説明

金属イオン交換ゼオライトを使用した分子酸素によるスチレンの触媒エポキシ化

本発明はコバルト含有ゼオライトを用いたスチレンの分子酸素によるスチレンオキシドへの触媒エポキシ化を提供する。スチレンからスチレンオキシドへの触媒エポキシ化は分子酸素を用いてCo2+交換ゼオライトの存在下行う。空気由来の分子酸素も大気圧でのエポキシ化反応に有用である。触媒内の吸着水分子の存在もスチレンオキシドの選択性に影響せずにスチレン変換を増加させる。多様なアルカリ及びアルカリ土類カチオン性プロモーターがスチレンオキシドの選択性を増加させる為にゼオライト触媒に導入された。本発明はコバルト交換ゼオライト内の吸着された水分子及びアルカリ乃至アルカリ土類金属カチオン性プロモーターの、分子酸素によるスチレンからスチレンオキシドへの触媒エポキシ化に対するスチレン変換及びスチレンオキシドの選択性への効果について評価する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は金属イオン交換ゼオライトを用いたスチレンの分子酸素による触媒性エポキシ化に関する。さらに特定すると、本発明は水分子及びアルカリ及び/又はアルカリ土類金属カチオン性プロモーターを吸着したコバルト交換ゼオライト触媒の存在下、分子酸素/空気を用いてスチレンをスチレンオキシドへエポキシ化する為の触媒及び触媒工程に関する。
【0002】
(発明の背景技術)
スチレンオキシドは広範な分野、例えばポリマーの安定剤として、UV吸収剤、薬物の出発化合物、溶媒の安定剤又は合成香料及び甘味料として有用なフェネチルアルコール及びフェネチルアルデヒドの出発物質として使用される。
【0003】
エポキシ化によるスチレンオキシドの調製には、一般的にスチレンが有機過酸を使用してエポキシ化される方法が採用される。しかしながら、この方法は以下の欠点を含み、必ずしも常に満足なものではない。
(1) 有機過酸によるスチレンの酸化反応の間、有機過酸が分解し、スチレンに反応性の副反応が起こり、スチレンに関するスチレンオキシドの選択性が低下する。
(2) 反応後、有機酸副生成物の存在下得られたスチレンオキシド開裂によりエステル及びヒドロキシ化合物を生成しスチレンに関するスチレンオキシドの選択性が低下する。
(3) 有機過酸の中で最も容易に工業的に利用可能な過酢酸はアセトアルデヒドの空気酸化を含む、いわゆるダイセル-ワッカー法によって調製されるが、それは非常に高価な酸化体である。
(4) 有機過酸の使用において可能性のある危険を避けるために、操作と設備の両方に十分な注意を払う必要がある。
【0004】
これらの制限を克服する為に、アルケンのエポキシ化の従来の経路を環境にやさしい再使用可能な不均一触媒及び過酸化水素/分子酸素を酸化体として置き換える試みがなされている。
【0005】
Y. W. Kobeは米国特許第3,806,467号(1974)内で、オレフィンと過酸化水素をビス(トリ-n-メチルチノキシ)モリブデン酸触媒の存在下反応させ、エポキシドを調製する方法を提案している。しかしながら、それらの実施例を検討する限り、スチレンオキシドの収量は3%(過酸化水素に対して)と低く、この提案された方法はスチレンオキシドの調製方法として好ましいとすることはできない。E.L.Linesらは米国特許第3,953,362号(1976)の中で酸素含有モリブデン化合物を過酸化水素のような過酸化物による不飽和有機化合物のエポキシ化反応の触媒として記載している。グリコール等の望ましくない有機化合物の副生成を遅らせるために、酸化の間、ほとんど水が存在しないようにすることが必要である。この発明の主な欠点は反応において使用する過酸化水素が1パーセント未満の水を含まなければならないということである。
【0006】
E. L. Lines 等は米国特許第4,157,346号(1979)において、アルキレン化合物を過酸化化合物、例えばH2O2と改良モリブデン触媒の存在下10〜20気圧で反応させるエポキシ化方法を記載した。おそらく生成する水は、望ましくないグリコール類の産生を促進し、エポキシド選択性を得る為には水分量を維持することが望ましい。本発明の主な欠点は反応に高圧を必要とすること、生成した副生成物である水を反応混合物から継続的に取り除く必要があることである。
【0007】
L. Kimは米国特許第4,418,203号(1983)において、フッ化アルコール溶媒内で、モリブデン、タングステン及びレニウムからなる群から選択される触媒及び有機スズ、有機砒素、有機アンチモン及び有機ゲルマニウムからなる群から選択される有機金属助触媒を用いたオレフィンの過酸化水素によるエポキシ化方法を記載している。本発明の主な欠点は反応にフッ化アルコール溶媒を使用することである。
【0008】
C.L.Hillは米国特許第4,864,041号(1989)において、有機基質の均一酸化のための新規方法を開示している。この方法は酸素ドナーの存在下、有機基質のエポキシ化反応を触媒する遷移金属置換ポリオキソメタレート触媒を使用する。この発明において使用される典型的な酸素ドナーにはC1-30アルキル過酸化水素、過酸化水素、C6-30ヨードシルアレーン、C1-30アミン N-オキシド、C1-30過酸、次亜塩素酸塩、及び他のハロゲンオキシアニオン、オキサジリジン及びクロム酸、二クロム酸、過マンガン酸、ルテニウム及び無水オスミン酸のような高度に酸化された遷移金属オキソ化合物が含まれる。本発明の主な欠点は基質の酸化のために基質と等量又はモルベースで酸素のドナーが必要とされることである。
【0009】
P.R.Blumは米国特許第4,894,467号(1990)において、スチレンオキシドの製造方法を開示しており、前記方法は、スチレンが蒸気相において分子酸素含有ガスと、不活性固体無機担体水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムからなる群から選択される促進量のすくなくとも1個の水酸化アルカリ金属銀金属触媒と0.6〜10秒の接触時間、200〜350℃の温度で接触することを含む。本発明の主な欠点は、前記反応が気相において200〜350℃の高い温度で行われることである。
【0010】
S. Enomotoらは、米国特許第5,041,569号(1991)において、スチレンと過酸化水素を、ビス(トリ-n-アルキルスズオキシ)モリブデン酸及びアンモニア、第1、第2及び第3メチルアミン、第1、第2及び第3エチルアミン、第1、第2及び第3n-プロピルアミン、第1、第2及び第3イソプロピルアミン、第1、第2及び第3ブチルアミン、第1、第2及び第3エタノールアミンのようなアミンの存在下、不均一系で反応させることによるスチレンオキシドの製造方法を開示している。本発明の主な欠点は前記方法がアミンプロモーターの使用を含むことである。
【0011】
J. R. Monnier等は、米国特許第5,145,968号 (1992)においてスチレン、スチレン類似体及びスチレン誘導体の選択的モノエポキシ化方法を開示している。前記化合物は促進され、支持された銀触媒の存在下、0.1〜100気圧の範囲の圧力で、100〜325℃の範囲の温度で酸素含有ガスと接触させる。0.5〜75%の変換が当該反応中に得られる。本発明の主な欠点は最大の変換がわずか75%であることである。
【0012】
K. Nishibeらは、米国特許第5,155,241(1992)において、スチレンと過酸化水素をビス(トリ-n-アルキルスズオキシ)モリブデン酸触媒及び反応におけるプロモーターとしての無機アニオン存在下、不均一系の中で反応させることによるスチレンオキシドの製造方法を記載している。62-77%の変換が観察され、45-100%の選択性が得られた。本発明の主な欠点は最大の変換がわずか77%であることである
【0013】
K. B. Sharpless等は米国特許第5,939,568号(1999)において、含窒素芳香族ヘテロサイクリック構造を有する促進剤により促進されたオレフィン基質のレニウム-触媒エポキシ化を開示している。促進剤の使用により、水性過酸化水素を酸化体として使用することも可能となる。最適な促進を達成する為に、促進剤は1モルのオレフィン基質に対して、2.0モル%〜100モル%の範囲の濃度の促進剤を有すべきである。本発明の主な欠点は前記方法が2.0〜100モル%の促進剤の使用を含むことである。
【0014】
R. A. Grey 等は米国特許第6,194,591号(2001)の中で、Pt、Pd又はCu化合物で修飾したチタンゼオライト触媒を使用したオレフィンのエポキシ化方法を開示している。本発明の主な欠点はチタンケイ酸ゼオライトは元来酸性であり、エポキシドの異性化及び/又はエポキシド環の開環も触媒し、そのことによりこれらの触媒のエポキシ化工程におけるエポキシドの生成の選択性が減少することである。
【0015】
B. Zhou 等は米国特許第6,534,661号(2003)の中で500-2000psigの高圧下、プロピレンのような有機化合物の水素及び酸素を用いてエポキシ化するためのチタン含有シリカ支持体上に支持された、バイメタルの主にPt及びPd貴金属を開示している。この開示において、Pt、Pd 及びTiはエポキシ化が起こる為に不可欠である。加えて、反応は気体/液体相で、しかし高圧において行われ、触媒は還元型(水素)Pd及びPtを含む溶液をチタン含有ゼオライト支持体に含浸することにより調製する。含浸した固まりの濾過及び乾燥の後に、さらに水素中で250-300℃、10〜20時間還元した。本発明の主な欠点は、この開示の方法は、触媒の形成に高価で複雑な不均一蒸着を必要とすること、エポキシ化の適用中に圧が上昇することである。
【0016】
V. R. Choudhary等は米国特許公開第20050065355号(2005)において、ナノ-金触媒の存在下水性又は無水有機過酸化水素を酸化体として使用する、標準的な液体オレフィン化合物を対応する有機エポキシド化合物へ液相エポキシ化する為の方法に関する発明を開示している。本発明の主な欠点は前記方法が非常に高価なナノサイズの金粒子を触媒として必要とすることである。
【0017】
V. R. Choudhary等は米国特許公開第20050113586号(2005)の中でクロム酸又は二クロム酸アニオンを水性倍地中の触媒として用いた有機化合物の有機過酸化水素による対応するエポキシドへのエポキシ化のための二層性工程に関する発明を開示している。本発明の主な欠点は前記方法がオレフィン化合物に対して0.1〜10の比の有機過酸化水素とすることである。
【0018】
Q. Tang等はChem. Commun., 2004, 440-441及びJournal of Catalysis 230 (2005) 384397の中でCo2+含有分子ふるい(sieves)をスチレンの分子酸素によるエポキシ化の触媒として使用することを開示している。彼等はスチレンオキシド選択性65%の、最大スチレン変換45%を観察した。彼等の方法の主な欠点はスチレン変換がわずか45%であり、スチレンオキシド選択性がわずか65%であることである。
【0019】
J. Liang等はCatalysis Communications, 2004, 5, 665669において、Fe2+-交換 NaYゼオライト及びFe3(PO4)2及びFe3O4を含むFe2+-含有化合物を犠牲還元剤無しで、アルケンを分子酸素でエポキシ化するための不均一触媒として記載している。スチレンオキシド選択性が62.2%の最大スチレン変換46.2%が彼等の反応において観察された。彼等の方法の主な欠点はスチレン変換がわずか46.2%であり、スチレンオキシド選択性がわずか62.2%であることである。
【0020】
(発明の目的)
本発明の主な目的は、上記に詳述した欠点を取り除いた、スチレンの分子酸素によるスチレンオキシドへのエポキシ化のための触媒工程を提供することである。
本発明のさらに他の目的は合成ゼオライトをベースとしてエポキシ化触媒を提供することである。
【0021】
本発明のさらに他の目的は分子酸素を酸化体として使用するエポキシ化触媒を提供することである。
本発明のさらに他の目的は空気を酸化体として使用するエポキシ化触媒を提供することである。
【0022】
本発明の他の目的はスチレン変換及びスチレンオキシド選択性を増加させたエポキシ化方法を提供することである。
本発明の他の目的はアルカリ及び/又はアルカリ土類金属カチオンプロモーターを含むエポキシ化触媒を提供し、スチレンオキシド選択性を増加させることである。
【0023】
(発明の概要)
従って、本発明はイオン交換ゼオライトを用いたスチレンの分子酸素による触媒エポキシ化方法を提供し、前期方法は、一般式(CoO)a.(M2/nO)b.(Al2O3)c.(SiO2)d.wH2O(式中aは8〜48、bは0〜80と変化し、2a+b=cであり、wは0〜200と変化する水のモル数であり、Mは価数nを有するアルカリ金属及び/アルカリ土類金属であり、nは+1又は+2である。)を有するゼオライトベースの触媒の存在下、80〜150℃の範囲の温度で3〜6時間、スチレンを有機溶媒中で空気又は分子酸素と反応させる工程、上記反応混合物から触媒を公知の方法で分離し、所望の生成物を得る工程を含む。本発明の一実施態様において、使用される有機溶媒はN,N-ジメチルホルムアミド (DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)及び1,4-ジオキサンからなる群から選択される。
【0024】
さらに別の実施態様において、使用される空気又は分子酸素の流速は3〜5ml/minである。
さらに別の実施態様において使用される空気又は分子酸素の圧力は1.013×105〜2.666×106(760〜20000Torr)の範囲である。
【0025】
さらに別の実施態様において使用されるゼオライト触媒は吸着された水分子をゼオライトキャビティ内部に保持するために20〜30℃の温度で乾燥される。
さらに別の実施態様において、ゼオライト触媒内で使用されるアルカリ及び/又はアルカリ土類金属カチオン性プロモーターはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0026】
他の実施態様において、得られたスチレンの変換%は70-99.9%の範囲である。
一実施態様において、得られたスチレンオキシドの選択性は60-90%の範囲である。
【0027】
(発明の詳細な説明)
本発明において、我々は(Co)x.(M2/n)y Al88 Si104 O384. wH2O(式中xは0〜44、yは0〜88と変化し、wは水のモル数であり、Mは価数nを有するアルカリ金属及び/アルカリ土類金属である)の化学組成を有する、スチレンを分子酸素によりスチレンオキシドにエポキシ化するための新規触媒を報告する。
【0028】
微細孔を有する結晶性アルミノケイ酸塩であるゼオライトは多様な化学反応の触媒としての適用の知見が増加している。ゼオライトは頂端酸素原子を共有することで互いに結合するSiO4及びAlO4を含む基本構造単位を含む3次元ネットワークを有している。ケイ素及びアルミニウム原子が四面体の中央に存在する。一般的に非常に多孔性の得られたアルミノケイ酸塩構造は、そこへのアクセスが分子サイズの開窓を通じたものである3次元の孔を有する。
【0029】
水和物の形態において、好ましいゼオライトは一般的に以下の式M2/nO.Al2O3.xSiO2. wH2Oで表され、式中Mは四面体のイオン電子価を平衡するカチオンであり、一般的には骨格外交換可能カチオン(extra framework exchangeable cation)と言い、x及びwはそれぞれSiO2及び水のモル数を表す。
【0030】
ゼオライト中に存在する骨格外交換可能カチオンはその吸着や触媒特性の決定において重要な役割を果たす。特に、もし配位結合的に不飽和な金属イオンをゼオライトキャビティ内に組み込むことができる場合、新規な吸着及び触媒作用をゲスト分子の配位をベースとして設計することができる。活性化ゼオライト内の交換可能な遷移金属は一般的に配位結合的に不飽和であり、多様なゲスト分子と速やかに錯体を形成する。適用の為に、遷移金属はしばしばイオン交換により導入され、これらは殻が充填されているカチオンより選択的にゲスト分子に配位することができ、しばしばより容易に他の酸化状態にアクセスできることから、遷移金属のゼオライトへの導入は吸着剤及び触媒としての機能に新たな機構を可能にする。
【0031】
ゼオライトを触媒として魅力的にしている属性には、異常に高い熱及び水熱の安定性、均一な気孔構造、気孔開口部の修飾が容易であること、および相当の触媒活性が挙げられる。さらに、ゼオライトは比較的穏やかな水熱条件下で合成的に生成することができる。
【0032】
さまざまなコバルト交換ゼオライトのX-線粉末回折試験を周囲温度において、2θ=5〜65度でCuKα1 (λ= 1.54056Å)を使用しPHILIPS X'pert MPD systemを用いて行った。出発物質の回折パターンは、ゼオライトに典型的な5〜35度の範囲の反射を示す高結晶性を示した。ゼオライトの構造はカチオン交換工程の間保持される。さまざまなコバルトイオン交換ゼオライトのX-線粉末パターンは、コバルトイオン交換工程の間に結晶化度が失われることを示した。「2θ」値=6.1、10.0、15.5、20.1、23.4、26.7、29.3、30.5、31.0及び32.1におけるX線回折を標準対照試料との比較に使用した。
【0033】
さまざまなコバルト交換ゼオライトの表面積及び孔サイズの分布を77.35KでのN2吸着データから決定した。77.35Kにおける平衡窒素吸着はMicromeritics ASAP 2010を用いて測定した。N2吸着測定前に試料を100℃で、減圧下(5×10-3mmHg)活性化した。異なる触媒サンプルの表面積は、BET及びLangmuir式を77.35KにおけるN2吸着データに適用し、微細孔面積、微細孔体積及び外部孔面積をt-プロットに適用することにより決定した。ゼオライト試料の表面積は、コバルトイオン交換に伴って増加した。これは1価のナトリウムイオンが2価のコバルトイオンに交換する間に外部骨格カチオンの数が減少したことによる。ナトリウムイオンをコバルトのような2価のイオンで交換する場合、1個のCo2+は、2個のNa+イオンを交換し、それ故半分のカチオンがゼオライト中に存在することになる。t-プロットから求めた外部表面積も、コバルトの変換%に伴い増加した。これは、カチオン交換工程及び/又は高温における減圧乾燥中に起こった構造的変形により説明することができる。
【0034】
拡散反射分光器 (DRS)試験を積分球を備えたShimadzu UV-3101PCを用いて行った。BaSO4を対照物質として使用した。スペクトルは室温で200〜750nmの範囲の波長で記録した。拡散反射分光器(DRS)は近赤外領域にCo2+のd-d遷移及び紫外領域においてO→Co2+電荷移動遷移を検出した。水和されたピンク色の試料において、スペクトルの最小値は可視領域の530nm及びUV領域の240nm付近にあらわれる。これらの吸収はゼオライトのスーパーケージ(super cages)に位置する八面体の[Co(H2O)6]2+錯体の遷移を示している。530nm及び240nmの両方のピーク強度はコバルトの交換量に対応して増加した。
【0035】
粉末の形態のゼオライトは出発物質として使用される。X-線回折データは出発物質が高結晶性であることを示した。コバルトカチオンはこの高結晶性ゼオライトに水溶液からのコバルトイオン交換により導入された。典型的には、ゼオライトは0.01〜1Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、20〜90℃で、0.1〜10時間還流した。実施例で特定するように、残渣をろ過し、洗浄液にコバルトイオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。コバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。
【0036】
ゼオライトのナトリウムカチオンは多様なアルカリ金属及びアルカリ土類金属カチオンでカリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム塩溶液によるイオン交換により変換される。イオン交換工程は数回繰り返し、ナトリウムイオンを完全に他のアルカリ金属及びアルカリ土類金属と交換した。コバルトカチオンをこの高結晶性ゼオライトに水溶液からコバルトイオン交換により導入した。典型的には、ゼオライトは0.01〜1Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、20〜90℃で、0.1〜10時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。異なる量のコバルト交換を有するゼオライト試料は繰り返しゼオライトにイオン交換することにより調製した。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。
【0037】
室温で乾燥されたコバルトイオン交換ゼオライトは、さらに活性化すること無しに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で行った。典型的には、効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgのゼオライトと共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に6〜8ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。反応時間完了後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物を水素炎イオン化検出器(flame ionisation detector)及びHP-5 キャピラリーカラム(長さ30mm及び直径0.32mm 、シリカベースの SUPELCOSILを充填)、プログラムドオーブン (温度範囲50-220℃)及びN2をキャリアガスとして有するガスクロマトグラフィー(Hewlett-Packard Model 6890, USA)で分析した。反応動力学は少量のサンプルを30分間隔で反応フラスコから回収し、その組成をGCにより分析することでモニターした。スチレン及びスチレンオキシドのGCピーク面積の校正は既知量のスチレン及びスチレンオキシドを有する溶液を用いて行った。変換は存在するスチレンのモル数に基づいて計算し、スチレンの最初のモル%を最初の面積%(GCから得たスチレンピーク面積)で割り、反応係数(response factor)を得た。反応混合物に残っている未反応のスチレンのモル数は反応係数と反応後に得られるスチレンのGCピークの面積%を掛けることにより計算する。
【0038】
変換、選択性及びターンオーバー頻度(turnover frequency (TOF))は以下のように計算した。:

使用した触媒を反応混合物から濾過により回収し、DMF、蒸留水で十分に洗浄し、次に、空気中において室温で乾燥させた。
【0039】
本発明に含まれる重要な進歩性は、(i)エポキシ化触媒をコバルト塩の水溶液を使用して、20〜90℃の範囲の温度でカチオン交換工程により調製し、室温で乾燥させた後に触媒エポキシ化反応の触媒として使用すること(ゼオライトをベースとする触媒で通常行われる高温(>350℃)での活性化が必要ない)(ii)スチレンオキシド選択性を改善するアルカリ及び/又はアルカリ土類金属カチオンプロモーターを有すること(iii)分子酸素/空気を、大気圧、80〜150℃で触媒エポキシ化反応に使用すること、である。
【0040】
以下の実施例は例示の目的で示されたものであり、従って本発明の範囲を制限するように解釈すべきではない。
【0041】
実施例 1
触媒エポキシ化反応は、化学組成Na88Al88Si104O384.wH2Oを有するゼオライト触媒を用いて水相内において、バッチ反応として、100℃で行われた。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgのゼオライトと共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。反応混合物は、マグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後、触媒を反応混合物の遠心により分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。56.5%のスチレンオキシド選択性を示す2.5%スチレン変換が反応中に観察された。
【0042】
実施例 2
コバルトカチオンを、水溶液からのコバルトイオン交換により、化学組成Na88Al88Si104O384.wH2Oを有するこの高結晶性ゼオライトに導入した。ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、30±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoX 10)を、さらに活性化すること無しに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でNaCoX 10を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgのゼオライトと共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。66.9%のスチレンオキシド選択性を示す66.0%スチレン変換が反応中に観察された。
【0043】
実施例 3
実施例-2で得られたコバルト交換ゼオライト(NaCoX 10)は、さらに0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、40±10℃で、1時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoX 19)をさらに活性化することなしに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でNaCoX19を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。67.5%スチレンオキシド選択性を示す77.9%スチレン変換が反応中に観察された。
【0044】
実施例 4
実施例-3で得られたコバルト交換ゼオライト(NaCoX 19)は、さらに0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、50±10℃で、4時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoX 34)をさらに活性化することなしに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でNaCoX34を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN, N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。65.1 %のスチレンオキシド選択性を示す87.6%スチレン変換が反応中に観察された。
【0045】
実施例 5
実施例-4で得られたコバルト交換ゼオライト(NaCoX 34)は、さらに0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、60±10℃で、4時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoX 69)をさらに活性化することなしに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でNaCoX69を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。67.7%のスチレンオキシド選択性を示す97.2%スチレン変換が反応中に観察された。
【0046】
実施例 6
実施例-5で得られたコバルト交換ゼオライト(NaCoX 69)は、さらに0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、70±10℃で、4時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoX 81)をさらに活性化することなしに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でNaCoX81を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。68.0%のスチレンオキシド選択性を示す97.9%スチレン変換が反応中に観察された。
【0047】
実施例 7
実施例-6で得られたコバルト交換ゼオライト(NaCoX 81)は、さらに0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、80±10℃で、4時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoX 92)をさらに活性化することなしに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でNaCoX92を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。66.4%のスチレンオキシド選択性を示す98.4%スチレン変換が反応中に観察された。
【0048】
実施例 8
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で実施例7に記載した方法により調製した触媒(NaCoX 92)を用いて行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。N,N-ジメチルホルムアミド (DMF)は水素化カルシウムの添加により乾燥させ、続いて60℃で減圧蒸留した。触媒は減圧下80℃で24時間乾燥させた。10 mmolのスチレンは20 mlの乾燥DMF及び200mgの乾燥触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。67.8%のスチレンオキシド選択性を示す41.8%スチレン変換が反応中に観察された。
【0049】
実施例 9
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で実施例7に記載した方法により調製した触媒(NaCoX 92)を用いて行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。N,N-ジメチルホルムアミド (DMF)は水素化カルシウムの添加により乾燥させ、続いて60℃で減圧蒸留した。室温で乾燥させた触媒はさらに活性化させずに触媒試験に使用した。10 mmolのスチレンは20 mlの乾燥DMF及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、66.9%のスチレンオキシド選択性を示す64.9%のスチレン変換が観察された。
【0050】
実施例 10
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で実施例 7に記載した方法により調製した触媒(NaCoX 92)を用いて行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。N,N-ジメチルホルムアミド (DMF)は水素化カルシウムの添加により乾燥させ、続いて60℃で減圧蒸留した。 触媒は減圧下80℃で24時間乾燥させた。10mmolのスチレンは20 mlの乾燥DMF、200 mgの乾燥触媒及び1.0 mlの蒸留水と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、66.4%のスチレンオキシド選択性を示す98.4%のスチレン変換が観察された。
【0051】
実施例 11
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で実施例 7に記載した方法により調製した触媒(NaCoX 92)を用いて行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは20 mlのN,N-ジメチルホルムアミド (DMF)、200 mgの触媒及び1 mlの蒸留水をフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、65.3%のスチレンオキシド選択性を示す99.9%のスチレン変換が観察された。
【0052】
実施例 12
実施例-7で得られたコバルト交換ゼオライト(NaCoX 92)は、さらに0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、80±10℃で、4時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoX 96)をさらに活性化することなしに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でNaCoX96を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、66.9%のスチレンオキシド選択性を示す99.8%のスチレン変換が観察された。
【0053】
実施例 13
化学組成Na88Al88Si104O384.wH2Oを有するゼオライトのナトリウムカチオンは80±10℃で1 M KCl 溶液を用いたカチオン交換によりカリウムカチオンに交換される。カチオン交換工程を4回繰り返し、ナトリウムイオンのカリウムイオンによる完全な交換を達成する。コバルトカチオンはこのカリウム型ゼオライトに水溶液からのコバルトイオン交換により導入する。カリウム型ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、50±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(KCoX 19)を、さらに活性化すること無しに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でKCoX 19を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、71.3%のスチレンオキシド選択性を示す98.7%のスチレン変換が観察された。
【0054】
実施例 14
化学組成Na88Al88Si104O384.wH2Oを有するゼオライトのナトリウムカチオンは80±10℃で1 M RbCl 溶液を用いたカチオン交換によりルビジウムカチオンに交換される。カチオン交換工程を4回繰り返し、ナトリウムイオンのルビジウムイオンによる完全な交換を達成する。コバルトカチオンはこのルビジウム型ゼオライトに水溶液からのコバルトイオン交換により導入する。ルビジウム型ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、50±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(RbCoX 22)を、さらに活性化すること無しに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でRbCoX 22を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、71.8%のスチレンオキシド選択性を示す98.6%のスチレン変換が観察された。
【0055】
実施例 15
化学組成Na88Al88Si104O384.wH2Oを有するゼオライトのナトリウムカチオンは80±10℃で1 M CsCl 溶液を用いたカチオン交換によりセシウムカチオンに交換される。カチオン交換工程を4回繰り返し、ナトリウムイオンのセシウムイオンによる完全な交換を達成する。コバルトカチオンはこのセシウム型ゼオライトに水溶液からのコバルトイオン交換により導入する。セシウム交換ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、50±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(CsCoX 20)を、さらに活性化すること無しに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でCsCoX 20を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、76.6%のスチレンオキシド選択性を示す99.8%のスチレン変換が観察された。
【0056】
実施例 16
化学組成Na88Al88Si104O384.wH2Oを有するゼオライトのナトリウムカチオンは80±10℃で1 M MgCl2 溶液を用いたカチオン交換によりマグネシウムカチオンに交換される。カチオン交換工程を4回繰り返し、ナトリウムイオンのマグネシウムイオンによる完全な交換を達成する。コバルトカチオンはこのマグネシウム型ゼオライトに水溶液からのコバルトイオン交換により導入する。マグネシウム交換ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、60±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(MgCoX 22)を、さらに活性化すること無しに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でMgCoX 22を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、74.6%のスチレンオキシド選択性を示す99.5%のスチレン変換が観察された。
【0057】
実施例 17
化学組成Na88Al88Si104O384.wH2Oを有するゼオライトのナトリウムカチオンは80±10℃で1 M CaCl2 溶液を用いたカチオン交換によりカルシウムカチオンに交換される。カチオン交換工程を4回繰り返し、ナトリウムイオンのカルシウムイオンによる完全な交換を達成する。コバルトカチオンはこのカルシウム型ゼオライトに水溶液からのコバルトイオン交換により導入する。交換ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、60±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(CaCoX 19)を、さらに活性化すること無しに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でCaCoX 19を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、82.9%のスチレンオキシド選択性を示す99.8%のスチレン変換が観察された。
【0058】
実施例 18
化学組成Na88Al88Si104O384.wH2Oを有するゼオライトのナトリウムカチオンは80±10℃で1 M Sr(NO3)2 溶液を用いたカチオン交換によりストロンチウムカチオンに交換される。カチオン交換工程を4回繰り返し、ナトリウムイオンのストロンチウムイオンによる完全な交換を達成する。コバルトカチオンはこのストロンチウム型ゼオライトに水溶液からのコバルトイオン交換により導入する。ストロンチウム交換ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、60±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(SrCoX 18)を、さらに活性化すること無しに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でSrCoX 18を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、85.1%のスチレンオキシド選択性を示す99.9%のスチレン変換が観察された。
【0059】
実施例 19
化学組成Na88Al88Si104O384.wH2Oを有するゼオライトのナトリウムカチオンは80±10℃で1 M BaCl2 溶液を用いたカチオン交換によりバリウムカチオンに交換される。カチオン交換工程を4回繰り返し、ナトリウムイオンのバリウムイオンによる完全な交換を達成する。コバルトカチオンはこのバリウム型ゼオライトに水溶液からのコバルトイオン交換により導入する。バリウム交換ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、60±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(BaCoX 15)を、さらに活性化すること無しに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でBaCoX 15を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、82.6%のスチレンオキシド選択性を示す99.9%のスチレン変換が観察された。
【0060】
実施例 20
化学組成Na88Al88Si104O384.wH2Oを有するゼオライトのナトリウムカチオンは80±10℃で1 M BaCl2 溶液を用いたカチオン交換によりバリウムカチオンに交換される。カチオン交換工程を4回繰り返し、ナトリウムイオンのバリウムイオンによる完全な交換を達成する。バリウムイオン交換ゼオライトは続いて1 M CsCl溶液と80±10℃で一部のバリウムカチオンをセシウムカチオンで交換するために還流する。コバルトカチオンはこのバリウム及びセシウム型ゼオライトに水溶液からのコバルトイオン交換により導入する。ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、60±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(CsBaCoX 20)を、さらに活性化すること無しに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でCsBaCoX 20を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、80.4%のスチレンオキシド選択性を示す99.4%のスチレン変換が観察された。
【0061】
実施例 21
化学組成Na88Al88Si104O384.wH2Oを有するゼオライトのナトリウムカチオンは80±10℃で1 M KCl 溶液を用いたカチオン交換によりカリウムカチオンに交換される。カチオン交換工程を4回繰り返し、ナトリウムイオンのカリウムイオンによる完全な交換を達成する。ゼオライトのカリウムカチオンの一部を80±10℃で1 M BaCl2 溶液を用いたカチオン交換によりバリウムカチオンで交換した。コバルトカチオンはこのバリウム型ゼオライトに水溶液からのコバルトイオン交換により導入する。ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、60±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(KBaCoX 21)を、さらに活性化すること無しに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でKBaCoX 21を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、83.1%のスチレンオキシド選択性を示す99.8%のスチレン変換が観察された。
【0062】
実施例 22
化学組成Na88Al88Si104O384.wH2Oを有するゼオライトのナトリウムカチオンは80±10℃で1 M KCl 溶液を用いたカチオン交換によりカリウムカチオンに交換される。カチオン交換工程を4回繰り返し、ナトリウムイオンのカリウムイオンによる完全な交換を達成する。ゼオライトのカリウムカチオンの一部を80±10℃で1 M Sr(NO3)2 溶液を用いたカチオン交換によりストロンチウムカチオンで交換した。コバルトカチオンはこのストロンチウム型ゼオライトに水溶液からのコバルトイオン交換により導入する。ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、60±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(KSrCoX 20)を、さらに活性化すること無しに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でKSrCoX 20を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、81.0%のスチレンオキシド選択性を示す99.6%のスチレン変換が観察された。
【0063】
実施例 23
実施例 6に記載された方法で調製された化学組成Na88Al88Si104O384.wH2Oを有するコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoX 81)は空気を使用した触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でNaCoX 81を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、空気を5-7ml/minの速度で反応混合物に通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応混合物は、マグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、66.4%のスチレンオキシド選択性を示す99.2%のスチレン変換が観察された。
【0064】
実施例 24
実施例-7に記載した方法で調製した、化学組成Na88Al88Si104O384.wH2Oを有するコバルト交換ゼオライト(NaCoX 92)は、空気を分子酸素源として使用した100℃における触媒エポキシ化反応に使用した。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、空気を5-7ml/minの速度で反応混合物に通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、65.5%のスチレンオキシド選択性を示す99.4%のスチレン変換が観察された。
【0065】
実施例 25
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で実施例に記載した方法により調製した触媒(KCoX 19)及び分子酸素源として空気を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、空気を5-7ml/minの速度で反応混合物に通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応混合物は、マグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、71.3%のスチレンオキシド選択性を示す98.7%のスチレン変換が観察された。
【0066】
実施例 26
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で実施例15に記載した方法により調製した触媒(CsCoX 20)及び分子酸素源として空気を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、空気を5-7ml/minの速度で反応混合物に通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応混合物は、マグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、76.9%のスチレンオキシド選択性を示す99.8%のスチレン変換が観察された。
【0067】
実施例 27
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で実施例 17に記載した方法により調製した触媒(CsCoX 19)及び分子酸素源として空気を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、空気を5-7ml/minの速度で反応混合物に通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応混合物は、マグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、83.8%のスチレンオキシド選択性を示す99.8%のスチレン変換が観察された。
【0068】
実施例 28
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で実施例 18に記載した方法により調製した触媒(SrCoX 18)及び分子酸素源として空気を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、空気を5-7ml/minの速度で反応混合物に通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応混合物は、マグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、85.9%のスチレンオキシド選択性を示す99.9%のスチレン変換が観察された。
【0069】
実施例 29
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で実施例 19に記載した方法により調製した触媒(BaCoX 15)及び分子酸素源として空気を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、空気を5-7ml/minの速度で反応混合物に通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応混合物は、マグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、83.9%のスチレンオキシド選択性を示す99.9%のスチレン変換が観察された。
【0070】
実施例 30
実施例7における、スチレンをスチレンオキシドに触媒エポキシ化するためのコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoX 92)触媒を遠心により回収し、DMF、続いて蒸留水で洗浄し、室温で乾燥させ、触媒エポキシ化反応に使用した。前記触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でさらに活性化すること無しに行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応混合物は、マグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、66.4%のスチレンオキシド選択性を示す98.4%のスチレン変換が観察された。
【0071】
実施例 31
実施例30における、スチレンをスチレンオキシドに触媒エポキシ化するためのコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoX 92)触媒を遠心により回収し、DMF、続いて蒸留水で洗浄し、室温で乾燥させ、触媒エポキシ化反応に使用した。前記触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でさらに活性化すること無しに行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応混合物は、マグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、67.2%のスチレンオキシド選択性を示す99.3%のスチレン変換が観察された。
【0072】
実施例 32
実施例31における、スチレンをスチレンオキシドに触媒エポキシ化するためのコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoX 92)触媒を遠心により回収し、DMF、続いて蒸留水で洗浄し、室温で乾燥させ、触媒エポキシ化反応に使用した。前記触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でさらに活性化すること無しに行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応混合物は、マグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、66.9%のスチレンオキシド選択性を示す99.2%のスチレン変換が観察された。
【0073】
実施例 33
実施例18における、スチレンをスチレンオキシドに触媒エポキシ化するためのコバルトイオン交換ゼオライト(SrCoX 18)触媒を遠心により回収し、DMF、続いて蒸留水で洗浄し、室温で乾燥させ、触媒エポキシ化反応に使用した。前記触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でさらに活性化すること無しに行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧でO2を3-5ml/minの速度で反応混合物に通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応混合物は、マグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、85.1%のスチレンオキシド選択性を示す99.9%のスチレン変換が観察された。
【0074】
実施例 34
実施例33における、スチレンをスチレンオキシドに触媒エポキシ化するためのコバルトイオン交換ゼオライト(SrCoX 18)触媒を遠心により回収し、DMF、続いて蒸留水で洗浄し、室温で乾燥させ、触媒エポキシ化反応に使用した。前記触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でさらに活性化すること無しに行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧でO2を3-5ml/minの速度で反応混合物に通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応混合物は、マグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、85.3%のスチレンオキシド選択性を示す99.9%のスチレン変換が観察された。
【0075】
実施例35
実施例19における、スチレンをスチレンオキシドに触媒エポキシ化するためのコバルトイオン交換ゼオライト(BaCoX 92)触媒を遠心により回収し、DMF、続いて蒸留水で洗浄し、室温で乾燥させ、触媒エポキシ化反応に使用した。前記触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でさらに活性化すること無しに行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧でO2を3-5ml/minの速度で反応混合物に通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応混合物はマグネティックスターラーで攪拌した4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は内部標準法を使用して計算した。反応中、82.6%のスチレンオキシド選択性を示す99.9%のスチレン変換が観察された。
【0076】
実施例 36
実施例7における、スチレンをスチレンオキシドに触媒エポキシ化するためのコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoX 92)触媒を遠心により回収し、DMF、続いて蒸留水で洗浄し、室温で乾燥させ、触媒エポキシ化反応に使用した。前記触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でさらに活性化すること無しに行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応混合物は、マグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、82.9%のスチレンオキシド選択性を示す99.8%のスチレン変換が観察された。
【0077】
実施例 37
コバルトカチオンを、水溶液からのコバルトイオン交換により、化学組成Na30Al30Si160O384.wH2Oを有するこの高結晶性ゼオライトに導入した。ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、80±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoY)をさらに活性化することなしに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でNaCoYを使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、63.1%のスチレンオキシド選択性を示す89.0%のスチレン変換が観察された。
【0078】
実施例 38
コバルトカチオンを、水溶液からのコバルトイオン交換により、化学組成Na8Al8Si40O96.wH2Oを有するこの高結晶性ゼオライトに導入した。ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、80±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoMor060)をさらに活性化することなしに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でNaCoMor060を使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、61.0%のスチレンオキシド選択性を示す92.0%のスチレン変換が観察された。
【0079】
実施例 39
コバルトカチオンを、水溶液からのコバルトイオン交換により、化学組成Na2.5Al2.5Si61.5O128.wH2Oを有するこの高結晶性ゼオライトに導入した。ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、80±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(NaCoBEA)をさらに活性化することなしに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でNaCoBEAを使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、56.2%のスチレンオキシド選択性を示す86.0%のスチレン変換が観察された。
【0080】
実施例 40
コバルトカチオンを、水溶液からのコバルトイオン交換により、化学組成K9Al9Si27O72.wH2Oを有するこの高結晶性ゼオライトに導入した。ゼオライトは0.05Mのコバルト塩水溶液で固体/液体比=1:80、80±10℃で、2時間還流した。残渣をろ過し、洗浄液に窒素イオンが含まれなくなるまで熱蒸留水で洗浄し、空気中において室温で乾燥させた。ゼオライトにおけるコバルト交換の程度は元々の溶液及びイオン交換後のろ液をEDTAによる錯滴定によりムレキシド指示薬を用いて定量した。室温で乾燥させたコバルトイオン交換ゼオライト(KCoL)をさらに活性化することなしに触媒研究に使用した。触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃でKCoLを使用して行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は、大気圧で反応溶液に3〜5ml/minの速度でO2を通気することで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、51.9%のスチレンオキシド選択性を示す80.1%のスチレン変換が観察された。
【0081】
実施例 41
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で実施例 17に記載した方法により調製した触媒(CaCoX 19)を用いて行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10mmolスチレンを20mlの1,4-ジオキサン及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は反応混合物に酸素を3-5 ml/minの速度で通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、73.1%のスチレンオキシド選択性を示す93.6%のスチレン変換が観察された。
【0082】
実施例 42
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で実施例 17に記載した方法により調製した触媒(CaCoX 19)を用いて行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を100±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは20 mlのN,N-ジメチルアセトアミド (DMA)及び200 mg の触媒と共にフラスコに添加した。反応は反応混合物に酸素を3-5 ml/minの速度で通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、85.9%のスチレンオキシド選択性を示す99.1%のスチレン変換が観察された。
【0083】
実施例 43
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で実施例 19に記載した方法により調製した触媒(BaCoX 15)を用いて行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を80±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は反応混合物に酸素を3-5 ml/minの速度で通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、84.9%のスチレンオキシド選択性を示す39.9%のスチレン変換が観察された。
【0084】
実施例 44
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で実施例 19に記載した方法により調製した触媒(BaCoX 15)を用いて行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を120±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は反応混合物に酸素を3-5 ml/minの速度で通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、77.3%のスチレンオキシド選択性を示す99.9%のスチレン変換が観察された。
【0085】
実施例 45
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応として100℃で実施例 19に記載した方法により調製した触媒(BaCoX 15)を用いて行った。効率的な水冷コンデンサーを備えた丸底フラスコを、温度を150±2℃に維持した定温油浴中に保持した。10 mmolのスチレンは、20mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び200mgの触媒と共にフラスコに添加した。反応は反応混合物に酸素を3-5 ml/minの速度で通気することにより開始した。トリデカンは内部標準として使用した。反応溶液はマグネティックスターラーで攪拌した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を用いて計算した。反応中、53.7%のスチレンオキシド選択性を示す99.9%のスチレン変換が観察された。
【0086】
実施例 46
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応としてオートクレーブ反応器内において100℃で実施例 19に記載した方法により調製した触媒(BaCoX 15)を用いて行った。反応はコントロールユニットを備えた。100mlのステンレス鋼オートクレーブ反応器 (Autoclave Engineers, USA)の中で行った。25mmolのスチレンは50mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び500mgの触媒と共にオートクレーブに入れた。6.666×105Pa(5000Torr)の圧力の酸素を反応器に導入した。反応器をその後所望の反応温度にあわせ、エポキシ化反応を攪拌を始めることで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。4時間の反応後、触媒を反応混合物の遠心により分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、84.1%のスチレンオキシド選択性を示す98.9%のスチレン変換が観察された。
【0087】
実施例 47
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応としてオートクレーブ反応器内において100℃で実施例 19に記載した方法により調製した触媒(BaCoX 15)を用いて行った。反応はコントロールユニットを備えた。100mlのステンレス鋼オートクレーブ反応器 (Autoclave Engineers, USA)の中で行った。25mmolスチレンは50mlN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び500mgの触媒と共にオートクレーブに入れた。1.333×106Pa(10000Torr)の圧力の酸素を反応器に導入した。反応器をその後所望の反応温度にあわせ、エポキシ化反応を攪拌を始めることで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。4時間の反応後、触媒を反応混合物の遠心により分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、84.2%のスチレンオキシド選択性を示す99.9%のスチレン変換が観察された。
【0088】
実施例 48
触媒エポキシ化反応は液相でバッチ反応としてオートクレーブ反応器内において100℃で実施例 19に記載した方法により調製した触媒(BaCoX 15)を用いて行った。反応はコントロールユニットを備えた。100mlのステンレス鋼オートクレーブ反応器 (Autoclave Engineers, USA)の中で行った。25mmolスチレンは50mlN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)及び500mgの触媒と共にオートクレーブに入れた。2.666×106Pa(20000Torr)の圧力の酸素を反応器に導入した。反応器をその後所望の反応温度にあわせ、エポキシ化反応を攪拌を始めることで開始した。トリデカンは内部標準として使用した。4時間の反応後に、触媒を反応混合物を遠心することにより分離し、液体有機生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。スチレン変換は、内部標準法を使用して計算した。反応中、84.0%のスチレンオキシド選択性を示す99.9%のスチレン変換が観察された。
【0089】
表1. スチレン変換、スチレンオキシド選択性及びTOF

【0090】
表1. スチレン変換、スチレンオキシド選択性及びTOF (続き)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属イオン交換ゼオライトを用いたスチレンの分子酸素によるエポキシ化方法であって、
スチレンを、空気又は分子酸素と有機溶媒中で、ゼオライトをベースとした触媒の存在下、80〜150℃の範囲の温度で、3〜6時間反応させる工程
(前記ゼオライトは一般式(CoO)a.(M2/nO)b.(Al2O3)c.(SiO2)d.wH2Oを有し、
式中aは8〜48、bは0〜80と変化し、2a+b=cであり、
wは0〜200と変化する水のモル数であり、
Mは価数nを有するアルカリ金属及び/アルカリ土類金属であり、
nは+1又は+2である。)、
上記反応混合物から触媒を公知の方法で分離し、所望の生成物を得る工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
使用される有機溶媒がN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)及び1,4-ジオキサンからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
使用される空気又は分子酸素の流速が3〜5ml/minの範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
使用される空気又は分子酸素の圧力が1.013×105〜2.666×106(760〜20000Torr)の範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
使用されるゼオライト触媒を、ゼオライトキャビティの内部に吸着された水分子が維持されるように20〜30℃の温度で乾燥する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
ゼオライト触媒において使用されるアルカリ及び/又はアルカリ土類金属カチオン性プロモーターが、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びそれらの組み合わせ
からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
得られたスチレンの変換%が70〜99.9%の範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
得られたスチレンオキシドの選択性が60〜90%の範囲である、請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2009−522248(P2009−522248A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548078(P2008−548078)
【出願日】平成17年12月30日(2005.12.30)
【国際出願番号】PCT/IN2005/000456
【国際公開番号】WO2007/077565
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508176500)カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ (27)
【Fターム(参考)】