説明

重合性コーティングで改質された顔料、その製造及び使用

重合性コーティングで改質された顔料、その製造及び使用
本発明は、
(a) 少なくとも1種の重合可能なエチレン性不飽和化合物Bで被覆されている少なくとも1種の顔料P5〜70重量%;
(b) ポリエーテル及び/又はポリグリセリンを基礎とする少なくとも1種の非イオン界面活性添加剤C0.1〜15重量%;
(c) スルホネート、スルフェート、カルボキシレート、ホスホネート又はホスフェートを基礎とする少なくとも1種の陰イオン界面活性添加剤D0.1〜15重量%;
(d) 水10〜90重量%、
(e) 通常の添加剤0〜20重量%、特に0.01〜10重量%
を主たる成分として含有し、この際、重量パーセントの合計は100重量%を超えないものとする、顔料調製物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
液体系、例えば塗料、ワニス、エマルション塗料(Dispersionsfarben)及び印刷インキ、の着色には、水、有機溶剤又はこれらの混合物を含有する顔料調製物が使用されるのが通常である。陰イオン性、陽イオン性、非イオン性もしくは両性の分散剤以外にこの顔料調製物にはさらなる助剤、例えば乾燥抑制剤、耐凍結性向上剤(Mittel zur Erhoehung der Gefrierbestaendigkeit)、増粘剤及び皮張り防止剤、が安定化のために添加されなければならないのが通常である。顔料は通常未処理であるが、顔料が基剤から滲み出ないように樹脂、ワックス及びポリマーを用いて安定化されていてもよい。これら多くの添加剤及び安定剤にもかかわらず、このような液体系が乾いてしまうと顔料はバインダ系から洗い流される可能性もあるし、削り取られる(auspoliert)可能性もある、というのも顔料がバインダ基剤に化学結合していないからである。
【背景技術】
【0002】
水性系としては従来技術では樹脂もしくはポリマーで安定化した系が公知である。重要であるのは、表面処理の樹脂もしくはポリマーが顔料分散体のその他の成分と相容性であることである。不相容性の場合には顔料が再凝集をきたす可能性があり、粘度が高まり、流動性及び色の効果が変化する可能性がある。
【0003】
プラスチックの着色の場合には顔料はしばしばワックスとともに使用される。ワックス処理された顔料の例は、例えば特許文献1又は特許文献2に記載されている。特許文献1の場合にはまだ湿った顔料ケーク(Pigmentkuchen)がワックス含有の溶剤/水の混合物で仕上げとして処理される。プラスチックへの適用に用いるためのグラニュールが得られる。特許文献2の場合にはワックスが溶剤から顔料上に沈殿する。このような顔料はポリマーとの良好な相容性を示すが、もはや水性系中では使用できなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第19941061号明細書
【特許文献2】米国特許第5,298,355号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、基剤上に着色剤を化学的に固定し、それによって不相容性または排出(Austragungen)を防ぐことができるように、顔料が色の効果を損なうことなしに反応性のワックス様コーティングを得ることができるような形で、顔料を調製することであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
下記の顔料調製物によりこの課題が意外にも解決されることが見いだされた。
【0007】
本発明の対象は、
(a) 少なくとも1種の重合可能なエチレン性不飽和化合物Bで被覆されている少なくとも1種の顔料P5〜70重量%、特に8〜60重量%、殊に10〜50重量%;
(b) ポリエーテル及び/又はポリグリセリンを基礎とする少なくとも1種の非イオン界面活性添加剤C0.1〜15重量%、特に0.1〜12重量%、殊に0.5〜5重量%;
(c) スルホネート、スルフェート、カルボキシレート、ホスホネート又はホスフェートを基礎とする少なくとも1種の陰イオン界面活性添加剤D0.1〜15重量%、特に0.1〜10重量%、殊に0.5〜2重量%;
(d) 水10〜90重量%、特に10〜70重量%、殊に10〜60重量%、
(e) 通常の添加剤0〜20重量%、特に0.01〜10重量%、殊に0.1〜5重量%、
を主たる成分として含有し、
この際、重量パーセントの合計は100重量%を超えないものとする、
顔料調製物である。
【0008】
本発明による顔料調製物の場合には顔料Pは有機有彩顔料、無機有彩顔料、白色顔料、カーボンブラック顔料又は複数の顔料の組合せであることができる。
【0009】
有機有彩顔料は好ましくはアゾ系顔料、アンタントロン系顔料、アントラピリミジン系顔料、キナクリドン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、インダントロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソビオラントロン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、ピラントロン系顔料、ピラゾロキナゾロン顔料、チオインジゴ系顔料、トリアリールカルボニウム系顔料又はこれらの組合せであることができる。
顔料Pの例は次のとおりである:
アゾ顔料:
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、16、17、26、74、81、83、97、106、113、120、127、151、155、174、176、180、188、213、214;
ジスアゾ顔料:
C.I.ピグメントオレンジ16、34、44、72、108;
ジスアゾ縮合顔料:
C.I.ピグメントレッド144、166、214、220、221、242、262;
C.I.ピグメントイエロー93、95及び128;
C.I.ピグメントブラウン23及び41;
アンタントロン系顔料:
C.I.ピグメントレッド168;
アントラキノン系顔料:
C.I.ピグメントイエロー147、177及び199;
C.I.ピグメントバイオレット31;
アントラピリミジン系顔料:
C.I.ピグメントイエロー108;
キナクリドン系顔料:
C.I.ピグメントオレンジ48及び49;
C.I.ピグメントレッド122、202、206及び209;
C.I.ピグメントバイオレット19;
キノフタロン系顔料:
C.I.ピグメントイエロー138;
ジケトピロロピロール系顔料:
C.I.ピグメントオレンジ71、73及び81;
C.I.ピグメントレッド254、255、264、270及び272;
ジオキサジン系顔料:
C.I.ピグメントバイオレット23及び37;
C.I.ピグメントブルー80;
フラバントロン系顔料:
C.I.ピグメントイエロー24;
インダントロン系顔料: C.I.ピグメントブルー60及び64;
イソインドリン系顔料: C.I.ピグメントオレンジ61及び69;
C.I.ピグメントレッド260;
C.I.ピグメントイエロー139及び185;
イソインドリノン系顔料: C.I.ピグメントイエロー109、110及び173;
イソビオラントロン顔料(Isoviolonthronpigmente): C.I.ピグメントバイオレット31;
金属錯体顔料: C.I.ピグメントレッド257;
C.I.ピグメントイエロー117、129、150、133及び177;
C.I.ピグメントグリーン8;
ペリノン系顔料: C.I.ピグメントオレンジ43;
C.I.ピグメントレッド194;
ペリレン系顔料: C.I.ピグメントブラック31及び32;
C.I.ピグメントレッド123、149、178、179、190及び224;
C.I.ピグメントバイオレット29;
フタロシアニン系顔料: C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6及び16;
C.I.ピグメントグリーン7及び36;
ピラントロン系顔料: C.I.ピグメントオレンジ51;
C.I.ピグメントレッド216;
ピラゾロキナゾロン顔料:
C.I.ピグメントオレンジ67;
C.I.ピグメントレッド251;
チオインジゴ系顔料: C.I.ピグメントレッド88及び181;
C.I.ピグメントバイオレット38;
トリアリールカルボニウム系顔料:
C.I.ピグメントブルー1、61及び62;
C.I.ピグメントグリーン1;
C.I.ピグメントレッド81、81:1及び169;
C.I.ピグメントバイオレット1、2、3及び27;
C.I.ピグメントブラック1(アニリンブラック);
C.I.ピグメントイエロー101(アルダジンイエロー);
C.I.ピグメントブラウン22。
適当な無機着色顔料は例えば次のとおりである:
白色顔料: 二酸化チタン(C.I.ピグメントホワイト6)、亜鉛白、酸化亜鉛顔料(Farbenzinkoxid);
硫化亜鉛,
リトポン;
黒色顔料: 黒色酸化鉄(C.I.ピグメントブラック11),
鉄マンガンブラック、スピネルブラック(C.I.ピグメントブラック27); カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7);
有彩顔料:
酸化クロム、ギネー緑; クロム緑(C.I.ピグメントグリーン48); コバルト緑(C.I.ピグメントグリーン50);
ウルトラマリン緑; コバルト青(C.I.ピグメントブルー28及び36; C.I.ピグメントブルー72);
群青;マンガン青;
ウルトラマリン紫; コバルト紫及びマンガン紫; べんがら(C.I.ピグメントレッド101);
スルホセレン化カドミウム(C.I.ピグメントレッド108); 硫化セリウム(C.I.ピグメントレッド265);
モリブデンレッド(C.I.ピグメントレッド104); ウルトラマリンレッド
褐色酸化鉄(C.I.ピグメントブラウン6及び7)、混合ブラウン(Mischbraun)、スピネル相及びコランダム相(C.I.ピグメントブラウン29、31、33、34,35、37、39及び40)、
クロムチタン黄(C.I.ピグメントブラウン24)、
クロムオレンジ; 硫化セリウム(C.I.ピグメントオレンジ75);
黄色酸化鉄(C.I.ピグメントイエロー42); ニッケルチタン黄(C.I.ピグメントイエロー53; C.I.ピグメントイエロー157、158、159、160,161、162、163、164及び189); クロムチタン黄;
スピネル相(C.I.ピグメントイエロー119); 硫化カドミウム及び硫化カドミウム亜鉛(C.I.ピグメントイエロー37及び35); クロム黄(C.I.ピグメントイエロー34);
バナジウム酸ビスマス(C.I.ピグメントイエロー184)、
硫化セリウム(C.I.ピグメントレッド265);
モリブデンレッド(C.I.ピグメントレッド104); ウルトラマリンレッド。
特に好ましくは顔料Pは黄、シアン、マゼンタもしくは黒の顔料である。
【0010】
充填剤として常用される無機顔料の例として透明な二酸化ケイ素、石英粉末、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、天然雲母、天然及び沈降炭酸カルシウムならびに硫酸バリウムを挙げておく。単層もしくは多層構造の片状(plaettchenfoermige)顔料である光輝顔料も考慮の対象であり、その色彩の変化は干渉-、反射-及び吸収現象の相互作用によってつくり出される。例としてアルミニウムフレーク、ならびに1回またはそれ以上、殊に金属酸化物で被覆されたアルミニウム−、酸化鉄−及び雲母フレークを挙げておく。
【0011】
顔料Pの中央粒径d50は50〜500nm、特に70nm〜200nm、殊に70〜150nmの値であることが好ましい。
【0012】
重合性コーティング(B)は、長鎖カルボン酸B1とポリオールB2及びエチレン性不飽和酸B3との反応生成物の群からの少なくとも1つの反応性不飽和成分を含有することが好ましく、これは、例えば、ペンタエリトリトールと、工業用モンタン蝋酸を基礎とする長鎖カルボン酸の混合物と、アクリル酸との反応生成物:
【0013】
【化1】

【0014】
=H、CO−R、R=モンタン蝋酸のアルキル基、
で示される。
【0015】
長鎖カルボン酸B1として、純粋な形かあるいはしかし有利には工業用生成物の混合物の形の、7個より多くのC原子を有する全てのカルボン酸を使用することができるが、有利にはC〜C22−脂肪酸及びC22〜C50−蝋酸、例えばヤシ脂肪酸、獣脂酸、ヒマワリ酸、モンタン蝋酸、パラフィンオキシデート(Paraffinoxidat)又はオレフィンオキシデート(Olefinoxidat)である。分子量増加のために長鎖カルボン酸の混合物は少量のジカルボン酸、例えばアジピン酸、ドデカン二酸、モンタン蝋ジカルボン酸(Montanwachsdicarbonsaeuren)、でなお改質されていてもよい。
【0016】
ポリオールB2としてペンタエリトリトールの代わりに他のポリオール成分も使用することができるが、しかし有利には2〜10個のC原子及び2〜10個のOH基を有する脂肪族ポリオール、例えばグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、糖アルコール、ソルビトール、及びその内部のエーテル、例えばソルビタン、そのオリゴマー、例えばジグリセリン、ジペンタエリトリトール、その重合体、例えばポリグリコールもしくはポリグリセリン又は言及したポリオールのアルコキシラートである。
【0017】
エチレン性不飽和化合物B3としてアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ならびにそれらの無水物もしくはエステルを使用することができる。化学量論は、ポリオール−脂肪酸−部分エステル1モルに不飽和酸1モルが反応するように選択される。重合可能な化合物Bの製造は、ポリオールを長鎖の脂肪族カルボン酸と反応させて部分エステルにすることにより行うことができる。これはジカルボン酸との反応によってなおポリエステルワックスにさらに変換することができる。次に、この部分エステル成分に次にもう1つのエチレン性不飽和酸をエステル化を介して結合させると、融点40〜90℃の固体の反応性生成物が生じる。この種の反応性化合物は公知でありかつ例えばLicomont ER 165(登録商標)(Clariant社)の名称で市販されている。
【0018】
顔料Pに対する重合性コーティングBの量は顔料Pの重量に対して5〜95重量%、特に20〜70重量%、殊に30〜60重量%であることが好ましい。
【0019】
成分Cとして本発明による顔料調製物は、ポリエーテル又はポリグリセリンを基礎とする少なくとも1つの非イオン界面活性添加剤を含有する。ポリエーテルは殊にポリアルキレンオキシドであるか、又はアルキレンオキシドとアルコール、アミン、脂肪族カルボン酸もしくは脂肪族カルボン酸アミドとの反応生成物である。本発明によればここではアルキレンオキシドという語は、アリール置換されたアルキレンオキシド、殊にフェニル置換されたエチレンオキシド、のことをもいうこととする。純粋なポリアルキレンオキシド、特にC〜C−アルキレンオキシド及びフェニル置換されたC〜C−アルキレンオキシド、殊にポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド及びポリフェニルエチレンオキシド以外に、とりわけアルキレンオキシドブロック共重合体、しかしアルキレンオキシドのランダム共重合体もまた適当である。殊に適当であるのは、この場合、ポリプロピレンオキシド−及びポリエチレンオキシドブロックあるいはポリフェニルエチレンオキシド−及びポリエチレンオキシドブロックも有するブロック共重合体である。これらは純粋なポリアルキレンオキシドと同様に出発化合物、例えば飽和もしくは不飽和で脂肪族及び芳香族のアルコール、飽和もしくは不飽和で脂肪族及び芳香族のアミン、飽和もしくは不飽和の脂肪族カルボン酸及びカルボン酸アミド、へのアルキレンオキシドの重付加によって得ることができる。エチレンオキシド及びプロピレンオキシドが使用される場合にはこれら出発化合物は最初にエチレンオキシドと、次にプロピレンオキシドと反応させてもよいし、最初にプロピレンオキシドと、次にエチレンオキシドと反応させてもよい。通常1〜300モル、特に3〜150モル、のアルキレンオキシドが開始分子1モルごとに使用される。適当な脂肪族アルコールはこの場合には通常6〜26個のC原子、特に8〜18個のC原子、を含有し、かつ枝なしでも、枝分れでも、環状の構造でもよい。例としてオクタノール、ノナノール、デカノール、イソデカノール、ウンデカノール、ドデカノール、2−ブチルオクタノール、トリデカノール、イソトリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、2−ヘキシルデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、2−ヘプチルウンデカノール、2−オクチルデカノール、2−ノニルトリデカノール、2−デシルテトラデカノール、オレイルアルコール及び9−オクタデセノールならびにまたこれらのアルコールの混合物、例えばC12/C10−、C13/C15−及びC16/C18−アルコール、ならびにシクロペンタノール及びシクロヘキサノールを挙げておく。特に重要であるのは、天然原料からの脂肪分解及び還元によって得られる飽和及び不飽和の脂肪アルコールならびにオキソ合成からの合成脂肪アルコールである。これらアルコールへのアルキレンオキシド付加物は平均分子量Mn200〜5000、特に400〜2000、を通常有する。
【0020】
上掲の芳香族アルコールの例としてα−及びβ−ナフトールならびにそのアルキル誘導体のほかに、殊にフェノールならびにそのアルキル誘導体、例えばヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、イソノニルフェノール、ウンデシルフェノール、ドデシルフェノール、ジ−及びトリブチルフェノール及びジノニルフェノールを挙げておく。
【0021】
適当な脂肪族アミンは上記の脂肪族アルコールに相応する。特に重要であるのはこの場合にも、好ましくは14〜20個のC原子を有する飽和及び不飽和の脂肪アミンである。芳香族アミンとして例えばアニリン及びその誘導体を挙げておく。脂肪族カルボン酸として殊に、好ましくは14〜20個のC原子を有する飽和及び不飽和の脂肪酸、及び水素化された樹脂酸、部分水素化された樹脂酸及び水素化されていない樹脂酸、ならびにまた多価カルボン酸、例えばマレイン酸のようなジカルボン酸が適当である。
【0022】
適当なカルボン酸アミドはこれらのカルボン酸から誘導される。
【0023】
これら1価のアミン及びアルコールへのアルキレンオキシド付加物以外に、少なくとも二官能性のアミン及びアルコールへのアルキレンオキシド付加物が殊に重要である。
【0024】
少なくとも二官能性のアミンとして、殊に式HN−(R−NR)n−H(R:アルキレン; R:水素又はC〜C−アルキル; n:1〜5)に相当する2〜5価のアミンが有利である。詳しくは例えば次の例を挙げておく:
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン−1,3、ジプロピレントリアミン、3−アミノ−1−エチレンアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、ジヘキサメチレントリアミン、1,6−ビス−(3−アミノプロピルアミノ)ヘキサン及びN−メチルジプロピレントリアミン、この場合、ヘキサメチレンジアミン及びジエチレントリアミンは特に有利であり、エチレンジアミンは殊に有利である。
【0025】
好ましくはこれらアミンを最初にプロピレンオキシドと、引き続きエチレンオキシドと反応させる。ブロック共重合体のエチレンオキシド含量は通常約10〜90重量%である。多価アミンを基礎とするブロック共重合体は平均分子量Mn1000〜40000、特に1500〜30000、を通常有する。
【0026】
少なくとも二官能性のアルコールとして2〜5価のアルコールが有利である。例えばC〜C−アルキレングリコールならびに対応するジ−及びポリアルキレングリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール−1,2及び−1,3、ブチレングリコール−1,2及び−1,4、ヘキシレングリコール−1,6、ジプロピレングリコール及びポリエチレングリコール、グリセリンならびにペンタエリトリトールを挙げておくが、その際、エチレングリコール及びポリエチレングリコールが特に有利であり、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールが殊に有利である。
【0027】
少なくとも二官能性のアルコールへの特に有利なアルキレンオキシド付加物は中央のポリプロピレンオキシドブロックを有し、つまりプロピレングリコールもしくはポリプロピレングリコールから出発し、それが先ずさらなるプロピレンオキシドと、そして次にエチレンオキシドと反応する。ブロック共重合体のエチレンオキシド含量は通常10〜90重量%である。多価アルコールを基礎とするブロック共重合体は一般に平均分子量Mn1000〜20000、特に1000〜15000、を有する。
【0028】
この種のアルキレンオキシドブロック共重合体は公知でありかつ例えばTetronic(登録商標)及びPluronic(登録商標)(BASF社)の名称で市販されている。
【0029】
本発明による顔料調製物を入れるべき使用溶媒に応じて種々のHLB値(Hydrophilic-Lipophilic Balance)をもつアルキレンオキシドブロック共重合体が選択される。
【0030】
従って、水、水/アルコール及びアルコール系中での使用にはHLB値約10のアルキレンオキシドブロック共重合体が有利であり、それは該共重合体における通常25重量%のエチレンオキシド含量に相当する。
【0031】
ポリグリセリンは殊に脂肪酸のグリセリド、例えばポリグリセリン-ポリリシノレアート(Polyglycerin-polyricinoleat)、である。
【0032】
成分Dとして本発明による顔料調製物は、スルホネート、スルフェート、カルボキシレート、ホスホネート又はホスフェートを基礎とする少なくとも1つの陰イオン界面活性添加剤を含有する。適当なスルホネートの例は芳香族スルホネート、例えばp−C〜C−アルキルベンゼンスルホネート、ジ(C〜C−アルキル)ナフタレンスルホネート及びホルムアルデヒドとのナフタレンスルホン酸の縮合物、ならびに脂肪族スルホネート、例えばC13〜C18−アルカンスルホネート、α−スルホ脂肪酸−C〜C−アルキルエステル、スルホコハク酸エステルならびにアルコキシ−、アシルオキシ−及びアシルアミノアルカンスルホネートである。好ましくはアルキルスルホネートであり、その場合、ジ(C〜C−アルキル)ナフタレンスルホネートが特に好ましい。殊に好ましくはジイソブチル-及びジイソプロピルナフタレンスルホネートである。適当なスルフェートの例はC8〜C11-アルキルスルフェートである。
【0033】
陰イオン性添加剤のその他の重要なグループは、非イオン性添加剤として挙げられたポリエーテルのスルホネート、スルフェート、ホスホネート及びホスフェートにより形成される。これらはリン酸、五酸化リン及びホスホン酸ないしは硫酸及びスルホン酸との反応によってリン酸モノ−もしくは−ジエステル及びホスホン酸エステルないしは硫酸モノエステル及びスルホン酸エステルに変換することができる。これら酸エステルはさらに前に記載したスルホネート及びスルフェートと同様に、特に水溶性の塩の形で、殊にアルカリ金属塩、とりわけナトリウム塩及びアンモニウム塩、として存在するが、しかしながらこれらは遊離酸の形でも使用することができる。有利なホスフェート及びホスホネートは、とりわけアルコキシ化、殊にエトキシ化された脂肪−及びオキソアルコール、アルキルフェノール、ステリルフェノール、脂肪アミン、脂肪酸及び樹脂酸から誘導され、有利なスルフェート及びスルホネートは、殊にアルコキシ化、とりわけエトキシ化された脂肪アルコール、アルキルフェノール及びアミン、さらには多価アミン、例えばヘキサメチレンジアミン、を基礎とする。この種の陰イオン界面活性添加剤は公知であり、かつ例えばNekal(登録商標)(BASF社)、Tamol(登録商標)(BASF社)、Crodafos(登録商標)(Croda社)、Rhodafac(登録商標)(Rhodia社)、Maphos(登録商標)(BASF社)、Texapon(登録商標)(Cognis社)、Empicol(登録商標)(Albright & Wilson社)、Matexil(登録商標)(ICI社)、Soprophor(登録商標)(Rhodia社)、Lutensit(登録商標)(BASF社)及びDispersogen(Clariant社)の名称で市販されている。
【0034】
通常の添加剤は、例えば防腐剤、pH調節剤、増粘剤、保持剤(Retentionsmittel)及び消泡剤である。
【0035】
本発明による顔料調製物の製造には次のように種々の方法を使用することができる:
方法1は、顔料Pを成分b)及びc)の少なくとも一部が含まれる水性懸濁液中で剪断力の作用下に微細に分散させ、このようにして得た顔料分散体を重合可能な化合物Bとともに、かつ場合によってはさらなる成分b)及び/又はc)を添加して、Bの軟化点を上回る温度で均質化することが特徴である。
【0036】
方法1の有利な実施形態の場合には顔料は先ず成分b)及びc)の少なくとも一部が含まれる水性懸濁液中で湿式粉砕される。このようにして得た顔料分散体は、液体ワックス(成分B)ならびに成分b)及びc)(添加剤C及びD)の残部とともに該ワックスの融点を上回る温度で分散される。分散には簡単な撹拌アセンブリ(Ruehraggregaten)を備えた開放容器を使用することができるが、塗料製造で公知であるような分散装置、高圧ホモジナイザ(Hochdruckhomogenisator)又はその他の加圧チャンバー法(Druck-Mischkammerverfahren)(Vortex)も使用することができる。この処理の際に液体ワックスは重合性被覆Bを形成しながら顔料上に付着し、この場合、被覆された粒子は添加剤C及びDによって安定化される。
【0037】
方法2の場合には溶融ワックス(成分B)と添加剤C及びDの一部とから先ずミニエマルションが製造され、次にこのミニエマルションは冷却後に添加剤C及びDの残りならびに水性顔料スラリーとともに湿式粉砕される。この方法の場合にはワックスは顔料粒子上に粉砕(aufgemahlen)される。
【0038】
両方の方法の場合に、顔料粒子が十分に付着性の重合可能なワックス層によって被覆されかつ添加剤C及びDによって安定化されている顔料調製物が得られる。
【0039】
このようにして得た顔料調製物はワニス、塗料もしくはインキの通常の成分と十分に適合性である。このようにして得た顔料調製物は、乳化重合により化学的に組み込ませるか又はUV硬化アクリレート系への適用により化学的に固化させることに好適である。
【0040】
本発明による顔料調製物からは、適当な乾燥方法、例えば噴霧乾燥によって粉末状の顔料調製物を製造することができ、この顔料調製物は粉体塗料に適合性良好にかつ容易に分散導入することができ、焼き付け時に熱開始重合によって固化させることができる。
【0041】
従って、ジカルボン酸の添加によってオリゴマー化されていてもよい、ポリオールと長鎖脂肪族カルボン酸と少なくとも1つのエチレン性不飽和カルボン酸とからの反応生成物である重合可能なエチレン性不飽和化合物10〜40重量%、特に15〜30重量%で被覆された顔料60〜90重量%、特に70〜85重量%、ならびに成分b)及びc)0〜10重量%、特に0.01〜5重量%、を含有し、この場合、これらパーセントは粉末状の顔料調製物の全重量を基準とする、粉末状の顔料調製物も本発明の対象である。
【0042】
さらに本発明の対象は、水性塗料、ワニス、エマルション塗料、印刷インキ及びインキの着色ならびに紙、木材、皮革、及びインキジェット用インキ(マイクロエマルション−もしくはホットメルトインキジェット用インキとしての、殊に水性及び非水性ベースの)の着色への、本発明による顔料調製物ならびに粉末状の顔料調製物(要するに「本発明による着色剤」と呼ばれる)の使用である。
【0043】
マイクロエマルションインキは、有機溶剤、水及び場合によっては付加的な向水性物質(界面媒介剤(Grenzflaechenvermittler))を基礎とする。マイクロエマルションインキは通常、本発明による着色剤0.5〜30重量%、特に1〜15重量%、水5〜99重量%及び有機溶剤及び/又は向水性化合物0.5〜94.5重量%を含有する。
【0044】
「ソルベント・ベースド(Solvent based)」インキジェット用インキは好ましくは、本発明による着色剤0.5〜30重量%、有機溶剤及び/又は向水性化合物85〜99.5重量%を含有する。
【0045】
ホットメルトインキは、通常、室温で固体でありかつ加熱により液状化するワックス、脂肪酸、脂肪アルコール又はスルホンアミドを基礎とし、その場合、有利な融点範囲は約60℃〜約140℃である。ホットメルトインキジェット用インキは、例えば本質的にワックス20〜90重量%及び本発明による着色剤1〜10重量%から成る。さらに、付加的なポリマー0〜20重量%、分散助剤5重量%まで、粘度調整剤0〜20重量%、可塑剤0〜20重量%、粘着性添加剤(Klebrigkeitszusatz)0〜10重量%、透明度安定化剤(Transparenzstabilisator)(例えばワックスの結晶化を阻止する)0〜10重量%ならびに酸化防止剤0〜20重量%が含有されていてもよい。
【0046】
インキジェット用インキの場合には本発明による着色剤は他の着色剤、例えば無機もしくは有機の顔料、及び/又は染料、で濃淡付けされ(nuanciert)ていてもよい。本発明による着色剤はこの場合には、着色剤として顔料及び/又は染料を含有する黄、マゼンタ、シアン及び黒のインキから成るインキセットに使用される。さらに本発明による着色剤は、付加的に例えばオレンジ、緑、青、金及び銀色のいわゆる「スポットカラー」の1つまたはそれ以上を含有するインキセットに使用されることができる。
【0047】
この場合に有利であるのは、着色剤としてカーボンブラック、特にガス−もしくはファーネスブラック、を含有することが好ましい黒色の調製物; フタロシアニン−、インダントロン−もしくはトリアリールカルボニウム系顔料の群のうちの一顔料、特にカラーインデックス顔料ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー16、ピグメントブルー56、ピグメントブルー60又はピグメントブルー61、を含有することが好ましいシアンの調製物; モノアゾ−、ジスアゾ−、β−ナフトール、ナフトールAS−、レーキ化アゾ−、金属錯体−、ベンゾイミダゾロン−、アンタントロン−、アントラキノン−、キナクリドン−、ジオキサジン−、ペリレン−、チオインジゴ−、トリアリールカルボニウム−もしくはジケトピロロピロール系顔料の群のうちの一顔料、特にカラーインデックス顔料ピグメントレッド2、ピグメントレッド3、ピグメントレッド4、ピグメントレッド5、ピグメントレッド9、ピグメントレッド12、ピグメントレッド14、ピグメントレッド38、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:3、ピグメントレッド48:4、ピグメントレッド53:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド144、ピグメントレッド146、ピグメントレッド147、ピグメントレッド149、ピグメントレッド168、ピグメントレッド169、ピグメントレッド170、ピグメントレッド175、ピグメントレッド176、ピグメントレッド177、ピグメントレッド179、ピグメントレッド181、ピグメントレッド184、ピグメントレッド185、ピグメントレッド187、ピグメントレッド188、ピグメントレッド207、ピグメントレッド208、ピグメントレッド209、ピグメントレッド210、ピグメントレッド214、ピグメントレッド242、ピグメントレッド247、ピグメントレッド253、ピグメントレッド254、ピグメントレッド255、ピグメントレッド256、ピグメントレッド257、ピグメントレッド262、ピグメントレッド263、ピグメントレッド264、ピグメントレッド266、ピグメントレッド269、ピグメントレッド270、ピグメントレッド272、ピグメントレッド274、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット23又はピグメントバイオレット32、を含有することが好ましいマゼンタの調製物; モノアゾ−、ジスアゾ−、ベンゾイミダゾリン−、イソインドリノン−、イソインドリン−もしくはペリノン系顔料の群のうちの一顔料、特にカラーインデックス顔料ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー81、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー87、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー111、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー126、ピグメントイエロー127、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー173、ピグメントイエロー174、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー176、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー181、ピグメントイエロー191、ピグメントイエロー194、ピグメントイエロー196、ピグメントイエロー213又はピグメントイエロー219、を含有することが好ましい黄色の調製物; ジスアゾ−、β−ナフトール−、ナフトールAS−、ベンゾイミダゾロン−もしくはペリノン系顔料の群のうちの一顔料、特にカラーインデックス顔料ピグメントオレンジ5、ピグメントオレンジ13、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ36、ピグメントオレンジ38、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ62、ピグメントオレンジ68、ピグメントオレンジ70、ピグメントオレンジ71、ピグメントオレンジ72、ピグメントオレンジ73、ピグメントオレンジ74又はピグメントオレンジ81、を含有することが好ましいオレンジ色の調製物; フタロシアニン系顔料の群のうちの一顔料、特にカラーインデックス顔料ピグメントグリーン7又はピグメントグリーン36、を含有することが好ましい緑色の調製物を有する印刷インキのセットである。
【0048】
さらにこのインキセットはなお、特にC.I.アシッドイエロー17及びC.I.アシッドイエロー23; C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー98及びC.I.ダイレクトイエロー132; C.I.リアクティブイエロー37; C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155及びC.I.ピグメントイエロー180; C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド11、C.I.ダイレクトレッド37、C.I.ダイレクトレッド62、C.I.ダイレクトレッド75、C.I.ダイレクトレッド81、C.I.ダイレクトレッド87、C.I.ダイレクトレッド89、C.I.ダイレクトレッド95及びC.I.ダイレクトレッド227; C.I.アシッドレッド1、C.I.アシッドレッド8、C.I.アシッドレッド80、C.I.アシッドレッド81、C.I.アシッドレッド82、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド94、C.I.アシッドレッド115、C.I.アシッドレッド131、C.I.アシッドレッド144、C.I.アシッドレッド152、C.I.アシッドレッド154、C.I.アシッドレッド186、C.I.アシッドレッド245、C.I.アシッドレッド249及びC.I.アシッドレッド289; C.I.リアクティブレッド21、C.I.リアクティブレッド22、C.I.リアクティブレッド23、C.I.リアクティブレッド35、C.I.リアクティブレッド63、C.I.リアクティブレッド106、C.I.リアクティブレッド107、C.I.リアクティブレッド112、C.I.リアクティブレッド113、C.I.リアクティブレッド114、C.I.リアクティブレッド126、C.I.リアクティブレッド127、C.I.リアクティブレッド128、C.I.リアクティブレッド129、C.I.リアクティブレッド130、C.I.リアクティブレッド131、C.I.リアクティブレッド137、C.I.リアクティブレッド160、C.I.リアクティブレッド161、C.I.リアクティブレッド174及びC.I.リアクティブレッド180の群からの濃淡付け染料(Nuancierfarbstoff)を含有してもよい。
【0049】
本発明による着色剤は全ての通常のインキジェットプリンタ、殊にバブルジェット−もしくはピエゾ方式に基づくインキジェットプリンタ、への使用のためのインキの製造に適当である。
【0050】
本発明による着色剤は、電子写真用トナー及び現像剤、例えば一成分もしくは二成分粉末トナー(一成分もしくは二成分現像剤とも呼ばれる)、磁性トナー、液体トナー、重合トナーならびに特殊トナーにおける着色剤としても適当である。典型的なトナーバインダは重合−、重付加−及び重縮合樹脂、例えばスチレン−、スチレンアクリレート−、スチレンブタジエン−、アクリレート−、ポリエステル−、フェノール−エポキシ樹脂、ポリスルホン、ポリウレタン単独もしくはそれらの組合せ、ならびにポリエチレン及びポリプロピレンであり、これら樹脂はなお別の成分、例えば電荷制御剤、ワックスもしくは流動助剤、を含有していてもよいし、あとからこれら添加剤で変性されてもよい。
【0051】
さらに本発明による着色剤は、粉体及び粉体塗料、殊に、例えば金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミックス、コンクリート、皮革、繊維材料、紙もしくはゴム製の物体の表面被覆に使用される摩擦電気もしくは界面動電により噴霧可能な粉体塗料における着色剤として適当である。
【実施例】
【0052】
実施例1〜9(方法1)の共通の工程:
(a)顔料分散体の製造:
顔料を、粉体もしくは圧縮ケーク(Presskuchen)の形で、分散剤、有機溶剤及び他の添加剤とともに脱イオン水中で混練し、次に溶解機もしくは他の適当な装置を用いて均質化及び予備分散させる。引き続いての微細分散をビードミル(例えばNetzsch社のMiniZETA 03)又は他の適当な分散アセンブリを用いて行い、その際、冷却しながらの粉砕を顔料粒子の所望の粒径分布が得られるまで行う。引き続き、該分散体を脱イオン水を用いて所望の顔料濃度に調整する。
(b)ワックスコーティングされた顔料調製物の製造:
重合可能なワックス(例えば酸価:10.0のLicomont ER 165(登録商標))をガラス容器(Glaskessel)中で温度約120℃でゆっくり撹拌しながら溶かした。
非イオン界面活性剤(Niotensid、添加剤C)及び陰イオン界面活性剤(添加剤D)を第2の容器中で90℃で溶剤(例えば1,2−プロピレングリコール)に溶解し、そしてKOHと混合する。
その際に生じる乳化剤混合物をはげしく撹拌しながら約100〜120℃でワックス溶融物に撹拌混入する。
【0053】
その際に生じる溶融物を約90℃にされた顔料調製物(a)にゆっくりと注ぎ、かつ少しの間この温度でさらに撹拌する。引き続き、さらなる添加剤(例えば防腐剤)を添加する。
【0054】
実施例1〜5:
a)PY155顔料分散体の製造:
C.I.ピグメントイエロー155 20
非イオン界面活性剤 10
陰イオン界面活性剤 2
Mergal K7(登録商標) 0.1
Mergal K10N(登録商標) 0.1
1,2−プロピレングリコール 10
水 57.8
b)ワックスコーティングされたPY155顔料調製物の製造:
Licomont ER 165(登録商標) 240
陰イオン界面活性剤 16
非イオン界面活性剤 34
KOH 43% 10
水 300
(a)からの顔料分散体 1800
【0055】
【表1】

【0056】
乳化剤: 非イオン界面活性剤+陰イオン界面活性剤
非イオン界面活性剤: Genapol T 110(登録商標)、
陰イオン界面活性剤: Genapol LRO(タイプ1)、
Dispersogen LFES(登録商標)(タイプ2)、
Dispersogen LFH(タイプ3)、
Dispersogen T 160(タイプ4)、
Genapol及びDispersogenはClariant社の商標である。
Licomont ER 165(登録商標)=ペンタエリトリトール−2,5−モンタナート−アクリレート
(LicomontはClariant社の商標である);
TSC=total solid content=固形分。
【0057】
実施例6及び7:
a)ピグメントレッド122顔料分散体の製造:
C.I.ピグメントレッド122 20
非イオン界面活性剤 10
陰イオン界面活性剤 2
Mergal K7 0.1
Mergal K10N 0.1
1,2−プロピレングリコール 10
水 57.8
b)ワックスコーティングされたPR122顔料調製物の製造:
Licomont ER 165 240
陰イオン界面活性剤 16
非イオン界面活性剤 34
KOH 43% 10
水 300
(a)からの顔料分散体: 1800
【0058】
【表2】

【0059】
非イオン界面活性剤: Genapol T 110;
陰イオン界面活性剤: Genapol LRO(タイプ1)、
Dispersogen T 160(タイプ4)。
【0060】
実施例8
(a)ピグメントブルー15:3顔料分散体の製造:
C.I.ピグメントブルー15:3 20
非イオン界面活性剤 10
陰イオン界面活性剤 2
Mergal K7 0.1
Mergal K10N 0.1
1,2−プロピレングリコール 10
水 57.8
(b)ワックスコーティングされたPB15:3顔料調製物の製造:
Licomont ER 165 240
陰イオン界面活性剤 16
非イオン界面活性剤 34
KOH 43% 10
水 300
(a)の顔料分散体 1800
コーティング: 10%; 顔料: 15%; 乳化剤、タイプ(1): 2.3%。
【0061】
実施例9
(a)ピグメントブラック7顔料分散体の製造:
C.I.ピグメントブラック7 20
非イオン界面活性剤 10
陰イオン界面活性剤 2
Mergal K7 0.1
Mergal K10N 0.1
1,2−プロピレングリコール 10
水 57.8
(b)ワックスコーティングされたPブラック7顔料調製物の製造:
Licomont ER 165 240
陰イオン界面活性剤 16
非イオン界面活性剤 34
KOH 43% 10
水 300
(a)の顔料分散体 1800
コーティング: 10%; 顔料: 15%; 乳化剤、タイプ(1): 2.3%。
【0062】
実施例10〜19(方法2)の共通の工程:
(a)顔料分散体の製造:
方法1に記載された手順と同様。
(b)ミニエマルションの製造:
ワックス−ミニエマルションの製造のために重合可能なワックスBを溶融された形でワックスの融点を上回る非イオン性及び陰イオン性の界面活性剤の水溶液に撹拌混入しかつ場合によっては分散し、その際、水中油型エマルションが生じる。
(c)ワックスコーティングされた顔料分散体の製造:
(b)で製造されたミニエマルションを残りの非イオン性及び陰イオンの界面活性剤と混合し、(a)で製造された顔料分散体を計り入れる。粉砕−もしくは分散アセンブリを用いてワックスを顔料粒子上に粉砕する。
【0063】
実施例1〜9に記載されたポリマーディスパージョンを方法2の手順に従って製造する:実施例10〜18。
使用例:
(A)印刷インキ:
本発明による顔料調製物ならびに比較として相応の標準分散体(前記の工程a)を印刷インキに入れた。本発明による顔料調製物の場合にのみ紙に色が滲むのを回避することができた。光沢のある耐水性の像が得られた。標準分散体を用いた像は耐水性ではなく、ほとんど光沢を示さなかった。
(B)液体塗料及びエマルション塗料:
本発明による顔料調製物ならびに比較として相応の標準分散体(a)を塗料及びエマルション塗料に入れた。本発明による顔料調製物を用いた塗装は標準分散体を用いた場合よりはるかに耐水性であった。
(C)粉体塗料:
本発明による顔料調製物ならびに比較として相応の標準分散体(a)を噴霧乾燥しかつ粉体塗料に入れた。
本発明による粉体塗料の場合には標準粉体塗料の場合に比して発色能(Farbausbeute)が高くかつ焼き付け後の基剤中での化学的な固定がはるかに良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 少なくとも1種の重合可能なエチレン性不飽和化合物Bで被覆されている少なくとも1種の顔料P5〜70重量%;
(b) ポリエーテル及び/又はポリグリセリンを基礎とする少なくとも1種の非イオン界面活性添加剤C0.1〜15重量%;
(c) スルホネート、スルフェート、カルボキシレート、ホスホネート又はホスフェートを基礎とする少なくとも1種の陰イオン界面活性添加剤D0.1〜15重量%;
(d) 水10〜90重量%、
(e) 通常の添加剤0〜20重量%、
を主たる成分として含有し、この際、重量パーセントの合計は100重量%を超えないものとする、顔料調製物。
【請求項2】
顔料Pが有機有彩顔料、無機有彩顔料、白色顔料、カーボンブラック顔料又は複数の顔料の組合せであることを特徴とする請求項1記載の顔料調製物。
【請求項3】
顔料Pがアゾ系顔料、アンタントロン系顔料、アントラピリミジン系顔料、キナクリドン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、インダントロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソビオラントロン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、ピラントロン系顔料、ピラゾロキナゾロン系顔料、チオインジゴ系顔料、トリアリールカルボニウム系顔料又はこれらの組合せであることを特徴とする請求項1又は2記載の顔料調製物。
【請求項4】
顔料Pが黄、シアン、マゼンタもしくは黒の顔料であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の顔料分散体。
【請求項5】
重合可能なエチレン性不飽和化合物Bが、ジカルボン酸の添加によってオリゴマー化されていてもよい、ポリオールと長鎖脂肪族カルボン酸と少なくとも1種のエチレン性不飽和カルボン酸とからの反応生成物であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の顔料調製物。
【請求項6】
重合可能なエチレン性不飽和化合物Bの顔料Pに対する量が顔料Pの重量に対して5〜95重量%であることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の顔料調製物。
【請求項7】
顔料Pを成分b)及びc)の少なくとも一部が含まれる水性懸濁液中で剪断力の作用下に微細に分散させ、このようにして得た顔料分散体を重合可能な化合物Bとともに、かつ場合によってはさらなる成分b)及び/又はc)を添加して、Bの軟化点を上回る温度で均質化することを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の顔料調製物の製造方法。
【請求項8】
重合可能な化合物Bと成分b)及びc)の少なくとも一部とから、先ずミニエマルションを製造し、次にこのミニエマルションを冷却後に成分b)及びc)の残りならびに顔料Pの水性懸濁液とともに湿式粉砕することを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の顔料調製物の製造方法。
【請求項9】
水性塗料、ワニス、エマルション塗料、印刷インキ及びインキ、殊にインキジェット用インキの着色、ならびに紙、木材及び皮革の着色への、請求項1から6までのいずれか1項に記載の顔料調製物の使用。
【請求項10】
ジカルボン酸の添加によってオリゴマー化されていてもよい、ポリオールと長鎖脂肪族カルボン酸と少なくとも1種のエチレン性不飽和カルボン酸とからの反応生成物である重合可能なエチレン性不飽和化合物10〜40重量%で被覆された顔料60〜90重量%を含有する、粉末状の顔料調製物。
【請求項11】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の顔料調製物を溶剤から取り出し、そして乾燥させることを特徴とする請求項10記載の粉末状の顔料調製物の製造方法。
【請求項12】
粉体塗料、UV硬化塗料、または電子写真用トナー及び現像剤の着色への請求項10記載の顔料調製物の使用。

【公表番号】特表2009−544774(P2009−544774A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521130(P2009−521130)
【出願日】平成19年6月30日(2007.6.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005817
【国際公開番号】WO2008/011962
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】