説明

金属含有物質から金属を回収する方法およびシステム

金属含有物質から金属、例えば、ウランを回収する方法およびシステムの態様が開示される。金属含有物質は抽出剤へ暴露される。抽出剤は液体または超臨界流体溶媒および酸塩基錯体を含み、酸塩基錯体は酸化剤および錯化剤を含む。金属含有物質のバッチは、直列のステーションを通って移動され、その間に、抽出剤が反対方向へステーションを通って移動される。抽出工程の後、金属は、向流剥離カラムの中で抽出物を剥離剤へ暴露することによって、溶媒、錯化剤、および/または他の金属から分離される。錯化剤および溶媒はカラムから出て、圧力を低減することによって相互から分離される。回収された錯化剤は、新たな酸化剤を再充填され、新たなまたは回収された溶媒と再び結合されて、回収された抽出剤を形成する。回収された抽出剤は抽出ステーションを通して分配される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
この開示は、特に、液体または超臨界流体溶媒中の抽出によって、金属含有物質から金属、例えば、ウランを回収する方法およびシステムに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年1月18日に出願された米国仮出願第60/645,201号の先の出願日付の恩典を主張する。この仮出願は、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
背景
広範囲の産業プロセスは、金属含有物質からの金属の分離および回収を必要とする。特に重要なのは、ウラン含有物質からウランを分離および回収することである。ウラン含有物質は、多くのプロセス、大部分が原子力産業に関連づけられたプロセスの副産物として生成される。ウランの著しい量を含む廃棄物質の2つの例は、核燃料を作る施設からの使用済核燃料および焼却炉灰である。これらおよび他の廃棄物質からのウランの回収は、ウランの毒性および潜在的価値のために望ましい。
【0004】
PUREX(抽出によるプルトニウムおよびウラン回収)法は、現在、ウラン含有物質からウランを分離する最も普通に使用されるプロセスである。このプロセスによって、ウラン含有物質は最初に硝酸の中で溶解され、硝酸ウラニル溶液を形成する。次に、この溶液の中のウランは、希釈剤、例えば、ドデカンと混合された有機溶媒、例えば、リン酸トリブチル(TBP)によって分離される。後続の液-液抽出はウランを更に純化する。
【0005】
PUREX法の主な欠点は、コストと廃棄物生成である。PUREX法は、例えば、多くの液-液抽出を含み、プロセスのコストを増加し、液体廃棄物の量を増加する。硝酸溶解工程はチッ素の気体酸化物を生成する。これはオフガスから除かれなければならない。この浄化工程は、追加の希釈硝酸液体廃棄物を生成する。更に、硝酸溶解工程の後に残された残留物は、多くの場合、残留硝酸を含み、廃棄する前に処理が必要である。
【0006】
PUREX法の環境および経済的コストは、出発物の中のウラン濃度に依存する。硝酸が使用されて、高濃度のウランを有する物質、例えば、使用済核燃料棒を溶解するとき、結果として生じる硝酸ウラニル溶液は、相対的に濃縮されている。対照的に、硝酸が使用されて、低濃度のウランを有する物質、例えば、焼却炉灰を溶解するとき、結果として生じる硝酸ウラニル溶液は、より少なく濃縮されている。低濃度硝酸ウラニル溶液からウランを分離するためには、高濃度硝酸ウラニル溶液からウランを分離する場合よりも、多くの広範な液-液抽出が必要とされる。残念ながら、溶媒抽出の前に硝酸ウラニル溶液を濃縮する公知のプロセスは、実用的ではない。
【0007】
コストを低くし、廃棄物の生成を少なくして、金属含有物質からウランおよび他の金属を回収する必要性が存在する。この必要性は、低から中程度のウラン濃度を有する出発物からウランを回収するとき特に強い。焼却炉灰は、そのような物質の1つの例である。ウランを使用する工場は、典型的には、ウランによって汚染された後の燃焼可能廃棄物の全てを焼却する。この燃焼可能廃棄物は、例えば、包装、保護スーツ、およびフィルタを含む。この廃棄物を燃やした後に残された灰は、要因、例えば、汚染レベルおよびウラン以外の非燃焼可能汚染物の存在に依存して、様々な濃度のウランを含む。核燃料を製造する施設からの焼却炉灰は、典型的には、約5%〜約30%のウランを含む。現在、処理または廃棄を待機しているウラン含有焼却炉灰の膨大な備蓄が存在し、それよりも多くが毎日生産されている。PUREX法の代替が深刻に必要とされている。
【0008】
高圧を加えることによって液体または超臨界形態に維持された二酸化炭素を使用する抽出は、より環境的に優しく潜在的に安価な金属回収アプローチとして暗示されてきた。この種の抽出に関連する参考文献は、M. D.; Wai, C. M.; Lee, S. C.; Kulyako, Y.; Smart, N. G. Dissolution of Uranium Dioxide in Supercritical Fluid Carbon Dioxide. Chem. Commun. 2001, 1868-69 ("Samsonov")(非特許文献1)、および米国特許第5,356,538号(特許文献1)、第5,606,724号(特許文献2)、第5,730,874号(特許文献3)、第5,770,085号(特許文献4)、第5,792,357号(特許文献5)、第5,840,193号(特許文献6)、第5,965,025号(特許文献7)、第6,132,491号(特許文献8)、第6,187,911号(特許文献9)、米国特許出願公開第2003/0183043号(「Wai 特許文書」)(特許文献10)を含む。これらは、参照により本明細書に組み入れられる。集合的に、SamsonovおよびWai 特許文書は、液体または超臨界流体溶媒を使用する抽出の幾つかの変化を開示する。その中には、リン酸トリブチルおよび硝酸を含む酸塩基錯体を使用して四価二酸化ウランを溶解することが含まれる。
【0009】
この開示の本発明者らは、金属含有物質からの金属、例えば、ウランの回収に対して、よりクリーンで効率的な抽出技術を実用的に適用するため、特別に設計された方法およびシステムの必要性を認識した。
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,356,538号
【特許文献2】米国特許第5,606,724号
【特許文献3】米国特許第5,730,874号
【特許文献4】米国特許第5,770,085号
【特許文献5】米国特許第5,792,357号
【特許文献6】米国特許第5,840,193号
【特許文献7】米国特許第5,965,025号
【特許文献8】米国特許第6,132,491号
【特許文献9】米国特許第6,187,911号
【特許文献10】米国特許出願公開第2003/0183043号
【非特許文献1】M. D.; Wai, C. M.; Lee, S. C.; Kulyako, Y.; Smart, N. G. Dissolution of Uranium Dioxide in Supercritical Fluid Carbon Dioxide. Chem. Commun. 2001, 1868-69
【発明の開示】
【0011】
要約
本明細書において、金属含有物質から金属を回収する方法およびシステムが説明される。本方法は抽出工程を含むことができる。抽出工程の間に、金属含有物質は抽出剤へ暴露され、抽出物を形成する。抽出剤は液体または超臨界流体溶媒および酸塩基錯体を含むことができ、酸塩基錯体は酸化剤および錯化剤を含む。抽出剤に暴露されると、金属は錯化剤と一緒に金属含有錯体を形成する。金属含有錯体は溶媒に溶解可能である。抽出工程の後、金属は剥離工程で抽出物から分離可能である。剥離工程において、金属含有錯体を含む抽出物は剥離剤へ暴露され、その間に、溶媒は依然として液体または超臨界形態にある。金属は、錯化剤を含む相から剥離剤の中へ移動する。剥離工程の後、剥離剤は剥離生産物となり、抽出物はラフィネートになる。
【0012】
全体の方法は、実質的に連続であってよい。しかし、或る工程はバッチまたは半バッチ・プロセスであってよい。例えば、抽出工程は多段式半バッチ・プロセスであってよい。金属含有物質は向流抽出プロセスで抽出剤へ暴露され、抽出物および残留物を形成することができる。金属が枯渇した後、金属含有物質は残留物となる。抽出工程の間、金属含有物質のバッチは、直列になった2つ以上のステーションの間を、例えば、バスケットで移動可能である。抽出剤は、金属含有物質のバッチが移動される方向とは反対の方向へ、これらのステーション間を移動可能である。このようにして、金属含有物質がプロセスを通過し、金属含有物質内の金属の濃度が減少するにつれて、金属含有物質は、金属の濃度が低くなった抽出剤と接触する。
【0013】
抽出物が剥離剤へ暴露される剥離工程は、向流プロセスであってよい。例えば、抽出物は向流剥離カラムの第1の端部の中へ導入可能であり、その間に、剥離剤は第1の端部の反対にある向流剥離カラムの第2の端部の中へ導入される。剥離生産物および抽出物がラフィネートとして第2の端部の近くで収集されるにつれて、剥離剤は第1の端部の近くで収集可能である。分散を増加するため、例えば、剥離カラムの第2の端部で、剥離剤は抽出物の中へ噴霧可能である。
【0014】
剥離工程の幾つかの態様は、2つ以上の金属を相互から、および抽出物の残りから分離するように構成される。これらの金属は、異なる酸化数を有することができる。これによって、金属は、剥離工程の間の異なる時間に、それぞれの金属含有錯体から解離することができる。このようにして、第1の剥離生産物および第2の剥離生産物は、剥離生産物を分けることによって形成可能である。幾つかの態様において、分離されるべき金属はガドリニウムおよびウランである。これらの金属は、例えば、使用済核燃料から抽出可能である。
【0015】
錯化剤および溶媒は、リサイクリング・工程でリサイクル可能である。リサイクリング・工程の開始は、ラフィネートの圧力を減少させ、および/または温度を増加させることにより錯化剤から溶媒を分離することによって行うことができる。これによって、溶媒は、回収された気体となる。錯化剤は、回収された錯化剤として分離する。その後で、回収された錯化剤は酸化剤と混合され、回収された酸塩基錯体を形成することができる。次に、回収された酸塩基錯体は、静的ミキサを使用して溶媒と混合され、回収された抽出剤を形成することができる。それが形成された後、回収された抽出剤は抽出工程へ導入可能である。回収された錯化剤と混合されて、回収された抽出剤を形成する溶媒は、新たな溶媒または回収された溶媒であってよく、回収された溶媒は、回収された気体を凝縮することによって形成される。
【0016】
錯化剤から溶媒を分離する代替として、幾つかの態様では、ラフィネートを酸化剤で再充填することによって、回収された抽出剤が形成される。このようにして、溶媒は実質的に連続して液体または超臨界形態に維持される。ラフィネートの再充填は、ラフィネートの少なくとも一部分を向流再充填カラムの第1の端部の中へ導入し、酸化剤の少なくとも一部分を向流再充填カラムの第2の端部の中へ導入することを含んでよい。再充填カラムの中で、存在する任意の錯化剤は酸化剤と結合して酸塩基の対を再形成することができる。次にラフィネートは、再充填カラムの第2の端部の近くで、回収された抽出剤として収集可能である。過剰の酸化剤は再充填カラムの第1の端部の近くで収集可能である。幾つかの態様では、過剰の酸化剤は抽出物から金属を分離するための剥離剤として使用される。これが特に有用な場合は、異なるレベルの酸度で実行される2つの段階を剥離工程が含み、2種類以上の金属を別々に除去する場合である。
【0017】
幾つかの開示された態様では、溶媒は室温および大気圧での気体である。例えば、溶媒は二酸化炭素であってよい。剥離剤は水性の液体、例えば、水であってよい。酸化剤は硝酸であってよい。錯化剤はリン酸トリブチルであってよい。開示された方法およびシステムは、多様な金属と一緒に使用されてよい。金属の中には、ウラン、ガドリニウム、およびプルトニウムが含まれる。金属含有物質は産業廃棄物、例えば、焼却炉灰であってよい。幾つかの開示された態様において、金属は金属含有物質の重量の約30%未満の割合を占める。
【0018】
開示されたシステムは、開示された方法を実行するのに適している。開示されたシステムの幾つかの態様は、抽出装置および向流剥離装置を含む。抽出装置は2つ以上のステーションおよび抽出剤分配網を含んでよい。抽出剤分配網は抽出剤の源から直列の2つ以上のステーションへ抽出剤を分配するように構成される。各々のステーションは容器を含む。この容器は、固体金属含有物質のバッチを保持し、金属含有物質を抽出剤へ暴露するように構成される。容器は、ステーションから分離可能であり、ステーション間で相互に交換可能であり、ステーション間の金属含有物質のバッチ移動を容易にする。容器は、更に、1つの端部の抽出剤入口と反対の端部の抽出剤出口を伸張してもよい。抽出剤出口は、抽出剤を透過するが金属含有物質を透過しないフィルタ、例えば、焼結金属フィルタを含むことができる。ステーションの少なくとも1つは、抽出の間に関連容器へ超音波振動を加えるための超音波放出装置を含むことができる。ステーションは、更に、機械的混合を行うように構成することができる。幾つかの開示された態様において、ステーションは、約20atmよりも大きい内圧、約50atmよりも大きい内圧、または更に約200atmよりも大きい内圧に耐えるように構成される。
【0019】
向流剥離装置は剥離カラムを含むことができる。剥離カラムは、液体または超臨界流体溶媒を含む抽出装置からの抽出物を剥離剤へ暴露するように構成される。このカラムは、抽出物入口および剥離生産物出口を有する第1の端部、および剥離剤入口およびラフィネート出口を有する第2の端部を有することができる。剥離剤入口は噴霧器であってよい。剥離カラムは、表面区域向上媒体、例えば、金属、例えば、ステンレススチール、またはプラスチックのメッシュを含んでよい。それは剥離剤と抽出物との間の接触を増大させる。ステーションと同じく、剥離カラムは、約20atm、約50atm、または約200atmよりも大きい内圧に耐えるように構成可能である。幾つかの開示された態様において、向流剥離装置は、少なくとも2つの剥離カラムを含む。抽出物は、第1の剥離カラム、次に第2の剥離カラムを、直列に通るように導かれる。第1の剥離カラムは、主として抽出物から酸化剤を分離するように構成され、第2の剥離カラムは、主として抽出物から金属を分離するように構成される。複数の剥離カラムも使用可能であり、異なる金属、例えば、ウランおよびガドリニウムの分離を容易にする。
【0020】
抽出装置および向流剥離装置に加えて、開示されたシステムの幾つかの態様は、溶媒および/または錯化剤をリサイクルするリサイクリング装置を含む。リサイクリング装置は分離器を含むことができる。この分離器は、剥離装置から出るラフィネートの圧力を低減し、および/または温度を増加するように構成される。リサイクリング装置は、更に、酸塩基錯体ミキサを含んでよい。この錯体ミキサは、ラフィネートから回収された錯化剤を酸化剤と混合して、回収された酸塩基錯体を形成する。幾つかの開示された態様において、リサイクリング装置は凝縮器を含む。凝縮器は、ラフィネートから回収された気体を凝縮して、液体または超臨界流体形態の回収された溶媒を形成する。回収された酸塩基錯体は、ミキサ、例えば、静的ミキサを使用して、回収された溶媒または新たな溶媒と混合し、回収された抽出剤を形成することができる。回収された抽出剤は、抽出剤分配網によって、抽出装置のステーションを通って導かれてよい。或る他の態様において、リサイクリング装置は再充填カラムを含む。再充填カラムは、ラフィネートを酸化剤へ暴露し、回収された抽出剤を形成するように構成される。これらの態様は、更に、サージタンクを含むことができる。サージタンクは、再充填カラムから出る回収された抽出剤を保持するように構成される。サージタンクは補給液体または超臨界流体溶媒を受け取る入口を有することができる。
【0021】
詳細な説明
開示の全体で、単数の用語「1つの」、「1つの」、および「その」は、文脈がそうでないことを明瞭に示さない限り、複数の参照対象を含む。同様に、語句「または」は、文脈がそうでないことを明瞭に示さない限り、「および」を含むように意図される。開示された方法またはシステムで使用または生成されるプロセス流体および他の物質への参照は、文脈がそうでないことを明瞭に示さない限り、先行事物の量の全部または一部を含むように意図される。例えば、先行事物「溶媒」の後の用語「溶媒」は、文脈がそうでないことを明瞭に示さない限り、先行事物によって想定される溶媒の量の全部または一部を意味する。
【0022】
次の用語は、この開示で次のように短縮されてよい。大気(atm)、臨界圧(PC)、臨界温度(TC)、立方センチメートル(cc)、脱イオン水(DIW)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グラム(g)、フルオロアセチルアセトン(HFA)、キログラム(kg)、レベル制御弁(LCV)、リットル(L)、1時間当たりリットル(LPH)、モル(M)、核磁気共鳴(NMR)、圧力制御弁(PCV)、ポンプ(P)、安全弁(SV)、タンク(TK)、テノイルトリフルオロアセトン(TTA)、リン酸トリブチル(TBP)、およびトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)。
【0023】
本明細書において、金属含有物質から金属を回収する方法、および開示された方法と一緒に使用できるシステムが開示される。開示された方法およびシステムは、液体または超臨界流体溶媒を含む抽出剤を使用して金属を直接抽出することに基づく。標的金属の相対的に低い濃度、例えば、重量で約30%未満か、重量で約20%未満か、重量で約15%未満の濃度を有する出発物から、標的金属の高濃度、例えば、重量で約5%よりも大きいか、重量で約10%よりも大きいか、重量で約12%よりも大きい濃度を有する水溶液を生成するために、開示された方法の幾つかの態様を使用することができる。
【0024】
開示された方法およびシステムは、ウラン含有物質からのウラン回収に特に有用である。上記で説明したように、従来のウラン回収アプローチは多くの欠点を有する。欠点の中には、高コストおよび危険廃棄物の大量の生成が含まれる。液体または超臨界流体溶媒を含む抽出剤を使用する直接抽出は、従来のウラン回収プロセスよりもクリーンで効率的な代替としての潜在力を有する。例えば、開示された抽出は、任意で、別個の硝酸溶解工程なしに実行可能である。これは、チッ素の気体酸化物の生成を低減または排除し、硝酸塩含有液体流出液の量を低減し、残留固体廃棄物の量および毒性を低減する。
【0025】
ウランの抽出において、開示された方法は高濃度硝酸ウラニル溶液を生成するために使用可能である。この溶液は、PUREX法で硝酸溶解によって普通に生産される低濃度硝酸ウラニル溶液よりも、最終生産物へ加工するのに効率的である。実際に、開示された抽出が、非常に少ない非ウラン汚染物を含むウラン含有物質へ適用されたとき、抽出によって生産された硝酸ウラニル溶液は、幾つかの場合に十分に濃縮され、更なる処理の必要なしに最終生産物、例えば、UO2へ直接転化可能である。
【0026】
方法
液体または超臨界流体溶媒を使用して金属含有物質から金属を分離および回収する方法の態様が開示される。開示された態様は、ウラン含有物質からウランを回収するのに特に適している。開示された方法の幾つかの態様は、次の3つの工程、即ち、(1)抽出、(2)剥離、および(3)リサイクリングの1つまたは複数を含む。これらの工程は、下記で詳細に説明される。
【0027】
抽出
開示された方法の幾つかの態様は、抽出工程から始まる。この工程において、金属含有物質は抽出剤と接触される。抽出剤は、例えば、液体または超臨界流体溶媒、酸化剤、および錯化剤を含むことができる。金属の抽出に良好に適した溶媒の多くは、相対的に無極性である。大部分の有効な酸化剤、例えば、硝酸は、無極性溶媒に溶解しない。しかし、これらの酸化剤は、酸塩基錯体へ組み込むことによって可溶にすることができる。例えば、硝酸が化合物、例えば、TBPへ結合されるとき、結果の酸塩基錯体は幾つかの無極性溶媒の中で高度に可溶である。無極性溶媒には、二酸化炭素が含まれる。したがって、TBPは硝酸を溶媒へ導入するためのキャリヤとして使用できる。
【0028】
開示された抽出の態様は、液体または超臨界流体形態の溶媒と一緒に実行可能である。化合物が、その臨界温度および圧力特性よりも上の温度および圧力にあるとき、その化合物は超臨界流体として存在する。図1は二酸化炭素の状態図である。この図は、液体二酸化炭素および超臨界二酸化炭素を生産するために必要な条件を示す。超臨界状態にある物質は、気体および液体の双方の特性を示す。超臨界流体は、典型的には、臨界未満の液体と同じように、溶媒として作用することができ、更に、気体の改善された侵入力を示す。この事は、超臨界流体を、金属抽出にとって好ましい種類の溶媒とする。開示された液体溶媒は、室温および大気圧での気体であってよい。これらの溶媒は、圧力を増大させ、および/または温度を減少させることによって、液体へ転化される。
【0029】
酸化剤および錯化剤を含む酸塩基錯体を使用して金属、例えば、ウランを抽出する間に、酸化剤は金属を酸化し、錯化剤は金属へ結合し、金属は錯形成反応前よりもその溶媒において可溶にされる。酸化された後の金属は酸塩基錯体と一緒に安定した錯体を形成することができる。例えば、酸化剤として硝酸を使用し、錯化剤としてTBPを使用するウランの抽出において、ウランはUO2(NO32・2TBPを形成する。ウラン、ガドリニウム、プルトニウム、および多くの他のランタニドおよびアクチニドは、多数のリガンドに結合することができる。開示されたプロセスは、これらの金属の回収に特に良好に適している。大部分の他の金属は、この特性を共有せず、酸塩基錯体、例えば、TBP-HNO3と一緒に安定な錯体を形成することができない。これらの金属は、別個のキレート剤を抽出剤へ加えることによって回収可能である。
【0030】
抽出工程の1つの目的は、錯化剤を含む相の中で金属を濃縮することである。錯化剤を含む相が、回収されるべき高濃度金属を有するならば、剥離工程の効率が改善される。錯化剤を含む相の中で、回収されるべき金属の濃度を増大させる1つの方法は、金属含有物質が暴露される抽出剤の中の錯化剤の量を減少させることである。しかし、この方法は、必要な抽出時間を劇的に増加させ、したがって抽出プロセスの効率を減少させる。
【0031】
向流抽出プロセスを使用することによって、効率を弱めることなく、類似または優越した結果を達成することができる。開示された向流抽出プロセスは、従来の単一バッチ抽出プロセスから逸脱している。単一バッチ・プロセスでは、金属含有物質と錯化剤を含む相との間の濃度勾配は、時間と共に減少する。開示された向流抽出プロセスは、抽出の間に抽出剤および金属含有物質を移動することによって、濃度勾配を維持する。
【0032】
開示された向流抽出プロセスの幾つかの態様において、抽出剤は抽出プロセス中に第1の方向へ移動され、金属含有物質は、抽出プロセス中に第1の方向とは反対の第2の方向へ移動される。抽出剤が第1の方向へ移動するにつれて、錯化剤を含む相の中の金属の濃度は増加する。金属含有物質が第2の方向へ移動するにつれて、金属含有物質の中の金属の濃度は減少する。したがって、最高濃度の金属を有する金属含有物質、即ち、抽出剤へ未だ暴露されない金属含有物質は、最初に、直列の他のバッチの各々から金属を抽出するために既に使用された抽出剤へ暴露される。高金属濃度を有する金属含有物質のみが、この使用された抽出剤に追加金属を詰め込むことができる。同様に、直列の他の端部では、最低濃度金属を有する金属含有物質が新たな抽出剤へ暴露される。そうでなければ、抽出を駆動するのに不十分な濃度勾配が存在する。向流動作によって、開示されたプロセスは、プロセスの全体で金属含有物質と錯化剤を含む相との間で濃度勾配を維持することができる。
【0033】
開示された向流抽出プロセスの幾つかの態様は、多段式半バッチ・プロセスである。多段式半バッチ・プロセスは、例えば、金属含有物質を連続的に移動するのが困難である場合、または抽出が金属含有物質と抽出剤との間の長時間接触を必要とする場合に有用である。幾つかの開示された態様において、金属含有物質のバッチは別々の抽出ステーションに置かれる。抽出剤は、直列になったこれらのステーションへ導入され、1つのステーションからの使用された抽出剤は第1の順序で次のステーションへ送り込まれる。抽出剤は、連続的に移動可能であるか、次のステーションへ解放される前に、抽出時間の間、各々のステーションで保持可能である。金属が金属含有物質から回収されるにつれて、金属含有物質のバッチは、第1の順序とは反対の第2の順序で1つの抽出ステーションから次の抽出ステーションへ移動可能である。金属のバッチが直列ステーションの最後に達したとき、金属含有物質は金属を少なくとも部分的に枯渇され、残留物と呼ばれてよい。残留物は、抽出前の金属含有物質よりも少ない毒性であり、その廃棄は問題が少ない。
【0034】
開示された抽出工程の多段式半バッチ態様は、任意の数のステーションと一緒に使用可能である。一般的に、使用するステーションの数が大きくなれば、それだけ分離は完全になる。分離の完全性は、更に、抽出時間に依存する。幾つかの態様において、金属含有物質のバッチは、設定された時間量の間、または或る量の金属を除去するのに有効な時間の間、各々のステーションに残される。全体としては、当業者によって理解されるように、金属含有物質は、例えば、可変時間の間、抽出剤へ暴露可能である。一般的に、時間は、約30分〜約120分であり、典型的には、約40分〜約100分であり、更に典型的には、約50分〜約80分である。抽出工程を通る抽出剤の流量は、例えば、1時間当たり約2リットルと1時間当たり約10リットルとの間、典型的には1時間当たり約3リットルと1時間当たり約8リットルとの間、更に典型的には1時間当たり約4リットルと1時間当たり約7リットルとの間であってよい。抽出工程は、金属含有物質の中の金属の可変量、例えば、金属の約60%〜約100%、典型的には金属の約80%〜約100%、更に典型的には金属の約85%〜約100%を回収するように構成可能である。
【0035】
剥離
開示された方法の幾つかの態様は、抽出工程の後で剥離工程を含む。金属含有物質から金属を抽出し、全体の抽出工程を完了した後、抽出剤は抽出物と呼ばれてよい。抽出物は、典型的には、溶媒および錯体を含む。錯体には、金属および酸塩基錯体が含まれる。剥離工程は、抽出物から金属を分離することを意図される。剥離は、例えば、抽出物よりも金属に対して高い親和力を有する剥離剤へ抽出物を暴露することによって達成可能である。理論的には、開示された態様をそのような理論へ限定することなく、抽出物の中の酸化剤は、典型的には、剥離剤への高い親和力を有し、分離されるべき抽出物の第1の成分である。酸化剤の濃度が減少するにつれて、金属含有錯体は解離し、金属イオンが剥離剤の中へ移行する。抽出物から剥離剤を分離して保持するため、抽出物と混和しないか、少なくとも分離可能な剥離剤を選択することが助けとなる。
【0036】
2つ以上の異なる金属が抽出物の中に存在するならば、剥離工程は、更に、これらの金属を相互から分離するのに有用である。異なる電荷を有する金属イオンは、例えば、異なる数の酸塩基錯体を有する錯体を形成し、したがって異なるpH値で、それらの関連酸塩基錯体から分離する。抽出物のpHは、主として酸化剤の濃度によって決定可能である。より高い電荷を有する金属は、それらの電荷を中和するため、より大きい数の陰イオンを必要とし、より高い濃度の酸化剤で、それらのそれぞれの金属含有錯体から解離する。
【0037】
抽出物の中の異なる金属を相互から分離することは、使用済核燃料棒、およびウランおよびガドリニウムの双方を含む他の廃棄物質を加工するのに特に有用である。ガドリニウム含有粒子は、通常、核分裂生産物を含む燃焼可能な毒として燃料棒の中へ導入される。ウランおよびガドリニウムの双方は、高濃度酸化剤で酸塩基錯体、例えば、TBP-HNO3を有する安定な錯体を形成し、したがって無極性溶媒、例えば、超臨界二酸化炭素の中で溶解可能にされる。しかし、ウランイオンは、典型的には、プラス2の電荷を有し、ガドリニウムイオンは、典型的には、プラス3の電荷を有する。酸化剤の酸陰イオンがプラス1の電荷を有するならば、ウランは2つの酸塩基錯体と会合し、ガドリニウムは3つの酸塩基錯体と会合する。剥離工程において、酸化剤が剥離剤の中へ移行するにつれて、ガドリニウム含有錯体はウラン含有錯体よりも前に解離する。したがって、ウランおよびガドリニウムは、剥離生産物を分けることによって分離可能である。幾つかの態様では、抽出物の中の酸化剤の濃度が約2M〜約3Mにあるとき、ガドリニウムが剥離剤へ入り、抽出物の中の酸化剤の濃度が約0.1M〜約0.5Mにあるとき、ウランが剥離剤へ入る。
【0038】
剥離工程の前および間では、溶媒は液体または超臨界形態であってよい。幾つかの態様では、溶媒は液体形態で維持される。なぜなら、超臨界流体溶媒の改善された侵入力は、もはや必要でないからである。剥離工程に十分な量を提供するため、溶媒は抽出物から分離され、連続した流れとして流動する新しい溶媒と置換可能である。
【0039】
剥離工程は向流プロセスであってよい。抽出物はプロセス中を第1の方向へ移動し、その間に剥離剤はプロセス中を第1の方向とは反対の第2の方向へ移動する。剥離剤は、多くの場合、金属よりも酸化剤に対して大きな親和力を有する。例えば、或る水性剥離剤、例えば、水の中の硝酸の溶解度は、これらの剥離剤の中のウラニルイオンの溶解度よりも大きい。濃度勾配を最大化することに加えて、向流設計は、酸化剤および金属の双方が除去される。対照的に、双方の液体が同じ方向へ移動するならば、剥離剤は迅速に酸化剤を詰め込まれ、有意の金属量を除去することができない。
【0040】
酸化剤と金属との間の溶解度の差が特に高い場合、剥離工程を2つ以上の段階に分離することが有用である。例えば、第1の段階において、剥離剤の中で高い溶解度を有する溶質、例えば、酸化剤が、除去可能である。次に、抽出物は第2の段階へ導かれてよい。第2の段階では、新たな剥離剤が使用されて、溶解度の少ない成分、例えば、金属を除去する。このようにして、大きい溶解度の成分の存在は、小さい溶解度の成分の除去を有意に禁止することはない。多数の段階も有用であって、剥離プロセスの間に異なる条件および異なる時点で剥離剤へ入る異なる金属、例えば、ウランおよびガドリニウムを分離する。
【0041】
剥離プロセスの効率は、剥離剤と抽出物との間の接触量によって影響を受ける。剥離剤および抽出物は、通常、混和しないので、この接触の達成は困難である。幾つかの開示された態様では、剥離剤は抽出物の中へ噴霧される。噴霧作業は、液体の大きな集合の表面区域よりもずっと大きい集約表面区域を有する小さな液滴を作り出す。液滴の大きな表面区域は、剥離剤と抽出物との間の大きな界面として役立つ。これは物質移動の速度を改善する。幾つかの開示された態様において、抽出物は、液滴の未熟の合体を防止する助けとなる高表面積の剥離媒体を通って流動する。
【0042】
金属を集めた後、剥離剤は剥離生産物として剥離工程から出ることができる。溶媒はラフィネートとして錯化剤と一緒に剥離工程から出る。金属がウランであり、剥離剤が水であり、酸化剤が硝酸である1つの態様において、剥離生産物は、濃縮された硝酸ウラニル溶液である。硝酸を使用するウラン含有物質の直接溶解、例えば、PUREX法も、硝酸ウラニル溶液を生産することができるが、開示された方法によって生産された硝酸ウラニル溶液は、典型的には、PUREX法によって生産されたものよりもずっと濃縮されている。したがって、開示された方法によって生産された硝酸ウラニル溶液が最終生産物、例えば、UO2へ転化される前に必要となる追加工程は、あるとすれば、少なくなる。対照的に、PUREX法によって生産された硝酸ウラニル溶液は、典型的には、濃度が薄く、追加工程、例えば、追加の液-液抽出を必要としてウランを濃縮する。これは、特に、相対的に低い濃度のウランを有する物質、例えば、焼却炉灰からウランを回収するためにPUREX法が適用されるとき、および付加金属、例えば、ガドリニウムを含む物質からウランを回収するためPUREX法が適用されるときにそうである。
【0043】
抽出剤および剥離剤の流量は、錯化剤を含む相から除去される金属の量に影響する。抽出剤の流量は、例えば、1時間当たり約10リットルと1時間当たり約100リットルとの間、1時間当たり約15リットルと1時間当たり約50リットルとの間、または1時間当たり約20リットルと1時間当たり約30リットルとの間であってよい。剥離剤の流量は、例えば、1時間当たり約1リットルと1時間当たり約8リットルとの間、1時間当たり約1.5リットルと1時間当たり約5リットルとの間、または1時間当たり約2リットルと1時間当たり約3リットルとの間であってよい。剥離工程の全サイクルタイムは、例えば、約30分〜約120分、約40分〜約100分、または約50分〜約80分であってよい。抽出剤から除去される金属の量は、例えば、約50%〜約100%、約70%〜約100%、または約90%〜約100%であってよい。
【0044】
リサイクリング
開示された方法の幾つかの態様はリサイクリング・工程を含む。リサイクリングは、プロセスによって生産された危険廃棄物の量を制限し、プロセスの全体的コストを低減する潜在力を有する。リサイクリング・工程は、プロセス中に使用または形成された様々な物質、例えば、錯化剤、溶媒、またはこれらの双方をリサイクルすることを含む。前述したように、幾つかの開示された態様において、錯化剤および溶媒はラフィネートとして剥離工程から出る。このラフィネートは、酸化剤の少なくとも一部分が消費されていることで、抽出剤とは異なる。したがって、ラフィネートは、典型的には、追加の加工なしに抽出工程へ直接リサイクルされることはない。
【0045】
幾つかの開示された態様において、溶媒は、ラフィネートの圧力を低減し、および/または温度を増加することによって、錯化剤から分離される。分離の後、ラフィネートからの溶媒は、回収された気体となり、ラフィネートからの錯化剤は、回収された錯化剤となる。回収された錯化剤は酸化剤と結合可能であり、回収された酸塩基錯体を形成する。回収された気体は凝縮され、回収された溶媒を液体または超臨界流体形態で形成することができる。回収された酸塩基錯体は、回収された溶媒または新たな溶媒と結合され、回収された抽出剤を形成することができる。回収された抽出剤は、準備された後、上記で説明したように、抽出工程でプロセスへ再導入可能である。
【0046】
リサイクリング・工程を含む態様において、剥離工程の効率は抽出工程の効率に影響する。典型的には、剥離工程は、錯化剤を含む相から100%の金属を除去しない。残りの金属はラフィネートの中に運ばれ、回収された錯化剤、回収された酸塩基錯体、および回収された抽出剤の中へ組み込まれる。抽出剤の中の金属の存在は、抽出工程の効率を減少させる。したがって、できるだけ多くの金属を剥離工程で分離するのが有用である。
【0047】
リサイクリング・工程への他のアプローチは、溶媒を分離することなくラフィネートへ酸化剤を再充填することである。例えば、ラフィネートは向流カラムの1つの端部の中へ導入可能であり、その間に酸化剤が反対の端部の中へ導入される。ラフィネートがカラムの中で酸化剤と接触するにつれて、存在する錯化剤は酸化剤と結合し、酸塩基錯体を再形成することができる。再充填されたラフィネートは抽出工程へ導かれ、回収された抽出剤として使用可能である。
【0048】
システム
図2は、金属含有物質から金属を回収する開示システムの1つの態様を示す。図2に示されるシステム10は、抽出装置12、剥離装置14、およびリサイクリング装置16を含む。抽出装置12は第1のステーション18および第2のステーション20を含む。剥離装置14は剥離カラム22を含む。リサイクリング装置16は、分離器24、酸塩基錯体ミキサ26、凝縮器28、溶媒タンク30、および静的ミキサ32を含む。
【0049】
動作において、第1のステーション18は、金属含有物質の第1のバッチ34を含み、第2のステーション20は、金属含有物質の第2のバッチ36を含む。抽出剤は第2ステーション抽出剤入口38を介して第2のステーション20へ入る。金属含有物質の第2のバッチ36から金属を抽出した後、抽出剤は第2ステーション抽出剤出口40を介して第2のステーション20から出て、第1ステーション抽出剤入口42を介して第1のステーション18の中へ導かれる。金属含有物質の第1のバッチ34から金属を抽出した後、抽出剤は第1ステーション抽出剤出口44を介して第1のステーション18から出る。抽出の間、金属含有物質の第2のバッチ36は第2のステーション20の外へ移動され、更なる加工または処理へ移動される。金属含有物質の第1のバッチ34は、第1のステーション18の外へ移動され、第2のステーション20へ移動される。一般的に、抽出剤は、抽出工程中に第1の方向へ移動し、金属含有物質は、抽出工程中に第1の方向とは反対の第2の方向へ移動する。第2の方向は矢印46で示される。
【0050】
金属含有物質34および36の移動は、第1の容器48および第2の容器50によって促進される。これらの容器は、それぞれ第1および第2のステーション18および20の中に置かれる。第1および第2の容器48および50は、取り外し可能であり、第1および第2のステーション18および20の間で相互に交換可能である。第1および第2の容器48および50は、更に、抽出剤と金属含有物質34および36との間の接触を最大にするように構成される。第1および第2の容器48および50の双方は伸張されている。抽出剤は、第1および第2の容器48および50の頂上端部の中へ直接導かれ、それぞれ第1および第2の容器48および50の底に配置された第1および第2のフィルタ51および52に達するまで、金属含有物質の中を各々の容器の長さに沿って進むように強制される。第1および第2のフィルタ51および52は抽出剤の通過を許し、金属含有物質の通過を阻止する。
【0051】
抽出剤が抽出装置12を離れた後、それは抽出物と呼ばれてよい。抽出物は抽出物入口53で剥離カラム22に入る。抽出物がラフィネート出口54へ向かって剥離カラム22を上方へ移動するにつれて、剥離剤は剥離剤入口56から剥離生産物出口58へ剥離カラム22を下方へ移動する。抽出物入口53および剥離生産物出口58は、剥離カラム22の第1の端部60の近くに置かれる。ラフィネート出口54および剥離剤入口56は、剥離カラム22の第2の端部62の近くに置かれる。剥離カラム22の第1の端部60および剥離カラム22の第2の端部62は、それぞれ底および頂上の端部である。
【0052】
剥離カラム22から出る剥離生産物は、更なる加工のために移動する。ラフィネートはリサイクリング装置16へ移動する。ラフィネートは、最初に、分離器ラフィネート入口64を通って分離器24へ入る。分離器24の中では、圧力が低減され、ラフィネートは、回収された気体66および回収された錯化剤68へ分離される。回収された気体66は分離器24から出て、凝縮器28の中へ流動する。凝縮器28は、回収された気体66を、回収された溶媒へ転化し、回収された溶媒は溶媒タンク30の中へ流動する。その間に、回収された錯化剤68は分離器24の外へ流動し、酸塩基錯体ミキサ26の中へ入る。酸化剤は酸塩基錯体ミキサ酸化剤入口70を通って、酸塩基錯体ミキサ26に入る。ミキサ72は酸化剤および回収された錯化剤を組み合わせ、回収された酸塩基錯体を形成する。回収された酸塩基錯体は酸塩基ミキサ26から出て、静的ミキサ32によって、溶媒タンク30から出る回収された溶媒と組み合わせられる。静的ミキサ32によって混合された後、回収された溶媒および回収された錯化剤68は、回収された抽出剤を形成する。これは第2のステーション抽出剤入口38で抽出装置12の中へ流動する。
【0053】
図3は、金属含有物質から金属を回収する開示システムの他の態様であるシステム80を示す。図2からの符番は図3で反復され、類似または同一の要素を示す。図3のシステム80と図2のシステム10との主な相違点は、図3のシステム80の剥離装置14が第1および第2の剥離カラム22および82を含むのに対し、図2のシステム10の剥離装置14が1つだけの剥離カラム22を含むことである。システム80において、第1の剥離カラム22からのラフィネートは第2の剥離カラム82の中で新たな剥離剤へ暴露される。
【0054】
図3に関して、ラフィネートが第1の剥離カラム22を離れた後、それは中間ラフィネートと呼ばれる。中間ラフィネートは中間ラフィネート入口84を介して第2の剥離カラム82へ導かれる。中間ラフィネートが最終ラフィネート出口86へ向かって第2の剥離カラム82を上方へ移動するにつれて、剥離剤は第2の剥離剤入口88から第2の剥離生産物出口90へ第2の剥離カラム82を下方へ移動する。中間ラフィネート入口84および第2の剥離生産物出口90は、第2の剥離カラム82の第1の端部92の近くに置かれる。最終ラフィネート出口86および第2の剥離剤入口88は、第2の剥離カラム82の第2の端部94の近くに置かれる。第2の剥離カラム82の第1の端部92および第2の剥離カラム82の第2の端部94は、それぞれ底および頂上の端部である。第2の剥離カラム82から、最終ラフィネートは分離器ラフィネート入口64を介して分離器24へ導かれる。第1の剥離カラム22からの剥離生産物および第2の剥離カラム82からの剥離生産物は、典型的には、別々に加工される。代替的に、剥離生産物は、更なる加工のために組み合わせることができる。
【0055】
図4は、開示されたシステムの更に他の態様を示す。図2および図3からの符番は図4で反復され、類似または同一の要素を示す。システム100は、図3で示されるシステム80と類似するが、リサイクリング装置16に関して異なる。システム100において、リサイクリング装置16は再充填カラム102を含む。再充填カラムは、第2の剥離カラム82から出るラフィネートを受け取るように構成される。再充填カラム102は、第1の端部104および第2の端部106を有する。ラフィネートは、再充填カラム102の第1の端部104の近くに置かれた再充填カラム・ラフィネート入口108で再充填カラム102へ入る。酸化剤は、再充填カラム102の第2の端部106の近くに置かれた再充填カラム酸化剤入口110で再充填カラム102へ入る。ラフィネートが再充填カラム102の中で酸化剤と接触するにつれて、ラフィネート内の錯化剤は酸化剤と結合し、酸塩基錯体を再形成する。溶媒および再形成された酸塩基錯体を含む回収された抽出剤は、再充填カラム102の第2の端部106の近くに置かれた回収された抽出剤出口112で再充填カラム102から出る。過剰の酸化剤は、再充填カラム102の第1の端部104の近くに置かれた過剰酸化剤出口114で再充填カラム102から出る。
【0056】
再充填カラム102から出た後、過剰酸化剤は、剥離カラム22の剥離剤入口56へ導かれる。回収された抽出剤はサージタンク116へ導かれる。必要であれば、補給溶媒および/または錯化剤が、補給溶媒/錯化剤入口118を介してサージタンク116へ加えられてよい。サージタンク116から、回収された抽出剤は抽出装置12の第2のステーション20の中へ流動する。加圧ポンプがサージタンク116の近くに含められ、必要な原動力を提供する。
【0057】
図2〜図4で示される態様は、単なる例である。この開示は、更に、図2〜図4で示される特定の特徴へ限定されない追加の態様を説明する。図2〜図4で示されるように、システムの態様は、抽出の全体を達成するように協働する幾つかの装置を含むことができる。これらの装置の3つが、次の小区分で説明される。
【0058】
抽出装置
これまで説明したように、金属含有物質から金属を回収することにおける第1の工程は、抽出工程であってよい。開示された方法の幾つかの態様において、抽出は、金属含有物質を、液体または超臨界流体溶媒を含む抽出剤へ暴露することによって達成される。溶媒に加えて、抽出剤は、酸化剤および錯化剤を含む酸塩基錯体を含むことができる。開示されたシステムの幾つかの態様は、抽出工程を実行する抽出装置、例えば、抽出装置12を含む。
【0059】
抽出装置は、固体物質、例えば、焼却炉灰から金属、例えば、ウランを抽出するように設計可能である。固体物質は連続プロセスを通って移動するのが困難であり、したがって固体物質を含む大部分の従来の抽出プロセスは、バッチ・プロセスである。バッチ・プロセスは、更に、金属含有物質を抽出剤へ長時間暴露することを容易にする。しかし、バッチ・プロセスは、多くの場合、連続プロセスよりも低い抽出効率によって特徴づけられる。この理由は、上記で説明したように、抽出剤と金属含有物質との間で濃度勾配を維持する点で、バッチ・プロセスは向流プロセスよりも効率的でないからである。
【0060】
半バッチ・プロセスを使用することによって、抽出効率を不当に犠牲にすることなく、バッチ・プロセスの利点の多くを達成することができる。開示された抽出装置の幾つかの態様は、2つ以上の抽出ステーションを含み、抽出ステーションの各々は、単一バッチ抽出装置と類似したやり方で動作する。抽出剤は、直列のこれらのステーションを通って導かれる。一方では、金属含有物質のバッチは、抽出剤が移動される順序とは向流の順序で、ステーション間を移動可能である。向流動作は、開示されたプロセスが、そのプロセス全体を通して金属含有物質と抽出剤との間で濃度勾配を維持させる。
【0061】
開示された抽出装置の態様は、直列ステーションを経由する配管網を含むことができる。直列の1つの端部において、例えば、リサイクリング装置から抽出剤を受け取るため、抽出剤入口を配置することができる。直列の反対の端部において、例えば、剥離装置へ抽出剤を解放するため、抽出剤出口を配置することができる。ステーションの間では、直列の中の1つのステーションから次のステーションへ、使用された抽出剤を導くための管を配置することができる。
【0062】
各々のステーションは、金属含有物質、例えば、固体の金属含有物質を保持する容器を含むことができる。容器は、例えば、隙間のない壁および抽出剤を透過する底を有する円筒であってよい。抽出剤は、これらの容器の頂上で導入され、容器の底から出る前に、金属含有物質中を流動するように強制されてよい。容器の透過部分は、任意の有用な物質、例えば、焼結された金属から作られてよい。焼結された金属は、液体および気体を透過するが固体を透過しない。抽出剤は、容器を通って流動した後、ステーションの抽出物出口を通って解放される前に、容器の外部にあるステーション部分の中へ流動することができる。
【0063】
開示された抽出装置の幾つかの態様におけるステーションは、金属含有物質のバッチがステーション間を運搬されるように構成される。例えば、ステーションの中の容器は、取り外し可能および相互に交換可能である。このようにして、1つのステーションの中の容器は、金属含有物質のそのバッチと一緒にそのステーションから取り外され、直列の次のステーションへ移動可能である。直列の端部における容器内の金属含有物質のバッチは、廃棄または更なる加工のために除去可能である。直列の端部における容器は、原料の金属含有物質を満たされ、直列の第1のステーションへ導入可能である。容器の移動は、例えば、人間または作業ロボットによって掴まれるように設計されたハンドルで促進されてよい。
【0064】
幾つかの開示された態様において、ステーションは、振とうを提供することによって抽出プロセスを促進するように構成される。振とうは任意の適切な手段によって提供されてよい。そのような手段の中には、物理的混合および超音波振動が含まれる。例えば、1つまたは複数のステーションが、磁気撹拌棒または超音波放出装置を装備されてよい。超音波放出装置は、ステーションの内部に含まれた内容へ超音波振動を加えるように動作することができる。
【0065】
開示されたプロセスで使用されるのに適した溶媒は、典型的には、室温および大気圧での気体である。これらの溶媒を液体形態で維持することは、高圧および/または低温度を必要とする。これらの溶媒を超臨界流体形態で維持することは、高圧を必要とし、溶媒の臨界温度に依存して、高められた温度を必要とする。開示された抽出装置の幾つかの態様は、高圧、例えば、約20atm、約50atm、または約200atmより大きい圧力に耐えるように構成されたステーションを含む。例えば、これらのステーションは、高圧に耐えるのに十分な厚さの円形壁を有する。抽出装置は、更に、冷却器および/または加熱器を含み、適切な温度、例えば、溶媒が超臨界流体形態に維持されるのであれば、抽出剤をその臨界温度よりも上に維持することができる。
【0066】
幾つかの開示された態様において、ステーションの中の容器は、ステーションが空になった後に移動されるように設計される。これを可能にするため、各々のステーションの抽出剤入口および出口は完全に閉鎖され、抽出剤から各々のステーションを隔離する。ステーションは、更に、このように隔離されて、延長された時間だけ金属含有物質が抽出剤の体積中に浸漬されることができる。
【0067】
剥離装置
開示された方法の幾つかの態様において、金属含有物質からの金属は、錯化剤を使用する酸化および錯形成反応によって溶媒へ可溶にされる。抽出物の中の金属は、錯化剤および/または酸化剤を含む錯体の中で結合可能である。開示されたシステムの幾つかの態様は、溶媒、錯化剤、酸化剤、および他の金属の1つまたは複数から金属を分離するように構成された剥離装置を含む。剥離装置は、例えば、抽出工程から出る抽出物を剥離剤へ暴露するように構成可能である。
【0068】
剥離装置は、剥離カラム、例えば、向流剥離カラムを含むことができる。抽出物は、抽出物入口でカラムへ導入され、次に金属を枯渇された後、ラフィネート出口でカラムから出ることができる。抽出物入口およびラフィネート出口は、典型的には、カラムの反対の端部にある。類似のやり方で、剥離剤は、剥離剤入口でカラムへ導入され、次に金属を取得した後、剥離生産物出口でカラムから出ることができる。抽出物入口およびラフィネート出口と同じく、剥離剤入口および剥離生産物出口は、典型的には、カラムの反対の端部にある。剥離カラムが向流動作のために構成される態様において、抽出物入口および剥離生産物出口はカラムの第1の端部の近くに配置可能であり、剥離剤入口およびラフィネート出口は第1の端部と反対のカラムの第2の端部の近くに配置可能である。第1および第2の端部が、それぞれ頂上および底の端部であるか、底および頂上の端部であるかは、抽出物および剥離剤の相対的密度に依存する。例えば、剥離剤が抽出物よりも高い密度を有するならば、それは重力によって下へ引っ張られる。したがって、剥離生産物出口を含む第1の端部はカラムの底の端部であってよく、剥離剤入口を含む第2の端部はカラムの頂上の端部であってよい。
【0069】
酸化剤対金属に対して、剥離剤の親和力に差異が存在するならば、向流動作が特に有用である。例えば、向流剥離カラムにおいて、剥離剤が金属よりも酸化剤に対して高い親和力を有するならば、酸化剤は、抽出物がカラムに入る点の近くで抽出物から除去される。抽出物がカラム中を移動するにつれて、それは酸化剤を枯渇されるようになり、剥離剤がカラムへ入る点へ近づくと剥離剤との接触を開始する。したがって、抽出物は、酸化剤が有意に枯渇された後に、最も新たな剥離剤と接触する。酸化剤の漸次の枯渇も、異なる金属、例えば、ウランおよびガドリニウムの別々の除去を促進することができる。
【0070】
幾つかの開示された態様において、剥離装置は2つ以上の剥離カラムを含む。これが特に有用な場合は、剥離剤が金属および酸化剤の双方を容易に詰め込まれない場合である。例えば、幾つかの応用において、剥離剤における1つの溶質の存在は、抽出物から他の溶質を除去する剥離剤の能力に著しく影響する。第1の剥離カラムにおいて、抽出物は、剥離剤の中で高い溶解度を有する成分を枯渇され得る。第1の剥離カラムから出る中間ラフィネートを第2の剥離カラムの中へ導き、そこで新たな剥離剤を導入して、剥離剤の中で低い溶解度を有する成分を分離することができる。次に、双方の剥離カラムからの剥離生産物を組み合わせることができる。
【0071】
抽出物の中の異なる金属、例えば、ウランおよびガドリニウムの分離を容易にするためにも、別々の剥離カラムを使用することができる。最初に剥離剤へ入る金属は、第1のカラムからの第1の剥離生産物の中で除去可能であり、後に剥離剤へ入る金属は、第2の剥離カラムからの第2の剥離生産物の中で除去可能である。第1および第2の剥離生産物が、或る異なる金属を含む場合、それらの金属は、典型的には、組み合わせないで別々に加工される。
【0072】
開示された剥離装置の態様は、典型的には、液-液剥離プロセスのために構成される。これらのプロセスは、2つの混和しない液体間の溶解度の差異に依存し、1つの液体から他の液体へ溶質を推進する。物質移動の速度は、2つの液体間の接触量を増加することによって改善される。これは、例えば、液体を激しく混合するか、1つの液体を液滴としてカラムへ導入することによって行うことができる。液体の小さな液滴の表面区域は、一体化された集塊または流れとしての液体の同じ量の表面区域よりもずっと大きい。液滴形態の液体は、分散相と呼ぶことができる。開示された剥離装置の態様は、典型的には、剥離剤を分散相として導入するように構成される。
【0073】
液体を小さな液滴へ分離する1つの方法は、液体を噴霧器へ通すことである。開示された剥離装置の幾つかの態様において、噴霧器を使用して剥離剤が剥離カラムの中へ噴霧される。剥離カラムは、カラムの長さに沿って分布された1つの噴霧器または複数の噴霧器を有することができる。複数の噴霧器は、新たな剥離剤がカラム中の異なる点で導入される。幾つかの開示された態様において、抽出物がカラム中を上方向へ流動するにつれて、剥離剤は抽出物の中へ噴霧されるので、剥離剤の液滴は抽出物の中に懸濁され、重力によって抽出物の方向とは反対の下方向へ移動する。抽出物は剥離カラムの頂上端部で収集され、剥離カラムの頂上で出る。剥離剤の液滴は、剥離カラムの底にある溜まりへ合体する。剥離カラムの端部にある抽出物および剥離剤の溜まりは、液体が混和しないため比較的均質になる傾向がある。剥離剤の溜まりのサイズは、剥離カラムから出る剥離剤の流量を調節し、カラムの底で2つの相の間に一定の界面を維持することによって制御可能である。
【0074】
混和しない液体の中で浮遊している液体の液滴は、時間と共に重力により相互に引かれる傾向がある。幾つかの開示された態様において、このプロセスは、高表面積の剥離媒体を剥離カラムの中へ組み込むことによって遅延させられる。高表面積の剥離媒体は、小さな液滴を引きつけて、それらの凝集を遅らせるために役立つ。混和しない液体の分離を遅らせるのに適した高表面積の剥離媒体の1つの例は、ファイバ・メッシュである。ファイバ・メッシュは、任意の適切な物質、例えば、金属(例えば、ステンレススチール)またはプラスチックから作ることができる。メッシュは、抽出物および剥離剤の入口の近くで終端することができ、剥離剤が抽出物入口を越えて溜まり、抽出物が剥離剤入口を越えて溜まる。液体の分離を遅らせる他の方法は、カラムの長さに沿った幾つかの点で分散相を再収集し、次に各々の収集点の後で、その分散相を噴霧してカラムの中へ戻すことである。代替的に、剥離カラムの中の液体を鼓動させ、合体した分散相液滴が中間の孔付き板を通るように強制し、分散相の小さな液滴を再形成することができる。
【0075】
抽出物が溶媒を含んで、相の間で十分な密度差を維持し、適切なカラム動作および相分離を考慮することが有利である。剥離工程の前または間に、溶媒が著しく蒸発しないようにすることが重要である。したがって、剥離工程の前および間に、溶媒を液体または超臨界流体形態に維持することが有用である。開示された方法で使用される溶媒の大部分は、高圧および/または低温度を必要として液体形態に留まる。溶媒を超臨界形態に維持するために、典型的には、高圧および高められた温度が必要である。抽出ステーションと同じく、剥離カラムの態様は、高圧、例えば、約20atm、約50atm、または約200atmよりも大きい圧力で溶媒を維持するように構成可能である。剥離カラムは、例えば、補強された円形壁を含むことができる。
【0076】
剥離剤がカラムの中へ噴霧される態様では、剥離剤入口が高圧噴霧器であってよい。剥離剤の源は十分に高い圧力にあって、著しい逆流を生じることなく剥離剤をカラムの中へ噴霧することができる。例えば、逆流は、望ましくは、最小化または実質的に排除されてよい。特に、剥離剤が水であり、剥離カラムが共用の水供給源へ取り付けられる場合にそうである。予防措置として、幾つかの開示された態様は、専用剥離剤供給タンクに貯蔵された剥離剤が供給される。剥離装置の態様は、更に、例えば、隔離および冷却器または加熱器を使用して、抽出物を適切な温度に維持するように構成可能である。
【0077】
リサイクリング装置
液体廃棄物の量を最小にし、物質のコストを節減するため、開示された方法の幾つかの態様は、リサイクリング・工程を組み込んでいる。この工程は、リサイクリング装置によって実行されてよい。リサイクリング装置は、錯化剤、溶媒、またはこれらの双方をリサイクルするように構成可能である。開示されたリサイクリング装置を使用して、開示されたシステムは、補給溶媒または補給錯化剤をほとんど必要としないようにすることが可能である。
【0078】
錯化剤および溶媒は、典型的には、リサイクリング・工程の前に単一の相で存在する。幾つかの開示された態様において、溶媒が錯化剤から分離された後、それらはリサイクルされる。したがって、錯化剤は酸化剤と再充填されて、抽出工程で使用された酸化剤と置き換わることができる。結果は、リサイクルされた酸塩基錯体の形成である。他の態様において、酸塩基錯体は、溶媒から錯化剤を分離することなく再形成される。これらの態様において、溶媒は常に液体または超臨界流体形態に留まることができるが、例えば、プロセスがメンテナンスのために停止されるときは例外である。
【0079】
幾つかの開示された態様において、ラフィネート、例えば、剥離装置から出るラフィネートは、分離器に入る。分離器は、ラフィネートの圧力を減少し、および/または温度を増加することによって、錯化剤から溶媒を分離する。開示されたプロセスで使用される溶媒は、錯化剤が蒸発する圧力および温度よりも高い圧力および/または低い温度で蒸発するように選択可能である。例えば、開示された溶媒の大部分は室温および大気圧での気体であり、開示された錯化剤の大部分は室温および大気圧での液体である。溶媒および錯化剤の開示された組み合わせの大部分について、圧力を減少することは、実質的に完全な分離を達成する簡単で効率的な方法である。
【0080】
リサイクリング装置の開示された態様と一緒に使用される分離器は、例えば、減退弁を使用して、ラフィネートの圧力を低減することができる。減退弁は、拡張タンクへの入口の近くに配置可能である。幾つかの開示された態様において、溶媒は大気へ出されるか、汚染制御装置へ出される。他の開示された態様において、幾つかまたは全ての溶媒がリサイクルされる。
【0081】
分離器の液体出口は、酸塩基錯体ミキサの中へ導くことができる。酸塩基錯体ミキサの中では、回収された錯化剤を、酸化剤源から入る新たな酸化剤と混合することができる。酸塩基錯体ミキサは、典型的には、高圧である必要はない。なぜなら、回収された錯化剤および酸化剤は、典型的には、室温および大気圧での液体だからである。幾つかの開示された態様において、酸塩基錯体ミキサは、機械的混合装置を有するタンクを含む。典型的には、錯化剤および酸化剤は混和することができ、限られた量の混合だけが必要である。
【0082】
溶媒がリサイクルされる態様において、分離器から気体として出る溶媒は、回収された液体または超臨界流体溶媒へ転化可能である。これは、例えば、溶媒の温度を減少し、および/または圧力を増加することによって行われる。溶媒が、錯化剤から分離された後、相対的に高い圧力および/または低い温度に維持されるならば、このプロセスによって使用されるエネルギーは少なくなる。例えば、分離を達成するのに必要なだけラフィネートの圧力を減少し、および/または温度を増加するように、分離器を構成することができる。気体の形態で分離器から出る溶媒が十分に高い圧力であれば、単に凝縮器の中でその温度を減少することによって、溶媒を液体または超臨界流体形態へ転化することができる。
【0083】
回収された錯化剤が酸化剤と結合されて、回収された酸塩基錯体を形成し、溶媒が液体または超臨界流体形態へ逆転化された後、回収された液体または超臨界流体溶媒は、回収された酸塩基錯体と結合され、回収された抽出剤を形成することができる。この結合工程は、典型的には、高圧で起こる。なぜなら、溶媒は液体または超臨界流体形態に維持されねばならないからである。幾つかの開示された態様において、回収された液体または超臨界流体溶媒は、静的ミキサの中で、回収された酸塩基錯体と混合される。静的ミキサは、移動部品をほとんどまたは全く使用しないで、回収された液体または超臨界流体溶媒および回収された酸塩基錯体を混合できる任意の装置であってよい。幾つかの静的ミキサは、液体がミキサを通って流動するにつれて液体を振とうする固定内部構成要素、例えば、ブレードを有するパイプを含む。静的ミキサは、高圧で流体を混合するのに良好に適している。対照的に、非静的ミキサ、例えば、回転する混合ブレードを有するミキサは、高圧では信頼性に欠ける傾向がある。
【0084】
溶媒から錯化剤を分離することなく酸塩基の対を再形成するように構成される開示システムの態様は、再充填カラムを含むことができる。再充填カラムは、ラフィネートを新たな酸化剤と混合して、存在する錯化剤が酸化剤と再結合し、それによって酸塩基の対を再形成されるように構成可能である。溶媒および再形成された酸塩基の対は、回収された抽出剤として再充填カラムから出ることができる。過剰の酸化剤は、上流側の剥離カラムの1つで剥離剤として使用可能である。例えば、過剰の酸化剤は第1の剥離カラムの中へ導入可能である。この第1の剥離カラムは、第2の金属よりも低いpHで酸塩基錯体と解離する金属を分離するように構成される。より高いpHを有する剥離剤は、第1の剥離カラムの下流側にある第2の剥離カラムの中で使用され、第2の金属を分離することができる。
【0085】
溶媒から錯化剤を分離するか分離しないで回収された抽出剤は、形成された後、前述したように抽出装置の中へ直接導くことがてきる。必要であれば、補給溶媒および/または錯化剤も加えてよい。開示されたシステムの幾つかの態様において、リサイクリング装置と抽出装置との間の弁は、抽出装置へ入る回収された抽出剤の流量の正確な制御を考慮している。
【0086】
物質
開示された方法およびシステムは、高度に融通性に富み、多様な異なる物質を使用して多様な機能を果たすことができる。開示された方法およびシステムと一緒に使用できる物質の種類の幾つかを、下記で詳細に説明する。
【0087】
金属および金属含有物質
開示された方法およびシステムは、多様な金属含有物質から多様な金属を回収するために使用可能である。例えば、酸化剤、錯化剤、剥離剤、またはこれらの組み合わせを変更することによって、異なる金属を標的とすることができる。錯化剤の中で、例えば、TBPは、ランタニドおよびアクチニド、例えば、ウラン、ガドリニウム、およびプルトニウムを回収するのに良好に適している。
【0088】
開示された方法およびシステムの態様と共に回収可能な金属の多くは、多数のリガンドへ結合できる金属である。これらの金属の中には、ランタニドおよびアクチニド、例えば、ウラン、ガドリニウム、およびプルトニウムがある。これらの金属は、典型的には、酸塩基錯体、例えば、TBP-HNO3と安定な錯体を形成する。多数のリガンドと結合できない幾つかの金属は、抽出剤へ別個のキレート剤を加えることによって抽出可能である。これらの金属は、酸塩基錯体によって酸化され、次にキレート剤と錯形成し、無極性溶媒、例えば、液体または超臨界二酸化炭素の中で可溶となる。前述した剥離工程および剥離装置は、キレート剤を含む金属含有錯体から金属を分離するように改良可能である。
【0089】
多数のリガンドと結合できない金属の幾つかは、貴金属、白金族金属、および硬貨金属である。貴金属は、一般的に、酸化に耐える金属である。貴金属は、金、銀、パラジウム、白金、ロジウム、ロジウム、イリジウム、およびオスミウムである。白金族金属は、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、およびオスミウムである。硬貨金属は、銅、金、ニッケル、銀、および白金である。
【0090】
開示された方法およびシステムの幾つかの態様は、ウラン、ガドリニウム、およびプルトニウムの1つまたは複数を含む物質から、それらの金属を回収するのに特に良好に適している。これらの金属は、前述したように、剥離工程の間に相互から分離することができるか、一緒に回収して、次に後続の液-液抽出、例えば、TBPに対する金属の相対的親和力に基づく液-液抽出によって、相互から分離することができる。
【0091】
金属が回収される金属含有物質は、多くの形態を取ることができる。大部分の場合、物質は固体であるが、液体であってもよい。ウランを含む固体物質の幾つかの例は、焼却炉灰、使用済核燃料、廃炉にされた核電力プラントからの反応炉部品、および不燃性使用可能廃棄物である。開示された方法およびシステムは、これらの物質の任意のものに適用できるが、幾つかの開示された態様は、焼却炉灰から金属を回収するように特別に構成される。焼却炉灰は高度に透過性であって、ほぼ等しいサイズのバッチへ容易に分割可能である。
【0092】
開示された方法およびシステムは、様々な濃度の物質の回収に使用することができる。幾つかの開示された態様は、相対的に低い濃度で存在する金属、例えば、重量で約30%よりも少なく、重量で約20%よりも少なく、または重量で約10%未満の濃度で存在する金属を回収するのに特に適している。
【0093】
液体または超臨界流体溶媒
開示された方法の態様において、金属の分離は液体または超臨界流体溶媒の中で起こる。超臨界流体溶媒は、液体溶媒よりも大きな透過力を有するので特に有用である。幾つかの開示された態様では、溶媒は室温および大気圧での気体である。これらの溶媒は、圧力を減少し、および/または温度を増加することによって、金属含有錯体から容易に分離できるので部分的に有用である。これらの溶媒は、更に、相対的に不活性になる傾向があり、無毒性であるか、他の溶媒よりも毒性が少ない。
【0094】
適切な溶媒は、非限定的に、二酸化炭素、チッ素、一酸化二チッ素、メタン、エチレン、プロパン、およびプロピレンを含む。二酸化炭素は、その適度の化学定数およびその不活性のために、臨界未満および超臨界流体抽出の双方に好ましい溶媒である。二酸化炭素は31℃の臨界温度および73atmの臨界圧を有する。超臨界二酸化炭素は非爆発性であり、抽出には全く安全である。二酸化炭素も好ましい溶媒である。なぜなら、それは豊富に利用でき、相対的に安価だからである。
【0095】
前述したように、超臨界溶媒は液体溶媒に対して或る利点を有するが、液体溶媒は、開示された方法の多くの態様で依然として適している。室温では、二酸化炭素は5.1atmよりも上で液体になる。圧力に依存して、液体二酸化炭素は、超臨界二酸化炭素の密度と匹敵するか少し大きい密度を有する。したがって、液体二酸化炭素の溶媒和力は超臨界二酸化炭素に匹敵するか少し大きい。液体二酸化炭素は金属含有錯体を溶解することができるが、液体二酸化炭素は超臨界二酸化炭素の「気体に似た」特性を有さない。液体二酸化炭素は高粘性、低拡散性を有し、したがって超臨界二酸化炭素と比較して貧弱な侵入力を有する。液体二酸化炭素の抽出効率は、加えられた圧力に依存する。更に、振とう、例えば、超音波振とうを加えることによって、液体二酸化炭素の抽出効率を改善することができる。
【0096】
開示された方法の態様で使用される液体および超臨界流体溶媒は、個別または組み合わせて使用されてよい。適切な溶媒の例、およびそれらの臨界温度および圧力は、表1で示される。
【0097】
(表1)選択された溶媒の物理特性

【0098】
開示された方法の幾つかの態様では、溶媒へ改質剤を加えて、その特性を変化させることができる。例えば、溶媒へ改質剤を加えて、特定の錯形成金属の溶解度を向上することができる。幾つかの有用な改質剤は、低-中沸点アルコールおよびエステル、例えば、低アルキルのアルコールおよびエステルである。本明細書において使用される場合、「低アルキル」の用語は、10以下の炭素原子を有する化合物を意味し、直鎖および分岐鎖の化合物および全ての立体異性体を含む。典型的な改質剤は、メタノール、エタノール、酢酸エチル、およびこれらの組み合わせからなる群から選択可能である。改質剤、溶媒の特性を変化させるのに十分な量だけ溶媒へ加えられる。これは、例えば、重量で約0.1%〜約20%の量であってよい。開示された方法の態様で使用されることを想定される改質剤は、最も典型的には、開示された動作条件での超臨界流体ではない。むしろ、改質剤は単純に溶媒中で溶解されて、溶媒の溶媒特性を改善する。
【0099】
酸化剤
幾つかの開示された態様では、金属は抽出工程の間に酸化剤で酸化される。例えば、+4酸化状態にある二酸化ウランは、最も普通に知られたキレート剤では安定な錯体を形成しない。したがって、酸化剤を使用し、二酸化ウランを+6酸化状態へ転化することが有用である。+6酸化状態は、多数の錯化剤で安定な錯体を形成する。錯化剤の中には、超臨界二酸化炭素の中で可溶な錯化剤、例えば、TBPが含まれる。
【0100】
適切な酸化剤は、ルイス酸、ブレンステッド・ローリー酸、鉱酸、およびこれらの組み合わせを含む。有用な酸化剤の多くは非有機酸である。具体的な例は、非限定的に、硝酸、硫酸、および過酸化水素を含む。酸化剤も、非酸酸化剤であってよい。幾つかの開示された態様では、酸化剤は、金属を酸化した後、抽出されている金属から容易に分離可能な生産物へ転化される化合物である。例えば、幾つかの開示された態様では、酸化剤は、金属を酸化した後、揮発性および/または可溶生産物へ分解されるように選択される。酸化剤も、金属を酸化した後、室温および大気圧での気体および/または水である化合物へ分解されるように選択可能である。
【0101】
錯化剤
錯化剤が存在しなければ、多くの酸化剤、例えば、硝酸は、無極性溶媒、例えば、超臨界二酸化炭素の中で不溶である。錯化剤は、酸化剤と組み合わせて、無極性溶媒の中で可溶な酸塩基錯体を形成することができる。例えば、超臨界二酸化炭素の中の酸化剤の溶解度は、酸化剤を錯化剤と組み合わせて酸塩基錯体を形成することによって、50℃および100atmで1リットル当たり約0.1モルよりも小から、50℃および100atmで1リットル当たり約0.5モルよりも大へ増加可能である。
【0102】
酸化剤と対にされる適切な錯化剤は、ルイス塩基、ブレンステッド・ローリー塩基、およびこれらの組み合わせを含む。開示された方法で使用されるのに良好に適した錯化剤は、超臨界二酸化炭素中で可溶なルイス塩基、およびこれらの組み合わせを含む。例は、非限定的に、リン酸トリアルキルを含むリン酸アルキル、例えば、TBP、およびトリアルキルホスフィンオキシドを含むアルキルホスフィンオキシド、例えば、TOPOを含む。錯化剤も非塩基性錯化剤であってよいが、酸化剤と一緒に錯体を形成することはできない。
【0103】
酸塩基錯体
前述したように、酸化剤および錯化剤は酸塩基錯体として溶媒の中へ導入可能である。酸化剤、例えば、硝酸は、錯化剤、例えば、TBPと結合して、無極性溶媒、例えば、超臨界二酸化炭素の中で可溶な酸塩基錯体を形成することができる。酸化剤は、典型的には、酸塩基錯体の酸成分であり、錯化剤は、典型的には、酸塩基錯体の塩基成分である。
【0104】
TBP-HNO3は、例えば、TBPを濃縮硝酸溶液と混合することによって準備することができる。硝酸はTBP相の中で溶解して、一般的化学式TBP(HNO3x(H2O)yのルイス酸塩基錯体を形成する。これは残りの水相から分離することができる。xおよびy値は、準備中に使用されるTBPおよび硝酸の相対的量に依存する。異なるxおよびy値のTBP-HNO3錯体は、従来の滴定法および陽子NMR分光学によって特性づけられている。より高いx値は、増大した酸化強度に対応する。幾つかの開示された態様では、xは約0.7よりも大きいか等しく、yは約0.7未満か等しい。
【0105】
キレート剤
或る金属を抽出するためには、キレート剤を抽出剤へ組み込むことが有用である。キレート剤は、金属が酸化された後、溶媒中で金属を可溶化するために選択されてよい。酸塩基錯体とは異なるキレート剤の使用は、酸塩基錯体で安定な錯体を形成しない金属の回収に有用である。キレート剤の選択で考慮される有利な因子は、非限定的に、形成される金属含有錯体の高い安定度定数、迅速な錯形成反応速度、キレート剤および形成される金属含有錯体の双方に対する溶媒中の良好な溶解度、および金属または金属イオンの群の選択的抽出させるのに十分な特異性を含む。
【0106】
非限定的に、開示された方法の態様を実施するためのキレート剤は、β-ジケトン、ホスフィンオキシド(例えば、トリアルキルホスフィンオキシド、トリアリールホスフィンオキシド、およびアルキルアリールホスフィンオキシド)、ホスフィン酸、カルボン酸、リン酸塩(例えば、リン酸トリアルキル、リン酸トリアリール、およびリン酸アルキルアリール)、クラウンエーテル、ジチオカルバミン酸塩、ホスフィンスルフィド、ホスホロチオ酸、チオホスフィン酸、これらのキレート剤のハロゲン化類似体、およびこれらのキレート剤の混合物を含む。有用なキレート剤の幾つかは、低アルキル官能基を有する。約8つの炭素の連鎖長を有するアルキル置換キレート剤、特に分岐鎖アルキル基は、超臨界二酸化炭素の中の高い溶解度によって特徴づけられる。
【0107】
無極性溶媒の中で金属を可溶化するのに有用なキレート剤の例の部分的リストが、表2で提供される。
【0108】
(表2)キレート剤

【0109】
剥離剤
剥離剤は、錯化剤を含む相よりも金属への高い親和力を有する任意の液体であってよい。金属イオンは、典型的には、有機相よりも水相で高い溶解度を有する。したがって、幾つかの開示された態様において、剥離剤は水性である。水は、錯化剤、例えば、TBPを含む相から金属、例えば、ウランを除去する効果的な剥離剤である。液体形態の他の極性分子、例えば、アルコールも適切な剥離剤である。
【0110】
剥離剤を選択する場合、剥離剤の中の金属を最終生産物へ転化するために必要な加工を考慮することが有用である。ウランの回収において、例えば、剥離剤として水を使用すると、ウラニル溶液、例えば、硝酸ウラニル溶液が形成される。次に、この溶液はUO2へ直接転化可能である。
【0111】
動作条件
抽出工程の動作条件は、典型的には、溶媒の特性、例えば、溶媒の臨界温度および臨界圧に依存する。抽出は、例えば、溶媒の三重点よりも大きいか、溶媒の臨界点よりも大きい温度および圧力で実行可能である。適切な温度および圧力は、溶媒が液体として維持されるか、超臨界流体として維持されるかに依存する。溶媒が二酸化炭素であり、溶媒が液体として維持される抽出では、温度および圧力は、例えば、図1で示される二酸化炭素状態図の液体領域における温度および圧力の任意の組み合わせであってよい。溶媒が超臨界流体として維持されるならば、温度および圧力は、例えば、図1で示される二酸化炭素状態図の臨界点における温度および圧力よりも大きい任意の温度および圧力であってよい。
【0112】
抽出工程と同じように、剥離工程の動作条件は、典型的には、溶媒の特性に依存する。抽出工程について開示された温度および圧力の組み合わせが、剥離工程へ適用されてよい。幾つかの開示された態様において、剥離工程は、超臨界流体の改善された侵入力から有意に恩典を受けず、したがって溶媒は液体形態に維持される。
【0113】
動作条件は、開示された方法の或る反応速度、例えば、金属が酸化される速度、金属が錯形成される速度、および金属が金属含有錯体から剥離される速度に影響する。一般的に、圧力が高くなると、それだけ溶媒の密度は大きくなり、これは溶媒中で起こっている反応の速度を増加する傾向がある。温度が高くなっても、これらの反応の速度を増加する傾向がある。したがって、反応速度を増加するため、開示された方法の幾つかの態様は、溶媒を所望の相に維持するために必要な温度および圧力よりも高い温度および圧力で実行される。温度および圧力は相互に関係し、したがって増加された温度の使用は、例えば、増加された圧力の使用を必要とし、溶媒を所望の相および所望の密度に維持する。
【0114】
実施例
下記の実施例は、開示の或る特定の態様を示すために提供される。説明された特定の特徴へ限定されない追加の態様は、下記の実施例と首尾一貫している。
【0115】
実施例1
この実施例は幾つかの実験室での試行を説明する。これらの実験室での試行は、剥離工程における金属の物質移動に対するプロセス条件の影響を研究するために実行された。これらの試行において、金属はウランであり、錯化剤はTBPであり、酸化剤は硝酸であり、剥離剤は水であった。表3〜表7は、剥離前のウランおよび硝酸の濃度、および剥離後の有機および水相におけるウランおよび硝酸の濃度を示す。各々の表は、所与の温度、圧力、および水へのTBPの比で実行された1つまたは複数の試行の結果を示す。これらの変数の各々について2つの値がテストされ、各々の表は値の異なる組み合わせで実行された試行のデータを示す。表の間のデータの比較は、物質移動に対する各々の変数の影響を示す。各々の表の中で、個々の試行はウランおよび硝酸の異なる出発濃度を表す。
【0116】
(表3)50℃、200バール、およびTBP:水=1:1.9での剥離データ

【0117】
(表4)24℃、200バール、およびTBP:水=1:1.9での剥離データ

【0118】
(表5)50℃、200バール、およびTBP:水=1:1での剥離データ

【0119】
(表6)24℃、200バール、およびTBP:水=1:1での剥離データ

【0120】
(表7)24℃、80バール、およびTBP:水=1:1.9での剥離データ

【0121】
表3〜表7のデータは、ウランの初期濃度が高いとき(例えば、約100g/L、約150g/L、または約200g/Lよりも大きいとき)、および硝酸の初期濃度が低いとき(例えば、約5mol/L、約3mol/L、または約1mol/L未満のとき)、剥離されるウランのパーセンテージが大きくなることを示す。しかし、剥離工程に先行する抽出工程の効率は、典型的には、抽出剤の硝酸濃度を高くすることによって改善される。したがって、抽出工程での硝酸の正の効果と、剥離工程での硝酸の負の効果を、釣り合わせることが必要である。
【0122】
実施例2
この実施例は、開示されたシステムの1つの態様を説明する。図5〜図8は、この態様を詳細に示す。図5は、システムの単純化された略図である。図6Aおよび図6Bは、それぞれ、配管を詳細に示すシステムの平面図および略図である。図7Aおよび図7Bは、それぞれ、寸法を詳細を示すシステムの平面図および略図である。図8は、システムの配管および装備図である。図6〜図8の或る一定の要素について、下記の略語が標識として使用される。即ち、レベル制御弁(LCV)、圧力制御弁(PCV)、ポンプ(P)、安全弁(SV)、およびタンク(TK)。システムの残りの要素の標識は、表8で示されるように符号化される。
【0123】
(表8)図6〜図8の標識

【0124】
式TBP・(HNO31.8・(H2O)0.6のTBP-HNO3水溶液は、リサイクルされたTBPおよび新たな70%(15.6M)硝酸を使用してTK-2で作られる。HNO3からの過剰水は補給タンクからすくい取られ、リサイクルされるか廃棄物として送られる。代替として、TBP溶液は、ガラス器のフードの中で作られ、TK-2の中へ注がれる。TBP-HNO3水溶液は、TK-2からポンプで出され、静的ミキサの中でCO2と混合され、抽出剤を形成する。この抽出剤は溶解器へ送られる。抽出剤の流量は流量計FI-201によって監視される。溶解器へのCO2の流量は流量計FI-101によって測定される。TBP-HNO3の流量は、TK-2の中のレベル降下の速度を測定することによって決定可能である。
【0125】
焼却炉灰は内部容器へ置かれ、溶解器の槽TK-4Aおよび4Bの中へ詰め込まれる。内部容器は、焼結された金属のフィルタ底を有して灰を収容する。TBP-HNO3-CO2の抽出剤は、静止した灰の中を上から下へ送られる。サイクルの終わりに、抽出剤の流動はしばらく遮断され、溶解器が純粋なCO2で洗われる。各々のサイクルの後、TK-4Bは灰の新たなバッチを受け取り、TK-4Aは、TK-4Bで1つの抽出を実行された灰のバッチを受け取る。
【0126】
抽出剤が溶解器を介してCO2分離器タンクTK-8へ送られるとき、溶解器の中の圧力が監視され、圧力伝送器PT-401および弁PCV-401によって200バールに制御される。溶解器は約60℃の温度で動作する。温度は、外部加熱器によって溶解器の中で制御される。
【0127】
CO2は、抽出剤およびウランの混合物から除去され、CO2-TBP分離器タンクTK-8の中に収集される。各々のサイクルの終わりに、溶液はTK-8からTBP-UNHタンクTK-3へ重力により排出される。剥離カラムを稼働する前に、ほぼ5つの溶解器バッチがTK-3の中で収集される。代替として、剥離カラムのテストのため、TBP-HNO3ウラン溶液はTK-3の中で作ることができる。
【0128】
ウランおよび硝酸は、2相向流流動カラムV-6の中で水により抽出剤から除去される。水は、カラムの頂上の近くでカラムの中へ送り込まれ、TBP-HNO3ウラン混合物は、カラムの底へ入る前にTK-3からポンプで送られて静的ミキサでCO2と混合される。TBP-HNO3ウラン混合物の流量は、流量計FI-301によって監視される。CO2の流量は流量計FT-102によって監視される。カラムの圧力は、圧力伝送器PT-602および弁PCV-601によって200バールに維持される。
【0129】
脱イオン水は、TK-7からカラムの頂上へポンプで送られ、ノズルを介して注入され、水を液滴として連続TBP-CO2相の中へ分散する。水の液滴はウランおよび硝酸を抽出および合体し、硝酸ウラニル溶液としてカラムの底で除去される。2つの相の間の界面は、レベル制御スイッチLS-601および吐き出し弁LCV-601によってカラムの底の近くで維持される。水の流量は流量計FI-701によって監視される。水の流量は、更に、TK-7の中のレベル減少速度を測定することによって決定可能である。カラムの温度は、外部加熱器によって制御される。動作温度は50℃であると予想される。硝酸ウラニルは、UNHタンクTK-5の中に収集される。
【0130】
カラムの頂上から出るCO2-TBP混合物は、CO2-TBP分離器TK-8へ送られる。TK-8は、剥離カラム・バッチの全体量を収集するサイズである。回収されたTBPは、灰溶解器タンクTK-1へリサイクルされ、そこで追加のHNO3を加えられて、抽出で使用されたHNO3と置き換わる。
【0131】
安全のために、灰溶解器TK-4AおよびTK-4Bおよび剥離カラムV-6に大気放出板が設けられる。室内CO2モニタが、可聴警報およびフラッシュライトへ取り付けられる。
【0132】
図5〜図8で示されたシステムは、その予想された性能を研究するためにモデル化された。このモデリングを目的として、TPB-CO2からのU、HNO3、およびH2Oの完全な剥離、およびCO2からのTBPの完全な分離が想定された。モデリングのベースは、表9で示される。
【0133】
(表9)モデリングのベース

モデリングの結果を図5に示す流れの番号によってまとめた表10〜表13に示す。
【0134】
(表10)モデリング・データ(流れ1〜4)

【0135】
(表11)モデリング・データ(流れ5〜8)

【0136】
(表12)モデリング・データ(流れ9〜12)

【0137】
(表13)モデリング・データ(流れ13〜16)

【0138】
実施例3
この実施例は、開示されたプロセスの1つの態様によるウラン回収と、PUREX法によるウラン回収との比較を提供する。表14は、水相における硝酸の初期濃度、水相におけるウランの最終濃度、および開示されたプロセスの1つの態様をモデル化する4つの試行で達成された分布比を示す。分布比は、有機相内のウランの重量濃度を、水相内のウランの重量濃度で割ったものに等しい。表14で示された試行の場合、ウランは200バールおよび50℃の超臨界二酸化炭素の中で抽出された。剥離工程での水に対するTBPの比は1.0であった。
【0139】
(表14)超臨界CO2におけるTBPを使用したウラン回収

【0140】
表15は、水相における硝酸の初期濃度、水相におけるウランの最終濃度、およびPUREX法をモデル化する4つの試行で達成された分布比を示す。このデータは、1968年のエネルギー局の報告書から収集された。
【0141】
(表15)ドデカン中の30%TBPを使用するウラン回収

【0142】
表14のデータと表15のデータとを比較することによって、開示されたプロセスのテストされた態様は、一般的に、性能の点でPUREX法と類似していることが明らかである。この類似性は、他の金属からウランを分離するためPUREXで使用された硝酸濃度が、開示されたプロセスでも同じ目的のために働くことを暗示する。PUREX法において、水相における2から3モルの自由なHNO3濃度の場合、ウランの大部分は有機相へ入るが、ほとんど全てのガドリニウムは水相の中に残る。したがって、開示されたプロセスの剥離工程において、水相での硝酸濃度が2〜3モルであるとき、ガドリニウムは水相へ入り、ウランを有機相の中に残すことが結論される。
【0143】
実施例4
この実施例は、超臨界二酸化炭素相からのガドリニウム剥離をテストするために実行された実験室の試行を説明する。この実験に使用された機器は、図9に示される。機器120は、二酸化炭素供給源122、ポンプ124、第1の小室126、第2の小室128、第3の小室130、および収集瓶132を含む。これらの要素の間の流動は、第1の弁134、第2の弁136、第3の弁138、第4の弁140、および第5の弁142によって制御される。
【0144】
約1.5mLのTBP(HNO31.8(H2O)0.6が第1の小室126の中に置かれ、Gd2O3(100mg)の固体試料が第2の小室128の中に置かれた。40℃および150atmでの超臨界二酸化炭素が第1の小室126の中へ通され、次に第2の小室128へ通されて、Gd2O3を溶解した。溶解されたガドリニウムを含む結果の超臨界流体溶液は、次に第3の小室130の中へ送り込まれた。第3の小室130は、20mLの2.2M硝酸溶液を含んでいた。超臨界流体相および水硝酸相は、第4の弁140および第5の弁142を閉じられて60分間磁気棒で撹拌された。この後で、第5の弁142が開かれ、20mLの水と一緒に周囲の圧力で超臨界流体相を収集瓶132の中へ解放した。残りの硝酸溶液は、試行の後、第3の小室130から除去された。
【0145】
硝酸溶液および収集瓶の水の中のガドリニウムの濃度が、ICP-MSによって測定された。硝酸溶液中のガドリニウムと、収集瓶の水の中のガドリニウムとの比は、硝酸相と、40℃および150atmでの臨界二酸化炭素相との間のGdの分布比であると仮定された。硝酸相の中のガドリニウムの濃度と、超臨界二酸化炭素相の中のガドリニウムの濃度の実験比は、約50であった。この結果は、更に、開示された向流カラム剥離方法を使用して、超臨界二酸化炭素溶液の中でウランからガドリニウムを分離できることを確立する。
【0146】
他の態様
本発明の原理を例示的な態様で図示および説明したので、そのような原理から逸脱することなく、例示した態様の配列および詳細を改良できることが、当業者に明らかである。本発明の原理を適用できる多くの可能な態様を勘案すると、例示した態様は、これらの原理の教示であることを意図され、本発明の範囲に対する限定であることを意図されないことを理解すべきである。したがって、本発明者らは、下記の特許請求の範囲の限界および趣旨およびそれらの同等物の中に入る全てを本発明者らの発明として主張する。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】二酸化炭素の状態図である。
【図2】剥離装置が1つの剥離カラムを含む開示システムの1つの態様の略図である。
【図3】剥離装置が2つの剥離カラムを含む開示システムの1つの態様の略図である。
【図4】リサイクリング装置が再充填カラムを含む開示システムの1つの態様の略図である。
【図5】実施例1で説明されるように、プロセス・パラメータを最適にするためにモデル化された開示システムの1つの態様の簡単な略図である。
【図6A】配管を含む図5に示された態様の平面図である。
【図6B】配管を含む図5に示された態様の略図である。
【図7A】寸法を含む図5に示された態様の平面図である。
【図7B】寸法を含む図5に示された態様の略図である。
【図8】図5で示された態様の配管および装備図である。
【図9】超臨界二酸化炭素相からガドリニウムを剥離する実験機器の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体または超臨界流体溶媒ならびに酸化剤および錯化剤を含む酸塩基錯体を含む抽出剤へ金属含有物質を暴露して、液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分ならびに錯化剤の少なくとも一部分および金属含有物質からの金属の少なくとも一部分を含む金属含有錯体を含む抽出物を形成する工程;および
剥離プロセスで抽出物の少なくとも一部分を剥離剤へ暴露して剥離生産物およびラフィネートを形成し、剥離生産物が金属の少なくとも一部分および剥離剤の少なくとも一部分を含み、ラフィネートが液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分および錯化剤の少なくとも一部分を含む工程
を含む方法。
【請求項2】
実質的に連続したプロセスである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
金属がウランである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
金属がプルトニウムである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
金属含有物質の金属の濃度が重量で約30%未満である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
金属含有物質を抽出剤へ暴露する工程が、超臨界流体溶媒を含む抽出剤へ金属含有物質を暴露する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
金属含有物質が焼却炉灰である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
液体または超臨界流体溶媒が室温および大気圧での気体である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
液体または超臨界流体溶媒が二酸化炭素である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
剥離剤が水である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
酸化剤が硝酸である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
錯化剤がリン酸トリブチルである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
剥離プロセスが向流剥離プロセスである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
抽出物を剥離剤へ暴露する工程が、剥離剤の少なくとも一部分を抽出物の中へ噴霧する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
金属含有物質を抽出剤へ暴露する工程が、多段式半バッチ・プロセスで金属含有物質を抽出剤へ暴露する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
抽出物を剥離剤へ暴露する工程が、
抽出物の少なくとも一部分を向流剥離カラムの第1の端部の中へ導入する工程;
剥離剤の少なくとも一部分を向流剥離カラムの第2の端部の中へ導入する工程;
剥離カラムの第1の端部の近くで剥離剤の少なくとも一部分を剥離生産物として収集する工程;および
剥離カラムの第2の端部の近くで抽出物の少なくとも一部分をラフィネートとして収集する工程
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
剥離剤の少なくとも一部分を導入する工程が、剥離剤の少なくとも一部分を液滴として導入する工程を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
剥離剤の少なくとも一部分を導入する工程が、剥離剤の少なくとも一部分を剥離カラムの第2の端部の中へ噴霧する工程を含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
金属含有物質が金属および異質物質を含み、金属含有物質を抽出剤へ暴露する工程が、向流抽出プロセスで金属含有物質を抽出剤へ暴露して抽出物および異質物質の少なくとも一部分を含む残留物を形成する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
金属含有物質を抽出剤へ暴露する工程が、金属含有物質のバッチを、2つ以上のステーションの間の第1の順序で移動し、抽出剤の少なくとも一部分を、2つ以上のステーションの間の第1の順序とは反対の第2の順序で移動し、金属含有物質の中の金属の濃度が減少するにつれて、金属含有物質が金属の低くなった濃度で抽出剤と接触する工程を含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
剥離プロセスが向流剥離プロセスである、請求項19記載の方法。
【請求項22】
更に、ラフィネートの少なくとも一部分の圧力を減少し、および/または温度を増加することによって、錯化剤の少なくとも一部分から液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分を分離する工程を含み、分離の後に、ラフィネートからの液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分が、回収された気体となり、ラフィネートからの錯化剤の少なくとも一部分が、回収された錯化剤となる、請求項1記載の方法。
【請求項23】
更に、回収された錯化剤の少なくとも一部分を酸化剤の少なくとも一部分と混合して回収された酸塩基錯体を形成する工程を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
更に、静的ミキサを使用して、回収された酸塩基錯体の少なくとも一部分を液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分と混合し、回収された抽出剤を形成する工程を含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
金属含有物質を抽出剤へ暴露する工程が、回収された抽出剤の少なくとも一部分へ金属含有物質を暴露する工程を含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
更に、回収された気体の少なくとも一部分を濃縮して回収された液体または超臨界流体溶媒を形成する工程を含む、請求項22記載の方法。
【請求項27】
更に、回収された錯化剤の少なくとも一部分を酸化剤の少なくとも一部分と混合して回収された酸塩基錯体を形成し、静的ミキサを使用して、回収された酸塩基錯体の少なくとも一部分を、回収された液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分と混合して回収された抽出剤を形成する工程を含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
金属含有物質を抽出剤へ暴露する工程が、回収された抽出剤の少なくとも一部分へ金属含有物質を暴露する工程を含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
実質的に連続したプロセスとして、溶媒が液体または超臨界流体形態で実質的に連続して維持される、請求項1記載の方法。
【請求項30】
更に、ラフィネートを酸化剤で再充填して回収された抽出剤を形成する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項31】
更に、補給の液体もしくは超臨界流体溶媒、補給の錯化剤、またはこれらの双方を、回収された抽出剤の中へ導入する工程を含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
金属含有物質を抽出剤へ暴露する工程が、回収された抽出剤の少なくとも一部分へ金属含有物質を暴露する工程を含む、請求項30記載の方法。
【請求項33】
ラフィネートを再充填する工程が、
ラフィネートの少なくとも一部分を向流再充填カラムの第1の端部の中へ導入する工程;
酸化剤の少なくとも一部分を向流再充填カラムの第2の端部の中へ導入する工程;
再充填カラムの第1の端部の近くで酸化剤の少なくとも一部分を過剰酸化剤として収集する工程;および
再充填カラムの第2の端部の近くでラフィネートの少なくとも一部分を、回収された抽出剤として収集する工程
を含む、請求項30記載の方法。
【請求項34】
抽出物の少なくとも一部分を剥離剤へ暴露する工程が、抽出物の少なくとも一部分を過剰酸化剤の少なくとも一部分へ暴露する工程を含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
向流抽出プロセスで金属および異質物質を含む金属含有物質を、液体または超臨界流体溶媒ならびに酸化剤および錯化剤を含む酸塩基錯体を含む抽出剤へ暴露して、液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分ならびに金属の少なくとも一部分および錯化剤の少なくとも一部分を含む金属含有錯体を含む抽出物と異質物質の少なくとも一部分を含む残留物とを形成する工程を含む、金属含有物質から金属を抽出する方法。
【請求項36】
実質的に連続したプロセスである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
金属がウランである、請求項35記載の方法。
【請求項38】
金属がプルトニウムである、請求項35記載の方法。
【請求項39】
金属含有物質の中の金属の濃度が重量で約30%未満である、請求項35記載の方法。
【請求項40】
金属含有物質を抽出剤へ暴露する工程が、超臨界流体溶媒を含む抽出剤へ金属含有物質を暴露する工程を含む、請求項35記載の方法。
【請求項41】
金属含有物質が焼却炉灰である、請求項35記載の方法。
【請求項42】
液体または超臨界流体溶媒が室温および大気圧での気体である、請求項35記載の方法。
【請求項43】
液体または超臨界流体溶媒が二酸化炭素である、請求項35記載の方法。
【請求項44】
酸化剤が硝酸である、請求項35記載の方法。
【請求項45】
錯化剤がリン酸トリブチルである、請求項35記載の方法。
【請求項46】
金属含有物質を抽出剤へ暴露する工程が、金属含有物質のバッチを、2つ以上のステーションの間の第1の順序で移動し、抽出剤の少なくとも一部分を、2つ以上のステーションの間の第1の順序とは反対の第2の順序で移動し、金属含有物質の中の金属の濃度が減少するにつれて、金属含有物質が金属の低くなった濃度で抽出剤と接触する工程を含む、請求項35記載の方法。
【請求項47】
2つ以上のステーションにおける金属含有物質がバスケットの中に含まれ、2つ以上のステーションの間で金属含有物質のバッチを移動する工程が、バスケットを移動する工程を含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
剥離プロセスで液体または超臨界流体溶媒ならびに錯化剤および金属を含む金属含有錯体を含む抽出物を剥離剤へ暴露して、金属の少なくとも一部分および剥離剤の少なくとも一部分を含む剥離生産物ならびに液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分および錯化剤の少なくとも一部分を含むラフィネートを形成する工程;ならびに
ラフィネートの少なくとも一部分の圧力を減少し、および/または温度を増加することによって、錯化剤の少なくとも一部分から液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分を分離し、分離の後に、ラフィネートからの溶媒の少なくとも一部分が、回収された気体となり、ラフィネートからの錯化剤の少なくとも一部分が、回収された錯化剤となる工程
を含む、抽出物から金属を剥離する方法。
【請求項49】
溶媒が室温および大気圧での気体である、請求項48記載の方法。
【請求項50】
溶媒が二酸化炭素である、請求項48記載の方法。
【請求項51】
剥離剤が水である、請求項48記載の方法。
【請求項52】
錯化剤がリン酸トリブチルである、請求項48記載の方法。
【請求項53】
剥離プロセスが向流剥離プロセスである、請求項48記載の方法。
【請求項54】
抽出物を剥離剤へ暴露する工程が、剥離剤の少なくとも一部分を抽出物の中へ噴霧する工程を含む、請求項48記載の方法。
【請求項55】
抽出物を剥離剤へ暴露する工程が、
抽出物の少なくとも一部分を向流剥離カラムの第1の端部の中へ導入する工程;
剥離剤の少なくとも一部分を向流剥離カラムの第2の端部の中へ導入する工程;
剥離カラムの第1の端部の近くで剥離剤の少なくとも一部分を剥離生産物として収集する工程;および
剥離カラムの第2の端部の近くで抽出物の少なくとも一部分をラフィネートとして収集する工程
を含む、請求項48記載の方法。
【請求項56】
剥離剤を導入する工程が、剥離剤の少なくとも一部分を液滴として導入する工程を含む、請求項55記載の方法。
【請求項57】
剥離剤を導入する工程が、剥離剤の少なくとも一部分を剥離カラムの第2の端部の中へ噴霧する工程を含む、請求項55記載の方法。
【請求項58】
更に、回収された錯化剤の少なくとも一部分を酸化剤の少なくとも一部分と混合して回収された酸塩基錯体を形成する工程を含む、請求項48記載の方法。
【請求項59】
更に、静的ミキサを使用して、回収された酸塩基錯体の少なくとも一部分を溶媒の少なくとも一部分と混合して回収された抽出剤を形成する工程を含む、請求項58記載の方法。
【請求項60】
金属含有物質を抽出剤へ暴露する工程が、回収された抽出剤の少なくとも一部分へ金属含有物質を暴露する工程を含む、請求項59記載の方法。
【請求項61】
更に、回収された気体の少なくとも一部分を濃縮して回収された液体または超臨界流体溶媒を形成する工程を含む、請求項48記載の方法。
【請求項62】
更に、回収された錯化剤の少なくとも一部分を酸化剤の少なくとも一部分と混合して回収された酸塩基錯体を形成し、静的ミキサを使用して、回収された酸塩基錯体の少なくとも一部分を、回収された液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分と混合して回収された抽出剤を形成する工程を含む、請求項61記載の方法。
【請求項63】
金属含有物質を抽出剤へ暴露する工程が、回収された抽出剤の少なくとも一部分へ金属含有物質を暴露する工程を含む、請求項62記載の方法。
【請求項64】
液体または超臨界流体溶媒ならびに酸化剤および錯化剤を含む酸塩基錯体を含む抽出剤へ金属含有物質を暴露して、液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分、錯化剤の少なくとも一部分および金属含有物質からの第1の金属の少なくとも一部分を含む第1の金属含有錯体、錯化剤の少なくとも一部分および金属含有物質からの第2の金属の少なくとも一部分を含む第2の金属含有錯体を含む抽出物を形成する工程;および
剥離プロセスで抽出物の少なくとも一部分を剥離剤へ暴露して、第1の金属の少なくとも一部分および剥離剤の少なくとも一部分を含む第1の剥離生産物、第2の金属の少なくとも一部分および剥離剤の少なくとも一部分を含む第2の剥離生産物、ならびに液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分および錯化剤の少なくとも一部分を含むラフィネートを形成する工程
を含む方法。
【請求項65】
第1の剥離生産物が第2の剥離生産物の前に形成され、第1の金属が第2の金属よりも高い酸化数を有する、請求項64記載の方法。
【請求項66】
第1の金属がガドリニウムであり、第2の金属がウランである、請求項64記載の方法。
【請求項67】
金属含有物質が使用済核燃料である、請求項64記載の方法。
【請求項68】
更に、ラフィネートの少なくとも一部分の圧力を減少し、および/または温度を増加することによって、錯化剤の少なくとも一部分から液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分を分離する工程を含み、分離の後、ラフィネートからの液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分が、回収された気体となり、ラフィネートからの錯化剤の少なくとも一部分が、回収された錯化剤となる、請求項64記載の方法。
【請求項69】
液体または超臨界流体溶媒、酸化剤および錯化剤を含む酸塩基錯体、ガドリニウムおよび酸塩基錯体を含むガドリニウム含有錯体、ならびにウランおよび酸塩基錯体を含むウラン含有錯体を含む溶液を形成する工程;
溶液を剥離剤へ暴露して溶液の中の酸化剤の濃度を減少させる工程;
ガドリニウム含有錯体の少なくとも一部分および剥離剤の少なくとも一部分を含む第1の剥離生産物を収集する工程;
ウラン含有錯体の少なくとも一部分および剥離剤の少なくとも一部分を含む、第1の剥離生産物の後に収集される第2の剥離生産物を収集する工程
を含む方法。
【請求項70】
溶液を形成する工程が、液体または超臨界流体溶媒および酸塩基錯体を含む抽出剤へ出発物を暴露する工程を含む、請求項69記載の方法。
【請求項71】
出発物が使用済核燃料である、請求項70記載の方法。
【請求項72】
液体または超臨界流体溶媒ならびに酸化剤および錯化剤を含む酸塩基錯体を含む抽出剤へウラン含有物質を暴露して、液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分ならびにウランおよび錯化剤の少なくとも一部分を含むウラン含有錯体を含む抽出物を形成する工程;
2つ以上のステーションの間の第1の順序でウラン含有物質のバッチを移動し、かつ2つ以上のステーションの間の第1の順序とは反対の第2の順序で抽出剤の少なくとも一部分を移動し、ウラン含有物質の中のウランの濃度が減少するにつれて、ウラン含有物質がウランの低くなった濃度で抽出物と接触する工程;
抽出物の少なくとも一部分を向流剥離カラムの第1の端部の中へ導入する工程;
向流剥離カラムの第2の端部の中へ剥離剤を導入する工程;
剥離カラムの第1の端部の近くで剥離剤の少なくとも一部分を剥離生産物として収集する工程;
剥離カラムの第2の端部の近くで抽出物の少なくとも一部分をラフィネートとして収集する工程;
ラフィネートの少なくとも一部分の圧力を減少し、および/または温度を増加することによって、錯化剤の少なくとも一部分から液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分を分離する工程;
ラフィネートの少なくとも一部分から液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分を、回収された気体として回収する工程;
ラフィネートの少なくとも一部分から錯化剤の少なくとも一部分を、回収された錯化剤として回収する工程;ならびに
回収された錯化剤の少なくとも一部分を酸化剤の少なくとも一部分と混合して回収された酸塩基錯体を形成することによって、回収された錯化剤の少なくとも一部分をリサイクルする工程
を含む、ウラン含有物質からウランを抽出する方法。
【請求項73】
液体または超臨界流体溶媒が室温および大気圧での気体である、請求項72記載の方法。
【請求項74】
液体または超臨界流体溶媒が二酸化炭素である、請求項72記載の方法。
【請求項75】
剥離剤が水である、請求項72記載の方法。
【請求項76】
錯化剤がリン酸トリブチルである、請求項72記載の方法。
【請求項77】
剥離剤を導入する工程が、剥離剤を液滴として導入する工程を含む、請求項72記載の方法。
【請求項78】
剥離剤を導入する工程が、剥離剤を剥離カラムの第2の端部の中へ噴霧する工程を含む、請求項72記載の方法。
【請求項79】
更に、静的ミキサを使用して、回収された酸塩基錯体を液体または超臨界流体溶媒と混合して回収された抽出剤を形成する工程を含む、請求項72記載の方法。
【請求項80】
金属含有物質を抽出剤へ暴露する工程が、金属含有物質の少なくとも一部分を、回収された抽出剤の少なくとも一部分へ暴露する工程を含む、請求項79記載の方法。
【請求項81】
更に、回収された気体の少なくとも一部分を濃縮して回収された液体または超臨界流体溶媒を形成する工程を含む、請求項72記載の方法。
【請求項82】
更に、静的ミキサを使用して、回収された酸塩基錯体の少なくとも一部分を、回収された液体または超臨界流体溶媒の少なくとも一部分と混合して回収された抽出剤を形成する工程を含む、請求項81記載の方法。
【請求項83】
ウラン含有物質を抽出剤へ暴露する工程が、ウラン含有物質の少なくとも一部分を回収された抽出剤の少なくとも一部分へ暴露する工程を含む、請求項82記載の方法。
【請求項84】
固体の金属含有物質のバッチを保持し、固体の金属含有物質のバッチを、液体または超臨界流体溶媒を含む抽出剤へ暴露するように構成された容器を含むステーションを含む抽出装置と、
液体または超臨界流体溶媒を含む抽出装置からの抽出物を剥離剤へ暴露して剥離生産物およびラフィネートを形成するように構成された向流剥離装置と
を含むシステム。
【請求項85】
更に、酸塩基錯体を液体または超臨界流体溶媒と混合して抽出剤を形成する静的ミキサを含む、請求項84記載のシステム。
【請求項86】
向流剥離装置が向流剥離カラムを含み、ステーション、向流剥離カラム、またはこれらの双方が、約20気圧よりも大きい内圧に耐えるように構成される、請求項84記載のシステム。
【請求項87】
ステーションが、抽出の間、固体の金属含有物質のバッチを機械的に混合するように構成される、請求項84記載のシステム。
【請求項88】
ステーションが、抽出の間、固体の金属含有物質のバッチへ超音波振動を加える超音波放出装置を含む、請求項84記載のシステム。
【請求項89】
容器が第1の端部および第2の端部を伸張し、第1の端部が抽出剤入口を含み、第2の端部が抽出剤出口を含む、請求項84記載のシステム。
【請求項90】
抽出剤出口がフィルタを含む、請求項89記載のシステム。
【請求項91】
フィルタが焼結金属を含む、請求項90記載のシステム。
【請求項92】
向流剥離装置が、抽出物入口および剥離生産物出口を含む第1の端部、および剥離剤入口およびラフィネート出口を含む第2の端部を有する剥離カラムを含む、請求項84記載のシステム。
【請求項93】
剥離剤入口が噴霧器を含む、請求項92記載のシステム。
【請求項94】
向流剥離装置が、剥離剤と抽出物との間の接触を増加する表面区域向上媒体を含む剥離カラムを含む、請求項84記載のシステム。
【請求項95】
剥離媒体が金属またはプラスチックのメッシュを含む、請求項94記載のシステム。
【請求項96】
更に、ラフィネートの圧力を低減し、および/または温度を増加するように構成された分離器を含むリサイクリング装置を含む、請求項84記載のシステム。
【請求項97】
リサイクリング装置が、更に、ラフィネートから回収された回収錯化剤を酸化剤と混合して回収された酸塩基錯体を形成する酸塩基錯体ミキサを含む、請求項96記載のシステム。
【請求項98】
リサイクリング装置が、更に、ラフィネートから回収された回収気体を凝縮して液体または超臨界流体形態の回収された溶媒を形成する凝縮器を含む、請求項97記載のシステム。
【請求項99】
リサイクリング装置が、更に、回収された酸塩基錯体を、回収された溶媒と混合して回収された抽出剤を形成する静的ミキサを含む、請求項98記載のシステム。
【請求項100】
更に、ラフィネートを酸化剤へ暴露して回収された抽出剤を形成するよう構成される再充填カラムを含むリサイクリング装置を含む、請求項84記載のシステム。
【請求項101】
更に、再充填カラムから出る回収された抽出剤を保持するように構成されるサージタンクを含む、請求項100記載のシステム。
【請求項102】
サージタンクが補給の液体または超臨界流体溶媒を受け取る入口を有する、請求項101記載のシステム。
【請求項103】
向流剥離装置が直列の第1の剥離カラムおよび第2の剥離カラムを含み、第1の剥離カラムが、第2の剥離カラムの抽出物入口へ導かれる抽出物出口を有する、請求項84記載のシステム。
【請求項104】
第1の剥離カラムが主として抽出物から酸化剤を分離するように構成され、第2の剥離カラムが主として抽出物から金属を分離するように構成される、請求項103記載のシステム。
【請求項105】
各々のステーションが、固体の金属含有物質のバッチを保持し、固体の金属含有物質のバッチを液体または超臨界流体溶媒を含む抽出剤へ暴露するように構成された容器を含む2つ以上のステーションを含む抽出装置と、
抽出剤の源から直列の2つ以上のステーションへ抽出剤を分配するように構成された抽出剤分配網と
を含む、金属含有物質から金属を抽出するシステム。
【請求項106】
更に、酸塩基錯体を液体または超臨界流体溶媒と混合して抽出剤を形成する静的ミキサを含む、請求項105記載のシステム。
【請求項107】
2つ以上のステーションの少なくとも1つが、約20気圧よりも大きい内圧に耐えるように構成される、請求項105記載のシステム。
【請求項108】
2つ以上のステーションの少なくとも1つが、抽出の間、固体の金属含有物質のバッチを機械的に混合するように構成される、請求項105記載のシステム。
【請求項109】
2つ以上のステーションの少なくとも1つが、抽出の間、固体の金属含有物質のバッチへ超音波振動を加える超音波放出装置を含む、請求項105記載のシステム。
【請求項110】
容器が、抽出剤入口を含む第1の端部および抽出剤出口を含む第2の端部を伸張する、請求項105記載のシステム。
【請求項111】
抽出剤出口がフィルタを含む、請求項110記載のシステム。
【請求項112】
フィルタが焼結金属を含む、請求項111記載のシステム。
【請求項113】
容器がステーションから分離可能であって、2つ以上のステーション間で金属含有物質のバッチの移動を容易にする、請求項105記載のシステム。
【請求項114】
容器が2つ以上のステーション間で相互に交換可能である、請求項113記載のシステム。
【請求項115】
更に、液体または超臨界流体溶媒を含む抽出装置からの抽出物を剥離剤へ暴露して剥離生産物およびラフィネートを形成するように構成される向流剥離装置を含む、請求項105記載のシステム。
【請求項116】
向流剥離装置が、抽出物入口および剥離生産物出口を含む第1の端部、および剥離剤入口およびラフィネート出口を含む第2の端部を有する剥離カラムを含む、請求項115記載のシステム。
【請求項117】
剥離剤入口が噴霧器を含む、請求項116記載のシステム。
【請求項118】
向流剥離装置が、剥離剤と抽出物との間の接触を増加する表面区域向上媒体を含む剥離カラムを含む、請求項115記載のシステム。
【請求項119】
表面区域向上媒体が金属またはプラスチックのメッシュを含む、請求項118記載のシステム。
【請求項120】
更に、ラフィネートの圧力を低減し、および/または温度を増加するように構成された分離器を含むリサイクリング装置を含む、請求項115記載のシステム。
【請求項121】
リサイクリング装置が、更に、ラフィネートから回収された回収錯化剤を酸化剤と混合して回収された酸塩基錯体を形成する酸塩基錯体ミキサを含む、請求項120記載のシステム。
【請求項122】
リサイクリング装置が、更に、ラフィネートから回収された回収気体を凝縮して液体または超臨界流体形態の回収された溶媒を形成する凝縮器を含む、請求項121記載のシステム。
【請求項123】
リサイクリング装置が、更に、回収された酸塩基錯体を回収された溶媒と混合して回収された抽出剤を形成する静的ミキサを含む、請求項122記載のシステム。
【請求項124】
抽出剤分配網が、回収された抽出剤を分配するように構成される、請求項123記載のシステム。
【請求項125】
向流剥離装置が直列の第1の剥離カラムおよび第2の剥離カラムを含み、第1の剥離カラムが第2の剥離カラムの抽出物入口へ導かれる抽出物出口を有する、請求項115記載のシステム。
【請求項126】
第1の剥離カラムが主として抽出物から酸化剤を分離するように構成され、第2の剥離カラムが主として抽出物から金属を分離するように構成される、請求項125記載のシステム。
【請求項127】
液体または超臨界流体溶媒を含む抽出物を剥離剤へ暴露して剥離生産物およびラフィネートを形成するように構成された向流剥離装置と、
ラフィネートの圧力を低減し、および/または温度を増加するように構成された分離器を含むリサイクリング装置と
を含む抽出物から金属を剥離するシステム。
【請求項128】
向流剥離装置が、抽出物入口および剥離生産物出口を含む第1の端部、および剥離剤入口およびラフィネート出口を含む第2の端部を有する剥離カラムを含む、請求項127記載のシステム。
【請求項129】
剥離剤入口が噴霧器を含む、請求項128記載のシステム。
【請求項130】
向流剥離装置が、剥離剤と抽出物との間の接触を増加させる表面区域向上媒体を含む剥離カラムを含む、請求項127記載のシステム。
【請求項131】
表面区域向上媒体が金属またはプラスチックのメッシュを含む、請求項130記載のシステム。
【請求項132】
リサイクリング装置が、更に、ラフィネートから回収された回収錯化剤を酸化剤と混合して回収された酸塩基錯体を形成する酸塩基錯体ミキサを含む、請求項127記載のシステム。
【請求項133】
リサイクリング装置が、更に、ラフィネートから回収された回収気体を凝縮して液体または超臨界流体形態の回収された溶媒を形成する凝縮器を含む、請求項132記載のシステム。
【請求項134】
リサイクリング装置が、更に、回収された酸塩基錯体を回収された溶媒と混合して回収された抽出剤を形成する静的ミキサを含む、請求項133記載のシステム。
【請求項135】
向流剥離装置が直列の第1の剥離カラムおよび第2の剥離カラムを含み、第1の剥離カラムが、第2の剥離カラムの抽出物入口へ導かれる抽出物出口を有する、請求項127記載のシステム。
【請求項136】
第1の剥離カラムが主として抽出物から酸化剤を分離するように構成され、第2の剥離カラムが主として抽出物から金属を分離するように構成される、請求項135記載のシステム。
【請求項137】
各々のステーションが固体の金属含有物質のバッチを保持し、固体の金属含有物質のバッチを、液体または超臨界流体溶媒を含む抽出剤へ暴露するように構成された容器を含む、2つ以上のステーションを含む抽出装置と、
抽出剤の源から直列の2つ以上のステーションへ抽出剤を分配するように構成された抽出剤分配網と、
酸塩基錯体を液体または超臨界流体溶媒と混合して抽出剤を形成する静的ミキサと、
抽出物入口および剥離生産物出口を含む第1の端部ならびに剥離剤入口およびラフィネート出口を含む第2の端部を有する剥離カラムを含む向流剥離装置であって、液体または超臨界流体溶媒を含む抽出装置からの抽出物を剥離剤へ暴露して剥離生産物およびラフィネートを形成するように構成された向流剥離装置と、
ラフィネートの圧力を低減し、および/または温度を増加するように構成された分離器、およびラフィネートから回収された回収錯化剤を酸化剤と混合して回収された酸塩基錯体を形成する酸塩基錯体ミキサを含むリサイクリング装置と
を含む、金属含有物質から金属を抽出し、抽出物から金属を剥離するシステム。
【請求項138】
剥離剤入口が噴霧器を含む、請求項137記載のシステム。
【請求項139】
2つ以上のステーションの少なくとも1つが、約20気圧よりも大きい内圧に耐えるように構成される、請求項137記載のシステム。
【請求項140】
2つ以上のステーションの少なくとも1つが、抽出の間、固体の金属含有物質のバッチを機械的に混合するように構成される、請求項137記載のシステム。
【請求項141】
2つ以上のステーションの少なくとも1つが、抽出の間、固体の金属含有物質のバッチへ超音波振動を加える超音波放出装置を含む、請求項137記載のシステム。
【請求項142】
剥離カラムが、剥離剤と抽出物との間の接触を増加する表面区域向上媒体を含む、請求項137記載のシステム。
【請求項143】
表面区域向上媒体が金属またはプラスチックのメッシュを含む、請求項142記載のシステム。
【請求項144】
リサイクリング装置が、更に、ラフィネートから回収された回収気体を凝縮して液体または超臨界流体形態の回収された溶媒を形成する凝縮器を含む、請求項137記載のシステム。
【請求項145】
静的ミキサが、回収された酸塩基錯体を回収された溶媒と混合して回収された抽出剤を形成するように構成される、請求項144記載のシステム。
【請求項146】
抽出剤分配網が、回収された抽出剤を分配するように構成される、請求項145記載のシステム。
【請求項147】
容器の少なくとも1つが抽出剤入口を含む第1の端部および抽出剤出口を含む第2の端部を伸張する、請求項137記載のシステム。
【請求項148】
抽出剤出口がフィルタを含む、請求項137記載のシステム。
【請求項149】
フィルタが焼結金属を含む、請求項148記載のシステム。
【請求項150】
容器がステーションから分離可能であって、2つ以上のステーション間で金属含有物質のバッチの移動を容易にする、請求項137記載のシステム。
【請求項151】
容器が2つ以上のステーション間で相互に交換可能である、請求項150記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−533442(P2008−533442A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555101(P2007−555101)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/001351
【国際公開番号】WO2007/084116
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(507240130)アイダホ リサーチ ファウンデーション インコーポレイテッド (2)
【出願人】(507240967)アレヴァ エヌピー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】