説明

重送検出方法、および重送検出装置

【課題】経年劣化に対応可能な信頼性の向上した重送検出方法を提供する。
【解決手段】用紙搬送路40を挟む形で対向させて配置した超音波送信センサー21及び超音波受信センサー22によって、用紙Pの重送状態を検知する重送検出方法であって、前記超音波受信センサー22が受信する受信レベルの履歴を記憶するレベル記憶工程と、前記受信レベルの履歴の平均値を演算する第1演算工程と、前記第1演算工程の結果と、予め決められている閾値との差分を演算する第2演算工程と、前記第2演算工程で求められた差分Bが予め決められている所定の値よりも小さくなった場合に、当該差分Bが、前記所定の値になるように閾値を調整するとともに、調整された閾値が、予め決められた閾値の下限値よりも小さくならないように、調整する閾値調整工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙の重送検出方法、および重送検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波センサーを用いた重送検出装置は、超音波送信部と超音波受信部の役割を持つ2つの超音波センサーを、用紙搬送路を挟む形で対向させて配置する構成をとっている。そして、用紙搬送路を用紙が通過している際に、超音波送信センサーが送信した信号を超音波受信センサーが受信し、受信した信号の大きさと、重送状態もしくは単送状態かを判定する基準となる閾値電圧とを比較することで用紙が重送状態か単送状態かを判断している。
【0003】
しかしながら、上述の超音波センサーを用いた重送検出装置は、使用年数や使用回数に応じて、用紙搬送時に発生した紙粉や粉塵などが超音波センサーに付着してしまったり、超音波センサーの送受信回数に応じて、超音波センサーの送信電圧や受信電圧が低下してしまったりする。つまり、超音波センサーを用いた重送検出装置は、経年劣化によって、重送判定の誤検出率が増加してしまうという課題があった。
【0004】
上述の課題を解決する方法として、特許文献1では用紙の搬送枚数を記憶することで経年劣化に対応する方法が提案されている。すなわち、用紙搬送枚数が設定数に到達した際に、超音波送信センサーの発信条件を変更することで、超音波センサーを用いた重送検出装置の経年劣化に対応していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−26066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の重送検出装置では、超音波センサーを使用している環境の違いや、超音波送受信センサーの個体毎に異なる耐久性の違いなどによって、発信条件を変更するべき累積用紙搬送枚数が必ずしも最適な設定数ではない場合がある。
【0007】
また、累積用紙搬送枚数が設定数に到達した際の、超音波センサーを用いた重送検出装置の経年劣化の度合いにバラつきがあるため、変更を行った後の発振条件が、重送検出装置の個体毎における最適な条件ではない場合がある。そのため、重送検出の信頼性が低いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
(適用例1)用紙搬送路を挟む形で対向させて配置した超音波送信センサー及び超音波受信センサーによって、用紙の重送を検知する重送検出方法であって、前記超音波受信センサーが受信する受信レベルの履歴を記憶するレベル記憶工程と、前記受信レベルの履歴の平均値を演算する第1演算工程と、前記第1演算工程の結果と、予め決められている閾値電圧との差分を演算する第2演算工程と、前記第2演算工程で求められた前記差分が予め決められている所定の値よりも小さくなった場合に、当該差分が、前記所定の値になるように前記閾値電圧を調整するとともに、調整された前記閾値電圧が、予め決められた前記閾値電圧の下限値よりも小さくならないように、調整する閾値調整工程と、を備えることを特徴とする重送検出方法。
【0010】
この方法によれば、超音波送信センサー及び超音波受信センサーの経年劣化に伴って受信レベルが変化したとしても、受信レベルの履歴の平均電圧値と予め決められている閾値電圧との差分を求めることによって、個別のセンサーの経年劣化の程度を知ることができる。そして、差分が所定の値より小さくなった場合は、その所定の差分(値)を確保するとともに、所定の下限値より小さくならないように閾値を調整することができる。そのため、個別のセンサーの劣化度合いに応じて最適な閾値電圧に調整することができる。
【0011】
また、経年劣化があったとしても、超音波受信センサーの信号電圧と閾値電圧との差分を一定にすることができ、重送検出の誤検出率の増加を抑えられることができる。そのため、重送検出の信頼性を向上させることができる。
【0012】
(適用例2)前記第1演算工程および前記第2演算工程の演算は、前記用紙が単送状態で送られるときの前記受信レベルに基づいて実施されることを特徴とする上記の重送検出方法。
【0013】
この方法によれば、単送状態で用紙が搬送される毎に、受信レベルの履歴について記憶して、平均電圧値の演算を行い、閾値電圧との差分を演算することができる。そのため、超音波センサーの劣化状況を用紙が単送状態で搬送される毎に知ることができる。
【0014】
(適用例3)前記閾値電圧調整工程における前記閾値電圧の下限値については、前記用紙が重送状態で送られるときの前記受信レベルに基づいて決定されることを特徴とする上記の重送検出方法。
【0015】
この方法によれば、超音波センサーの劣化に伴って調整される閾値電圧は、単送状態と重送状態との双方の受信レベルに対して適正な差分を確保することができる。そのため、重送検出の信頼性を向上することができる。
【0016】
(適用例4)用紙搬送路を挟む形で対向させて配置した超音波送信センサー及び超音波受信センサーを備え、用紙の重送を検知する重送検出装置であって、前記超音波受信センサーが受信する受信レベルの履歴を記憶するレベル記憶手段と、前記受信レベルの履歴の平均値を演算する第1演算手段と、前記第1演算手段で求められた結果と、予め決められている閾値電圧との差分を演算する第2演算手段と、前記第2演算手段で求められた前記差分が予め決められている所定の値よりも小さくなった場合に、当該差分が、前記所定の値になるように前記閾値電圧を調整するとともに、調整された前記閾値電圧が、予め決められた前記閾値電圧の下限値よりも小さくならないように、調整する閾値調整手段と、を備えることを特徴とする重送検出装置。
【0017】
この構成によれば、超音波送信センサー及び超音波受信センサーの経年劣化に伴って受信レベルが変化したとしても、受信レベルの履歴の平均電圧値と予め決められている閾値電圧との差分を求めることによって、個別のセンサーの経年劣化の程度を知ることができる。そして、差分が所定の値より小さくなった場合は、その所定の差分(値)を確保するとともに、所定の下限値より小さくならないように閾値を調整することができる。そのため、個別のセンサーの劣化度合いに応じて最適な閾値電圧に調整することができる。
【0018】
また、経年劣化があったとしても、前記超音波受信センサーの信号電圧と閾値電圧との差分を一定にすることができ、重送検出の誤検出率の増加を抑えられることができる。そのため、重送検出の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】重送検出装置の構成を示すブロック図。
【図2】重送検出動作を説明するフローチャート。
【図3】重送検出方法について説明する説明図。
【図4】重送検出方法の閾値変更の流れを示すフローチャート。
【図5】閾値変更における閾値調整工程の詳細を示すフローチャート。
【図6】閾値の変更について説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明で参照する図面では、説明および図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0021】
(重送検出装置の構成について)
まず、本発明の重送検出方法を適用した重送検出装置の構成について、図1を参照して説明する。図1は、重送検出装置の構成を示すブロック図である。なお、重送検出装置は、例えば、印刷装置や情報読み取り装置等の用紙搬送経路に設けられ、本来であれば1枚ずつ搬送される用紙が誤って複数枚搬送されたことを検出する役割を有する。なお、以降の説明では、搬送される用紙が1枚の状態を単送状態といい、2枚以上重なった状態を重送状態という。
【0022】
図1に示すように、重送検出装置10は、超音波センサー20と制御部30とを備える。超音波センサー20は、超音波を発振する超音波送信センサー21とその超音波を受信する超音波受信センサー22とから構成される。超音波送信センサー21及び超音波受信センサー22は、用紙Pが搬送される用紙搬送路40を挟んで発信部21aおよび受信部22aが対向するように配置される。
【0023】
制御部30は、発信制御部31と受信制御部32とを有する。発信制御部31は、超音波送信センサー21の超音波の発信を制御する。受信制御部32は、増幅回路34、サンプルホールド回路35、コンパレーター36、およびCPU37を備えている。増幅回路34は、超音波受信センサー22が超音波を受信したことで、発生する電圧を増幅する役割を持つ。サンプルホールド回路35は、増幅回路34が増幅した電圧の値を一定時間保持する役割を持つ。コンパレーター36は、サンプルホールド回路35で保持されている電圧と、予め定められている閾値電圧Vthとの大小を比較するための回路である。CPU37は、コンパレーター36の比較結果を参照して、用紙搬送が単送状態であるか重送状態であるかを判定して、重送状態であった場合には、用紙搬送を停止させる役割を持つ。以上の工程により、受信制御部32は、超音波受信センサー22が受信した超音波を信号として処理する。
【0024】
(重送検出装置の動作について)
次いで、重送検出装置の動作について図2及び図3を参照して説明する。図2は、重送検出動作を説明するフローチャートであり、図3は、重送検出方法について説明する説明図である。
【0025】
図2に示すステップS1では、図1に示す用紙搬送路40に沿って、図示しない用紙搬送機構によって用紙Pが搬送される。
【0026】
ステップS2では、搬送される用紙Pに対して上述の超音波送信センサー21及び超音波受信センサー22を用いて超音波の送受信が行われる。詳しくは、図1に示す発信制御部31が、超音波送信センサー21に対して超音波送信センサー21の超音波域の周波数を持つ電圧を印加する。超音波送信センサー21は、その周波数および電圧に対応した超音波を発振する。超音波送信センサー21から発振された超音波は用紙搬送路40を搬送される用紙Pを透過した後、超音波受信センサー22に到達する。超音波受信センサー22は、受信した超音波信号の大きさに対応した電圧V1を出力する。
【0027】
ステップS3では、電圧V1を図1に示す増幅回路34を用いて増幅し、電圧V2を出力する。ステップS4では、電圧V2と閾値電圧Vthを図1に示すコンパレーター36を用いて比較して、比較結果に応じて、閾値電圧Vthよりも電圧V2が高ければHレベルの信号を、閾値電圧VthよりもV2が低ければLレベルの信号を出力する。なお、閾値電圧Vthは、搬送される用紙Pが1枚の状態(単送状態)か2枚以上重なった状態(重送状態)かを判定するため予め決められている電圧値である。
【0028】
ステップS5では、ステップS4から出力された信号のレベルがHレベルであるかLレベルであるかに応じて、CPU37で用紙搬送が単送状態であるか重送状態であるかを判定する。超音波センサー20の送受信において、超音波は用紙Pを透過する。用紙搬送が単送状態であった場合には、超音波送信センサー21から送信された超音波の透過率は高く、重送状態であった場合には、1枚目の用紙P1と2枚目の用紙P2との間で超音波が反射してしまい透過率が低くなる。搬送される用紙Pが3枚以上の場合は、透過率はさらに低くなる。
【0029】
超音波受信センサー22は受信する超音波信号レベルが大きいほど、出力する電圧V1が大きくなる。そのため、図1に示す増幅回路34で増幅される電圧V2も大きくなる。用紙搬送が単送状態であると、電圧V2が大きく、重送状態であると、電圧V2が小さくなる。よって、図3に示すように、用紙搬送が単送状態の時に出力される電圧V2hと、重送状態の時に出力される電圧V2lとの間に閾値電圧Vthを設けておけば、Hレベルが出力されると用紙搬送が単送状態であったことが、Lレベルが出力されると用紙搬送が重送状態であったことが分かる。
【0030】
この判定結果は、重送検出装置10が設けられている例えば印刷装置や情報読み取り装置等の電子機器に送られ、用紙Pが重送状態で搬送された場合は、用紙搬送を停止させたり、表示部等でエラー表示をしてユーザーに注意を促したりする。
【0031】
(閾値電圧調整方法について)
なお、上述のように閾値電圧Vthは、搬送される用紙Pが1枚の状態(単送状態)か2枚以上重なった状態(重送状態)かを判定するため予め決められている電圧値である。この閾値電圧Vthは、使用年数や使用回数に応じて、用紙Pの搬送時に発生した紙粉や粉塵などが超音波送信センサー21及び超音波受信センサー22に付着してしまったり、超音波送信センサー21及び超音波受信センサー22の送受信回数に応じて、超音波送信センサー21および超音波受信センサー22が劣化してしまったりする可能性がある。そのため、重送状態を正しく判定するためには経年劣化の状況に応じて閾値電圧Vthを変更することが好ましい。
【0032】
以下、本発明に係る閾値調整方法について、図4〜図6を参照して説明する。図4は、重送検出方法の閾値変更の流れを示すフローチャートである。
【0033】
図4に示すように、搬送される用紙Pが単送状態か重送状態かを判定するための閾値電圧Vthの変更を行うために、重送検出装置10は、図2に示す通常動作である用紙検出工程S11において、図2に示すステップS3で出力された電圧V2を記憶するレベル記憶工程S12を設けている。ステップS12の受信レベル記憶工程では、1度の用紙搬送が行われる間において、複数回出力される電圧V2を履歴として記録する。
【0034】
ステップS12で記録される電圧V2は、測定する度に測定値が僅かに変化するため、第1演算工程S13では、ステップS12で記憶した電圧V2の履歴に対して平均電圧値V3を算出する。平均電圧値V3を算出することで、より正確な受信レベルを得ることができる。第2演算工程S14では、ステップS13で得られた受信レベルの平均電圧値V3と閾値電圧Vthとの差分Bを算出する。差分Bは、後述する閾値調整工程S15において、閾値電圧調整を行うか否かを決定する値となる。閾値調整工程S15では、ステップS14の結果に応じて、閾値電圧Vthを調整する。
【0035】
ここで、閾値調整工程の詳細について図5及び図6を参照して説明する。図5は、閾値電圧変更における閾値調整工程の詳細を示すフローチャートである。図6は、閾値電圧の変更について説明する説明図であり、閾値調整工程の変更タイミングを示した概念図である。なお、図6において、経年劣化無し平均電圧値V3aは、初期状態の平均電圧値V3を示し、劣化有り平均電圧値V3bは、経年劣化した状態の平均電圧値V3を示す。また、閾値電圧Vthaは、初期状態の閾値電圧Vthを示し、閾値電圧Vthbは、閾値調整工程S15で調整された閾値電圧Vthを示す。
【0036】
Vmは、初期状態で設定されている閾値電圧Vthに対して、重送検出装置10がほぼ誤検出なく重送判定を行える平均電圧値V3の下限値を示す。なお、平均電圧下限値Vmに関しては閾値電圧を変更するたびに変化すると共に、その変化量に関しては、事前評価で決定される。次に、図6に示すVsは、平均電圧下限値Vmと閾値電圧Vthの差分、すなわち許容値を示している。つまり、上述した差分Bが、この許容値Vsよりも小さくなってしまうと、重送検出装置10の重送判定の検出精度が確保できないことを意味している。閾値電圧下限値Vthminは、調整可能な閾値電圧Vthの下限値を示す。
【0037】
閾値調整工程の詳細を示すフローチャートである図5に示すように、ステップS31では、図4に示す第2演算工程S14の結果、すなわち、受信レベルの平均電圧値V3と閾値電圧Vthとの差分Bが、許容値Vs(Vm−Vth)よりも小さいか否かを判定する。差分Bが、許容値Vs(Vm−Vth)より大きい場合は重送検出装置10は閾値電圧Vthを調整しない。差分Bが、許容値Vs(Vm−Vth)より小さくなった場合は、閾値電圧Vthを調整する。
【0038】
なお、許容値Vs(Vm−Vth)の値については、この値の差が大きい程、重送検出装置10の重送検出の精度が確保できる。そのため、許容値Vs(Vm−Vth)の値については、事前評価によって、重送検出装置10の重送検出の精度が信頼できる値の下限値を設定している。つまり、差分Bの結果が、許容値Vs(Vm−Vth)よりも小さくなると、重送検出装置10の重送検出精度が低下していることを意味する。
【0039】
差分Bの結果が、許容値Vs(Vm−Vth)よりも小さくなると、ステップS32に移行して、重送検出装置10は重送検出精度を確保するため、差分Bの結果が許容値Vs(Vm−Vth)より僅かに大きくなるように、新たな閾値電圧Vthbを設定する閾値電圧調整を行う。以上の工程で、重送検出装置10は差分Bの結果が、許容値Vs(Vm−Vth)よりも小さくなる度に閾値電圧調整を行う。
【0040】
一方で、閾値電圧調整を行い続けることで、調整後の閾値電圧Vthbが低下しすぎてしまい、用紙搬送が重送状態であっても、電圧V2およびV3が閾値電圧Vthbよりも大きくなってしまいLレベルを出力しなくなり、重送状態であっても単送状態であると誤検出を行ってしまう。そこで、重送検出装置10では、図6が示すように、調整可能な閾値電圧の下限値Vthminを予め設定しておく。なお、閾値電圧下限値Vthminについては、重送状態を単送状態であると誤検出してしまわない閾値電圧Vthの値であり、事前評価によって決定される。
【0041】
そのため、重送検出装置10では、前述したように、差分Bの結果が、許容値Vs(Vm−Vth)よりも小さくなる度に閾値電圧調整を行うが、調整後の閾値電圧の値が閾値電圧下限値Vthminよりも小さくなってしまった場合には閾値電圧変更を行わないといった動作を行う。以上の工程が図5のステップS32である。なお、重送検出装置10が劣化してしまい閾値電圧変更を行えなくなった際には、その旨をユーザーに伝える動作も行う。
【0042】
以下、本実施形態の効果を記載する。
(1)上述の閾値調整工程S15を備えた重送検出装置10は、重送検出装置10の劣化に応じて、最適な閾値電圧Vthを設定することができ、より精度の高い重送検出が可能となる。
【0043】
(2)上述の閾値調整工程S15を備えた重送検出装置10は、超音波センサー20の個体感度や増幅回路34の増幅率のバラつきがあったとしても、重送検出装置10の個体毎における最適な閾値電圧Vthを調整することができるため、重送検出装置10の重送検出精度が超音波センサー20や増幅回路34のバラつきに影響されない。
【0044】
(3)上述の閾値調整工程S15を備えた重送検出装置10は、重送検出装置10の劣化に応じて、変化した閾値電圧Vthが、閾値電圧下限値Vthminまで到達した際には、ユーザーに閾値電圧Vthを変化させられなくなった旨を伝えることができる。そのため、ユーザーは、重送検出装置10が製品寿命に到達してしまい、重送判定の誤検出を頻繁に起こしてしまうよりも早くに、重送検出装置10の信頼性がなくなってしまったことを知ることができる。
【符号の説明】
【0045】
10…重送検出装置、20…超音波センサー、21…超音波送信センサー、21a…発信部、22…超音波受信センサー、22a…受信部、30…制御部、31…発信制御部、32…受信制御部、34…増幅回路、35…サンプルホールド回路、36…コンパレーター、37…CPU、40…用紙搬送路、P…用紙、S12…レベル記憶工程、S13…第1演算工程、S14…第2演算工程、S15…閾値調整工程、Vm…平均電圧下限値、Vs…許容値、Vth…閾値電圧、Vthmin…閾値電圧下限値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙搬送路を挟む形で対向させて配置した超音波送信センサー及び超音波受信センサーによって、用紙の重送を検知する重送検出方法であって、
前記超音波受信センサーが受信する受信レベルの履歴を記憶するレベル記憶工程と、
前記受信レベルの履歴の平均値を演算する第1演算工程と、
前記第1演算工程の結果と、予め決められている閾値との差分を演算する第2演算工程と、
前記第2演算工程で求められた差分が予め決められている所定の値よりも小さくなった場合に、当該差分が、前記所定の値になるように閾値を調整するとともに、調整された閾値が、予め決められた閾値の下限値よりも小さくならないように、調整する閾値調整工程と、を備えることを特徴とする重送検出方法。
【請求項2】
前記第1演算工程および前記第2演算工程の演算は、前記用紙が単送状態で送られるときの前記受信レベルに基づいて実施されることを特徴とする請求項1に記載の重送検出方法。
【請求項3】
前記閾値調整工程における前記閾値の下限値については、前記用紙が重送状態で送られるときの前記受信レベルに基づいて決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の重送検出方法。
【請求項4】
用紙搬送路を挟む形で対向させて配置した超音波送信センサー及び超音波受信センサーを備え、用紙の重送を検知する重送検出装置であって、
前記超音波受信センサーが受信する受信レベルの履歴を記憶するレベル記憶手段と、
前記受信レベルの履歴の平均値を演算する第1演算手段と、
前記第1演算手段で求められた結果と、予め決められている閾値電圧との差分を演算する第2演算手段と、
前記第2演算手段で求められた前記差分が予め決められている所定の値よりも小さくなった場合に、当該差分が、前記所定の値になるように前記閾値電圧を調整するとともに、調整された前記閾値電圧が、予め決められた前記閾値電圧の下限値よりも小さくならないように、調整する閾値調整手段と、を備えることを特徴とする重送検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−75746(P2013−75746A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216715(P2011−216715)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】