説明

酸素濃縮器

【課題】インバータでモータの回転数を制御する装置において、電源電圧の異常を検出し、モータの回転数が異常となった場合等の原因を容易に把握することができる酸素濃縮器を提供する。
【解決手段】酸素濃縮器に供給される電源の電圧を監視し、電源の電圧の異常が検出された場合には、その電源の電圧の異常に関するデータを記録するとともに、コンプレッサのモータの回転数を監視し、回転数の異常が検出された場合には、その回転数の異常に関するデータを記録する。そして、モータの回転数が異常となった場合に、電源の電圧の状態を調べることにより、電源の電圧の異常とモータの回転数の異常との関連性を把握することができるので、モータの回転数が異常となった場合の異常の原因を容易に把握することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、酸素より窒素を優先的に吸着する吸着剤を用いて生成した高濃度の酸素(酸素濃縮ガス)を患者等に供給する圧力変動吸着型の酸素濃縮器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、呼吸器系疾患の最も効果的な治療法の一つとして、酸素吸入療法が知られている。この酸素吸入療法とは、酸素ガス或いは酸素濃縮ガスを患者に供給する方法であり、その供給源として、最近では、空気中から酸素濃縮ガスを直接分離できる酸素濃縮器が開発されている。
【0003】
かかる酸素濃縮器としては、例えば窒素又は酸素を選択吸着して得られる吸着剤を用いた吸着型酸素濃縮器が知られており、この吸着型酸素濃縮器としては、コンプレッサを用いた圧力変動吸着型酸素濃縮器が使用されている。
【0004】
この酸素濃縮器においては、コンプレッサを駆動するモータの回転数を、インバータを用いて制御する技術が知られている、また、酸素濃縮器の動作の異常を監視して、酸素濃縮器を常に好適に制御するために各種の技術が提案されている。
【0005】
例えば、酸素濃縮器のコンプレッサのモータとしてDCブラシレスモータを用い、このDCブラシレスモータの回転数を検出して、その回転数が所定の回転数となるように、インバータを利用して制御する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、酸素濃縮器の電源のオン、オフを監視し、停電があった場合に、自動的に酸素ボンベに切り換える技術が提案されている(特許文献2参照)。
更に、酸素濃縮器の電源電圧に関する技術として、電源電圧を監視することによって、コンプレッサのモータに供給する電圧を制御して電力を低減する技術も提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−263441号公報
【特許文献2】特開2007−190314号公報
【特許文献3】特開2001−25507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、インバータによってコンプレッサのモータの回転数を制御する場合には、何らかの原因で商用電源の電圧が低下すると、狙いの回転数でモータを制御できなくなることがある。
【0009】
そして、狙いの回転数でモータが制御できない場合には、酸素濃縮器で発生させる酸素濃縮ガスの濃度(酸素濃度)や流量に異常が生ずることがあるので、この対策として、回転数に異常が発生した場合には、マイクロコンピュータで警報を発する仕組みとなっている。
【0010】
ところが、回転数の異常が発生した場合に警報を発生させるだけでは、回転数の異常の原因を解明するためには、十分ではない。つまり、回転数の異常の原因を解明するためには、調査の際に異常を再現することが重要であるが、単に回転数の異常が発生したことが分かるだけでは、原因を十分に解明できないという問題があった。
【0011】
すなわち、回転数に影響を与える商用電源の異常を把握していない場合には、回転数の異常の原因を解明できないという問題があった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、インバータでモータの回転数を制御する装置において、電源電圧の異常を検出し、モータの回転数が異常となった場合等の原因を容易に把握することができる酸素濃縮器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
・前記課題を解決するためになされた本発明は、空気を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサを駆動するモータの回転数を制御するインバータとを備え、前記コンプレッサを駆動して空気を圧縮するとともに、前記空気中の酸素を分離して酸素濃縮ガスを発生させる酸素濃縮器において、前記酸素濃縮器に供給される電源の電圧を監視する監視手段と、前記監視手段によって、前記電源の電圧の異常が検出された場合には、その電源の電圧の異常に関するデータを記録する電圧異常記録手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明では、酸素濃縮器に供給される電源の電圧を監視し、電源の電圧の異常が検出された場合には、その電源の電圧の異常に関するデータを記録するので、電源の電圧を確実に把握することができる。
【0014】
従って、例えばモータの回転数が異常となった場合に、電源の電圧の状態を調べることにより、電源の電圧の異常とモータの回転数の異常との関連性を把握することができる。よって、モータの回転数が異常となった場合に、その回転数の異常の原因を容易に解明することができる。
【0015】
・本発明においては、前記モータの回転数を検出する回転数検出手段と、前記回転数検出手段によって検出されたモータの回転数が異常であることを検出する異常検出手段と、前記異常検出手段によって前記モータの回転数の異常が検出された場合には、そのモータの回転数の異常に関するデータを記録する回転数異常記録手段と、を備えることが好ましい。
【0016】
つまり、モータの回転数の異常が検出された場合に、モータの回転数の異常に関するデータを記録することにより、電源の電圧の異常とモータの回転数の異常との関連性を調べることが容易になる。
【0017】
・本発明においては、前記モータの回転数の異常のデータと前記電源の電圧の異常のデータとに基づいて、前記モータの回転数の異常が検出された場合における前記電源の電圧の異常の状態を調べることにより、前記回転数の異常が前記電源の電圧の異常による可能性があるか否かを判定することが好ましい。
【0018】
つまり、モータの回転数の異常が検出された場合に電源の電圧の異常があれば、回転数の異常が電源の電圧の異常による可能性があると判定することができるので、回転数の異常の原因の把握が容易になる。
【0019】
・本発明においては、前記回転数の異常が前記電源の電圧の異常による可能性がある場合には、そのことを報知することが好ましい。
つまり、回転数の異常が電源の電圧の異常による可能性があることが報知された場合には、使用者はそれに応じた対策(装置を調べたり、メンテナンスの依頼等)を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1の酸素濃縮器の基本構成を示す説明図である。
【図2】実施例1の酸素濃縮器の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1の酸素濃縮器の電子制御装置の電気的構成を示す説明図である。
【図4】実施例1の異常判定の処理を示すフローチャートである。
【図5】実施例2の酸素濃縮器の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】実施例2の比較回路の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の最良の形態の例(実施例)について説明する。
【実施例1】
【0022】
本実施例では、空気中から窒素吸着剤(以下吸着剤と記す)を用いて窒素を吸着して除去することにより酸素を濃縮し、この高濃度の酸素を含む酸素濃縮ガスを患者に対して供給する圧力変動吸着型の医療用酸素濃縮器(以下酸素濃縮器と記す)を例に挙げる。
【0023】
a)まず、本実施例の酸素濃縮器の概略構成について説明する。
図1に示す様に、酸素濃縮器1において、空気取入口3及び防塵フィルタ5を介して周囲の空気が導入され、導入された空気は、吸気フィルタ7及び吸気マフラ9を介してコンプレッサ11に吸入される。
【0024】
コンプレッサ11は、モータ13の回転により、吸入空気を圧縮して高圧空気を生成し、生成された高圧空気は、チェック弁15、17、供給弁(第1供給弁19、第2供給弁21)を介して、一対の吸着筒(第1吸着筒23、第2吸着筒25)に供給される。
【0025】
供給弁19、21から吸着筒23、25に至る高圧空気の供給経路には、それぞれ排気弁(第1排気弁27、第2排気弁29)が接続されており、排気弁27、29の開弁時には、各吸着筒23、25を大気に開放できる。
【0026】
吸着筒23、25には、空気中の窒素を優先的に吸着して酸素を分離するゼオライト系の吸着剤が充填されている。そして、排気弁27、29が閉弁状態にあるとき、チェック弁15、17及び供給弁19、21を介して、コンプレッサ11から高圧空気が供給されると、その空気中から窒素を吸着して酸素濃縮ガスを生成し、酸素濃縮ガスをチェック弁31、33を介して製品タンク35側に送出する。
【0027】
なお、吸着筒23、25からチェック弁31、33に至る酸素濃縮ガスの吐出経路には、両吸着筒23、25の吐出側を連通する連通路37が設けられ、その連通路37には、オリフィス39、41を介して電磁弁からなるパージ弁43が設けられている。
【0028】
また、製品タンク35の下流側には、酸素濃縮ガスの圧力を調節する圧力調節器45が設けられ、圧力調整器45で調圧された酸素濃縮ガスは、流量設定器47によって流量が設定された後に、加湿器49まで送られ、加湿器49にて加湿された後、排出口51を介して、外部に排出される。
【0029】
更に、酸素濃縮ガスの排出経路には、酸素濃縮ガスの酸素濃度を検出する酸素センサ53が設けられている。
b)次に、酸素濃縮器1の電気的構成について説明する。
【0030】
図2に示す様に、本実施例の酸素濃縮器1は、その電気的構成として、100Vの交流電流が使用されるAC100V系(電源系)57と、12Vの直流電流及び5Vの直流電流が使用されるDC12V・DC5V系(信号系)59とを備えており、電源系57と信号系59とは、電気的に絶縁されている。
【0031】
つまり、前記電源系57と信号系59とは、第1〜第3フォトカプラ61、63、65により電気的に絶縁されている状態で、信号の送受信が可能であり、また、AC−DC電源67により、電気的に絶縁された状態で、電力の授受が可能である。以下、詳細に説明する。
【0032】
電源系57において、商用電源(100V)69は、抵抗71を介して、第3フォトカプラ65の入力側に接続されている。
この第3フォトカプラ65(他の第1、2フォトカプラ61、63も同様)は、入力側の発光素子がフォトダイオードで、出力側の受光素子がフォトトランジスタからなる光学素子であり、フォトダイオードにて電気信号が変換されて出力された光を、フォトトランジスタにて受光して電気信号に変換することにより、(電気的に絶縁された状態で)入力側から出力側に信号を送信することが可能である。
【0033】
一方、信号系59においては、第3フォトカプラ65の出力側は、ピークホールド回路73及び増幅回路75を介して、電子制御装置77に接続されているので、第3フォトカプラ65の出力側のフォトトランジスタにて光から変換された電気信号は、ピークホールド回路73及び増幅回路75を介して、電子制御装置77に入力する。
【0034】
なお、フォトダイオードから出力される光の強度はほぼ電圧に比例しており、フォトトランジスタでは受光した光の強度にほぼ比例して電圧が出力されるので、フォトトランジスタの出力に基づいて、商用電源69の電圧を検出することができる。
【0035】
従って、商用電源69の電圧は、抵抗71、第3フォトカプラ65、ピークホールド回路73、増幅回路75を介して、電子制御装置77にて検出することができるので、電子制御装置77では、検出した電圧(ピークホールド回路73にて保持されたピーク電圧に対応した電圧)に基づいて、商用電源69の電圧異常を監視することができる。
【0036】
また、電源系57において、商用電源69は、リレー79を介して、インバータ81に接続されており、インバータ81はコンプレッサ11のモータ13に接続されている。なお、インバータ81により、モータ13の回転数を制御することができる。
【0037】
このモータ13は、ブラシレスモータであり、モータ13には、その回転子の回転位置を検出する磁気センサ55が設けられている。磁気センサ55の出力は、インバータ81に入力され、インバータ81では、磁気センサ55から入力された信号がモータ13の回転数信号に変換される。また、このインバータ81は、第2フォトカプラ63の入力側に接続されている。
【0038】
一方、信号系59においては、第2フォトカプラ63の出力側は電子制御装置77に接続されているので、第2フォトカプラ63の出力側からの信号は、電子制御装置77に入力する。
【0039】
従って、インバータ81から出力されるモータ13の回転数信号は、第2フォトカプラ63を介して、電子制御装置77にて検出することができるので、電子制御装置77では、検出した回転数に基づいて、モータ13の回転数の異常を監視することができる。
【0040】
更に、電源系57において、商用電源69は、AC−DC電源67の1次側に接続されており、一方、信号系59においては、DC−DCコンバータ83は、AC−DC電源67の2次側に接続されている。
【0041】
前記AC−DC電源67とは、トランス内蔵の絶縁型AC/DCコンバータであり、商用電源の交流の100Vを(例えば12Vに)降下させて直流に変換する装置である。なお、DC−DCコンバータ83は、例えば12Vと(12Vを降下させた)5Vの出力が可能なコンバータであり、12Vの電圧は、各電磁弁(供給弁19、21、排気弁27、29、パージ弁43)等を駆動するために用いられ、5Vの電圧は、電子制御装置77に供給される。
【0042】
また、上述した電源系57から信号系59への回路とは別に、信号系59においては、第1フォトカプラ61の入力側に電子制御装置77が接続され、電源系57においては、第1フォトカプラ61の出力側にインバータ81が接続されている。
【0043】
従って、電子制御装置77から第1フォトカプラ61を介してインバータ81に対して、インバータ81を制御する信号が出力される。
c)次に、前記電子制御装置77について説明する。
【0044】
図3に示す様に、電子制御装置77は、周知のマイクロコンピュータ(マイコン)85や、各種のデータを記憶するメモリ(例えばEEPROM)87を備えている。
マイコン85の入力部89には、電源スイッチ91や酸素センサ53が接続さるとともに、第2フォトカプラ63を介してインバータ81が接続され、更に、第3フォトカプラ65等を介して商用電源69が接続されている。
【0045】
一方、マイコン85の出力部92には、スピーカ(ブザー)93、運転ランプ95、異常ランプ97、流量表示器99、外部積算時間表示器101、酸素濃度ランプ103、供給弁19、21、排気弁27、29、パージ弁43、リレー79等が接続されるとともに、第1フォトカプラ61を介してインバータ81が接続されている。
【0046】
d)次に、電子制御装置77にて行われる処理について説明する。
なお、本実施例では、下記ステップ100〜120に示す様に、少なくとも電源電圧の異常を検出した際に、その異常に関するデータを記録すればよいが(また、適宜、異常を報知すればよいが)、更に、下記に示すステップ130〜180の処理を行ってもよい。
【0047】
図4に示す様に、まず、ステップ(S)100にて、商用電源69の電圧を示す信号を入力する。
続くステップ110では、入力した信号に基づいて、商用電源69の電圧に異常があるか否かを判定し、ここで肯定判断されるとステップ120に進み、一方否定判断されるとステップ130に進む。
【0048】
例えば100Vを基準として、所定の範囲(例えば90V〜110V)の範囲を正常電圧の範囲として設定し、商用電源69の電圧がその正常電圧の範囲から外れた否か(例えば電圧が90V未満となったか否か)によって、電圧の異常があるか否かを判定する。
【0049】
ステップ120では、商用電源69の電圧に異常があるので、異常が有る旨や、異常値(電圧)や、その時刻等のデータをメモリ87に記録する。
なお、その際には、商用電源69に異常が発生したことを、例えばスピーカ93や異常ランプ97や外部積算時間表示器101等により報知する。
【0050】
ステップ130では、モータ13の回転数を示す信号を入力する。
続くステップ140では、入力した信号に基づいて、モータ13の回転数に異常があるか否かを判定し、ここで肯定判断されるとステップ150に進み、一方否定判断されるとステップ160に進む。
【0051】
例えば目標とする所定の回転数(例えば1150rpm)を中心して所定の回転数幅(例えば±50rpm)の範囲を正常な回転数の範囲として設定し、実際のモータ13の回転数がその正常な回転数の範囲から外れた否か(例えば回転数が1100rpmを超えて低下したか)によって、回転数の異常があるか否かを判定する。
【0052】
ステップ150では、モータ13の回転数69に異常があるので、異常が有る旨や、異常値(回転数)や、その時刻等のデータをメモリ87に記録する。
なお、その際には、モータ13の回転数に異常が発生したことを、例えばスピーカ93や異常ランプ97や外部積算時間表示器101等により報知する。
【0053】
ステップ160では、メモリ87に記憶されている商用電源69の電圧の異常データとモータ13の回転数の異常データとを対比する。
具体的には、両異常データを対比する際に、回転数の異常が発生した時刻と電圧の異常が発生した時刻に着目し、電圧異常が発生したときに回転数異常が発生したか否かを判定する。ここで、肯定判断されるとステップ170に進み、一方否定判断されるとステップ180に進む。
【0054】
ステップ180では、電圧異常が発生したときに回転数異常が発生したので、回転数異常の原因が電圧異常である可能性が高いと判断して、その旨を出力し、一旦本処理を終了する。つまり、回転数異常の原因が電圧異常である可能性が高いと判断された場合には、そのことをメモリ87に記録するとともに、例えばスピーカ93や各種の表示装置(例えば外部積算時間表示器101等)を用いて警告する。
【0055】
一方、ステップ180では、電圧異常が発生していないときに回転数異常が発生したので、回転数異常の原因が電圧異常である可能性はないと判断して、その旨を出力し、一旦本処理を終了する。
【0056】
e)この様に、本実施例では、酸素濃縮器1に供給される電源の電圧を第3フォトカプラ65を介して監視し、電源の電圧の異常が検出された場合には、その電源の電圧の異常に関するデータを記録する。また、コンプレッサ11のモータ13の回転数を第2フォトカプラ63を介して監視し、回転数の異常が検出された場合には、その回転数の異常に関するデータを記録する。
【0057】
そして、モータ13の回転数が異常となった場合に、電源の電圧の状態を調べることにより、電源の電圧の異常とモータ13の回転数の異常との関連性を把握することができるので、モータ13の回転数が異常となった場合の異常の原因を容易に把握することができる。
【0058】
また、回転数異常の原因が電圧異常である可能性が高いと判断された場合には、そのことを音声や文字等によって周囲に報知するので、使用者はその報知に応じて、必要な対策を速やかにとることができる。
【実施例2】
【0059】
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例は、実施例1とは、酸素濃縮器の電気的構成が異なるので、異なる点を中心にして説明する。
【0060】
図5に示す様に、本実施例の酸素濃縮器は、前記実施例1と同様に、その電気的構成として、100Vの交流電流が使用されるAC100V系(電源系)101と、12Vの直流電流及び5Vの直流電流が使用されるDC12V・DC5V系(信号系)103とを備えており、電源系101と信号系103とは、電気的に絶縁されている。
【0061】
前記電源系101と信号系103とは、第1〜第3フォトカプラ105、107、109により電気的に絶縁されている状態で、信号の送受信が可能であり、また、AC−DC電源111により、電気的に絶縁された状態で、電力の授受が可能である。以下、詳細に説明する。
【0062】
電源系101において、商用電源113は、分圧回路115及び比較回路117を介して、第3フォトカプラ109の入力側に接続されている。
つまり、図6に示す様に、商用電源113の電圧は、抵抗141、143を有する分圧回路115により分圧され、電圧V1が取り出されるが、この電圧V1は比較回路(コンパレータ)117の一方の端子に入力される。また、比較回路117の他方の端子には基準電圧V0が入力される。
【0063】
従って、この比較回路117では、分圧電圧V1と基準電圧V0とを比較し、分圧電圧V1が基準電圧V0を上回った場合のみ、出力端子からオンの信号が出力される。ここで商用電源113は交流であるので、比較回路117の出力端子からは、交流の電圧の変動に対応して出力がオンオフに切り換えられたパルス状の信号が出力される。
【0064】
図5に戻り、このパルス状の信号は、第3フォトカプラ109の入力側に入力するので、出力側からは、パルス状の入力信号に対応した出力信号が電子制御装置(従ってマイコン)119に入力される。
【0065】
なお、本実施例では、前記第3フォトカプラ109に関する信号の経路以外は、前記実施例1と同様であるので、簡単に説明する。
具体的には、電源系101において、商用電源113は、リレー121を介して、インバータ123に接続されており、インバータ123はコンプレッサ125のモータ127に接続されている。このモータ127には、実施例1と同様な磁気センサ129が配置されており、磁気センサ127の出力を受けるインバータ123は、第2フォトカプラ107の入力側に接続されている。一方、信号系103においては、第2フォトカプラ107の出力側は、電子制御装置119に接続されている。
【0066】
また、電源系101において、商用電源113は、AC−DC電源111の1次側に接続されており、一方、信号系103においては、DC−DCコンバータ131は、AC−DC電源111の2次側に接続されている。
【0067】
更に、前記電源系101から信号系103への回路とは別に、信号系103においては、第1フォトカプラ105の入力側に電子制御装置119が接続され、電源系101においては、第1フォトカプラ105の出力側にインバータ123が接続されている。
【0068】
本実施例においても、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、商用電源113の電圧は、分圧回路115及び比較回路117を介して、第3フォトカプラ109の入力側に接続され、基準電圧に基づいたオンオフの信号が電子制御装置119に入力されるので、第3フォトカプラ109の特性が温度によってばらつく場合でも、その温度補償が不要であるという利点がある。
【0069】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0070】
1…酸素濃縮器
11、125…コンプレッサ
13、127…モータ
55、129…磁気センサ
61、105…第1フォトカプラ
63、107…第2フォトカプラ
65、109…第3フォトカプラ
67、111…AC−DC電源
69、113…商用電源
77、119…電子制御装置
81、123…インバータ
87…メモリ
117…比較回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサを駆動するモータの回転数を制御するインバータとを備え、前記コンプレッサを駆動して空気を圧縮するとともに、前記空気中の酸素を分離して酸素濃縮ガスを発生させる酸素濃縮器において、
前記酸素濃縮器に供給される電源の電圧を監視する監視手段と、
前記監視手段によって、前記電源の電圧の異常が検出された場合には、その電源の電圧の異常に関するデータを記録する電圧異常記録手段と、
を備えたことを特徴とする酸素濃縮器。
【請求項2】
前記モータの回転数を検出する回転数検出手段と、
前記回転数検出手段によって検出されたモータの回転数が異常であることを検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段によって前記モータの回転数の異常が検出された場合には、そのモータの回転数の異常に関するデータを記録する回転数異常記録手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の酸素濃縮器。
【請求項3】
前記モータの回転数の異常のデータと前記電源の電圧の異常のデータとに基づいて、
前記モータの回転数の異常が検出された場合における前記電源の電圧の異常の状態を調べることにより、前記回転数の異常が前記電源の電圧の異常による可能性があるか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の酸素濃縮器。
【請求項4】
前記回転数の異常が前記電源の電圧の異常による可能性がある場合には、そのことを報知することを特徴とする請求項3に記載の酸素濃縮器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−10990(P2011−10990A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159746(P2009−159746)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】