分子を生じさせ、それにより、水素および酸素を含む酸水素豊富ガスが形成される。酸水素豊富ガスは、相互作用ゾーンに集まり、泡を形成し、その泡はプレート間の流体懸濁物504を通って上昇し、および次いでガス閉じ込め蓋524の下の流体懸濁物504の表面で収集することができる。流体懸濁物504における生物学的凝集塊の集合密度(比重)は1.0よりも少しばかりだけ大きいので、上昇泡は凝集塊を上方へ輸送し、そして解放されたガスの泡および/または閉じ込め蓋524の下に集められる雰囲気において酸素および水素と接触する。
【0043】
酸水素豊富ガス生成のプロセスにおいて、熱がガス発生機500のまわりに発生し、そして反応容器502おける流体懸濁物504の温度が上昇しうる。反応容器502の内容物の一部分を連続的および変動性のベースで引き出し、そして熱交換器506を通して搬送/再循環のポンプ526を介して再循環させ、流体懸濁物504の温度を問題にしている特定の用途のための望ましいレベルに維持しうる。温度制御を提供することに加え、再循環ループはまた、反応容器502においてある程度の正の混合(positive mixing)を提供しうるものであり、バイオソリッドを、懸濁物において、ひいては流体懸濁物504の表面または別の接触ゾーンへ向け上方に輸送される位置において保たれるのを支援し、そこではバイオソリッドは酸水素豊富ガスにより一層接触しやすい。試料ポート(端子)508は再循環ラインにおいて備えられうるものであり、様々なパラメーターについて、任意の時点で達成される処理の程度を定めるために、バイオソリッドの試料が収集され、および分析されるのを許す。
【0044】
都市下水または産業廃水の処理という状況で、ガス発生機500のための単位プロセスの適用には、例えば、本明細書に記載するように、消毒、濃厚化、調節、脱水、および安定化が含まれうる。操作パラメーターレベルの組合せは、各種の単位プロセスのために最適化することができ、そして各適用のため、および各廃棄物流の供給源のために独特でありうる。いくつかの操作パラメーターは、無関係に変動することができるが、ガス発生機500の浸漬深さ、電源505を介してガス発生機500に供給される電力の規模、ガス発生機500の電極へのパルス電気信号の特徴、および流体懸濁物504の反応容器502内での温度および滞留時間が含まれる。電源505により制御されうるパルス電気信号の特徴には、パルス周波数、振幅、パルス幅、マーク:スペース比、波形(即ち、方形波、鋸歯状波、等)、および対地電圧が含まれる。他の適用および対応する操作パラメーターはまたこの技術における熟練した者には明らかでありうる。
【0045】
調整は、生物学的凝集塊の表面上に存在し、そして脱水に対する妨害物として作用する自然の多糖類層を破壊または分解する。凝集塊は酸水素豊富ガスの上昇する泡により引き上げられると、それらは、高い酸化力の接触ゾーンにおいてガス発生機により生産される泡における水素および/または酸素と直接接触させられる。多糖類層は凝集塊の粒子の最外部の境界を表すため、これらの層は優先的に分解される。多糖類層の実質的画分のこの除去は、その後の慣習的な脱水プロセスにおけるポリマー添加のための必要性を低減または完全に排除する効果を持つ。図3,3−1,および3−2に示すように、調節されたバイオソリッドは慣習的な脱水装置へ直接輸送することができ、そして脱水されたケーキが処分され、またはこの技術において既知の任意の慣習的な様式において利用することができる。
【0046】
具体例の脱水への適用は、脱水の慣習的な概念とは異なる。慣習的な脱水において、その目的は、バイオソリッドの種類および下流の加工要件に応じて、およそ20%から30%までの最小のケーキの固体濃度を達成することである。目下の焼却方法は、バイオソリッドを約20%−30%の固形物にまで脱水することを要求し、それはこれらの濃度では、ケーキにおいて補助燃料の添加なしで液体部分を蒸発させるのに十分なエネルギーがあるからである。図5の具体例において、焼却炉512へ放出されるバイオソリッドの最終固体濃度は比較的重要ではなく、焼却プロセス512には、バイオソリッド粒子を燃焼および残留自由水の蒸発が含まれるからである。電力がガス発生機500に供給されると、反応容器からの水は酸水素豊富ガス中へ解放され、そして達成される脱水の程度は生産される酸水素ガスの量に正比例する。この取組みにおいて、生産されるガスの量は、反応容器502における最終固体濃度よりも重要である。リアクターの残留する内容物を焼却するのに十分なエネルギーを供給するために、小さな画分だけの水がガスに変換する必要があると考えられる。
【0047】
1種の具体例において、ガス発生機500を介する十分な量の酸水素ガスの生成は、例えば、固体濃度においておよそ3.0%の固形分からおよそ3.3%の固形分までの、対応する10%増加を生じさせると考えられる。他の具体例においては、固体濃度は、酸水素ガスを用いる焼却の前に、およそ10%または20%の固体濃度にまで増加させうる。焼却プロセス512のための燃料(即ち、酸水素ガス)は内部で生成することができるので、輸入燃料のための需要を削減または排除することができる。バイオソリッドもまた、ケーキ状というよりはむしろ、液状懸濁物の形態において焼却され、それは予備加工工程としての慣習的な脱水のための必要性および半固形または可塑性のケーキの焼却炉512への移送に関係する付随する材料の取扱いの問題を排除しうる。液状懸濁物の形態におけるバイオソリッドを焼却する能力はまた、非慣習的な焼却炉技術のための可能性を提示し、それは順に経費を削減し、焼却はより一層小さい設備での使用のために経済的に魅力あるものになる。焼却はまた、双方の安定化および慣習的な脱水のための必要性および経費を排除しうるものであり、それは液状バイオソリッドの焼却を他の管理の代替に対し経済的に競合力のあるものにしうる。
【0048】
特定の具体例により実行される単位プロセスにかかわらず、エネルギー豊富ガスが生成される。図5に示すように、このガスは焼却512、発電514のための燃料として、またはオゾン516の生産のための搬送供給源として(ガス混合物から分離される酸素とともに)用いることができる。
【0049】
図4は、図2,3−1,3−2,3−3および/または5に従い酸水素ガス発生機を採用する1種またはそれよりも多くの単位プロセスにより生産される酸水素豊富ガス(例は、220,262,272,278)のいくつかの二次使用を例証する説明図である。図4で指し示すように、酸水素豊富ガスは、(A)汚泥またはバイオソリッドの焼却、(B)発電(およびその後の構内使用(in-plant use)のための熱回収)、および(C)ホット(高温)ガス生成(乾燥または他の熱間加工のための)の燃料として用いうる。酸水素豊富ガスはまた、1種またはそれよりも多くの二次プロセスまたは使用(D)における使用のためのその水素および酸素の成分に分離されうる。例えば、酸水素豊富ガスの酸素成分は、消毒プロセスのオゾン発生機へ供給するか、または曝気槽へポンプで圧送しうる。酸素が酸水素豊富ガスから分離される時、その水素成分は異なる二次使用で、例えば、焼却、発電、または乾燥のための燃焼のようなものへ運搬することができる。
【0050】
廃水処理において最も重大な単位プロセスの1種は、好気性細菌による有機物の酸化からなる。これらの細菌には、酸素が、曝気槽中へ圧搾空気を注入する圧縮器により供給される。曝気槽中に空気をポンプで圧送するための電力のアベイラビリティ(安定供給)が不可避である。圧縮器は操作するために相当な電気出力を必要とする大型電動機を持ち、そして概して、それらは水処理プラントの液状部分の総エネルギー必要量の20%から30%までを占める。したがって、処理プロセスに不可欠な電力供給源を持つことは途方もない利益となる。ガス発生機500により生産されるようなエネルギー豊富ガスのアベイラビリティは、その場での電気を生成するために用いうるもので、施設が電力経費を制御するのを許し、そして電力の適度な供給が利用可能であることを確実にする。
【0051】
本発明の具体例により生産されるガスは、酸水素豊富ガスであり、それは副生産物として最小の温室効果ガスを伴って燃焼させることができる。ガスは大規模な洗浄を必要とせず、そして生産されるガスの分量は電力のための需要に合わせて調整することができる。生産されたガスを利用する処理プラント内での電力の生産は、長期的な低電気経費をもたらし、そして外部市況に左右されない電気の安定した供給を提供する。
【0052】
酸水素ガスの燃焼の主な生産物は熱および水蒸気である。酸水素豊富ガスを乾燥、発電、または他の目的のために燃焼させる時、熱い燃焼排出が凝縮プロセス518において凝縮され、高品質の水を回収しうるもので、それは廃水処理施設内で多種多様な用途について使用するために蓄え520にすることができる。しかし、飲用水は別として、これらの用途の多くは、飲用水の品質は求めないが、それらは二次流出物として利用可能なものよりも高い品質を求められる。これらの用途の例としては、トイレおよびしびんのフラッシング(水洗)、重合体溶液および他の化学的溶液の調製のための希釈水が含まれる。それゆえ、燃焼排出から凝縮される水518を、さもなければ飲用水が要件でない場合に市の上水道から購入する水に置き換えることができ、それにより操作経費が削減される。
【0053】
本発明の主題を、構造的特長および/または方法論的振る舞いに特有の言語で記載してきたが、添付の請求の範囲において規定される主題が、必ずしも上記の特定の特長または振る舞いに制限されないと理解される。むしろ、上記の特定の特長および振る舞いは、請求の範囲を履行する例の形態として開示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染物質を廃棄物流から除去するための方法であって、
2つの近接された電極を廃棄物流において浸漬する工程であり、廃棄物流は、水成分および揮発性汚染物質または固相汚染物質の一方または双方を含み、電極はそれらの間に延在する相互作用ゾーンに接する工程、
パルス電気信号を少なくとも1種の電極に与え、それにより酸水素豊富ガスを水成分から生成させる工程であり、酸水素豊富ガスは相互作用ゾーンにおいて廃棄物流の表面にまで上昇する泡を形成する工程、
揮発性汚染物質、固相汚染物質または双方を、少なくとも若干の泡と接触させる工程であり、泡は廃棄物流を通って上昇し、それにより一部分の揮発性汚染物質、一部分の固相汚染物質または双方を廃棄物流の表面に輸送する工程、
揮発性汚染物質が存在する場合、酸水素豊富ガスおよび揮発性汚染物質の混合物を廃棄物流の上で捕捉する工程、および混合物をさらなる処理のために二次プロセスに輸送する工程、および
固相汚染物質が存在する場合、固相汚染物質を浮動層として収集する工程
を具える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、二次プロセスは混合物の燃焼を具える、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、二次プロセスは揮発性汚染物質の分離を具える、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、さらに、浮動層を廃棄物流の表面から除去する工程を具える、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、固相汚染物質は、安定化またはさらなる処理が必要ない不活性固体を含む点でバイオソリッドとは異なる、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、さらに、収集された固相汚染物質をさらなる処理なしに直接埋立地に処分する工程を具える、方法。
【請求項7】
汚染物質を廃棄物流から除去するためのシステムであって、廃棄物流は水成分を含むものであり、
廃棄物流において浸漬される2つの近接された電極であり、電極はそれらの間に延在する相互作用ゾーンを規定するもの、
相互作用ゾーンにおいて廃棄物流の表面にまで上昇する泡を形成する酸水素豊富ガスが水成分から生成されるように、パルス電気信号を少なくとも1種の電極に対して与えるための電源、
上昇する泡を含ませるための反応容器、
廃棄物流の上で、酸水素豊富ガスおよび廃棄物流の揮発性汚染物質の混合物が捕捉されるようなガス閉じ込め蓋であり、混合物は揮発性汚染物質の一部分と接触し、その部分を廃棄物流の表面に輸送するそれらの泡によって形成されるもの、および
混合物をさらなる処理用の手段に輸送するための手段
を具える、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、さらに、廃棄物流の固相汚染物質を廃棄物流の表面から収集するための手段を具え、固相汚染物質は反応容器において廃棄物流の表面にまで若干の泡により輸送されている、システム。
【請求項9】
請求項7または8に記載のシステムにおいて、さらなる処理用の手段は混合物を燃焼するための手段を具える、システム。
【請求項10】
請求項7または8に記載のシステムにおいて、さらなる処理用の手段は揮発性汚染物質の分離用手段を具える、システム。
【請求項11】
請求項7または8に記載のシステムにおいて、さらに、浮動層を廃棄物流の表面から除去するための手段を具える、システム。
【請求項12】
請求項7または8に記載のシステムにおいて、固相汚染物質は、安定化またはさらなる処理が必要ない不活性固体を含む点でバイオソリッドとは異なる、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムにおいて、収集された固相汚染物質をさらなる処理なしに直接埋立地に処分するための手段を具える、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−510876(P2010−510876A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538557(P2009−538557)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【国際出願番号】PCT/CA2007/002037
【国際公開番号】WO2008/064460
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(509151669)エクサジャン テクノロジーズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】