説明

重金属の分離回収方法及び鉛の分離回収方法

【課題】加熱せずに、または特殊な耐火材を用いる必要のない低い温度の加熱で重金属及び鉛の分離回収を行う。
【解決手段】廃棄用鉛ガラスとアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩酸塩との混合物にメカノケミカル処理を施して、廃棄用鉛ガラス中の鉛と塩酸塩とにより塩化鉛を生成する。メカノケミカル処理された混合物を溶融して塩化鉛を揮発して回収することにより、鉛ガラスから鉛を分離回収する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機材料から重金属を分離回収する方法であり、特に鉛ガラスから鉛を分離回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
重金属は有害物が多いため、重金属を含有する無機材料をそのまま廃棄すると環境が汚染されてしまうという問題がある。そこで、従来より無機材料から重金属を分離回収する種々の研究が行われている。例えば、美術工芸品やブラウン管に用いられる鉛ガラスは地中に埋めて廃棄すると地中に鉛が溶出し、鉛ガラスを焼却すると鉛が大気中に飛散するという問題がある。また、最近では、鉛の土壌への溶出等に関して厳しい環境基準が設定されるようになってきている。そこで、鉛ガラス中に固溶状態で含まれているPbOを、コークス、木炭等の炭素で還元してPbにし、さらに鉛ガラスにNaOを添加してガラス成分のSiOとNaOとの重量比を調整してガラスの融点を下げ、ガラスの流動性を上げる方法が提案された(例えば、特許文献1)。このようにすれば、流動性の高いガラスから鉛を分離して回収することができる。
【0003】
また、鉛ガラス以外の廃棄物では、鉛等の重金属を含有する廃棄物の焼却灰と塩酸塩との混合物を加熱して塩化物を生成して飛灰中に濃縮し、この飛灰から酸抽出等により重金属(鉛)を抽出する方法が知られている(例えば、特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−96264号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平7−214029号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示された方法では、鉛を揮発させるために、高温(特許文献1では、1200℃で1時間加熱している)で鉛ガラスを加熱する必要があり、特殊な耐火材を備えた溶融炉が必要であった。また、入手が難しく高価なコークス、木炭を用いなければならず、鉛の分離回収に掛かるコストが高くなるという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に示された方法では、塩化鉛を生成させるために、高温(特許文献2では、1300℃で3時間加熱している)で焼却灰と塩酸塩との混合物を加熱する必要がある。この技術を鉛ガラスに応用して鉛ガラス中の鉛を塩化するには、更に高温での加熱(1500℃以上)が必要になる。これは、鉛ガラス中の鉛は、非晶質のSiO構造の中に固溶しているため、鉛ガラス中の鉛を塩素化するには、大きなエネルギーが必要なためであると考えられる。このような温度は、PbOを鉛ガラスから直接揮発させる温度(1470℃)より高い温度である。したがって、このような技術を鉛ガラスから鉛を分離回収する方法に応用することはあり得なかった。
【0008】
本発明の目的は、加熱せずに、または特殊な耐火材を用いる必要のない低い温度の加熱で重金属及び鉛の分離回収が行える重金属の分離回収方法及び鉛の分離回収方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、容易且つ安価に分離回収が行える重金属の分離回収方法及び鉛の分離回収方法を提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、反応装置を侵食させることなく、所要の反応を行って分離回収が行える重金属の分離回収方法及び鉛の分離回収方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、重金属を含有する無機材料から重金属を分離回収する重金属の分離回収方法を改良の対象とする。本発明の方法では、まず、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩酸塩と重金属を含有する無機材料との混合物に対してメカノケミカル処理を施して重金属の塩化物を作る。そして、メカノケミカル処理後に重金属の塩化物を揮発させることにより、無機材料から重金属を分離回収する。例えば、重金属を含有する無機材料が鉛ガラスの場合、鉛ガラスとアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩酸塩との混合物にメカノケミカル処理を施すことにより、鉛ガラス中の鉛と塩酸塩とを反応させて塩化鉛(重金属の塩化物)を生成し、メカノケミカル処理を施した混合物を加熱溶融して塩化鉛を揮発させることにより鉛ガラスから鉛を分離回収する。ここで、メカノケミカル処理とは、反応物を粉砕等の機械的なエネルギーを加えることにより、反応物の化学反応性を高めて化学反応を促進する処理である。メカノケミカル処理の具体的な例としては、多数の球体により混合物を粉砕するボールミルがある。ボールミルを採用すれば、短時間で効率よくメカノケミカル処理を行える。ボールミルの具体的な例としては、回転力を利用して球体で反応物を粉砕する転動ボールミル、遊星運動を利用して球体で反応物を粉砕する遊星ボールミル、振動を利用して球体で反応物を粉砕する振動ボールミルがある。ボールミル以外では、圧縮空気またはスチームを噴出して得られるジェット気流で粉状の反応物を加速して、反応物相互、反応物と機械壁との衝突で反応物を粉砕するジェットミル等がある。なお、ここで言う「メカノケミカル処理を施して重金属の塩化物を作り」とは、メカノケミカル処理の段階で重金属と塩酸塩とを反応させて重金属の塩化物を作る場合と、メカノケミカル処理で重金属と塩酸塩とが化学的に活性化されてメカノケミカル処理を終えた後に両者が反応して重金属の塩化物が作られる場合の両方を含むものである。
【0012】
本発明によれば、塩化鉛:PbClの沸点(950℃)は、鉛:Pbの沸点(1740℃)及び酸化鉛:PbOの沸点(1470℃)より低いため、このように塩化鉛を生成して塩化鉛をガラスから分離して回収すれば、溶融炉に高価な耐熱材料を用いることなく、安価な燃料費で鉛(重金属)をガラス(無機材料)から分離回収することができる。更に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩酸塩は、コークス、木炭に比べて容易且つ安価で入手できるため、鉛の分離回収に掛かる全体的なコストを下げることができる。
【0013】
特に本発明では、メカノケミカル処理により、鉛と塩酸塩とを反応させるので、高熱を用いることなく両者を反応させることが可能になった。また、酸等の液体も用いる必要がないので、反応装置(メカノケミカル処理装置)が侵食する問題も生じない。
【0014】
揮発した塩化鉛は、この塩化鉛を含む気体をフィルタに通して捕集すれば、塩化鉛を効率よく回収することができる。
【0015】
塩酸塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムから選択した1種以上の塩酸塩を用いることができる。
【0016】
この場合、鉛ガラス中の珪素に対する塩酸塩のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の重量比で表される塩基度{M×(XCa+1.67XMg+3.48XNa+1.03X)/NSi}(ここで、M:塩酸塩の重量、XCa:塩酸塩中のカルシウムの重量比、XMg:塩酸塩中のマグネシウムの重量比、X:塩酸塩中のカリウムの重量比、NSi:鉛ガラス中の珪素の重量)を0.1乃至5の値となる塩酸塩を用いれば鉛ガラスが溶融しやすくなる。塩基度が0.1を下回ると鉛ガラスを十分に溶融することができない。塩基度が5を上回ると塩酸塩が過剰に残存するという問題がある。
【0017】
塩酸塩としては、特に塩化カルシウムを用いるのが好ましい。カルシウムのイオン直径は鉛のイオン直径に近似しており、塩化カルシウムよりも塩化鉛の方が化学的に安定しているため、塩化カルシウムを用いれば、塩化鉛を生成しやすくなる。このように塩化カルシウムを用いる場合は、鉛ガラス中の珪素に対する塩化カルシウムの重量比で表される塩基度(Ca/Si)を0.1乃至5となる塩化カルシウムを用いれば、鉛ガラスが溶融しやすくなる。塩基度が0.1を下回ると鉛ガラスを十分に溶融することができない。塩基度が5を上回ると塩化カルシウムが過剰に残存するという問題がある。
【0018】
重金属を含有する無機材料から重金属を分離回収する他の方法では、重金属と、重金属と反応して無機材料から容易に酸抽出ができる被酸抽出重金属化合物を生成できるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩からなる酸抽出促進剤との混合物にメカノケミカル処理を施して、重金属と酸抽出促進剤とから被酸抽出重金属化合物を生成する。そして、被酸抽出鉛化合物を酸抽出することにより、無機材料から重金属を分離回収する。例えば、重金属を含有する無機材料が鉛ガラスの場合、鉛ガラスと、鉛ガラス中の鉛と反応して鉛ガラスから容易に酸抽出ができる被酸抽出鉛化合物(被酸抽出重金属化合物)を生成できるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩からなる酸抽出促進剤との混合物にメカノケミカル処理を施して、鉛と酸抽出促進剤とから被酸抽出鉛化合物を生成し、被酸抽出鉛化合物を酸抽出して回収することにより、鉛ガラスから鉛を分離回収する。このように回収すれば、加熱手段を用いることなく、鉛を容易に分離回収できる。
【0019】
酸抽出促進剤として、塩酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸塩及び亜硝酸塩から選択した少なくとも1種以上を用いることができる。
【0020】
鉛ガラス中の鉛に対する酸抽出促進剤に含まれる陽イオン種の化学当量比は、1乃至5とするのが好ましい。化学当量比が1を下回ると酸抽出可能な塩を十分に生成することができない。化学当量比が5を上回ると酸抽出促進剤の量が過剰になる。
【0021】
酸抽出は、塩酸、硫酸、硝酸またはこれらの混酸を用いることができる。
【0022】
また、鉛ガラスを粉砕し、粉砕した鉛ガラスから酸化鉛を酸抽出可能な塩を混合物から酸抽出して、鉛ガラスから鉛を除去することもできる。このような方法では、強い酸を必要とするものの、簡単な手順で鉛を分離回収できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態では、次の方法により鉛ガラスから鉛を分離回収して試験を行った。まず、鉛からなる重金属を26重量%含有する鉛ガラスからなる無機材料100gと塩化カルシウム(アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩酸塩)の粉末110gとを混合して混合物を作った。この塩化カルシウム粉末の量は、鉛ガラス中の珪素に対する塩化カルシウムのCaの重量比で表される塩基度(Ca/Si)が1.0となる量である。次に、この混合物を遊星ボールミルのメカノケミカル処理により、鉛ガラス中の鉛(Pb)と塩化カルシウム(CaCl)とを化学反応させて塩化鉛(PbCl)を生成した。具体的には、次のようにしてメカノケミカル処理を行った。まず、図1に示すような遊星回転ポットミル1を用意した。遊星回転ポットミル1は、回転可能な円板2と円板2の縁部に配置されて円板に対して回転する円筒形の容器3とを有している。容器3内には、酸化ジルコニウムからなる径寸法15mmの球体4が約50個配置されている。そして、容器3内に混合物5を配置してから、円板2を矢印A方向に300r/mで回転すると共に、容器を矢印B方向に300r/mで4時間回転して混合物5中の鉛ガラスを球体で1.0〜4.4μmの径寸法まで粉砕して、鉛ガラス中の鉛(Pb)または酸化鉛(PbO)と塩化カルシウム(CaCl)とを化学反応させて塩化鉛(PbCl)を生成した。
【0024】
次に、メカノケミカル処理を施した混合物を図2において概念的に示す加熱溶融炉11を用いて混合物からPbClを揮発させた。加熱溶融炉11は、燃焼室12と加熱室13と回転式蓄熱体14と燃焼室12からの排気ガスが流れる燃焼室排気ダクト15と燃焼室12内に燃焼用空気を供給する空気ダクト16と燃焼室12内に火炎を出す燃焼用バーナ17と加熱室13からの排気ガスが流出する加熱室排気ダクト18とを有している。回転式蓄熱体14は、多数の貫通孔が形成された円柱状を呈しており、燃焼室12の壁部に回転可能に取り付けられている。この回転式蓄熱体14は、燃焼室12内の燃焼で発生して燃焼室排気ダクト15を通して外部に排出される排気ガスの熱で空気ダクト16から燃焼室12内に供給される燃焼用空気を予熱する構造を有している。加熱室排気ダクト18には加熱室13内の排気ガスを吸引する図示しない吸引機が接続されており、排気ガスが通過するようにフィルタ19が取り付けられている。本例では、まず、メカノケミカル処理を施した混合物20を加熱室13内に配置した。次に、混合物20を800℃まで加熱溶融してPbClを排気ガスと共に揮発させた。そして、排気ガス中に含まれる揮発したPbClをフィルタ19で捕集してガラスから鉛を分離回収した。
【0025】
図3は、本実施例の方法(実施例1)及びPbClを生成しない(メカノケミカル処理を施さずに単に粉砕した)比較例の方法(比較例1)における60分間加熱した場合の加熱温度と混合物の重量変化との関係を示している。本図より、比較例1では、800℃の温度で約2重量%しか低下していないのに対して、実施例1の方法では、800℃の温度で約40重量%が低下しているのが分かる。実施例1の方法における残さ中の鉛を原子吸光光度計により測定した結果、Pbが約99.7重量%除去されたことを確認した。
【0026】
本発明の第2の実施の形態では、次の方法により鉛ガラスから鉛を除去した。まず、鉛(重金属)を26重量%含有する鉛ガラスからなる無機材料100gを粉砕した。この粉砕は、前述の遊星回転ポットミル1を用いて第1の実施の形態と同様の方法で行った。
【0027】
次に、粉砕した廃棄用鉛ガラスに濃度12mol/Lの塩酸12mLを加えて、撹拌を行いスラリー状混合物を得た。次にこのスラリー状混合物を濾過して、濾液内に鉛を分離回収する酸抽出を行った。酸抽出を行う酸としては、硫酸、硝酸、王水(塩酸と硝酸との混酸)等を用いることができる。また、酸抽出は、加熱して行ってもよいし、酸の揮発を防ぐために加圧下で行ってもよい。
【0028】
図4は、本実施例の方法(実施例2)及び粉砕を行わない比較例の方法(比較例2)の鉛ガラスにおいて、酸抽出を6時間行った場合のpHと鉛の抽出率との関係を示している。本図より、pH1において、比較例2の方法では、12%の鉛しか抽出できないのに対して、実施例2の方法では、16%の鉛を抽出できるのが分かる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、溶融炉に高価な耐熱材料を用いることなく、安価な燃料費で鉛を鉛ガラスから除去することができる。更に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩酸塩は、コークス、木炭に比べて容易且つ安価で入手できるため、鉛の分離回収に掛かる全体的なコストを下げることができる。特に本発明では、メカノケミカル処理により、鉛と塩酸塩とを反応させるので、高熱を用いることなく両者を反応させることが可能になった。また、酸等の液体も用いる必要がないので、反応装置(メカノケミカル処理装置)が侵食する問題も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の方法に用いる遊星回転ポットミルの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の方法に用いる管状炉の概念図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の方法における加熱温度とメカノケミカル処理を施した混合物の重量変化との関係を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の方法例及び比較例の方法の鉛ガラスのpHと鉛の抽出量との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 遊星回転ポットミル
2 円板
3 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重金属を含有する無機材料から前記重金属を分離回収する重金属の分離回収方法であって、
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩酸塩と前記重金属を含有する無機材料との混合物に対してメカノケミカル処理を施して前記重金属の塩化物を作り、
前記メカノケミカル処理後に前記重金属の塩化物を揮発させることにより、前記無機材料から前記重金属を分離回収することを特徴とする重金属の分離回収方法。
【請求項2】
鉛ガラスとアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩酸塩との混合物にメカノケミカル処理を施すことにより、前記鉛ガラス中の鉛と前記塩酸塩とを反応させて塩化鉛を生成し、
前記メカノケミカル処理を施した混合物を加熱溶融して前記塩化鉛を揮発させることにより前記鉛ガラスから前記鉛を分離回収することを特徴とする鉛の分離回収方法。
【請求項3】
揮発した前記塩化鉛を含む気体をフィルタに通して前記塩化鉛を前記フィルタで捕集することを特徴とする請求項2に記載の鉛の分離回収方法。
【請求項4】
前記塩酸塩として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムから選択した1種以上の塩酸塩を用いる請求項2に記載の鉛の分離回収方法。
【請求項5】
前記鉛ガラス中の珪素に対する前記塩酸塩のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の重量比で表される塩基度{M×(XCa+1.67XMg+3.48XNa+1.03X)/NSi}(ここで、M:塩酸塩の重量、XCa:塩酸塩中のカルシウムの重量比、X:塩酸塩中のマグネシウムの重量比、XNa:塩酸塩中のナトリウムの重量比、X:塩酸塩中のカリウムの重量比、NSi:鉛ガラス中の珪素の重量)が0.1乃至5の値となる前記塩酸塩を用いる請求項4に記載の鉛の分離回収方法。
【請求項6】
前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩酸塩として塩化カルシウムを用い、
前記鉛ガラス中の珪素に対する前記塩化カルシウムの重量比で表される塩基度(Ca/Si)が0.1乃至5の値となる前記塩化カルシウムを用いる請求項4に記載の鉛の分離回収方法。
【請求項7】
重金属を含有する無機材料から前記重金属を分離回収する重金属の分離回収方法であって、
前記重金属と、前記重金属と反応して前記無機材料から容易に酸抽出ができる被酸抽出重金属化合物を生成できるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩からなる酸抽出促進剤との混合物にメカノケミカル処理を施して、前記重金属と前記酸抽出促進剤とから前記被酸抽出重金属化合物を生成し、
前記被酸抽出重金属化合物を酸抽出することにより、前記無機材料から前記重金属を分離回収する重金属の分離回収方法。
【請求項8】
鉛ガラスと、前記鉛ガラス中の鉛と反応して前記鉛ガラスから容易に酸抽出ができる被酸抽出鉛化合物を生成できるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩からなる酸抽出促進剤との混合物にメカノケミカル処理を施して、前記鉛と前記酸抽出促進剤とから前記被酸抽出鉛化合物を生成し、
前記被酸抽出鉛化合物を酸抽出することにより、前記鉛ガラスから前記鉛を分離回収する鉛の分離回収方法。
【請求項9】
前記酸抽出促進剤として、塩酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸塩及び亜硝酸塩から選択した少なくとも1種以上を用いる請求項8に記載の鉛の分離回収方法。
【請求項10】
前記鉛ガラス中の鉛に対する前記酸抽出促進剤に含まれる陽イオン種の化学当量比を1乃至5とする請求項8に記載の鉛の分離回収方法。
【請求項11】
前記酸抽出は、塩酸、硫酸、硝酸またはこれらの混酸を用いて行う請求項8に記載の鉛の分離回収方法。
【請求項12】
前記メカノケミカル処理は、前記混合物をボールミルにより粉砕して行う請求項2または8に記載の鉛の分離回収方法。
【請求項13】
鉛ガラスを粉砕し、
前記粉砕した鉛ガラスから鉛を酸抽出して回収することにより、前記鉛ガラスから前記鉛を分離して回収する鉛の分離回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2004−162141(P2004−162141A)
【公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−331356(P2002−331356)
【出願日】平成14年11月14日(2002.11.14)
【出願人】(501206873)エネルギー環境設計株式会社 (1)
【Fターム(参考)】