説明

金属モリブデン粒子を含むポリエステルポリマー及びコポリマー組成物

ポリエステル組成物の再加熱特性を改善する金属モリブデン粒子が内部に混和されたポリエステルポリマー又はコポリマーを含むポリエステル組成物が開示される。また、このような組成物の製造方法も開示される。モリブデン粒子はポリエステル中に溶融配合によって混和することもできるし、又は重合の溶融相の間のような、重合の任意の段階で添加することもできる。一定範囲の粒度及び一定範囲の粒度分布を使用できる。これらのポリステル組成物は、再加熱工程が望ましい方法によって製造される包装材料への使用に適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料において有用な、例えば再加熱ブロー成形又はポリエステルを再加熱する他の熱ブロー成形法による飲料容器の製造において有用なポリエステル組成物に関する。この組成物は、透明度又はカラーのような許容され得る外観を保ちながら、再加熱特性が改善される。
【背景技術】
【0002】
多くのプラスチック包装材料、例えばポリ(エチレンテレフタレート)(PET)から製造された、飲料容器に使用される包装材料は、ポリマーの再加熱ブロー成形又はポリマーの熱軟化を必要とする他の操作によって形成される。
【0003】
再加熱ブロー成形においては、試験管形の押出成形品であるボトルプレフォームを、ポリマーのガラス転移温度より高温で加熱し、次いでそれらがその開口端を通して加圧空気を受けるようにボトル金型中に配置する。この技術は、例えば、特許文献1に示されるように公知である。この特許文献を引用することによって本明細書中に組み入れる。典型的なブロー成形操作においては、プレフォームの再加熱には、石英赤外線ヒーターからの放射エネルギーが一般に用いられる。
【0004】
ポリマーの熱軟化を必要とする操作を用いる包装容器の製造において、再加熱時間、又はプレフォームが延伸ブロー成形に適した温度に到達するのに必要な時間(昇温時間とも称する)は、生産性とエネルギー必要量の両方に影響を及ぼす。加工装置が改善されると、単位時間当たりより多くの単位を製造できるようになる。従って、従来のポリエステル組成物に比較して、より速く再加熱することによって(再加熱速度の増加)又はより少ない熱エネルギーを用いることによって(再加熱効率の増加)、改善された再加熱特性を示すポリエステルを提供するのが望ましい。
【0005】
前記再加熱特性は、ポリマー自体の吸収特性によって異なる。ポリマープレフォームの再加熱に使用される加熱ランプは典型的には、約500nm〜1,500nm超までの波長範囲の幅広い発光スペクトルを有する赤外線ヒーター、例えば石英赤外線ランプである。しかし、ポリエステル、特にPETは、500〜1,500nmの範囲において吸収が悪い。従って、ランプからのエネルギー吸収を最大にし且つプレフォームの再加熱速度を増加させるために、赤外線エネルギー吸収を増加させる材料がPETに添加されることがある。残念ながら、これらの材料は、PET容器の外観に悪影響を与える、例えば、曇り度(ヘイズ)レベルを増加させ且つ/又は製品を濃色化する傾向がある。更に、400〜700nmの範囲の吸光度を有する化合物は人間の目には着色されているように見えるので、この波長範囲に吸収を示す材料はポリマーに色を与えるであろう。
【0006】
再加熱ランプ下におけるポリエステルプレフォームの再加熱特性を改善するための再加熱剤としてこれまで、種々の黒体及び灰色体吸収化合物が使用されてきた。このような再加熱添加剤には、カーボンブラック、グラファイト、アンチモン金属、黒色酸化鉄、赤色酸化鉄、不活性鉄化合物、スピネル顔料及び赤外線吸収染料などがある。ポリマーに添加できる吸収化合物の量は、ポリマーの視覚特性、例えば、L値で表されることができる明度並びにa値及びb値として測定して表されることができる色度(以下に詳述する)に対する影響によって制限される。
【0007】
プレフォーム及び得られるブロー成形品において許容され得るレベルの明度及び色度を保持するために、再加熱添加剤の量が減少される場合があり、その結果として再加熱速度は低下する。従って、ポリエステル樹脂に添加される再加熱添加剤の型及び量は、再加熱速度の増加と許容され得る明度及び色度レベルの保持とを望ましく両立させるように調整される。
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,733,309号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
再加熱速度を増加させると同時に、熱可塑性組成物中の再加熱添加剤の濃度の増加につれて色度及び明度が低下する速度を減少させることができれば理想的であろう。
【0010】
明度、色度及び透明度の許容され得ない低下といった、公知の再加熱添加剤に付随する問題を生じることなく、再加熱を改善する再加熱添加剤を含むポリエステル組成物が当業界において依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ポリエステル組成物の再加熱特性を改善する金属モリブデン粒子が内部に混和されたポリエステルポリマー又はコポリマー、特に熱可塑性ポリエステルポリマー又はコポリマーを含むポリエステル組成物に関する。モリブデン粒子は、溶融配合によってポリエステル中に混和することもできるし、或いは重合の溶融相の間のような、重合の任意の段階において添加することもできる。一定範囲の粒度及び一定範囲の粒度分布を使用できる。
【0012】
本発明に係るポリエステル組成物は、再加熱工程が望ましか又は必要な包装材料への使用に適しており、再加熱効率の改善のために金属モリブデン粒子が加えられている。これらの組成物は、メルトとして、固体の形態で、ブロー成形用プレフォームのようなプレフォームとして、熱成形に適当なシートとして、コンセントレートとして、また、ボトルとして提供できる。これらの組成物はポリエステルポリマーを含み、ポリエステル中に金属モリブデン粒子が分散されている。適当なポリエステルとしては、ポリアルキレンテレフタレート及びポリアルキレンナフタレートが挙げられる。
【0013】
本発明はまた、ポリエステル重合プロセスの任意の段階に、例えばポリエステルポリマー製造のための溶融相の間に金属モリブデン粒子を添加できる、ポリエステル組成物の製造方法に関する。金属モリブデン粒子はまた、固相化ペレットの形態のポリエステルポリマーに、又はポリエステルポリマーからプレフォームを製造するための射出成形機に添加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、添付図を含む以下の発明の詳細な説明及び実施例を参照することよってより理解し易くなるであろう。プラスチックの加工のための具体的な方法及びプロセス条件は変化し得るので、本発明は、記載した具体的な方法及び条件には限定されないことを理解されたい。更に、使用した用語は、個々の実施態様を説明することのみを目的とし、限定的な意味合いを持たないことを理解されたい。
【0015】
本明細書及び「特許請求の範囲」で使用する単数形の用語は、前後関係からそうでないことが明白に示されない限り、複数の指示対象を含む。例えば、1つの熱可塑性「プレフォーム(予備成形物)」、「容器」又は「ボトル」の加工への言及は、複数の熱可塑性プレフォーム、製品、容器又はボトルの加工を含むものとする。
【0016】
「含んでなる(comprising)」又は「含む(containing)」は、名前を挙げた化合物、要素、粒子などはその組成物又は製品中に存在しなければならないが、他の化合物、材料、粒子などが、名前を挙げたものと同じ機能を持っていたとしても、このような他の化合物、材料、粒子などの存在を除外しないことを意味する。
【0017】
本明細書中で使用する「d50粒度」は、容積の50%が表示d50値よりも大きい粒子からなり且つ容積の50%が表示d50値よりも小さい粒子からなるメジアン(中央値)径である。本明細書中で使用するメジアン粒度は、d50粒度と同じである。
【0018】
本発明によれば、モリブデン金属が元素状態で提供される金属モリブデン粒子を使用する。これらの粒子は、モリブデン(II)、モリブデン(III)及びモリブデン(IV)化合物又は錯体を含むモリブデン化合物とは区別すべきである。モリブデン化合物については、Kirk−Othemer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 16,4th ed.,(1995)940〜962頁に詳述されており、これを引用することによって本明細書中に組み入れる。従って、縮合触媒として使用されることができるモリブデン化合物は、金属モリブデン粒子の定義の範囲には入らないものとする。即ち、モリブデン(II)化合物からモリブデン化合物(VI)までを、「特許請求の範囲」に記載した本発明の組成物中にポリマー形成用の触媒として使用する場合には、このようなポリマーは、モリブデンが元素状態で提供される金属モリブデン粒子を更に含み、それについては本明細書中で詳述する。モリブデン及びモリブデン合金については、Kirk−Othemer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 16,4th ed.,(1995)925〜936頁に詳述されており、これを引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0019】
本発明によって有用な金属モリブデン粒子は、重量%に換算して、モリブデン金属が主に元素状モリブデンであることができる、典型的な不純物を含む元素状モリブデン金属、或いはモリブデンが1種若しくはそれ以上の他の金属、半金属及び/又は非金属と合金を形成できるモリブデン金属合金(合金が実質的にモリブデンの金属的特性を保持する場合に限る)から主になることができる。
【0020】
更に、金属モリブデン合金粒子中に存在する1つ又は複数の相は、非晶質相、固溶体相又は金属間化合物相固溶体などであることができ、従って、モリブデンがより高い酸化状態を有するようなモリブデン化合物から主になる組成物とは区別することができるが、合金は言うまでもなく、合金化法によって生じるモリブデンの化合物を含むことができる(この場合もやはり、合金が実質的にその金属的性質を保持する場合に限る)。
【0021】
本発明によって有用な合金は、モリブデンと1種又はそれ以上の他の金属又は非金属が、溶融時のように、モリブデンと均質混合された結果、それらが融合し且つ溶解し合って少なくとも一部分が固溶体を形成するものを含む。言うまでもなく、このような合金が実質的な金属的特性を保持し、また、いずれにしても、合金中にモリブデン化合物が存在するにもかかわらず、存在するモリブデンが実質的にその金属的特性を保持するならば、存在する測定可能な量のモリブデン化合物が約50重量%以下であるモリブデン合金を除外することを意味しない。
【0022】
従って、例えば元素分析によって測定された場合に、合金がモリブデン金属を少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%含むならば、特に、モリブデンが主な合金化元素である場合には、このような合金は本発明に従って使用するのに適している。理論にとらわれるつもりはないが、本発明者らは、モリブデンの再加熱添加剤としての有効性は、問題の波長範囲において光学定数のようなモリブデン自体の吸収特性と相関関係にあることができるので、モリブデン合金が、既述のモリブデン最小量のようなかなりの量のモリブデンを有するならば、このような合金も本発明に従って使用するのに適すること考える。
【0023】
従って、金属モリブデン粒子は元素状モリブデンであることもできるし、又はモリブデンが他の金属のような1種若しくはそれ以上の他の材料と合金を形成しているモリブデン金属合金であることもできる(このような他の材料が、金属モリブデン粒子がポリマー組成物の再加熱特性を増加する能力にそれほど影響を与えない場合に限る)。
【0024】
本発明者らは、モリブデン金属粒子は、Powder Metallurgy entry in Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 16,4th ed.,(1995)353〜392頁(引用することによって本明細書中に組み入れる)に記載されたような多数の方法によって製造できることを確認している。例えば、本発明に係るモリブデン金属粒子は、噴霧(atomization)、還元、分解、電着、沈澱、電極スピニング(electrode spinning)、高エネルギー衝撃、機械的粉砕、凝縮(condensation)、金属水素化物の分解、又は急冷凝固技術によって形成できる。Encyclopedia of Chemical Techology(Kirk−Othmer,Vol.16,925〜936頁)を参照することにより、モリブデン粉末は以下のようにして製造できる:工業銘柄の三酸化モリブデン又はモリブデン酸アンモニウムを、ボート型又はチューブ型加熱炉中で500〜1,150℃において水素によってモリブデン粉末へと還元する。
【0025】
本発明に使用できる金属モリブデン粉末の形状はとしては以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない:針状粉、角状粉、樹枝状粉、等軸状粉(equi−axed powder)、片状粉、粉砕粉、粒状粉、不規則形粉、ノード状粉(nodular powder)、板状粉、多孔質粉、円形粉(rounded powder)及び球形粉。粒子はフィラメント状構造であることもでき、その場合には、個々の粒子は、結合してビーズ状又は鎖状構造を形成する、より小さい粒子のゆるい集合体であることができる。粒子の外形寸法は、鎖長及び分岐度の違いによって変化し得る可能性がある。
【0026】
ポリエステル組成物における再加熱及び色の改善のための、本発明によって有用な金属モリブデン粒子は、一定範囲の粒度及び粒度分布を有するものを含むが、本発明者らは、或る一定の粒度及び比較的狭い粒度分布が一部の用途では特に適当であることを見出した。例えば、いくつかの実施態様において、ポリエステルがPETを含む実施態様においては特に、約0.15マイクロメーター(μm)のメジアン粒度及び比較的狭い粒度分布を有する金属モリブデン粒子が有利である。
【0027】
従って、金属モリブデン粒子のサイズは、製造方法に応じて幅広い範囲内で変化する可能性があり、粒度に関する数値は、粒子の形状及び測定方法によって異なり得る。本発明によって有用な粒度は約0.005〜約10μm、又は0.05〜1μm、又は0.05〜0.9μmであることができる。ポリエステル組成物がPETを含む場合には、本発明者らは、0.08〜1.1μmの粒度が特に適当であることを見出した。
【0028】
同様に、本発明によって有用な粒子は、モリブデン中空球又はモリブデン被覆球であることもでき、その場合、コアは、モリブデン、モリブデンと他の材料との混合物、又はモリブデンを実質的に含まない他の材料からなる。この場合もまた、理論にとらわれるつもりはないが、本発明者らは、再加熱添加剤としてのモリブデンの有効性はモリブデン自体の吸収特性と相関関係があるので、モリブデン被覆粒子は、被膜の厚さが適切な再加熱特性を与えるのに充分であるならば、本発明による使用に適するであろうと考える。従って、種々の実施態様において、被膜の厚さは約0.005〜約10μm、又は0.01〜5μm、又は0.10〜0.5μmであることができる。このようなモリブデン被膜はまた、既述のモリブデン合金を含むことができる。
【0029】
本発明に適当な平均粒度を有する金属粒子は、異形を有すること及び鎖状構造を形成することもあるが、ほぼ球状の粒子が好ましい場合もある。粒度及び粒度分布は、Size Measurement of Particles entry of Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,4th ed.,vol 22,256〜278頁(引用することによって本明細書中に組み入れる)に記載されたような方法によって測定できる。例えば、粒度及び粒度分布は、Leeds and Northrop Company製のFisher Subsieve Sizer又はMicrotrac Particle−Size Analyzerを用いて、又は走査型電子顕微鏡法若しくは透過電子顕微鏡法のような顕微鏡法によって測定できる。
【0030】
本発明に係るポリエステル組成物中に存在する金属モリブデン粒子の量は、広い範囲内で、例えば、約0.5ppmから約1,000ppmまで、又は1ppmから500ppmまで、又は5ppmから100ppmまで、又は5ppmから50ppmまで変化することができる。本発明に係る熱可塑性コンセントレートがこれらより多い量を有することができることは言うまでもなく、それについては本明細書中の他の場所で詳述する。
【0031】
「特許請求の範囲」に記載した本発明に係る金属モリブデン粒子は、純粋なモリブデンであることもできるし、或いはモリブデンが被覆された粒子であることもできるし、或いは1種若しくはそれ以上の他の金属と合金を形成したモリブデンであることもできる。50重量%以下又はそれ以上の量でモリブデンと合金を形成できる金属としては、ニッケル、ゲルマニウム、鉄、クロム、タングステン、チタン、バナジウム、炭素及びタンタルが挙げられる。微量で、例えば、約10重量%以下又はそれ以上の量で存在できる金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、マンガン及び珪素が挙げられる。
【0032】
従って、金属モリブデン粒子は元素状モリブデンであることもできるし、又は他の金属のような他の材料を含むこともできる(このような他の材料が、金属モリブデン粒子がポリマー組成物の再加熱特性を増加させる能力にほとんど影響を与えない場合に限る)。
【0033】
酸化物被膜が、モリブデン粒子がポリマー組成物の再加熱効率を増加させる能力にほとんど影響を与えないならば、モリブデン金属粒子に酸化モリブデン又は他の被膜の緻密層を被覆することができる。
【0034】
一定範囲の粒度分布が、本発明によって有用であることができる。本明細書中で使用する粒度分布は、「スパン(S)」で表すことができ、Sは下記式:
【0035】
【数1】

【0036】
[式中、d90は、容積の90%が、表示d90より小さい粒子からなる粒度を表し;d10は、容積の10%が、表示d10より小さい粒子からなる粒度を表し;d50は、容積の50%が表示d50値より大きい粒子からなり且つ容積の50%が表示d50値より小さい粒子からなる粒度を表す]
によって計算する。
【0037】
従って、スパン(S)が0〜10、又は0〜5、又は0.01〜2である粒度分布を、本発明に従って使用できる。
【0038】
ポリエステル組成物中の金属モリブデン粒子の良好な分散を得るために、例えば約500ppmの金属モリブデン粒子を含むコンセントレートを、商用銘柄のPETのようなポリエステルを用いて製造することができる。コンセントレートは次に、例えば1〜500ppmの範囲の所望の濃度でポリエステル中にレットダウンすることができる。
【0039】
ポリエステル中に使用する金属モリブデン粒子の量は、個々の用途、再加熱時間の望ましい短縮、及び100から離れるL明度の変動と、ゼロから離れるa及びbの低下の許容レベルによって異なる。従って、種々の実施態様において、金属モリブデン粒子の量は、少なくとも1ppm、又は少なくとも5ppm、又は少なくとも50ppmであることができる。多くの用途において、金属モリブデン粒子の量は少なくとも50ppm、場合によっては少なくとも60ppm、更には少なくとも70ppmであることができる。金属モリブデン粒子の最大量は、所望の再加熱速度、又はL、b及び曇り度の維持(これらは、用途又は顧客の要求によって異なる可能性がある)のうち、1つ又はそれ以上によって限定される可能性がある。いくつかの実施態様においては、この量は500ppm以下、又は300ppm若しくはそれ以下、又は250ppm以下であることができる。しかし、色度、曇り度及び明度が重要な特徴ではない用途においては、金属モリブデン粒子の使用量は1,000ppm以下、又は5,000ppm、又は更には10,000ppm以下であることができる。本明細書の他の場所で解説するように、金属モリブデン粒子を含むコンセントレートを作る場合には、この量は10,000ppmを超えることができる。
【0040】
金属モリブデン粒子をポリエステル組成物中に混和する方法は限定しない。金属モリブデン粒子は、ポリマー反応体系に、重合の間又は後に、ポリマーメルトに、又はボトルプレフォームを製造する射出成形機中の成形用粉末若しくはペレット又は溶融ポリエステルに添加することができる。これらは、エステル化反応器の入口近傍、エステル化反応器の出口近傍、エステル化反応器の入口と出口の間の点、再循環ループの任意の点、プレポリマー反応器の入口近傍、プレポリマー反応器の出口近傍、プレポリマー反応器の入口と出口との間の点、重縮合反応器の入口近傍、又は重縮合反応器の入口と出口との間の点を含む(これらに限定しない)位置で添加できる。
【0041】
金属モリブデン粒子は、PETのようなポリエステルポリマーに添加し、そして、溶融射出成形機中の溶融ポリマーへの金属モリブデン粒子の供給を含む任意の方法によって、又は金属モリブデン粒子と射出成形機へのPET供給材料とを、ペレットの溶融ブレンド又はドライブレンドのいずれかによって合することによって、射出成形機に供給することができる。
【0042】
別法として、金属モリブデン粒子は、場合によっては燐酸と混ぜ合わされたエチレングリコール供給材料を用いてそれを経るなどしてエステル化反応器へ、プレポリマー反応器へ、重縮合反応器へ、又固相化用反応器中の固体ペレットへ、或いはこれらの段階のいずれかの間の任意の点で添加できる。これらの場合はいずれも、金属モリブデン粒子は、PET又はその前駆体と、純粋なまま、PETを含むコンセントレートとして又はキャリヤー(担体)で稀釈された形で合することができる。キャリヤーはPETに対して反応性であることもできるし、又は非反応性であることもできる。金属モリブデン粒子(純粋なまま、コンセントレート中又はキャリヤー中のいずれであっても)とバルクポリエステルは、混合前に乾燥させることができる。これらは、乾燥空気又は窒素のような他の不活性ガスの雰囲気中で且つ所望ならば減圧下で乾燥させることができる。
【0043】
ポリマーの色に対する再加熱添加剤の影響は、三刺激カラースケール、例えば、CIE Lスケールを用いて判定できる。L値は0〜100の範囲であり、光に対する暗さを判定できる。a値は、赤色〜緑色を判定でき、正の値は赤であり、負の値は緑色である。b値は、黄色〜青色を判定でき、黄色は正の値を有し、青色は負の値を有する。
【0044】
測色の理論及び実施は、Fred W. Billmeyer,Jr.によってPrinciples of Color Technology,25〜66頁(John Wiley & Sons,New York(1981))により詳細に解説されており、これを引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0045】
本明細書中で解説した20オンスのボトルプレフォームについて測定される、ポリエステル組成物に関するL値は一般的に60超、より好ましくは少なくとも65、更に好ましくは少なくとも70でなければならない。特定のL明度の指定は、特定の側壁断面厚を有するプレフォームを実際に使用することを意味するのではなく、Lを測定する場合に、実際に使用するポリエステル組成物を、その組成物のLの試験及び評価のために射出成形して、0.154インチの側壁断面厚を有するプレフォームを作ることを意味する。
【0046】
公称側壁断面厚が0.154インチである21オンスのボトルプレフォームにおいて測定される、望ましいポリエステル組成物の色度は一般に、好ましくは約−2.0〜約−1.0、又は約−1.5〜約+0.5の範囲のa座標値によって示される。b座標値に関しては、−3.0〜+5.0未満又は+4.0未満又は+3.8未満の正の値の範囲のb座標値を有するプレフォームを作るのが一般に望ましい。
【0047】
許容され得るボトル側壁曇り度を有する本発明に係るポリエステルは一般に、約0.0125インチの断面厚を有するサンプルについて測定される曇り度値が、6.0%未満、又は5.0%未満、又は4.0%未満、又は3.0%若しくはそれ以下である。
【0048】
、a及びbカラー値の測定は、以下の方法に従って実施する。b色度の測定に用いる計測器は、CIE Lab Scale(L,a,b)、D65(ASTM)光源、10°の視野、積分球の形状を用いるHunterLab UltraScan XE、モデルU3350の性能を有する必要がある。透明なプラック、フィルム、プレフォーム、ボトルを、ASTM−D1746の”Standard Test Method for Transparency of Plastic Sheeting”に基づいて透過モードで試験する。測色用計測器は、ASTM E1164の”Standard Practice for Obtaining Spectrophotometric Data for Object−Color Evaluation”に基づいてセットアップする。
【0049】
より詳細には、サンプルがプレフォーム又はボトルのいずれかであるかによって、以下の試験方法を用いることができる。測色は、拡散/8°(照明/視野角)球の光学的形状を用いるHunberLab UltraScan XE(Hunter Associates Laboratory,Inc.,Reston VA)、又はこれらの同一の基本性能を有する同等の装置を用いて実施しなければならない。使用するカラースケールは、DIE Lスケールであり、D65光源及び10°の視野を指定する。
【0050】
0.846インチの平均外径及び0.154インチの壁厚を有するプレフォーム、並びに壁厚0.0115〜0.012インチのボトル側壁切片を、ASTM D1746の”Standard Test Method for Transparency of Plastic Sheeting”を用いて正透過モードで測定する。プレフォームを、プレフォームホルダーを用いて計測器(HunterLabから入手可能)中の所定の位置に固定し、三重反復試験測定値を平均する。サンプルは各試験間においてその中心軸の回りに90°回転させる。
【0051】
この説明全体に記載した極限粘度数(intrinsic viscosity)(It.V.)値は、25℃において60/40wt/wtフェノール/テトラクロロエタン中で測定されたインヘレント粘度(Ih.V.)から計算されたものをdL/g単位として示してある。インヘレント粘度は、測定された溶液粘度から計算する。下記式は、これらの溶液粘度測定値と、Ih.V.までの及びIh.V.からIt.V.までのその後の計算値を記載する。
【0052】
ηint=[ln(t/t)]/C
[式中、ηint=0.50g/100mL(フェノール60%及び1,1,2,2−テトラクロロエタン40%)のポリマー濃度における25℃でのインヘレント粘度
ln=自然対数
=毛細管を通るサンプルの流下時間
=毛細管を通る溶媒ブランクの流下時間
C=溶媒100mL当たりのポリマー(g)の濃度(0.50%)]。
【0053】
極限粘度数は、ポリマーの比粘度(specific viscosity)の無限稀釈における極限値である。これは以下の式によって定義される。
【0054】
ηint=lim(ηsp/C)=lim ln(η/C)
C→0 C→0
[式中、
ηint=極限粘度数
η=相対粘度(relative viscosity)=t/t
ηsp=比粘度=η−1]。
【0055】
計測器の較正(キャリブレーション)は、標準対照材料を反復試験し、次いで適当な数式を適用して「許容」I.V.値を得ることを含む。
【0056】
較正係数=対照材料の許容IV/反復測定値の平均
修正IhV=計算IhV×較正係数
極限粘度数(ItV、即ちηint)は、Billmeyer式を用いて以下のようにして概算できる:
ηint=0.5[e0.5×修正IhV−1]+(0.75×修正IhV)。
【0057】
従って、金属モリブデン粒子を含むポリエステル組成物によって提供される有益な特徴は、これらの組成物から製造される組成物及びプレフォームが、2オンスのボトルプレフォームの表面温度(PST)によって表される再加熱速度が、再加熱添加剤を含まない対照と比較して改善されることである。PST値が高いほど、再加熱速度は速い。
【0058】
いくつかの実施態様において、金属モリブデン粒子を含むポリエステル組成物、及びこれらの組成物から製造されるプレフォームは、100〜200ppmの範囲の配合量であっても、4.0未満、又は3.8未満、又は3.7未満であって且ついかなる場合でも−3.0より大きいb色度を有することができる。同様に、本発明に係るポリエステル組成物からのプレフォームは、少なくとも60.0、又は少なくとも65.0、又は少なくとも70.0のL明度を有することができる。この組成物はまた、同じ再加熱速度レベルにおいて、他の型の再加熱添加剤を含む組成物よりも、ボトル側壁の%曇り度の増加をはるかに低くすることができる。0.0125インチ(+/−0.004)の厚さで測定される側壁ボトルの曇り度値は、6.0%若しくはそれ以下、又は5.0%若しくはそれ以下、又は更には4.0%若しくはそれ以下であることができる。
【0059】
従って、本発明によれば、種々の実施態様において、少なくとも0.05重量%又は少なくとも2重量%で且つ約20重量%以下又は35重量%以下の量(コンセントレート組成物の重量に基づく)の金属モリブデン粒子と、少なくとも65重量%又は少なくとも80重量%又は99重量%以下若しくはそれ以上の量(コンセントレート組成物の重量に基づく)の、ポリエステル、ポリオレフィン又はポリカーボネートのような、25℃、1気圧において通常は固体の熱可塑性ポリマーを含むコンセントレート組成物が提供される。このコンセントレートは、液体、溶融状態又は固体の形態であることができる。プレフォームへのポリマーの加工業者は、射出成形段階において金属モリブデン粒子をバルクポリエステルに、液体の溶融形態で又は固体ブレンドとして連続的又は断続的に添加し、且つ更に、最終用途及び顧客の要求に適合するようにコンセントレートの量を計量することによって、プレフォーム中に含まれる金属モリブデン粒子の量を調節するという柔軟性を有する。
【0060】
コンセントレートは、一軸又は二軸スクリュー押出機中で金属モリブデン粒子をポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン又はこれらの混合物のようなポリマーと混合し、そして場合によっては他の再加熱添加剤と配合することによって製造できる。適当なポリカーボネートは、ビスフェノールAポリカーボネートである。適当なポリオレフィンとしては、ポリエチレン及びポリプロピレン並びにそれらのコポリマーが挙げられるが、これらに限定しない。溶融温度は、少なくともポリマーの融点の温度なければならない。PETのようなポリエステルに関しては、溶融温度は典型的には250〜310℃の範囲である。好ましくは、溶融配合温度は可能な限り低く保つ。押出物は、ストランドの形態のような任意の形態で引き出し、切断のような通常の方法に従って回収できる。
【0061】
コンセントレートは、最終製品に使用するのと同様なポリエステル中で製造できる。しかし、場合によっては、コンセントレート中にポリオレフィンのような別のポリマーを使用するのが有利なこともある。ポリオレフィン/金属モリブデン粒子コンセントレートをポリエステルとブレンドする場合には、ポリオレフィンはバルクポリエステルのための成核剤として混和することができる。
【0062】
コンセントレートは、バルクポリエステルに又はPET製造の異なる段階の任意の時点で、コンセントレートがバルクポリエステル又はその前駆体と相溶性になるような方法で添加できる。例えば、添加点又はコンセントレートのIt.V.は、ポリエチレンテレフタレートのIt.V.及びコンセントレートのIt.V.が同様である、例えば25℃において60/40wt/wtフェノール/テトラクロロエタン溶液中で測定されたIt.V.が+/−0.2であるように選ぶことができる。コンセントレートは、重縮合段階における製造中のポリエチレンテレフタレートの典型的なIt.V.に適合するように、0.3〜1.1dL/gの範囲のIt.V.で製造できる。別法として、コンセントレートは、射出成形段階で使用する固相化ペレットのIt.V,と同様なIt.V.(例えば、0.6〜1.1dL/gのIt.V.)で製造できる。
【0063】
ポリエステル組成物の性能特性を向上させるために、本発明のポリエステル組成物に他の成分を添加することができる。例えば、結晶化助剤、耐衝撃性改良剤、表面潤沢剤、嵌め外し剤(denesting agent)、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、触媒失活剤、着色剤、成核剤、アセトアルデヒド低下化合物、他の再加熱向上用助剤(reheat enhancing aid)、充填剤、耐摩耗添加剤などが挙げられる。樹脂は、少量の分岐剤、例えば、三官能価又は四官能価コモノマー、例えば、トリメリット酸無水物、トリメチロールプロパン、ピロメリット酸二無水物、ペンタエリスリトール及び当業界で一般的に知られた他のポリエステル形成性多酸若しくはポリオールを含むこともできる。全てのこれらの添加剤及び多くの他の添加剤並びにそれらの利用法は、当業界でよく知られている。これらの化合物はいずれも本発明において使用できる。
【0064】
本発明のポリエステル組成物は、包装容器の製造に使用するプレフォームを形成するのに使用できる。プレフォームは典型的には、プレフォームを石英赤外線加熱ランプの列に通すことによってポリマー組成物のガラス転移温度より高温に加熱し、プレフォームをボトル金型中に配置し、次いで金型の開口端を通して加圧空気を吹き込む。
【0065】
本発明のポリエステル組成物からは、種々の製品を製造できる。製品としては、シート、フィルム、ボトル、トレイ、他の包装材料、ロッド、チューブ、リッド、及び射出成形品が挙げられる。本発明のポリエステル組成物からは、任意の型のボトルを製造できる。従って、一実施態様において、水の収容に適した、PETから製造された飲料ボトルを提供できる。別の実施態様において、容器中に熱間充填される飲料又は食品を収容するのに適した熱硬化飲料ボトルが提供される。更に別の実施態様において、ボトルは炭酸清涼飲料の収容に適する。
【0066】
本発明において使用する金属モリブデン粒子再加熱添加剤は、プレフォームの再加熱速度、明度及び色度並びにこれらのプレフォームから製造されるボトルの曇り度値に影響を与える。これらの性能特性の任意の1つ又はそれ以上は、使用する再加熱添加剤の量を変えることによって、又は粒度若しくは粒度分布を変化させることによって調節できる。
【0067】
本発明はまた、液体又は固体バルクポリエステル及び液体、溶融又は固体ポリエステルコンセントレート組成物をプレフォームを製造するための機械に供給することを含む、ポリエステルプレフォームの製造方法を提供する。このコンセントレートについては、本明細書中の他の場所で記載してある。本発明によれば、コンセントレートは、プレフォームを製造するための段階において添加することができるだけでなく、他の実施態様においては、コンセントレートポリエステル組成物を、未使用ポリエステルポリマーの製造のための溶融相に添加することを含むポリエステル組成物の製造方法も提供される。このコンセントレートは、金属モリブデン粒子及び少なくとも65重量%のポリエステルポリマーを含む。別法として、モリブデン粒子は再生PETに添加することもできる。
【0068】
本発明に係るポリエステル組成物は、優れた再加熱速度と共に、改善されたL及びb評価並びに低いボトル側壁曇り度を有する。
【0069】
本発明の更に別の実施態様において、112℃又はそれ以上のPST及び60.0又はそれ以上のL値を有するプレフォームから製造された、ポリエステル飲料ボトルが提供される。
【0070】
前記の各実施態様において、それぞれの製造方法並びにプレフォーム及び製品、詳細にはプレフォームからブロー成形されたボトルや金属モリブデン粒子を含むそれらの組成物を包含する追加の実施態様も更に提供される。
【0071】
本発明のポリエステル組成物は、ポリマーのポリエステル成分がポリマーの重量に基づき、少なくとも30重量%又は少なくとも50重量%又は少なくとも80重量%又は更には90重量%若しくはそれ以上の量で存在するならば、場合によっては任意の数の成分を任意の量で含む任意の熱可塑性ポリマーであることができ、ポリマーの主鎖は典型的には、テレフタレート又はナフタレン反復単位を含む。
【0072】
適当なポリエステルポリマーの例としては、以下の1種又はそれ以上が挙げられる:PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ(1,4−シクロ−ヘキシレンジメチレン)テレフタレート(PCT)、ポリ(エチレン−コ−1,4−シクロヘキサジメチレンテレフタレート)(PETG)、コポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレン/エチレンテレフタレート)(PCTG)、及びそれらのブレンド又はそれらのコポリマー。ポリエステル組成物の形態は限定しないが、製造プロセスにおけるメルト、又は射出成形機中に見られるような、重合後の溶融状態、並びに液体、ペレット、プレフォーム及び/又はボトルの形態が挙げられる。ポリエステルペレットは、25℃、1atmにおいて固体として単離できるので、輸送及び加工が容易である。ポリエステルペレットの形状は限定せず、典型的には規則的な又は不規則な形状の離散粒子であり、シート、フィルム又は繊維とは区別できる。
【0073】
更に、本明細書中で使用する用語「ポリエステル」は、ポリエーテルエステル、ポリエステルアミド及びポリエーテルエステルアミドを含む(これらに限定するものではない)ポリエステル誘導体を含むものであることを理解すべきである。従って、簡単にするために、本明細書及び「特許請求の範囲」の全体において、用語「ポリエステル」、「ポリエーテルエステル」、「ポリエステルアミド」及び「ポリエーテルエステルアミド」は同義で使用でき、典型的には「ポリエステル」と称するが、個々のポリエステル種は出発原料、すなわち、ポリエステル前駆体反応体及び/又は成分によって異なることがわかっている。
【0074】
ポリエステル組成物内部の金属モリブデン粒子の位置は限定しない。金属モリブデン粒子は、ポリエステルポリマー、ペレット、プレフォーム又はボトルの上又は内部の任意の位置に配置することができる。好ましくは、ペレットの形態のポリエステルポリマーは、連続相を形成する。連続相の「内部」への分布とは、金属モリブデン粒子が少なくとも、ペレットの横断切片の一部の内部に見られることを意味する。金属モリブデン粒子はポリエステルポリマーの内部にランダムに分布させることもできるし、不連続な領域内に分布させることもできるし、又はポリマーの一部の内部にのみ分布させることもできる。好ましい実施態様において、金属モリブデン粒子は、金属モリブデン粒子をメルトに添加することによる、又は金属モリブデン粒子を固体ポリエステル組成物と混合してから溶融及び混合を行うことによるなどして、ポリエステルポリマー全体にランダムに配置する。
【0075】
金属モリブデン粒子は、少なくとも112℃又は少なくとも115℃又は少なくとも120℃のプレフォーム表面温度を達成すると同時に、112℃のPSTにおいて測定した場合に、L明度を60又はそれ以上に保持するような量で添加することができる。
【0076】
従って、ポリエステル組成物(本明細書中の他の場所で解説したポリエステルコンセントレート組成物以外)、プレフォーム及び容器中の金属モリブデン粒子の適当な量は、ポリエステル組成物中のポリマーの重量に基づき、約0.5〜約500ppmの範囲、又は既述の通りであることができる。使用する金属モリブデン粒子の量は、金属モリブデン粒子の型及び量、粒子の粒度、表面積及び形態並びに所望の再加熱速度改善レベルによって異なり得る。
【0077】
粒度は、レーザー回折式粒度分布計、又は走査又は透過電子顕微鏡法で測定することができる。別法として、粒度は、メッシュを通して篩い分けされた粒子の百分率と相関させることができる。少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の粒子がASTM−E11 140の篩を通って落下する粒度分布を有する金属モリブデン粒子が、再加熱剤としての使用に適する。少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の粒子がASTM−E11 325の篩を通って落下する粒度分布を有する金属モリブデン粒子もまた、再加熱剤としての使用に適する。
【0078】
本発明において使用する金属モリブデン粒子は、プレフォームの再加熱速度を増加させるだけでなく、Lを許容レベル未満に低下させないことによって、プレフォーム及びボトルの明度に対する影響がわずかである。プレフォーム又はボトルの許容L値は、112℃のPSTにおいて測定した場合に、60又はそれ以上であると考えられる。
【0079】
種々の他の実施態様において、メルト、ペレット、シート、プレフォーム及び/又はボトルの形態で否かにかかわらず、100μm未満、又は50μm未満、又は1μm未満若しくはそれ以下のd50粒度を有する金属モリブデン粒子を少なくとも0.5ppm、又は少なくとも50ppm、又は少なくとも100ppm含むポリエステル組成物が提供され、前記ポリエステル組成物は、112℃又は115℃又は120℃のPSTにおいて測定した場合に、60若しくはそれ以上、又は68若しくはそれ以上、又は更には80若しくはそれ以上のL値を有する。
【0080】
本発明の種々の実施態様によれば、金属モリブデン粒子は、重合中の任意の点で、例えば、エステル化ゾーンに、プレポリマーゾーン及び仕上げゾーンからなる重縮合ゾーンに、ペレット化又は粒状化ゾーンに又はその前に、並びにこれらのゾーンの間の任意の点で添加することができる。金属モリブデン粒子はまた、固相化反応器から出ようとしている固相化ペレットに添加することができる。更に、金属モリブデン粒子は、射出成形機への他の供給材料と一緒にPETペレットに添加することもできるし、又は射出成形機に別々に供給することもできる。明確にすると、金属モリブデン粒子は、溶融相において又は射出成形機に、ポリエステル組成物をペレットへと固化又は分離することなく、添加することができる。従って、金属モリブデン粒子は、プレフォームの製造プロセスの任意の点でメルト−金型プロセスにおいて添加することもできる。いずれの場合にも、添加点において、金属モリブデン粒子は、純粋な粉末として、又は液体で、又はポリマーコンセントレートとして添加することができ、且つ未使用又は再生PETに添加することができ、或いはPETポリマーキャリヤーとして未使用又は再生PETを用いてポリマーコンセントレートとして添加することができる。
【0081】
他の実施態様において、本発明は、ジアルキルテレフタレート若しくはジアルキルナフタレートをエステル交換することによって又はテレフタル酸若しくはナフタレンジカルボン酸を直接エステル化することによって製造されたポリアルキレンテレフタレート又はナフタレートポリマーのような、金属モリブデン粒子を含むポリエステル組成物の製造方法に関する。
【0082】
従って、ジアルキルテレフタレート若しくはナフタレートをジオールとエステル交換し又はテレフタル酸若しくはナフタレンジカルボン酸をジオールで直接エステル化し、プレポリマーゾーン後のポリアルキレンテレフタレート又はナフタレートの製造のための溶融相に、又はポリアルキレンテレフタレート若しくはナフタレート固体に、又はボトルプレフォーム製造用の射出成形機に金属モリブデン粒子を添加することによる、ポリアルキレンテレフタレート又はナフタレートポリマー組成物の製造方法が提供される。
【0083】
これらの方法の実施態様のそれぞれを、ポリエステルポリマーの説明と共に、これから更に詳細に説明する。
【0084】
ポリエステルポリマーは、例えばPET、PEN又はそれらのコポリマー若しくは混合物であることができる。好ましいポリエステルポリマーは、ポリエチレンテレフタレートである。本明細書中で使用する「ポリアルキレンテレフタレートポリマー」又は「ポリアルキレンナフタレートポリマー」は、ポリアルキレンテレフタレート単位又はポリアルキレンナフタレート単位を、それぞれ、ポリマー中の単位の総モルに基づき、少なくとも60モル%の量で有するポリマーを意味する。従って、ポリマーは、反応混合物に添加された成分のモル%によって測定した場合に、エチレンテレフタレート又はナフタレート単位を少なくとも85モル%、又は少なくとも90モル%、又は少なくとも92モル%、又は少なくとも96モル%の量で含むことができる。従って、ポリエチレンテレフタレートポリマーは、エチレンテレフタレート単位及びアルキレングリコール又はアリールグリコールと脂肪族又はアリールジカルボン酸に由来する他の単位のコポリエステルを含むことができる。
【0085】
いくつかの例においてポリエチレンテレフタレートに言及しているが、ポリマーはポリアルキレンナフタレート又は本明細書中に記載した別のポリエステルであることもできることを理解されたい。
【0086】
ポリエチレンテレフタレートは、少なくとも60モル%の、又は少なくとも70モル%の、又は少なくとも85モル%の、又は少なくとも90モル%の、多くの用途では少なくとも95モル%のテレフタル酸又はC〜Cジアルキルテレフタレートを含む二酸又はジエステル成分と、少なくとも60モル%、又は少なくとも70モル%、又は少なくとも85モル%、又は少なくとも90モル%、多くの用途では少なくとも95モル%のエチレングリコールを含むジオール成分とを反応させることによって製造できる。二酸成分がテレフタル酸であり且つジオール成分がエチレングリコールであるのが好ましい。全二酸成分のモル百分率は合計で100モル%となり、全ジオール成分のモル百分率も100モル%となる。
【0087】
ポリエステルペレット組成物は、ポリアルキレンテレフタレート、PEN又はそれらの混合物と、ポリカーボネート及びポリアミドのような他の熱可塑性ポリマーとの混合物を含むことができる。多くの場合において、ポリエステル組成物は、ポリアルキレンテレフタレートポリマー若しくはPENポリマーを大部分、又はポリマー(充填剤、コンパウンド、無機化合物若しくは粒子、充填剤、繊維、耐衝撃性改良剤又は不連続相を形成する可能性のある他のポリマーを除く)の重量に基づき、少なくとも80重量%若しくは少なくとも95重量%の量で含むのが好ましい。テレフタル酸に由来する単位の他に、本発明のポリエステルの酸成分は、1種若しくはそれ以上の追加ジカルボン酸、例えば炭素数が好ましくは8〜14の芳香族ジカルボン酸、炭素数が好ましくは4〜12の脂肪族ジカルボン酸又は炭素数が好ましくは8〜12の脂環式ジカルボン酸で改質するか、或いはそれと置き換えることができる。
【0088】
酸成分の改質に有用なジカルボン酸単位の例は、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などからの単位であり、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸及びシクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
【0089】
これらの酸の対応する酸無水物、エステル及び酸塩化物の使用も用語「ジカルボン酸」に含まれることを理解されたい。
【0090】
エチレングリコールに由来する単位の他に、本発明のポリエステルのジオール成分は、炭素数が好ましくは6〜20の脂環式ジオール及び炭素数が好ましくは2〜20の脂肪族ジオールを含む他のジオールからの単位で改質するか、又はそれと置き換えることができる。このようなジオールの例としては以下のものが挙げられる:ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;プロパン−1,3−ジオール;ブタン−1,4−ジオール;ペンタン−1,5−ジオール;ヘキサン−1,6−ジオール;3−メチルペンタンジオール−(2,4);2−メチルペンタンジオール−(1,4);2,2,4−トリメチルペンタン−ジオール−(1,3);2,5−エチルヘキサンジオール−(1,3);2,2−ジエチルプロパン−ジオール−(1,3);ヘキサンジオール−(1,3);1,4−ジ−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン;2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン;2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン;2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパン;及び2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパン。
【0091】
本発明のポリエステル組成物は、エステル化及び重縮合を行うのに充分な、当業界でよく知られた従来の重合法によって製造できる。ポリエステルの溶融相製造方法は、エステル化ゾーンにおける、場合によってはエステル化触媒の存在下での、ジカルボン酸とジオールとの直接縮合と、それに続く、プレポリマーゾーン及び仕上げゾーンにおける重縮合触媒の存在下での重縮合;又はエステル化ゾーンにおける、通常はエステル交換触媒の存在下でのエステル交換と、それに続く、重縮合触媒の存在下での予備重合及び仕上げを含み、いずれも場合によってはその後に公知方法に従って固相化を行うことができる。溶融相及び/又は固相重縮合の後では、ポリエステルポリマー組成物は、典型的には、前駆体としては0.55〜約0.70dL/gの範囲の極限粘度数(It.V.)を、固相化ペレットとしては約0.70〜約1.1dL/gの範囲のIt.V.を有する。
【0092】
更に説明すると、1種若しくはそれ以上のジカルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と1種又はそれ以上のジオールとの混合物を、約200〜300℃、典型的には240〜290℃の温度において、約1〜約70psigの圧力で運転されるエステル化反応器に連続供給する。反応体の滞留時間は典型的には約1〜5時間の範囲である。通常、ジカルボン酸は高圧で約240〜約270℃の温度においてジオールで直接エステル化させる。エステル化反応は、少なくとも60%のエステル化度に達するまで続けるが、より典型的には少なくとも85%のエステル化度に達して所望のモノマーを生成するまで続ける。エステル化モノマー反応は典型的には直接エステル化プロセスにおいては触媒せず、エステル交換プロセスにおいては触媒する。場合によっては、重縮合触媒をエステル化/エステル交換触媒と共にエステル化ゾーンにおいて添加することができる。
【0093】
使用できる典型的なエステル化/エステル交換触媒としては、亜鉛、マンガン若しくはマグネシウムの酢酸塩若しくは安息香酸塩と及び/又は当業者によく知られた他のこのような触媒材料と別々に又は場合によっては組合せて使用されるチタンアルコキシド、ジブチル錫ジラウレートが挙げられる。燐含有化合物及びコバルト化合物もまた、エステル化ゾーンに存在できる。エステル化ゾーンにおいて形成される、得られる生成物は、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)モノマー、低分子量オリゴマー、DEG及び縮合副生成物としての水、それと共に、触媒と着色剤又はリン含有化合物のような他の化合物との反応によって形成される他の微量の不純物を含む。BHET及びオリゴマー種の相対量は、その方法が直接エステル化方法(その場合には、オリゴマー種の量が多く、主要な種として存在することさえある)であるか又はエステル交換法(その場合には、BHETの相対量がオリゴマー種よりも多い)であるかによって異なるであろう。水は、エステル化反応の進行につれて除去し、過剰のエチレングリコールは除去して、良好な平衡条件をもたらす。エステル化ゾーンは典型的には、モノマーとオリゴマーの混合物を、もしあれば、一連の1つ又はそれ以上の反応器中で連続的に生成する。別法として、モノマーとオリゴマーの混合物は、1つ又はそれ以上の回分式反応器中で生成できるであろう。
【0094】
しかし、PENの製造方法において、反応混合物はビス(2−ヒドロキシエチル)ナフタレート及びその対応するオリゴマーのようなコモノマー種を含むであろうことがわかっている。エステルモノマーが所望のエステル化度に達したら、エステル化ゾーンのエステル化反応器から、プレポリマーゾーン及び仕上げゾーンからなる重縮合ゾーンに移す。
【0095】
重縮合反応は、予備重合ゾーンの溶融相で開始して、継続し、そして仕上げゾーンの溶融相で仕上げ、その後にメルトをチップ、ペレット又は任意の他の形態の前駆体固体へと固化させることができる。便宜上、固体をペレットと称するが、ペレットは任意の形状、構造又はコンシステンシーを有することができることがわかっている。所望ならば、重縮合反応は、固相化ゾーン中で前駆体ペレットを固相化することによって継続することができる。
【0096】
プレポリマーゾーン及び仕上げゾーンについて言及したが、いずれのゾーンも、異なる条件で動作する一連の1つ若しくはそれ以上の異なった反応器を含むこともできるし、又はそれらのゾーンは、単一の反応器中で異なる条件で行われる1つ若しくはそれ以上のサブ段階を用いて1つの反応器中に合することもできる。すなわち、プレポリマー段階は、連続して運転される1つ若しくはそれ以上の反応器、1つ若しくはそれ以上の回分式反応器、又は更には単一反応器中で行われる1つ若しくはそれ以上の反応工程若しくはサブ段階の使用を含むことができる。いくつかの反応器の設計において、反応時間の点から見て、予備重合ゾーンは重縮合の前半に相当し、仕上げゾーンは重縮合の後半に相当する。他の反応器の設計は、滞留時間を、予備重合ゾーンと仕上げゾーンの間で2:1の比となるように調節することができるが、予備重合ゾーンと仕上げゾーンとの、全ての設計における共通の違いは、仕上げゾーンが予備重合ゾーン中の運転条件よりも高い温度、低い圧力及び速い表面更新速度で動作することである。一般に、予備重合ゾーン及び仕上げゾーンは1つの又は一連の1つより多い反応器を含み、予備重合反応器及び仕上げ反応器は、ポリエステルポリマーの製造のための連続プロセスの一部として直列に配列する。
【0097】
当業界において低重合器としても知られる予備重合ゾーンにおいては、低分子量のモノマー及び少量のオリゴマーを、触媒の存在下で重縮合によって重合させて、ポリエチレンテレフタレートポリエステル(又はPENポリエステル)を生成する。触媒をモノマーエステル化段階で添加しなかった場合には、触媒はこの段階で添加して、モノマーと低分子量オリゴマーとの反応を触媒して、プレポリマーを形成すると共に、ジオールを副生成物として分離する。重縮合触媒がエステル化ゾーンに添加された場合には、典型的にはジオールとブレンドし、ジオール供給材料としてエステル化反応器中に供給する。燐含有化合物、コバルト化合物及び着色剤のような他の化合物も、予備重合ゾーンにおいて添加できる。しかし、これらの化合物は、予備重合ゾーンの代わりに又は予備重合ゾーンに加えて仕上げゾーンにおいても添加することができる。
【0098】
典型的なDMTに基づく方法において、当業者ならば、他の触媒材料並びに触媒材料及び他の成分の添加点が、典型的な直接エステル化方法とは異なることがわかる。
【0099】
典型的な重縮合触媒としては、得られるポリエステルポリマーの重量に基づき、0.1〜1,000ppmの範囲の量のアンチモン、チタン、ゲルマニウム、亜鉛及び錫の化合物が挙げられる。予備重合ゾーンに添加する通常の重合触媒は、アンチモン系重合触媒である。適当なアンチモン系触媒としては、当業界で認められているアンチモン(III)及びアンチモン(V)化合物、特にジオール可溶性アンチモン(III)及びアンチモン(V)化合物が挙げられ、アンチモン(III)が最も一般的に使用される。他の適当な化合物としては、ジオールと反応するがジオール中に必ずしも溶解しないそれらのアンチモン化合物が挙げられ、このような化合物の例には酸化アンチモン(III)がある。適当なアンチモン触媒の具体例としては、酸化アンチモン(III)及び酢酸アンチモン(III)、グリコール酸アンチモン(III)、アンチモン(III)エチレングリコキシド及びそれらの混合物が挙げられ、酸化アンチモン(III)が好ましい。添加するアンチモン触媒の好ましい量は、得られるポリエステルの重量に基づき、約75〜約400ppmのアンチモンレベルを生じるのに有効な量である。
【0100】
このプレポリマー重縮合段階は一般に一連の2つ又はそれ以上の容器を使用し、約250〜305℃の温度で約1〜4時間行う。この段階の間に、モノマー及びオリゴマーのIt.V.は典型的にはせいぜい約0.35dL/gまでしか上昇しない。ジオール副生成物は、15〜70トルの範囲の加えられた真空を用いてプレポリマーメルトから除去して、反応を完了させる。この点に関して、ポリマーメルトは典型的には、ポリマーメルトからのジオールの逃散を促進するために及び高粘性ポリマーメルトが重合容器を通って移動するのを助けるために、撹拌する。ポリマーメルトが逐次反応器に供給されるにつれて、ポリマーメルトの分子量、従って、極限粘度数は増加する。各逐次反応中の重合度をより大きくできるように、一般に、各反応器の温度を上昇させ、圧力を低下させる。しかし、グリコール類、水、アルコール、アルデヒド及び他の反応生成物の除去を促進するために、反応器は典型的には真空下で運転するか、又は不活性ガスでパージする。不活性ガスは、反応条件において不要な反応又は反応特性を生じない任意の気体である。適当な気体としては、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム及び窒素が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0101】
典型的にはせいぜい0.35dL/gのIt.V.が得られたら、プレポリマーはプレポリマーゾーンから仕上げゾーンに供給する。そこで、予備重合ゾーン中のメルトのIt.V.(典型的には0.30dL/gであるが通常は0.35dL/g以下)から約0.50〜約0.70dL/gの範囲のIt.V.にメルトのIt.V.が増加されるまで、予備重合ゾーンに存在するよりも高い、約280〜305℃の範囲内の温度まで昇温させた1つ又はそれ以上の仕上げ容器中で重縮合の後半を続ける。当業界においては一般的に「高重合器」、「仕上げ機」又は「重縮合器」として知られる最終反応器を、予備重合ゾーン中で使用するよりも低い圧力、典型的には約0.8〜4.0トルの範囲内の圧力で運転する。仕上げゾーンは典型的にはプレポリマーゾーンと同じ基本的な化学反応を伴うが、分子のサイズ、従って、粘度が異なるという事実は、反応条件も異なることを意味する。しかし、プレポリマー反応器と同様に、1つ又はそれ以上の仕上げ反応器のそれぞれをフラッシュ容器に接続し、エチレングリコールの除去を促進するために、典型的にはそれぞれを撹拌する。
【0102】
連続方法における、重縮合反応器中の滞留時間並びにエステル化ゾーン中へのエチレングリコール及びテレフタル酸の供給速度は、ある程度はポリエチレンテレフタレートポリエステルの目標分子量に基づいて決定する。分子量はポリマーメルトの極限粘度数に基づいて容易に測定できるので、一般に、ポリマーメルトの極限粘度数を用いて、重合条件、例えば温度、圧力、反応体の供給速度及び重縮合容器内の滞留時間を決定する。
【0103】
所望のIt.V.が仕上げ機中で得られたら、メルトをペレット化ゾーンに供給し、そこで濾過し、所望の形態に押出する。本発明のポリエステルポリマーは、指定寸法より大きい粒子を除去するために濾過し、その後に溶融相で押出を行って、ポリマーシート、フィラメント又はペレットを形成する。このゾーンを「ペレット化ゾーン」と称するが、このゾーンは、メルトをペレットの形状に固化することに限定せず、任意の望ましい形状への固化を含む。ポリマーメルトは、重縮合の直後に押出するのが好ましい。押出後、ポリマーを、好ましくは水を噴霧するか又は水桶に浸漬することによって急冷して、固化を促進する。固化された縮合ポリマーを、ペレットを含む任意の所望の形状に切断する。
【0104】
当業者に知られるように、縮合ポリマーから形成されたペレットは場合によっては固相化ゾーンに供することができ、そこで、固体は最初に結晶化され、続いて固相重合(SSP)を行い、溶融相から出ていくIt.V.から目的とする最終用途に有用な、所望のIt.V.までポリエステル組成物固体のIt.V.を更に増加させる。典型的には、固相化ポリエステル固体のIt.V.は、0.70〜1.15dL/gの範囲である。典型的なSSPプロセスにおいては、結晶化ペレットは、180〜220℃に加熱された窒素ガスの対向流にIt.V.を所望の目標値まで増加させるのに必要な時間にわたって供する。
【0105】
その後、ポリエステルポリマー固体(固相化された(solid stated)ものでもされていないものでも)を再溶融させ且つ再押出して、容器(例えば飲料ボトル)、フィラメント、フィルムなどのような製品を形成する。この段階において、ペレットは典型的にはボトルに延伸ブロー成形されるプレフォームの製造に適当な射出成形機に供給する。
【0106】
前述のように、金属モリブデン粒子は、溶融相又はその後の任意の点で、例えばエステル化ゾーンに、予備重合ゾーンに、仕上げゾーンに若しくはペレット化ゾーンに、又はこれらのゾーンのそれぞれの間の任意の点で、例えば計量装置、パイプ及びミキサーに添加することができる。金属モリブデン粒子はまた、固相化ゾーン内部のペレットに又は固相化反応器から出る際のペレットに添加できる。更に、金属モリブデン粒子は、射出成形機への他の供給材料と組合せてペレット添加することもできるし、又は別々に射出成形機に供給することもできる。
【0107】
金属モリブデン粒子を溶融相に添加する場合には、溶融相において、特にペレット化ゾーンにおいてフィルターを通過するの充分に小さいd50粒度を有する粒子を用いるのが望ましい。このように、フィルターにメルトを押し通すのに必要なギアポンプ圧の増加によってわかるフィルターの目詰まりを、これらの粒子は起こさないであろう。しかし、所望ならば、金属モリブデン粒子は、ペレット化ゾーンのフィルターの後及び押出機の前又は押出機中に添加できる。
【0108】
従って、本発明によれば、広範囲のd50粒度の金属モリブデン粒子は、燐含有化合物と共に、エステル化ゾーンに、プレポリマーゾーンに若しくはそれらの間の任意の点に、又は隣化合物をエステル化ゾーンに添加した後であって所望の程度までエステル化反応を完了させる前に、又はリン化合物を任意のゾーンに添加した後に及び活性リン化合物を含む反応混合物に添加することができる。金属モリブデン粒子は再加熱速度を増加させる働きをするので、金属モリブデン粒子を添加する点、又はこのような他の活性化合物のメルト中の存在若しくは不存在は限定されない。再加熱増加添加剤としての金属モリブデン粒子の機能は、金属モリブデン粒子を任意の都合のよい点で、溶融相中に活性燐含有化合物が存在する場合であっても添加できる広いウィンドウと柔軟性を可能にする。
【0109】
従って、金属モリブデン粒子は燐含有化合物と共に、供給原料流中の混合物としてエステル化若しくはプレポリマーゾーンに、又は別々の供給材料としてであるが同時にエステル化若しくはプレポリマーゾーン内の反応混合物に添加することができる。別法として、金属モリブデン粒子は、燐化合物をエステル化ゾーンに添加した後であって且つエステル化反応の完了前に同じエステル化ゾーン内部の反応混合物に添加することができる。
【0110】
溶融相において添加する典型的な燐含有化合物としては、当業界で存在が認められた酸性燐含有化合物が挙げられる。このような添加剤の適当な例としては特に以下のものが挙げられる:燐酸、亜燐酸、ポリ燐酸、カルボキシホスホン酸、更に酸性燐酸エステル、例えば、モノ及びジエステル並びに非酸性燐酸エステル、例えば、燐酸トリメチル、燐酸トリエチル、燐酸トリブチル、トリブトキシエチルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、エチレングリコールホスフェート、トリエチルホスホノアセテート、ジメチル=メチル=ホスホネート、テトライソプロピル=メチレンジホスホネート、燐酸のエチレングリコール、ジエチレングリコール及び2−エチルヘキサノールとのモノエスエル、ジエステル及びトリエステルの混合物を含む誘導体のそれぞれ、又はそれぞれの混合物。
【0111】
金属モリブデン粒子は未使用ポリマーに添加する他に、コンセントレートを作るためであっても、予備重合反応器後の溶融相に又は射出成形ゾーンに純粋な形で添加される場合であっても、金属モリブデン粒子は使用済みの再生(PCR)ポリマーに添加することもできる。金属モリブデン粒子を含むPCRは未使用バルクポリマーに、固固ブレンドによって又は両固体を押出機に供給することによって添加する。別法として、金属モリブデン粒子を含むPCRは、予備重合ゾーンと仕上げゾーンとの間の、未使用ポリマーを製造するための溶融相に添加するのが有利である。予備重合ゾーン後の未使用溶融相のIt.V.は、PCRを未使用メルトと溶融ブレンドできる点において充分に高い。別法として、PCRは仕上げ機に添加することができる。いずれの場合にも、未使用溶融相に添加されるPCRは、金属モリブデン粒子を含むことができる。金属モリブデン粒子はPCRと前述の方法のいずれかによって合することもできるし、又は別々に加熱容器に供し給且つその中で溶融ブレンドしてから、これらの添加点で未使用溶融相に金属モリブデン粒子含有PCRメルトを添加することもできる。
【0112】
ポリエステルポリマーの性能特性を向上させるために、他の成分を本発明の組成物に添加することもできる。例えば結晶化助剤、耐衝撃性改良剤、表面潤沢剤、嵌め外し剤(denesting agent)、コンパウンド、酸化防止剤、紫外線吸収剤、触媒失活剤、着色剤、成核剤、アセトアルデヒド低下化合物、他の再加熱速度向上用助剤、粘着性ボトル用添加剤、例えばタルク、及び充填剤などを含ませることができる。ポリマーはまた、少量の分岐剤、例えば三官能価又は四官能価コモノマー、例えばトリメリット酸無水物、トリメチロールプロパン、ピロメリット酸二無水物、ペンタエリスリトール及び当業界で一般的に知られた他のポリエステル形成性多酸又はポリオールを含むこともできる。全てのこれらの添加剤及び多くの他の添加剤並びにそれらの利用法は、当業界でよく知られており、これ以上の解説は必要ない。これらの化合物はいずれも本発明において使用できる。本発明の組成物は、熱可塑性ポリマーと金属モリブデン粒子とのブレンドから本質的になり、他の成分は改質量でのみ存在するのが好ましい。
【0113】
金属モリブデン粒子と共に使用できる他の再加熱速度向上用添加剤の例としては、カーボンブラック、アンチモン金属、錫、銅、銀、金、パラジウム、白金、黒色酸化鉄など並びに近赤外線吸収染料、例えば米国特許第6,197,851号(引用することによって本明細書中に組み入れる)に開示されたもの(これらに限定されない)が挙げられる。
【0114】
酸化鉄(好ましくは黒色酸化鉄)は、非常に微細な形態で、例えば、約0.01〜約200μm、又は約0.1〜約10.0μm、又は約0.2〜約5.0μmで使用できる。黒色酸化鉄の適当な形態としては、マグネタイト及びマグヘマイトが挙げられるが、これらに限定されるものではない。赤色酸化鉄は、得られるポリマーに不所望な赤色を与えるので、それほど好ましくはない。このような酸化物は、例えばPigment Handboolk,Vol.1,(1973),John Wiley & Sonsの323〜349ページに記載されており、この文献を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0115】
本発明の組成物は場合によっては更に1種又はそれ以上の紫外線吸収化合物を含むことができる。一例としては、ポリエステル分子にコモノマーとして、側基として又は末端基として共有結合される紫外線吸収化合物が挙げられる。
【0116】
適当な紫外線吸収化合物は、ポリエステル加工温度において熱的に安定性であり、約320〜約380nmの範囲において吸収を示し、ポリマーからは耐抽出性である。紫外線吸収化合物は、厚さ305μmのボトル壁を通る波長370nmの紫外線の透過率を、好ましくは約20%未満、より好ましくは約10%未満にする。適当な化学反応性紫外線吸収化合物としては、例えば置換メチン化合物を挙げることができる。
【0117】
適当な化合物、それらの製造方法及びそれらのポリエステル中への混和方法については、米国特許第4,617,374号に詳細に開示されており、この特許文献を引用することによって本明細書中に組み入れる。1種又はそれ以上紫外線吸収化合物は、約1〜約5,000重量ppm、好ましくは約2〜約1,500重量ppm、より好ましくは約10〜約500重量ppmの量で存在することができる。紫外線吸収化合物の二量体も使用できる。2種又はそれ以上の紫外線吸収化合物の混合物も使用できる。更に、紫外線吸収化合物はポリマー主鎖と反応するか又はポリマー主鎖中に共重合されるので、得られるポリマーは、プレートアウト及び/又は揮発などによる紫外線吸収化合物の損失の低下を含む改善された加工性を示す。
【0118】
本発明のポリエステル組成物は、種々の造形品、例えばフィルム、シート、チューブ、プレフォーム、成形品、容器などを形成するのに適当である。製品の適当な形成方法は知られており、例えば、押出、押出ブロー成形、溶融流延、射出成形、延伸ブロー成形、熱成形などである。
【0119】
本発明のポリエステルは、更に場合によっては、色相安定剤、例えばいくつかのコバルト化合物を含むことができる。これらのコバルト化合物は、コバルト酢酸塩又はコバルトアルコラート(高級アルコールのコバルト塩)として添加できる。これらは、エチレングリコール溶液として添加できる。多量のコバルト添加剤を含むポリエステル樹脂は、押出機への添加用のマスターバッチとして製造できる。カラートナーとしてのコバルト添加剤の添加は、樹脂の黄色、bを最小限に抑えるか又は排除するのに使用される方法である。アルミン酸コバルト、安息香酸コバルト、塩化コバルトなどのような他のコバルト化合物も色相安定剤として使用できる。また、最終樹脂生成物中のDEGの形成を減少させるか又は防ぐためにいくつかのジエチレングリコール(DEG)阻害剤を添加することも可能である。好ましくは、特定の型のDEG阻害剤は、適用できるジオールの、ジカルボン酸又はヒドロキシルアルキル若しくはヒドロキシアルコキシ置換カルボン酸によるエステル化及び重縮合の間におけるDEGの形成を減少させるために、酢酸ナトリウム含有組成物を含むであろう。また、この樹脂から製造されるボトル又はシート材料の耐応力亀裂性を改善するために応力亀裂抑制剤を添加することが可能である。
【0120】
使用できるポリエステルの型に関しては、樹脂の再加熱時間又は昇温時間の改善が望まれる、樹脂、粉末、シートなどの形態の、任意の高透明度でニュートラルな色相のポリエステル、コポリエステルなどを使用できる。従って、テレフタル酸ジメチル若しくはテレフタル酸ルートから又は当業者によく知られたそれらの種々の同族体から、従来の量の従来の触媒を一緒に用いて常法で製造されたポリエステルを、本発明に従って使用できる。更に、この型のポリエステルは溶融重合、固相重合などに従って製造できる。更に、本発明は、高透明度、低曇り度の粉体被覆組成物の製造に使用できる。特定量のアンチモン触媒、低量の燐及び青味剤(コバルト化合物であることができる)を用いて製造される、好ましい型の高透明度ポリエステル樹脂の一例について以下に示す。前述のように、ポリエステルは炭素数2〜40のジカルボン酸と炭素数2〜約20のグリコール類又はジオールのような多価アルコールとの反応によって常法で生成する。ジカルボン酸は、炭素数2〜約20のアルキル、又は炭素数8〜16のアリール若しくはアルキル置換アリールであることができる。炭素数4〜20のアルキルジエステル又は炭素数10〜20のアルキル置換アリールジエステルも使用できる。望ましくは、ジオールは2〜8の炭素原子を含むことができ、好ましくはエチレングリコールである。更に、炭素数4〜12のグリコールエーテルも使用できる。一般に、商業的に製造されるポリエステルのほとんどは、テレフタル酸ジメチル又はテレフタル酸とエチレングリコールとから製造される。粉体樹脂塗料を製造する場合には、ネオペンチルグリコールがかなりの量で使用されることが多い。
【0121】
本発明のポリエステルの具体的な使用領域としては、例えば飲料ボトルなどのようなボトルを形成するためにブロー成形されるプレフォームの使用の場合にように、最終製品の形成のために次に加熱されるプレフォームが存在する場所が挙げられる。別の用途は、最終製品を形成するために加熱及び圧伸される予備成形トレイ、予備成形カップなどである。更に別の用途は、周囲に赤外線急冷カラーを有する複数個の紡糸口金を通して強制的に押し出されるポリエステル糸に関する。更に、本発明は、目的透明フィルムなどが望ましい、透明度が高く、明澄で且つ低曇り度の粉体塗料に適用できる。
【実施例】
【0122】
本発明は更に、好ましい実施態様に関する以下の実施例によって更に説明できるが、これらの実施例は単に説明のために記載するのであって、特に断らない限り、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0123】
例1
この例においては、前記平均粒度が0.3μmである金属モリブデン粒子を、Alfa Aesarから購入した(ストック番号44599)。サンプルはまた、99.95%の純度を有していた。粒子は、走査型電子顕微鏡法によって測定した場合に、0.56μmのd50を有し、粒度範囲は約0.25〜約1.4μmであることがわかった。
【0124】
金属モリブデン粒子は、溶融配合時に、市販PET樹脂、VORIDIAN(登録商標)9921ポリマー(Eastman Chemical Comapny,Kingsport,Tennesseeから入手可能な、It.V.が0.8dL/gの、結晶化されているコポリマーPET)に添加した。モリブデン525ppmを含むコンセントレートは、ベース樹脂としてVORIDIAN 9921ポリマーを用いて製造した。押出は、Saxton and Pineapple混合ヘッドを有する1インチ一軸スクリュー押出機を用いて行った。押出機にはまた、ペレット化機能を具備していた。次に、コンセントレートを約50〜525ppmの範囲の異なる濃度で9921ポリマー中にレットダウンさせた。配合プロセスの間に、異なるバッチ間で交差汚染が起こらないように、9921ポリマーを用いて押出機バレルを数回パージした。
【0125】
溶融配合後、直径3cm及び厚さ0.17cmを有するディスクを、Daca(登録商標)Microcompounder/Microinjectorを用いて成形した。また、対照として9921ポリマーから成形ディスクを製造した。成形ディスクは次に、カラー(L,a,b及び曇り度)及び再加熱測定に用いた。
【0126】
成形ディスクの測色は、以下のようにして行った。Hunter Lab UltraScan分光光度計を用いて、一緒に積み重ねられた3枚のディスク(厚さ約0.51cm)についてL、a及びbを測定した。計測器は、D65照明光源を10°の観測角及び積分球の形状と共に用いて操作した。測色は、サンプルを直接透過する光と広範囲に散乱される光が共に測定される全透過率(TTRAN)モードで行った。ディスクは、光が通常はディスク表面に入射するように、光源の前にホルダーを用いて一緒に積み重ねた。曇り度は、(拡散光強度)対(検体によって透過される全光強度)の比として判定した。曇り度は、下記式から計算した:
【0127】
【数2】

【0128】
[式中、Yは光の強度を表す]。
【0129】
成形ディスクに関する再加熱測定は、以下のようにして行った。ディスクを支持材の上に置いた。支持材はサンプルとその縁に沿ってのみ接触していた。次に、アクチュエーターがディスクをパイロメーターの真下に自動的に移動し、初期温度(T)を測定した。次いで、ディスクが、60Vで動作する電球(GE DYH映写用電球,250W、120V)を装着したランプハウジングから一定距離を隔てた位置に移動された。サンプルは放射光に20秒間暴露された。ランプの色温度は約2,200℃であった。加熱後、ディスクは自動的にパイロメーターに戻され、そこでランプをオフにしてから2分後に、ランプに面する面(正面)の中央領域の表面温度(T)が記録された。逐次試験の間に90秒の冷却サイクルを用い、その間に、次のサンプルの装填前にファンがランプハウジングを冷却した。次いで、下記式に示されるようにして、試験サンプルの温度差を対照サンプルの温度差と比較することによって、再加熱指数(RHIとして知られる)を計算した:
【0130】
【数3】

【0131】
図1、以下の表I及びIIに示されるように、モリブデン粉末の平均粒度は0.25〜1.4μm、メジアン値は0.56μm、標準偏差は0.19μmであった。
【0132】
【表1】

【0133】
【表2】

【0134】
ポリマー中の最終モリブデン濃度は、Perkin−Elmer Optima 2000計測器を用いて誘導結合プラズマ発光分光分析法によって測定した。モリブデンの装填レベル並びにカラー及び再加熱の結果を表IIIに示す。
【0135】
【表3】

【0136】
図2は、RHIとモリブデンの濃度との関係を示す(注:この実施例では、RHIは、9921ポリマーを対照として用いて計算する)。これらの結果は、金属モリブデン粒子が、ベース樹脂のRHIの増加に非常に有効であることを示す。
【0137】
図3においては、金属モリブデン粒子を含むポリエステルに関する、RHIとLとの関係を示す。結果は、PET中に配合された場合には、金属モリブデン粒子は満足できるL値を提供することを示す。
【0138】
図4は、金属モリブデン粒子を含む9921ポリマーに関する、RHIと曇り度との相関を示す。
【0139】
図5及び6は、9921ポリマーへの金属モリブデン粒子の添加が色度の結果(a及びb)に小さな変化しか生じないことを示す。
【0140】
例2
この例においては、例1において記載したようなモリブデン粒子を525ppm含む9921ポリマーのコンセントレートを用いて、プレフォーム及びボトルを製造した。このコンセントレートを、再加熱添加剤を含まないPETコポリマーであるVoridian(登録商標)CM01ポリマーと合して、31ppm及び48ppmの最終モリブデン濃度を得た。溶融温度280℃及びサイクル時間30秒で運転されるBOY(22D)射出成形機を用いて、標準の20オンスのボトルプレフォームを製造した。
【0141】
各組成物の再加熱を調べるために、Sidel SB02/3ブロー成形ユニットを用いて2組のブロー成形実験を行った。第1組の実験は、モリブデン粒子を含むプレフォームの再加熱速度又はプレフォーム表面温度を評価するために行った。5個1組のプレフォームを、石英赤外線ヒーターの前に通し、各組成物のPSTを測定した。PST値が高いほど、組成物の再加熱速度(又はRHI)は速かった。Sidel SB02/3に関する赤外線ランプの設定値を表IVに示す。ヒーター中のプレフォーム加熱時間は38秒とし、石英赤外線ヒーターへの出力は64%に設定した。
【0142】
【表4】

【0143】
第2組の実験においては、異なるレベルのモリブデン粒子を用いて最終ボトル中に一貫した材料分布を保証するために、異なる組成に関して同様なPSTでボトルをブロー成形できるように、オーブン出力を変化させた。PSTは、この組の実験においては115℃となるようにコントロールした。
【0144】
プレフォームに関する測色は、拡散/8°(照明/視角)球の光学的形状を使用するHunterLab UltraScan XE(Hunter Associates Laboratory,Inc.,Reston VA)を用いて行った。使用したカラースケールは、D65光源及び視角10°が指定されたCIE LABスケールである。側壁厚さ0.154インチ、全高3.93インチ及び外径0.846インチの20オンス・プレフォームを、ASTM D1746の”Standard Test Method for Transparency of Plastic Sheeting”を用いて正透過モードで測定した。プレフォームを、プレフォームホルダーを用いて計測器中の所定の位置に固定し、三重反復試験測定値を平均した。サンプルは、各測定間においてその中心軸の回りに90°回転させた。
【0145】
ボトル側壁の曇り度は、BYK−Gardner(Silver Spring,MD)Haze−Gard Plusを用いて、ASTM D 1003に従って、0.012インチの側壁厚を有するボトル側壁の切片について測定した。
【0146】
表Vに記載した結果は、モリブデン粒子を含む配合物が、CM01に比較して高いPSTを有していたことを示す。これは、モリブデン粒子が、ブロー成形機の石英赤外線ヒーターからのエネルギーの吸収において非常に効率的であったことを示している。
【0147】
【表5】

【0148】
表VIに示されるように、モリブデン粒子を含む配合物(エントリー10及び11)は、CM01(エントリー9)に比較して115℃の範囲においてPSTに到達するのに必要なオーブン出力が低かった。更に、表VIは、モリブデン粒子が、ボトル側壁の曇り度をわずかしか増加させないことを示している。
【0149】
【表6】

【0150】
例3
実施例1に記載したモリブデン粒子を、再加熱速度及びカラーに対するそれらの影響を判定するために、PET重合プロセスに添加した。ポリマーは以下のようにして製造した。
【0151】
第1工程において、精製テレフタル酸(PTA)、精製イソフタル酸(PIA)、エチレングリコール(EG)及び三酸化アンチモン(ATO)触媒を2Lオートクレーブに装入することによって、PETオリゴマーを製造した。配合は以下の通りであった:PTA 651.0g、PIA 13.0g、EG 396.0g及びATO 0.249g。原料を245℃及び40psigにおいて200分間反応させた。反応の終わりに、得られたオリゴマーを反応器から排出し、室温で固化させ、次いで粗粉に粉砕した。
【0152】
第2工程において、オリゴマーから以下のようにしてポリマーを製造した。ポリマーヘッド、オーバーヘッドスターラー、窒素入口、ドライアイス凝縮トラップ及び真空源を装着した500mL重合フラスコに、オリゴマー(121g)を装入した。熱源として金属浴を用いた。重合は、以下の条件を用いて3段階で実施した:
段階1(早期プレポリマー):272℃,140トル,70分
段階2(プレポリマー):275℃,20トル,70分
段階3(重縮合):285℃,2.5トル,100分
【0153】
モリブデン粉末をEG中に分散させ(EG中モリブデン4.2重量%の最終濃度まで)、次いでこの分散液の一部を、プレポリマーの間に重合プロセスに添加した。この装入の直後に、EG中燐酸溶液(燐1重量%)として燐を添加した。0(対照)〜200ppmのモリブデン装入材料を用いて、一連のポリマーを製造した。この方法を用いて、触媒としてのアンチモン220ppm、燐30ppm及びモリブデン0〜116ppmを含むポリマーを0.62dL/gのIt.V.で生成した。ポリマー中のアンチモン及び燐の濃度を、螢光X線(XRF)によって測定し、ポリマー中の最終モリブデン濃度をICP−OESによって測定した。
【0154】
成形ディスクを製造し、例1に記載したようにして、RHI及びカラー値を求めた。実験ポリマーの場合には、再加熱速度は、再加熱添加剤を0ppm含む対照ポリマーを用いて計算した。結果を表VIIに示す。
【0155】
【表7】

【0156】
図7は、濃度に基づき、約0.56μmのメジアン粒度を有する金属モリブデン粒子は、ポリマー再加熱の増加において有効であったことを示す。図8は、金属モリブデン粒子を含むポリマーが高いL値を有することを示す。図9は、モリブデン粒子を含むポリマーに関する再加熱速度と曇り度との相関を示す。
【0157】
図10は、例1に記載したようにして金属モリブデン粒子を9921ポリマーに配合する場合に得られたb及びRHIの結果と、例2に記載したようにしてモリブデン粒子を重合プロセスの間に添加する場合に得られた結果とを比較する。図11は、実施例1に記載したようにして金属モリブデン粒子を9921ポリマーに配合する場合に得られたa及びRHIの結果と、例2に記載したようにしてモリブデン粒子を重合プロセスの間に添加する場合に得られた結果を示す。プロットは、モリブデンの好ましい添加様式は、a及びbに対する影響がより小さいので、配合プロセスの間であることを示している。理論によって拘束するものではないが、本発明者らは、重合プロセスにおいてb及びa色度が低い理由は、金属粒子上の微細な酸化物被膜の存在である可能性があると考える。この酸化物被膜は次に、重合プロセスの間にポリマー中に可溶化され、よって最終ポリマーの色度を低くする。金属が金属酸化物被膜を含まなかったならば、本発明者らは、ポリマーは低いb色度もa色度もおそらく有さないと考える。
【0158】
本発明を特にその好ましい実施態様に関して詳述したが、本発明の精神及び範囲内において変更及び修正が可能なことを理解されたい。具体的な用語を用いたが、それらは一般的且つ説明的な意味でのみ用い、限定を目的としない。本発明の範囲は、添付した「特許請求の範囲」に記載したものである。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】走査型電子顕微鏡法によって明らかにされた、例1〜3で使用したサンプルのモリブデン粒度分布を図示する。
【図2】再加熱指数(reheat index)と再加熱添加剤として使用した金属モリブデン粒子の濃度との関係を図示する。
【図3】金属モリブデン粒子を含むポリエステルのL値に対する再加熱指数の影響を図示する。
【図4】金属モリブデン粒子を含むポリエステルの曇り度に対する再加熱指数の影響を図示する。
【図5】金属モリブデン粒子を含むポリエステルの再加熱指数とa値と関係を図示する。
【図6】金属モリブデン粒子を含むポリエステルの再加熱指数とb値との関係を図示する。
【図7】ポリエステル重合プロセスの間における金属モリブデン粒子に関する、再加熱指数に対する添加剤濃度の影響を図示する。
【図8】重合プロセスの間に添加された金属モリブデン粒子を含むポリエステルに関する、L値と再加熱指数との関係を図示する。
【図9】重合プロセスの間に添加された金属モリブデン粒子を含むポリエステルに関する、曇り度と再加熱指数との関係を図示する。
【図10】重合プロセスへの添加(pzn)及びポリエステル中への溶融配合のよる添加(cmpd)という2つの異なる方法によって添加されたモリブデン金属粒子に関する、a値と再加熱指数との関係を図示する。
【図11】重合プロセスへの添加(pzn)及びポリエステル中への溶融配合のよる添加(cmpd)という2つの異なる方法によって添加されたモリブデン金属粒子に関する、b値と再加熱指数との関係を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルポリマー;及び
前記ポリエステルポリマー中に分散された、約0.005〜約10μmのメジアン粒度を有する金属モリブデン粒子を含んでなる、改善された再加熱を有するポリエステル組成物。
【請求項2】
ポリエステルポリマー;及び
前記ポリエステルポリマー中に分散された、約0.05〜約5μmのメジアン粒度を有する金属モリブデン粒子を含んでなる、改善された再加熱を有するポリエステル組成物。
【請求項3】
ポリエステルポリマー;及び
前記ポリエステルポリマー中に分散された、約0.05〜約2μmのメジアン粒度を有する金属モリブデン粒子を含んでなる、改善された再加熱を有するポリエステル組成物。
【請求項4】
前記金属モリブデン粒子が、ポリエステル組成物の総重量に関して、約0.5〜約500ppmの量で存在する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項5】
前記金属モリブデン粒子が、ポリエステル組成物の総重量に関して、1〜100ppmの量で存在する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項6】
前記金属モリブデン粒子が、ポリエステル組成物の総重量に関して、5〜50ppmの量で存在する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項7】
前記ポリエステルポリマーがポリエチレンテレフタレートを含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項8】
前記ポリエステル組成物が飲料ボトルプレフォームの形態である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項9】
前記ポリエステル組成物が飲料ボトルの形態である請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項10】
前記ポリエステル組成物が成形品の形態である請求項1に記載のポリエステル。
【請求項11】
前記ポリエステルポリマーが連続相を含み、且つ前記金属モリブデン粒子が連続相内部に分散されている請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項12】
前記金属モリブデン粒子が0.08〜1.1μmのメジアン粒度を有し、且つ少なくとも1.05の再加熱指数を有するポリエステル組成物を提供すると共に、ポリエステル組成物を1.05の再加熱指数において70又はそれ以上のL明度に保持する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項13】
前記金属モリブデン粒子がモリブデン被覆粒子を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項14】
前記金属モリブデン粒子がモリブデンを含む中空球を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項15】
前記金属モリブデン粒子がモリブデン合金を含み、モリブデンが、モリブデン合金の総重量に関して、少なくとも30重量%の量で存在する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項16】
前記金属モリブデン粒子がモリブデン合金を含み、モリブデンが、モリブデン合金の総重量に関して、少なくとも60重量%の量で存在する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項17】
前記金属モリブデン粒子が、モリブデンと、ゲルマニウム、鉄、クロム、タングステン、チタン、バナジウム、炭素又はタンタルのうち1種又はそれ以上とを含むモリブデン合金を含む請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項18】
前記合金が金、銀、銅、アルミニウム、マンガン又は珪素のうち1種又はそれ以上を約10重量%以下の量で更に含む請求項17に記載のポリエステル組成物。
【請求項19】
前記金属モリブデン粒子がスパン(S)が0〜約10である粒度分布を有する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項20】
前記金属モリブデン粒子がスパン(S)が0.01〜2である粒度分布を有する請求項1に記載のポリエステル組成物。
【請求項21】
ポリ(エチレンテレフタレート)残基がポリエステルポリマーの少なくとも90重量%を構成するポリエステルポリマー;並びに
ポリエステルポリマー中に約5〜約50ppmの量でランダムに分散された、約0.05〜約2μmのメジアン粒度を有する金属モリブデン粒子を含んでなり、1.05又はそれ以上の再加熱指数及び再加熱指数1.05における70又はそれ以上のL明度レベルを有する、改善された再加熱を有するポリエステル組成物。
【請求項22】
カルボン酸ジエステルをジオールとエステル交換するか、又はジカルボン酸をジオールで直接エステル化して、1種又はそれ以上のポリエステルモノマー又はポリエステルオリゴマーを得ることを含むエステル化工程;
前記の1種又はそれ以上のポリエステルモノマー又はポリエステルオリゴマーを重縮合触媒の存在下で重縮合反応において反応させて、約0.50〜約1.1dL/gのIt.V.を有するポリエステルポリマーを生成することを含む重縮合工程;
前記ポリエステルポリマーを粒子へと固化する粒状化工程;
前記固体ポリマーを約0.70〜約1.2dL/gのIt.V,まで重合させる任意の固相化工程;並びに
前記ポリマーの約1〜約100重量ppmの量となるように、金属モリブデン粒子を添加し且つ分散させることを含む粒子添加工程(ここで前記粒子添加工程は、任意の前記工程の前、間又は後において行う)
を含んでなる、ポリエステル組成物の製造方法。
【請求項23】
前記方法が、任意の固相化工程の後に二次成形工程を更に含み、前記二次成形工程が、得られた固体ポリマーを溶融及び押出して、金属モリブデン粒子が内部に分散された二次成形品を得ることを含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記粒子添加工程を、任意の固相化工程の間又は後であって且つ二次成形工程の前に行う請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記粒子添加工程が、二次成形工程の前又は間に、金属モリブデン粒子を熱可塑性コンセントレートとして添加することを含み、前記熱可塑性コンセントレートが、金属モリブデン粒子を前記熱可塑性コンセントレートの重量に関して、約50〜約5,000ppmの量で含む請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記金属モリブデン粒子が約0.005〜約10μmのメジアン粒度を有する請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記粒子添加工程を、重縮合工程の前又は間に、実施する請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記粒子添加工程を、粒状化工程の前又は間に、実施する請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記粒子添加工程を、固相化工程の前又は間に、実施する請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記粒子添加工程を、二次成形工程の前又は間に、実施する請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記ジカルボン酸がテレフタル酸を含む請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記ジカルボン酸ジエステルがテレフタル酸ジメチルを含む請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記ジオールがエチレングリコールを含む請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記ジカルボン酸がナフタレンジカルボン酸を含む請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記ジカルボン酸が芳香族ジカルボン酸を含む請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記熱可塑性コンセントレートが、熱可塑性コンセントレートの重量に基づき、0.15重量%から約35重量%までの範囲の量の金属モリブデン粒子;及び熱可塑性コンセントレートの重量に基づき、少なくとも65重量%の量の熱可塑性ポリマーを含む請求項25に記載の方法。
【請求項37】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリエステル、ポリオレフィン又はポリカーボネートのうち1種又はそれ以上を含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
溶融又は固体バルクポリエステル及び約0.005〜約10μmのメジアン粒度を有する金属モリブデン粒子を含む液体、溶融又は固体ポリエステルコンセントレート組成物を、プレフォーム製造機に供給して、ポリエステルプレフォームの重量に基づき、約1〜約100ppmの金属モリブデン粒子を有するプレフォームを得ることを含んでなる、ポリエステルプレフォームの製造方法。
【請求項39】
前記金属モリブデン粒子が、少なくとも0.15重量%の量で、コンセントレート組成物中に存在する請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記コンセントレートポリエステルポリマーが前記バルクポリエステルポリマーと同じ残基を含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記バルクポリエステル及びポリエステルコンセントレートを別の流れで機械に供給する請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記コンセントレートポリエステルが使用済み再生ポリエステルを含む請求項38に記載の方法。
【請求項43】
約0.005〜約10μmのメジアン粒度を有する金属モリブデン粒子を含むコンセントレートポリエステル組成物を、未使用ポリエステルポリマーを製造するための溶融相プロセスに添加して、ポリエステル組成物の重量に基づき、約1〜約100ppmの金属モリブデン粒子を有するポリエステル組成物を得ることを含む、ポリエステル組成物の製造方法。
【請求項44】
前記ポリエステルコンセントレートを、溶融相がポリエステルコンセントレートのIt.V.の+/−0.2It.V.単位以内であるIt.V.を有する場合に、溶融相に添加する請求項43に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−512560(P2008−512560A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534603(P2007−534603)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/030834
【国際公開番号】WO2007/030090
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】