説明

重質油改質燃料焚きガスタービンシステムおよびその運転方法

【課題】 重質油を改質してガスタービン燃料を製造する段階から、ガスタービンの起動、停止、非常停止までを含めた重質油改質燃料焚きガスタービンシステムおよびその運転方法を提供する。
【解決手段】 重質油と水を混合することによって重質油から重質分を分離・除去する反応器と、反応器で生成した炭化水素ガスおよび改質油を分離する気液分離器と、気液分離器から供給される炭化水素ガスを燃焼するガスタービン燃焼器と、ガスタービン燃焼器で生成した燃焼ガスを用いて駆動するガスタービンを備えた重質油改質燃料焚きガスタービンシステムにおいて、気液分離器からガスタービン燃焼器に炭化水素ガスを供給する系統に、炭化水素ガスを系外へ抜き出すための系統を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重質油改質燃料焚きガスタービンシステムとその運転方法に関し、特に重質油を水と混合して反応させることにより改質し、得られた軽質分を燃料に用いてガスタービンにより発電を行うガスタービンシステムとその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重質油は重金属を多く含み、ガスタービン発電燃料として適さない。このため、重質油から金属を除去して有用なエネルギー源に変換する方法が提案されている。その1つとして、高温高圧水と重質油を20MPa以上、350℃以上の反応条件下で接触させ、重質油を分解する方法がある(たとえば、特許文献1参照)。重質油の分解により、炭化水素ガス、軽質油分、重質分、金属酸化物等の金属化合物を得て、炭化水素ガスと軽質油分を高温高圧水に溶解させて改質油とし、ガスタービン燃料に用いる。重質油中に存在する金属化合物はカルシウム化合物として除去、あるいはコークス等の捕捉剤と結合させることにより除去する。
【0003】
【特許文献1】特開2003-49180号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、重質油の改質方法、改質油を燃料とするガスタービン発電システムの個々については、多くの報告がなされている。しかし、重質油の改質系とガスタービン発電系とが連携したシステムについての報告は少ない。
【0005】
ガスタービンの運転に連動させて重質油改質系を制御することは、重質油の改質とガスタービンの運転をオンサイトで安全に実施するためにも非常に重要である。
【0006】
本発明の目的は、重質油の改質装置とガスタービンとが連携したシステムにおいて、ガスタービンの起動、停止、緊急停止を含む運転が安全に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、重質油を水と反応させて重質分と軽質分とを得る反応器と、前記反応器で得られた軽質分を炭化水素ガスと改質油に分離する気液分離器と、前記気液分離器にて分離された炭化水素ガスをガスタービン燃焼器に供給する系統と、前記系統を通して供給された炭化水素ガスを燃焼するガスタービン燃焼器と、前記ガスタービン燃焼器で生成した燃焼ガスにより駆動されるガスタービンと、前記気液分離器にて分離された炭化水素ガスを前記ガスタービン燃焼器に供給する前に系外へ抜き出す手段とを備えた重質油改質燃料焚きガスタービンシステムにある。
【0008】
本発明では、気液分離器にて分離された改質油を貯留する改質油タンクを備えることができる。このタンクの容量は、反応器を起動してから気液分離器にて炭化水素ガスが生成するまでの間、このタンク内の改質油を燃料としてガスタービンが運転できるように、その必要量を貯留できるものとすることが望ましい。
【0009】
また、ガスタービン燃焼器へ供給する前に系外へ抜き出された炭化水素ガスは、反応器を加熱するための加熱用ガスに製造に使用することができる。
【0010】
本発明は、重質油を水と混合し反応器で反応させることによって重質分と軽質分を生成し、軽質分を炭化水素ガスと改質油に気液分離し、得られた炭化水素ガスを燃料としてガスタービンを運転するようにした重質油改質燃料焚きガスタービンシステムの運転方法において、前記ガスタービンの運転停止時に前記ガスタービンに前記炭化水素ガスを燃料として供給するのを停止し、前記反応器から送られる炭化水素ガスを系外へ抜き出すようにしたことを特徴とする。
【0011】
この運転方法では、軽質分を気液分離することによって得られた改質油を貯留し、ガスタービンの起動時に、反応器および気液分離器機で炭化水素ガスが生成するまでの間のガスタービン燃料として使用することができる。
【0012】
また、ガスタービンの運転停止時に、タンク内の改質油の液位を検知し、反応器および気液分離器で炭化水素ガスが生成するようになるまでの間のガスタービン使用量を確保できていることを確認してから、反応器の運転停止操作に移行することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、重質油を高温・高圧水と反応させて改質し、得られた軽質分をガスタービンの主燃料として発電する、重質油の改質から発電までを含むシステムにおいて、ガスタービンの起動、通常停止、非常停止等の運用性に優れたシステムを提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
本実施例では重質油と水を混合することによって、重質油から重質分を分離・除去して得られた重質油改質燃料を供給してガスタービンで発電するシステムについて、図1を用いて説明する。
【0016】
本システムでは、重質油タンク101内に貯留された重質油は重質油供給ポンプ31で加圧された後、2つの系統に分かれる。一方は重質油燃焼炉74へ供給され、重質油燃焼炉用ブロア36により供給された空気と混合して燃焼して加熱用ガス116となる。他方は重質油供給バルブ25を通り脱塩装置10に供給され、ナトリウム、カリウム、塩素等の水溶性不純物が除去された後、脱塩済み重質油タンク102内に貯留される。脱塩済み重質油タンク102内の脱塩された重質油は、脱塩重質油加圧ポンプ32で10〜25MPaまで加圧される。
【0017】
水タンク100内に貯留された水は水加圧ポンプ30で10〜25MPaに加圧され、水予熱器41に供給される。気液分離器で分離した液体成分である改質油108と熱交換されることにより、加圧された水の温度は上昇する。改質油108の温度は常温〜約400℃までの範囲を取り得るため、水予熱器41の出口における、加圧された水の温度は改質油108の温度によって変化する。
【0018】
前記の温度上昇した水と脱塩された重質油は混合されて混合流体となり、混合予熱器42に送られ、重質油燃焼炉74で発生した加熱用ガス116と熱交換する。混合予熱器42に供給する加熱用ガス116の流量を、予熱器ガス流量調節弁19の開度を調節して制御することで、混合流体の出口温度を430〜460℃に上昇させる。
【0019】
430〜460℃に予熱された混合流体は反応器1に供給される。反応器1は重質油燃焼炉74で発生した加熱用ガス116を、反応器1の外部の加熱炉52に供給することで加熱・保温される。加熱炉ガス流量調節弁20の開度を調節して、加熱炉52に供給する燃焼ガス流量を調節することで、反応器1の内部温度を430〜460℃、圧力を10〜25MPaとする。これらの温度、圧力条件における水蒸気の密度換算した平均滞留時間を1.5〜2.5分とすることにより、混合流体に含まれる重質油と水は反応して重質分と水蒸気を含む軽質分になる。軽質分は反応器1から搬送され、重質分は反応器1で比重分離する。重質油中に含まれる金属類は重質分に濃縮され、重質分抜き出し系統2に設けられた反応器出口バルブ13あるいは反応器下部バルブ29を開閉することにより、反応器1の外部へ抜き出される。重質分を反応器出口バルブ13から抜き出す場合には、重質分回収器3内の液位を測定する。液位が高い場合には重質分抜き出しバルブ14を開放し、反応器出口バルブ13を閉止し、重質分抜き出しバルブ14を開放して、重質分を系外に抜き出す。抜き出された重質分は重質油燃焼炉74に燃料として供給される。一方、反応器下部バルブ29から重質分を抜き出す場合は直接、重質油燃焼炉74へ供給して空気と混合し燃焼する。
【0020】
反応器1の圧力は減圧バルブ12と減圧器4によって調整される。軽質分の性状や水と重質油の供給量の変動による圧力変動を緩和するために、減圧バルブ12の開度を調節し、さらに減圧器4にオリフィスを用いて減圧する。軽質分は減圧器4を経て2.5MPaに減圧された後、気液分離器5に供給され、水蒸気、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素ガス(炭素数15程度までの炭化水素)等を含んだ炭化水素ガス107と、液化する成分である改質油108に分離される。気液分離器5は水噴霧ノズル54を有し、水タンク100に貯留された水を噴霧水ポンプ34で加圧したのち供給する。噴霧水量調節手段55により水の量を調節して、気液分離器5内の温度を調節する。気液分離器5内の温度は、軽質分に含まれる水蒸気が液化しない温度に設定することが好ましく、気液分離器5内の圧力2.5MPaにおける水の沸点である224℃から気液分離器5の下流の配管における温度低下を加えた温度以上にすることが望ましい。一方、気液分離器5内の温度が高いと、改質油108から蒸発する量が増加し、気液分離器5に液として残る改質油108の量が減少する。ガスタービン起動時には液体燃料である改質油108を燃料として用いるため、改質油タンク6には、ガスタービンを起動してから改質油タンク6へ改質油108が流入するまでの時間以上に、ガスタービンを運転するに充分な量の改質油108を貯留することが必要である。反応器1および混合予熱器42の内部温度を450℃近傍まで昇温するためには2〜3時間程度かかるため、改質油タンク6の容量は1時間あたりの燃料使用量に対して3倍以上が必要である。また、炭化水素ガスを液化して液体燃料である改質油108の生成割合を高めるために、気液分離器5内の温度は、気液分離器内圧力における水の沸点よりも高い温度で、制御可能な範囲内でできるだけ低温度が良い。一方、定常運転時等において改質油タンク6の液位が高い場合は、炭化水素ガスの生成割合が高い方が改質油タンク6の液位が上昇しないため、気液分離器5内の温度を上昇させ、改質油108の生成量を減少させることもできる。
【0021】
気液分離器5は、気液分離器圧力調節バルブ17を用いて圧力が一定になるように制御する。気液分離器5とガスタービン燃焼器60との間には、気液分離器5にて分離された炭化水素ガス107をガスタービン燃焼器60へ供給する系統50が設けられており、この系統を通る炭化水素ガス107の流量が炭化水素ガス流量制御バルブ16で制御されたのち、ガスタービン燃焼器60へ供給される。ガスタービン燃焼器60では、供給された炭化水素ガス107が圧縮機62で圧縮された空気と混合して燃焼し、燃焼ガス114となりガスタービン61を駆動し、燃焼排ガスとなり煙突53より大気中へ放出される。
【0022】
気液分離器5内の改質油108の液位を気液分離器液位計73により測定し、液位を一定にするように液位調節バルブ22の開度を調節する。これにより改質油108は気液分離器5から抜き出され、水予熱器41に供給され、水加圧ポンプ30で加圧された水と熱交換して60℃に冷却された後に改質油タンク6に貯留される。或いは改質油の冷却後、グランドフレア燃焼用バルブ28をグランドフレア75側へ切り替え、改質油108を燃料としてグランドフレア75へ供給する。
【0023】
改質油タンク6に貯留された改質油108は改質油ポンプ33で加圧され、流量制御されてガスタービン燃焼器60へ供給され、炭化水素ガス107と同様に圧縮機62で圧縮された空気と混合して燃焼し、燃焼ガス114となりガスタービン61を駆動し、燃焼排ガスとなり煙突53より大気中へ放出される。
【0024】
図2は起動方法のフローチャートであり、図1と合わせて重質油改質燃料焚きガスタービンシステムの起動方法を説明する。
【0025】
重質油改質燃料焚きガスタービンシステムでは、重質油を改質するための反応器1、或いは、重質油や水を加熱するための混合予熱器42を所定温度へ昇温するまでに2〜3時間を要する。発電出力を迅速に変化させることを望む使用者にとって、ガスタービンを起動させるまでに2〜3時間かかるのでは用途は限られる。そこで、本発明では以下のステップで重質油改質燃料焚きガスタービンシステムを起動させる。
【0026】
ステップ1(S1)では、改質油タンク6に貯留された改質油108の液位を改質油タンク液位計72で測定し、システムを起動してから改質油108が生成するまでの間に、ガスタービンが必要とする燃料が貯留されていることを確認する。システムの起動には反応器1の加熱等に2〜3時間かかるため、ガスタービン61を3時間以上運転するために必要な改質油108の液量が改質油タンク6に貯留されている必要がある。改質油タンク6にガスタービン61を3時間以上運転するために必要な液量がある場合にはステップ2(S2)に進み、ない場合には改質油を生成させるためにステップ2を飛ばし、ステップ3(S3)に進む。
【0027】
ステップ2では、改質油タンク6に貯留された改質油108を、改質油ポンプ33でガスタービン燃焼器60へ燃料として供給することで、通常の液体燃料焚きガスタービンシステムと同様にしてガスタービン61を起動し、発電を開始する。
【0028】
ステップ3では、重質油タンク101中の重質油を重質油供給ポンプ31で脱塩装置10に送り、重質油に混合しているナトリウムやカリウム等のアルカリ金属、マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類金属、および塩素や弗素等のハロゲンを除去し、脱塩済み重質油タンク102に貯留する。脱塩済み重質油タンク102に貯留する脱塩された重質油の量は特に規定されないが、脱塩装置10の処理能力が単位時間あたりに使用するガスタービンの燃料量以上であれば、脱塩重質油が生成すると同時に次のステップ4(S4)へ移行できる。また、反応器等を昇温するために要する時間である2〜3時間の間、ガスタービンを運転できるように、それに必要な量の脱塩重質油を、常時、脱塩済み重質油タンク102に貯留しておけば、重質油供給ポンプ31の起動とともにステップ4へ移行することができる。さらに、重質油を購入する際に、脱塩されたものを購入すれば脱塩装置10および重質油タンク101、重質油供給ポンプ31は不要となり、脱塩済み重質油タンク102に脱塩重質油を貯留するだけでよくなる。
【0029】
ステップ4では、反応器1および混合予熱器42を加熱するための加熱用ガス116を発生させるために、重質油燃焼炉74を起動する。重質油タンク101から抜き出した重質油を重質油供給ポンプ31で加圧し、重質油流量調節バルブ26で流量を調節して重質油燃焼炉74に供給する。重質油燃焼炉74では、重質油燃焼炉用ブロア36で供給された空気と重質油とが混合して燃焼し、加熱用ガス116になる。加熱用ガス116の温度は重質油燃焼炉用ブロア36から供給される空気量をコントロールすることにより525℃程度に調節する。起動時間を短くするためには、加熱用ガス116の温度を高くして昇温速度を上げた方が良いが、反応器1や混合予熱器42の寿命を短くする腐食速度や、熱伝達率を低下させる灰付着の速度を考慮すると低温の方が良い。すなわち、重質油中のバナジウムとナトリウムが複合酸化物となった場合、525℃付近から液化する可能性があり、混合予熱器42の伝熱管外面や反応器1の外面に灰付着が進行するため、加熱用ガス116は525℃以下であることが望ましい。
【0030】
重質油燃焼炉74内の圧力を一定に保つために、炉内圧力を計測する圧力計を設置し炉内圧力を圧力コントローラに取り込み、その圧力情報を基にバルブ27の開度を調節することによって、加熱用ガス116の流量を調節して炉内圧力を一定に保つ。バルブ27から放出された加熱用ガス116は、グランドフレア75から大気中へ放出される。
【0031】
ステップ5(S5)では、ステップ4で起動した重質油燃焼炉74にて生成した加熱用ガス116を用いて、混合予熱器42および反応器1の内部流体温度を430〜460℃まで昇温する。予熱器ガス流量調節弁19を開放し、加熱用ガス116を混合予熱器42へ供給する。これと同時或いはこの後、加熱炉ガス流量調節弁20を開放し、加熱用ガス116を反応器1の加熱を行う加熱炉52へ供給する。混合予熱器42および反応器1の内部と、加熱用ガス116で加熱する加熱炉52の内部との温度差が大きくなると、溶接部等に応力が集中して割れが生じる恐れがある。特に肉厚が大きい部分では応力が高くなる可能性がある。そのため、加熱用ガス116による加熱と前後して、水供給バルブ24を開放して、水加圧ポンプ30および脱塩重質油加圧ポンプ32を用いて、水タンク100に貯留された水を混合予熱器42および反応器1に供給する。これにより混合予熱器42で加熱された水は反応器1に供給され、反応器1を内部から加熱することが可能になると同時に、熱容量が大きい反応器1の昇温速度を速くすることができる。
【0032】
予熱器ガス流量調節弁19および加熱炉ガス流量調節弁20の開度は全開でも良いが、温度調節が必要な場合には、予熱器ガス流量調節弁19および加熱炉ガス流量調節弁20の開度を下げることもできる。また、ステップ4と同様に、ステップ5においても重質油燃焼炉74内の圧力を一定に保つためにバルブ27の開度を調節する。
【0033】
反応器1に供給された水は、反応器1の下部に設けられた反応器下部バルブ29を開放することで反応器1から抜き出され、重質油燃焼炉74の重質油の燃焼場へ噴霧され、加熱用ガス116の一部となり、混合予熱器42および反応器1を加熱した後、グランドフレア75を経て大気に放出される。
【0034】
混合予熱器42および反応器1内の流体温度が、水の臨界温度近傍になったことを確認した後、反応器1の温度を430〜460℃、圧力を10〜25MPaへ調節し、気液分離器5および水予熱器41を加熱し、気液分離器5内の温度、圧力を調節するステップ5に移る。
【0035】
混合予熱器42の出口内部流体温度を計測するために、温度計を挿入して流体温度を計測する。混合予熱器42の出口内部を温度コントローラに取り込み、温度コントローラで予熱器ガス流量調節弁19の開度を調節し、加熱用ガス116の流量を混合予熱器42の出口内部が所定温度になるように制御する。
【0036】
混合予熱器42の温度制御と同様に、反応器1の内部に流体温度を計測するための温度計を設置し、流体温度を計測する。反応器1の内部の流体温度を温度コントローラに取り込み、温度コントローラで加熱炉ガス流量調節弁20の開度を調節し、加熱用ガス116の流量を、反応器1の内部温度が所定温度になるように制御する。
【0037】
ステップ6(S6)では、ステップ5の水加圧ポンプ30および脱塩重質油加圧ポンプ32の起動前或いは起動と同時に、グランドフレア用ブロア37及びグランドフレア用ポンプ35を起動して、改質油タンク6内に貯留された改質油108をグランドフレア75へ供給して燃焼させる。混合予熱器42および反応器1を通り、気液分離器5で凝縮して液体となった水は、気液分離器液位計73で液位が計測され、液位制御装置を用いて液位調節バルブ22の開度を調節することにより、気液分離器5内の液位が一定に保たれる。液位調節バルブ22を通過した水は、グランドフレア75側へ送れる状態にした三方弁のグランドフレア燃焼用バルブ28を通ってグランドフレア75へ供給される。
【0038】
グランドフレア75に供給される水は微量の油分を含んでいるため、グランドフレア75に供給し、改質油108と混合して燃焼することにより、微量含まれる油分を一緒に燃焼させる。
【0039】
ステップ7(S7)では、気液分離器5内の圧力を2.5MPa程度に調節し、反応器1より上流の圧力を減圧バルブ12で10〜25MPaに調節する。これにより、系統の圧力を設定圧力に調節する。ステップ7における各バルブおよび装置の制御方法について、図3を用いて説明する。図3は図1の反応器1、気液分離器5、ガスタービン燃焼器60および重質油燃焼炉74を含む系統を拡大し、制御装置を追記したものである。
【0040】
高温高圧の重質油と水の混合流体が反応器1に供給され、重質分は分離・除去され、反応器出口バルブ13を通って重質分回収器3に回収される。一方、軽質分は減圧バルブ12および減圧器4を通して減圧され、気液分離器5に供給される。気液分離器5では軽質分は液とガスに分離される。液分は気液分器液位計73により測定され、この測定値が液位制御装置121に取り込まれ、液位調節バルブ22によって液位が一定になるように管理される。液位調節バルブ22を通った改質油は改質油タンク6へ供給される。ガス分は気液分離器圧力調節バルブ17を通って重質油燃焼炉74へ供給されるか、炭化水素ガス流量制御バルブ16を通ってガスタービン燃焼器60へ供給される。
【0041】
ガスタービン61を起動していない場合には、炭化水素ガス107が直接外部へ漏洩してしまうため、炭化水素ガス流量制御バルブ16を開けて、蒸気や炭化水素ガス107を流さない。
【0042】
圧力および温度を変化させると反応器1および気液分離器5の状態が変化し、重質油からのバナジウムの除去率や改質分の気液分離比が変化し、改質油108および炭化水素ガス107の成分が変化する。燃料の成分の急激な変化を改質油ポンプ33からの流量を変化させることで制御することは、ポンプや制御装置の応答速度の問題から不可能であり、ガスタービン燃焼器60の燃焼安定性を損ね、失火する可能性があり、ガスタービン61による発電が不安定になる。そこで、反応器1および気液分離器5の温度および圧力の制御方法を以下に示す。
【0043】
反応器1より上流の圧力を設定値(10〜25MPa)に調節するために、反応器1の出口に圧力計211を設け、測定値を反応器圧力制御装置122に取り込み、反応器1から上流の圧力が設定値になるように、反応器圧力制御装置122から減圧バルブ12へ開度を調節する指令を出す。これにより反応器1より上流の圧力は設定値で一定に保たれる。
【0044】
気液分離器5の圧力を設定値(2.5MPa近傍)に調節するために、気液分離器5の出口に圧力計212を設け、測定値を気液分離器圧力制御装置120に取り込み、反応器1から上流の圧力が設定値になるように、気液分離器圧力制御装置120から気液分離器圧力調節バルブ17へ開度を調節する指令を出す。これにより気液分離器5の圧力を一定に保つ。また、ガスタービン61が起動している場合、蒸気を含んだ炭化水素ガス107を炭化水素ガス流量制御バルブ16からガスタービン燃焼器60へ流し、炭化水素ガス107を燃焼させる。炭化水素ガス107はガスタービン燃焼器60で燃焼させガスタービン61を駆動する方が、重質油燃焼炉74で燃焼するよりも発電効率が高くなる。そのため気液分離器圧力制御装置120により、気液分離器圧力調節バルブ17から流出する炭化水素ガス107を最小化し、ガスタービン燃焼器60への流量を最大化するように、炭化水素ガス流量制御バルブ16を制御する。すなわち、気液分離器圧力調節バルブ17の開度を零にし、かつ圧力計212を設定圧力にするように、炭化水素ガス流量制御バルブ16の開度を気液分離器圧力制御装置120によって決める。
【0045】
気液分離比を一定に保ち燃料性状を安定化するために、気液分離器5の温度を一定に保つ。ここでは、噴霧水ポンプ34を起動し、水を水噴霧ノズル54から噴霧して、気液分離器の温度を一定に保つ。気液分離器5の内部液温度を温度計202で測定し、この温度測定値を気液分離器温度制御装置123に取り込み、内部液温度が気液分離器5内の圧力における沸点以上になるように、噴霧水ポンプ34の流量を気液分離器温度制御装置123からの指示でコントロールし、噴霧水の量を調節する。また、温度計201と温度計203の一方または両方の温度を気液分離器温度制御装置123に取り込み、ガスタービン燃焼器60の入口において、炭化水素ガスに含まれる水分が凝縮する可能性がある場合には、気液分離器温度制御装置123により噴霧水ポンプ34からの水噴霧量を少なくする指令が出されるようにする。
【0046】
ステップ7で、反応器1および気液分離器5内の温度、圧力が設定温度、設定圧力に上昇し、安定したならば、ステップ8(S8)に移る。ステップ8では水供給バルブ24を閉め、脱塩重質油供給バルブ18を開け、脱塩重質油加圧ポンプ32から重質油を供給する。重質油が混合予熱器42や反応器1を通過すると、重質油と水の比熱の違いから混合予熱器出口内部温度や反応器出口内部温度が変化する。そのため、予熱器ガス流量調節弁19および加熱炉ガス流量調節弁20の開度を変え、内部温度を所定温度である430〜460℃に調節する。
【0047】
内部温度が定常になったことを確認した後、反応器下部バルブ29を閉じ、反応器出口バルブ13の開度を上げ、重質分105を重質分抜き出し系統2を通して重質分回収器3へ抜き出す。重質分回収器3では液位が管理され、脱塩重質油加圧ポンプ32から供給された量の0.5〜10wt%を重質分105として抜き出す。重質分105は重質分抜き出しバルブ14を開けることにより重質油燃焼炉74に供給され、重質油燃焼炉用ブロア36から供給された空気と混合して燃焼する。
【0048】
ステップ9(S9)では、混合予熱器出口温度、反応器出口温度、気液分離器の液温度およびガス温度が安定したことを確認した後、水予熱器41で熱交換されたのちグランドフレア75へ供給されていた改質油108を、グランドフレア燃焼用バルブ28を操作して改質油タンク6側へ流れるように変更する。熱交換した後の改質油108の供給が停止されたグランドフレア75には、改質油タンク6に貯留された改質油108の供給とグランドフレア用ブロア37の運転を停止する。改質油タンク6に改質油108が供給され液位が上昇したことを確認した後、ステップ10(S10)に進む。
【0049】
ステップ10では、既にガスタービン61が起動している場合には、そのまま通常運転に入る。ガスタービン61が起動していない場合には、改質油タンク6に貯留された改質油108を用いてガスタービン61を起動し、通常運転に入る。通常運転に入ってから、ガスタービン燃焼器60への炭化水素ガス107の供給を開始し、炭化水素ガス107の全量をガスタービン燃焼器60に供給する。以上のステップにより重質油改質燃料焚きガスタービンシステムを起動する。
【0050】
次に、重質油改質燃料焚きガスタービンシステムの通常停止方法を説明する。本システムでは重質油が熱分解して炭化水素ガスが発生するため、ガスタービン61を停止する際に、炭化水素ガスをガスタービン燃焼器60から別の場所に放出しなくてはならない。また、混合予熱器42や反応器1に重質油を高温のまま放置すると、重質油がコーキングして装置の配管等が詰まる可能性があるため、重質油をパージしてから装置を完全停止する必要がある。そこで、図4に示したフローに沿って装置を停止する。
【0051】
ステップ1では、炭化水素ガス流量制御バルブ16を閉じ、気液分離器圧力調節バルブ17の開度を気液分離器5内の圧力が2.5MPa程度になるように調節して、炭化水素ガス107を重質油燃焼炉74へ放出する。これにより、ガスタービン61は改質油108の単独燃焼になる。
【0052】
改質油タンク6に、ガスタービンを3時間以上運転可能な改質油が残存している場合には、次回のシステムの起動時にガスタービンをすぐに起動できる。このため、改質油タンク6の液位を測定し、ガスタービンを3時間以上運転するのに必要な量の改質油が残存しているかどうかを確認する。残存している場合にはステップ8へ移り、グランドフレア75を起動し、残存していない場合にはガスタービンの停止操作を開始するステップ2に移る。
【0053】
ステップ8では、改質油タンク6内に貯留された改質油108をグランドフレア用ポンプ35でグランドフレア75へ供給し、グランドフレア用ブロア37で供給された空気と混合して燃焼させる。
【0054】
ステップ9では、気液分離器5から水予熱器41を通ってきた改質油108を、グランドフレア燃焼用バルブ28の流れをグランドフレア75側に向けることにより、グランドフレア75に供給して燃焼させる。
【0055】
ステップ1の後あるいはステップ8の後で、ステップ2のガスタービン61の停止操作に入る。まず、改質油タンク6に貯留された改質油108のガスタービン燃焼器60への供給を停止する通常停止操作に入る。同時に改質油ポンプ33を停止する。
【0056】
ステップ3では、改質油タンク6の液位を調べ、ガスタービンを3時間以上運転できる量の改質油が残存していることを確認する。残存していることが確認されたならば、水供給バルブ24を開け、脱塩重質油供給バルブ18を閉じることにより重質油の供給を停止し、混合予熱器42、反応器1、気液分離器5等の系統中に残存している重質油、重質分105、改質油108をパージする。これと同時に脱塩装置10を停止し、脱塩重質油の製造を停止する。
【0057】
ここで、ステップ8でグランドフレア75を起動していなかった場合には、ステップ10およびステップ11で、ステップ8、ステップ9の操作と同じ要領でグランドフレア75を起動する。既に起動している場合にはステップ4に進む。
【0058】
ステップ4では、脱塩重質油加圧ポンプ32および水加圧ポンプ30を用いて、混合予熱器42、反応器1、気液分離器5等の系統中に残存している重質油、重質分105、改質油108をパージする。系統内に残留する油分をパージするために、反応器出口バルブ13を閉め、同時に反応器下部バルブ29を反応器内の圧力が低下しない開度にし、重質油燃焼炉74へ重質分105を供給し燃焼させる。
【0059】
グランドフレア75の燃焼温度を監視し、改質油108が水に置換されたことを確認する。同様に、重質油燃焼炉74の燃焼温度を監視し、重質分105および炭化水素ガス107が水分で置換されたことを確認する。両方が確認されるまでステップ4を続ける。
【0060】
ステップ4の終了後、ステップ5では、系全体を冷却する運転に入る。減圧バルブ12を閉じることで、気液分離器5より下流への流れを止めて冷却する。また、重質油燃焼炉74で生成した加熱用ガス116の混合予熱器42および反応器1への供給を停止するために、予熱器ガス流量調節弁19および加熱炉ガス流量調節弁20を閉め、バルブ27から加熱用ガス116を放出する。
【0061】
ステップ6では、系統内に残った微量の油分が混合した蒸気を放出し、圧力を下げる。微量の油分が残存しているため、蒸気を大気放出できないので、反応器下部バルブ29を開放し、重質油燃焼炉74へ流し、反応器1内の圧力が重質油燃焼炉74の圧力の2倍程度になるまで下げる。下がったことを確認した後、ステップ7で重質油燃焼炉74への重質油の供給を停止し、重質油燃焼炉用ブロア36も停止する。これにより重質油燃焼炉74も停止し、全系統が完全に停止する。以上のステップによりシステムを通常停止させることができる。
【0062】
次に、重質油改質燃料焚きガスタービンシステムの緊急停止方法を説明する。本システムでは重質油が熱分解して炭化水素ガスが発生するため、ガスタービン61の停止と同時に炭化水素ガスをガスタービン燃焼器60から別の場所に放出しなくてはならない。また、通常停止の場合と同様に、混合予熱器42や反応器1に重質油を高温のまま放置すると、重質油がコーキングして装置の配管等が詰まる可能性があるため、重質油をパージしてから装置を完全停止する必要がある。そこで、図5に示したフローに沿って装置を停止する。
【0063】
緊急停止ではステップ1でガスタービンを緊急停止する。ステップ2では、燃料を緊急遮断するために炭化水素ガス流量制御バルブ16を閉止し、改質油タンク6からの改質油108の供給を停止するために改質油ポンプ33を停止する。この際、気液分離器圧力調節バルブ17の開度を調節することにより、炭化水素ガス107を重質油燃焼炉74へ緊急放出する。
【0064】
ステップ2より後は通常停止で示した操作と同様にして、システムを安全に停止させることができる。
【0065】
本実施例により重質油を燃料としたガスタービンシステムにおいて、重質油改質系で改質油が生成されるまでの時間遅れ、或いは、重質油をパージするまでの時間遅れによるガスタービンの運転の制約をなくすことができ、起動、停止を速やかに実施することが可能となる。また、システム停止時、緊急停止時に安全にシステムを停止させることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
重質油の改質系とガスタービン発電系を含むシステムを、起動、停止、緊急停止を含めて安全に運用することができるようになり、その利用可能性は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明による重質油改質燃料焚きガスタービンシステムの一実施例を示す概略図。
【図2】起動方法のフローチャートを示す図。
【図3】反応器及び気液分離器の制御系を示す概略図。
【図4】通常停止方法のフローチャートを示す図。
【図5】緊急停止方法のフローチャートを示す図。
【符号の説明】
【0068】
1…反応器、2…重質分抜き出し系統、3…重質分回収器、4…減圧器、5…気液分離器、6…改質油タンク、10…脱塩装置、16…炭化水素ガス流量制御バルブ、17…気液分離器圧力調節バルブ、41…水予熱器、42…混合予熱器、52…加熱炉、60…ガスタービン燃焼器、61…ガスタービン、62…圧縮機、72…改質油タンク液位計、73…気液分離器液位計、74…重質油燃焼炉、75…グランドフレア、100…水タンク、101…重質油タンク、102…脱塩済み重質油タンク、105…重質分、107…炭化水素ガス、108…改質油、114…燃焼ガス、116…加熱用ガス、120…気液分離器圧力制御装置、121…液位制御装置、122…反応器圧力制御装置、123…気液分離器温度制御装置、201…温度計、202…温度計、203…温度計、211…圧力計、212…圧力計。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重質油と水を混合し反応させることによって前記重質油から重質分を分離・除去する反応器と、前記反応器で得られた軽質分を炭化水素ガスと改質油に分離する気液分離器と、前記気液分離器にて分離された炭化水素ガスをガスタービン燃焼器に供給する系統と、前記系統を通して供給された炭化水素ガスを燃焼するガスタービン燃焼器と、前記ガスタービン燃焼器で生成した燃焼ガスにより駆動されるガスタービンとを具備する重質油改質燃料焚きガスタービンシステムであって、前記気液分離器にて分離された炭化水素ガスを前記ガスタービン燃焼器に供給する系統の途中に炭化水素ガスを系外へ抜き出す系統を備えたことを特徴とする重質油改質燃料焚きガスタービンシステム。
【請求項2】
請求項1において、前記系外へ抜き出された前記炭化水素ガスを燃焼する燃焼炉を備えたことを特徴とする重質油改質燃料焚きガスタービンシステム。
【請求項3】
請求項2において、前記燃焼炉で生成した燃焼ガスが前記反応器の加熱用ガスとして供給されることを特徴とする重質油改質燃料焚きガスタービンシステム。
【請求項4】
請求項2において、前記反応器で分離された重質分を前記燃焼炉へ供給する系統を有することを特徴とする重質油改質燃料焚きガスタービンシステム。
【請求項5】
請求項1において、前記気液分離器にて分離された改質油を貯留する改質油タンクを備え、前記反応器が起動して前記気液分離器にて炭化水素ガスが得られるまでの間、前記改質油タンクに貯留された改質油を燃料として前記ガスタービンが運転されるようにしたことを特徴とする重質油改質燃料焚きガスタービンシステム。
【請求項6】
請求項5において、前記改質油タンクの容量が、前記反応器が起動して前記気液分離器で炭化水素ガスが得られるようになるまでの間に前記ガスタービンで使用される量の改質油を貯留できる容量であることを特徴とする重質油改質燃料焚きガスタービンシステム。
【請求項7】
重質油と水を混合し反応させることによって前記重質油から重質分を分離・除去する反応器と、前記反応器で得られた軽質分を炭化水素ガスと改質油に分離する気液分離器と、前記気液分離器にて分離された炭化水素ガスをガスタービン燃焼器に供給する系統と、前記系統を通して供給された炭化水素ガスを燃焼するガスタービン燃焼器と、前記ガスタービン燃焼器で生成した燃焼ガスにより駆動されるガスタービンとを具備する重質油改質燃料焚きガスタービンシステムであって、前記気液分離器にて分離された炭化水素ガスを前記ガスタービン燃焼器に供給する系統の途中に炭化水素ガスを系外へ抜き出すための系統と、前記気液分離器にて分離された改質油を貯留し前記ガスタービンの起動時に前記反応器にて軽質分が生成するまでの間のガスタービン燃料として使用する改質油タンクを備えたことを特徴とする重質油改質燃料焚きガスタービンシステム。
【請求項8】
請求項7において、前記系外へ抜き出された炭化水素ガスを燃料の一部として使用して前記反応器の加熱用ガスを生成する重質油燃焼炉を備えたことを特徴とする重質油改質燃料焚きガスタービンシステム。
【請求項9】
重質油を水と混合し反応器で反応させることによって重質分と軽質分を生成し、軽質分を炭化水素ガスと改質油に気液分離し、得られた炭化水素ガスを燃料としてガスタービンを運転するようにした重質油改質燃料焚きガスタービンシステムの運転方法において、前記ガスタービンの運転停止時に前記ガスタービンの燃料として前記炭化水素ガスを供給するのを停止し、前記反応器から送られる炭化水素ガスを系外へ抜き出すようにしたことを特徴とする重質油改質燃料焚きガスタービンシステムの運転方法。
【請求項10】
請求項9において、前記系外へ抜き出した炭化水素ガスを、前記反応器を加熱するための加熱用ガスを製造する燃料として使用することを特徴とする重質油改質燃料焚きガスタービンシステムの運転方法。
【請求項11】
請求項9において、前記反応器で生成された軽質分を気液分離して得られた改質油を貯留し、前記ガスタービンの起動時に前記反応器にて軽質分が製造され気液分離によって炭化水素ガスが生成されるまでの間、前記ガスタービンの燃料として使用することを特徴とする重質油改質燃料焚きガスタービンシステムの運転方法。
【請求項12】
請求項11において、前記改質油を貯留するタンクの容量を前記反応器にて軽質分が製造され気液分離によって炭化水素ガスが生成する前での間、前記ガスタービンを運転するのに十分な量を貯留できる容量とし、前記ガスタービンの運転停止後に前記タンクの液位を検知し、所定の液位以上であることを確認した後に前記反応器の運転停止操作に移行することを特徴とする重質油改質燃料焚きガスタービンシステムの運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−233838(P2006−233838A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−48424(P2005−48424)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(590000455)財団法人石油産業活性化センター (249)
【Fターム(参考)】