説明

重量選別機

【課題】 各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を予測し、その予測した比率を表示することが可能になる重量選別機を提供する。
【解決手段】 被計量物の重量を計量し、それぞれ設定される境界値によって区分される重量範囲ごとに定めた複数の重量ランクのうち被計量物の重量が該当する重量ランクに被計量物を選別する重量選別機であって、重量選別の本稼働の前段階において複数の被計量物の各々の重量が順次計量されたときに複数の被計量物の重量の標準偏差と平均値とを算出し、この標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う複数の模擬重量値を生成し、各々の模擬重量値の該当する重量ランクを判定し、模擬重量値の全個数に対する各重量ランクに該当する模擬重量値の個数の比率を算出する制御装置16と、制御装置16により算出される各重量ランクに該当する模擬重量値の個数の比率を表示する操作表示器15とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計量物をその重量に応じた重量ランクに選別する重量選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
農水産物等の物品である被計量物は、例えば、同一種類のものであって、重量が略等しいものを所定重量ずつ箱詰めして、この箱詰めされた状態で取引されている。このように、被計量物を所定重量ずつ箱詰めする際には、振分け装置を備えた重量選別機が使用されている。このような重量選別機は、例えば、夫々異なる重量範囲ごとに定められる所定数の重量ランクが予め設定されており、被計量物の重量を順次計量して各計量値に該当する重量ランクを判定することができるものであり、重量ランクが判定された各被計量物は、振分け装置によって重量ランク毎に予め定められた位置へ振り分けられる。
【0003】
また、特許文献1に記載の重量選別機では、各重量ランクごとに目標重量値を設定し、それぞれの重量ランクに選別される被計量物の平均重量値を、それぞれの重量ランクの目標重量値と一致又は略一致させることができる各重量ランクの重量範囲を定める境界重量値を算出して設定するように構成されている。この構成により、各重量ランクに選別され、1箱に箱詰めされる被計量物の合計重量及び合計個数を予め定めた重量及び個数とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−333384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、使用者は、被計量物の総数あるいは総数の概数がわかっている場合に、各重量ランクに選別される被計量物の個数、あるいは被計量物の総数に対する各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を予め知りたい場合がある。
【0006】
例えば、農産物、魚介類等の単体の被計量物を、大、中、小の重量ランクに選別する際に、中の重量ランクの被計量物を多くして所望個数確保したい場合など、特定の重量ランクに選別される被計量物を所望個数確保したい場合がある。このような場合、従来は、使用者の勘を頼りに各重量ランクの重量範囲を定める境界値を決めていた。しかしこの場合、使用者の経験にも左右されるが、いずれにしても被計量物の重量分布が不明であるため、特定の重量ランクに選別される被計量物を所望個数確保するために適正な境界値を設定することは容易ではない。そして、特定の重量ランクに選別される被計量物が所望個数得られないときには、重量ランクの境界値を再度変更して再計量しなければならず、計量時間が大幅に増加する。
【0007】
使用者は、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を予め知ることができれば、各重量ランクに選別される被計量物の個数も容易に算出でき、例えば特定の重量ランクに選別される被計量物を所望個数確保するために重量ランクの境界値を適正な値に設定することが容易になり、前述のように、重量ランクの境界値の変更を繰り返して再計量することもなくなり、計量時間の増加を防止することが可能になる。
【0008】
また、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を所望の比率にすることができれば、例えば特定の重量ランクに選別される被計量物を所望個数確保することも可能になる。
【0009】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を予測し、その予測した比率を表示することが可能になる重量選別機を提供することを目的としている。また、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を所望の比率にすることが可能になる重量選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る重量選別機は、被計量物の重量を計量し、それぞれ設定される境界値によって区分される重量範囲ごとに定めた複数の重量ランクのうち被計量物の重量が該当する重量ランクに被計量物を選別する重量選別機であって、重量選別の本稼働の前段階において複数の被計量物の各々の重量が順次計量されたときに前記複数の被計量物の重量の標準偏差と平均値とを算出する第1の重量分布情報算出手段と、前記第1の重量分布情報算出手段により算出される前記標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う複数の第1の模擬重量値を生成する第1の模擬重量値生成手段と、各々の前記第1の模擬重量値の該当する重量ランクを判定し、前記第1の模擬重量値の全個数に対する各重量ランクに該当する前記第1の模擬重量値の個数の比率を算出する第1の比率算出手段と、前記第1の比率算出手段により算出される前記各重量ランクに該当する前記第1の模擬重量値の個数の比率を表示する第1の比率表示手段とを備えている。
【0011】
この構成によれば、重量選別の本稼働の前段階において、複数の被計量物の重量を計量し、その重量分布と同様の重量分布を持つ第1の模擬重量値を生成し、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を各重量ランクに該当する第1の模擬重量値の個数の比率として予測し、その予測した比率を表示することが可能になる。これにより、使用者は、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を予め知ることができ、被計量物の総数がわかっていれば各重量ランクに選別される被計量物の個数も容易に算出でき、例えば特定の重量ランクに選別される被計量物を所望個数確保するために重量ランクの境界値を適正な値に設定することが容易になる。
【0012】
また、各重量ランクに対する所望の比率を入力する比率入力手段と、前記各重量ランクに該当する前記第1の模擬重量値の個数の比率を前記比率入力手段により入力される前記所望の比率にすることができる前記各重量ランクの重量範囲を定める境界値を算出する第1の境界値算出手段と、前記第1の境界値算出手段により算出される境界値を表示する境界値表示手段とをさらに備えていてもよい。
【0013】
この構成によれば、重量選別の本稼働の前段階において、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を所望の比率にするための境界値を表示することが可能になる。
【0014】
また、先に設定されている境界値に代えて前記境界値表示手段により表示される境界値に設定を変更する境界値変更手段をさらに備えていてもよい。
【0015】
この構成によれば、重量選別の本稼働の前段階において、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を所望の比率にするための境界値を表示し、その境界値に設定を変更することが容易になる。
【0016】
また、各重量ランクの重量範囲を定める境界値を入力する境界値入力手段と、先に設定されている境界値に代えて前記境界値入力手段により入力される前記境界値に設定を変更する境界値変更手段とをさらに備え、前記第1の比率算出手段は、前記境界値変更手段により変更された境界値によって定められる重量範囲に基づいて前記複数の第1の模擬重量値の該当する重量ランクを再度判定し、前記各重量ランクに該当する前記第1の模擬重量値の個数の比率を再度算出するように構成され、前記第1の比率表示手段は、前記第1の比率算出手段により再度算出された前記各重量ランクに該当する前記第1の模擬重量値の個数の比率を表示するように構成されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、重量選別の本稼働の前段階において、境界値を変更したときに、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を予測しなおして、その予測しなおした比率を表示することが可能になる。
【0018】
また、重量選別の本稼働の段階において被計量物が第1の所定個数計量されるたびに直近に計量された第2の所定個数の被計量物の重量の標準偏差と平均値とを算出する第2の重量分布情報算出手段と、前記第2の重量分布情報算出手段により算出される前記標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う複数の第2の模擬重量値を生成する第2の模擬重量値生成手段と、各々の前記第2の模擬重量値の該当する重量ランクを判定し、前記第2の模擬重量値の全個数に対する各重量ランクに該当する前記第2の模擬重量値の個数の比率を算出する第2の比率算出手段と、前記第2の比率算出手段により算出される前記各重量ランクに該当する前記第2の模擬重量値の個数の比率を表示する第2の比率表示手段とをさらに備えていてもよい。
【0019】
この構成によれば、重量選別の本稼働中において、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を、各重量ランクに該当する第2の模擬重量値の個数の比率として予測することにより、本稼動中に被計量物の重量分布が変わった場合でも、より正確な比率として予測でき、その予測した比率を表示することが可能になる。
【0020】
また、各重量ランクに対する所望の比率を入力する比率入力手段と、重量選別の本稼働の段階において被計量物が第1の所定個数計量されるたびに直近に計量された第2の所定個数の被計量物の重量の標準偏差と平均値とを算出する第2の重量分布情報算出手段と、前記第2の重量分布情報算出手段により算出される前記標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う複数の第2の模擬重量値を生成する第2の模擬重量値生成手段と、各々の前記第2の模擬重量値の該当する重量ランクを判定し、前記第2の模擬重量値の全個数に対する各重量ランクに該当する前記第2の模擬重量値の個数の比率を算出する第2の比率算出手段と、前記各重量ランクに該当する前記第2の模擬重量値の個数の比率を前記比率入力手段により予め入力された前記所望の比率にすることができる前記各重量ランクの重量範囲を定める境界値を算出する第2の境界値算出手段と、先に設定されている境界値に代えて前記第2の境界値算出手段により算出される境界値に設定を変更する境界値変更手段とをさらに備えていてもよい。
【0021】
この構成によれば、重量選別の本稼働中において、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を、各重量ランクに該当する第2の模擬重量値の個数の比率として予測することにより、本稼動中に被計量物の重量分布が変わった場合でも、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を所望の比率にすることが可能になる。これにより、被計量物の総数がわかっていれば、所望の比率を入力することにより各重量ランクに選別される被計量物の個数を所望の個数にすることができ、例えば特定の重量ランクに選別される被計量物を所望個数確保することが容易になる。
【0022】
また、前記第2の模擬重量値生成手段は、前記第2の重量分布情報算出手段により算出される最新の標準偏差と平均値と、その直前に算出された標準偏差と平均値とが異なる場合にのみ、前記最新の標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う複数の第2の模擬重量値を生成するように構成されていてもよい。
【0023】
また、本発明に係る重量選別機は、被計量物の重量を計量し、それぞれ設定される境界値によって区分される重量範囲ごとに定めた複数の重量ランクのうち被計量物の重量が該当する重量ランクに被計量物を選別する重量選別機であって、各重量ランクに対する所望の比率を入力する比率入力手段と、被計量物が第1の所定個数計量されるたびに直近に計量された第2の所定個数の被計量物の重量の標準偏差と平均値とを算出する重量分布情報算出手段と、前記重量分布情報算出手段により算出される前記標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う複数の模擬重量値を生成する模擬重量値生成手段と、各々の前記模擬重量値の該当する重量ランクを判定し、前記模擬重量値の全個数に対する各重量ランクに該当する前記模擬重量値の個数の比率を算出する比率算出手段と、前記各重量ランクに該当する前記模擬重量値の個数の比率を前記比率入力手段により予め入力された前記所望の比率にすることができる前記各重量ランクの重量範囲を定める境界値を算出する境界値算出手段と、先に設定されている境界値に代えて前記境界値算出手段により算出される境界値に設定を変更する境界値変更手段とを備えている。
【0024】
この構成によれば、重量選別の本稼働中において、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を、各重量ランクに該当する模擬重量値の個数の比率として予測することにより、本稼動中に被計量物の重量分布が変わった場合でも、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を所望の比率にすることが可能になる。これにより、被計量物の総数がわかっていれば、所望の比率を入力することにより各重量ランクに選別される被計量物の個数を所望の個数にすることができ、例えば特定の重量ランクに選別される被計量物を所望個数確保することが容易になる。
【0025】
また、前記模擬重量値生成手段は、前記重量分布情報算出手段により算出される最新の標準偏差と平均値と、その直前に算出された標準偏差と平均値とが異なる場合にのみ、前記最新の標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う複数の模擬重量値を生成するように構成されていてもよい。
【0026】
また、前記第1の所定個数と前記第2の所定個数とが等しいように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、以上に説明した構成を有し、重量選別機において、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を予測し、その予測した比率を表示することが可能になるという効果を奏する。また、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を所望の比率にすることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)は、本発明の実施形態の重量選別機を上方から視た概略構成を示す模式図であり、(b)は、同重量選別機を側方から視た概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態の重量選別機の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態において、操作表示器のスクリーンに表示される重量ランク境界値設定画面の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態において、アドレス順に応じて値の小さいものから順番に並ぶようにして記憶部の所定領域に格納した模擬重量値の一例を示す概念図である。
【図5】本発明の実施形態において、模擬重量値をアドレス順に応じて値の小さいものから順番に並ぶように記憶部の所定領域に格納する処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態において、記憶部に記憶された模擬重量値の各々がどの重量ランクに該当するかを判定し、各重量ランクの個数を算出する処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態において、操作表示器のスクリーンに表示される重量ランク比率設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1(a)は、本発明の実施形態の重量選別機を上方から視た概略構成を示す模式図であり、図1(b)は、同重量選別機を側方から視た概略構成を示す模式図である。また、図2は、同重量選別機の概略構成を示すブロック図である。
【0031】
この重量選別機は、例えば果物や魚介類等の農水産物等の被計量物を、所定数の重量ランクに選別するものである。
【0032】
この重量選別機は、電装品収納ボックス5と、供給コンベヤ1と、ロードセル等からなる重量センサ4により支持された計量コンベヤ2と、振分アーム6〜9を備えた振分コンベヤ3と、操作表示器15と、制御装置16とを備えている。また、供給コンベヤ1側の計量コンベヤ2の端部には光電センサ等からなる物品検出センサ20が設けられ、振分コンベヤ3の周囲には被計量物の収納箱10〜14が設けられている。
【0033】
電装品収納ボックス5には、その前面の上部に操作表示器15が嵌め込まれるようにして取り付けられ、内部に制御装置16が収納されている。物品検出センサ20の検出信号及び重量センサ4の計量信号は制御装置16に入力される。制御装置16は、重量センサ4及び物品検出センサ20から得られるデータ等に基づいて、供給コンベヤ1、計量コンベヤ2、振分コンベヤ3、振分アーム6〜9を制御する。図2に示されるように、制御装置16は、重量センサ4からのアナログ計量信号がA/D変換器19によってデジタル計量信号に変換されて入力されることにより、計量コンベヤ2上の被計量物Wの重量を取得する。また、制御装置16は、コンベヤ駆動回路17を制御することにより、供給コンベヤ1、計量コンベヤ2及び振分コンベヤ3の駆動(動作)を制御し、振分アーム駆動回路18を制御することにより、振分アーム6〜9の駆動(動作)を制御する。
【0034】
重量選別の本稼働中において、供給コンベヤ1は、例えば図示されないコンベヤによって順次搬送されてくる被計量物Wを受け取り、計量コンベヤ2へ移送する。計量コンベヤ2は、供給コンベヤ1によって搬送されてくる被計量物Wを受け取り、振分コンベヤ3へ移送する。物品検出センサ20の検出信号に基づいて、被計量物Wが計量コンベヤ2上の所定位置に移送されてきたときに重量センサ4によって被計量物Wの重量が計量される。
【0035】
制御装置16は、重量センサ4によって計量された被計量物Wの重量が、所定数の重量ランクのうちのどのランクに属するかを判定し、その判定結果に基づいて振分アーム駆動回路18を介して振分アーム6〜9の駆動を制御する。ここでは、S(小)、M(中)、L(大)の3つの規格品の重量ランクと、規格外軽量品の重量ランク及び規格外重量品の重量ランクとからなる5つの重量ランクが設定されている。これらの重量ランクは、軽い方から、規格外軽量品、S規格品、M規格品、L規格品、規格外重量品の順になっている。例えば、規格外軽量品の重量ランクの重量範囲を150g未満の範囲とし、S規格品の重量ランクの重量範囲を150g以上、180g未満の範囲とし、M規格品の重量ランクの重量範囲を180g以上、220g未満の範囲とし、L規格品の重量ランクの重量範囲を220g以上、250g以下の範囲とし、規格外重量品の重量ランクの重量範囲を250gを超える範囲とする場合には、各重量ランクの重量範囲を定める境界値(境界の重量値)を、150g、180g、220g、250gとして設定すればよい。
【0036】
そして、S規格品の重量ランクに属する被計量物Wは、振分アーム7が駆動されてS規格品収納箱11へ収納される。同様に、M規格品の重量ランクに属する被計量物Wは、振分アーム8が駆動されてM規格品収納箱12へ収納され、L規格品の重量ランクに属する被計量物Wは、振分アーム9が駆動されてL規格品収納箱13へ収納される。また、規格外軽量品の重量ランクに属する被計量物Wは、振分アーム6が駆動されて規格外軽量品収納箱10へ収納され、規格外重量品の重量ランクに属する被計量物Wは、いずれの振分アーム6〜9も駆動されず、規格外重量品収納箱14へ収納される。
【0037】
制御装置16は、例えばマイクロコンピュータ等によって構成され、CPU等からなる演算制御部16aと、RAM及びROM等のメモリを有し、運転条件情報及び運転用プログラム等を記憶する記憶部16bとを有している。そして、演算制御部16aが予め設定された運転条件情報を用いて運転用プログラムを実行することにより、制御装置16は重量選別機の全体の動作制御を行う。
【0038】
操作表示器15は、例えばタッチパネルディスプレイ等を用いて構成され、重量選別機の操作およびその運転条件情報の設定等を行うための入力手段と、被計量物の重量値、集計データ等をスクリーン(ディスプレイ画面)に表示する表示手段とを備えている。
【0039】
また、制御装置16は、操作表示器15からの信号を入力するとともに、操作表示器15へ表示するデータ等の信号を出力する。
【0040】
なお、制御装置16は、前述の第1及び第2の重量分布情報算出手段、重量分布情報算出手段、第1及び第2の模擬重量値生成手段、模擬重量値生成手段、第1及び第2の比率算出手段、比率算出手段、第1及び第2の境界値算出手段、境界値算出手段、境界値変更手段等として機能する。また、操作表示器15は、前述の第1及び第2の比率表示手段、境界値表示手段、境界値入力手段、比率入力手段等として機能する。
【0041】
(重量選別の本稼働の前段階)
本実施形態では、重量選別の本稼働の前段階において、まず、各重量ランクの境界値を仮に設定し、重量選別の本稼働の前段階の運転を行い、複数個(例えば20個以上)の被計量物の計量を順次行わせる。そして、制御装置16は、重量センサ4によって順次計量される被計量物の重量値を取得し、このときに計量された複数個の被計量物の重量値の標準偏差と平均値とを算出する。
【0042】
次に、制御装置16は、算出した標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う模擬重量値を所定個数(例えば100個)生成して記憶部16bの所定領域に格納(記憶)する。
【0043】
次に、制御装置16は、各重量ランクに該当する模擬重量値の比率及び個数を求めて、それを操作表示器15のスクリーンに表示させる。なお、各重量ランクに該当する模擬重量値の比率とは、生成した模擬重量値の全個数に対する各重量ランクに該当する模擬重量値の個数の割合(比率)のことであり、以下では、さらに略して、各重量ランクの比率ともいう。また、各重量ランクに該当する模擬重量値の個数のことを、略して、各重量ランクの個数ともいう。
【0044】
以下では、重量選別の本稼働の前段階の操作及び運転等について詳細に説明する。
【0045】
この重量選別機では、例えば、電源を投入すると、操作表示器15のスクリーンに、メニュー画面(図示せず)が表示される。このメニュー画面には、例えば、「運転条件設定」のタッチキー、「自動運転」のタッチキーなどが表示されている。
【0046】
操作者が「運転条件設定」のタッチキーにタッチすると、重量選別機の運転条件情報を設定するために用いられる運転条件設定画面(図示せず)が表示され、この画面中に表示される「重量ランク境界値設定」のタッチキーをタッチすると、例えば図3に示すような重量ランク境界値設定画面が表示される。
【0047】
図3は、操作表示器15のスクリーンに表示される重量ランク境界値設定画面51の一例を示す図である。
【0048】
この重量ランク境界値設定画面51では、選別比率表示エリア54に各重量ランクの比率が帯グラフ55によって表示されている。また、その時のデータ数と第1〜第4境界値とが選別比率表示エリア54の下に表示され、それらの表示値の部分はタッチキー58〜62になっている。各重量ランクの個数が、選別比率表示エリア54内の帯グラフ55の下に括弧書きで表示されている。図3の場合は、データ数が100であるので、各重量ランクの比率(%)と個数とが同じ数値になっている。ここで、帯グラフ55に代えて、他のグラフ、例えば円グラフを用いてもよいし、グラフを用いなくてもよい。
【0049】
タッチキー58〜62の各々をタッチすると、テンキーの表示された小ウインドウが開き、そのテンキーをタッチして各タッチキー58〜62に表示される数値を入力(設定・変更)することができる。また、「運転」のタッチキー65は運転のON(開始)/OFF(停止)スイッチである。「復帰」のタッチキー66にタッチすると本画面を呼び出した画面に戻る。なお、「基準個数」のタッチキー63については後述する。
【0050】
ここで、重量ランク境界値設定画面51が電源投入後に最初に呼び出されたときには、選別比率表示エリア54には例えば何も表示されていない。また、タッチキー58〜62にも何の値も表示されていない。そして、データ数設定用タッチキー58をタッチし上記テンキーを用いてデータ数(n)の値を入力するとともに、第1境界値設定用タッチキー59、第2境界値設定用タッチキー60、第3境界値設定用タッチキー61、第4境界値設定用タッチキー62の各々をタッチし上記テンキーを用いて境界値を入力する。そして、「運転」のタッチキー65をタッチして重量選別機の運転を開始し、複数個(例えば20個以上)の被計量物の計量を行わせ、「運転」のタッチキー65を再度タッチして運転を停止させる。ここで計量された被計量物の重量値は記憶部16bに記憶される。
【0051】
次に、「予想値」選択タッチキー53をタッチすると、制御装置16は、上記計量された被計量物の重量値の標準偏差と平均値とを算出し、さらに、算出した標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う模擬重量値を所定個数(例えば100個)生成し、各重量ランクに該当する模擬重量値の比率及び個数を求めて、操作表示器15のスクリーンに表示させる。これにより、図3に示されるように、各重量ランクの比率及び個数とともに帯グラフ55が選別比率表示エリア54に表示される。
【0052】
なお、「実測値」選択タッチキー52と「予想値」選択タッチキー53とは、選別比率表示エリア54に表示するランク分け重量データが実測値によるものか、予想値(模擬重量値)によるものかの切り替えを行うためのタッチキーである。ここでは「予想値」が選択され、生成する模擬重量値に基づいて各重量ランクの比率が算出され、その比率に応じて選別比率表示エリア54に帯グラフ55が表示される。「実測値」を選択した場合は、計量した被計量物の重量値に基づいて各重量ランクの比率が算出され、その比率に応じて選別比率表示エリア54に帯グラフ55が表示される。この場合には、最新に計量したデータ数(タッチキー58に表示された数値)分の被計量物の重量値に基づいて各重量ランクの比率を算出するように構成されている。
【0053】
次に、模擬重量値生成のメカニズムについて説明する。農水産物の重量分布は正規分布していることが、一般的に知られている。正規分布は、次の(数1)の式で表される確率密度関数を持つ。
【0054】
【数1】

【0055】
ここで、μは平均、σ2 は分散である。この正規分布をN(μ,σ2 )と表す。n個の被計量物を計量し、それぞれの重量値がx1、x2、・・・・xnとすると、その平均値は、次の(数2)の式で表される。
【0056】
【数2】

【0057】
この時、次の(数3)の式で表されるσ2を分散(正確には標本分散)という。母集団が十分に大きく標本数が有限の場合、分散σ2 の推定値として(数4)の式で表されるσ’2を不偏分散といい、不偏分散の期待値は母集団の分散に等しい。
【0058】
【数3】

【0059】
【数4】

【0060】
この分散または不偏分散の正の平方根が標準偏差である。したがって、被計量物をn個計量して、被計量物の重量の平均値と標準偏差が判れば、確率密度関数によって、被計量物の重量分布データを得ることができる。
【0061】
CPUによるプログラム制御では、一様乱数生成関数(例えばRnd関数)を用いて、標準偏差と平均値とを変数とする模擬重量値生成関数を作成することができる。
【0062】
模擬重量値生成関数の一例は、次の(数5)の2つの式によって示される。
【0063】
【数5】

【0064】
、rは、0以上、1未満の範囲の2つの独立な一様乱数であり、例えばRnd関数を用いて生成すればよい。Rnd関数は0以上、1未満の範囲の一様乱数を得る関数である。なお、lnは自然対数である。
【0065】
すなわち、本実施形態では、複数個の被計量物を順次計量して得られた被計量物の重量からその平均値と標準偏差とを算出し、その平均値と標準偏差とを(数5)の2つの式に代入することで、正規分布する模擬重量値を生成する。ここで、2つの乱数に対して2つの式の各式から1つずつ模擬重量値が得られるので、1つずつ模擬重量値を生成する場合には、例えば、2つの式を交互に用いて生成すればよい。
【0066】
次に、生成する模擬重量値を記憶部16bに格納する処理の一例について説明する。
【0067】
図4は、生成した模擬重量値を、アドレス順に応じてその値が小さい順番に並ぶようにして記憶部16bの所定領域に格納した模擬重量値の一例を示す概念図である。また、図5は、生成する模擬重量値を、アドレス順に応じてその値が小さいものから順番に並ぶように記憶部16bの所定領域に格納する処理を示すフローチャートである。この処理は、制御装置16の演算制御部16aによって実行される。
【0068】
ここでは、記憶部16bの所定領域を模擬重量値の記憶領域161とし、模擬重量値の記憶領域161のアドレス(番地)を、1番地、2番地、・・・とする。また、図4に示すように、各重量ランクの重量範囲を定める4つの境界値を、第1〜第4境界値とする。
【0069】
まず、ステップS1では、計量された複数個の被計量物の重量に基づいて標準偏差と平均値を算出する。そして、模擬重量値の記憶領域161をクリアし(ステップS2)、模擬重量値の記憶領域161に初期データを設定する(ステップS3)。ここでは、初期データとして例えば設定可能な最大値を、模擬重量値の記憶領域161の全てのアドレスに格納する。
【0070】
次に、格納するデータ数(模擬重量値の生成個数)nをセットし(ステップS4)、格納済データ数を示す変数aに0をセットする(ステップS5)。データ数nの値は、図3のデータ数設定用タッチキー58に表示されているデータ数の値である。
【0071】
ステップS6では、アドレスを示す変数kに1を代入し、ステップS7ではステップS1で算出した標準偏差と平均値とを用いて模擬重量値Wsを1つ生成する。この生成方法については先に述べた。
【0072】
次にステップS8では、模擬重量値の記憶領域161のk番地のデータD(k)を読み出し、模擬重量値WsがデータD(k)の値以下であるか否かを判定し(ステップS9)、模擬重量値WsがデータD(k)の値以下であれば、ステップS11へ進み、模擬重量値の記憶領域161のk番地のデータD(k)以降のデータを1番地ずつあとの番地になるようにシフトして(ステップS11)、模擬重量値Wsをk番地に格納する(ステップS12)。なお、ステップS11において、模擬重量値の記憶領域161のシフトする前の最後の番地のデータは消去される。ステップS9で、模擬重量値WsがデータD(k)の値より大きければステップS10に進み、kの値を1つ増やしてステップS8に戻る。
【0073】
ステップS13では、格納済データ数aの値を1つ増やし、ステップS14で格納済データ数aがnであるか否かを判定し、格納済データ数aがnになるまで、ステップS6からの処理を繰り返し、格納済データ数aがnになれば終了する。
【0074】
以上の処理によって図4のように、n個の模擬重量値がその値の小さい順に格納される。
【0075】
図6は、図4のように値が小さい順に記憶された模擬重量値の各々がどの重量ランクに該当するかを判定し、各重量ランクの個数を算出する処理を示すフローチャートである。この処理は、制御装置16の演算制御部16aによって実行される。
【0076】
まず、ステップS51では、各重量ランクの個数rank(1)、rank(2)、rank(3)、rank(4)、rank(5)のデータを0に初期化する。なお、rank(1)、rank(2)、rank(3)、rank(4)、rank(5)は、その順番に、規格外軽量品、S規格品、M規格品、L規格品、規格外重量品に選別される模擬重量値の個数である。
【0077】
次に、模擬重量値の記憶領域161からデータを読み出すためのアドレスを示す変数kを1にセットし(ステップS52)、読み出すデータ数nをセットする(ステップS53)。データ数nの値は、図3のデータ数設定用タッチキー58に表示されているデータ数の値である。
【0078】
次に、ステップS54で、模擬重量値の記憶領域161のk番地のデータD(k)を読み出す。
【0079】
そしてステップS55では、k番地のデータD(k)の値が第1境界値より小さいか否かを判定し、小さければ、rank(1)の値を1つ増やし(ステップS56)、kの値を1つ増やす(ステップS57)。次に、ステップS58では、kの値がn+1に等しいか否かを判定し、kの値がn+1に等しくなければ(言い換えれば、kの値がデータ数nを超えていなければ)、ステップS59で、k番地のデータD(k)を読み出して、ステップS55に戻る。以上の処理によって、第1境界値よりも小さい重量ランクの個数rank(1)を算出することができる。
【0080】
以下同様のステップS60〜S64により第1境界値以上であって第2境界値よりも小さい重量ランクの個数rank(2)を算出し、ステップS65〜S69により第2境界値以上であって第3境界値よりも小さい重量ランクの個数rank(3)を算出し、ステップS70〜S74により第3境界値以上であって第4境界値以下である重量ランクの個数rank(4)を算出する。そして、ステップS75により第4境界値よりも大きい重量ランクの個数rank(5)を残ったものの個数として算出する。
【0081】
上記の処理によって各重量ランクの個数を算出した後、算出した各重量ランクの個数をデータ数nで割って100倍することにより各重量ランクの比率(%)を算出する。
【0082】
制御装置16は、以上のようにして、各重量ランクの比率及び個数を算出し、その情報を操作表示器15へ送出する。これを受け、操作表示器15では、図3の重量ランク境界値設定画面51の選別比率表示エリア54に、各重量ランクの比率及び個数とともに帯グラフ55を表示する。
【0083】
また、図3のように、選別比率表示エリア54内に各重量ランクの比率及び個数とともに帯グラフ55が表示された状態において、第1境界値設定用タッチキー59、第2境界値設定用タッチキー60、第3境界値設定用タッチキー61、第4境界値設定用タッチキー62の各々をタッチして表示されている境界値の値を変更すれば、各重量ランクの重量範囲を変更することができ、それに応じて各重量ランクの比率及び個数が再計算され、その値が選別比率表示エリア54に表示され、帯グラフ55も変更して表示される。
【0084】
以上に述べたように、重量選別の本稼働の前段階において、複数の被計量物の重量を計量し、その重量分布と同様の重量分布を持つ模擬重量値を生成し、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を各重量ランクに該当する模擬重量値の個数の比率として予測し、その予測した比率を表示することが可能になる。これにより、使用者は、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を予め知ることができ、被計量物の総数がわかっていれば各重量ランクに選別される被計量物の個数も容易に算出でき、例えば特定の重量ランクに選別される被計量物を所望個数確保するために重量ランクの境界値を適正な値に設定することが容易になる。
【0085】
次に、本実施形態において、各重量ランクの比率を所望の比率に設定する場合の一例について説明する。
【0086】
例えば、図3の重量ランク境界値設定画面51において、「重量ランク比率設定」のタッチキー64にタッチすると、例えば図7に示す重量ランク比率設定画面が呼び出される。
【0087】
図7は、操作表示器15のスクリーンに表示される重量ランク比率設定画面71の一例を示す図である。この重量ランク比率設定画面71に表示された重量ランク1〜5は、前述の規格外軽量品、S規格品、M規格品、L規格品、規格外重量品の各重量ランクに相当する。
【0088】
この重量ランク比率設定画面71では、各重量ランク1〜5の比率がタッチキー72〜76に表示され、その下に比率に応じた帯グラフ84が表示され、さらにその下に各々の比率に応じて各重量ランクの重量範囲を定める第1〜第4境界値が各表示エリア78〜81に表示されている。タッチキー72〜76の各々をタッチすると、テンキーの表示された小ウインドウが開き、そのテンキーをタッチして各タッチキー72〜76に表示される値(各重量ランクの比率)を変更することができる。そして、制御装置16は、この変更された各重量ランクの比率に応じた新しい境界値を算出し、その新しい境界値が第1〜第4境界値表示エリア78〜81に表示される。また、変更された各重量ランクの比率に応じて帯グラフ84も変更される。そして、「決定」のタッチキー77にタッチすると、そのときに第1〜第4境界値表示エリア78〜81に表示されている境界値が新しい境界値に設定され、このときにタッチキー72〜76に表示されている各重量ランクの比率も記憶部16bに記憶される。なお、「復帰」のタッチキー83にタッチすると本画面を呼び出した画面に戻る。また、帯グラフ84に代えて、他のグラフ、例えば円グラフを用いてもよいし、グラフを用いなくてもよい。
【0089】
この構成によれば、本稼働の前段階において、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を所望の比率にするための新しい境界値を表示させ、その境界値に設定を変更することが容易になる。
【0090】
なお、上記の変更された各重量ランクの比率に応じた新しい境界値(第1〜第4境界値)の算出は、次のようにして行う。
【0091】
例えば、タッチキー72〜76に設定表示された重量ランク1〜5の各比率をP1×100(%)、P2×100(%)、P3×100(%)、P4×100(%)、P5×100(%)とする。
【0092】
そして、第m境界値(m=1〜4)を算出する際、まず、重量ランク1〜mまでの比率の和Smを算出する。ここで、S1=P1、S2=P1+P2、S3=P1+P2+P3、S4=P1+P2+P3+P4である。
【0093】
次に、模擬重量値は、例えば図4に示すように、その記憶領域161に、アドレス順に応じて値が小さいものから順番に記憶されているので、重量ランクmに該当する模擬重量値が記憶されている最後の番地Amを、Am=n×Smとして求める。ここで、nは、図3のタッチキー58に設定表示されているデータ数の値(模擬重量値の生成個数)である。重量ランク(m+1)に該当する模擬重量値が記憶されている最初の番地は、Am+1になる。
【0094】
次に、番地Amに記憶されている模擬重量値と番地(Am+1)に記憶されている模擬重量値との中間の値を求め、その中間の値を第m境界値とする。ここで、中間の値は、例えば、番地Amに記憶されている模擬重量値と番地(Am+1)に記憶されている模擬重量値との和を2で割って求めればよい。以上のようにして、全ての第m境界値(m=1〜4)を算出する。
【0095】
(重量選別の本稼働の段階)
以上では、重量選別の本稼働の前段階について述べたが、次に本稼働の段階での操作及び運転等について説明する。
【0096】
まず、図3の重量ランク境界値設定画面51において、基準個数のタッチキー63をタッチすると、テンキーの表示された小ウインドウが開き、そのテンキーをタッチしてタッチキー63に表示される数値を入力することができる。本実施形態では、このタッチキー63に表示される数値を入力することにより基準個数を設定して、本稼働(自動運転)を行う。また、タッチキー58に表示されるデータ数(模擬重量値の生成個数)も本稼働の前に設定されている。このデータ数は、本稼働の前段階で設定した値を変更して新しい値を設定してもよい。
【0097】
重量選別の本稼働中においては、前述したように、順次搬送されてくる被計量物Wが、供給コンベヤ1、計量コンベヤ2及び振分コンベヤ3上を移送される。そして、制御装置16は、計量コンベヤ2上を移送されるときに重量センサ4によって計量された被計量物Wの重量が、所定数の重量ランクのうちのどのランクに属するかを判定し、その判定結果に基づいて振分アーム6〜9の駆動を制御する。
【0098】
この本稼働中において、制御装置16は、順次計量される被計量物Wの重量を記憶し、所定個数(基準個数)ごとに計量した所定個数(基準個数)の被計量物の重量の標準偏差及び平均値を算出する。そして、この標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う模擬重量値を所定個数(図3のタッチキー58に設定表示されているデータ数の値)生成し、各重量ランクに該当する模擬重量値の比率及び個数を求めて、重量ランク境界値設定画面51の選別比率表示領域54に各重量ランクの比率及び個数と帯グラフ55とを表示させる。ここで、模擬重量値の生成及び格納方法と、各重量ランクに該当する模擬重量値の比率及び個数の算出方法については、本稼働の前段階の場合と同様である。この構成によれば、本稼働中において、被計量物の重量分布が変わった場合でも、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率をより正確に予測し、その予測した比率を表示することが可能になる。
【0099】
さらに、各重量ランクに対して所望の比率が設定されている場合、図7の重量ランク比率設定画面71において、「決定」のタッチキー77にタッチしたときにタッチキー72〜76に表示されている各重量ランクの比率(所望の比率)が記憶部16bに記憶されている。この場合、本稼働中において、制御装置16は、前述のように、所定個数(基準個数)ごとに求める、各重量ランクに該当する模擬重量値の比率が、重量ランク比率設定画面71において設定した所望の比率と一致するか否かを判定し、一致しない場合(異なる場合)には、所望の比率と一致するための各重量ランクの境界値を算出し、この算出した境界値に設定を変更する。ここで、所望の比率と一致するための各重量ランクの境界値の算出方法については、本稼働の前段階の場合に述べた新しい境界値の算出方法と同様である。
【0100】
この構成により、本稼働中に、例えば被計量物の生産地等が変わることにより被計量物の重量分布が変わった場合でも、各重量ランクに選別される被計量物の個数の比率を所望の比率にすることが可能になる。これにより、被計量物の総数がわかっていれば、所望の比率を設定しておくことにより各重量ランクに選別される被計量物の個数を所望の個数にすることができ、例えば特定の重量ランクに選別される被計量物を所望個数確保することが容易になる。
【0101】
本実施形態において、模擬重量値の生成個数(タッチキー58に表示されるデータ数)は、模擬重量値を生成するための平均値と標準偏差との算出対象となる計量個数(本稼働の前段階において計量する個数、本稼働の段階における基準個数)より多い個数である。
【0102】
また、本稼働中において、模擬重量値を生成するための平均値と標準偏差とを算出する間隔を設定するための計量個数(第1の所定個数)と、上記平均値と標準偏差との算出対象となる計量個数(第2の所定個数)とを、上記基準個数として同数に設定するように構成したが、必ずしも同数でなくてもよく、異なる個数に別々に設定できるように構成してもよい。
【0103】
また、本稼働中において、算出する最新の標準偏差及び平均値が、その直前に算出した標準偏差及び平均値と同じ場合には、各重量ランクに該当する模擬重量値の比率及び個数も直前のものと同等と考えられるので、制御装置16は、算出する標準偏差及び平均値を順次記憶し、最新の標準偏差及び平均値と、その直前に算出された標準偏差及び平均値とが異なる場合にのみ、最新の標準偏差及び平均値を持つ正規分布に従う模擬重量値を生成し、それ以降の処理を行うように構成してもよい。
【0104】
なお、上記実施形態では、重量ランクのランク数が5の場合について説明したが、重量ランクのランク数は2以上であれば同様にして構成することができる。
【0105】
また、図1(a)、(b)に示した重量選別機は、一例であり、被計量物の種類によって、コンベヤ1〜3及び振分アーム6〜9等のハード部分の構成は適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明にかかる重量選別機は、複数の重量ランクのうち所定の重量ランクに選別される被計量物を所望個数確保することが可能になる重量選別機等として有用である。
【符号の説明】
【0107】
1 供給コンベヤ
2 計量コンベヤ
3 振分コンベヤ
4 重量センサ
6〜9 振分アーム
15 操作表示器
16 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物の重量を計量し、それぞれ設定される境界値によって区分される重量範囲ごとに定めた複数の重量ランクのうち被計量物の重量が該当する重量ランクに被計量物を選別する重量選別機であって、
重量選別の本稼働の前段階において複数の被計量物の各々の重量が順次計量されたときに前記複数の被計量物の重量の標準偏差と平均値とを算出する第1の重量分布情報算出手段と、
前記第1の重量分布情報算出手段により算出される前記標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う複数の第1の模擬重量値を生成する第1の模擬重量値生成手段と、
各々の前記第1の模擬重量値の該当する重量ランクを判定し、前記第1の模擬重量値の全個数に対する各重量ランクに該当する前記第1の模擬重量値の個数の比率を算出する第1の比率算出手段と、
前記第1の比率算出手段により算出される前記各重量ランクに該当する前記第1の模擬重量値の個数の比率を表示する第1の比率表示手段とを備えた重量選別機。
【請求項2】
各重量ランクに対する所望の比率を入力する比率入力手段と、
前記各重量ランクに該当する前記第1の模擬重量値の個数の比率を前記比率入力手段により入力される前記所望の比率にすることができる前記各重量ランクの重量範囲を定める境界値を算出する第1の境界値算出手段と、
前記第1の境界値算出手段により算出される境界値を表示する境界値表示手段とをさらに備えた、請求項1に記載の重量選別機。
【請求項3】
先に設定されている境界値に代えて前記境界値表示手段により表示される境界値に設定を変更する境界値変更手段をさらに備えた、請求項2に記載の重量選別機。
【請求項4】
各重量ランクの重量範囲を定める境界値を入力する境界値入力手段と、
先に設定されている境界値に代えて前記境界値入力手段により入力される前記境界値に設定を変更する境界値変更手段とをさらに備え、
前記第1の比率算出手段は、前記境界値変更手段により変更された境界値によって定められる重量範囲に基づいて前記複数の第1の模擬重量値の該当する重量ランクを再度判定し、前記各重量ランクに該当する前記第1の模擬重量値の個数の比率を再度算出するように構成され、
前記第1の比率表示手段は、前記第1の比率算出手段により再度算出された前記各重量ランクに該当する前記第1の模擬重量値の個数の比率を表示するように構成された、請求項1または2に記載の重量選別機。
【請求項5】
重量選別の本稼働の段階において被計量物が第1の所定個数計量されるたびに直近に計量された第2の所定個数の被計量物の重量の標準偏差と平均値とを算出する第2の重量分布情報算出手段と、
前記第2の重量分布情報算出手段により算出される前記標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う複数の第2の模擬重量値を生成する第2の模擬重量値生成手段と、
各々の前記第2の模擬重量値の該当する重量ランクを判定し、前記第2の模擬重量値の全個数に対する各重量ランクに該当する前記第2の模擬重量値の個数の比率を算出する第2の比率算出手段と、
前記第2の比率算出手段により算出される前記各重量ランクに該当する前記第2の模擬重量値の個数の比率を表示する第2の比率表示手段とをさらに備えた、請求項1に記載の重量選別機。
【請求項6】
各重量ランクに対する所望の比率を入力する比率入力手段と、
重量選別の本稼働の段階において被計量物が第1の所定個数計量されるたびに直近に計量された第2の所定個数の被計量物の重量の標準偏差と平均値とを算出する第2の重量分布情報算出手段と、
前記第2の重量分布情報算出手段により算出される前記標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う複数の第2の模擬重量値を生成する第2の模擬重量値生成手段と、
各々の前記第2の模擬重量値の該当する重量ランクを判定し、前記第2の模擬重量値の全個数に対する各重量ランクに該当する前記第2の模擬重量値の個数の比率を算出する第2の比率算出手段と、
前記各重量ランクに該当する前記第2の模擬重量値の個数の比率を前記比率入力手段により予め入力された前記所望の比率にすることができる前記各重量ランクの重量範囲を定める境界値を算出する第2の境界値算出手段と、
先に設定されている境界値に代えて前記第2の境界値算出手段により算出される境界値に設定を変更する境界値変更手段とをさらに備えた、請求項1に記載の重量選別機。
【請求項7】
前記第2の模擬重量値生成手段は、前記第2の重量分布情報算出手段により算出される最新の標準偏差と平均値と、その直前に算出された標準偏差と平均値とが異なる場合にのみ、前記最新の標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う複数の第2の模擬重量値を生成するように構成された、請求項5または6に記載の重量選別機。
【請求項8】
被計量物の重量を計量し、それぞれ設定される境界値によって区分される重量範囲ごとに定めた複数の重量ランクのうち被計量物の重量が該当する重量ランクに被計量物を選別する重量選別機であって、
各重量ランクに対する所望の比率を入力する比率入力手段と、
被計量物が第1の所定個数計量されるたびに直近に計量された第2の所定個数の被計量物の重量の標準偏差と平均値とを算出する重量分布情報算出手段と、
前記重量分布情報算出手段により算出される前記標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う複数の模擬重量値を生成する模擬重量値生成手段と、
各々の前記模擬重量値の該当する重量ランクを判定し、前記模擬重量値の全個数に対する各重量ランクに該当する前記模擬重量値の個数の比率を算出する比率算出手段と、
前記各重量ランクに該当する前記模擬重量値の個数の比率を前記比率入力手段により予め入力された前記所望の比率にすることができる前記各重量ランクの重量範囲を定める境界値を算出する境界値算出手段と、
先に設定されている境界値に代えて前記境界値算出手段により算出される境界値に設定を変更する境界値変更手段とを備えた重量選別機。
【請求項9】
前記模擬重量値生成手段は、前記重量分布情報算出手段により算出される最新の標準偏差と平均値と、その直前に算出された標準偏差と平均値とが異なる場合にのみ、前記最新の標準偏差と平均値とを持つ正規分布に従う複数の模擬重量値を生成するように構成された、請求項8に記載の重量選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−247101(P2010−247101A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100591(P2009−100591)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】