説明

金属ナノ粒子を含む不均一系触媒を製造するための方法

金属塩及び多孔質支持材料を含む溶媒にモノマーを添加し、支持材料の孔中に金属を分配して固定する時間、溶媒を攪拌する。次いで溶媒中に分散した固体を液体から分離し、乾燥し、焼成して不均一系触媒を生成する。添加するモノマーは、溶媒中で重合してオリゴマー若しくはポリマー、又はその両者を生成することができる種類のものである。白金を含む不均一系触媒を生成する場合には、好ましいモノマーとしてアクリル酸を選択する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
[発明の分野]
[0001]本発明は一般に、担持触媒の製造に関し、より詳しくは、不均一系触媒のための支持材料全体に分散した金属ナノ粒子を含む不均一系触媒を製造するための方法に関する。
【0002】
[関連技術の説明]
[0002]燃料、潤滑剤、ポリマー、繊維、薬剤、及び他の化学物質等の多くの工業製品は、触媒の使用なしには製造できないであろう。触媒はまた、汚染物質、特にエネルギーの生産の際及び自動車によって生成する大気汚染物質の減少のために重要である。多くの工業用触媒は、化学的に活性な金属ナノ粒子(即ちナノメートルサイズの金属粒子)がその上に分散した表面積の大きな支持材料からなっている。この支持材料は、1gあたり数百平方メートルのオーダーの表面積を有する、一般に不活性なセラミック型の材料である。この高い比表面積のために、通常、複雑な内部孔システムが必要となる。金属ナノ粒子はこの支持体の上に堆積し、この内部孔システムにわたって分散し、一般に1〜100ナノメートルのサイズである。
【0003】
[0003]担持触媒を製造するプロセスは何年も前から存在している。白金触媒を製造するそのような1つのプロセスには、たとえばアルミナ等の支持材料を塩化白金酸等の金属塩溶液に接触させる方法が含まれる。このプロセスにおいて、塩溶液は支持体の孔に「浸透」し、或いは孔を満たす。この浸透の後に、塩溶液を含む支持体を風乾し、孔の中に金属塩を沈殿させる。次に結晶化した金属塩を含む支持体を水素又は一酸化炭素ガス雰囲気に曝し、固体金属塩を金属粒子に還元する。
【0004】
[0004]担持触媒を製造する別のプロセスには、支持材料を金属塩溶液に接触させ、適当な還元剤を用いてその金属イオンをin situで金属粒子に還元するステップが含まれる。以下はこのプロセスの例である。英国特許第1282138号明細書には、グルコース、ヒドロキシルアミン塩酸塩、及びヒドラジンを含む種々の還元剤を用いて金属触媒を調製するための方法が教示されている。米国特許第4086275号明細書には、in situ還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを用いて銅触媒を調製するための方法が教示されている。米国特許第4835131号明細書には、シリカ上のモリブデン触媒、γ−アルミナ上の銅触媒、シリカ上の銀触媒及びγ−アルミナ上の銀触媒を調製するための方法が教示されている。これらの触媒を調製するために用いられる還元剤には、ヒドラジン、水酸化アンモニウム、及びホルムアルデヒドが含まれる。米国特許第5275998号明細書及び第5275999号明細書には、ヒドラジン水和物、アスコルビン酸、及び水素化ホウ素ナトリウムを含む種々の還元剤を用いて炭素支持体上及びアルミナ支持体上の金属触媒を調製するための方法が教示されている。これらの特許に従って、エチレン及び/又はアセチレンの存在下(米国特許第5275998号明細書)又は一酸化炭素の存在下(米国特許第5275998号明細書)に調製ステップを実施すれば、非常に小さな金属粒子サイズ(平均サイズ2ナノメートル以下)を有する担持触媒を製造することができる。米国特許第6686308号明細書には、還元剤としてクエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウムを用いてシリカ上の金属触媒を調製するための方法が教示されている。この特許にはまた、スルファニル酸ナトリウムを含むコロイド安定剤の使用が教示されており、また還元剤としても作用し得るコロイド安定剤、即ちクエン酸アンモニウム、クエン酸カリウム、及びクエン酸ナトリウムの使用が好ましいことが開示されている。
【0005】
[発明の概要]
[0005]本発明は、担持金属触媒を調製するための付加的な方法を提供する。本発明の実施形態によれば、金属塩及び多孔質支持材料を含む溶媒にモノマーを添加し、溶媒をある時間攪拌して支持材料の孔の中で金属塩を沈殿及び/又は還元させる。次いで、溶媒中に分散した固体を液体から分離して乾燥し、焼成して担持触媒を生成させる。溶媒に添加するモノマーは、溶媒中で重合してオリゴマー若しくはポリマー、又はその両者を生成することができる種類のものである。そのようなモノマーとしてアクリル酸が使用できる。
【0006】
[0006]本発明の別の実施形態によれば、最初に還元又は沈殿によって中間的な担持金属触媒を生成させ、次にこの中間的な担持金属触媒及び同種金属の金属塩を溶媒中で混合し、溶媒に固定剤を添加し、溶媒を攪拌して触媒のための支持材料の孔の中で金属塩を沈殿又は還元するさらなるステップを実施し、溶媒中で固体を分離し、分離した固体を乾燥し、これを焼成することによって、担持触媒を調製する。中間的な担持金属触媒を生成させるためのプロセスの間で還元又は沈殿を起こすための固定剤は、使用されている特定の金属−支持体の組み合わせに基づいて選択される。同様に、溶媒に添加される固定剤は、使用されている特定の金属−支持体の組み合わせに基づいて選択される。
【0007】
[0007]本発明のさらに別の実施形態によれば、最初に還元又は沈殿によって中間的な担持金属触媒を生成させ、次にこの中間的な担持金属触媒及び異種金属の金属塩を溶媒中で混合し、溶媒に固定剤を添加し、溶媒を攪拌し、溶媒中で固体を分離し、分離した固体を乾燥し、これを焼成するさらなるステップを実施することによって、担持触媒を調製する。中間的な担持金属触媒を生成させるためのプロセスの間で還元又は沈殿を起こすための固定剤の少なくとも1種及び溶媒に添加する固定剤は、溶媒中で重合してオリゴマー若しくはポリマー、又はその両者を生成することができる種類のモノマーである。そのようなモノマーとしてアクリル酸が使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[0008]本発明の上述の特徴が詳細に理解されるように、上で簡単にまとめた本発明のより詳細な説明が、そのいくつかが添付の図面において説明される実施形態を参考にすることによって得られるであろう。しかしながら、添付の図面は本発明の典型的な実施形態のみを説明することに留意すべきであり、したがってその範囲を限定するものと考えるべきではない。本発明は同様に効果的な他の実施形態を認め得るからである。
【0009】
【図1】[0009]本発明の第1の実施形態に従って触媒を作成するための方法のプロセスフローブロック図である。
【図2】[0010]本発明の第2の実施形態に従って触媒を作成するための方法のプロセスフローブロック図である。
【図3】[0011]本発明の第3の実施形態に従って触媒を作成するための方法のプロセスフローブロック図である。
【図4A】[0012]本発明の実施形態に従って作成された触媒を使用し得る種々のエンジン排気システムの略図である。
【図4B】本発明の実施形態に従って作成された触媒を使用し得る種々のエンジン排気システムの略図である。
【図4C】本発明の実施形態に従って作成された触媒を使用し得る種々のエンジン排気システムの略図である。
【図4D】本発明の実施形態に従って作成された触媒を使用し得る種々のエンジン排気システムの略図である。
【図5】[0013]本発明の実施形態に従って作成された触媒で被覆された基材を示す切断面を有する触媒コンバーターの図である。
【図6】[0014]エンジン排気触媒を調製するためのステップを説明するフロー図である。
【0010】
[詳細な説明]
[0015]図1に、本発明の第1の実施形態に従って触媒を作成するための方法のプロセスフローブロック図を示す。ステップ10において、金属塩及び支持材料を含む溶媒にモノマーを添加する。溶媒に添加するモノマーは、溶媒中で金属と相互作用するいくらかの能力を有し、溶媒中で重合してオリゴマー若しくはポリマー、又はその両者を生成することができる種類のものである。in situ(即ち束縛されていない溶媒中及び/又は支持材料の孔中)でのオリゴマー及び/又はポリマーの生成が望ましい。なぜならそれがナノ粒子の成長を安定化することの助けになるからである。そのようなモノマーとしてアクリル酸が使用でき、これはアルミナ支持体上の白金触媒の調製のための好ましいモノマーである。特定の金属−支持体の組み合わせに依存して使用できる他の種類のモノマーには、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、アクリルアミド、アクリル酸無水物、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸、メタクリル酸無水物、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−アミノエチル塩酸塩、1−ビニルイミダゾール、アリルアミン、ジアリルアミン、4−ビニル安息香酸、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、4−アセトキシスチレン、及びこれらの混合物が含まれる。
【0011】
[0016]ステップ10において、モノマーに加えて固定剤(これは還元剤、沈殿剤又は還元−沈殿剤のハイブリッドであってもよい)を、金属塩及び支持材料を含む溶媒に添加してもよい。適切な固定剤には、アスコルビン酸、フマル酸、酢酸、マレイン酸、H、CO、N、NHOH、アルコール類、クエン酸ナトリウム、カリウム及びアンモニウム等のクエン酸塩、水素化ホウ素ナトリウム及びカリウム等の水素化ホウ素アルカリ金属、グリコール類、及びこれらの混合物が含まれる。
【0012】
[0017]溶媒は、その中に金属塩が適切に溶解でき、十分に高純度で、蒸発、濾過、ポンプ排気、遠心分離、又は他の同様の手段で支持材料から除去できる任意の液体であってよい。そのような溶媒には、これだけに限らないが、水、アルコール、及び他の有機溶媒が含まれる。好ましくは、水又は2回脱イオンした水が用いられる。適切なアルコールには、これだけに限らないが、水を含み、及び含まない、メタノール及びエタノール及びそれらの混合物が含まれる。他の有機溶媒には、水を含み、及び含まない、テトラヒドロフラン、酢酸、エチレングリコール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、及びそれらの混合物が含まれる。
【0013】
[0018]金属塩には、下記の金属:Pt、Pd、Ru、Rh、Re、Ir、Os、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、In、Ga、Sn、Pb、Bi、Sb、Ti、Zr、Cr、Mo、W、V、Nb及びMnの1種又はそれ以上が含まれる。上記の中で、Pt、Pd、Ru、Rh、Re、Cu、Au、Re、Ir、Os及びAgの可溶性塩が好ましい。適切なPt塩には、Pt(NO、(NHPt(NO、HPtCl、KPtCl、(NHPt(OH)、及びClPt(NHが含まれる。適切なAg及びCu塩には、AgNO、AgCHCOO、Cu(NO、Cu(CHCOO)、及びCu(II)アセチルアセトネートが含まれる。適切なPd塩には、Pd(NH(NO及びPd(NOが含まれる。得られる溶液中の金属塩の濃度は好ましくは10−4M〜0.1Mである。得られる溶液中の金属塩の濃度は、最終的な触媒の目標とする担持重量に依存するであろう。
【0014】
[0019]支持材料は、アルミナ、シリカ、バナジウムの酸化物、チタンの酸化物、ジルコニウムの酸化物、鉄の酸化物、酸化セリウム、炭素、ゼオライト、分子篩(molecular sieves)、及びこれらの種々の組み合わせであってよい。これらの支持材料のいずれも、ランタン、他の希土類元素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、硫黄、セレン、テルル、リン、ヒ素、アンチモン、又はビスマスをドープしてもよい。支持材料のドーピングは、図1〜3に示すプロセスの前、その間、又はその後でさえも実施してよい。
【0015】
[0020]金属塩及び支持材料を含む溶媒は、最初に粉末状態で支持材料を溶媒に添加し、溶媒を混合することによって調製することができる。溶液中で支持材料を懸濁状態に保持するため、十分な攪拌が望ましい。必要であれば、このステップの間に温度を調節してもよい。典型的には、15〜30℃の範囲の周囲温度又は室温が用いられる。次に金属塩を、塩溶液の一部として溶解した状態で、又は固体状態で、溶媒に添加する。金属塩を塩溶液の一部として溶解した状態で、又は固体状態で添加した後に、溶媒を混合する。支持材料を懸濁状態に保持するため、十分な攪拌が望ましい。金属塩を溶液中に十分に溶解させ、溶液中のいかなる塩濃度勾配をも減少させるためにも、攪拌が必要である。典型的には、15〜30℃の範囲の周囲温度又は室温が用いられる。しかしながら、所望すれば溶液のpH及び温度を、この時点で調節してもよい。溶液の温度又はpHを調節した場合には、追加的な混合を実施する。
【0016】
[0021]或いは、金属塩及び支持材料を含む溶媒は、最初に金属塩を塩溶液の一部として溶解した状態で、又は固体状態で、溶媒に添加し、ある時間、溶媒を混合し、次に溶媒に支持材料を添加することによって調製できる。別の選択肢として、金属塩と支持材料を同時に溶媒に添加し、次に溶媒中で共に混合してもよい。
【0017】
[0022]ステップ10においてモノマーを添加した後に、溶媒を攪拌する(ステップ12)。支持材料を懸濁状態に保持するために、十分な攪拌が望ましい。支持材料の孔の中での金属塩の沈殿及び/又は還元が起こるように十分に長い時間、混合を実施する。このステップの間、ステップ10で添加するモノマーの種類及びステップ12を実施する条件に基づいて、混合物を加熱又は紫外線照射してもよく、又はAIBN又は種々の種類の過酸化物等の重合開始剤を混合物に添加してステップ10で添加するモノマーの重合を開始又は促進してもよい。
【0018】
[0023]ステップ14において、支持材料を、蒸発、濾過、ポンプ排気、又は遠心分離等の任意の都合のよい方法によって、溶媒から分離する。次にステップ16において、分離した支持材料を、100℃から150℃の間の高温、好ましくは約120℃で、乾燥する。ステップ18において、分離した支持材料を挽いて微粉末にし、空気中で500℃以上の温度で焼成する。焼成は典型的には2〜8時間、高温で実施し、ステップ12でin situで生成し、分離した支持材料の孔の中に残存しているいかなる有機ポリマー等のいかなる有機残留物をも除去する。擂り潰し及びステップ18での焼成にかけられた分離した支持材料は、完成した担持触媒を代表する。
【0019】
[0024]図2に、本発明の第2の実施形態に従って触媒を作成するための方法のプロセスフローブロック図を示す。ステップ20において、固定剤(これは還元剤、沈殿剤又は還元−沈殿剤のハイブリッドであってもよい)を、金属塩及び支持材料を含む溶媒に添加する。溶媒、金属塩、及び支持材料は、第1の実施形態に関連して上述したいかなる種類のものであってもよい。また、金属塩及び支持材料を含む溶媒は、第1の実施形態について上述した方法で調製される。適切な固定剤には、アクリル酸、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、アクリルアミド、アクリル酸無水物、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸、メタクリル酸無水物、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−アミノメチル塩酸塩、1−ビニルイミダゾール、アリルアミン、ジアリルアミン、4−ビニル安息香酸、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、4−アセトキシスチレン、及びこれらの混合物等のモノマー、並びにアスコルビン酸、フマル酸、酢酸、マレイン酸、H、CO、N、NHOH、アルコール類、クエン酸ナトリウム、カリウム及びアンモニウム等のクエン酸塩、水素化ホウ素ナトリウム及びカリウム等の水素化ホウ素アルカリ金属、グリコール類、及びこれらの混合物などの他のものが含まれる。
【0020】
[0025]ステップ20において固定剤を添加した後に、溶媒を攪拌する(ステップ22)。支持材料を懸濁状態に保持するために、十分な攪拌が望ましい。支持材料の孔の中での金属塩の沈殿及び/又は還元を完了させるために十分に長い時間、混合を実施する。ステップ24において、支持材料を、蒸発、濾過、ポンプ排気、又は遠心分離等の任意の都合のよい方法によって、溶媒から分離する。次にステップ26において、分離した支持材料を、100℃から150℃の間の高温、好ましくは約120℃で、乾燥する。ステップ28において、分離した支持材料を挽いて微粉末にし、空気中で500℃以上の温度で焼成する。焼成は典型的には2〜8時間、高温で実施する。擂り潰し及びステップ28で焼成にかけられた分離した支持材料は、中間的な担持触媒を代表する。
【0021】
[0026]ステップ28の後で、分離した支持材料の一部を、ステップ20で溶媒に添加した金属塩と同種の金属を有する金属塩と混合する(ステップ30)。溶媒は、第1の実施形態に関連して上述したいかなる種類のものでもよい。第1の実施形態で述べたように、支持材料を最初に溶媒中に添加してもよいし、金属塩を最初に溶媒中に添加してもよいし、又はこの2者をほぼ同時に溶媒中に添加してもよい。支持材料及び金属塩を溶媒中に添加する順序に関わらず、ステップ32に先立って、支持材料を溶液中で懸濁状態に保持するため及び金属塩を溶液中で完全に溶解させて溶液中のいかなる塩濃度勾配をも減少させるために、溶媒を十分に混合する。典型的には、15〜30℃の範囲の周囲温度又は室温が用いられる。しかしながら、所望すれば溶液のpH及び温度を、この時点で調節してもよい。溶液の温度又はpHを調節した場合には、追加的な混合を実施する。
【0022】
[0027]ステップ32において、固定剤(これは還元剤、沈殿剤又は還元−沈殿剤のハイブリッドであってもよい)を、溶媒に添加する。適切な固定剤には、アクリル酸、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、アクリルアミド、アクリル酸無水物、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸、メタクリル酸無水物、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−アミノメチル塩酸塩、1−ビニルイミダゾール、アリルアミン、ジアリルアミン、4−ビニル安息香酸、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、4−アセトキシスチレン、及びこれらの混合物等のモノマー、並びにアスコルビン酸、フマル酸、酢酸、マレイン酸、H、CO、N、NHOH、アルコール類、クエン酸ナトリウム、カリウム及びアンモニウム等のクエン酸塩、水素化ホウ素ナトリウム及びカリウム等の水素化ホウ素アルカリ金属、グリコール類、及びこれらの混合物などの他のものが含まれる。
【0023】
[0028]ステップ32において固定剤を添加した後に、溶媒を攪拌する(ステップ34)。支持材料を懸濁状態に保持するために、十分な攪拌が望ましい。支持材料の孔の中での金属塩の沈殿及び/又は還元を完了させるために十分に長い時間、混合を実施する。ステップ36において、支持材料を、蒸発、濾過、ポンプ排気、又は遠心分離等の任意の都合のよい方法によって、溶媒から分離する。次にステップ38において、分離した支持材料を、100℃〜150℃の高温、好ましくは約120℃で、乾燥する。ステップ40において、分離した支持材料を挽いて微粉末にし、空気中で500℃以上の温度で焼成する。焼成は典型的には2〜8時間、高温で実施する。擂り潰し及びステップ40で焼成にかけられた分離した支持材料は、最終的な担持触媒を代表する。
【0024】
[0029]第2の実施形態においては、ステップ26及び28を省略してもよい。その場合には、ステップ24で溶媒から分離された支持材料は中間的な担持触媒を代表し、その一部は溶媒中に再分散され、ステップ30において金属塩と混合される。
【0025】
[0030]図3に、本発明の第3の実施形態に従って触媒を作成するための方法のプロセスフローブロック図を示す。ステップ50、52、54、56、58、60、62、64、66、68及び70は、それぞれ第2の実施形態のステップ20、22、24、26、28、30、32、34、36、38及び40に対応し、ステップ60を除いて同じ方式で実施される。ステップ60においては、ステップ50における金属塩とは同じでない金属種を有する金属塩を、溶媒中で中間的な担持触媒と混合する。また、第3の実施形態において、ステップ50において添加する少なくとも1種の固定剤及びステップ62において添加する固定剤は、溶媒中で金属と相互作用するいくらかの能力を有し、溶媒中で重合してオリゴマー若しくはポリマー、又はその両者を生成することができる種類のモノマーである。そのようなモノマーとしてアクリル酸が使用でき、これはアルミナ支持体上の白金触媒の調製のための好ましいモノマーである。特定の金属−支持体の組み合わせに依存して使用できる他の種類のモノマーには、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、アクリルアミド、アクリル酸無水物、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸、メタクリル酸無水物、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−アミノエチル塩酸塩、1−ビニルイミダゾール、アリルアミン、ジアリルアミン、4−ビニル安息香酸、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、4−アセトキシスチレン、及びこれらの混合物が含まれる。
【0026】
[0031]第2の実施形態においてと同じく、第3の実施形態において、ステップ56及び58を省略してもよい。その場合には、ステップ54で溶媒から分離された支持材料は中間的な担持触媒を代表し、その一部は溶媒中に再分散され、ステップ60において金属塩と混合される。
【0027】
[0032]第2及び第3の実施形態による方法の潜在的な利点には、(1)金属粒子の高い分散を維持しつつ、より高い金属濃度をもって触媒を合成することができる能力、及び(2)異種の(潜在的に非相溶性の)金属塩及び/又は還元剤を用いて粒子サイズの制御の強化及び構造の調整をもたらすことができることが含まれる。
【0028】
[0033]図4A〜4Dは、本発明の実施形態による担持金属触媒が使用できる種々のエンジン排気システムの概略図である。エンジン102において発生する燃焼プロセスは、排気システムのテールパイプ108を通して排出される排気流中に、CO、種々の炭化水素類、粒状物質、及び酸化窒素類(NOx)等の有害な汚染物質を生成する。
【0029】
[0034]図4Aの排気システムにおいて、エンジン102からの排気流は、テールパイプ108を通して大気(環境)中に排出される前に、触媒コンバーター104を通過する。触媒コンバーター104は、エンジン102からの排気流を処理するモノリシック基材上に被覆された担持触媒を含む。排気流は、触媒コンバーター104の内部で起こる種々の触媒反応によって処理される。これらの反応には、COの酸化によるCOの生成、炭化水素の燃焼、及びNOのNOへの変換が含まれる。
【0030】
[0035]図4Bの排気システムにおいては、エンジン102からの排気流は、テールパイプ108を通して大気中に排出される前に、触媒コンバーター104及び粒子フィルター106を通過する。触媒コンバーター104は、図4Aの排気システムと同じ方式で作動する。粒子フィルター106は、排気流中の粒状物質、たとえば煤、液体炭化水素類、一般に液状の粒子を捕捉する。任意の形態において、粒子フィルター106は、その上に被覆された、NOの酸化のため及び/又は粒状物質の燃焼を補助するための担持触媒を含む。
【0031】
[0036]図4Cの排気システムにおいては、エンジン102からの排気流は、テールパイプ108を通して大気中に排出される前に、触媒コンバーター104、プレフィルター触媒105及び粒子フィルター106を通過する。触媒コンバーター104は、図4Aの排気システムと同じ方式で作動する。プレフィルター触媒105は、モノリシック基材及びNOの酸化のためにモノリシック基材上に被覆された担持触媒を含む。粒子フィルター106は、排気流中の粒状物質、たとえば煤、液体炭化水素類、一般に液状の粒子を捕捉する。
【0032】
[0037]図4Dの排気システムにおいて、排気流はエンジン102から、テールパイプ108を通して大気中に排出される前に、触媒コンバーター104、粒子フィルター106、選択的触媒還元(SCR)ユニット107及びアンモニアスリップ触媒110を通過する。触媒コンバーター104は、図4Aの排気システムと同じ方式で作動する。粒子フィルター106は、排気流中の粒状物質、たとえば煤、液体炭化水素類、一般に液状の粒子を捕捉する。任意の形態において、粒子フィルター106は、その上に被覆された、NOの酸化のため及び/又は粒状物質の燃焼を補助するための担持触媒を含む。SCRユニット107は、NOx分子種をNに還元するために設置される。SCRユニット107は、アンモニア/尿素ベースでも、炭化水素ベースでもよい。アンモニアスリップ触媒110は、テールパイプ108を通るアンモニアの排出量を減少させるために設置される。代替的な形態においては、SCRユニット107を、粒子フィルター106の前に置く。
【0033】
[0038]排気システムの代替的な形態は、図4A又は1Cの排気システムにおけるSCRユニット107及びアンモニアスリップ触媒110の設置、及び図4A、4B又は4Cの排気システムにおけるアンモニアスリップ触媒110なしのSCRユニット107のみの設置を含む。
【0034】
[0039]図4B、4C又は4Dの排気システム中の粒子フィルターに粒子が捕捉されるにつれて、粒子フィルターの効率が低下し、粒子フィルターを再生することが必要になる。粒子フィルターの再生は受動的又は能動的であり得る。受動的再生は、NOの存在下で自動的に起こる。即ち、NOを含む排気流が粒子フィルターを通過する際に、受動的再生が起こる。再生の間、粒子は酸化され、NOはNOに変換されて戻る。一般に、NO量が多いと再生性能が改善され、したがってこのプロセスは一般にNO補助酸化と称される。しかし、NOが多すぎるのは望ましくない。なぜなら、過剰のNOが大気中に放出され、NOはNOよりも有害な汚染物質と考えられるからである。再生に用いられるNOは、エンジン内で燃焼中に、触媒コンバーター104でNOの酸化により、プレフィルター触媒105でNOの酸化により、及び/又は粒子フィルター106の触媒化された物におけるNOの酸化により、生成され得る。
【0035】
[0040]能動的再生は、粒子フィルター106を加熱して粒子を酸化することにより実施される。より高い温度においては粒子の酸化におけるNOの補助の重要性は低下する。粒子フィルター106の加熱は、当技術において知られた種々の方法によって実施できる。1つの方法は、粒子フィルター106を粒子燃焼温度に加熱する燃料バーナーを用いることである。別の方法は、粒子フィルターの負荷が予め決定したレベルに達したときにエンジンの出力を変更することによって排気流の温度を上昇させることである。
【0036】
[0041]本発明は、図4A〜4Dに示された触媒コンバーター104において、又は一般にディーゼル酸化触媒としてのディーゼルフィルター触媒、アンモニアスリップ触媒、SCR触媒を含む、若しくは三元触媒の1成分としての、任意の車両排出制御システムにおける触媒として使用されるべき担持金属触媒の実施形態を提供する。
【0037】
[0042]図5は、本発明の実施形態に従ってエンジン排気触媒が被覆された基材210を示す断面図を有する触媒コンバーターの説明図である。基材210の分解図は、基材210が、エンジン排気触媒がスラリー状態で流入して基材210上に被覆物220を形成する複数の流路を有するハニカム構造を有することを示している。
【0038】
[0043]図6は、図5の基材210を用いてエンジン排気触媒を調製するためのステップを図示するフロー図である。ステップ410において、担持金属触媒、たとえば白金−パラジウム触媒が調製される。図5に示す基材210等のモノリシック基材が、ステップ414において提供される。例示的なモノリシック基材には、セラミック(たとえばコージライト)、金属、又はシリコンカーバイド系の基材が含まれる。次に、粉末状の担持金属触媒を溶媒中に混合してスラリーを形成し(ステップ416)、次いでスラリーをモノリシック基材に被覆する(ステップ418)。
【0039】
[0044]以下の実施例は、本発明の実施形態を説明及び例示するために役立つ。
【0040】
実施例1:アルミナ上のPt(1%)
[0045]アルミナ(アルミナはBET表面積140m/gを有する)4gをHO 17mlに加え、室温で20分攪拌する。この系にPt(NO(40mg/mlPt)溶液1.0mlを加え、室温で60分攪拌する。この系にアクリル酸(99%の純度を有する)0.5mlを加え、室温で2時間、攪拌を継続する。濾過して、この系から固体を分離する。分離した固体を120℃で2時間、乾燥し、挽いて微粉末とし、これを空気中で2時間、500℃で焼成する。
【0041】
実施例2:アルミナ上のPt(3%)
[0046]アルミナ(アルミナはBET表面積140m/gを有する)4gをHO 17mlに加え、室温で20分攪拌する。この系にPt(NO(100mg/mlPt)溶液1.2mlを加え、室温で60分攪拌する。この系にアクリル酸(99%の純度を有する)1.5mlを加え、室温で2時間、攪拌を継続する。濾過して、この系から固体を分離する。分離した固体を120℃で2時間、乾燥し、挽いて微粉末とし、これを空気中で2時間、500℃で焼成する。
【0042】
実施例3:La−ドープアルミナ上のPt(1%)
[0047]La−ドープアルミナ(4重量%のLaをドープした、BET表面積200m/gを有するアルミナ)4gをHO 19mlに加え、室温で20分攪拌する。この系にPt(NO(100mg/mlPt)溶液0.4mlを加え、室温で60分攪拌する。この系にアクリル酸(99%の純度を有する)0.5mlを加え、室温で2時間、攪拌を継続する。濾過して、この系から固体を分離する。分離した固体を120℃で2時間、乾燥し、挽いて微粉末とし、これを空気中で2時間、500℃で焼成する。
【0043】
実施例4:La−ドープアルミナ上のPt(3%)
[0048]La−ドープアルミナ(4重量%のLaをドープした、BET表面積200m/gを有するアルミナ)4gをHO 17.3mlに加え、室温で20分攪拌する。この系にPt(NO(100mg/mlPt)溶液1.2mlを加え、室温で60分攪拌する。この系にアクリル酸(99%の純度を有する)1.5mlを加え、室温で2時間、攪拌を継続する。濾過して、この系から固体を分離する。分離した固体を120℃で2時間、乾燥し、挽いて微粉末とし、これを空気中で2時間、500℃で焼成する。
【0044】
実施例5:La−ドープアルミナ上のPt(3%)
[0049]La−ドープアルミナ(4重量%のLaをドープした、BET表面積200m/gを有するアルミナ)4gをHO 17.3mlに加え、室温で20分攪拌する。この系にPt(NO(100mg/mlPt)溶液1.2mlを加え、室温で60分攪拌する。この系にアクリル酸(99%の純度を有する)1.5mlを加え、室温で10分、攪拌を継続する。温度を100℃に上昇させて1時間攪拌し、次いで温度を室温に低下させる。濾過して、この系から固体を分離する。分離した固体を120℃で2時間、乾燥し、挽いて微粉末とし、これを空気中で2時間、500℃で焼成する。
【0045】
実施例6:La−ドープアルミナ上のPt(3%)
[0050]La−ドープアルミナ(4重量%のLaをドープした、BET表面積200m/gを有するアルミナ)4gをHO 15.3mlに加え、室温で20分攪拌する。この系にPt(NO(100mg/mlPt)溶液1.2mlを加え、室温で60分攪拌する。この系にアクリル酸(99%の純度を有する)1.5mlを加え、室温で10分、攪拌を継続する。次にこの系にHO 2mlに懸濁した2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)18mgを加えて室温で60分、攪拌を継続する。濾過して、この系から固体を分離する。分離した固体を120℃で2時間、乾燥し、挽いて微粉末とし、これを空気中で2時間、500℃で焼成する。
【0046】
実施例7:La−ドープアルミナ上のPt(1%)(逐次的方法)
[0051]La−ドープアルミナ(4重量%のLaをドープした、BET表面積200m/gを有するアルミナ)30gをHO 145mlに加え、室温で20分攪拌する。この系にPt(NO(100mg/mlPt)溶液1.5mlを加え、室温で60分攪拌する。この系にアクリル酸(99%の純度を有する)3.75mlを加え、室温で2時間、攪拌を継続する。濾過して、この系から固体を分離する。分離した固体を120℃で2時間、乾燥し、挽いて微粉末とし、これを空気中で2時間、500℃で焼成する。分離した固体を焼成した後に、その4gをHO 19.3mlに加え、室温で20分攪拌する。この系にPt(NO(100mg/mlPt)溶液0.2mlを加え、室温で60分攪拌する。この系にアクリル酸(99%の純度を有する)0.5mlを加え、室温で2時間、攪拌を継続する。濾過して、この系から固体を分離する。分離した固体を120℃で2時間、乾燥し、挽いて微粉末とし、これを空気中で2時間、500℃で焼成する。
【0047】
実施例8:La−ドープアルミナ上のPt(3%)(逐次的方法)
[0052]La−ドープアルミナ(4重量%のLaをドープした、BET表面積200m/gを有するアルミナ)10gをHO 45mlに加え、室温で20分攪拌する。この系にPt(NO(100mg/mlPt)溶液1.5mlを加え、室温で60分攪拌する。この系にアクリル酸(99%の純度を有する)1.875mlを加え、室温で2時間、攪拌を継続する。濾過して、この系から固体を分離する。分離した固体を120℃で2時間、乾燥し、挽いて微粉末とし、これを空気中で2時間、500℃で焼成する。分離した固体を焼成した後に、その4gをHO 19.3mlに加え、室温で20分攪拌する。この系にPt(NO(100mg/mlPt)溶液0.6mlを加え、室温で60分攪拌する。この系にアクリル酸(99%の純度を有する)0.75mlを加え、室温で2時間、攪拌を継続する。濾過して、この系から固体を分離する。分離した固体を120℃で2時間、乾燥し、挽いて微粉末とし、これを空気中で2時間、500℃で焼成する。
【0048】
実施例9:アルミナ上のPt+Pd(1%)
[0053]アルミナ(BET表面積140m/gを有するアルミナ)30gをHO 140mlに加え、室温で20分攪拌する。この系にPt(NO(100.0mg/mlPt)1.5mlを加え、室温で60分、攪拌を継続する。アクリル酸(99%の純度を有する)3.75mlを加え、室温で2時間、攪拌する。濾過して、この系から固体を分離する。分離した固体を130℃で90分、乾燥し、挽いて微粉末とし、これを空気中で2時間、500℃で焼成する。分離した固体を焼成した後に、その2gをHO 9mlに加え、室温で20分攪拌する。Pd(NO(40mg/mlPd)0.25mlを加え、室温で30分、攪拌を継続する。アスコルビン酸0.662gを加え、室温で1時間、攪拌する。濾過して、この系から固体を分離する。分離した固体を130℃で150分、乾燥し、挽いて微粉末とし、これを空気中で1時間、500℃で焼成する。
【0049】
実施例10:アルミナ上のPd+Pt(1%)
[0054]アルミナ(BET表面積140m/gを有するアルミナ)30gをHO 140mlに加え、室温で20分攪拌する。Pd(NO(40mg/mlPd)3.75mlを加え、室温で60分、攪拌を継続する。アスコルビン酸9.93gを加え、室温で1時間、攪拌する。濾過して、この系から固体を分離する。分離した固体を130℃で150分、乾燥し、挽いて微粉末とし、これを空気中で1時間、500℃で焼成する。分離した固体を焼成した後に、その4gをHO 18mlに加え、室温で20分攪拌する。この系にPt(NO(100.0mg/mlPt)0.2mlを加え、室温で60分、攪拌を継続する。アクリル酸(99%の純度を有する)0.5mlを加え、室温で1時間、攪拌する。濾過して、この系から固体を分離する。分離した固体を130℃で150分、乾燥し、挽いて微粉末とし、これを空気中で1時間、500℃で焼成する。
【0050】
[0055]触媒の触媒効率を測定するために一般に使用される基準は、COのCOへの50%の変換が観察される温度である。簡単のため、ここではこの温度をT50温度と称する。同様に、T20温度は、COの20%がCOに酸化される温度に対応し、T70温度は、COの70%がCOに酸化される温度に対応する。一般に、より高い温度ではより大量の変換が観察され、より低い温度ではより少量の変換が観察される。
【0051】
[0056]触媒のT20、T50、T70温度は、COのCOへの変換が観察される条件に依存して異なる。したがって、それらは、触媒の実際の作動条件をできるだけ厳密に模擬する条件下で決定される。本発明の実施形態に従って製造される担持触媒は、ディーゼル排気触媒として有用であり、したがってそのT20、T50、T70温度を、以下の模擬的なディーゼル排気条件下で決定した。組成:CO(1000ppm)、C(105ppm)、C(245ppm)、NO(450ppm)、CO(10%)、O(10%)、及びHe(バランス量)を有するガス混合物を、全流量300ml/minで、α−Al 85mgと混合した触媒粉末15mgを含む固定床流反応器に供給する。反応器を、室温から300℃まで、10℃/分で加熱する。反応器を加熱するとともに、COの変換(酸化)を、質量分析法を用いて温度の関数として測定した。炭化水素の変換(酸化)も、質量分析法を用いて温度の関数として測定した。
【0052】
[0057]下表に、本発明の実施形態に従って製造した担持触媒と、濾過による希釈含浸(従来技術I)、還元剤としてヒドラジンを用いるin situ還元(従来技術II)、及び初期湿潤法(incipient wetness)(従来技術III)とを含む従来技術の合成方法に従って製造した担持触媒との、T20、T50、T70温度の比較を示す。それぞれの触媒試料のT20、T50、T70温度を、模擬的なディーゼル排気条件において決定した。表1は、アルミナ上に担持させた担持量1重量%担持量のPtを有する白金触媒のT20、T50、T70温度の比較である。表2は、アルミナ上に担持させた担持量3重量%のPtを有する白金触媒のT20、T50、T70温度の比較である。表3は、ランタンドープアルミナ上に担持させた担持量1重量%のPtを有する白金触媒のT20、T50、T70温度の比較である。表4は、ランタンドープアルミナ上に担持させた担持量3重量%のPtを有する白金触媒のT20、T50、T70温度の比較である。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
[0058]本発明の第1の実施形態によれば、溶媒中で金属と相互作用するいくらかの能力を有し、溶媒中で重合してオリゴマー若しくはポリマー、又はその両者を生成することができる種類のモノマーを、金属塩及び支持材料を含む溶媒中に添加する。in situ(即ち溶媒中)でのオリゴマー及び/又はポリマーの生成は、それらが支持材料の孔の内部でのナノ粒子の成長を安定化することを助けるので、望ましい。実施例1〜4及び7〜8においては、そのようなモノマーとしてアクリル酸を用い、これを金属塩及び支持材料を含む溶媒中に室温で添加して、混合物を室温に保つ。室温においてさえも、アクリル酸のin situ重合が観察された。実施例5においては、混合物の温度を100℃に上昇させ、混合物中のアクリル酸のさらなる重合を起こさせた。実施例6においては、混合物の温度を室温に保ったが、混合物にAIBNを添加して混合物中のアクリル酸のさらなる重合を起こさせた。
【0058】
[0059]モノマーをin situ重合させることの利点を説明する方法として、実施例4〜6に従って製造した担持触媒のT20、T50、T70温度を、金属の固定剤として予め生成したポリマーを金属塩及び支持材料を含む溶媒に添加する従来技術の合成方法に従って製造した担持触媒と比較する。表5は、ランタンドープアルミナ上に担持させた担持量3重量%のPtを有する白金触媒のT20、T50、T70温度の比較である。従来技術IVの例においては、予め生成したポリマーとしてポリアクリル酸ナトリウム(分子量=2100)2.0349gを、Pt(NO塩及びランタンドープアルミナ支持材料を含む溶媒に添加し、室温で攪拌した。従来技術Vの例においては、予め生成したポリマーとしてポリアクリル酸ナトリウム(分子量=2100)8.1394gを、Pt(NO塩及びランタンドープアルミナ支持材料を含む溶媒に添加し、室温で攪拌した。
【0059】
【表5】

【0060】
[0060]in situ重合の利点は、炭化水素の酸化における触媒効率を考慮した場合も明らかである。表6は、実施例4〜6に従って製造した担持触媒の炭化水素の酸化効率と、金属の固定剤として予め生成したポリマーを金属塩及び支持材料を含む溶媒に添加する従来技術の合成方法に従って製造した担持触媒の炭化水素の酸化効率との比較である。表6において、T20_HC温度は、Cの20%が酸化される温度に対応し、T50_HC温度は、Cの50%が酸化される温度に対応し、T70_HC温度は、Cの70%が酸化される温度に対応する。
【0061】
【表6】

【0062】
実施例11−3.0%Pt,1.5%Pd担持触媒
[0061]脱イオンHO 10LにLa安定化アルミナ(BET表面積約200m−1を有する)1940gを加え、室温で30分、攪拌した。このスラリーに、Pt(NO溶液(Pt(NO 12.23重量%)490.6gを加え、室温で60分、攪拌した。次いでこの系に12分かけてアクリル酸(750mL、純度99%)を加え、得られた混合物を室温で2時間、継続して攪拌した。固体状のLaドープアルミナ担持Pt触媒を濾過によって液体から分離し、120℃で2時間、乾燥し、挽いて微粉末とし、空気中で2時間、500℃で焼成(8℃ min−1で加熱)して、3%Pt材料を得た。
【0063】
[0062]脱イオンHO 9.25Lに上記3%Pt材料1822gを加え、室温で20分、攪拌した。このスラリーに、Pd(NO溶液(Pd(NO 14.28重量%)194.4gを加え、室温で60分、攪拌した。次いで25分かけてアスコルビン酸水溶液(脱イオンHO 4.5L中930g)を加え、60分、攪拌した。固体状のLaドープアルミナ担持PtPd触媒を濾過によって液体から分離し、120℃で2時間、乾燥し、挽いて微粉末とし、空気中で2時間、500℃で焼成(8℃ min−1で加熱)して、3%Pt,1.5%Pd材料を得た。
【0064】
実施例12−2.0%Pt,1.0%Pd担持触媒
[0063]脱イオンHO 10LにLa安定化アルミナ(BET表面積約200m−1を有する)2000gを加え、室温で30分、攪拌した。このスラリーに、Pt(NO溶液(Pt(NO 12.23重量%)327.1gを加え、室温で60分、攪拌した。次いでこの系に12分かけてアクリル酸(500mL、純度99%)を加え、得られた混合物を室温で2時間、継続して攪拌した。固体状のLaドープアルミナ担持Pt触媒を濾過によって液体から分離し、120℃で2時間、乾燥し、挽いて微粉末とし、空気中で2時間、500℃で焼成(8℃ min−1で加熱)して、2%Pt材料を得た。
【0065】
[0064]脱イオンHO 9.5Lに上記2%Pt材料1900gを加え、室温で20分、攪拌した。このスラリーに、Pd(NO溶液(Pd(NO 14.28重量%)135.3gを加え、室温で60分、攪拌した。次いで25分かけてアスコルビン酸水溶液(脱イオンHO 3.5L中647.2g)を加え、60分、攪拌した。固体状のLaドープアルミナ担持PtPd触媒を濾過によって液体から分離し、120℃で2時間、乾燥し、挽いて微粉末とし、空気中で2時間、500℃で焼成(8℃ min−1で加熱)して、2%Pt,1%Pd材料を得た。
【0066】
実施例13−120g/ftで担持されたPt/Pdを有するエンジン排気触媒
[0065]上記(実施例12)により調製した担持PtPd触媒粉末(2.0%Pt、1.0%Pd)を、脱イオン水への添加、適当な粒子サイズへの粉挽き(典型的には3〜7μmの範囲のd50を有する)、及びウォッシュコーティングに適切な粘度にするためのpHの調整によって、ウォッシュコートスラリーとした。当技術において知られた方法に従って、このウォッシュコートスラリーを、円形のコージライトモノリス(Corning、400cpsi、5.66インチ×2.5インチ)に被覆し、120℃で乾燥し、500℃で焼成して、貴金属(Pt+Pd)の担持量が120g/ftである最終被覆モノリスを得た。被覆モノリスを当技術において知られた方法によって缶に入れ、有資格の検査機関を用いて軽量ディーゼル車両(2005年型)でCOの排出を試験した。標準的な欧州MVEG試験からのバッグデータを用いて軽量ディーゼル車両のテールパイプから測定したCO排出は、0.222g/kmと観察された。
【0067】
[0066]本発明による特定の実施形態が上記に説明及び記述されているが、当業者は本発明が添付の請求項の範囲内で種々の形態及び実施形態を取り得ることを理解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマーを金属塩及び支持材料を含む溶媒に添加するステップであって、前記モノマーが前記溶媒中で重合してオリゴマー若しくはポリマー、又はその両者を生成し得る種類のものであるステップと、
前記金属塩、前記支持材料及び前記モノマーを含む溶媒を攪拌するステップと、
前記溶媒中の固体から液体を分離するステップと、
前記分離した固体を焼成して担持触媒を製造するステップと、を備える、
担持触媒を製造するための方法。
【請求項2】
前記モノマーがアクリル酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属塩が白金塩を含み、前記支持材料がランタンドープアルミナから製造される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
金属塩及び支持材料を含む前記溶媒にモノマーではない固定剤を添加するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属塩、前記支持材料及び前記モノマーを含む前記溶媒を加熱して、前記溶媒中における前記モノマーの重合量を増加させるステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属塩、前記支持材料及び前記モノマーを含む前記溶媒に重合開始剤を添加して、前記溶媒中における前記モノマーの重合量を増加させるステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
予め決定した金属種の金属塩及び支持材料を含む第1の溶媒に固定剤を添加し、前記第1の溶媒を攪拌し、次いで前記支持材料を前記第1の溶媒から分離するステップと、
前記第1の溶媒から分離した前記支持材料の一部と前記予め決定した金属種の金属塩とを第2の溶媒に混合するステップと、
前記第2の溶媒に固定剤を添加し、前記第2の溶媒を攪拌し、次いで前記第2の溶媒から前記支持材料を分離するステップと、
前記第2の溶媒から分離した前記支持材料を焼成して担持触媒を製造するステップと、を備える、
担持触媒を製造するための方法。
【請求項8】
前記第1の溶媒に添加する前記固定剤及び前記第2の溶媒に添加する前記固定剤が、前記溶媒中で重合してオリゴマー若しくはポリマー、又はその両者を生成し得る種類のモノマーである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の溶媒に添加する前記モノマー及び前記第2の溶媒に添加する前記モノマーがアクリル酸を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記金属塩が白金塩を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記混合するステップの前に前記第1の溶媒から分離した前記支持材料を焼成するステップをさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記固定剤が還元剤を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記固定剤が沈殿剤を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
第1の金属種の金属塩及び支持材料を含む第1の溶媒に固定剤を添加し、前記第1の溶媒を攪拌し、次いで前記第1の溶媒から前記支持材料を分離するステップと、
前記第1の溶媒から分離した前記支持材料の一部、及び前記第1の金属種とは異なる第2の金属種の金属塩を、第2の溶媒に混合するステップと、
前記第2の溶媒に固定剤を添加し、前記第2の溶媒を攪拌し、次いで前記第2の溶媒から前記支持材料を分離するステップと、
前記第2の溶媒から分離した前記支持材料を焼成して担持触媒を製造するステップと、を備え、
前記第1及び第2の固定剤の少なくとも1種がモノマーを含む、
担持触媒を製造するための方法。
【請求項15】
前記モノマーが前記溶媒中で重合してオリゴマー若しくはポリマー、又はその両者を生成し得る種類のものである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の溶媒に添加する前記固定剤がアクリル酸を含み、前記金属塩が白金塩を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の溶媒に添加する前記固定剤がアスコルビン酸を含み、前記金属塩がパラジウム塩を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の溶媒に添加する前記固定剤がアスコルビン酸を含み、前記金属塩がパラジウム塩を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の溶媒に添加する前記固定剤がアクリル酸を含み、前記金属塩が白金塩を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記支持材料がランタンドープアルミナから製造される、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−510064(P2010−510064A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538470(P2009−538470)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/085091
【国際公開番号】WO2008/064152
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(509142210)ナノステラー インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】