説明

金属ストリップの連続浸漬コーティングと高温プロセスの方法および装置

【課題】 外観欠陥のない表面を求める顧客の要求を満足させるだけの、きわめて低い欠陥密度を達成することのできる、金属ストリップの連続亜鉛めっきプロセスおよび装置を提供する。
【解決手段】 液体金属浴12を含むタンク11中で金属ストリップ1を連続浸漬コーティングするプロセスおよび装置であって、下部13aが液体金属浴12に浸漬されて液体金属の表面で液体シール14を構成するダクト13中で金属ストリップ1を連続的に展開し、ダクト13内に配置されてそれぞれその下部でダクト13を延ばす内壁を含む2つのオーバーフロー区画25、29内に、液体シール14の表面からの液体金属の自然流を作り、区画の金属液体のレベルを液体シール14表面の下方のレベルに維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ストリップ、特に鋼ストリップの連続高温浸漬コーティングのプロセスおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業の用途で、鋼シートは、例えば腐食保護のための保護層、通常亜鉛層を施されて使用される。
【0003】
この種のシートは多くの産業で全ての部品、特に目に見える部品の製造に使用される。
【0004】
この種のシートを得るには、鋼ストリップを例えば亜鉛の、溶融金属の浴に浸漬する連続浸漬装置が使用され、この溶融金属には他の元素、例えばアルミニウムおよび鉄、および可能な添加剤、例えば鉛、アンチモンなどを含んでもよい。浴の温度は金属の性質に依存し、亜鉛の場合には浴の温度は約460℃である。
【0005】
特に高温亜鉛めっきの場合、鋼ストリップが溶融亜鉛浴中に入ると、厚さ数十ナノメートルのFe−Zn−Alの金属合金が前記ストリップの表面に形成される。
【0006】
このようにしてコーティングした部品の腐食抵抗性は亜鉛によって与えられ、その厚さは通常エアーワイピングによって制御される。鋼ストリップへの亜鉛の付着は前述の合金によって与えられる。
【0007】
鋼ストリップが溶融金属浴を通る前に、この鋼ストリップは最初に還元雰囲気中でアニーリング炉を通って進むが、この目的は、冷間圧延作業に起因するかなりの硬化作業後にそれを再結晶化させ、その表面の化学的状態が実際の浸漬コーティング作業に必要な化学反応に有利になるように準備するためである。鋼ストリップは等級によって約650〜900℃で再結晶化および表面の準備に必要な時間加熱される。それは次いで熱交換器によって溶融金属浴の温度近くまで冷却される。
【0008】
それがアニーリング炉を通過した後、鋼ストリップは「筒口(snout)」とも呼ばれる鋼を保護する雰囲気のダクトを通って進み、溶融金属の浴に浸漬される。
【0009】
このダクトの下部は前記浴の表面とこのダクトの内部で液体シールが画定されるように金属浴の中へ浸漬され、鋼シートが前記ダクトを通って進むときに液体シールを通る。
【0010】
鋼ストリップは金属浴の中に浸漬されたローラによって向きを変えられる。それはこの金属浴から現れ、次いでこの鋼ストリップの液体金属コーティング厚さを制御するために用いるワイピング手段を通過する。
【0011】
特殊な高温亜鉛めっきの場合、ダクト内部の液体シールの表面は通常このダクト内部の雰囲気と液体シールの亜鉛との間の反応による酸化亜鉛、および鋼ストリップ溶解反応による固体の湯垢で被覆されている。
【0012】
亜鉛浴中の過飽和したこれらの湯垢または他の粒子は、密度が液体亜鉛のそれよりも低く、浴の表面、特に液体シールの表面に浮かび上がる。
【0013】
液体シールの表面を鋼ストリップが通過することによって、汚れた粒子の混入が起きる。鋼ストリップのスピードに応じて、液体シールの動きにより混入したこれらの粒子は、浴の容積から除去されることなく、ストリップを引き出す領域に現れ、外観の欠陥を招く。
【0014】
このようにして、コーティングした鋼ストリップは外観の欠陥が亜鉛ワイピング作業中に拡大されあるいは出現する。
【0015】
これは、前記粒子が取り除かれあるいは壊れる前に、異物がエアーワイピングの噴射によって混入するからであり、したがってより薄い厚みの液体亜鉛の条痕が数mmから数cmの範囲の長さで発生する。
【0016】
亜鉛粒子および湯垢を液体シールの表面から除去する種々の解決策が提案されてきた。
【0017】
これらの欠点を避ける第1の解決策は、酸化亜鉛および湯垢を浴からポンプで汲み出すことによって液体シールの表面を清浄化することである。
【0018】
これらのポンプ汲み出し作業はただポンプ汲み出しを行う液体シールの表面の非常に局部的な点のみを清浄化し、その作業の効果と範囲は非常に小さく、鋼ストリップが通過する液体シールを完全に清浄化することは保障されない。
【0019】
第2の解決策は、金属シートまたはセラミックプレートをこの液体シールに配置することによって鋼ストリップが通過する点の液体シールの面積を減少させ、表面に存在するいくつかの粒子をストリップから遠ざけて、このストリップによる液体シールの自己クリーニングを行わせることである。
【0020】
この構成は液体シールの表面に存在する全ての粒子を遠ざけないし、自己クリーニング作用は液体シールの面積が小さいほど大きく、これは工業的な運転条件には両立しない。
【0021】
さらに、所定の運転時間の後、プレート外側の粒子の蓄積物はますます大きくなり、粒子のクラスターが分離して鋼ストリップの上に再び戻ってくる。
【0022】
液体シールの表面に浮かべた追加のプレートも亜鉛塵芥を捕捉する好ましい部位を形成する。
【0023】
他の解決策はダクト中の液体シールの表面にフレームを追加し、鋼ストリップを囲むことである。
【0024】
この構成は鋼ストリップの動きに起因する酸化亜鉛および湯垢の混入に伴う全ての欠陥を取り去ることはできない。
【0025】
これは、液体シール部で亜鉛蒸気がフレームの壁に凝縮し、浸漬したストリップの振動あるいは熱的な不均一さによる微小な撹乱でフレームの壁が汚され、こうして異物の滞留する領域となるからである。
【0026】
したがってこの解決策はそれ自体が欠陥の追加の原因になる前の数時間、最善でも数日間だけ運転することができる。
【0027】
このように、この解決策は液体シールのほんの部分的な対処であって、外観欠陥のない表面を求める顧客の要求を満足させるだけの、きわめて低い欠陥密度を達成することはできない。
【0028】
また知られていることは、溶融金属浴を補充することによって液体シールを清浄化する解決策である。
【0029】
補充はポンプ移送する液体亜鉛を鋼シートが浸漬される領域の近くの浴に導入することで達成される。
【0030】
この解決策を実施するには多くの困難さがある。
【0031】
これはオーバーフロー効果を得るためには非常に高いポンプ移送速度が必要であり、液体シール部に噴射するポンプ移送の亜鉛は亜鉛浴中で発生した湯垢を含むからである。
【0032】
さらに、液体亜鉛を補充するパイプはそれを浸漬する前に鋼ストリップ上にスクラッチを発生させ、液体シール上部の凝縮した亜鉛蒸気の堆積によって、それ自体欠陥の原因となる。
【0033】
また、亜鉛を液体シール部に補充するプロセスで、この補充が、鋼ストリップを囲んで液体シールの表面に現れるステンレススチール製ボックスによって達成されるプロセスも知られている。ポンプがこのようにして作られたオーバーフローに混入した粒子を吸い取り、それらを浴の容積中に吐出する。
【0034】
このプロセスはまた、底部ローラ上の浴の容積中のストリップを囲むボックスが密閉できない限り、恒久的にオーバーフロー効果を維持するためには非常に高いポンプ移送速度を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明の一目的は、上述の欠点を回避し、外観欠陥のない表面を求める顧客の要求を満足させるだけの、きわめて低い欠陥密度を達成することのできる、金属ストリップの連続亜鉛めっきプロセスおよび装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
したがって本発明の主題は、金属ストリップがダクトを通って保護雰囲気中を連続的に進み、ダクトの下部が前記浴の表面とこのダクトの内部とで液体シールを画定するように液体金属浴中に浸漬され、金属ストリップが金属浴中に置かれた偏向ローラの周りで向きを変え、コーティングした金属ストリップが金属浴を離れる際にワイピングされる、液体金属浴を含むタンク中の金属ストリップの連続浸漬コーティングプロセスであって、前記ダクト内に作られた、それぞれその下部でダクトを延ばす内壁を有する、少なくともストリップ側に面した2つのオーバーフロー区画内に、液体シール表面からの液体金属の自然流が設定され、区画の上端が前記表面の下方に位置し、これらの区画の液体金属の落下高さ(drop in height)は酸化金属粒子および金属間化合物粒子が液体金属流の対向流として浮上しないように決定され、前記区画内の液体金属のレベルが液体シールの表面以下に維持されることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の主題はまた、金属ストリップの連続高温浸漬コーティング装置であって、
液体金属浴を含むタンクと、
金属ストリップが保護雰囲気中で中を進むダクトであって、そのダクトの下部が前記浴の表面とこのダクトの内部とで液体シールを画定するように液体金属浴中に浸漬されるダクトと、
金属ストリップの向きを変えるために金属浴中に置かれたローラと、
金属浴を離れる際にコーティングした金属ストリップをワイピングする手段とを含む種類の装置であり、
ダクトが、その下部でストリップの各々の側に面して、液体シールの表面に向けられた内壁によって延ばされ、その内壁の上端が前記表面の下方に位置し、前記複数の壁が、この表面からこの区画へ液体金属の自然流が設定されるように、前記区画内の液体金属のレベルを液体シールの表面以下のレベルに維持する手段を備える2つの液体金属オーバーフロー区画を形成し、酸化金属粒子および金属間化合物粒子が液体金属流の対向流として浮上しないように、前記区画の液体金属の落下高さが50mmよりも高いことを特徴とする。
【0038】
本発明の他の形態によれば、
各区画の内壁がタンクの底に向かって開く(flare)下部および金属ストリップと平行な上部を有し、
各区画の液体金属の落下高さが100mmよりも高く、
区画中の液体金属のレベルを維持する手段は、前記区画の各々の吸引側に接続パイプを経由して接続され、引き抜かれた金属を浴の容積の中へ放出するパイプを吐出側に備えるポンプによって形成され、
装置が、各区画中の液体金属のレベルを表示する手段を含み、
表示手段が、ダクトの外側に配置された、接続パイプを経由して各区画の底に接続される貯蔵室によって形成され、
ダクトが、その下部で金属ストリップの各側部端に面して、液体シールの表面に向けられた内壁によって延ばされ、その内壁の上端が前記表面の下方に配置されて液体金属のオーバーフロー区画を形成する。
【0039】
本発明のさらなる特徴と利点は、添付の図面を参照しながら、以下の例示としての説明によって明らかになろう。
【0040】
以下に、金属ストリップの連続亜鉛めっき装置の説明を行う。しかし本発明は、表面汚染が発生する可能性があり、清浄な液体シールを維持すべきいかなる連続浸漬コーティングプロセスにも適用される。
【0041】
第1に、冷間圧延機を出た後、鋼ストリップ1は、冷間圧延作業に起因するかなりの硬化作業後にそれを再結晶化させ、その表面の化学的状態が亜鉛めっき作業に必要な化学反応に有利になるよう準備する目的で、還元雰囲気中アニーリング炉(図示されていない)を通過させる。
【0042】
鋼ストリップはこの炉で例えば約650〜900℃に加熱される。
【0043】
アニーリング炉を出た後、鋼ストリップ1は図1に全体的に10で示される亜鉛めっき装置を通過する。
【0044】
この装置10は、アルミニウムおよび鉄などの化学元素、および可能な添加剤、特に鉛およびアンチモンなどを含有する液体亜鉛の浴12を収容するタンク11を含む。
【0045】
この液体亜鉛の浴の温度は約460℃である。
【0046】
アニーリング炉を通過した後、鋼ストリップ1は熱交換器によって液体亜鉛浴の温度近くまで冷却され、次いで液体亜鉛浴12の中に浸漬される。
【0047】
この浸漬の間に鋼ストリップ1の表面にFe−Zn−Al合金が形成され、この合金は鋼ストリップとワイピングの後の前記鋼ストリップ1上に残った亜鉛との間を結合させる。
【0048】
図1に示すように、亜鉛めっき装置10は、その中を鋼ストリップ1が鋼を保護する雰囲気中で進むダクト13を含む。
【0049】
このダクト13は「筒口」とも呼ばれ、図に示す例示では長方形の断面を有する。
【0050】
このダクト13の下部13aは、前記浴12の表面とこのダクト13の内部で液体シール14が画定されるように金属浴12の中に浸漬される。
【0051】
このようにして、鋼ストリップ1は液体亜鉛浴12に浸漬される際に、ダクト13の下部13a中の液体シール14の表面を通過する。
【0052】
鋼ストリップ1は通常底部ローラと呼ばれる、亜鉛浴12中に置かれたローラ15によって向きを変えられる。この亜鉛浴12を出る際に、コーティングした鋼ストリップ1は、例えばエアースプレーノズル16aからなる、液体亜鉛コーティングの厚さを制御するための鋼ストリップ1の各両側に向けられたワイピング手段16を通過する。
【0053】
図1および2に示すように、ダクト13の下部13aは、偏向ローラ15と同じ側にあるストリップ1側に面する側に、液体シール14の表面に向かう内壁20によって延ばされ、ダクト13の前記下部13aで、第1の液体亜鉛オーバーフロー区画25を作る。
【0054】
内壁20の上端21は、前記シール14のこの表面からこの区画25へ液体亜鉛の自然流が設定されるように、液体シール14の表面の下方に位置している。
【0055】
同様に、偏向ローラ15とは反対側に配置されたストリップ1の側に面するように位置するダクト13の下部13aが、液体シール14の表面に向けられた内壁26によって延ばされ、前記下部13aで液体亜鉛がオーバーフローする第2の区画29を作る。
【0056】
内壁26の上端27は液体シール14の表面の下方に位置し、前記液体シール14のこの表面からこの区画29に向かう液体亜鉛の自然流が設定されるように、区画29には前記区画中の液体亜鉛のレベルを液体シール14の表面の下方のレベルに維持する手段が提供される。
【0057】
区画25および29内の液体金属の落下高さは、酸化金属粒子および金属間化合物粒子が液体金属流の対向流として浮上しないように決定され、この高さは50mm以上、好ましくは100mm以上である。
【0058】
内壁20および26は、タンク11に向けて開く下部を有することが好ましい。区画25および29の内壁20および26は、ステンレススチールで作られ、厚さが10〜20mmである。
【0059】
第1の実施形態によれば、図3に示すように、内壁20および26の上端21および27は直線であり、テーパ付きが好ましい。
【0060】
第2の実施形態によれば、図4に示すように、内壁20および26の上端21および27は長さ方向に連続的に窪み22および突起23を含む。
【0061】
窪み22および突起23は円弧の形状をしており、前記窪みおよび前記突起との間の高さの差「a」は5〜10mmであるのが好ましい。
【0062】
加えて、窪み22および突起23の間の距離「d」は、例えば150mm程度である。
【0063】
さらにこの実施形態では、内壁20および26の上端21および27はテーパ付きであることが好ましい。
【0064】
他の実施形態によれば、区画25または29の上端21または27の1つは直線状であることができ、他は連続する窪みおよび突起を含むことができる。
【0065】
オーバーフロー区画25および29中の液体亜鉛のレベルを維持する手段は、前記区画25および29の吸引側にそれぞれ接続パイプ31および33を経由して接続されるポンプ30によって形成される。
【0066】
ポンプ30はパイプ32で吐出側に適応され、引き抜いた亜鉛が浴12の容積に放出される。
【0067】
さらに、装置はオーバーフロー区画25および29中の液体亜鉛のレベルを表示する手段または液体亜鉛のレベルが表示される何らかの他の手段を含む。
【0068】
この好ましい実施形態では、これらの表示手段はダクト13の外側に配置され、オーバーフロー区画25および29の各々の底にそれぞれ接続パイプ36および37を経由して接続される貯蔵室35によって形成される。
【0069】
図1に示すように、ポンプ30がオーバーフロー区画25および29に接続される点は貯蔵室35が前記区画25および29に接続される点の上方に位置する。
【0070】
外部貯蔵室35を追加することによって、オーバーフロー区画25および29のレベルをダクト13の下部13aの外の、都合の良い環境に移行することができ、このレベルを容易に検出することができる。この目的のために、貯蔵室35は液体亜鉛レベル検出器、例えば警報ランプを供給する接触器、レーダーまたはレーザービームなどを備えてもよい。
【0071】
図5に示した変形例によれば、ダクト13がその下部で鋼ストリップ1の各側端部に面して液体シール14の表面に向けられた内壁40によって延ばされ、内壁40の上端41が前記液体シール14の表面の下方に位置する。
【0072】
各内壁41はダクト13の下部で液体亜鉛のオーバーフロー区画42を作る。
【0073】
一般に、鋼ストリップ1はダクト13を経由して亜鉛浴12に、また液体シール14に浸入し、このストリップは浴から出る酸化亜鉛および湯垢を混入し、このようにしてコーティングに外観の欠陥が生じる。
【0074】
この欠点を防止するために、液体シール14の面積が内壁20と26によって縮小され、前記内壁20と26の間に隔離された液体シール14の表面はオーバーフロー区画25および29へと流れ、前記区画25および29の内壁20および26の上端21および27を越えて通過する。
【0075】
液体シール14の表面に浮上して外観欠陥の原因となる酸化物粒子および湯垢または他の粒子は、オーバーフロー区画25および29の中に浮遊して運ばれ、これらの区画25および29に含まれる液体亜鉛は、液体シールの表面からこれらの区画25および29へ亜鉛が自然に流れる十分低いレベルを維持するようにポンプ移送される。
【0076】
このようにして、壁20と26の間で隔離された液体シール14の自由表面は恒久的に補充され、これらの区画25および29からポンプ30によって吸い上げられた液体亜鉛は、放出パイプ32によって亜鉛浴12中へ噴射される。
【0077】
このようにして作られた効果によって、鋼ストリップ1は浸漬の際に恒久的に清浄化された液体シール14の表面を経て進み、亜鉛浴12から最小の欠陥をもって現れる。
【0078】
外部貯蔵室35はオーバーフロー区画25および29の液体亜鉛のレベルを検出し、例えばタンク11へ導入される亜鉛インゴットに作用することによって、このレベルを浴12以下に維持するように調節するために使用される。
【0079】
装置がオーバーフロー区画25および29に追加して2つの側部のオーバーフロー区画42を含む場合、装置の効果は大きく増加する。
【0080】
本発明による装置の利点によって、コーティングされた鋼ストリップ表面の欠陥密度は大きく減少し、このようにして得たこのコーティング表面の品質は、部品に外観欠陥のない表面を求める顧客の要求基準を満足する。
【0081】
本発明はいかなる金属浸漬コーティングプロセスにも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明による連続浸漬コーティング装置の側面を示す概略図である。
【図2】図1のダクトのライン2−2上を示す断面図である。
【図3】本発明による第1の実施形態の装置のオーバーフロー区画の上端の側面を示す概略図である。
【図4】本発明による第2の実施形態の装置のオーバーフロー区画の上端の側面を示す概略図である。
【図5】本発明による装置のダクトの変形例の断面を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ストリップ(1)を保護雰囲気中でダクト(13)を通って連続的に進ませ、その下部(13a)を液体金属浴(12)に浸漬して前記浴の表面とこのダクト(13)の内部で液体シール(14)を画定し、金属ストリップ(1)を金属浴(12)中に置かれた偏向ローラ(15)の周りで方向を変え、コーティングした金属ストリップ(1)が金属浴(12)を離れる際にワイピングされる、液体金属浴(12)を含むタンク(11)中で金属ストリップ(1)を連続的に浸漬コーティングするプロセスであって、前記ダクト(13)中に作られ、それぞれダクト(13)をその下部で延ばしてストリップ(1)の各側に面した内壁(20、26)を有する、2つのオーバーフロー区画(25、29)内に、液体シール(14)の表面からの液体金属の自然流が生起され、各オーバーフロー区画(25、29)の上端(21、27)が前記表面よりも下方に位置し、これらの区画(25、29)の液体金属の落下高さが酸化金属粒子および金属間化合物粒子が液体金属流の対向流として浮上しないように決定され、前記区画(25、29)内の液体金属のレベルが液体シール(14)の表面以下に維持されることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
金属ストリップ(1)の連続高温浸漬コーティング装置であって、
液体金属浴(12)を含むタンク(11)と、
金属ストリップ(1)が保護雰囲気中で中を進むダクト(13)であって、そのダクト(13)の下部(13a)が前記浴(12)の表面とこのダクト(13)の内部とで液体シール(14)を画定するように液体金属浴(12)中に浸漬されるダクトと、
金属ストリップ(1)の向きを変えるために金属浴(12)中に置かれたローラ(15)と、
亜鉛浴(12)を離れる際にコーティングした金属ストリップ(1)をワイピングする手段(16)とを含む種類の装置であり、
ダクト(13)が、その下部(13a)でストリップ(1)の各側に面して液体シール(14)の表面に向けられた内壁(20、26)によって延ばされ、その内壁の上端(21、27)が前記表面の下方に位置し、前記壁(20、26)が、液体金属の2つのオーバーフロー区画(25、29)を形成し、液体シール(14)の表面からこれらの区画(25、29)への液体金属の自然流が生起されるように、前記区画(25、29)内の液体金属のレベルを液体シール(14)の表面以下のレベルに維持する手段(30)を備え、酸化金属粒子および金属間化合物粒子が液体金属流の対向流として浮上しないように、前記区画の液体金属の落下高さが50mmよりも高いことを特徴とする装置。
【請求項3】
各区画(25、29)の液体金属の落下高さが100mmよりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
各区画(25、29)の内壁(20、26)がタンク(11)の底に向かって開く下部および金属ストリップ(1)と平行な上部を有することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
各区画(25、29)の内壁(20、26)の上端(21、27)が直線であることを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
【請求項6】
各区画(25、29)の内壁(20、26)の上端(21、27)が、長さ方向に連続的に窪み(22)および突起(23)を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
【請求項7】
窪み(22)および突起(23)が円弧の形状をしていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
窪み(22)と突起(23)の間の高さの差が5〜10mmであることを特徴とする請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
窪み(22)と突起(23)の間の距離が150mm程度であることを特徴とする請求項6または7に記載の装置。
【請求項10】
各区画(25、29)の内壁(20、26)の上端(21、27)がテーパ付きであることを特徴とする請求項2から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
各区画(25、29)の内壁(20、26)がステンレススチールで作られ、厚さが例えば10〜20mmであることを特徴とする請求項2から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
区画(25、29)中の液体金属のレベルを維持する手段が、吸引側で前記区画の各々に接続パイプ(31、33)を経由して接続される、引き抜いた液体金属を浴(12)の容積の中へ開放するパイプ(32)を送達側に備えるポンプ(30)によって形成されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項13】
各区画(25、29)中の液体金属のレベルを表示する手段(35)を含むことを特徴とする請求項2から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
表示手段が、ダクト(13)の外側に配置されて各区画(25、29)の底に接続パイプ(36、37)を経由して接続される貯蔵室(35)によって形成されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
ポンプ(30)が各区画(25、29)に接続される点が、貯蔵室(35)が各区画(25、29)に接続される点の上方に位置することを特徴とする請求項12および14に記載の装置。
【請求項16】
貯蔵室(35)が各区画(25、29)の液体金属の緩衝容器を形成することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
貯蔵室(35)が液体金属レベル検出器を備えることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項18】
ダクト(13)が、その下部(13a)で金属ストリップ(1)の各側端部に面して液体シール(14)の表面に向けられた内壁(40)によって延ばされ、その上端(41)が前記表面の下方に位置し、液体金属オーバーフロー区画(42)を形成することを特徴とする請求項2から17のいずれか一項に記載の装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ストリップ(1)を保護雰囲気中でダクト(13)を通って連続的に進ませ、その下部(13a)を液体金属浴(12)に浸漬して前記浴の表面とこのダクト(13)の内部で液体シール(14)を画定し、金属ストリップ(1)を金属浴(12)中に置かれた偏向ローラ(15)の周りで方向を変え、コーティングした金属ストリップ(1)が金属浴(12)を離れる際にワイピングされる、液体金属浴(12)を含むタンク(11)中で金属ストリップ(1)を連続的に浸漬コーティングするプロセスであって、
前記ダクト(13)中に作られ、それぞれダクト(13)をその下部で延ばしてストリップ(1)の各側に面した内壁(20、26)を有する、2つのオーバーフロー区画(25、29)内に、液体シール(14)の表面からの液体金属の自然流が生起され、各オーバーフロー区画(25、29)の上端(21、27)が前記表面よりも下方に位置し、これらの区画(25、29)の液体金属の落下高さが酸化金属粒子および金属間化合物粒子が液体金属流の対向流として浮上しないように50mmよりも高く維持され、前記区画(25、29)内の液体金属のレベルが液体シール(14)の表面以下に維持され、オーバーフロー区画(25、29)の液体金属のレベルが調節のために検出されることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
金属ストリップ(1)の連続高温浸漬コーティング装置であって、
液体金属浴(12)を含むタンク(11)と、
金属ストリップ(1)が保護雰囲気中で中を進むダクト(13)であって、そのダクト(13)の下部(13a)が前記浴(12)の表面とこのダクト(13)の内部とで液体シール(14)を画定するように液体金属浴(12)中に浸漬されるダクトと、
金属ストリップ(1)の向きを変えるために金属浴(12)中に置かれたローラ(15)と、
亜鉛浴(12)を離れる際にコーティングした金属ストリップ(1)をワイピングする手段(16)とを含む種類の装置であり、
ダクト(13)が、その下部(13a)でストリップ(1)の各側に面して液体シール(14)の表面に向けられた内壁(20、26)によって延ばされ、その内壁の上端(21、27)が前記表面の下方に位置し、前記壁(20、26)が、液体金属の2つのオーバーフロー区画(25、29)を形成し、液体シール(14)の表面からこれらの区画(25、29)への液体金属の自然流が生起されるように、前記区画(25、29)内の液体金属のレベルを液体シール(14)の表面以下のレベルに維持する手段(30)を備え、酸化金属粒子および金属間化合物粒子が液体金属流の対向流として浮上しないように、前記区画の液体金属の落下高さが50mmよりも高く、
前記区画(25、29)内の液体金属のレベルを維持する手段が、該区画の各々の吸引側に接続パイプ(31、33)を経由して接続され、引き抜いた液体金属を浴(12)の容積の中へ放出するパイプ(32)を吐出側に備えるポンプ(30)によって形成され、
前記装置は更に、各区画(25、29)中の液体金属のレベルを表示する手段(35)を含んでいることを特徴とする装置。
【請求項3】
各区画(25、29)の液体金属の落下高さが100mmよりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
各区画(25、29)の内壁(20、26)がタンク(11)の底に向かって開く下部および金属ストリップ(1)と平行な上部を有することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項5】
各区画(25、29)の内壁(20、26)の上端(21、27)が直線であることを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
【請求項6】
各区画(25、29)の内壁(20、26)の上端(21、27)が、長さ方向に連続的に窪み(22)および突起(23)を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
【請求項7】
窪み(22)および突起(23)が円弧の形状をしていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
窪み(22)と突起(23)の間の高さの差が5〜10mmであることを特徴とする請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
窪み(22)と突起(23)の間の距離が150mmであることを特徴とする請求項6または7に記載の装置。
【請求項10】
各区画(25、29)の内壁(20、26)の上端(21、27)がテーパ付きであることを特徴とする請求項2から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
各区画(25、29)の内壁(20、26)がステンレススチールで作られることを特徴とする請求項2から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
各区画(25、29)の内壁(20、26)の厚さが10〜20mmであることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
表示手段が、ダクト(13)の外側に配置されて各区画(25、29)の底に接続パイプ(36、37)を経由して接続される貯蔵室(35)によって形成されることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項14】
貯蔵室(35)が各区画(25、29)の液体金属の緩衝容器を形成することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
貯蔵室(35)が液体金属レベル検出器を備えることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項16】
ダクト(13)が、その下部(13a)で金属ストリップ(1)の各側端部に面して液体シール(14)の表面に向けられた内壁(40)によって延ばされ、その上端(41)が前記表面の下方に位置し、液体金属オーバーフロー区画(42)を形成することを特徴とする請求項2から15のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−63453(P2006−63453A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−294440(P2005−294440)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【分割の表示】特願2002−541137(P2002−541137)の分割
【原出願日】平成13年11月7日(2001.11.7)
【出願人】(590002932)
【氏名又は名称原語表記】SOLLAC
【Fターム(参考)】