説明

金属元素がドープされたポリマー材料を調製するプロセスおよびこのプロセスによって得られる材料

【課題】金属元素の材料への組み込みを均質にでき、組み込むべき金属元素に特異な化学作用を開発する必要がない、金属元素がドープされたポリマー材料を調製するプロセスを提供すること。
【解決手段】本発明は、金属元素がドープされたポリマー材料を調製するプロセスに関し、少なくとも1つのエチレン性機能を含む少なくとも1つのモノマーを重合する工程を含み、このモノマーが金属元素と錯化している。
このプロセスによって得られた材料の、触媒、または発光材料もしくは磁性材料、またはレーザーターゲット用構成要素としての使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属元素がドープされたポリマー材料を調製するプロセス、このプロセスによって得ることができるポリマー材料、新規なモノマー、およびさらにこれらのポリマー材料の種々の使用に関する。
これらのポリマー材料は、担持された触媒、発光材料、磁性材料またはイオンインプリント材料のように、金属元素がドープされたポリマー材料に適切な応用分野全般にて、応用される。特にそれらは、慣性核融合実験に使用されるレーザーターゲットの製造に応用される。
【背景技術】
【0002】
このタイプの材料に関する極めて広い応用分野に関して、多くのチームの研究は、こうした材料を製造するためのプロセスに向けられている。
第1の方策は、ポリマー材料を金属塩溶液で含浸することで構成されている。
故に、特許文献1においてRindeらは、金属元素がドープされたポリマーフォームを調製する方法であって、ポリマーゲルを金属元素の塩を含む水溶液に注ぐことで構成される方法を記載する。次いで、導入された水を除去するために、ゲルを極性を低下させる一連の溶媒と接触させる。使用される各溶媒は、先の溶媒を溶解できなければならず、選択された金属塩で飽和している。
しかし、この方法は、金属塩の結晶化が乾燥中に生じ、その後材料中にナノ結晶またはミクロ結晶が形成するので、金属元素の分布は原子レベルで完全に均質となり得ないという大きな欠点を有する。さらに、含浸はポリマーゲル上で行なわれるという事実のため、金属元素の拡散は、ゲル全体を通しては生じない。
【0003】
第2の方策は、ポリマー材料を金属塩溶液で含浸することではなく、固体の金属粒子を用いてこのタイプの材料をドープすることで構成される。
故に、非特許文献1のFaithらは、固体の金粒子で荷電されたフォームを調製するプロセスを記載し、これらのフォームはトリメチロールプロパントリアクリレートモノマーの粒子の存在下でインサイチュ重合によって調製される。しかし、このプロセスは、材料内での均質な分布を可能にするものではなく、ドーピングは、数十またはさらには数百原子を含む凝集粒子の形態である。
最後に、より最近の方策は、(非特許文献2に記載されるように)有機金属モノマー、すなわち金属元素がモノマーの1以上の原子と共有結合したモノマーの共重合によりポリマー材料を調製することで構成されている。
しかし、このタイプの方策は、ドーピング金属元素として使用できる各金属に特異な化学作用を開発しなければならないので、実施が困難であることがわかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,261,937号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Fusion Science and Technology,第45巻,2004年3月,p.90−94
【非特許文献2】Tetrahedron Letters,2000,41,4905
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
故に、金属元素の材料への組み込みを均質にでき、組み込むべき金属元素に特異な化学作用を開発する必要がない、金属元素がドープされたポリマー材料を調製するプロセスが真に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そうするために、本発明者らは、重合技術と配位化学技術との両方を合わせた金属元素でドープされたポリマー材料を調製するプロセスを慎重に立案した。
故に、本発明は、一般に少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマー材料を調製するプロセスであって、元素および1以上の元素リガンドから形成される金属元素の配位錯体の重合工程を含み、このリガンドが少なくとも1つのエチレン性基を含む少なくとも1つのモノマーに属するプロセスに関する。
本発明の趣旨上、「配位錯体」という用語は、ドープ金属元素を含む多原子構造体を意味することを意図すると指定し、その構造体の周りには少なくとも1つのモノマーに属する基が配位結合によって結合しており、その配位結合は、その基に属する二重項電子を金属元素の空の軌道へ導入することにより創製される。
【0008】
故に本発明のプロセスは、次の利点を有する:
−金属元素とモノマーとの間の結合が配位結合によって生じるという事実のため、ポリマー材料に広範で多様な金属元素を組み込むことができる;
−原子スケールでの金属元素の分布が可能である;
−高度に金属元素を組み込むことができ、この程度は、重合工程中に使用される配位錯体の量に依存する。
本発明によれば、リガンドを構成できる基を含むモノマーは、遊離の二重項を保持する少なくとも1つの基、特にアミン基、および場合により少なくとも1つの負に荷電された基、特にカルボキシレート基を含むモノマーである。有利なモノマーは、少なくとも1つのアミン基および少なくとも1つのカルボキシレート基の両方を含んでいてもよく、これら2つのタイプの基がアミノ酸残基に由来することができる。
【0009】
より詳細には、本発明のプロセスに使用でき、配位錯体を形成できるモノマーは以下の式(I)ならびにそれらの塩に対応させることができる:
【化1】

式中:
−Rは、以下の式の基から選択される基を表す:
【化2】

−RおよびRは、独立して、H、アルキル基、アリール基、以下の式を有する基を表す:
【化3】

11およびR12は、独立して、上記で与えられたRおよびRと同じ定義に対応する基に対応する;
【0010】
−R’は、OR13またはアミン基である;
−R、R、R、RおよびRは、独立して、H、エチレン性基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、窒素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよいが、ただしR、R、R、RおよびRの少なくとも1つはエチレン性基を表す;
−R、RおよびR10は、独立して、H、エチレン性基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、窒素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよい;
【0011】
−R13は、H、アルカリ金属のような金属、アルキル基、アリール基、アシル基またはアルキルアリール基を表し、このアルキル、アリールおよびアルキルアリール基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよい;
−k、lおよびmは0〜20の範囲の整数である。
上述のモノマーの説明をより詳細に行なう前に、次の定義を提案する。
「アルキル基」という用語は、一般に、上記でおよび以降において、1〜20個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖アルキル基または3〜20個の炭素原子を含有する環状アルキル基を意味することを意図する。例として、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、n−ドデカニル、i−ブチル、t−ブチル、シクロプロピルおよびシクロヘキシル基を挙げることができる。
「アリール基」という用語は、一般に、上記でおよび以降において、6〜20個の炭素原子を含有するアリール基を意味することを意図する。例として、ベンジル、ナフチルおよびビフェニル基を挙げることができる。
【0012】
「アルキルアリール基」という用語は、一般に、上記でおよび以降において、上記で与えられたものと同じ定義を有するアリール基を意味することを意図し、この基は、上記で与えられたものと同じ定義を有する少なくとも1つのアルキル基で置換されている。
「−O−アルキル基」または「−O−アリール基」という用語は、上記で与えられたものと同じ定義に対応するアルキル基またはアリール基を意味することを意図し、このアルキルまたはアリール基は、この場合、酸素原子によってモノマーの別の部分に連結する。
「ペルフルオロ基」という用語は、全ての水素原子がフッ素で置換されている基を意味することを意図する。
【0013】
「1以上の酸素、窒素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基(すなわちアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基)に挿入されていてもよい」と指定されている場合、これは、換言すれば、炭素原子が−O−、−S−、−N−または−Se−基で置き換えられていることを意味する。
「エチレン性基」という用語は、二重結合により連結した2つの炭素原子を含む炭素系の基を意味することを意図し、この基は、フリーラジカル重合によって重合できる。特定のエチレン性基は、ビニル基CH=CH−、または(アルキル)アクリレート基、例えば(メタ)アクリレート基である。
「アシル基」という用語は、−CO−アルキル基を意味することを意図し、アルキル基は、上記で与えられたものと同じ定義に対応する。
「塩」という用語は、イオン性構造を有する化合物を意味することを意図する。例えば、R’がOR13に対応し、R13が金属である場合、金属カルボキシレート塩を挙げることができる。この状況において、「金属」という用語は、通常、アルカリ金属のような一価金属、例えばNaまたはKを意味することを意図する。
【0014】
「金属元素」という用語は、通常、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタニド、アクチニド、およびさらに元素Al、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、BiおよびPoを意味することを意図する。
特に、金属元素は、ランタニド、例えばイッテルビウムであるのが有利である。
指数k、lおよびmは、括弧内に与えられた繰り返し単位の数を表すことを指定し、この数は0〜20の範囲であることができる。
特定のモノマーは、Rが式:
【化4】

の基であり、RおよびRの少なくとも1つが式:
【化5】

の基であり、R〜R、R’、lおよびmが、上記で説明されたものと同じ意味を有するが、ただし常にR〜Rの少なくとも1つはエチレン性基を表すようなモノマーであってもよい。
【0015】
より詳細には、上記で与えられた定義に従うモノマーは、Rが式:
【化6】

の基であり、Rが式:
【化7】

の基であり、Rが水素原子であり、lおよびm、R〜RおよびR’が上記で与えられたものと同じ意味を有するが、ただし、R〜Rの少なくとも1つはエチレン性基を表すようなモノマーである。特に、lおよびmが1に等しい場合がある。
【0016】
このタイプの特定モノマーは、以下の式(II)に対応する:
【化8】

13は、特に、H、アルカリ金属のような金属(例えばNaまたはK)またはアルキル基、例えばエチル基を表す。
式(I)のモノマーの定義のもとにある別の群のモノマーは、Rが式:
【化9】

の基であり、Rが式:
【化10】

の基であり、Rが式:
【化11】

の基であり、lおよびm、R〜RおよびR’が上記で与えられたものと同じ意味を有するが、ただし、R〜Rの少なくとも1つがエチレン性基を表すようなモノマーに対応する。特に、lおよびmが1に等しい場合がある。
【0017】
このタイプの特定モノマーは、以下の式(III)に対応する:
【化12】

13は、特に、H、金属(アルカリ金属のような金属、例えばNaまたはK)またはアルキル基、例えばエチル基を表す。
本発明のプロセスにおいて有利に使用できる他のモノマーは、少なくとも2つの窒素原子を含有する環状アミンを含むモノマーであってもよい。
このタイプの特定モノマーは、以下の式(IV)に対応する:
【化13】

式中:
−R14は、以下の式の基から選択される基を表す:
【化14】

−R’およびR’は、独立して、アルキル基、アリール基、または以下の式を有する基を表す:
【化15】

11およびR12は、独立して、上記で与えられたR’およびR’と同じ定義に対応する基に対応する;
【0018】
−R’は、OR13またはアミン基である;
−R、R、R、RおよびRは、独立して、H、エチレン性基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、窒素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよいが、ただしR、R、R、RおよびRの少なくとも1つはエチレン性基を表す;
−R、RおよびR10は、独立して、H、エチレン性基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、窒素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよい;
【0019】
−R15は、以下の式を有する基を表す:
【化16】

〜R10は上記で定義された通りである;
−R13は、H、金属、アルキル基、アリール基、アシル基またはアルキルアリール基を表し、このアルキル、アリールおよびアルキルアリール基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよい;
−R16は、式:
【化17】

の基を表し、R’およびR’は上記で定義された通りである;
−k、l、m、u、p、q、r、xおよびwは0〜20の範囲の整数であり、vは1〜20の範囲の整数であるが、ただし、xが0に等しい場合、(r+q)は少なくとも2に等しく、xが1に等しい場合、p、qおよびrの少なくとも1つは0以外である。
p、q、rおよびxは、括弧内(p、qおよびrに関して)または角括弧内(xに関して)に与えられた繰り返し単位の数に対応することを指定する。
【0020】
有利なことに、価値のあるモノマーは、R14が以下の式の基を表し:
【化18】

R’およびR’の少なくとも1つが
【化19】

を表し、R〜R、R’、lおよびmが上記で与えられたものと同じ定義に対応するが、p、q、rおよびxは少なくとも1に等しいのが有利であるが、ただし常にR〜Rの少なくとも1つはエチレン性基を表すようなモノマーである。
より詳細には、上記で与えられた定義に従うモノマーは、R14が式:
【化20】

の基であり、R’およびR’が式:
【化21】

の基を表し、R〜R、R’、lおよびmが上記で与えられたものと同じ定義に対応するが、p、q、rおよびxは少なくとも1に等しいのが有利であるが、ただし常にR〜Rの少なくとも1つのエチレン性基を表すようなモノマーである。特に、lおよびmは1に等しい整数であることができ、p、q、rおよびxは2に等しい整数であることができる。
【0021】
上記の定義に対応する特定モノマーは、以下の式(V)に対応するモノマーである:
【化22】

13は、特に、H、アルキル基、例えばエチル基、または金属を表す。
故に、式(V)のモノマーに関して、R14が式:
【化23】

の基に対応すると同時に、RおよびRは、式−CH−COOR13の基に対応し、p、q、rおよびxは2に等しい整数である。
有利なことに、R14はまた式:
【化24】

の基を表すことができ、R’およびR’の少なくとも1つは:
【化25】

を表し、 R15、R16、R’、m、uおよびvは上記で与えられたものと同じ定義に対応し、p、q、rおよびxは少なくとも1に等しいのが有利である。
【0022】
14が式:
【化26】

の基に対応する場合、モノマーは以下の一般式によって表すことができることを指定する:
【化27】

上記で与えられた定義下にある特定モノマーの群は、R15が式:
【化28】

の基に対応し、lおよびR〜Rが上記で与えられたものと同じ定義に対応するが、ただしR〜Rの少なくとも1つはエチレン性基を表し、
基R’およびR’は式:
【化29】

の基を表し、mおよびR’が上記で与えられたものと同じ定義に対応し、p、q、rおよびxは少なくとも1に等しいのが有利であるようなモノマーに対応する。特にp、q、r、x、u、vおよびwは、例えば2に等しい整数を表す。
【0023】
上記定義の下にある特定モノマーは、以下の式(VI)ならびにそれらの任意の塩に対応する:
【化30】

13は、特に、H、金属、またはアルキル基、例えばエチル基を表す。
故に、式(VI)のこのモノマーに関して、R15は、式:
【化31】

の基を表すと同時に、R’およびR’は式−CH−COOR13の基に対応し、p、q、r、x、u、vおよびwは、2に等しい整数である。
遊離の二重項を保持する窒素原子の存在によって、これらのモノマーは、適切な金属元素と配位錯体を形成できる。
金属元素は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタニド、アクチニド、およびまた元素Al、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、BiおよびPoであってもよい。
【0024】
特に、金属元素は、ランタニド、例えばイッテルビウムが有利である。
配位錯体の形成について以下でさらに説明する。
すなわち、重合工程の前に、本発明のプロセスは上述の配位錯体を調製する工程を含んでいてもよい。例えば、錯体の形成は、上述のモノマーを、適切な金属元素を含む水性および/または有機溶液と接触させることで構成されてもよい。
通常、本発明のプロセスの重合工程は、配位錯体の存在に加えて、場合により重合開始剤、および場合により孔形成(porogenic)溶媒および1以上のコモノマーの存在下で行なわれる。
有利なことに、重合工程はコモノマーなしで行なわれる場合に、配位錯体を構成することになるモノマーは、少なくとも2つのエチレン性基を含む。
重合開始剤は、過酸化物化合物、アゾニトリル化合物(例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)、アゾエステル化合物およびアゾアミド化合物から通常選択されるフリーラジカル開始剤である。
【0025】
開始剤は、使用されるモノマーの総質量に対して、種々の量に従って、例えば0〜50質量%の範囲であることができる量に従って、重合媒体中に導入されてもよい。
孔形成溶媒は、極性または非極性の有機溶媒であることができ、エーテル溶媒(例えばテトラヒドロフラン)、ジメチルスルホキシド、フタレート溶媒(例えばジメチルフタレートまたはジブチルフタレート)、アルコール性溶媒(例えばメタノールまたはエタノール)、芳香族溶媒(例えばトルエンまたはフルオロベンゼン)およびケトン溶媒から選択できる。
重合工程は、1以上のコモノマーの存在下で行なわれてもよく、このコモノマーは、一般に配位錯体を構成することになるモノマーとは異なる。
これらのコモノマーは、スチレンモノマーまたはアクリレートモノマーから選択されてもよい。
有利なことに、コモノマーが少なくとも2つのエチレン性基を含むことで、架橋剤の役割を果たす。こうして得られた材料は優れた機械的強度を示す。
【0026】
使用できるコモノマーは、以下の式(VII)のスチレンモノマーであってもよい:
【化32】

式中、(6−n)R17は、同一または異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基は、任意にペルフッ素化されており、nは1〜3の範囲の整数であり、好ましくはnは2に等しい。
特に、適切なコモノマーは、ジビニルベンゼン、特に1,4−ジビニルベンゼンであってもよい。
使用できるコモノマーはまた、以下の式(VIII)のアクリレート化合物であってもよい:
【化33】

式中、R18はアルキル基を表し、R19はHまたはアルキル基を表し、nは1〜3の範囲の整数である。
【0027】
特に、このタイプの適切なコモノマーは、以下の式のトリメチロールプロパントリアクリレート(略記TMPTAとして既知)であることができる:
【化34】

通常、重合工程は、40〜100℃の範囲の温度で行なわれる。
特に、重合工程は:
−ジビニルベンゼンの存在下、式(V)のモノマーおよびイッテルビウムから形成される配位錯体の共重合;
−式(II)のモノマーおよびイッテルビウムから形成される配位錯体の重合;
−ジビニルベンゼンの存在下またはトリメチロールプロパントリアクリレートの存在下、式(II)のモノマーおよびイッテルビウムから形成される配位錯体の共重合;
−式(III)のモノマーおよび銅から形成される配位錯体の重合
からなってもよい。
重合工程後、三次元ネットワークに対応するゲルが得られ、その構造体を溶媒に含浸させる。一旦合成されたら、ゲルは、乾燥したドープポリマー材料を得るために乾燥させなければならない。
【0028】
故に、プロセスは、有利なことには、得られたゲルを乾燥させる工程を含み、この工程は、有利なことに、超臨界CO乾燥工程である。そうするために、この超臨界CO乾燥工程は、ゲルの孔中に存在する溶媒をCO混和性溶媒と置き換えることで構成される溶媒交換工程によって進行させることができる。この超臨界CO乾燥工程は、特にフォームの物理的一体性を損なわずに行なうことができる。
本発明のプロセスによって、金属元素のパーセンテージが高く(20質量%よりも大きい場合がある)、材料内の金属元素が分子スケールで分布する、金属元素がドープされたポリマー材料が得られる。
故に、本発明は、上記で定義されるようなプロセスによって得ることができる少なくとも1つの金属元素がドープされたポリマー材料に関する。
これらの材料は、金属元素がドープされた材料の使用を必要とする多くの分野、特に慣性核融合実験において使用されるレーザーターゲットの構成要素の製造において特に使用できる。
【0029】
本発明に従う特定の材料は、次によって得られる材料である:
−ジビニルベンゼンの存在下、式(V)のモノマーおよびイッテルビウムから形成される配位錯体の共重合;
−式(II)のモノマーおよびイッテルビウムから形成される配位錯体の重合;
−ジビニルベンゼンの存在下またはトリメチロールプロパントリアクリレートの存在下、式(II)のモノマーおよびイッテルビウムから形成される配位錯体の共重合;
−式(III)のモノマーおよび銅から形成される配位錯体の重合。
それらは、触媒として、または発光材料として、または磁性材料として使用できる。
【0030】
最後に、それらは、イオンインプリント材料として使用できる。そうするために、本発明のプロセスによって得られたドープされた材料は、材料中で錯化した金属元素の一部を除去することを目的とした酸処理に供することができる。こうして空になった部位は、最初に導入された金属の特定元素についての特定インプリントを構成する。この処理により、金属元素を含む流体と接触させた場合に、「インプリントされた」金属元素を選択的に捕捉できる「イオンインプリント」材料が得られる。従ってこのタイプの材料は、特に核燃料流出物の再処理中に金属の選択的抽出、例えばランタニドの分離、またはその他生物学的流体の汚染除去に使用できる。
本発明のプロセスの状況で使用できるモノマーのうち、一部は新規である。
故に、本発明はまた新規なモノマーに関し、これらのモノマーは、上記で定義された一般式(I)および(IV)に対応するおよび上記で定義された特定式(II)、(III)、(V)および(VI)に対応する。
【0031】
これらのモノマーは、通常、アミンとハロゲン化化合物との間の求核置換反応によって製造される。
故に、例として、R13がHまたはNaに対応する式(V)の最終モノマーの調製は、例えば3つの工程による次の反応スキームに従って行なうことができる:
−アルキルブロモアセテート化合物による機能化からなる第1の工程1);
−アルキル化からなる第2の工程2);
−カルボン酸基を遊離するために、酸性または塩基性媒体中での脱プロトン化からなる第3の工程3)。
【化35】

Alkは、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピルまたはブチル(特に、t−ブチル)基に対応する。
先行して記述されたように、上記で定義されたモノマーは、本発明のポリマー材料を調製するためのプロセスにおいて、少なくとも1つの金属元素との配位錯体の形態で使用される。
【0032】
故に、本発明はまた、少なくとも1つの金属元素と、上記で定義されたような式(I)〜(VI)の少なくとも1つのモノマーとを含む配位錯体に関する。
金属元素は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタニド、アクチニド、およびさらに元素Al、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、BiおよびPoであってもよい。
特に、金属元素は、ランタニド、例えばイッテルビウムが有利である。
上述の配位錯体は、上記で定義されたような式(I)〜(VI)のモノマーを場合により塩の形態で、MXの化合物と接触させることによって得られ、Mは金属元素を表し、Xはアニオンを表し、nは金属元素の価数を表す。
例として、Xは塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、ヨウ素酸化物、ニトレート、スルフェート、スルホネート、スルファイト、ニトレート、ニトライト、ホスフェート、ホスファイト、シアニド、アジド、ヒドロキシル、クロレート、ペルクロレート、アセテート、トリフルオロメタンスルホネート(またはトリフレート)、トリフルオロアセテート、トリクロロアセテート、アルコキシド、アセチルアセトネート、シクロペンタジエニルまたはアルキニドであってもよい。
【0033】
錯体の形成反応は、水性もしくは有機媒体中または多相エマルション中で行なうことができる。
特定の錯体は、金属元素、例えばイッテルビウムまたは銅との式(II)、(III)または(V)のモノマーの錯体である。
ここで、非限定的な例示として与えられる以下の実施例に関連させて、本発明をより詳細に記載する。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0034】
この実施例は、化合物GlyOEtと称される、以下の式のモノマーの調製を示す:
【化36】

21.9gのエチルグリシネート塩酸塩(3当量,157.2mmol)、18.1gの炭酸カリウム(2.5当量,131.0mmol)および150mlの無水アセトニトリルを、アルゴン雰囲気下、冷却器を備えた250mlの2つ口丸底フラスコに充填する。混合物を周囲温度で10分間激しく攪拌し、8gの4−ビニルベンゼンクロライド(1当量,52.4mmol)を添加する。反応媒体を70℃にして、18時間激しく攪拌する。次いで反応媒体を周囲温度に戻し、塩を除去するためにろ過する。減圧下でろ液を蒸発させた後、19.4gの粗生成物を黄色粘稠油の形態で得る。粗生成物を、トリエチルアミンで中和されたシリカゲル(300gのシリカ,溶出液:100%ジクロロメタン、次いで98/2ジクロロメタン/メタノール混合物)で精製する。11.3gの生成物を淡黄色液体の形態で単離する。
収率:98%
物理化学的特徴
H NMR(200.13MHz,CDCl): dH 1.27 (3H, t,j = 7.2 Hz, CH2CH3), 2.00 (1H, s, NH), 3.40 (2H, s, -CH2CO-), 4.13 (2H, s, CH2Ar.),
4.18 (2H, q,j = 7.2/7.0 Hz, CH2CH3), 5.21 (1H,
dd,j = 0.7/10.8 Hz, CH=CH2),
5.74 (1H, d,j = 0.7/17.6 Hz, CH=CH2), 6.70 (1H, dd,j = 10.8/17.6 Hz, CH=CH2.), 7.28 (2H,
d,j = 8.0 Hz, CH-Ar), 7.37 (2H,
d,j = 8.2 Hz, CH-Ar)
13C NMR(50.32MHz,CDCl): dc 13.8; 43.6;
52.5; 60.3; 113.0; 125.9 (2C);
128.0 (2C);
136.1; 136.2; 139.0; 173.9
【実施例2】
【0035】
この実施例は、化合物Gly2’OEtと称される、以下の式のモノマーの調製を示す:
【化37】

1gのエチルグリシネート塩酸塩(7.1mmol)、3.37gの炭酸カリウム(1.7当量,12.2mmol)、2.18gの4−ビニルベンジルクロライド(2当量,14.3mmol)、5モル%のヨウ化ナトリウムおよび30mlの無水アセトニトリルを、アルゴン雰囲気下、冷却器を備えた100mlの丸底フラスコに入れる。混合物を70℃にして、16時間攪拌する。次いで反応媒体を周囲温度に戻し、塩を除去するためにろ過する。減圧下で溶媒を蒸発させ、残渣を20mlのエチルエーテルに溶かす。再び沈殿した塩をろ過により除去する。ろ液を減圧下で蒸発させた後、2.17gの95%純度の黄色油が得られる。
収率:87%
物理化学的特徴
H NMR(200.13MHz,CDCl): dH 1.29 (3H, t,j
= 8.0 Hz, CH2CH3),
3.32 (2H, s, CH2CO), (3.83 4H, s, CH2Ar), 4.19
(2H, q,j = 8.0/6.0 Hz, CH2CH3), 5.24 (2H, dd,j = 0.8/12.0 Hz, CH=CH2),
5.77 (2H, dd, j = 0.8/18.0 Hz, CH=CH2),
6.75 (2H, dd, j = 10.8/17.6 Hz, CH=CH2), 7.0
- 7.40 (8H, m, CH-Ar)
【実施例3】
【0036】
この実施例は、以下の式のモノマーの調製を示す:
【化38】

a)段階1:以下の式の1,4,7−トリス(tert−ブトキシカルボキシメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカンの合成:
【化39】

1gのシクレン(5.8mmol)、0.8gの炭酸カリウム(5.8mmol,1当量)および150mlの無水クロロホルムを、滴下漏斗を備えた丸底フラスコに入れる。混合物を激しく攪拌し、50mlの無水クロロホルム中のtert−ブチルブロモアセテート(3当量,3.39g,17.4mmol)溶液を4時間かけて滴下する。添加完了後、媒体を周囲温度で72時間攪拌する。次いで反応媒体を、塩を除去するためにろ過し、ろ液を蒸発させる。残渣を10mlのトルエンに加温条件で溶解させ、次いで溶液を周囲温度に戻す。結晶化した固体をろ過により回収し、10mlのトルエンで洗浄し、減圧下で乾燥させる。2.50gの1,4,7−トリス(tert−ブトキシカルボキシメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカンを白色粉末の形態で単離する。収率=82%。
物理化学的特徴
H NMR(200.13MHz,CDCl): dH 1.43 (18H, s, tert-Bu),
1.48 (9H, s, tert-Bu), 2.89-3.08
(16H, m, -CH2-CH2N-), 3.28 (2H, s, -CH2CO2-),
3.36 (4H, s, -CH2CO2-),
9.94 (1H, m, NH)
【0037】
b)段階2:以下の式N−{5−[4,7,10−トリス(tert−ブトキシカルボニルメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−イル]メチル}スチレンの合成:
【化40】

2.40gの1,4,7−トリス(tert−ブトキシカルボキシメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン(4.67mmol)、1.1gの4−ビニルベンジルクロライド(1.5当量,7.00mmol)、0.97gの炭酸カリウム(1.5当量,7mmol)、0.7gのヨウ化ナトリウム(1当量,4.67mmol)および70mlの無水アセトニトリルを、アルゴン雰囲気下、冷却器を備えた2つ口丸底フラスコに入れる。反応媒体を攪拌して、20時間70℃の温度にする。次いで媒体を周囲温度に戻し、ろ過し、減圧下でろ液を蒸発させる。得られた油を、100mlのジエチルエーテル中に溶かし、混合物を1時間放置する。沈殿した固体をろ過により回収し、30mlのジエチルエーテルで2回洗浄し、減圧下で乾燥させる。2.46gのN−{5−[4,7,10−トリス(tert−ブトキシカルボニルメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−イル]メチル}スチレンが白色粉末の形態で得られる。収率:84%。
物理化学的特徴
H NMR(200.13MHz,CDCl): dH 1.46 (27H, s, tert-Bu), 2.10-2.52 (16H, m, -CH2-CH2N),
2.81 (6H, m, -CH2CO2-),
3.02 (2H, s, CH2Ar), 5.24 (1H, d, j = 10.6
Hz, CH2=CH), 5.70 (1H, d,j
= 18 Hz, CH2=CH),
6.64 (1H, dd,J = 11/18 Hz, CH=CH2), 7.29 (2H, d,
j = 9.2 Hz, CHAr), 7.38 (2H, d,j
= 9.9 Hz, CH-Ar)
13C NMR(50.32MHz,CDCl): dc 27.4; 27.5; 49.4
(m.); 55.2; 55.4; 58.8; 81.9;
82.4; 113.8; 126.0; 129.8; 135.6; 136.3;
136.7; 172.0; 173.9 (2C)
MALDI−TOF: MH=631.443;MNa=653.425 (理論値:631.443および653.425)
【0038】
c)段階3:以下の式のN−{5−[4,7,10−トリス(酢酸)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−イル]メチル}スチレン(化合物L1と称される)の合成:
【化41】

40mlのジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸10mlの溶液を、40mlのジクロロメタン中のN−{5−[4,7,10−トリス(tert−ブトキシカルボニルメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−イル]メチル}スチレン(2.0g,3.17mmol)の溶液に滴下し、氷浴中で冷却する。反応媒体を周囲温度で16時間攪拌し、次いで溶媒を減圧下で蒸発させる。残存トリフルオロ酢酸をエタノールを用いて共蒸発させる。得られた半固体の残渣を15mlの無水アセトン中に溶解させ、250mlの無水エチルエーテル中にて凝集させる。上澄み液を除去し、沈殿物を減圧下で乾燥させた後、1.36gのN−{5−[4,7,10−トリス(酢酸)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−イル]メチル}スチレンを収率93%で黄色粉末の形態で単離する。
物理化学的特徴
H NMR(200.13MHz,DMSO−d): dH 2.60-3.43 (24H,
m, CH2), 4.21 (3H, m,
COOH), 5.26 (1H, m, CH2=CH),
5.79 (1H, m, CH2=CH), 6.71 (1H, m, CH=CH2), 7.0-7.47 (4H, m, CH Ar)
13C NMR(50.32MHz,DMSO−d): dc 48.6 (m); 55.8
(m); 81.2; 81.8; 115.6; 125.8; 126.6; 130.5;
135.9; 138.0; 170.0; 172.0
FAB質量分析:MH=463;MNa=485(理論値:463および485)
【実施例4】
【0039】
この実施例は、C−Yb錯体と称される以下の式のN−{5−[4,7,10−トリス(アセテート)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1−イル]メチル}スチレンイッテルビウム錯体の合成を示す:
【化42】

40mlのMilliQクオリティ水(ミリポア)中のL(1.12g,2.42mmol)の溶液を、水酸化カリウムの0.2M溶液でpH=7に調節する。溶液をろ過し、30mlのMilliQ水中の塩化イッテルビウム(0.787g,2mmol)の溶液を、攪拌しながらろ液に滴下する。媒体のpHを添加の終了時に6に調節する。周囲温度での1時間半の攪拌後、pHを再び6に調節し、次いで溶液をろ過する。ろ液を回収し、減圧下で蒸発させる。残渣固体を80mlのメタノール中に溶かし、沈殿する塩をろ過により除去する。メタノール中に沈殿物が形成されなくなるまでこの操作を繰り返す。1.11gのL−Ybを収率88%で白色粉末の形態で単離する。
物理化学的特徴
H NMR(400.13MHz,CDOD): δH -136.0; -94.0; -89.7; -82.4; -74.0; -71.6; -56.2; -54.9; -33.8; -26.7; -12.6; 23.0; 24.5; 38.2; 40.4; 45.7; 65.3; 143.8;
161.9; 186.9; 210.6
MALDI−TOF: MH=634.48;MNa=656.14 (理論値:634.17および656.15)
【実施例5】
【0040】
この実施例は、以下の式の塩の調製を示す:
【化43】

35質量%の濃度にて4.67mlの水酸化ナトリウムを、133mlの無水エタノール中のGlyOEt(11.3g)の溶液に添加する。反応媒体を周囲温度で16時間攪拌する。形成された沈殿物をろ過により単離し、20mlの無水エタノールですすぐ。ろ液を減圧下で蒸発させ、30mlの無水エタノール中で採取する。沈殿する白色固体をろ過により回収する。2つの画分を合わせ、減圧下で乾燥した後、7.27gのGlyNaは、白色粉末の形態で単離される。収率:66%。
物理化学的特徴
H NMR(200.13MHz,DO): dH 3.14 (2H, s, -CH2CO-), 3.69 (2H, s, CH2Ar), 5.27 (1H, dd, j = 0.8/11.8
Hz, CH2=CH), 5.82
(1H, d, j = 0.8/17.8 Hz, CH2=CH), 6.76 (1H, dd, j =
10.8/17.8 Hz, CH2=CH), 7.32
(2H, d,j = 8.2 Hz, CHAr), 7.47 (2H, d,j=8.2 Hz, CHAr)
13C NMR(50.32MHz,DO): dc 43.9; 51.2; 113.6;
125.8 (2C);
128.4 (2C);
135.8; 135.9; 138.0; 180.5
【実施例6】
【0041】
この実施例は、以下の式の塩の調製を示す:
【化44】

0.21gの水酸化カリウム(1.25当量,3.7mmol)を、10mlのエタノール/蒸留水溶液(90/10)中のGly2’OEt(1.00g,2.9mmol)の溶液に添加する。反応媒体を周囲温度で5時間攪拌する。次いで溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を8mlのエチルエーテルで粉砕する。形成される沈殿物をろ過により単離し、0.48gのGly2’Kを純粋な白色粉末の形態で単離する。収率:47%。
物理化学的特徴
H NMR(200.13MHz,DO): dH 2.96 (2H,
s, -CH2CO-), 3.14
(4H, s, CH2Ar), 4.98 (2H, d,j = 12.0 Hz, CH2=CH), 5.52 (2H, d,j 18.0 Hz, CH2=CH), 6.47 (2H, dd,j = 10.0/18.0 Hz, CH2=CH), 7.14 (4H, d,j = 8.0 Hz, CHAr),
7.28 (4H, d,j = 8.0 Hz, CHAr)
【実施例7】
【0042】
この実施例は、(Gly)Naをイッテルビウムトリフレートと反応させることによる(GlyYb錯体の合成を示す。
100mlの蒸留水中のGlyNa(7.27g,3当量,34.09mmol)溶液を、100mlの蒸留水中のイッテルビウムトリフレート(7.05g,11.4mmol)の溶液に激しく攪拌しながら滴下する。GlyNaの添加が完了した後、反応媒体のpHを(1Nの水酸化ナトリウムまたは1Nの塩酸を用いて)7.5に調節し、反応媒体を30分間で50℃にする。反応媒体を周囲温度に戻したら、pHを再び7.5に調節し、媒体を90分間攪拌する。形成された沈殿物をろ過により単離し、20mlの蒸留水ですすぎ、6時間オーブン乾燥する(真空下、40℃)。5.46gのイッテルビウム錯体混合物を、白色粉末の形態で得る。
【0043】
単離された白色粉末の物理化学的特徴
MALDI−TOFスペクトル:869;891;1015;1038;1285および1658
このMALDI−TOF分析(数回再現される)は、粉末が、想定として次の一般式に対応させることができる種々の二核イッテルビウム錯体の混合物で構成されていることを示す:Yb(Gly(OH)(HO)、ここでx、yおよびzは変数である。
例えば:x=3、y=3およびz=4である場合、MH=1038。
x=2、y=4およびz=4である場合、MH=869。
Yb元素分析:Ybの観測された質量%=30.6%+1.2%(中間値)
【実施例8】
【0044】
この実施例は、式(III)のモノマーのカルボキシレート塩および銅から形成される錯体((Gly2’Cu錯体と称される)の合成を示す。
10ml蒸留水中の溶液として化合物Gly2’K(0.92g,2当量,2.7mmol)を、同様に10mlの蒸留水中の塩化銅(II)(0.18g,1.3mmol)の溶液に滴下する。Gly2’Kの添加完了後、反応媒体のpHを、水酸化ナトリウム1N溶液で10に調節する。反応媒体を周囲温度で3時間攪拌する。形成された沈殿物をろ過により回収し、ケークを20mlの蒸留水で2回洗浄し、減圧下50℃で8時間乾燥させる。0.59gの紫色粉末が得られる。収率=65%。
物理化学的特徴
Cu元素分析:Cuの理論質量%=9.4%±0.4%
Cuの観測された質量%=9.5%±0.4%。
【実施例9】
【0045】
この実施例は、C−Ybとジビニルベンゼン(DVB)との共重合によって得られるイッテルビウムドープされた材料の調製を記載する。
そうするために、1mlのDMSO、100mgのコモノマー(変更可能な比でのC−Yb+DVB)および10mgのAiBNを、10mlの丸底フラスコに充填する。得られた溶液を、アルゴンで5分間バブリングすることによって脱気する。最後に、溶液をシリンジを用いて円筒状のガラスモールドに移し、24時間75℃にする。得られたゲルをエタノールでDMSOを交換するためにエタノールに1週間含浸する。次いで超臨界COでゲルを乾燥し、イッテルビウムドープされたフォームを得る。イッテルビウムの程度は元素分析により決定される。
−Yb/DVB間の比を変更して種々の試験を行ない、次の値を得た:
【0046】
【表1】

*「Ybの理論質量%」=モノマーの初期混合物(重合前)中のイッテルビウム質量%、
**「観測されたYbの質量%」=単離されたフォーム中のイッテルビウムの観測された質量%。
【実施例10】
【0047】
本実施例は、(GlyYbの重合または(GlyYb/DVB(50/50)もしくは(GlyYb/TMPTA(50/50)の共重合によってイッテルビウムがドープされた材料の調製を示す。
そうするために、(GlyYb単独、(GlyYb/DVB(50/50)もしくは(GlyYb/TMPTA(50/50)を200mg、30mgのAiBN、3mlのジブチルフタレート、クロロホルムもしくはTHFを3ml、および1mlのメタノールを、25mlの丸底フラスコに充填する。透明な溶液が得られるまで混合物を周囲温度にて攪拌する。次いでクロロホルムおよびメタノールを除去するために溶液をロータリエバポレータに置く(浴温度=35℃、約15分、最終圧力=5ミリバール)。共溶媒を蒸発させた後、次いで100mgのコモノマーを添加し、得られた溶液をアルゴンで5分間バブリングすることによって脱気する。最後に、シリンジを用いて溶液を円筒状ガラスモールドに移し、16時間90℃にする。
ジブチルフタレートをエタノールと交換するために、得られたゲルをエタノール中に1週間含浸させる。次いでゲルを超臨界COで乾燥し、イッテルビウムドープされたフォームを得る。イッテルビウムの程度は元素分析によって決定される。
種々の試験を行ない、次の値を得た:
【0048】
【表2】

*「Ybの理論質量%」=モノマーの初期混合物(重合前)中のイッテルビウム質量%、
**「観測されたYbの質量%」=単離されたフォーム中のイッテルビウムの観測された質量%。
【実施例11】
【0049】
本実施例は、(Gly2’Cuの重合により銅ドープされた材料の調製を示す。
そうするために、1mlのDMSO、100mgのGlyCuおよび10mgのAiBNを、10mlの丸底フラスコに充填する。得られた溶液を、アルゴンで5分間バブリングすることによって脱気し、次いでシリンジを用いて円筒状ガラスモールドに移す。反応媒体を24時間90℃にする。DMSOをエタノールで交換するために、得られたゲルをエタノール中に1週間含浸させる。次いでゲルを超臨界COで乾燥させ、銅ドープされた青色フォームを得る。銅の程度は元素分析によって決定される。
種々の試験を行い、次の値を得る。
Cuの理論質量%=9.4%
Cuの観測された質量%=7.2%±0.2%


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの金属元素がドープされたポリマー材料を調製するためのプロセスであって、前記元素および前記元素の1以上のリガンドから形成された金属元素の配位錯体の重合工程を含み、前記リガンドが少なくとも1つのエチレン性基を含む少なくとも1つのモノマーに属し、前記モノマーが式(I)およびそれらの塩に対応し:
【化1】

式中:
−Rは、以下の式の基から選択される基を表す:
【化2】

−RおよびRは、独立して、H、アルキル基、アリール基、以下の式を有する基を表す:
【化3】

11およびR12は、独立して、上記で与えられたRおよびRと同じ定義に対応する基に対応する;
−R’は、OR13またはアミン基である;
−R、R、R、RおよびRは、独立して、H、エチレン性基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、窒素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよいが、ただしR、R、R、RおよびRの少なくとも1つはエチレン性基を表す;
−R、RおよびR10は、独立して、H、エチレン性基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、窒素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよい;
−R13は、H、金属、アルキル基、アリール基、アシル基またはアルキルアリール基を表し、このアルキル、アリールおよびアルキルアリール基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよい;
−k、lおよびmは0〜20の範囲の整数である;
または以下の式(IV)に対応する、プロセス:
【化4】

式中:
−R14は、以下の式の基から選択される基を表す:
【化5】

−R’およびR’は、独立して、アルキル基、アリール基、または以下の式を有する基を表す:
【化6】

11およびR12は、独立して、上記で与えられたR’およびR’と同じ定義に対応する基に対応する;
−R’は、OR13またはアミン基である;
−R、R、R、RおよびRは、独立して、H、エチレン性基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、窒素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよいが、ただしR、R、R、RおよびRの少なくとも1つはエチレン性基を表す;
−R、RおよびR10は、独立して、H、エチレン性基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、窒素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよい;
−R15は、以下の式を有する基を表す:
【化7】

〜R10は上記で定義された通りである;
−R13は、H、金属、アルキル基、アリール基、アシル基またはアルキルアリール基を表し、このアルキル、アリールおよびアルキルアリール基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよい;
−R16は、式:
【化8】

の基を表し、R’およびR’は上記で定義された通りである;
−k、l、m、u、p、q、r、xおよびwは0〜20の範囲の整数であり、vは1〜20の範囲の整数であるが、ただし、xが0に等しい場合、(r+q)は少なくとも2に等しく、xが1に等しい場合、p、qおよびrの少なくとも1つは0以外である。
【請求項2】
Rが式:
【化9】

の基であり、RおよびRの少なくとも1つが式
【化10】

の基であり、R〜R、R’、lおよびmは、請求項1に開示されたものと同じ意味を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
Rが式:
【化11】

の基であり、Rが式:
【化12】

の基であり、Rが水素原子であり、R〜R、R’、lおよびmは、請求項1に開示されたものと同じ意味を有する、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記モノマーが以下の式(II)に対応する、請求項3に記載のプロセス:
【化13】

13はH、金属またはアルキル基を表す。
【請求項5】
Rが式:
【化14】

の基であり、
が式:
【化15】

の基であり、Rが式
【化16】

の基であり、lおよびm、R〜RおよびR’は、請求項1に与えられたものと同じ意味を有する、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項6】
前記モノマーが以下の式(III)に対応する、請求項5に記載のプロセス:
【化17】

13はH、金属またはアルキル基を表す。
【請求項7】
14が以下の式の基を表し:
【化18】

R’およびR’の少なくとも1つが:
【化19】

を表し、R〜R、R’、lおよびmが請求項1に与えられたものと同じ定義に対応し、p、q、rおよびxが少なくとも1に等しい、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
14が式:
【化20】

の基であり、R’およびR’が式:
【化21】

の基を表し、R〜R、R’、lおよびmが請求項1に与えられたものと同じ定義に対応し、p、q、rおよびxは少なくとも1に等しい、請求項1または7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記モノマーが以下の式(V)に対応する、請求項1および7または8のいずれか1項に記載のプロセス:
【化22】

13はH、金属またはアルキル基を表す。
【請求項10】
14が式:
【化23】

の基を表し、R’およびR’の少なくとも1つが:
【化24】

を表し、R15、R16、R’、m、uおよびvが請求項1で与えられたものと同じ定義に対応し、p、q、rおよびxは少なくとも1に等しい、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
16が、式:
【化25】

の基に対応し、lおよびR〜Rが、請求項1に与えられたものと同じ定義に対応し、基R’およびR’が式;
【化26】

の基を表し、mおよびR’が、請求項1に与えられたものと同じ定義に対応し、p、q、rおよびxが少なくとも1に等しい、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記モノマーが以下の式(VI)に対応する、請求項11に記載のプロセス:
【化27】

13はH、金属またはアルキル基を表す。
【請求項13】
前記金属元素が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタニド、アクチニド、およびさらに元素Al、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、BiまたはPoから選択される、先行する請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記金属元素がランタニド元素、例えばイッテルビウムである、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記重合工程が、請求項1〜14のいずれか1項に記載のモノマーとは異なる1以上のコモノマーの存在下で行なわれる、先行する請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記コモノマーが、スチレンモノマーおよびアクリレートモノマーから選択される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記コモノマーが少なくとも2つのエチレン性基を含む、請求項15または16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記コモノマーが以下の式(VII)および(VIII)のいずれかに対応する、請求項16または17に記載のプロセス:
【化28】

式中、(6−n)R17は、同一または異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基は、任意にペルフッ素化されており、R18はアルキル基を表し、R19はHまたはアルキル基を表し、nは1〜3の範囲の整数である。
【請求項19】
前記コモノマーがジビニルベンゼンである、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記コモノマーが、以下の式のトリメチロールプロパントリアクリレートである、請求項18に記載のプロセス:
【化29】

【請求項21】
前記重合工程の前に、請求項1に記載の配位錯体を調製する工程を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項22】
重合工程後、超臨界CO乾燥工程を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記重合工程が:
−ジビニルベンゼンの存在下、請求項9に記載の式(V)のモノマーおよびイッテルビウムから形成される配位錯体の共重合;
−請求項4に記載の式(II)のモノマーおよびイッテルビウムから形成される配位錯体の重合;
−ジビニルベンゼンの存在下またはトリメチロールプロパントリアクリレートの存在下、請求項4に記載の式(II)のモノマーおよびイッテルビウムから形成される配位錯体の共重合;
−請求項6に記載の式(III)のモノマーおよび銅から形成される配位錯体の重合
からなる、先行する請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載のプロセスによって得ることができる少なくとも1つの金属元素がドープされたポリマー材料。
【請求項25】
触媒、発光材料もしくは磁性材料、またはイオンインプリント材料としての請求項24に記載の材料の使用。
【請求項26】
レーザーターゲットの構成要素としての請求項24に記載の材料の使用。
【請求項27】
以下の式(I)およびそれらの塩に対応するモノマー:
【化30】

式中:
−Rは、以下の式の基から選択される基を表す:
【化31】

−RおよびRは、独立して、H、アルキル基、アリール基、以下の式を有する基を表す:
【化32】

11およびR12は、独立して、上記で与えられたRおよびRと同じ定義に対応する基に対応する;
−R’は、OR13またはアミン基である;
−R、R、R、RおよびRは、独立して、H、エチレン性基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、窒素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよいが、ただしR、R、R、RおよびRの少なくとも1つはエチレン性基を表す;
−R、RおよびR10は、独立して、H、エチレン性基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、窒素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよい;
−R13は、H、金属、アルキル基、アリール基、アシル基またはアルキルアリール基を表し、このアルキル、アリールおよびアルキルアリール基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよい;
−k、lおよびmは0〜20の範囲の整数である;
【請求項28】
Rが式:
【化33】

の基であり、RおよびRの少なくとも1つが式
【化34】

の基であり、R〜R、R’、lおよびmは、請求項27に開示されたものと同じ意味を有する、請求項27に記載のモノマー。
【請求項29】
Rが式:
【化35】

の基であり、Rが式:
【化36】

の基であり、Rが水素原子であり、R〜R、R’、lおよびmは、請求項27に開示されたものと同じ意味を有する、請求項27または28に記載のモノマー。
【請求項30】
前記モノマーが以下の式(II)に対応する、請求項29に記載のモノマー:
【化37】

13はH、金属またはアルキル基を表す。
【請求項31】
Rが式
【化38】

の基であり、Rが式:
【化39】

の基であり、Rが式
【化40】

の基であり、lおよびm、R〜RおよびR’は、請求項27に与えられたものと同じ意味を有する、請求項27または28に記載のモノマー。
【請求項32】
前記モノマーが以下の式(III)に対応する、請求項31に記載のモノマー:
【化41】

13はH、金属またはアルキル基を表す。
【請求項33】
以下の式(IV)に対応するモノマー:
【化42】

式中:
−R14は、以下の式の基から選択される基を表す:
【化43】

−R’およびR’は、独立して、アルキル基、アリール基、または以下の式を有する基を表す:
【化44】

11およびR12は、独立して、上記で与えられたR’およびR’と同じ定義に対応する基に対応する;
−R’は、OR13またはアミン基である;
−R、R、R、RおよびRは、独立して、H、エチレン性基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、窒素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよいが、ただしR、R、R、RおよびRの少なくとも1つはエチレン性基を表す;
−R、RおよびR10は、独立して、H、エチレン性基、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリールおよび−O−アルキル基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、窒素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよい;
−R15は、以下の式を有する基を表す:
【化45】

〜R10は上記で定義された通りである;
−R13は、H、金属、アルキル基、アリール基、アシル基またはアルキルアリール基を表し、このアルキル、アリールおよびアルキルアリール基は、任意にペルフッ素化されており、1以上の酸素、硫黄および/またはセレン原子がこれらの基に挿入されていてもよい;
−R16は、次式の基を表す:
【化46】

R’およびR’は上記で定義された通りである;
−k、l、m、u、p、q、r、xおよびwは0〜20の範囲の整数であり、vは1〜20の範囲の整数であるが、ただし、xが0に等しい場合、(r+q)は少なくとも2に等しく、xが1に等しい場合、p、qおよびrの少なくとも1つは0以外である。
【請求項34】
14が以下の式の基を表し:
【化47】

R’およびR’の少なくとも1つが:
【化48】

を表し、R〜R、R’、lおよびmが請求項33に与えられたものと同じ定義に対応し、p、q、rおよびxが少なくとも1に等しい、
請求項33に記載のモノマー。
【請求項35】
14が式:
【化49】

の基であり、R’およびR’が式:
【化50】

の基を表し、R〜R、R’、lおよびmが請求項33で与えられたものと同じ定義に対応し、p、q、rおよびxは少なくとも1に等しい、請求項33または34に記載のモノマー。
【請求項36】
前記モノマーが以下の式(V)に対応する、請求項35に記載のモノマー:
【化51】

13はH、金属またはアルキル基を表す。
【請求項37】
14が式:
【化52】

の基を表し、R’およびR’の少なくとも1つが:
【化53】

を表し、R15、R16、R’、m、uおよびvが請求項33で与えられたものと同じ定義に対応し、p、q、rおよびxは少なくとも1に等しい、請求項33に記載のモノマー。
【請求項38】
15が、式:
【化54】

の基に対応し、lおよびR〜Rが、請求項33に与えられたものと同じ定義に対応し、基R’およびR’が式;
【化55】

の基を表し、mおよびR’が、請求項33に与えられたものと同じ定義に対応し、p、q、rおよびxが少なくとも1に等しい、請求項37に記載のモノマー。
【請求項39】
前記モノマーが以下の式(VI)に対応する、請求項38に記載のモノマー:
【化56】

13はH、金属またはアルキル基を表す。
【請求項40】
金属元素と請求項27〜39のいずれか1項に記載の1以上のモノマーとの配位錯体。


【公表番号】特表2011−501770(P2011−501770A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528379(P2010−528379)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063389
【国際公開番号】WO2009/047245
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(510097644)コミッサリア ア ロンネルジー アトミック エ オ ゾンネルジー ザルテルナティーフ (33)
【Fターム(参考)】