説明

重合体の精製方法および重合体

【課題】微細パターンを形成するに際し、熱処理によりレジストパターンを円滑に収縮させることができると共に、その後のアルカリ水溶液処理により容易に除去し得る樹脂組成物の樹脂成分として用いることができる重合体の精製方法およびこの精製方法により得られる重合体を提供する。
【解決手段】微細パターン形成用樹脂組成物に用いられる重合体の精製方法であって、該重合体は、(メタ)アクリルアミド誘導体を繰返し単位として含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定したポリスチレン換算質量平均分子量が1,000〜500,000であり、アルコール性水酸基を有する第一の有機溶媒(A)とエステル結合を分子内に有する第二の有機溶媒(B)との混合溶媒に上記重合体を溶解させる工程と、水(C)を加えて攪拌する工程と、溶液層より沈降した下層を分離する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合体の精製方法および重合体に関し、特にフォトレジストを用いる微細加工技術において、パターニング後に熱処理によりパターンを収縮もしくは定着させる際に用いられる微細パターン形成用樹脂組成物の樹脂成分として使用できる重合体の精製方法およびその精製方法で得られる重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子の微細化が進むに伴い、その製造方法におけるリソグラフィー工程において、いっそうの微細化が要求されるようになってきている。すなわち、リソグラフィー工程では、現在100nm以下の微細加工が必要になってきており、ArFエキシマレーザー光、F2エキシマレーザー光などの短波長の照射光に対応したフォトレジスト材料を用いて、微細なパターンを形成させる方法が種々検討されている。
このようなリソグラフィー技術においては、露光波長の制約から、微細化に限界が生じるのを免れないので、これまで、この波長限界をこえる微細パターンの形成を可能にするための研究が行なわれてきた。すなわち、ポリメチルメタクリレートなどの電子線用レジストをパターン化し、該レジストパターン上にポジ型レジストを塗布したのち、加熱処理して該レジストパターンとポジ型レジスト層との境界に反応層を設け、ポジ型レジストの非反応部分を除去することにより、レジストパターンを微細化する方法(特許文献1)、下層レジストパターンと上層レジストとの間に酸発生剤や酸による熱架橋を利用して反応層を形成させる方法(特許文献2)、上層レジスト塗布液として、感光性成分を含まず、水溶性樹脂や水溶性架橋剤、あるいはこれらの混合物を水溶性溶媒に溶解した微細パターン形成材料を用いて半導体装置を製造する方法(特許文献3)、基板上に化学増幅型レジストからなる感光層を設け、画像形成露光後、現像処理してレジストパターンを形成させ、このレジストパターン上に、ポリビニルアセタールのような水溶性樹脂やテトラ(ヒドロキシメチル)グリコールウリルのような水溶性架橋剤とアミンのような水溶性含窒素有機化合物と、場合によりフッ素およびケイ素含有界面活性剤とを含む塗膜形成剤を塗布したのち、加熱処理してレジストパターンとレジストパターン微細化用塗膜との界面に水不溶性の反応層を形成させ、次いで純水により、レジストパターン微細化用塗膜の非反応部分を除去する方法(特許文献4)などが提案されている。
【0003】
これらの方法は、感光性レジスト(下層レジスト)の波長限界をこえ、微細パターン形成材料(上層レジスト)によるパターンの微細化を簡単に行なうことができるという点で好ましいものであるが、レジストパターンの底部分の不必要な部分まで微細パターン形成材料の架橋を生じたり、裾ひき形状となったり、微細パターン形成材料の断面形状の垂直性が不良になったり、あるいは上層レジストパターンサイズが架橋を起こすための加熱であるミキシングベークによりパターン形状が左右されるなどの問題があり、まだ十分に満足しうるものとはいえない。また、これらのプロセスは10数nm/℃と温度依存性が高く、基板の大型化、パターンの微細化に際し、ウエーハ面内での温度を均一に保つことは困難であるため、得られたパターンの寸法制御性が低下するという問題がある。さらに、上記の水溶性樹脂を用いた微細パターン形成材料は、水への溶解性の制限からドライエッチングに対する耐性が低いという問題がある。半導体デバイスを作製するに際し、レジストパターンをマスクにドライエッチングにより基板上にパターンを転写するが、ドライエッチング耐性が低いとレジストパターンが基板上に精度良く転写できないという問題がある。
【0004】
そのほか、基板上にフォトレジストパターンを形成したのち、それに熱または放射線照射を施し、フォトレジストパターンを流動化させ、パターン寸法を解像限界よりも小さくする、いわゆる熱フロープロセスが提案されている(特許文献5、特許文献6)。
しかしながら、この方法では、熱や放射線によるレジストの流動制御が困難であり、品質の一定した製品が得られないという問題がある。さらに、この熱フロープロセスを発展させた方法として、基板上にフォトレジストパターンを形成したのち、その上に水溶性樹脂膜を設け、フォトレジストの流動を制御する方法(特許文献7)が提案されているが、この方法で用いられるポリビニルアルコールのような水溶性樹脂は、水による除去時に必要とされる溶解性や経時安定性が不十分であり、残留分を生じるという問題がある。
【0005】
また、フォトレジストを用いて形成されたレジストパターンを熱収縮させて、微細レジストパターンを形成する際に、レジストパターン上に被覆形成剤を設け、熱処理により、レジストパターンを熱収縮させ、水洗により除去し得るレジストパターン微細化用被覆形成剤、およびこのものを用いて効率よく微細レジストパターンを形成させる方法(特許文献8)が提案されているが、この方法ではレジストパターン微細化用被覆形成剤は水系であり、直径100nm以下のコンタクトホール等の微細なパターンへの被覆性が不十分であり、かつ水系であるため塗布時に専用のカップが必要になるためコストアップとなり、さらに、輸送などで低温となる場合、凍結・析出が生じるという問題がある。
一方、微細パターン形成用樹脂組成物に用いられる重合体として、(メタ)ヒドロキシアクリルアニリド由来の繰返し単位を含む重合体が知られている(特許文献9)。
しかしながら、この(メタ)ヒドロキシアクリルアニリド由来の繰返し単位を含む重合体は精製が困難であり、所望の収縮率を得るために重合体を精製する時間が長くなり、また、精製を繰り返した重合体であっても十分な微細パターンが得られないという問題がある。
【特許文献1】特許第2723260号公報
【特許文献2】特開平6−250379号公報
【特許文献3】特開平10−73927号公報
【特許文献4】特開2001−19860号公報
【特許文献5】特開平1−307228号公報
【特許文献6】特開平4−364021号公報
【特許文献7】特開平7−45510号公報
【特許文献8】特開2003−195527号公報
【特許文献9】国際公開WO2005/116776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、フォトレジストを用いて形成されたレジストパターンを熱処理することにより微細パターンを形成するに際し、該レジストパターン上に塗布され、熱処理により、レジストパターンを円滑に収縮させることができると共に、その後のアルカリ水溶液処理により容易に除去し得る樹脂組成物の樹脂成分として用いることができる重合体の精製方法およびこの精製方法により得られる重合体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の微細パターン形成用樹脂組成物に用いられる重合体の精製方法は、(メタ)アクリルアミド誘導体を繰返し単位として含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定したポリスチレン換算質量平均分子量が1,000〜500,000である重合体の精製方法であって、アルコール性水酸基を有する第一の有機溶媒(A)とエステル結合を有する第二の有機溶媒(B)との混合溶媒に上記重合体を溶解させて重合体溶液とする工程と、該重合体溶液に水(C)を加えて攪拌する工程と、上記重合体溶液より重合体を沈降させ、該重合体を分離する工程とを含むことを特徴とする。
特に上記(メタ)アクリルアミド誘導体を含む繰返し単位は、下記式(1)で表されることを特徴とする。
【化3】

式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。
また、上記重合体は、さらに下記式(2)、式(3)、式(4)および式(5)で表される繰返し単位から選ばれる繰返し単位を少なくとも1種以上含有することを特徴とする。
【化4】

式(2)、式(3)、式(4)および式(5)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、式(2)におけるR1はα位の炭素原子にフルオロアルキル基を有するフッ素アルコール基、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表し、式(3)におけるR2は水素原子またはフェノール性水酸基もしくはその誘導体を表し、式(4)におけるR3、R4はそれぞれ炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表し、式(5)におけるAは、単結合、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基、またはオキシカルボニル基を表し、Bは、単結合、または炭素数1〜6の飽和鎖状炭化水素基、炭素数3〜8の単環式炭化水素環基、または炭素数7〜10の多環式炭化水素環基を表し、R5は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。
【0008】
本発明の重合体は、(メタ)アクリルアミド誘導体を繰返し単位として含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定したポリスチレン換算質量平均分子量が1,000〜500,000である微細パターン形成用樹脂組成物に用いられる重合体であって、該重合体が上記精製方法により精製されていることを特徴とする。
特に上記重合体に含まれる単量体成分が1質量%以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の重合体の精製方法は、(メタ)アクリルアミド誘導体を繰返し単位として含む重合体をアルコール性水酸基を有する第一の有機溶媒(A)とエステル結合を分子内に有する第二の有機溶媒(B)との混合溶媒に溶解させ、その後水(C)を加えて撹拌して沈降させた成分を分離する工程を含むので、単量体成分が水を含む混合溶媒に溶解しやすくなり、単量体成分を含まない重合体を短時間で精製できる。その結果、この重合体を用いた微細パターン形成用樹脂組成物は、微細なレジストパターンへの塗布特性に優れ、また硬化膜の寸法制御性にも優れるため、基板の表面状態の如何にかかわらず、レジストパターンのパターン間隙を実効的に、精度よく微細化することができ、波長限界をこえるパターンを良好かつ経済的に低コストでパターン欠陥の少ない状態で形成することができる。
特に、本発明の精製方法で精製した重合体を樹脂成分として使用した微細パターン形成用樹脂組成物は、該樹脂の収縮量が大きく、収縮時の温度依存性が低く、収縮後の形状に優れ、ピッチ依存性が低いため、プロセス変動に対するパターン形成マージンであるプロセスウィンドウが広い。また、エッチング耐性に優れている。
さらに、このようにして形成された微細レジストパターンをマスクとしてドライエッチングすることにより、半導体基板上に精度よくトレンチパターンやホールを形成することができ、微細トレンチパターンやホールを有する半導体装置等を簡単にかつ歩留まりよく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明者らは、微細パターン形成用樹脂組成物に用いられる重合体の精製方法について鋭意研究を重ねた結果、(メタ)アクリルアミド誘導体を繰返し単位として含む重合体の場合、単量体成分が水を含む混合溶媒に溶解しやすくなり、単量体成分を含まない重合体が沈殿しやすくなることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明の微細パターン形成用樹脂組成物に樹脂成分として使用できる重合体は、式(1)で表されるフェノール類に由来する水酸基(−OH)と高分子側鎖内にアミド基とを有する繰返し単位を含む重合体である。この重合体を用いることにより、エッチング耐性に優れた微細パターン形成用樹脂組成物が得られる。
【0011】
式(1)で表される繰返し単位は、式(1−1)で表される単量体を重合させて得られる。
【化5】

式(1−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。Rがメチル基であるp−ヒドロキシメタクリルアニリドが重合性、アルコール溶剤への溶解性により優れている理由で好ましい。
また、式(1−1)で表される単量体は、重合体を構成する全単量体に対して、通常22.5〜90モル%、好ましくは40〜90モル%配合される。22.5モル%未満であると、微細パターン形成用樹脂組成物の樹脂成分として使用した場合に、後述する架橋成分との反応部位が少なすぎ、パターンの収縮を起こすことができず、90モル%をこえると、アルコール溶剤への溶解不良を起こし、パターン欠陥の原因となるおそれがある。
【0012】
式(1)で表される繰返し単位とともに含有することができる繰返し単位としては、下記式(2)、式(3)、式(4)および/または式(5)で表される繰返し単位が挙げられる。
【化6】

式(2)、式(3)、式(4)および式(5)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。式(2)におけるR1はα位の炭素原子にフルオロアルキル基を有するフッ素アルコール基、炭素数1〜20の1価の炭化水素基が挙げられる。式(3)におけるR2は水素原子またはフェノール性水酸基もしくはその誘導体が挙げられる。式(4)におけるR3、R4はそれぞれ炭素数1〜10の1価の炭化水素基が挙げられる。式(5)におけるAは、単結合、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基、またはオキシカルボニル基を表し、Bは、単結合、または炭素数1〜6の飽和鎖状炭化水素基、炭素数3〜8の単環式炭化水素環基、または炭素数7〜10の多環式炭化水素環基を表し、R5は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。
【0013】
式(2)で表される繰返し単位を生成する、α位の炭素原子にフルオロアルキル基を有するフッ素アルコール基を有する単量体は、下記式(2−1)で表すことができる。
【化7】

式(2−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。また、R6は直鎖状または環状の2価の炭化水素基を表す。直鎖状または環状の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基)、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、インサレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、2−プロピリデン基等の飽和鎖状炭化水素基、1,3−シクロブチレン基などのシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基などのシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基などのシクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基などのシクロオクチレン基等、炭素数3〜10のシクロアルキレン基などの単環式炭化水素環基、1,4−ノルボルニレン基や2,5−ノルボルニレン基などのノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基や2,6−アダマンチレン基などのアダマンチレン基等の2ないし4環式の炭素数4〜30の炭化水素環基などの架橋環式炭化水素環基を挙げることができる。
【0014】
特に、R6が脂肪族環状炭化水素基であるときは、ビストリフルオロメチル−ヒドロキシメチル基とR6との間にスペーサーとして炭素数1〜4のアルキレン基を挿入することが好ましい。
上記の中で、式(2−1)としては、R6が2,5−ノルボルニレン基、1,2−プロピレン基が好ましい。
好適な式(2−1)としては、4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−トリフルオロメチル−1−ブチルメタクリレートが挙げられる。
【0015】
式(2)におけるR1が炭素数1〜20の1価の炭化水素基の場合、その1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基もしくは2−プロピル基などのプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、インサル基、1−メチル−1−プロピル基、2−メチル−1−プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、1−メチル−1−ブチル基、2−メチル−1−ブチル基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、または、2−プロピリデン基等の飽和鎖状炭化水素基;フェニル基、トリル基等のアリル基;シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基などの単環式炭化水素環基;ノルボルニル基、アダマンチル基等の2〜4環式の炭素数4〜20の炭化水素環基などの架橋環式炭化水素環基またはその誘導体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの炭素数1〜10のポリアルキレングリコールより誘導される1価の基等が挙げられる。
また、式(2−1)で表される単量体の酸素原子と結合している炭素原子にメチル基、エチル基等の置換基を有する上記単環式炭化水素環基、架橋環式炭化水素環基等を挙げることができる。
式(2)で表される繰返し単位を生成する単量体は、重合体を構成する全単量体に対して、通常2.5〜70モル%、好ましくは、10〜60モル%である。
【0016】
式(3)で表される繰返し単位は、式(3−1)で表される単量体を重合させて得られる。
【化8】

Rは、式(3)におけるRと同一であり、水素原子またはメチル基を表す。
2は、式(3)におけるR2と同一であり、水素原子またはフェノール性水酸基もしくはその誘導体が挙げられる。
式(3−1)で表される単量体としては、スチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−m−ヒドロキシスチレン、α−メチル−o−ヒドロキシスチレン、2−アリルフェノール、4−アリルフェノール、2−アリル−6−メチルフェノール、2−アリル−6−メトキシフェノール、4−アリル−2−メトキシフェノール、4−アリル−2,6−ジメトキシフェノール、4−アリルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン等を例示することができ、これらの中で、スチレンまたはp−t−ブトキシスチレンが好ましい。
式(3−1)の単量体は、重合体を構成する全単量体に対して、通常2.5〜70モル%、好ましくは、10〜60モル%配合できる。
【0017】
式(4)で表される繰返し単位は、式(4−1)で表される単量体を重合させて得られる。
【化9】

式(4−1)におけるR3、R4の炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基もしくは2−プロピル基などのプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の飽和鎖状炭化水素基が挙げられる。
【0018】
式(5)で表される繰返し単位は、式(5−1)で表される単量体を重合させて得られる。
【化10】

式(5−1)におけるAは、単結合、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基、またはオキシカルボニル基を表し、Bは、単結合、または炭素数1〜6の飽和鎖状炭化水素基、炭素数3〜8の単環式炭化水素環基、または炭素数7〜10の多環式炭化水素環基を表し、Rfは少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。
Bの炭素数1〜6の飽和鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基もしくは2−プロピル基などのプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が、炭素数3〜8の単環式炭化水素環基としては、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプレン基、シクロオクチレン基が、炭素数7〜10の多環式炭化水素環基としては、ノルボルニレン基、アダマンチレン基が挙げられる。
また、R5の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、トリフルオロメチル基が挙げられる。
式(4)または式(5)の単量体は、重合体を構成する全単量体に対して、通常2.5〜70モル%、好ましくは、5〜60モル%配合できる。
【0019】
本発明の重合体は、式(1−1)で表される単量体を必須成分とし、式(2−1)で表される単量体、式(3−1)で表される単量体、式(4−1)で表される単量体、式(5−1)で表される単量体、または式(2−1)、(3−1)、(4−1)および(5−1)で表される混合単量体を配合して得られる。好ましくは式(1−1)で表される単量体と式(2−1)で表される単量体、式(1−1)で表される単量体と式(3−1)で表される単量体、式(1−1)で表される単量体と式(3−1)および式(4−1)で表される単量体、式(1−1)で表される単量体と式(3−1)および式(5−1)で表される単量体との組み合わせである。なお、上記混合単量体の場合、重合体を構成する全単量体に対して、混合単量体として、通常5〜70モル%、好ましくは、10〜60モル%配合される。
【0020】
重合体は、例えば、各単量体の混合物を、ヒドロパーオキシド類、ジアルキルパーオキシド類、ジアシルパーオキシド類、アゾ化合物等のラジカル重合開始剤を使用し、必要に応じて連鎖移動剤の存在下、適当な溶媒中で重合することにより製造することができる。
上記重合に使用される溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の飽和カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン等のアルキルラクトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;2−ブタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;シクロヘキサノン等のシクロアルキルケトン類;2−プロパノール、1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類等を挙げられる。これらの溶媒は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
また、上記重合における反応温度は、通常、40〜120℃、好ましくは50〜100℃であり、反応時間は、通常、1〜48時間、好ましくは1〜24時間である。
【0022】
上記重合体は、単量体成分が1質量%以下であることが好ましい。単量体成分を1質量%以下とするために、特定の混合溶媒を用いて重合体を溶解させ、非溶媒として水を用いる沈殿分離を繰り返すことが有効であることが分かった。
非溶媒として水はイオン交換水などの純水、超純水などが使用できる。
混合溶媒としては、アルコール性水酸基を有する第一の有機溶媒(A)とエステル結合を有する第二の有機溶媒(B)との混合溶媒が挙げられる。
アルコール性水酸基を有する第一の有機溶媒(A)としては、炭素数1〜8の1価アルコールであることが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、2−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−3−ヘプタノールなどが挙げられ、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノールが好ましい。これらのアルコール溶媒は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
エステル結合を有する第二の有機溶媒(B)としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などが挙げられ、酢酸エチル、酢酸ブチルが好ましい。これらのエステル類は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
重合体を上記混合溶媒に溶解させる。溶解時の重合体濃度は、全溶液に対して、5〜80質量%、好ましくは10〜40質量%である。5質量%未満であると、収率の低下が生じ、80質量%をこえると残モノマーカットが不十分となる。
重合体溶液を撹拌しながら純水を滴下することで、重合体溶液より重合体を沈降分離する。
本発明においては、上記沈降分離した重合体を再度上記混合溶媒に溶解させ、純水を加えて重合体溶液よりの重合体沈降分離を繰り返す。重合体の再溶解および沈降分離は、少なくとも1回は行なうことが好ましい。再溶解および沈降分離にあたっては、混合溶媒を構成する溶媒の種類およびその混合割合を変えて、また、溶解時の濃度を変えて行なうことが好ましい。その理由は十分に残モノマーをカットするためである
【0025】
このようにして得られる重合体の質量平均分子量Mwはゲルパーミエーションクロマト法ポリスチレン換算で通常1,000〜500,000、好ましくは1,000〜50,000、特に好ましくは1,000〜20,000である。微細パターン形成用樹脂組成物に用いた場合、分子量が大きすぎると熱硬化後に現像液で除去することができなくなるおそれがあり、低すぎると塗布後に均一な塗膜を形成できないおそれがある。
【0026】
本発明の重合体を微細パターン形成用樹脂組成物の樹脂成分とする場合、架橋成分と組み合わせ、アルコール溶媒に溶解させることが好ましい。
架橋成分としては、下記式(6)で表される基を含む化合物(以下、「架橋成分I」という)、反応性基として2つ以上の環状エーテルを含む化合物(以下、「架橋成分II」という)、または、「架橋成分I」および「架橋成分II」との混合物が挙げられる。
【化11】

式(6)において、R7およびR8は、水素原子または下記式(7)で表され、R7およびR8の少なくとも1つは下記式(7)で表され;
【化12】

式(7)において、R9およびR10は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシアルキル基、またはR9およびR10が互いに連結した炭素数2〜10の環を表し、R11は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表す。
上記架橋成分は上述した水酸基を含有する樹脂および/または架橋成分が相互に酸の作用により反応する架橋成分(硬化成分)として作用するものである。
【0027】
式(6)で表される化合物(架橋成分I)は、分子内に官能基としてイミノ基、メチロール基およびメトキシメチル基等を有する化合物であり、(ポリ)メチロール化メラミン、(ポリ)メチロール化グリコールウリル、(ポリ)メチロール化ベンゾグアナミン、(ポリ)メチロール化ウレアなどの活性メチロール基の全部または一部をアルキルエーテル化した含窒素化合物を挙げることができる。ここで、アルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基、またはこれらを混合したものを挙げることができ、一部自己縮合してなるオリゴマー成分を含有していてもよい。具体的にはヘキサメトキシメチル化メラミン、ヘキサブトキシメチル化メラミン、テトラメトキシメチル化グリコールウリル、テトラブトキシメチル化グリコールウリルなどを例示できる。
市販されている化合物としては、サイメル300、同301、同303、同350、同232、同235、同236、同238、同266、同267、同285、同1123、同1123−10、同1170、同370、同771、同272、同1172、同325、同327、同703、同712、同254、同253、同212、同1128、同701、同202、同207(以上、日本サイテックインダストリーズ社製)、ニカラックMW−30M、同30、同22、同24X、ニカラックMS−21、同11、同001、ニカラックMX−002、同730、同750、同708、同706、同042、同035、同45、同410、同302、同202、ニカラックSM−651、同652、同653、同551、同451、ニカラックSB−401、同355、同303、同301、同255、同203、同201、ニカラックBX−4000、同37、同55H、ニカラックBL−60(以上、三和ケミカル社製)などを挙げることができる。好ましくは、式1におけるR1、R2のどちらか一方が水素原子であり、すなわち、イミノ基を含有する架橋成分であるサイメル325、同327、同703、同712、同254、同253、同212、同1128、同701、同202、同207が好ましい。
【0028】
反応性基として2つ以上の環状エーテルを含む化合物(架橋成分II)は、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3',4'−エポキシ−6'−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのエポキシシクロヘキシル基含有化合物や、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3'−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどの分子中にオキセタン環を2個以上有するオキセタン化合物を挙げることができる。
【0029】
これらのうち、架橋成分IIとしては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルが好ましい。
上述した架橋成分は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
上記重合体と組み合わせて微細パターン形成用樹脂組成物とする場合、架橋成分の配合量は、上記重合体100質量部に対して、1〜100質量部、好ましくは5〜70質量部である。配合量が1質量部未満では硬化が不十分になり、パターンの収縮が起こらないおそれがあり、100質量部をこえると硬化が進みすぎ、パターンが埋まってしまうおそれがある。
また、上記重合体および架橋成分の合計量は、後述するアルコール溶媒を含めた樹脂組成物全体に対して、0.1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%である。上記重合体および架橋成分の合計量が、0.1質量%未満では塗膜が薄くなりすぎパターンエッチ部に膜切れを起こすおそれがあり、30質量%をこえると粘度が高くなりすぎ微細なパターンへ埋め込むことができないおそれがある。
【0031】
微細パターン形成用樹脂組成物に使用できるアルコール溶媒は、水酸基を有する樹脂および架橋成分を十分に溶解し、かつフォトレジスト膜上に塗布するに際し、フォトレジスト膜とインターミキシングを起こさない溶媒であれば使用できる。
そのような溶媒としては、炭素数1〜8の1価アルコールであることが好ましい。例えば、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、2−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−3−ヘプタノールなどが挙げられ、1−ブタノール、2−ブタノール、4−メチルー2−ペンタノールが好ましい。これらのアルコール溶媒は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、アルコール溶媒は、全溶媒に対して10質量%以下、好ましくは1質量%以下の水を含むことができる。10質量%をこえると水酸基を有する樹脂の溶解性が低下する。より好ましくは、水を含有しない無水アルコール溶媒である。
【0032】
本発明の重合体を用いる微細パターン形成用樹脂組成物は、フォトレジスト膜上に塗布するに際し、塗布性を調整する目的で、他の溶媒を混合することもできる。他の溶媒は、フォトレジスト膜を浸食せずに、かつ微細パターン形成用樹脂組成物を均一に塗布する作用がある。
他の溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジアセトンアルコールなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、水が挙げられる。これらのうち、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、エステル類、水が好ましい。
【0033】
上記、他の溶媒の配合割合は、全溶媒中の30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下である。30質量%をこえると、フォトレジスト膜を浸食し、微細パターン形成用樹脂組成物との間にインターミキシングを起こすなどの不具合を発生し、レジストパターンを埋めてしまうおそれがある。なお、水が混合される場合、10質量%以下である。
【0034】
上記重合体を用いる微細パターン形成用樹脂組成物には、塗布性、消泡性、レベリング性などを向上させる目的で界面活性剤を配合することもできる。
そのような界面活性剤としては、例えばBM−1000、BM−1100(以上、BMケミー社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(以上、旭硝子(株)製)、SH−28PA、同−190、同−193、SZ−6032、SF−8428(以上、東レダウコーニングシリコーン(株)製)などの商品名で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。
これらの界面活性剤の配合量は、本発明の重合体100質量部に対して好ましくは5質量部以下である。
【0035】
上記微細パターン形成用樹脂組成物を用いて、次の方法で微細パターンが形成できる。
(1)レジストパターンの形成
スピンコートなどの従来公知の方法により8インチあるいは12インチのシリコンウエハ基板上に反射防止膜(有機膜あるいは無機膜)を形成する。次いで、スピンコートなどの従来公知の方法によりフォトレジストを塗布し、例えば、80℃〜140℃程度、60〜120秒程度の条件でプリベーク(PB)を行なう。その後、g線、i線などの紫外線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、X線、電子線などで露光をし、例えば、80℃〜140℃程度の条件でポストイクスポージャーベーク(PEB)を行なった後、現像し、レジストパターンを形成する。
(2)微細パターンの形成
上記レジストパターンが形成された基板に、スピンコートなどの従来公知の方法により上記微細パターン形成用樹脂組成物を塗布する。スピンコートのみで溶剤が揮散し被覆膜を形成する場合がある。また、必要に応じて、例えば、80℃〜110℃程度、60〜120秒程度のプリベーク(PB)し、微細パターン形成用樹脂組成物の被覆膜を形成する。
次いで、このレジストパターンを微細パターン形成用樹脂組成物により被覆した基板を熱処理する。熱処理により、フォトレジスト由来の酸がフォトレジストとの界面から微細パターン形成用樹脂組成物層中に拡散し、微細パターン形成用樹脂組成物は架橋反応を起こす。フォトレジスト界面からの架橋反応状態は、微細パターン形成用樹脂組成物の材料、使用されるフォトレジスト、ベーク処理温度およびベーク処理時間により決定される。熱処理温度および熱処理時間は、通常90℃〜160℃程度の温度で、60〜120秒程度で行なわれる。
次いで、微細パターン形成用樹脂組成物の被覆膜を、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)などのアルカリ水溶液などにより現像処理(例えば、60〜120秒程度)して、未架橋の微細パターン形成用樹脂組成物の被覆膜を溶解させて除去する。最後に水で洗浄処理することにより、ホールパターンや楕円パターン、トレンチパターンなどを微細化することができる。
【実施例】
【0036】
実施例1
【化13】

p−ヒドロキシメタクリルアニリド(P−1−1)105.17g、t−ブトキシスチレン(P−1−2)29.89g、アゾビスイソブチロニトリル11.14g、をイソプロパノール450gに溶解させ、還流条件(82℃)にて8時間重合反応を行なった。この重合体溶液を(P−1)とする。
【0037】
得られた重合体溶液(P−1)に酢酸ブチル225g、メタノール112.5gを加え、攪拌し均一溶液とした。水337.50gを加えマグネチックスターラーにて30分攪拌し、分液漏斗に移した。2時間静置し、下層(重合体層)を取り出した。取り出した重合体層にイソプロパノール207.00g、酢酸ブチル90.00g、メタノール72.00gを加えて攪拌し、均一溶液とした。水337.50gを加えマグネチックスターラーにて30分攪拌し、分液漏斗に移した。3時間静置し、下層を取り出した。その後エバポレーターにて溶剤を留去し、1-ブタノールにて再溶解を行なった。ここまでの工程は約8時間であった。
得られた重合体のポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)を東ソー社製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により示差屈折率計検出器を用いて測定したところ、Mwは6700であった。
また、得られた重合体中に含まれる残存単量体を上記示差屈折率計検出器での重合体成分と単量体成分との面積比より算出した結果、残存単量体成分は0.7質量%であった。
【0038】
比較例1
(1)実施例1で得られた精製前の重合体溶液(P−1)に300gのイソプロパノールを加えて希釈を行ない、3000gのヘキサンに再沈させ、重合体をろ別した。この第1工程の所要時間は2時間であった。
(2)沈殿した重合体を回収し温度50℃で乾燥した。これに、750gのイソプロパノールを加えて再溶解させ、3000gのヘキサンに再沈させ、重合体をろ別した。この第2工程の所要時間は8時間であった。
(3)沈殿した重合体を回収し温度50℃で乾燥した。これに、750gのイソプロパノールを加えて再溶解させ、3000gのヘキサンに再沈させ、重合体をろ別した。この第3工程の所要時間は8時間であった。
(4)沈殿した重合体を回収し温度50℃で乾燥した。これに、750gのイソプロパノールを加えて再溶解させ、3000gのヘキサンに再沈させ、重合体をろ別した。この第4工程の所要時間は8時間であった。
(5)得られた重合体を温度50℃で減圧乾燥した。この第5工程の所要時間は10時間であった。
上記精製に要した作業時間は、合計32時間であった。
得られた重合体のMwを実施例1と同様の方法で測定したところ、Mwは6800であった。
また、得られた重合体中に含まれる残存単量体を実施例1と同様の方法で算出した結果、残存単量体成分は1.3質量%であった。
【0039】
実施例2
【化14】

p−ヒドロキシフェニルメタクリルアニリド(P−2−1)122.94g、t−ブトキシスチレン(P−2−2)71.33g、ジメチルアクリルアミド(P−2−3)5.73g、アゾビスイソブチロニトリル15.19g、をイソプロパノール600gに溶解させ、還流条件(82℃)にて6時間重合反応を行なった。この重合液を(P−2)とする。
上記重合液(P−2)を用い、下記に示す方法にて精製を実施した。
重合液P−2に酢酸エチル400.00g、イソプロピルアルコール280.00gを加え、攪拌し均一溶液とした。水1200.00gを加えマグネチックスターラーにて30分攪拌し、分液漏斗に移した。4時間静置し、下層(樹脂層)を取り出した。取り出した樹脂層に酢酸エチル400.00g、イソプロパノール280.00g、メタノール280.00gを加えて攪拌し、均一溶液とした。水1200.00gを加えマグネチックスターラーにて30分攪拌し、分液漏斗に移した。2時間静置し、下層を取り出した。その後エバポレーターにて溶剤を留去し、1-ブタノールにて再溶解を行なった。ここまでの工程は約8時間であった。
得られた重合体のMwを実施例1と同様の方法で測定したところ、Mwは6,000であった。
また、得られた重合体中に含まれる残存単量体を実施例1と同様の方法で算出した結果、残存単量体成分は0.8質量%であった。
【0040】
比較例2
実施例2で得られた精製前の重合体溶液(P−2)を用いる以外は、比較例1と同様にして精製を行なった。精製に要した作業時間は合計32時間であり、実施例1と同様の方法で算出した残存単量体成分は1.3質量%であった。
【0041】
実施例3
【化15】

p−ヒドロキシフェニルメタクリルアニリド(P−3−1)117.44g、t−ブトキシスチレン(P−3−2)68.14g、2−トリフルオロメチルスルホニルアミノエチルー2−メタクリレート(P−3−3)14.43g、アゾビスイソブチロニトリル14.51g、をイソプロパノール600gに溶解させ、還流条件(82℃)にて6時間重合反応を行なった。この重合液を(P−3)とする。
上記重合液(P−3)を用い、下記に示す方法にて精製を実施した。
重合液P−3に酢酸エチル400.00g、イソプロピルアルコール280.00gを加え、攪拌し均一溶液とした。水1200.00gを加えマグネチックスターラーにて30分攪拌し、分液漏斗に移した。4時間静置し、下層(樹脂層)を取り出した。取り出した樹脂層に酢酸エチル400.00g、イソプロパノール280.00g、メタノール280.00gを加えて攪拌し、均一溶液とした。水1200.00gを加えマグネチックスターラーにて30分攪拌し、分液漏斗に移した。2時間静置し、下層を取り出した。その後エバポレーターにて溶剤を留去し、1-ブタノールにて再溶解を行なった。ここまでの工程は約8時間であった。
得られた重合体のMwを実施例1と同様の方法で測定したところ、Mwは6,800であった。
また、 得られた重合体中に含まれる残存単量体を実施例1と同様の方法で算出した結果、残存単量体成分は0.7質量%であった。
【0042】
比較例3
実施例3で得られた精製前の重合体溶液(P−3)を用いる以外は、比較例1と同様にして精製を行なった。精製に要した作業時間は合計32時間であり、実施例1と同様の方法で算出した残存単量体成分は1.3質量%であった。
【0043】
実施例1〜3または比較例1で得られた重合体をそれぞれ10g、架橋成分としてニカラックMX−750(三和ケミカル社製、商品名)3gを1−ブタノール180gに加え、攪拌羽根を使用して3時間攪拌した(100rpm)後、孔径100nmのフィルターを使用してろ過して、評価用の微細パターン形成用樹脂組成物を得た。
実施例または比較例の重合体から得られた微細パターン形成用樹脂組成物を評価するために、レジストパターン付きの評価用基板を以下の方法で作製した。
8インチシリコンウェハ上に下層反射防止膜ARC29A(ブルワーサイエンス社製)をCLEAN TRACK ACT8(東京エレクトロン(株))でスピンコートにより膜厚77nm(PB205℃、60秒)で塗膜を形成した後、JSR ArF AR1244J(JSR株式会社製、脂環族系感放射線性樹脂組成物)のパターニングを実施する。AR1244Jは、スピンコート(CLEAN TRACK ACT8)、PB(130℃、90秒)により膜厚210nmとして塗布し、ArF投影露光装置S306C(ニコン(株))で、NA:0.78、シグマ:0.85、2/3Annの光学条件にて露光(露光量30mJ/cm2)を行ない、同CLEAN TRACK ACT8ホットプレートにてPEB(130℃、90秒)を行ない、同CLEAN TRACK ACT8のLDノズルにてパドル現像(60秒間)、超純水にてリンス、次いで4000rpmで15秒間振り切りによりスピンドライし、評価用基板を得た。この工程で得られた基板を評価用基板Aとする。同一条件で作製した評価用基板Aを複数枚準備した。
得られた評価用基板を走査型電子顕微鏡(日立計測器(株)製S−9360)で100nm径ホールパターン、100nmスペースのマスクパターン(バイアス+30nm/マスク上は130nm径パターン/70nmスペース)に該当するパターンを観察し、レジストパターンのホール径を測定した。
【0044】
実施例1〜3または比較例1で得られた重合体を樹脂成分とする微細パターン形成用樹脂組成物を用いて、埋め込み性評価、収縮率評価、パターン収縮後形状評価を行なった。
(1)埋め込み性評価
上記評価用基板A上に、上記微細パターン形成用樹脂組成物をCLEAN TRACK ACT8にてスピンコートにより、膜厚300nmの塗膜を得た。ついで、走査型電子顕微鏡(日立計測器(株)製S−4800)を用いて100nm径パターン部の断面を20箇所観察し、パターン内に気泡などの空隙部がないものを埋め込み性良好と判断して「〇」、観察されたものを埋め込み性不良をして「×」とした。
【0045】
(2)収縮率評価
上記評価用基板A上に、上記微細パターン形成用樹脂組成物をCLEAN TRACK ACT8にてスピンコートにより、膜厚300nm塗布した後、レジストパターンと微細パターン形成用樹脂組成物を反応させるため、155℃で90秒ホットプレート上でベークを行なった。ついで、同CLEAN TRACK ACT8のLDノズルにて2.38質量%TMAH水溶液を現像液としてパドル現像(60秒間)、超純水にてリンス、次いで4000rpmで15秒間振り切りによりスピンドライした。この工程で得られた基板を評価用基板Bとする。
ただし、比較例の現像は、超純水を現像液として用い同CLEAN TRACK ACT8のLDノズルにてパドル現像(60秒間)、次いで4000rpmで15秒間振り切りによりスピンドライした。
パターン寸法の収縮率は、走査型電子顕微鏡(日立計測器(株)製S−9360)で100nm径ホールパターン、100nmスペースのマスクパターン(バイアス+30nm/マスク上は130nm径パターン/70nmスペース)に該当するパターンを観察し、パターンのホール径を測定し、下記式より収縮率を算出した。
収縮率(%)=[(φ1−φ2)/φ1]×100
φ1:評価用基板Aのレジストパターンホール径(nm)
φ2:評価用基板Bのレジストパターンホール径(nm)
このとき、収縮が確認されたとき「〇」、収縮が確認されないもしくはパターンがつぶれてしまっているとき「×」とした。
【0046】
(3)パターン収縮後形状評価
評価用基板Aおよび評価用基板Bにおいて、走査型電子顕微鏡(日立計測器(株)製S−4800)で100nm径ホールパターン、100nmスペースのマスクパターン(バイアス+30nm/マスク上は130nmパターン/70nmスペース)に該当し、かつ同位置に存在するパターンの断面をそれぞれ観察する。断面形状を図1および図2に示す。基板1に対するホールパターン2の側壁2aの角度がパターン収縮前の角度θ(図1(a))とパターン収縮後の角度θ'(図1(b))で3度以下の差であること(図1参照)、かつ評価用基板A(図2(a))におけるレジストの膜厚tを100として、基板1から80をこえる部分でのみ評価用基板B上のパターンに劣化t'が認められるものを良好とし(図2(b))、その他は不良とした(図2参照)。
【0047】
上記評価の結果、埋め込み性評価および収縮率評価において、実施例1で得られた重合体を樹脂成分とする微細パターン形成用樹脂組成物、および比較例1で得られた重合体を樹脂成分とする微細パターン形成用樹脂組成物は、ともに○評価であったが、パターン収縮後形状評価は、実施例1で得られた重合体を樹脂成分とする微細パターン形成用樹脂組成物が28.2%、実施例2で得られた重合体を樹脂成分とする微細パターン形成用樹脂組成物が35.8%、実施例3で得られた重合体を樹脂成分とする微細パターン形成用樹脂組成物が40.3%、比較例1で得られた重合体を樹脂成分とする微細パターン形成用樹脂組成物が25.2%の収縮率をそれぞれ示した。
また、精製に要する作業処理時間は、実施例1〜3が8時間、比較例1〜3が32時間であった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の微細パターン形成用樹脂組成物に用いられる重合体の精製方法は、作業処理時間が従来の1/4で、残存単量体が約半分の量となるので、レジストパターンのパターン間隙を実効的に、精度よく微細化することができ、波長限界をこえるパターンを良好かつ経済的に形成できる。その結果、今後ますます微細化が進行するとみられる集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野で極めて好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ホールパターンの断面形状
【図2】ホールパターンの断面形状
【符号の説明】
【0050】
1 基板
2 ホールパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリルアミド誘導体を繰返し単位として含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定したポリスチレン換算質量平均分子量が1,000〜500,000である重合体の精製方法であって、
アルコール性水酸基を有する第一の有機溶媒(A)とエステル結合を有する第二の有機溶媒(B)との混合溶媒に前記重合体を溶解させて重合体溶液とする工程と、該重合体溶液に水(C)を加えて攪拌する工程と、前記重合体溶液より重合体を沈降させ、該重合体を分離する工程とを含むことを特徴とする微細パターン形成用樹脂組成物に用いられる重合体の精製方法。
【請求項2】
前記(メタ)アクリルアミド誘導体を含む繰返し単位は、下記式(1)で表されることを特徴とする請求項1記載の重合体の精製方法。
【化1】

(式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
【請求項3】
前記重合体は、さらに下記式(2)、式(3)、式(4)および式(5)で表される繰返し単位から選ばれる繰返し単位を少なくとも1種以上含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の重合体の精製方法。
【化2】

(式(2)、式(3)、式(4)および式(5)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、式(2)におけるR1はα位の炭素原子にフルオロアルキル基を有するフッ素アルコール基、炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表し、式(3)におけるR2は水素原子またはフェノール性水酸基もしくはその誘導体を表し、式(4)におけるR3、R4はそれぞれ炭素数1〜10の1価の炭化水素基を表し、式(5)におけるAは、単結合、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基、またはオキシカルボニル基を表し、Bは、単結合、または炭素数1〜6の飽和鎖状炭化水素基、炭素数3〜8の単環式炭化水素環基、または炭素数7〜10の多環式炭化水素環基を表し、R5は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を表す。)
【請求項4】
(メタ)アクリルアミド誘導体を繰返し単位として含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により測定したポリスチレン換算質量平均分子量が1,000〜500,000である微細パターン形成用樹脂組成物に用いられる重合体であって、
該重合体が請求項1記載の方法により精製されていることを特徴とする重合体。
【請求項5】
前記重合体に含まれる単量体成分が1質量%以下であることを特徴とする請求項4記載の重合体。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−173836(P2009−173836A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16479(P2008−16479)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】