説明

重合性コンタクトレンズ配合物及びそれから得られるコンタクトレンズ

【課題】ヒドロゲルコンタクトレンズのようなコンタクトレンズを提供する。
【解決手段】本コンタクトレンズは、重合性組成物の反応産物であるレンズ本体を含む。重合性組成物は、1つ以上のモノマー及び重合の間に1つ以上のモノマーを架橋する架橋剤を含む。1つ以上のモノマーの重合は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマーを含む、重合性組成物中に存在する親水性ポリマーの存在下に生じる。本レンズは、コンタクトレンズから親水性ポリマーを長期間放出することができ、また、親水性ポリマーを含まない同様のレンズと比べて表面摩擦が減少する。本発明は、また、このようなレンズと用いられる包装システム及びこのようなレンズの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、コンタクトレンズの製造に有効な組成物、このようなコンタクトレンズ、それを含む包装システム、及びその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの単位を含む1つ以上のポリマーを含有するコンタクトレンズ形成重合性組成物、重合性組成物から形成されるヒドロゲルコンタクトレンズ、レンズと用いられるコンタクトレンズ包装システム、及びレンズの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
親水性コンタクトレンズは、親水性アクリル酸又はメタクリル酸誘導体、ビニルピロリドンのような親水性ビニルモノマー等に基づく架橋ポリマーから形成することができる。水和される場合、これらの親水性架橋ポリマーは、ヒドロゲルと呼ばれ、溶解せずに比較的多量の水を含むことができる。このようなポリマーは、機械的強度及び他の有効な特性を与えるためにより親水性でないか、或いは疎水性でさえあるモノマーから誘導されるポリマー単位を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一日の終わりの不快感は、多くのヒドロゲルコンタクトレンズ装着者によって報告される症状である。ヒドロゲルコンタクトレンズと関連する不快感は、他の要因の中でも、水分或いは脱水の変化、コンタクトレンズの表面の潤滑性の変化、又はレンズ設計に関係があり得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ヒドロゲルコンタクトレンズのような新規なコンタクトレンズ、このようなレンズを製造するのに有効な重合性組成物、このようなレンズと用いられる包装システム及びこのようなレンズの製造方法を発見した。本コンタクトレンズは、比較的小さい表面摩擦を有するとともにコンタクトレンズに存在する親水性ポリマーを長期間放出することができる。
本コンタクトレンズは、レンズ本体を備える。レンズ本体は、1つ以上のモノマー及び重合反応の間にモノマーを架橋して第1のポリマー成分を形成する架橋剤を含む重合性組成物、の反応産物である。重合性組成物は、また、親水性ポリマー成分を含み、これは重合の間、実質的に非反応性である。従って、得られたレンズ本体は、重合性組成物に存在する1つ以上のモノマー成分から形成される第1のポリマー成分、及び第2のポリマー成分、レンズ本体において第1のポリマー成分と物理的に絡み合っている親水性ポリマー成分を含んでいる。実施態様において、親水性ポリマー成分は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)の単位を含む1つ以上のポリマーを含む。
いくつかの実施態様において、レンズ本体において第2の親水性ポリマーになる重合性組成物に含まれる親水性ポリマー成分は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)のポリマーを含む。いくつかの実施態様において、MPCのポリマーは、MPCの少なくとも1つのポリマーを含む。MPCのポリマーの例としては、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(PMPC)のホモポリマー及びMPCのコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。MPCのコポリマーの例としては、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn-ブチルメタクリレート(MPC/PMB)のコポリマー、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリロイルオキシエチルエチレンオキシド及びメタクリロイルオキシエチルプロピレンオキシド(MPC/PMEP)のコポリマー及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。一実施態様において、MPCのポリマーは、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(PMPC)のホモポリマー、MPCのコポリマー、及びこれらの組み合わせを含む。一実施態様において、親水性ポリマー成分は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン及びn-ブチルメタクリレート(MPC/PMB)のコポリマーを含む。
他の実施態様において、親水性ポリマー成分は、更に、追加の親水性ポリマー成分として、N-ビニルピロリドン(PVP)のポリマーを含む。このような一実施態様において、親水性組成物は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn-ブチルメタクリレート(MPC/PMB)のコポリマー及びN-ビニルピロリドン(PVP)のポリマーを含む。
【0005】
本発明のレンズ本体は、以下の有益な特性や性質の1つ以上を示すことができる。実施態様において、MPCのポリマーは、生体外放出試験に基づき、少なくとも約8時間、又は少なくとも約16時間にわたってコンタクトレンズから放出されるようにレンズ本体と関連している。他の実施態様において、レンズ本体の表面摩擦は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマーを含まない同一の重合性組成物の反応産物を含む第2のコンタクトレンズの表面摩擦より少なくとも約10%小さく、又は少なくとも約20%小さく、又は少なくとも約30%小さく、又は少なくとも約35%小さい。一実施態様において、MPCのポリマーは、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn-ブチルメタクリレート(MPC/PMB)のコポリマーである。他の実施態様において、レンズ本体の液滴接触角は、上記の第2のコンタクトレンズより少なくとも約5%小さく、又は少なくとも約15%小さく、又は少なくとも約30%小さい。液滴接触角は、コンタクトレンズ表面湿潤性の生体外基準であり、より小さい接触角は、より大きい接触角と比較してより湿潤性のレンズ表面を示す。
他の態様においては、レンズ本体及び包装溶液を含む包装システムが提供される。レンズ本体は、重合性組成物、1つ以上のモノマー、重合の間に1つ以上のモノマーを架橋する少なくとも1つの架橋剤、及びMPCのポリマーを含む親水性ポリマー成分を含む重合性組成物、の反応産物である。包装溶液は、MPCの少なくとも1つのポリマーを含む第2の親水性ポリマー成分及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)の少なくとも1つの形を含有する水溶液を含む。コンタクトレンズと包装溶液を保持する容器もまた提供され得る。
更に他の態様において、コンタクトレンズの製造方法が提供される。このような方法は、1つ以上のモノマー、少なくとも1つの架橋剤、及びMPCのポリマーを含む親水性ポリマー成分を含む重合性組成物を準備する工程、及び重合性組成物を重合して、レンズ本体を得る工程を含む。実施態様において、MPCのポリマーは、ポリマーが生体外放出試験に基づき少なくとも8時間にわたってレンズ本体から放出されるような方法によって製造されるレンズ本体と関連している。重合工程は、コンタクトレンズ金型において生じ得る。コンタクトレンズ本体は、本明細書に他で記載される包装システムのような包装システム内に配置され得る。
追加の態様及び本発明の詳細は、また、以下の詳細な説明、実施例、図面、及び添付の特許請求の範囲によって記載される。
本発明の種々の実施態様は、以下の詳細な説明及び追加の開示内容において詳細に記載される。本明細書に記載される特徴或いは特徴の組み合わせは、本発明の範囲内に含まれるが、このような組み合わせに含まれる特徴は、状況、この明細書、及び当業者の知識から明らかであるように、相互に矛盾していない。更に、特徴或いは特徴の組み合わせは、詳しくは、本発明の実施態様から除外されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、モノマー、モノマーと反応性の架橋剤、及びMPCのポリマーを含む実質的に非反応性の親水性ポリマーを含有する重合性コンタクトレンズ配合物の反応産物であるコンタクトレンズの表面摩擦力の低下を示すグラフである。
【図2】図2は、配合物B-2から調製されるコンタクトレンズからの実質的に非反応性の親水性ポリマーの放出プロファイルを示すグラフである。
【図3】図3は、配合物B-3から調製されるコンタクトレンズから実質的に非反応性の親水性ポリマーの放出プロファイルを示すグラフである。
【図4】図4は、モノマーを含有する重合性コンタクトレンズ配合物、モノマーと反応性の架橋剤、及び図1と異なる他の実質的に非反応性の親水性ポリマーの反応産物であるコンタクトレンズの表面摩擦力の低下を示すグラフである。
【図5】図5は、配合物C-4から調製されるコンタクトレンズから実質的に非反応性の親水性ポリマーの放出プロファイルを示すグラフである
【図6】図6は、配合物C-1から調製されるコンタクトレンズ及び配合物Aから調製される対照コンタクトレンズ、及び配合物C-1Bから調製されるコンタクトレンズの液滴接触角を示すグラフである。
【図7】図7は、対照コンタクトレンズE及び配合物D-4、D-5及びD-6から調製されるコンタクトレンズの表面摩擦力を示すグラフである。
【図8】図8は、GPC分析による生体外放出試験によって求めた、配合物F-1、F-2及びF-3から調製されたコンタクトレンズからの経時放出PVPの量(μg)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
独自のコンタクトレンズ配合物及びコンタクトレンズが提供される。本コンタクトレンズは、表面摩擦が比較的小さく、且つコンタクトレンズに存在する親水性ポリマーを長期間放出することができる。本コンタクトレンズは、平衡状態で水を吸収し且つ保持することができるソフトコンタクトレンズである。従って、本コンタクトレンズは、ヒドロゲルコンタクトレンズであると理解され得る。
本明細書に用いられるポリマーは、結合したモノマー単位から形成される少なくとも1,000ダルトンの分子量を有する化合物を意味し、当業者によって理解されるように、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー等を含む。当該技術において理解されているように、コポリマーは、2つ以上の異なるモノマー単位から形成されるポリマーを意味する。
本明細書に用いられる用語“ヒドロゲル”は、ポリマー鎖の網目又はマトリックスを意味し、この一部又は全部が、水溶性であってもよく、高いパーセントの水を含有してもよい。ヒドロゲルは、水膨潤性であるか或いは水膨潤されている、コンタクトレンズを含む高分子材料を意味する。従って、ヒドロゲルは水和されず且つ水膨潤性であってもよく、ヒドロゲルは部分的に水和され且つ水で膨潤されてもよく、ヒドロゲルは完全に水和され且つ水で膨潤されてもよい。
本発明の一態様において、コンタクトレンズ装着者の眼に配置するのに適切なレンズ本体を備えるコンタクトレンズが提供される。レンズ本体は、前面とレンズがレンズ装着者によって装着される場合に眼の角膜上皮へ向けられる後面を有する。本コンタクトレンズのレンズ本体は、重合性組成物又は配合物の反応産物又は重合製品である。
本コンタクトレンズのある実施態様において、レンズ本体が形成される重合性組成物は、1つ以上のモノマー及び重合の間に1つ以上のモノマーを架橋して第1のポリマー成分を形成する架橋剤を含む。重合性組成物は、また、親水性ポリマー成分を含む。重合は、親水性ポリマー成分の存在下に行われるか又は生じる。親水性ポリマー成分は、親水性ポリマー成分がレンズ本体から長期間にわたって放出されるようにレンズ本体における第1のポリマー成分と関連している。親水性成分は、生体外放出試験に基づき、例えば、少なくとも約8時間、又は少なくとも約16時間の時間にわたって放出することができる。
【0008】
親水性ポリマー成分は、重合プロセスの間、非反応性又は実質的に非反応性である。従って、得られたヒドロゲルレンズ本体は、重合性組成物に存在するモノマーから形成される第1のポリマー成分と、第2のポリマー成分、親水性ポリマー成分の網目を含み、ここで、親水性ポリマー成分は実質的に第1のポリマー成分が物理的に入り込んでいると理解され得る。親水性ポリマー成分の反応性は少しの量であり得るが、反応性はレンズ本体から親水性ポリマーの浸出又は放出を阻止するほど充分ではない。本コンタクトレンズは、第1のポリマー成分の形成が親水性ポリマー成分の存在下に生じる相互侵入高分子網目(IPN)を含むと理解され得る。しかしながら、本明細書に述べられるように、本コンタクトレンズにおいて、第1のポリマー成分が入り込んでいるとしても、親水性ポリマー成分がレンズ本体から放出されることは可能である。
重合性組成物は、また、他の物質及び添加剤を含むことができる。例えば、重合性組成物は、重合開始剤を含むことができる。重合開始剤は、熱開始剤、紫外線開始剤、又は他の開始剤であってもよい。更に或いは代わりに、重合性組成物は、また、色付け剤、紫外線吸収剤、着色剤、抗菌剤等及びこれらの混合物を含むことができる。
本レンズのある実施態様において、重合性組成物は、複数のモノマーを含み、第1のポリマー成分は、複数のモノマーのポリマーである。親水性ポリマー成分は、親水性ポリマー成分と、重合して第1のポリマー成分を形成するモノマーとの共重合を阻止するほど充分に非反応性である。
重合性組成物の一部において、親水性ポリマー成分は、ヒドロゲルレンズ本体に物理的に入り込んだ親水性ポリマーの組み合わせを得るように少なくとも2つの親水性ポリマー成分を含むことができる。一実施態様において、少なくとも2つの親水性ポリマー成分は、MPCの少なくとも2つのポリマーを含む。他の実施態様においては、少なくとも2つの親水性ポリマー成分は、MPCの少なくとも1つのポリマーとポリビニルピロリドン(PVP)の形を含む。少なくとも1つの実施態様において、少なくとも2つの親水性ポリマー成分は、各々異なる分子量を有する。重合性組成物中に異なる分子量の親水性ポリマー成分を含むことによって、重合性レンズ組成物中に1つだけ親水性ポリマー成分を含むコンタクトレンズと比べてレンズ本体から親水性ポリマー成分の異なる放出プロファイルを得ることが可能である。
【0009】
種々の実施態様において、重合配合物の第1のポリマー成分を調製するのに使用し得るモノマーは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-(3-フェニル-3-メチルシクロブチル)-2-ヒドロキシエチルメタクリレート(PC-HEMA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、n-ビニルピロリドン、アクリルアミド等及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない少なく1つの親水性モノマー成分を含有することができる。好ましい実施態様において、主な割合(即ち、>50%重量%)の第1のポリマーの成分は、上で示したモノマー成分の1つ以上から、例えば、HEMA単独で又は1つ以上のこのような他のモノマーと組み合わせて誘導される。種々の実施態様において、HEMA単独で又は1つ以上の他の反応性親水性モノマーと組み合わせたような少なくとも1つの親水性モノマー成分は、例えば、重合性組成物の重量で、約50wt%〜約97wt%、又は約65wt%〜約90wt%、又は約70wt%〜約85wt%の全量で含むことができる。示されたように、重合性組成物は、第1のポリマー成分を調製するのに用いられる反応性モノマー混合物、及び重合性組成物の重合の際に第2の親水性ポリマー成分になる親水性ポリマー成分を含む。HEMA及び/又は他の親水性モノマーの他の量も用いることができる。反応性モノマー成分は、また、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)のような少なくとも1つの重合性リン脂質モノマーを含有することができる。リン脂質モノマーは、例えば、重合性組成物の重量で、約20wt%まで、又は約1wt%〜約15wt%、又は約10wt%〜約20wt%の量で含むことができる。リン脂質モノマーの他の量も用いることができる。場合により、また、本コンタクトレンズには必要とされないが、メタアクリル酸のような少量の他のモノマー(例えば、約1〜約5wt%)が含まれてもよく、これは親水性高分子材料が平衡状態で吸収する水の量に影響するために使用し得るものである。
架橋モノマー成分は、また、好ましくは、第1のポリマー成分を調製するのに用いられる反応性モノマー混合物中に含まれる。有効なモノマー成分架橋剤又は架橋成分の例としては、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、グリセロールトリメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート(ここで、ポリエチレングリコールの分子量は、例えば、約5000までである)、他のポリアクリレート及びポリメタクリレートエステル、2つ以上の末端メタクリレート部分を含有する末端に導入されたポリオキシエチレンポリオール等及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。架橋モノマーは、第1のポリマー成分の望ましい架橋度を得るのに有効な量で用いられる。架橋モノマーは、例えば、重合性組成物の重量で、約0.05wt%〜約5.0wt%、又は約0.1wt%〜約2.0wt%、又は約0.5wt%〜約3.0wt%の量で使用し得る。架橋モノマーの他の量も用いることができる。
【0010】
示されたように、重合開始剤は、重合性組成物において使用し得る。用いることができる熱開始剤としては、アゾ又はペルオキシド化合物、例えば、重合温度における半減期が少なくとも20分のようなものが挙げられるが、これらに限定されない。有効なアゾ化合物としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)等及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。有効なペルオキシ化合物としては、イソプロピルペルカーボネート、tert-ブチルペルオクトエート、過酸化ベンゾイル、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、過酸化アセチル、コハク酸ペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、tert-ブチルペルオキシアセテート、プロピオニルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシピバレート、ペラルゴニルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、p-クロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシブチレート、tert-ブチルペルオキシマレイン酸、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ビス(1-ヒドロキシシクロヘキシル)ペルオキシド等及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。重合性組成物の親水性ポリマーがPVPの少なくとも1つの形を含む実施態様において、これらの化合物がPVPと反応することができるので、開始剤としてペルオキシド化合物の使用は避けるべきである。レドックス開始剤も用いることができ、過硫酸アンモニウム-チオ硫酸ナトリウム、硫酸カリウム-モール塩、及び1つ以上の過酸化物とチオ硫酸ナトリウムのような還元剤が挙げられるが、これらに限定されない。UV(紫外光)-活性化開始剤としては、光重合開始剤、例えば、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、フェノチアジン、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ベンゾイン、ベンゾインジメチルエーテル、他のベンゾイン誘導体、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル等及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。X線、電子ビーム等の他のフリーラジカル生成機序も使うことができる。用いられる開始剤の有効量は、開始剤のタイプ、反応性モノマー組成物等の要因によって異なり得る。一般に、用いられる開始剤の量は、例えば、重合性組成物の重量で、約2wt%まで、又は約0.005wt%〜約1wt%、又は約0.1〜約0.75wt%であり得る。
【0011】
色付け剤は、用いられる場合には、ほかの透明なヒドロゲルレンズ本体に可視性を与える物質であり得る。色付け剤は、水溶性染料、又は色素の粒子、又はこれらの組み合わせであり得る。色付け剤のいくつかの例としては、フタロシアニンブルー、バットブルー6、リアクティブブルー4、リアクティブブルー19等が挙げられる。用いられる色付け剤の有効量は、色付け剤のタイプ、反応性モノマー組成物、存在する非反応性ポリマー等の要因によっては変動し得る。一般に、用いられる色付け剤の量は、例えば、重合性組成物の重量で、約15wt%まで、又は約0.005wt%〜約2wt%、又は約1wt%〜約10wt%、又は約3wt%〜約8wt%であり得る。
PVPを含有するものを含む、本重合性組成物の一部は、その他の成分に加えて水を含むことができる。水の量は、重合性組成物の重量で、約10wt%まで、又は約0〜約7wt%、又は約0wt%〜約5wt%であり得る。
本明細書の例に記載されるものを含む本コンタクトレンズのある実施態様において、重合性組成物は、更に、親水性ポリマー成分に加えて、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、エチレングリコールジメタクリレート架橋剤、重合開始剤、及び場合によりバットブルー6色付け剤を含む。
本コンタクトレンズの種々の実施態様において、親水性ポリマー成分は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのポリマーである。親水性ポリマーは、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(PMPC)のホモポリマー、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn-ブチルメタクリレート(MPC/BMA)のコポリマー、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリロイルオキシエチルエチレンオキシド及びメタクリロイルオキシエチルプロピレンオキシドのコポリマー(MPC/PMEP)等及びこれらの混合物より選ばれ得る。いくつかの実施態様において、親水性ポリマーは、MPCの1つ以上のポリマー、及び追加の親水性成分、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)の形、ポリビニルピロリドン(PVP)の形等及びこれらの混合物を含むことができる。実施態様において、親水性ポリマー成分は、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn-ブチルメタクリレート(MPC/BMA)のコポリマーであり、以下の式Iによって表される:
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、Xは、約1,600〜約2,400であり、Yは、約400〜約600であるか、又はXは、約1,800〜約2,200であり、Yは約450〜約550であるか、又はXは、約1,900〜約2,100であり、Yは、約475〜約525である)。
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn-ブチルメタクリレート(MPC/BMA)のコポリマーは、LIPIDURE-PMB(登録商標)(NOF社、日本)の商品名で市販されている。LIPIDURE-PMB(登録商標)は、また、本明細書に“Lipidure”、“LIP”と略記される。LIPは、本明細書に記載される式I(式中、Xが約2000であり、Yが約500である)によって表される。示されたように、X及びYの他の数値も用いることができる。
他の態様において、親水性ポリマー成分は、更に、ポリビニルピロリドン(PVP)の少なくとも1つの形を含む。PVPは、MPCのホモポリマー、MPCの少なくとも1つのコポリマー、及びこれらの組み合わせと組み合わせて使用し得る。一実施態様において、PVPは、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn-ブチルメタクリレート(MPC/BMA)と組み合わせて用いられる。
ポリビニルピロリドン(PVP)は、モノマーN-ビニルピロリドンから製造される水溶性高分子である。PVPは、下記式によって表され得る:
【0014】
【化2】

【0015】
(係数“n”は、少なくとも2以上の正の数である)。
PVPの分子量は、(キロ)ダルトンによって又は“K-値”によって本明細書に示される。K-値は、分子量に関する粘度指数を表す粘度特性のフィケンチャーの値である。K-値は、以下の式によって算出される:
【0016】
【数1】

【0017】
(式中、ηは、PVP水溶液と水との相対粘度であり、cは、水溶液中のPVPの重量パーセントである)。
PVPは、少なくとも10,000ダルトンの分子量、数平均分子量又は重量平均分子量を有することができる。典型的には、PVPは、分子量10,000ダルトン〜1,500,000,000,000ダルトンを有する。ある実施態様において、PVPは、少なくとも300,000ダルトンの数平均分子量又は重量平均分子量を有する。一態様において、PVPの組み合わせが重合性組成物に含まれる場合、分子量が比較的広範囲の多分散性又は不均一性のPVPの少なくとも1つの形が含まれ得る。より広い分子量範囲については、コンタクトレンズにPVPの形が経時レンズ本体から放出され得ることを示す生体外放出プロファイルを与えることが可能である。
他の態様において、重合性組成物の親水性ポリマーは、更に、ポリビニルピロリドンの少なくとも2つの形を含むことができ、ポリビニルピロリドンの少なくとも2つの形の各々が異なる平均分子量を有する。例えば、ポリビニルピロリドンは、粘度特性式のフィケンチャーの値に基づきK-値が約10〜約50の約20%重量%〜約40%重量%のポリビニルピロリドンと、K値が約80〜約120の約60%重量%〜約80%重量%のポリビニルピロリドンの混合物を含むことができる。混合物は、また、粘度特性式のフィケンチャーの値に基づきK-値が約30の約30%重量%のポリビニルピロリドン、及びK値が約90の約70%重量%のポリビニルピロリドンを含むことができる。
本コンタクトレンズの実施態様において、親水性ポリマー成分は、重合性組成物中に、重合性組成物の重量で、約0.005wt%〜約20wt%、又は約1wt%〜約10wt%、又は約3wt%〜約15wt%の量で存在する。これらの量は、重合性組成物に存在する1つ又は複数の親水性ポリマー成分の全量に基づく。LIPのようなMPCのポリマーは、重合性組成物中に、重合性組成物の重量で、約15wt%まで、又は約0.005wt%〜約10wt%、又は約0.01wt%〜約5wt%、又は約1wt%〜約6wt%、又は約1wt%〜約3wt%の量で存在し得る。PVPは、重合性組成物中に、重合性組成物の重量で、約20wt%まで、又は約0.005wt%〜約10wt%、又は約0.01wt%〜約5wt%、又は約1wt%〜約6wt%、又は約1wt%〜約3wt%の量で存在し得る。1つ又は複数の親水性ポリマー成分の他の量も用いることができる。
【0018】
親水性ポリマーの長期放出に加えて、本コンタクトレンズの実施態様のレンズ本体は、親水性ポリマー成分を含まない同一の重合性組成物の反応産物を含む第2のコンタクトレンズに比べて表面摩擦が小さい。本コンタクトレンズのある実施態様において、重合性組成物中に重量で約5wt%の親水性ポリマー成分を含むことにより、レンズ本体の表面摩擦が親水性ポリマー成分を含まずに製造された同一の重合性組成物の反応産物を含む第2のコンタクトレンズに比べて少なくとも約50%だけ小さいレンズ本体が得られる。
本コンタクトレンズのレンズ本体は、また、眼科的に適合できる表面湿潤性を有する。コンタクトレンズの湿潤性は、レンズ表面の接触角を測定することによって生体外で評価することができる。当業者が慣用的に知っている液滴接触角測定技術を用いた本コンタクトレンズの実施態様は、上記のように、第2のコンタクトレンズに比べて少なくとも約30%だけ減少する液滴接触角を有するレンズ本体を有した。
本明細書における開示内容を考慮して、本コンタクトレンズの少なくとも1つの実施態様が、重合性組成物の反応産物であるレンズ本体を含み、ここで、重合性組成物が、1つ以上のモノマー、重合の間、1つ以上のモノマーを架橋する架橋剤、及び上記式Iに示されるように、LIPのような2-MPCのポリマーを含むことが理解され得る。
LIPを含有するこれらのコンタクトレンズで特定のものにおいて、重合性組成物は、また、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、エチレングリコールジメタクリレート架橋剤、熱重合開始剤、バットブルー6色付け剤を含む。これらのコンタクトレンズのある実施態様において、熱重合開始剤は、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)であり得る。更に、ある実施態様において、HEMA及びMPCは(存在する場合には)、組成物中に、約80%(wt/wt)〜約90%(wt/wt)の合わせた量で含有する。ある実施態様において、LIPは、組成物中に、約1%(wt/wt)〜約6%(wt/wt)の量で存在し得る。
【0019】
コンタクトレンズを含有するLIPのレンズ本体は、LIPを含まない同一の重合性組成物の反応産物を含む第2のコンタクトレンズに相対して表面摩擦が小さいことがあり得る。少なくとも一実施態様において、これらのコンタクトレンズの重合性組成物が約5wt%重量のLIPを含有する場合、このような組成物の反応産物であるレンズ本体は、LIPを含まない同一の重合性組成物の反応産物を含む第2のコンタクトレンズに相対して少なくとも約40%だけ表面摩擦が小さくなる。
LIPのようなMPCのポリマーは、ポリマーが生体外試験の間、少なくとも約8時間、又は少なくとも約16時間レンズ本体から放出されるようにレンズ本体内に存在し得る。
実施態様において、レンズ本体の表面摩擦は、MPCの少なくとも1つのポリマーを含まない同一の重合性組成物の反応産物を含む第2のコンタクトレンズの表面摩擦より少なくとも10%小さく、又は少なくとも約20%小さく、又は少なくとも約30%小さく、又は少なくとも35%小さい。
更に、ある実施態様において、LIPのようなMPCのポリマーに加えて、ポリビニルピロリドンの形を含有するコンタクトレンズのレンズ本体は、コポリマーを含まない同一の重合性組成物の反応産物を含む第2のコンタクトレンズの液滴接触角より少なくとも約5%小さく、又は少なくとも約15%小さく、又は少なくとも約30%小さい液滴接触角を有する。
示されるように、MPCのポリマーを含有するコンタクトレンズを製造するのに用いられる重合性組成物は、更に、追加の親水性ポリマー成分としてポリビニルピロリドンの少なくとも一つの形を含むことができる。ある実施態様において、重合性組成物は、ポリビニルピロリドンの少なくとも2つの形(ここで、ポリビニルピロリドンの少なくとも2つの形は、本明細書の他の所に示されるような互い相対して異なる平均分子量を有する)をLIPのようなMPCのコポリマーと組み合わせて含むことができる。
【0020】
本コンタクトレンズの追加の実施態様は、重合性組成物の反応産物であるレンズ本体を含み、ここで、重合性組成物は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、エチレングリコールジメタクリレート架橋剤、熱水溶性重合開始剤、バットブルー6色付け剤、水、LIPのような2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn-ブチルメタクリレート(MPC/BMA)のコポリマー、及びポリビニルピロリドンを含む。これらのコンタクトレンズのある実施態様において、熱水溶性重合開始剤は、過硫酸アンモニウム又は2,2'-アゾビスイソブチリルニトリル(AIBN)である。更に、ある実施態様において、HEMA及びMPCは(存在する場合には)、組成物中に、約80%(wt/wt)〜約90%(wt/wt)の合わせた量で含有する。ある実施態様において、ポリビニルピロリドンは、組成物中に、約1%(wt/wt)〜約6%(wt/wt)の量で存在する。ある実施態様において、LIPは、組成物中に約0.005wt%〜7%の量で存在する。
本明細書に述べたように、ポリビニルピロリドンは、ポリビニルピロリドンが生体外試験の間、少なくとも約8時間又は少なくとも約16時間レンズ本体から放出されるようにレンズ本体内に存在し得る。ポリビニルピロリドンは、典型的には、少なくとも10,000ダルトン及び1,500,000ダルトン未満の数平均分子量又は重量平均分子量を有する。更に、ある実施態様において、これらのPVPを含有するコンタクトレンズのレンズ本体は、ポリビニルピロリドンを含まない同一の重合性組成物の反応産物を含む第2のコンタクトレンズの液滴接触角より少なくとも約5%小さく、又は少なくとも約15%小さく、又は少なくとも約30%小さい液滴接触角を有する。ポリビニルピロリドンを有するこれらのコンタクトレンズにおいて、レンズの実施態様は、ポリビニルピロリドンを含まない同一の重合性組成物の反応産物を含む第2のコンタクトレンズの表面摩擦より少なくとも10%小さく、又は少なくとも約20%小さく、又は少なくとも約30%小さく、又は少なくとも約35%小さい表面摩擦を有するレンズ本体を含む。
【0021】
また、重合性組成物でレンズ本体を製造する方法であって、1つ以上のモノマー、少なくとも1つの架橋剤、及び2-メタクリロイルオキシホスホリルコリンの少なくとも1つのコポリマーを準備する工程、及び重合性組成物を重合して、レンズ本体を得る工程を含む、前記方法が提供される。実施態様において、ポリビニルピロリドンが、重合性組成物中に2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのコポリマーと含まれ得る。
本コンタクトレンズは、旋盤加工コンタクトレンズ、スピンキャストコンタクトレンズ、又は成形加工コンタクトレンズであり得る。これらのタイプのコンタクトレンズが製造方法から得られる物理的特徴が異なることになることは理解され得る。実施例の実施態様を含む、ある実施態様において、コンタクトレンズの各々は注型コンタクトレンズである。言い換えれば、コンタクトレンズ形キャビティを形成するように相互に接触した2つのコンタクトレンズ金型部分(例えば、雄型と雌型のコンタクトレンズ金型部分)から形成されるコンタクトレンズ金型組立から得られるコンタクトレンズである。
ある実施態様において、本コンタクトレンズは、1日使い捨てコンタクトレンズ(即ち、一度だけ人の眼に装着され、次に捨てられるコンタクトレンズ)である。本コンタクトの他の実施態様は、レンズを毎日装着する(即ち、人の眼に装着し、次に洗浄し、更に少なくとも1回人の眼に装着されるレンズ)。1日使い捨てコンタクトレンズは、終日装用コンタクトレンズを毎日装着するのと比べて物理的に異なり、化学的に異なり、又はその双方であることが理解され得る。例えば、終日装用コンタクトレンズを製造するために用いられる配合物は、実質的により大きな容積の1日使い捨てコンタクトレンズを製造する際の経済的且つ商業的な要因により1日使い捨てコンタクトレンズを製造するために用いられる配合物とは異なる。
本コンタクトレンズのレンズ本体は、球面、非球面、円環状面、又はこれらの組み合わせをもち得る。本コンタクトレンズは、単焦点コンタクトレンズ、二焦点コンタクトレンズを含む多焦点コンタクトレンズ、円環状コンタクトレンズ、又はこれらの組み合わせであると理解され得る。
【0022】
本コンタクトレンズは、パッケージで供給され得る。コンタクトレンズ包装システムは、1つ以上の湿潤剤又は界面活性剤を含有する包装溶液中にレンズ本体を含むことができる。実施態様において、包装溶液は、レンズ本体中の2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのポリマーと同じか又は異なってもよい2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのポリマーを含有する水性溶液を含むことができる。重合性組成物又は重合性組成物と包装溶液は、更に、ポリビニルピロリドンの少なくとも1つの形を含むことができる。実施態様において、重合性組成物中のポリビニルピロリドンは、ポリビニルピロリドンが生体外放出試験に基づき少なくとも8時間、又は少なくとも約16時間にわたってレンズから放出されるようにレンズ本体と関連している。包装溶液は、また、ポリビニルピロリドンの形を含有する水溶液を含むことができる。ポリビニルピロリドンは、単独で又は包装溶液中のMPCの少なくとも一つのポリマーと組み合わせて使用し得る。PVPを含有するコンタクトレンズのようなある実施態様において、包装溶液は、追加のPVP量を含有する緩衝生理食塩溶液であってもよく、このPVPはコンタクトレンズ配合物中に準備されるPVPと異なる分子量を有してもよく或いは有しなくてもよい。コンタクトレンズパッケージは、コンタクトレンズと包装溶液を保持するためのキャビティを有する容器を備えることができる。滅菌環境中でコンタクトレンズを維持する慣用の方法でキャビティを取り囲んでシールされ得る。
本レンズは、レンズの後面が患者の眼の角膜上皮に接するように患者の眼の上に置かれる。
本発明の実施態様において、コンタクトレンズは、重合性組成物に存在する少なくとも1つのモノマーを重合して第1のポリマーを形成することによって形成され得る。本発明によれば、予め形成された親水性ポリマーも重合性組成物に存在するので、少なくとも1つのモノマーを重合して第1のポリマーを形成することによってIPNを生成させることができ、ここで、第1のポリマーは、第2のポリマー、予め形成された親水性ポリマー(例えば、MPCの1つ以上のポリマー)の存在下に形成される。IPNは、第1のポリマーと第2のポリマーのコポリマーとはみなされない。反応成分がすべて一緒に重合される場合と第1のポリマー成分を形成し、それによって全体の相互侵入高分子網目を形成するために少なくとも1つのモノマーの重合の際に予め形成されたポリマーを存在させる場合ではコポリマーの保水性が同一ではない。更に、本発明は、MPCの変性ポリマーを形成しないが、その代わりにMPCのポリマーのような予め形成される親水性ポリマーを用い、この予め形成された親水性ポリマーの存在下に予め形成された親水性ポリマーが重合から形成されるとすぐに第1のポリマーを相互侵入するように少なくとも1つのモノマーを重合する。本発明は、本発明において形成されることが好ましい相互侵入高分子網目と更にまた異なっているIPNを同時形成しないことが好ましい。
【0023】
本発明のためのIPN材料は、2つ以上の異なるポリマーの混合物を含有する材料であり、異なるポリマーの間に共有結合がほとんど或いは全くなくポリマーが材料に絡み合うか又は入り込んでいる2つ以上の異なるポリマーの混合物を含有する材料であると理解され得る。従って、IPNは、ブロックコポリマーやグラフトコポリマーを含むコポリマーのような架橋材料を形成するポリマーが共有結合によって相互に接続される化学的に架橋された材料と比べて異なる化学的構造と材料形態を有する異なる種類の高分子材料とみなされる。IPN材料は、異なるポリマーが相互に共有結合で結合されているコポリマー材料のような化学的に架橋された高分子材料とは化学的に異なる。上で説明したように、IPNは、2つのポリマーの物理的ブレンドであり、ここで、1つのポリマーは、他のポリマーに物理的に相互侵入しているか、又は入り込んでいる。IPNと異なり、化学的に架橋された材料又は上記のコポリマー材料は、2つのポリマーの物理的ブレンドではないが、その代わりに、2つのポリマーは、化学結合によって一緒に共有結合で結合されている。従って、化学的に言えば、IPNは、架橋された高分子材料を形成する2つのポリマーが異なるポリマーの間に共有結合を形成することによって化学的に変えられ、最終的に架橋された高分子材料を生成するので、また、IPN材料が異なるポリマーを結合する共有結合を含まないので、架橋された高分子材料とは化学的に異なる。IPN材料から形成されるコンタクトレンズは、また、複数のポリマーが相互に共有結合で結合されている化学的に架橋された材料から形成されるコンタクトレンズと比べて異なる性質を有する。例えば、IPNベースのコンタクトレンズは、典型的には、モジュラスがより低く且つ上記の化学的に架橋された材料から形成されるコンタクトレンズより可撓性である。化学的に架橋された材料がIPNベースの材料と比べて架橋密度がより高いので(IPNベースの材料が異なるポリマーの間に共有結合を含まないので)、化学的に架橋された材料はより硬質になり且つIPNベースの材料より曲げモジュラスが大きくなる。典型的には、曲げモジュラスがより大きいコンタクトレンズは、曲げモジュラスがより小さいコンタクトレンズよりコンタクトレンズ着用者が快適でないと感じる。本明細書により詳細に記載されるように、ホモポリマーとコポリマーを含むMPCのポリマーは、IPN材料を形成するために使用し得る他の反応性モノマーと架橋剤を有する化学配合物に含まれ得る1つのタイプのポリマーの例である。MPC含有IPNのポリマーの製造において、MPCのポリマーは、基本的に不活性であるか又はIPNの他のポリマー成分と共有結合を形成しない。MPCのポリマーは、未変性形態において、MPCのポリマーが官能基を含まないか又は化学的に非反応性である(例えば、共有結合を形成しない)ことから基本的に不活性か又は化学的に反応性でない。MPCのポリマーが官能基又は反応基を含むように変性される場合には、MPCのポリマーは、重合プロセスの間、配合物における他のモノマーと反応する。
【0024】
ヒドロゲルコンタクトレンズは、種々の製造技術によって製造され得る。旋盤加工コンタクトレンズを形成するために重合された円筒形ロッドの部分を切除するために旋盤を使う製造プロセスは、旋盤加工と呼ばれる。金型部分の一方が凹レンズ形成面(例えば、前面金型)をもち、凸レンズ形成面(例えば、裏面金型)をもつ、2つの金型部分を一緒に組立てて、2つの金型部分の間にコンタクトレンズ形キャビティを含む金型アセンブリを形成するように使う製造プロセスは、注型プロセスと呼ばれ、注型コンタクトレンズを生じる。旋盤加工コンタクトレンズと異なり、注型コンタクトレンズは、金型から取り出される場合、コンタクトレンズの形状である。これに対して、旋盤加工プロセスにおいて、金型から取り出される重合製品は、円筒形ロッドであり、コンタクトレンズを得るために機械加工されることを必要とする。旋盤加工コンタクトレンズと注型コンタクトレンズは異なるプロセスによって製造されるが、旋盤加工コンタクトレンズと注型コンタクトレンズは、また、相互に化学的且つ物理的に異なる。例えば、旋盤加工コンタクトレンズは、より粗いレンズ面、低水湿潤性、低極性、低臨界表面張力、及び注型コンタクトレンズと異なる表面化学物質含量を有することがわかった。従って、旋盤加工コンタクトレンズも注型コンタクトレンズもヒドロゲルコンタクトレンズであり得るが、異なるタイプのコンタクトレンズは相互に区別する異なる化学的性質と構造特性を有する。本発明において、好ましくは、注型コンタクトレンズを形成するために注型プロセスが用いられる。
【0025】
“旋盤加工可能なレンズ配合物”は、配合物又は製造プロセスを変化させずに旋盤加工可能なレンズ配合物を注型システムに用いた場合には許容され得る注型コンタクトレンズを製造するとは予想されない。重合製品の性質は、重合性レンズ配合物に存在する化学成分のタイプ及び量に左右される。注型プロセスにおいて、重合製品は、最大厚さ(レンズの前面とレンズの後面の間の距離)を数百マイクロメートルのオーダーで有する(例えば、球状修正コンタクトレンズは約100マイクロメートルの最大厚さをもつことができ、プリズムバラストによる円環状コンタクトレンズは約400〜500マイクロメートルの最大厚さをもつことができる)。比較として、旋盤加工プロセスにおいて、重合製品は、注型コンタクトレンズよりかなり大きい最大厚さを有する。例えば、重合製品は、約1センチメートル〜約30センチメートル(約1フィート)の厚さをもつことができる。旋盤加工プロセスにおいて、重合製品の異なる領域における性質が異なっている。例えば、重合ロッドの末端は、重合ロッドの中央領域より酸素にさらされていてもよい。これらの異なる性質は、重合材料の化学的性質と物理的性質に影響し、重合ロッドがより長い作用が更に明らかになる。旋盤加工可能なレンズ配合物は、注型材料において重合製品の薄い性質のためにあったとしても明らかなものではないこれらの差を解決するために、且つ差があり得る負の作用を最小限にするために製造される。更に、注型システムにおいて、コンタクトレンズ金型アセンブリがコンタクトレンズの厚さよりかなり大きい直径のような断面距離を有する(例えば、コンタクトレンズ金型アセンブリは、コンタクトレンズが約100マイクロメートルの厚さを有する場合に約20ミリメートルの直径をもつことができる)。2つの金型部分の閉鎖のわずかな変化は、これらの相対差に基づきコンタクトレンズの形状のかなりの量の変動を引き起こし得る(例えば、金型閉鎖が対称でない場合には、重合コンタクトレンズ製品は望ましくない種々の厚さを有することになり、望ましくないプリズムと関連することにもなる)。金型充填工程(配合物が前面金型上に置かれる工程)、金型閉鎖工程、キュア工程、金型分離工程のような注型プロセスは、許容され得る注型コンタクトレンズを得るように調整されることを必要とすると思われる。旋盤加工コンタクトレンズを製造する場合、これらの考慮は必要でない。更に、旋盤加工可能なレンズ配合物と注型レンズ配合物のキュアリングプロファイルの間に違いが存在する。例えば、ある旋盤加工可能なレンズ配合物は、配合物が円筒形金型に入るとほとんど同時に重合或いはキュアし始めることから注型プロセスに用いることができない。
【0026】
本発明については、ある期間にわたって親水性ポリマー(例えば、MPCの1つ以上のポリマー又はMPCの1つ以上のポリマーやPVPの形)の放出制御又は持続放出を有することが可能である。親水性ポリマーがPVPの形を含まずにMPCの少なくとも2つのポリマーを含む場合、親水性ポリマーの放出速度はMPCの1つのポリマーだけを含む同様のポリマーの放出速度より緩慢である(即ち、より持続される)。親水性ポリマーが少なく1つのMPCのポリマーをPVPの形と含む場合、親水性ポリマーの放出速度は少なく1つのMPCのポリマーを含むがPVPの形を含まない同様のポリマーの放出速度より緩慢である(即ち、より持続される)。親水性ポリマーが少なくとも1つのMPCのポリマー(単独或いはPVPの形と組み合わせて)を含み、且つ少なくとも1つのMPCのポリマー及び/又は少なく1つのPVPの形を含む包装溶液中で平衡である場合、放出速度は少なくとも1つのMPCのポリマー及び/又は少なくとも1つのPVPの形を含む包装溶液中で平衡でないMPCのポリマーと同様のポリマーの放出速度より緩慢である(即ち、より持続される)。
親水性ポリマーの放出制御又は徐放性は、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間以上のようなある期間であり得る。放出は、ある期間にわたって一定であり得る(例えば、+/- 20%又は+/- 10%以内)か又は例えば、経時放出速度のwt%が前方に多いか又は後方に多い場合には、可変放出速度をもち得る。例えば、放出は、放出されるポリマーの速度が最初の数時間で(例えば、初回の時間、2回目の時間、3回目の時間で)でより多いか又はより少ないことがあり得るようなものであり得る。放出速度は、少なくとも5wt%の利用可能なポリマー(例えば、MPCのポリマー又はMPCのポリマーとPVPの形の量)の放出可能な量が初回の0〜4時間、又は0〜8時間で生じるようなものあり得る。少なくとも5wt%は、5wt%〜99wt%、又は10wt%〜95wt%、又は15wt%〜90wt%、又は20wt%〜85wt%又は25wt%〜80wt%、又は30wt%〜75wt%、又は35wt%〜70wt%、又は40wt%〜65wt%、又は45wt%〜65wt%又は50wt%〜65wt%又は55wt%〜75wt%、又は少なくとも10wt%、少なくとも15wt%又は少なくとも20wt%又は少なくとも25wt%又は少なくとも40wt%又は少なくとも50wt%であり得る。選択として、放出速度は、少なくとも5wt%の利用可能なポリマー(例えば、MPCのポリマー又はMPCのポリマーとPVPの形の量)の放出可能な量が4〜8時間、又は4〜12時間又は4〜16時間、又は5〜12時間、又は5〜16時間で生じるようなものであり得る。本実施例において、少なくとも5wt%は、5wt%〜99wt%、又は10wt%〜95wt%、又は15wt%〜90wt%、又は20wt%〜85wt%又は25wt%〜80wt%、又は30wt%〜75wt%、又は35wt%〜70wt%、又は40wt%〜65wt%、又は45wt%〜65wt%又は50wt%〜65wt%又は55wt%〜75wt%、又は少なくとも10wt%、少なくとも15wt%又は少なくとも20wt%又は少なくとも25wt%又は少なくとも40wt%又は少なくとも50wt%であり得る。示された時間は、本発明のポリマー材料(例えば、IPN)が、最初に、眼、レンズ溶液中、液体環境中等の親水性ポリマー(例えば、MPCのポリマー又はMPCのポリマー及びPVPの形)の放出を可能にする環境に供する場合について述べることである。
【0027】
本明細書に記載される本コンタクトレンズは、表面摩擦、又は湿潤性、又はこれらの双方が改善される。例えば、本コンタクトレンズは、対照コンタクトレンズに比べて低表面摩擦、低接触角、又はこれらの双方を示す。更に、本コンタクトレンズの実施態様は、第2の親水性ポリマー成分を含まないコンタクトレンズと同様の曲げモジュラス、水分、又はこれらの双方を維持しつつ、低表面摩擦、低接触角を有する。
ある実施態様において、第2の親水性ポリマー成分を含む本コンタクトレンズは、(i)第2の親水性ポリマー成分を含まない同一のコンタクトレンズ(対照レンズ)より表面摩擦が少なくとも30%小さく; (ii)対照レンズの接触角より接触角が少なくとも10%小さく; (iii)又は(i)と(ii)の双方であるが、(iv)曲げモジュラスが対照レンズの曲げモジュラスの約50%以内にあり; (v)平衡水分が対照レンズの平衡水分の約2%以内にあり; 又は(vi)(iv)と(v)の双方である。本コンタクトレンズのある好ましい実施態様において、コンタクトレンズは、上の特徴(iii)と(vi)を有する。
説明のためにのみ示される一例として、対照コンタクトレンズは、規格化表面摩擦力が約1、接触角が約90度、曲げモジュラスが約0.5Mpa、平衡水分が約60%であり得る。従って、本明細書に記載される本コンタクトレンズの実施態様は、規格化表面摩擦力が約0.7以下、接触角が約81度以下、曲げモジュラスが約0.2〜約0.8Mpa、平衡水分が約58%〜約62%になる。
【0028】
説明のためにのみ示される他の例として、対照コンタクトレンズは、規格化表面摩擦力が約1、接触角が約84度、曲げモジュラスが約0.3Mpa、平衡水分が約60%であり得る。従って、本明細書に記載される本コンタクトレンズの実施態様は、規格化表面摩擦力が約0.7以下、接触角が約76度以下、曲げモジュラスが約0.1〜約0.5Mpa、平衡水分が約58%〜約62%である。
追加の実施態様において、本コンタクトレンズの表面摩擦は、対照コンタクトレンズより約30%〜約80%少なく、例えば、本コンタクトレンズの表面摩擦は、対照コンタクトレンズより約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%少なくなり得る。
これらの実施態様のいずれか、又は実施態様のすべてにおいて、接触角が対照レンズの接触角より約10%〜60%少ない。実施態様において、更に、接触角は、対照レンズの接触角より約20%〜約50%小さい。実施態様において、更にまた、接触角は、対照レンズの接触角より約25%〜約45%少ない。
これらの実施態様のいずれか、又は実施態様のすべてにおいて、本発明のレンズの曲げモジュラスは、対照レンズの曲げモジュラスと約10%〜約60%の範囲内で異なる。実施態様において、更に、レンズの曲げモジュラスは、対照レンズと約20%〜約50%の範囲内で異なる。実施態様において、更にまた、曲げモジュラスは、約25%〜約45%の範囲内で異なる。
これらの実施態様のいずれか、又は実施態様のすべてにおいて、本発明のレンズの水分は、対照レンズの水分と約0%〜約20%の範囲内で異なる。実施態様において、更に、本発明のレンズの水分は、対照レンズの水分と約0%〜約10%の範囲内で異なる。実施態様において、更にまた、水分は、約0.5%〜約5%の範囲で異なる。
【実施例】
【0029】
以下の実施例は、本発明のある態様と利点を示すものであるが、本発明がそれによって制限されないと理解されなければならない。特にことわらない限り、すべての部、パーセント及び割合は重量による。
実施例1
コンタクトレンズの調製
モノマー、モノマーと反応性である架橋剤、開始剤、及び色付け剤と実質的に非反応性の親水性ポリマーとを混合することによって重合性レンズ配合物を調製した。重合性レンズ配合物の一部は、5%水を含有した。
コンタクトレンズ金型を、ポリプロピレン樹脂から従来の射出成形技術と装置を用いて射出成形した。各コンタクトレンズ金型は、コンタクトレンズの前面を形成するための光学品質凹面を含む雌型部分、及びコンタクトレンズの裏面を形成するための光学品質凸面を含む雄型部分を含んだ。雌型部分は前面金型であると理解することができ、雄型部分は裏面金型であると理解することができる。
重合性レンズ配合物の量(60μl)を雌型部分の凹面に置いた。重合性レンズ配合物が雌型部分の凹面と雄型部分の凸面の間に形成されるコンタクトレンズ形キャビティ内に位置するように雄型部分を雌型部分と接触させて配置させた。雄型部分を、雌型部分と雄型部分の末梢領域の間の干渉取り付けによって適切な位置に保持した。
次に、重合性レンズ配合物を含有するコンタクトレンズ金型を炉内に入れ、そこで重合性レンズ配合物を100℃の温度で約30分間キュアした。キュア後、コンタクトレンズ金型は、コンタクトレンズ形キャビティの中に重合コンタクトレンズ製品を含有した。
コンタクトレンズ金型を炉から取り出し、室温(20℃)に冷却しておいた。コンタクトレンズ金型を機械的に型から取り出し、雄型部分と雌型部分を相互から分離した。重合コンタクトレンズ製品を、雄型部分に付けたままにした。
次に、重合コンタクトレンズ製品を雄型部分から機械的に脱レンズして、雄型部分からコンタクトレンズ製品を分離した。
次に、分離したコンタクトレンズ製品をコンタクトレンズブリスターパッケージ内のホウ酸緩衝生理的食塩水(BBS)溶液に入れ、次に、ホイル被覆で密閉して、包装された水和コンタクトレンズを形成した。ブリスター内のレンズをオートクレーブによって滅菌した。
これらの包装されたコンタクトレンズについて以下に記載される測定及び試験を行った。
【0030】
実施例2
コンタクトレンズ面について摩擦力の測定
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、水和したコンタクトレンズについて摩擦力を測定した。Veeco Digital Instruments CP-II AFMを用いて、PBSによって完全に水和したコンタクトレンズ面の摩擦力を測定した。直径12μmホウケイ酸塩ガラス球先端と0.03N/mのバネ定数を有する窒化ケイ素V字形カンチレバーで接触モード画像を撮った。先端に加えられる垂直力は、1.0nNであった。スキャン速度は0.8Hzであり、スキャン領域は30×30μmであった。1レンズにつき3つの領域と1実験につき3つのレンズを測定した。
【0031】
実施例3
コンタクトレンズ生体外放出プロファイルの測定
ほとんど非反応性の親水性ポリマーの放出プロファイルをゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法を用いることにより測定した。各試料について、1つのレンズを(レンズペーパーで)ブロットして、過剰量の包装溶液を除去し、400μl PBS(pH=7)と清浄なバイアルに入れ、35℃で300rpm振盪機に望ましい放出時間間隔保持した。抽出物をバイアルから取り出し、GPCオートサンプラバイアルに入れ、次に屈折率検出によってWaters GPCシステム(Waters 1525 Binary HPLC、Waters社、ミルフォード、マサチューセッツ)で分析した。3回の実験試料を、各時点で試験した。詳細なGPC法パラメーターは次の通りである: ウルトラヒドロゲルガードカラムによるウルトラヒドロゲル250(300×7.80mm)、移動相20% MeOH/80% H2O、流量0.8ml/分、注入量50μl、Waters 2414屈折率検出器。
【0032】
実施例4
LIPを含有するヒドロゲルコンタクトレンズ
実施例1に記載されるようにコンタクトレンズを調製した。ヒドロゲルコンタクトレンズの4つのバッチ(表1におけるA(対照)、B-1、B-2、及びB-3)を調製した。重合性レンズ配合物は表1に示されており、ここで、各成分の量は単位部である。表1において、化学略語は以下のように定義される: MPC: 2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(NOF社、筑波、日本); HEMA: 2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Degussa社、ピスカタウェイUSA); EGDMA: エチレングリコールジメタクリレート(Esstech社、エッシントン、ペンシルバニア、USA); 開始剤: 2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(Sigma-Aldrich、セントルイス、ミズーリ、USA); VB6: Vat Blue 6(色付け剤)のHEMA被覆色素(Bioedge Research、ラホーヤ、カリフォルニア、USA); LIP: 2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn-ブチルメタクリレートのコポリマー、LIPIDURE-PMB(登録商標)、粉末状、NOF社製、筑波、日本。示されるように、LIPは本明細書に記載される式Iによって表され、ここで、Xは約2000であり、Yは約500である。MPCは、また、Biocompatibles社(英国)のような会社から入手することができ、米国特許第5,981,786号; 同第6,420,453号; 同第6,423,761号に記載されるように製造することもできる。
各配合物A、B-1〜B-3の合計部は、MPC、HEMA、EGDMA、開始剤、VB6及びLIPの合わせた部に基づく。これらの実施例のために、単位量は、表の単位部のすべての合計を求め、それぞれの単位部を単位部のすべての合計で割ることによって、重量パーセントに変換することができる。
【0033】
表 1

【0034】
これらの4つのレンズ配合物の反応産物であるコンタクトレンズのバッチについて、表2に示される多くの性質を調べた。これらの測定のすべてを、従来法及び装置を用いて行った。表2から、5単位部(配合物B-3)以下のLIPIDURE-PMB(登録商標)としてLIPを含有するレンズ配合物から得られたコンタクトレンズが、LIPIDURE-PMB(登録商標)としてLIPを含有しない対照レンズに対して実質的に同様の直径、ベース曲線、中心厚さ(CT)、透過率(T)、モジュラス、水分、及び液滴接触角を示したことが証明される。
【0035】
表 2

【0036】
図1に示されるように、重合性レンズ配合物中にLIPが存在すると対照に比べて表面摩擦が小さいヒドロゲルコンタクトレンズが得られた。LIP量が増加するにつれてコンタクトレンズの表面摩擦が小さくなるという点で表面摩擦の低下は用量依存性であった。表面摩擦の低下は、コンタクトレンズの表面の高潤滑性を表している。
更に、図2及び図3に示されるように、コンタクトレンズのポリマーマトリックスで物理的に入り込んでいると考えられるLIPを含有するコンタクトレンズは、生体外放出試験の間、長期にコンタクトレンズからLIPを放出した。3部のLIPを含有する配合物から得られるコンタクトレンズにおいて(図2)、コンタクトレンズから周囲の液体環境にLIPが少なくとも8時間放出された。5部のLIPを含有する配合物から得られるコンタクトレンズにおいて(図3)、コンタクトレンズから周囲の液体環境にLIPが少なくとも8時間放出された。放出は、約8〜約16時間でプラトーに達したと思われる。
特に、これらのデータから、重合性レンズ配合物中に実質的に非反応性の親水性ポリマーを含むことにより、表面摩擦が小さく且つコンタクトレンズから実質的に非反応性の親水性ポリマーを数時間にわたって長期放出するコンタクトレンズを得ることができることが証明される。
【0037】
実施例5
ポリビニルピロリドンを含有するヒドロゲルコンタクトレンズ
実施例1に記載されるように、コンタクトレンズを調製した。ヒドロゲルコンタクトレンズの5つのバッチ(表3におけるC-1、C-2、C-3、C-4、及びC-5)を調製した。重合性レンズ配合物は表3に示されており、ここで、各成分の量は単位部である。表3において、ポリビニルピロリドンの略語であるPVPを除いて、化学略語は表1と同じである。PVP(360キロダルトンの数平均分子量)は、Sigma-Aldrich USA及びBASF、ニュージャージーUSAから入手した。各配合物C-1〜C-5の合計部は、PVP、MPC、HEMA、EGDMA、開始剤、VB6及び水の合わせた部に基づく。
【0038】
表 3

【0039】
これらの5つのレンズ配合物の反応産物であるコンタクトレンズのバッチについて、表4に示される多くの性質を調べた。これらの測定のすべては、従来法及び装置を用いて行った。表4から、5単位部までのPVP(配合物C-5)を含有するレンズ配合物から得られるコンタクトレンズが、PVPを含有しない対照レンズ(表1の配合物Aを参照のこと)と実質的に同様の直径、ベース曲線、中心厚さ(CT)、透過率(T)、及び水分(WC)を示したことが証明される。
【0040】
表 4

【0041】
しかしながら、図4に示されるように、重合性レンズ配合物にPVPを存在させることにより、対照と比べて表面摩擦が低下したヒドロゲルコンタクトレンズが得られた。PVP量が増加するにつれてコンタクトレンズの表面摩擦が小さくなるという点で表面摩擦の低下は用量依存性であった。この表面摩擦の低下は、コンタクトレンズの表面の高潤滑性を表している。
更に、図5に示されるように、コンタクトレンズのポリマーマトリックスに物理的に入り込んでいると考えられるPVPを含有するコンタクトレンズは、生体外試験の間、長期にコンタクトレンズからPVPを放出した。4部のPVPを含有する配合物から得られるコンタクトレンズにおいて(図5)、コンタクトレンズから周囲の液体環境にPVPが少なくとも8時間放出された。放出は、約8〜約16時間の間にプラトーに達したと思われる。
更に、図6に示されるように、本製造法によって重合性レンズ配合物中にPVPを含むことにより、配合物Aと比較して配合物C-1によって示されるように、液滴接触角の実質的な減少が得られた。更にまた、より高分子量のPVP(配合物C-1B; 数平均分子量の440キロダルトン)を用いることにより、配合物C-1と比べて液滴接触角値の著しい変化は得られなかった。
特に、これらのデータから、重合性レンズ配合物中に実質的に非反応性の親水性ポリマーを含むことにより、表面摩擦が小さく且つコンタクトレンズから実質的に非反応性の親水性ポリマーを数時間にわたって長期放出するコンタクトレンズを得ることができることが証明される。
【0042】
実施例6
LIP及びポリビニルピロリドンを含有するヒドロゲルコンタクトレンズ
以下の変更をして実施例1に記載されるように、コンタクトレンズを調製した。ヒドロゲルコンタクトレンズの6つのバッチ(表5におけるD-1〜D-6)を調製した。重合性レンズ配合物は表5に示され、ここで、各成分の量は単位部である。PVPは、30% K-30 PVPと70% K-90 PVPの混合物とした。これらの配合物に用いられる重合開始剤は、0.5部のVAZO(登録商標)64(アゾビスイソブチロニトリルアゾニトリル、E.I.DuPont De Nemours & Co.、ウィルミントン、デラウェア、USA)とした。配合物D-1〜D-6の各々に用いられる合部計は、LIP、PVP(合計)、HEMA、PC-HEMA、EGDMA、開始剤、VB6(HEMAに分散した色素)及び水の合わせた部に基づく。VB6は、配合物D-1及びD-2に添加しなかった。表5に示されるように、配合物D-4、D-5及びD-6はすべて0.05部のLIPを添加したが、PVP量を変えた。対照(E)として、ProClear(登録商標)レンズ(CooperVision、フェアポート、ニューヨーク、USA)を用いた。
【0043】
表 5

【0044】
モノマー混合物として各成分を室温で撹拌しながら段階的に添加することによりすべての重合性組成物を調製した。乾いた金型に50μLのモノマー混合物を充填することによってレンズを手で製造した。その後、手で閉じて密封した。3部のLIPのレンズを120℃で30分間熱的にキュアし、残りのレンズを100℃で30分間キュアした。すべてのレンズを手で型から取り出し脱レンズし、次に、1.2mLのBBS緩衝液と包装し、オートクレーブにかけた。得られたレンズについて、機械的性質、光学的性質、接触角(液滴法)、水分、及び摩擦力を測定した。これらの性質を求めるために用いられる機器及び/又は標準試験は、以下であった: モジュラス及び引張強さ: Instron 3342(Instron Industrial Products、825 University Ave、ノーウッド、マサチューセッツ、USA); 接触角: DSA 100(kruss社、1020 Crews Road、Suite K、マシューズ、 ノースキャロライナ、USA)及び摩擦力: AFM CP II(Veeco Instrument社、112 Robin Hill Road、サンタバーバラ、カリフォルニア、USA。モジュラス、接触角、引張強さ及び水分に対する表6の結果は、5つの個々のレンズを測定した結果の平均である。表7は、対照と比較した配合物D-4、D-5、及びD-6に対するモジュラス、接触角、引張強さ及び水分の変化パーセントを示すものである。
【0045】
表 6

【0046】
表 7

【0047】
対照E(ProClear(登録商標)レンズ)と配合物D-4、D-5及びD-6を測定した摩擦力を図7に示す。
結果が示すように、MPC(LIP)のポリマー及びポリビニルピロリドン(PVP)の形をレンズ配合物に添加することにより、接触角の減少が得られ、最も著しい減少は約3部のPVPを含有する配合物で生じた。MPC(LIP)のポリマー及びPVPの形を添加すると、表面摩擦が低減したレンズが得られた。約1部のPVPを含有する配合物は、摩擦力の約40%低下を示し、約2部のPVPを含有する配合物は、摩擦力の約45%低下を示し、約3部のPVPを含有する配合物は、摩擦力の約50%低下を示した。
【0048】
実施例7
LIP及びポリビニルピロリドンを含有するヒドロゲルコンタクトレンズ
MPC(LIP)及びPVPのポリマー、及び他の成分を以下の割合で含むコンタクトレンズを製造した。PVPは、30% K-30及び70% K-90配合物とした。用いられる開始剤は、VAZO(登録商標)64とした。配合物F-1〜F-3の各々に用いられる合計部は、LIP、PVP(合計)、HEMA、PC-HEMA、EGDMA、開始剤、VB6及び水の合わせた部に基づく。
【0049】
表 8

【0050】
乾いた金型に50μLのモノマー混合物を充填することによってレンズを手で製造した。その後、手で閉じ密封し、次に100℃で30分間熱的にキュアした。すべてのレンズを、手で型から取り出し、脱レンズし、次に、1.2mLのBBS溶液と包装し、オートクレーブにかけた。レンズが完全に水和し平衡であると、得られたレンズを包装から取り出し、過剰量の包装溶液を乾燥させ、各レンズを0.4mLのリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液を含有するガラスバイアルに入れた。各バイアルを、35℃において300rpmで回転する振盪機に入れた。特にことわらない限り、1、2、4、8、及び16時間の時点で用いた。溶液中に存在するPVPの濃度をGPC分析によって求めた。各時点は、3つの個々のレンズの平均を表す。配合物F-1、F-2及びF-3のレンズに対する放出プロファイルを図8に示す。
MPC(LIP)のポリマー及びPVPの形を含有する配合物により、少なくとも8時間にわたってPVPを放出することができるレンズが得られた。約3部のPVPの2つの形の混合物を配合物に添加すると、最大PVP量を放出するレンズが得られ、PVPは約16時間にわたって放出した。
本明細書に開示に関して、量、濃度、又は他の値又はパラメーターが範囲、好ましい範囲、又は上の好ましい値及び下の好ましい値の羅列として示される場合には、詳しくは、範囲が別々に開示されるかにかかわらず、任意の範囲の上限又は好ましい値と任意の範囲の下限又は好ましい値のいかなる対からも生じるすべて範囲を開示すると理解されるべきである。本明細書に数値の範囲が挙げられる場合、特にことわらない限り、範囲はその終点、及びすべての整数及び範囲内の部分を含むことを意味する。本発明の範囲は、範囲を定める場合に挙げられた個々の値に限定されることを意味しない。
本発明の他の実施態様は、本明細書の考察及び本明細書に開示される本発明の実施から当業者に明らかになる。本明細書及び実施例が単に例示としてみなされ、本発明の真の範囲及び真意が以下の特許請求の範囲及びその等価物によって示されていることを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性組成物の反応産物であるレンズ本体を備える、コンタクトレンズであって、前記重合性組成物は1つ以上のモノマー、重合の間、1つ以上のモノマーを架橋する少なくとも1つの架橋剤、及び2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのポリマーを含む、前記コンタクトレンズ。
【請求項2】
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのポリマーが、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのホモポリマー、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn-ブチルメタクリレートのコポリマー; 2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリロイルオキシエチレンオキシド及びメタクリロイルオキシプロピレンオキシドのコポリマー; 及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項3】
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのポリマーが、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn-ブチルメタクリレートのコポリマーである、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項4】
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのポリマーが、下記式を有する2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn-ブチルメタクリレートのコポリマーである、請求項1に記載のコンタクトレンズ:
【化1】

(式中、Xは、約1,600〜約2,400であり、Yは、約400〜約600である)。
【請求項5】
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのコポリマーが、重合性組成物中に約1%重量%〜約3%重量%の量で存在する、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項6】
重合性組成物が、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、エチレングリコールジメタクリレート架橋剤、及び熱重合開始剤を含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項7】
重合性組成物が、更に、色付け剤、紫外線吸収剤、着色剤、抗菌剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる物質を含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項8】
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのコポリマーが生体外試験に基づき少なくとも8時間レンズから放出されるように2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのコポリマーがレンズ本体に存在する、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項9】
重合性組成物が、更に、ポリビニルピロリドンを含む、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項10】
ポリビニルピロリドンが、互いに相対して異なる平均分子量を有するポリビニルピロリドンの少なくとも2つの形の混合物である、請求項9に記載のコンタクトレンズ。
【請求項11】
ポリビニルピロリドンが生体外試験に基づき少なくとも8時間レンズから放出されるようにポリビニルピロリドンがレンズ本体と関連している、請求項9に記載のコンタクトレンズ。
【請求項12】
レンズ本体の表面摩擦が、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのコポリマーを含まない同一の重合性組成物の反応産物を含む第2のコンタクトレンズの表面摩擦より少なくとも35%小さい、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項13】
レンズ本体の液滴接触角が、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのコポリマーを含まない同一の重合性組成物の反応産物を含む第2のコンタクトレンズの液滴接触角より少なくとも5%小さい、請求項1に記載のコンタクトレンズ。
【請求項14】
コンタクトレンズパッケージであって、
コンタクトレンズ本体(ここで、レンズ本体は重合性組成物の反応産物であり、重合性組成物は、1つ以上のモノマー、重合の間、1つ以上のモノマーを架橋する少なくとも1つの架橋剤、及び2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのコポリマーを含む第1のコポリマーを含んでいる); 及び
包装溶液(ここで、包装溶液は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのポリマー、ポリビニルピロリドンの少なくとも1つの形、及びこれらの組み合わせを含む第2のポリマーを含有する水溶液を含む)
を備える、前記パッケージ。
【請求項15】
レンズ本体に存在する2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのポリマーが、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとn-ブチルメタクリレートのコポリマーである、請求項14に記載のパッケージ。
【請求項16】
2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマーが生体外試験に基づき少なくとも8時間レンズから放出されるように2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマーがレンズ本体に存在する、請求項14に記載のパッケージ。
【請求項17】
レンズ本体の表面摩擦が、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのコポリマーを含まない同一の重合性組成物の反応産物を含む第2のコンタクトレンズの表面摩より少なくとも35%小さい、請求項14に記載のパッケージ。
【請求項18】
コンタクトレンズの製造方法であって、
1つ以上のモノマー、少なくとも1つの架橋剤、及び2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの少なくとも1つのコポリマーを含む重合性組成物を準備する工程; 及び
重合性組成物を重合し、レンズ本体を得る工程
を含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−510347(P2011−510347A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543188(P2010−543188)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/030840
【国際公開番号】WO2009/091728
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(508316416)クーパーヴィジョン インターナショナル ホウルディング カンパニー リミテッド パートナーシップ (13)
【Fターム(参考)】