説明

酸素センサの劣化信号生成装置

【課題】外部装置とグランドの共通化を図った上で、動作環境に依存することなく精度の高い検出信号を取得して、劣化信号を生成することができる酸素センサの劣化信号生成装置を提供する。
【解決手段】ECU3に電力を供給するバッテリ4の接地側のラインと、センサシミュレータ1に電力を供給する外部電源5の接地側のラインとを、接続線6で電気的に接続し、グランドの共通化を図る。その上で、基準センサ2のOZ(−)ポートとOZ(+)ポートの電位を取得し、マイクロコンピュータ10で差分値(検出信号の信号値)を加工する。そして、出力回路40において、ECU3の入力インターフェイス7のIN1ポートの電位を取得し、加工した検出信号の信号値を重畳し、劣化信号の信号値としてIN2ポートに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気ガス中の酸素濃度に応じた検出信号を出力する酸素センサが劣化したときの出力値(出力信号)を擬似的に生成し、劣化信号として出力する酸素センサの劣化信号生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のエンジンなどの内燃機関の排気通路に取り付けられ、排気ガス中の酸素濃度に基づき、排気ガスの空燃比がリッチ側にあるかリーン側にあるかを検出する酸素センサが知られている。酸素センサから出力される検出信号はエンジンの各種制御を司るECU(電子制御ユニット)に送信され、ECUでは、受信した検出信号に基づき、エンジンにおける燃料の噴射量の調整等の空燃比フィードバック制御が行われる。
【0003】
このような酸素センサは、排気通路内で排気ガスに晒され、長期間の使用に伴い経時劣化を生ずる虞があるため、ECUには、酸素センサの劣化を検知するプログラムや装置が組み込まれている。この劣化検知のためのプログラム等の動作を確認する試験を実車において行うにあたり、酸素センサが劣化したときに出力する劣化信号を擬似的に生成することができる劣化信号生成装置(劣化シミュレータ)が開発されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の劣化信号生成装置は、例えば試験対象車に取り付けた正常な酸素センサ(基準センサ)とECUとの間に介在して、基準センサから入力される検出信号を加工して擬似的に劣化信号を生成し、この劣化信号をECUに対して出力するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−93957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ECUは自動車の製造メーカごと、あるいは車種ごとに異なる規格に沿って設計されるため、ECUが自身の駆動にあたって電位の基準とする基準電位は、規格によって異なる場合がある。ECUに接続される酸素センサの基準電位は、接続先のECUの基準電位に応じたものとなるので、酸素センサからECUへ出力される検出信号も、その基準電位に応じた出力となる。ゆえに、上記の試験を精度よく行うには、ECUの基準電位にあわせた出力が可能な劣化信号生成装置を、製造メーカごと、あるいは車種ごとに用意する必要があった。
【0006】
また、ECUは、通常、自動車のバッテリから電力の供給を受けるが、自動車において、バッテリとECUとの配置関係は固定されており、電力供給ライン上における配線抵抗が大きくなりやすい。これに対し、劣化信号生成装置は配置位置を比較的自由に取り回すことができ、バッテリあるいは外部電源から電力の供給を受けても、その電力供給ライン上における配線抵抗は、上記のECUの場合と比べ、比較的小さい。劣化信号生成装置の基準電位をECUの基準電位と同電位にするため、例えば互いの基準電位を接地電位に接続したとしても、こうした配線抵抗等の影響により互いの基準電位にずれを生ずる場合があるため、試験の都度、各々の基準電位を完全な同電位とするのは難しい。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、外部装置とグランドの共通化を図った上で、動作環境に依存することなく精度の高い検出信号を取得して、劣化信号を生成することができる酸素センサの劣化信号生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様によれば、内燃機関の排気ガス中の酸素濃度に応じ、特定空燃比を境にして信号値が急変する検出信号を出力する酸素センサが劣化したときの前記検出信号の信号値を擬似的に生成し、劣化信号として外部装置に出力するとともに、前記外部装置とは異なる電源から電力の供給を受ける酸素センサの劣化信号生成装置であって、前記外部装置に電力を供給する第1電源の接地線と、自身が電力の供給を受ける第2電源の接地線とを電気的に接続する接続手段と、基準となる前記酸素センサである基準センサの基準電位側の第1出力線と酸素濃度に応じて電位の大きさが変動するセンサ電位側の第2出力線とのそれぞれに接続され、前記第1出力線の第1電位と前記第2出力線の第2電位とを取得する第1取得手段と、前記第1電位と前記第2電位との第1差分値を求める演算手段と、前記第1差分値に対し、所望する劣化状態に応じた演算を行い、第2差分値に加工する加工手段と、前記外部装置に前記酸素センサを接続した場合に前記第1出力線が接続される、前記外部装置の基準電位側の第1入力線から、前記第1入力線の第3電位を取得する第2取得手段と、前記第3電位に前記第2差分値を重畳した第4電位を信号値とする前記劣化信号を生成し、前記外部装置に前記酸素センサを接続した場合に前記第2出力線が接続される、前記外部装置のセンサ電位側の第2入力線に出力する出力手段と、を備えた酸素センサの劣化信号生成装置が提供される。
【0009】
第1態様において、外部装置と劣化信号生成装置とを異なる電源に接続しても、第1電源の接地線と第2電源の接地線とを電気的に接続することで、外部装置の基準電位と劣化信号生成装置の基準電位とをほぼ同じ電位とすることができる。これにより、基準センサ(酸素センサ)を外部装置に接続した場合と、劣化信号生成装置に接続した場合とにおいて、基準センサの電位基準となる第1電位を、ほぼ同一とすることができ、劣化信号生成装置が取得する検出信号の信号値を、本来、外部装置が取得する検出信号の信号値と同等のものとすることができる。また、基準センサの第1電位および第2電位を取得して第1差分値を求め、この第1差分値に対して加工を行うので、基準電位を基準にした加工ではないため、劣化信号生成装置の基準電位に変動が生じた場合でも、第1差分値に影響がなく、精度の高い加工を行うことができる。そして、外部装置から取得する第3電位に、加工によって得られた第2差分値を重畳した第4電位を信号値とする劣化信号を生成することで、劣化信号は、劣化信号生成装置の基準電位に依存せず、精度が高い。さらに、外部装置の基準電位が、第1電源に接続された負荷に起因したノイズやオフセットの影響を受けて変動しても、劣化信号の信号値の基準となる第3電位も同様に変動を示すこととなるので、第3電位と第4電位との差分、すなわち第2差分値には影響することがなく、精度が高い。
【0010】
本発明の第2態様によれば、内燃機関の排気ガス中の酸素濃度に応じ、特定空燃比を境にして信号値が急変する検出信号を出力する酸素センサが劣化したときの前記検出信号の信号値を擬似的に生成し、劣化信号として外部装置に出力するとともに、前記外部装置と同一の電源から電力の供給を受ける酸素センサの劣化信号生成装置であって、基準となる前記酸素センサである基準センサの基準電位側の第1出力線と酸素濃度に応じて電位の大きさが変動するセンサ電位側の第2出力線とのそれぞれに接続され、前記第1出力線の第1電位と前記第2出力線の第2電位とを取得する第1取得手段と、前記第1電位と前記第2電位との第1差分値を求める演算手段と、前記第1差分値に対し、所望する劣化状態に応じた演算を行い、第2差分値に加工する加工手段と、前記外部装置に前記酸素センサを接続した場合に前記第1出力線が接続される、前記外部装置の基準電位側の第1入力線から、前記第1入力線の第3電位を取得する第2取得手段と、前記第3電位に前記第2差分値を重畳した第4電位を信号値とする前記劣化信号を生成し、前記外部装置に前記酸素センサを接続した場合に前記第2出力線が接続される、前記外部装置のセンサ電位側の第2入力線に出力する出力手段と、を備えた酸素センサの劣化信号生成装置が提供される。
【0011】
第2態様において、外部装置と劣化信号生成装置とを同一の電源に接続することで、外部装置の基準電位と劣化信号生成装置の基準電位とをほぼ同じ電位とすることができる。これにより、基準センサ(酸素センサ)を外部装置に接続した場合と、劣化信号生成装置に接続した場合とにおいて、基準センサの電位基準となる第1電位を、ほぼ同一とすることができ、劣化信号生成装置が取得する検出信号の信号値を、本来、外部装置が取得する検出信号の信号値と同等のものとすることができる。また、基準センサの第1電位および第2電位を取得して第1差分値を求め、この第1差分値に対して加工を行うので、基準電位を基準にした加工ではないため、劣化信号生成装置の基準電位に変動が生じた場合でも、第1差分値に影響がなく、精度の高い加工を行うことができる。そして、外部装置から取得する第3電位に、加工によって得られた第2差分値を重畳した第4電位を信号値とする劣化信号を生成することで、劣化信号は、劣化信号生成装置の基準電位に依存せず、精度が高い。さらに、外部装置の基準電位が、第1電源に接続された負荷に起因したノイズやオフセットの影響を受けて変動しても、劣化信号の信号値の基準となる第3電位も同様に変動を示すこととなるので、第3電位と第4電位との差分、すなわち第2差分値には影響することがなく、精度が高い。
【0012】
第1態様または第2態様において、前記加工手段は、本発明の劣化信号生成装置を利用する利用者が所望する(任意に設定する)酸素センサの劣化状態(劣化モード)に応じて、前記検出信号の信号値のゲインを変化させるゲイン演算と、前記検出信号の信号値を上下させるオフセット演算と、酸素濃度変化に対応して前記検出信号が変化し始める時間を遅延させる時間特性演算と、酸素濃度変化に対応する前記検出信号の変化速度(時定数遅れ)を変化させる応答特性演算と、の少なくとも一つの演算を行い、前記第1差分値を前記第2差分値に加工してもよい。ゲイン演算、オフセット演算、時間特性演算、応答特性演算を行うことで、酸素センサの様々な劣化状態を再現することができ、各種試験や開発を、より確実に、より精度よく、より円滑に行うことができる。また、これらのゲイン演算等の各種演算は、空燃比が特定空燃比(例えば、理論空燃比)を境にしてリーン側からリッチ側に変化する場合と、リッチ側からリーン側に変化する場合とで、異なる挙動を示す劣化信号を個別に生成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態のセンサシミュレータ1の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】出力回路40の概略的な電気回路の構成を示す図である。
【図3】加工プログラムのフローチャートである。
【図4】ゲイン処理、オフセット処理、応答遅れ処理、無駄時間遅れ処理の概要について説明するための図である。
【図5】第2の実施の形態のセンサシミュレータ1の概略的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]以下、本発明を具体化した酸素センサの劣化信号生成装置の第1の実施の形態について、センサシミュレータ1を例に、図面を参照して説明する。本発明の対象とする酸素センサとしては、排気ガス中の酸素濃度に応じて変化すると共に特定空燃比(本実施の形態では、理論空燃比)を境にして出力値が急変する検出信号を出力する酸素センサ(いわゆるλ型酸素センサ)を、その一例とする。センサシミュレータ1には、基準センサ2として、正常で(劣化しておらず)、劣化を模擬したい対象品番の酸素センサと同構成の酸素センサを接続する。
【0015】
なお、酸素センサについては公知のものを使用しているため、その構造等の詳細については説明を省略するが、以下に、酸素センサに用いられるセンサ素子による排気ガスの空燃比(排気ガス中の酸素濃度)の検出原理について簡単に説明する。このセンサ素子は、活性温度以上で酸素イオン導電性を示す性質を有するジルコニア製の固体電解質体を一対の多孔質電極で挟んだ筒状ないしは板状をなす。この酸素センサ(センサ素子)は、固体電解質体で2つの雰囲気(一方の雰囲気が排気ガスで、他方の雰囲気が基準ガス雰囲気)を隔て、両雰囲気間で酸素分圧に差が生じたとき、固体電解質体内を酸素イオンが移動することに伴って起電力(検出信号)が生ずるのを利用して、酸素濃度の検出を行う。
【0016】
検出信号の信号値は、多孔質電極の一方の電極(OZ(−)電極)の電位を基準に、他方の電極(OZ(+)電極)との電位差で示され、排気ガスの空燃比が理論空燃比である場合を境にリッチ側とリーン側とで二値的に変動する。一般に、排気ガスの空燃比がリッチ側である(排気ガス中の酸素濃度が理論空燃比の酸素濃度に対して少ない)場合、検出信号の信号値(電位差)は、約0.9Vを示し、リーン側である(排気ガス中の酸素濃度が理論空燃比の酸素濃度に対して多い)場合、約0.05Vを示す。このような酸素センサの一例として、本実施の形態では、特開2004−138599号公報に開示する酸素センサを使用しているものとして説明することとする。この酸素センサは、筒型のセンサ素子にヒータを内挿させ、センサ素子の先端部をガス流通孔付きのプロテクタ内に配置させた形態で、主体金具の内側に当該センサ素子を保持させた構造をなすものである。酸素センサは、外部装置(後述のECU3)と接続するためのコネクタを有しており、このコネクタは、リード線、端子電極を介してセンサ素子のOZ(−)電極とOZ(+)電極とに電気的に接続された構造をなしている。
【0017】
図1に示すように、センサシミュレータ1は、自動車の排気通路(図示外)に取り付けられる酸素センサとしての基準センサ2と、自動車の電子制御を司る電子制御装置(ECU)3との間に介在される装置である。センサシミュレータ1は、基準センサ2のコネクタに接続されるレセプタクルと、基準センサ2の代わりにECU3に接続するコネクタを有する。基準センサ2は、上記のように、排気通路内を流通する排気ガス中の酸素濃度に応じた検出信号を出力し、この検出信号がセンサシミュレータ1に入力されている。センサシミュレータ1では、入力された検出信号に対し、マイクロコンピュータ10において後述する加工プログラムの実行によって検出信号の信号値を加工し、さらに後述する出力回路40を介して劣化信号を生成し、ECU3に対して出力を行っている。ECU3は、入力された劣化信号に基づき、図示外のエンジンの制御(例えば、インジェクタから噴射する燃料の噴射量や噴射タイミングの調整や、点火時期の調整など)を行っている。また、ECU3は、基準センサ2のヒータ回路(図示外)にヒータ駆動電圧の供給も行っており、センサ素子(図示外)の早期活性化や活性化後の安定化を図っている。
【0018】
センサシミュレータ1は、図示しないケーシング内に、自身の制御を司るCPU11と、後述する加工プログラム等が記憶された、書き換え可能なEEPROM12と、各種のデータを一時的に記憶するRAM13とを有するマイクロコンピュータ10を備えている。なお、マイクロコンピュータ10のCPU11、EEPROM12およびRAM13は公知の構成からなるものである。
【0019】
マイクロコンピュータ10には、A/Dコンバータ30を介し、入力インターフェイス20が接続されている。入力インターフェイス20を介して基準センサ2から入力される検出信号は、このA/Dコンバータ30によりA/D変換されて、マイクロコンピュータ10に入力される。詳細には、基準センサ2は、センサ素子のOZ(−)電極およびOZ(+)電極の電位を取り出すためのOZ(−)ポートおよびOZ(+)ポートをコネクタに有する。基準センサ2のOZ(−)ポートおよびOZ(+)ポートは、それぞれ、センサシミュレータ1の入力インターフェイス20のIN2ポートおよびIN1ポートに接続されている。なお、入力インターフェイス20が、本発明の「第1取得手段」に相当する。また、OZ(−)ポートおよびOZ(+)ポートが、本発明の「第1出力線」および「第2出力線」に相当する。
【0020】
また、入力インターフェイス20はCONポートを有し、CONポートは、センサシミュレータ1の基準電位GND_Aに接続されている。入力インターフェイス20は、CONポートを介して接続された基準電位GND_Aの電位を基準に、基準センサ2のOZ(−)ポートの電位と、OZ(+)ポートの電位とを取得し、それぞれ、A/Dコンバータ30に出力する。A/Dコンバータ30は、OZ(−)ポートの電位と、OZ(+)ポートの電位とをそれぞれA/D変換し、マイクロコンピュータ10に入力する。
【0021】
また、マイクロコンピュータ10には、D/Aコンバータ50が接続されている。D/Aコンバータ50には出力回路40が接続されており、このD/Aコンバータ50では、マイクロコンピュータ10において加工された検出信号の信号値を、アナログ処理を行う電気回路からなる出力回路40に出力するため、D/A変換が行われる。
【0022】
出力回路40は複数のオペアンプと抵抗を組み合わせてなるアナログ回路からなる。出力回路40の具体的な構成例を図2に示す。図2に示すように、出力回路40は、一例として、4つのオペアンプOP1,OP2,OP3,OP4、および8つの抵抗R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8により構成される。そのうち、オペアンプOP1,OP2,OP3と、抵抗R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7とは、公知の計測アンプ41を形成する。オペアンプOP2,OP3の非反転入力端子は、それぞれ計測アンプ41の入力端子42,43に接続されている。オペアンプOP2,OP3の反転入力端子は、それぞれ抵抗R3,R6を介して自身の出力端子に接続されると共に、抵抗R7を介して互いの反転入力端子に接続されている。また、オペアンプOP2の出力端子は、抵抗R2を介してオペアンプOP1の反転入力端子に接続され、さらに抵抗R1を介し、計測アンプ41の出力端子45に相当するオペアンプOP1の出力端子にも接続されている。一方、オペアンプOP3の出力端子は、抵抗R5を介してオペアンプOP1の非反転入力端子に接続され、さらに抵抗R4を介し、計測アンプ41の入力端子44にも接続されている。なお、計測アンプ41が、本発明における「出力手段」に相当する。
【0023】
そして、計測アンプ41の各端子は、それぞれ出力回路40の4つの入出力ポート(INポート,COMポート,OUTポート,REFポート)に接続されている。具体的に、入力端子42および入力端子43はそれぞれCOMポートおよびINポートに接続され、出力端子45はOUTポートに接続されている。また、入力端子44は、オペアンプOP4の出力端子に接続されており、さらに、抵抗R8を介し、オペアンプOP4の反転入力端子にも接続されている。オペアンプOP4の非反転入力端子は、REFポートに接続されている。図1に示すように、出力回路40のCOMポートは、センサシミュレータ1の基準電位GND_Aに接続されており、INポートは、上記のように、D/Aコンバータ50を介してマイクロコンピュータ10に接続されている。出力回路40のREFポートおよびOUTポートは、それぞれECU3の入力インターフェイス7のIN1ポートおよびIN2ポートに接続されている。なお、入力インターフェイス7のIN1ポートおよびIN2ポートが、本発明の「第1入力線」および「第2入力線」に相当する。
【0024】
後述するが、マイクロコンピュータ10において生成される劣化信号の出力電圧値は、センサシミュレータ1の基準電位GND_Aを基準とするものである。図2に示す、出力回路40では、オペアンプOP2,OP3により、INポートに入力される劣化信号の出力電圧値と、COMポートに入力される基準電位GND_Aとの差分が、オペアンプOP1に入力される。さらにオペアンプOP1には、REFポートから、ECU3の入力インターフェイス7のIN1ポートの電位が入力されている。オペアンプOP1は、基準電位GND_Bに、上記の劣化信号の出力電圧値と基準電位GND_Aとの電位差を重畳し、劣化信号として、OUTポートから入力インターフェイス7のIN2ポートに出力する。すなわち、劣化信号は、出力回路40によって、基準電位GND_Bを基準とする信号として、ECU3に入力される。なお、オペアンプOP4が、本発明における「第2取得手段」に相当する。
【0025】
次に、図1に示すように、マイクロコンピュータ10には、さらに、入力部60と表示制御部70とが接続されている。入力部60は、後述する加工プログラムに用いられる設定値等(利得率Gain、電圧値Offset、無駄時間Tの設定値など)を、本センサシミュレータ1の操作者が入力できるように設けられている。入力部60としては、例えばプッシュスイッチやロータリースイッチ等が用いられる。なお、入力された設定値等はEEPROM12に記憶され、センサシミュレータ1の電源が落とされた後に再度使用される場合にも、以前入力された設定値が保存される。表示制御部70は、入力された設定値等を操作者が確認できるように表示する表示部80の表示制御を行うため設けられている。表示部80としては、例えばLCDディスプレイ等が用いられる。
【0026】
また、図示しないが、センサシミュレータ1は電源回路等も備えており、BAT端子に、外部電源5の出力側のライン(点線で示す)が接続され、外部電源5から電力の供給を受ける。外部電源5の接地側のラインは、S_GND端子を介し、センサシミュレータ1の基準電位GND_Aに接続されている。
【0027】
次に、ECU3は、センサシミュレータ1の入力インターフェイス20と同様の入力インターフェイス7を有する。入力インターフェイス7は、IN1ポート、IN2ポート、CONポートを有し、上記したように、IN1ポートとIN2ポートとには、それぞれ出力回路40のREFポートおよびOUTポートが接続されている。入力インターフェイス7のCONポートは、ECU3の基準電位GND_Bに接続されている。さらに、基準電位GND_Bは、ECU3のE_GND端子を介し、自動車のバッテリ4の接地側のラインに接続されている。そしてECU3のBAT端子には、バッテリ4の出力側のライン(点線で示す)が接続されており、バッテリ4から電力の供給を受ける。なお、ECU3が、本発明の「外部装置」に相当し、バッテリ4が、本発明の「第1電源」に相当する。
【0028】
バッテリ4は、ECU3の他にも様々な機器(負荷)に電力を供給している。ECU3は、こうした負荷の稼動に伴う影響を受け、ノイズや電位のオフセットを生ずる場合がある。また、ECU3の基準電位GND_Bに接続された、バッテリ4の接地側のラインは、接続点P1において、接続線6で、センサシミュレータ1の基準電位GND_Aに接続された、外部電源5の接地側のライン上の接続点P2に接続されている。すなわち、ECU3の基準電位GND_Bと、センサシミュレータ1の基準電位GND_Aとは、グランドの共通化が図られている。なお、接続線6が、本発明の「接続手段」に相当する。
【0029】
本実施の形態のセンサシミュレータ1では、入力インターフェイス20のIN1ポートおよびIN2ポートの電位が、CONポートの電位(つまり基準電位GND_A)とは異なる電位となる回路構成を採っている。これにより、入力インターフェイス20では、基準電位GND_Aを基準に、基準センサ2のOZ(−)ポートの電位およびOZ(+)ポートの電位を得ることができる。また上記したように、ECU3の入力インターフェイス7は入力インターフェイス20と同様のものであり、入力インターフェイス7のIN1ポートおよびIN2ポートの電位が、CONポートの電位(つまり基準電位GND_B)と異なる電位となる回路構成を採っている。そして、ECU3とセンサシミュレータ1とのグランドの共通化によって、センサシミュレータ1の基準電位GND_Aと、ECU3の基準電位GND_Bとは、例えば配線抵抗等の違いにより若干の差を生ずる場合があるものの、ほぼ同じ電位となる。したがって、ECU3の入力インターフェイス7に基準センサ2を接続した場合と、センサシミュレータ1の入力インターフェイス20に基準センサ2を接続した場合とにおいて、基準センサ2の電位基準となるOZ(−)ポートの電位を、ほぼ同一とすることができ、センサシミュレータ1が取得する検出信号の信号値を、本来、ECU3が取得する検出信号の信号値と同等のものとすることができる。
【0030】
また、本実施の形態では、入力インターフェイス20において基準センサ2のOZ(−)ポートの電位およびOZ(+)ポートの電位を得て、A/Dコンバータ30を介して、それぞれの電位がマイクロコンピュータ10に入力される。マイクロコンピュータ10は、後述する加工プログラムの実行に従い、OZ(+)ポートの電位に対する加工ではなく、OZ(−)ポートとOZ(+)ポートとの電位差に対して加工を行う。ゆえに、センサシミュレータ1の基準電位GND_Aに変動が生じた場合でも、OZ(−)ポートとOZ(+)ポートとの電位差には影響を生じないため、検出信号の信号値に対して精度の高い加工を行うことができる。
【0031】
そして出力回路40は、REFポートからECU3の入力インターフェイス7のIN1ポートの電位を取得し、この電位に、加工後のOZ(−)ポートとOZ(+)ポートとの電位差を重畳し、OUTポートから、入力インターフェイス7のIN2ポートに出力する。上記したようにグランドが共通化されているため、基準電位GND_Bを基準とする入力インターフェイス7のIN1ポートの電位は、基準電位GND_Aを基準としても特定することができる。よって、基準電位GND_Aと基準電位GND_Bとの間に配線抵抗等の違いに起因したずれが生じても、ECU3が取得する劣化信号の信号値は、ECU3の基準電位GND_BをもととするIN1ポートの電位を基準とするものであるため、基準電位GND_Aに依存しないため、ずれの影響を受けず、精度が高い。
【0032】
また、上記したようにECU3の基準電位GND_にノイズや電位のオフセットを生じた場合、センサシミュレータ1の基準電位GND_Aを基準とすれば、基準電位GND_Bは、ノイズやオフセットの影響を受けて変動する。しかし、ECU3は基準電位GND_Bを基準に動作するものである。ECU3の基準電位GND_BをもとにするIN1ポートの電位がノイズやオフセットの影響を受けて変動しても、IN1ポートの電位に重畳(加算)してIN2ポートに入力される劣化信号の信号値も、同様の変動を示すこととなり、IN2ポートとIN1ポートの電位差には影響することがないので、精度が高い。
【0033】
次に、劣化信号の生成過程について説明する。劣化信号は、基準センサ2の検出信号の信号値(OZ(−)ポートおよびOZ(+)ポートの電位差)を、マイクロコンピュータ10において、加工プログラムの実行によって加工し、出力回路40で、ECU3のIN1ポートの電位に重畳して生成される。加工プログラムでは、検出信号の信号値に対し、ゲイン処理、オフセット処理、応答遅れ処理、無駄時間遅れ処理を施す。ゲイン処理、オフセット処理、応答遅れ処理、無駄時間遅れ処理の具体的な処理方法については公知であり、以下では概略的な説明を行うものとする。ゲイン処理、応答遅れ処理、無駄時間遅れ処理の詳細については、例えば、特開2007−315210号公報を参照されたい。また、オフセット処理の詳細については、例えば、特開2008−203152号公報を参照されたい。なお、ゲイン処理、オフセット処理、応答遅れ処理、無駄時間遅れ処理が、それぞれ、本発明における「ゲイン演算」、「オフセット演算」、「応答特性演算」、「時間特性演算」に相当する。
【0034】
検出信号の信号値に対する加工は、マイクロコンピュータ10で実行される加工プログラムに従って、所定時間(例えば1msec)ごとに行われる。図3に示すように、マイクロコンピュータ10のCPU11は、A/Dコンバータ30を介して入力インターフェイス20から入力される、基準センサ2のOZ(−)ポートおよびOZ(+)ポートの電圧(電圧値)を読み込み、差分値を算出する。算出した差分値は、変数Vdifとして、RAM13に記憶される(S11)。なお、S11で、基準センサ2のOZ(−)ポートおよびOZ(+)ポートの電圧の差分値(第1差分値)を演算するCPU11が、本発明の「演算手段」に相当する。
【0035】
この変数Vdifに対し、あらかじめ設定された利得率Gainを掛け合わせ、演算結果を変数Vdifに上書きするゲイン処理(Vdif←Vdif×Gain)が行われる(S13)。ゲイン処理は、検出信号の信号値に利得率Gainを掛け、増幅あるいは減衰させる処理である。例えば、図4に例示するように、(A)に示す、もとの(基準となる)検出信号に対してゲイン処理(ここでは減衰)を施せば、(B)に示すように、利得率Gainに応じて信号値が増加あるいは減少(ここでは減少)した検出信号に加工することができる。
【0036】
次に、変数Vdifに対し、あらかじめ設定された電圧値Offsetを重畳し、演算結果を変数Vdifに上書きするオフセット処理(VVdif←Vdif+Offset)が行われる(S15)。オフセット処理は、検出信号の信号値を所定の電圧値Offset分ずらす処理である。例えば、図4に例示するように、(A)に示す、もとの(基準となる)検出信号に対してオフセット処理(ここでは正の電圧値Offsetを重畳)を施せば、(C)に示すように、信号値を上下にずらした(ここでは上側にずらした)検出信号に加工することができる。
【0037】
次いで、変数Vdifに対し、例えば一次遅れの伝達関数を適用した演算を行ってなまし、演算結果を変数Vdifに上書きする応答遅れ処理(Vdif←Vdif×1/(1+τs))が行われる(S17)。応答遅れ処理は、検出信号の信号値の変化の度合いを緩慢化させて変動させる(なます)処理である。一次遅れの伝達関数G(s)は、以下の式によって表される。
G(s)=k/(1+τs)、ただし、τ:時定数、k:ゲイン(ここではk=1)とする。
例えば、図4に例示するように、(A)に示す、もとの(基準となる)検出信号に対して応答遅れ処理を施せば、(D)に示すように、もとの検出信号と比べ、信号値の変化が緩慢になり、もとの検出信号に遅れて追従する変化を表す検出信号に加工することができる。
【0038】
さらに、変数Vdifに対し、無駄時間遅れ処理が行われる。無駄時間遅れ処理は、検出信号を、あらかじめ無駄時間として設定された時間T後に出力する処理である。例えば、図4に例示するように、(A)に示す、もとの検出信号に対して無駄時間遅れ処理を施せば、(E)に示すように、もとの検出信号よりもタイミングが遅れた検出信号を生成することができる。
【0039】
無駄時間遅れ処理では、上記のように、ゲイン処理、オフセット処理、応答遅れ処理が施された、現在の変数Vdifに、経過時間情報(初回の経過時間は0)を付加した上で(S19)、RAM13に一旦保存する(S21)。次に、保存されているすべての変数Vdifの経過時間を、それぞれ、単位時間分進める(S23)。そして、経過時間情報として保持する経過時間が無駄時間Tに達した変数Vdifを、加工後の検出信号の信号値として、D/Aコンバータ50を介して出力回路40に出力される(S25)。一方で、今回取得されS21でRAM13に記憶された変数Vdifは、無駄時間Tが経過するまで、RAM13に保持されることとなる。
【0040】
検出信号の信号値に対し、上記S11〜S25の各処理が行われた後、所定時間(例えば1msec)の経過を待って(S27:NO)、S11に戻ることで(S27:YES)、新たに取得される検出信号の信号値に対しても、加工が施される。なお、S13〜S25の各処理を行って加工後の検出信号の信号値(第2差分値)を演算するCPU11が、本発明の「加工手段」に相当する。
【0041】
[第2の実施の形態]次に、酸素センサの劣化信号生成装置の第2の実施の形態について、図5を参照して説明する。第2の実施の形態は、センサシミュレータ1の電力の供給先を、ECU3と同じバッテリ4としたものである。図5に示すように、バッテリ4の出力側のライン(点線で示す)を、センサシミュレータ1のBAT端子に接続し、同様に、バッテリ4の接地側のラインを、接続点P1から分岐して、S_GND端子を介し、センサシミュレータ1の基準電位GND_Aに接続している。基準センサ2、ECU3、およびセンサシミュレータ1の構成は、第1の実施の形態と同様である。ECU3の基準電位GND_Bと、センサシミュレータ1の基準電位GND_Aとを、ともに、バッテリ4の接地側のラインに接続することで、グランドの共通化を行っている。このように、センサシミュレータ1の電力の供給をバッテリ4から行えば、ECU3とのグランドの共通化を容易に行うことができる。センサシミュレータ1の動作についても、第1の実施の形態と同様である。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限られず、各種の変形が可能である。例えば、出力回路40の構成に計測アンプ41を用いたが、必ずしも電気回路に計測アンプを組み込む必要はなく、増幅器を用いて、ECU3の基準電位に、加工後の検出信号の信号値を重畳(加算)できる電気回路を有すればよい。
【0043】
また、加工プログラムでは、ゲイン処理、オフセット処理、応答遅れ処理、無駄時間遅れ処理を順に行ったが、各処理はそれぞれ独立して実行することが可能であり、一部の処理を行わずともよく、少なくとも一つ以上の処理が実行されればよい。また、処理順についても任意に変更可能である。また、検出信号のゲインや応答遅れの度合い、無駄時間を変更する場合、ゲインを変更するための利得率Gain、伝達関数G(s)の時定数τ、無駄時間Tについて、目標空燃比がリッチ側からリーン側へ変更された場合と、リーン側からリッチ側へ変更された場合とで、それぞれ個別に設定できるようにすると、精密な空燃比フィードバック制御を実現可能なシステムの開発をより高度に行えるセンサシミュレータ1を提供できる観点から、なおよい。
【0044】
また、本実施の形態では、加工プログラムを実行することでソフトウェア的に検出信号の信号値を加工したが、ロジック回路を構成したアナログまたはデジタル回路を作製し、信号値を加工できるようにしてもよい。また、例えばUSBやRS232C等の入出力インターフェイスを備え、対応するケーブルを用いてパーソナルコンピュータに接続し、設定値等の入力や表示確認等を行ってもよい。また、基準センサ2の検出信号や、生成した劣化信号を、USBやRS232C等の入出力インターフェイスを介してパーソナルコンピュータに出力し、パーソナルコンピュータ上で出力波形を生成してモニタリングできるようにしてもよいし、もちろん、表示部80に出力波形を表示させてもよい。また、このセンサシミュレータ1に接続される酸素センサ(基準センサ)2としては、理論空燃比を境にして出力が急変するものに限られず、固体電解質体に設けられる測定電極(排気ガスに晒される電極)上に適宜の触媒層を形成し、理論空燃比から所定の値だけリッチ側あるいはリーン側にシフトした空燃比を境にして出力が急変するものにも適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 センサシミュレータ
2 基準センサ
3 ECU
4 バッテリ
5 外部電源
6 接続線
10 マイクロコンピュータ
11 CPU
20 入力インターフェイス
41 計測アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ガス中の酸素濃度に応じ、特定空燃比を境にして信号値が急変する検出信号を出力する酸素センサが劣化したときの前記検出信号の信号値を擬似的に生成し、劣化信号として外部装置に出力するとともに、前記外部装置とは異なる電源から電力の供給を受ける酸素センサの劣化信号生成装置であって、
前記外部装置に電力を供給する第1電源の接地線と、自身が電力の供給を受ける第2電源の接地線とを電気的に接続する接続手段と、
基準となる前記酸素センサである基準センサの基準電位側の第1出力線と酸素濃度に応じて電位の大きさが変動するセンサ電位側の第2出力線とのそれぞれに接続され、前記第1出力線の第1電位と前記第2出力線の第2電位とを取得する第1取得手段と、
前記第1電位と前記第2電位との第1差分値を求める演算手段と、
前記第1差分値に対し、所望する劣化状態に応じた演算を行い、第2差分値に加工する加工手段と、
前記外部装置に前記酸素センサを接続した場合に前記第1出力線が接続される、前記外部装置の基準電位側の第1入力線から、前記第1入力線の第3電位を取得する第2取得手段と、
前記第3電位に前記第2差分値を重畳した第4電位を信号値とする前記劣化信号を生成し、前記外部装置に前記酸素センサを接続した場合に前記第2出力線が接続される、前記外部装置のセンサ電位側の第2入力線に出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする酸素センサの劣化信号生成装置。
【請求項2】
内燃機関の排気ガス中の酸素濃度に応じ、特定空燃比を境にして信号値が急変する検出信号を出力する酸素センサが劣化したときの前記検出信号の信号値を擬似的に生成し、劣化信号として外部装置に出力するとともに、前記外部装置と同一の電源から電力の供給を受ける酸素センサの劣化信号生成装置であって、
基準となる前記酸素センサである基準センサの基準電位側の第1出力線と酸素濃度に応じて電位の大きさが変動するセンサ電位側の第2出力線とのそれぞれに接続され、前記第1出力線の第1電位と前記第2出力線の第2電位とを取得する第1取得手段と、
前記第1電位と前記第2電位との第1差分値を求める演算手段と、
前記第1差分値に対し、所望する劣化状態に応じた演算を行い、第2差分値に加工する加工手段と、
前記外部装置に前記酸素センサを接続した場合に前記第1出力線が接続される、前記外部装置の基準電位側の第1入力線から、前記第1入力線の第3電位を取得する第2取得手段と、
前記第3電位に前記第2差分値を重畳した第4電位を信号値とする前記劣化信号を生成し、前記外部装置に前記酸素センサを接続した場合に前記第2出力線が接続される、前記外部装置のセンサ電位側の第2入力線に出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする酸素センサの劣化信号生成装置。
【請求項3】
前記加工手段は、所望する劣化状態に応じて、
前記検出信号の信号値のゲインを変化させるゲイン演算と、
前記検出信号の信号値を上下させるオフセット演算と、
前記測定対象ガス中の特定成分の濃度変化に対応して前記検出信号が変化し始める時間を遅延させる時間特性演算と、
前記測定対象ガス中の特定成分の濃度変化に対応する前記検出信号の変化速度を変化させる応答特性演算と、
の少なくとも一つの演算を行い、前記第1差分値を前記第2差分値に加工することを特徴とする請求項1または2に記載の酸素センサの劣化信号生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−149780(P2011−149780A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10429(P2010−10429)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】