説明

野菜の鮮度保持及び味や食感、栄養価を向上させる方法

【課題】野菜及びカット野菜を薬を使わず殺菌し、ミネラルを吸収させることで日持ちがするようにし、味・風味、栄養価を向上させる。
【解決手段】23種類以上のミネラル分を硫基塩、その複塩としてイオン化し水に溶かし込んだものと紫外線殺菌機を併用して野菜についている大腸菌や一般正菌を殺菌し、そのミネラル分を収穫後の根のない野菜の細胞に吸収させるためミネラルをクエン酸でキレートして吸収し易くして野菜を健康にし、味、風味、栄養価を向上させ日持ちがするようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、生鮮野菜の安全性と栄養価の向上と鮮度の長時間保持を目的とした処理方法である。
【背景技術】
【0002】
野菜や、カット野菜の流通や加工工程において野菜を腐敗させ難くするための一例として、特開平6−46812号公報(特許文献1)に開示されているように、野菜をまず次亜塩素酸塩溶液で処理し、水洗いした後水切りし、これを保存することが一般に行われている。
【特許文献1】特開平6−46812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
農地のミネラル分の減少や農薬過多などにより、栽培される野菜の栄養価は年々低下している現状に加え、殺菌や変色防止などの目的で、流通や加工のおりに使われる化学薬品により、市場に出る野菜は安全性を欠いた味の悪い物になっている。特に薬を使うと、それを扱う人にも食べる人にも良い影響を与えないうえ、各工程で使う機材や設備の寿命を縮め、環境に悪影響を与える。そこで薬品を使わずに自然界に常温で存在する物の抗菌力や殺菌力を使って野菜の殺菌処理をし、更にミネラルを吸収させ野菜を健康にすることで保存性を伸ばし、味や栄養価の向上を図る。ということが今回の課題となった。更には製造コストの面も課題の一つとなり、現在の薬品を使った工程と同じかもしくはそれ以下のコストになるような方法を求めた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
まず殺菌方法について、食品の殺菌は、人が口に入れ病気にならないようにするという配慮以上に、菌数を減らし、腐りにくいようにするというのがその目的となっている。特に、大量生産を計り利潤を求める企業においては、いかに安く殺菌するかということが重要視される。そのため、野菜の味や栄養、人の健康は二の次にされ悪いと分かっていても薬品による殺菌が主流となっている。
【0005】
そこで、図1のようにAl、Fe、Mg、K、P、Ti、Ca、Mn、Na、V、Rb、Si、Zn、W、Co、Li、Cu、Se、Ge、Ni、Mo、Baを主な成分とした蛭石のミネラル分を硫基塩、またはそれらの複塩、錯塩としてイオン状態で水に溶解させたものを100〜200ppm程で飲料可能水に希釈したものに5分ほど浸漬させ殺菌し、また同時に、野菜もしくはカットした野菜を浸漬させたままの状態で水をポンプ等で循環させ、紫外線殺菌機を用いてその水を殺菌することで薬品を使わずに野菜を傷めることなく殺菌する。
【0006】
これにより野菜そのものの風味を損なうことなく、図2のように高い水準での殺菌に成功した。また、希釈で使用する水は水道水でも井戸水でも飲料レベルに達している清水を使用するが、希釈水のpHを4〜5に調整すると殺菌の効率をあげることができる。
【0007】
次に、農地の栄養素不足や、早期収穫などの問題により収穫され市場に並ぶ野菜のミネラルは以前に比べ大きく減退し、野菜そのものが不健康で栄養価も低く美味しくなくなってしまっている。これを解決するために野菜に不足しているミネラル分を図3のように、図1で使ったミネラル水を10分の1に水で希釈し、そのミネラル分を野菜細胞に吸収し易くし、また、細胞が吸収した野菜が呼吸することで空気中の酸素に触れ酸化することを防ぐことを目的として、ミネラル水に対し、天然クエン酸を重量比20%となるように加えミネラル分をキレートさせたものを100〜200ppm程で飲料可能レベルの清水に希釈したものに5分ほど浸漬させてミネラル分を補うことで野菜の味や栄養の向上を図り野菜本来の自己維持力を引き出した。
【0008】
その結果、野菜はしゃっきり感を増し、野菜そのものの風味が増した。また、図2のように以前の工程を使って出荷していた野菜よりも日持ちするようになった。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、野菜は甘みとしゃっきり感を増したものとなり、風味もより自然な野菜の香りを持つようになった。さらに、温度管理や野菜をパッケージに封入する際のガスコントロールを行えば、さらに長時間の日持ちが可能になり、一般家庭の冷蔵庫で1週間ほど新鮮な状態でサラダを保存できるようになった。
【0010】
また、殺菌に薬品を使わなくなったことで、殺菌工程後、野菜に残る薬臭さを水で洗い流す工程が無くなり、業務の軽減がなされた。また、殺菌するために様々な種類の薬品が使われていたが、数多くの殺菌薬はそれぞれ管理が難しく、保管や使用においても様々な注意が必要であったが、薬を使わなくなったため、そのリスクが軽減され、薬品同士を混ぜるような殺菌処理への配慮の軽減や薬品を使うことで消耗していた機材の償却年数の向上にも繋がった。しかも、工場内に常に漂っていた薬臭さが消え、作業をする人間の健康面においてもよい方向へ向かった。更に、工場から排水される殺菌処理に使われた水に関してもミネラル水のもつ天然の自浄作用により非常にクリーンアップされるため、特別な排水設備の必要がなくなった。このようにトータルコストで大きく利潤をもたらした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
殺菌処理工程において、希釈したミネラル水を循環して、紫外線殺菌器で水の殺菌を行うが、代わりにオゾン殺菌などを用いることもできる。
【0012】
今回、工場内での配置効率や作業効率を上げるため紫外線殺菌器とポンプフィルターを図4のような1つのユニットとした。このユニットは、耐久性、場所的汎用性とメンテナンス性を重視して、基本素材を劣化しにくい非塩化ビニル系の素材と錆びにくいSUS、保温性の高いセラミックスを主要素材として構築し、機台そのものが可動する上、内部の配管やポンプ、フィルターを分解、洗浄できるようにした。
【0013】
また、ミネラル分をキレートする酸について化学薬品を使わないという方針とコストの面を考えてクエン酸を選択したが、クエン酸の代わりにそれぞれに違いは出てくるがフィチン酸、リンゴ酸、酢酸、フマル酸、コハク酸を使ってキレートさせることも可能である。
【実施例1】
【0014】
カット野菜としてキャベツの角切りを使用した一実施例について説明する。まず、飲料水レベルの清水を摂氏5度前後の低温水100リットルに天然クエン酸50〜100グラムを溶かし込み、pHを4〜5調整したものに対しAl、Fe、Mg、K、P、Ti、Ca、Mn、Na、V、Rb、Si、Zn、W、Co、Li、Cu、Se、Ge、Ni、Mo、Baを主な成分とした蛭石のミネラル分を硫基塩、またはそれらの複塩、錯塩としてイオン状態で水に溶解させたものが100〜200ppm程になる様に混ぜ合わせる。
【0015】
ここに4センチ角ほどにカットしたキャベツを5分ほど浸漬させる。またそれと同時に、野菜を浸漬させたままの状態で水槽の水をポンプ等で循環させ、紫外線殺菌機を用いてその水を殺菌する。
【0016】
5分の浸漬後、軽く水切りする。次に、摂氏6度前後に調整した100リットルの清水に、前の工程で使ったAl、Fe、Mg、K、P、Ti、Ca、Mn、Na、V、Rb、Si、Zn、W、Co、Li、Cu、Se、Ge、Ni、Mo、Baを主な成分とした蛭石のミネラル分を硫基塩、またはそれらの複塩、錯塩としてイオン状態で水に溶解させたものを10分の1に希釈し、クエン酸が比重20%となるように加え、そのミネラル分をキレートしたものを100ppm前後混ぜ合わせる。そこに先ほど軽く水切りした角切りキャベツを3〜5分浸漬、吸収させる。またそれと同時に、野菜を浸漬させたままの状態で水槽の水をポンプ等で循環させ、紫外線殺菌機を用いてその水を殺菌する。3〜5分の浸漬後、遠心分離器によって脱水し、パッケージする。
【0017】
また、パッケージする際、ガスコントロールを行い充填するガスを窒素100%にすると変色などを起こさない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】殺菌工程のフロー説明図
【図2】新工程、旧工程の比較
【図3】ミネラル吸収工程のフロー説明図
【図4】本発明で使用する紫外線殺菌機とポンプ及びフィルターを組み合わせたユニットの概略図
【図5】本発明における全工程の説明図
【符号の説明】
【0019】
1納品工程
2洗浄・トリミング工程
3カット作業工程
4殺菌工程
5浸漬工程
6水切り・パッケージング工程
7出荷工程
8アミアドフィルター
9ポンプ
10赤外線殺菌装置
11操作盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生鮮野菜もしくはカットした野菜をAl、Fe、Mg、K、P、Ti、Ca、Mn、Na、V、Rb、Si、Zn、W、Co、Li、Cu、Se、Ge、Ni、Mo、Baを主な成分とした蛭石のミネラル分を硫基塩、またはそれらの複塩、錯塩としてイオン状態で水に溶解させたものに浸漬させ、同時に浸漬させたままの状態で溶解水のみをポンプ等で循環させ、紫外線殺菌機を用いて5分ほど殺菌し、水切りした後、先の工程で使った溶解水のミネラル分をクエン酸でキレートさせたものに、先ほどの生野菜もしくはカットした野菜を約3分ほど浸漬させることによりミネラル分を吸収させ、野菜の細胞を活性化させ、野菜の鮮度保持及び味や食感、栄養価を向上させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−25680(P2006−25680A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208397(P2004−208397)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(304003114)
【Fターム(参考)】