説明

金属基材用のPTFEのプライマーコーティング

本発明は、(i)テトラフルオロエチレンの非溶融加工性ポリマーの粒子と(ii)ポリスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリビスマレイミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択された非フッ素化ポリマーとを含む水性コーティング組成物であって、前記粒子がコア−シェル粒子であり、それによって該シェルがテトラフルオロエチレンと部分フッ素化または非フッ素化コモノマーとの共重合体を含む水性コーティング組成物を提供する。水性コーティング組成物は、金属またはガラス基材のような基材上にプライマーコーティングを提供するために使用されてもよい。かかるプライマーコーティングは、コーティングの良好なまたは優れた耐引っ掻き性および耐摩耗性と組み合わせた良好なまたは優れた非付着性コーティングを提供するかもしれない。また、かかるプライマーコーティングは、熱い塩水に耐えることができる良好〜優れたPTFEコーティングを提供するかもしれない。本水性コーティング組成物はまた、多層コーティングの他のコーティング層を提供するために使用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属基材をポリテトラフルオロエチレンで被覆するためのコーティング組成物に関する。本発明はさらに、かかるコーティング組成物での金属基材のコーティング方法におよびそのように被覆された金属基材に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリテトラフルオロエチレンポリマー(PTFE)は、それらの優れた耐熱性、耐化学薬品性、耐腐食性および非付着性について周知である。これらの特性のために、PTFEは、調理、ベークおよびフライ物品を含む調理器具のような、金属基材上のいわゆる非付着性コーティングでの使用をはじめとする広範囲の用途を見いだしてきた。
【0003】
しかしながら、その優れた非付着性のために、金属基材へのPTFEコーティングの良好な接着性を提供するために特別な措置が講じられる必要がある。従って、当該技術は、金属基材上にPTFE非付着性コーティングを提供するための特別なコーティングシステムを開発してきた。かかるコーティングシステムの例は、例えば、(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)、(特許文献6)および(特許文献7)に見いだすことができる。単層も同様に考えられてきたが、金属およびガラスのような基材上の非付着性コーティングは典型的には2つもしくはそれ以上の層よりなる。
【0004】
典型的には、これらのコーティングシステムは、特別に調合されたプライマーおよびトップコートよりなる2つの層を含むが、1つもしくはそれ以上の中間コートを組み込んだシステムもまた公知である。かかるシステムのためのプライマーは典型的には、様々な不透明な顔料およびフィラーと共に、耐熱性有機バインダー樹脂および1つもしくはそれ以上のフルオロポリマー樹脂を含有する。中間コートは、幾らかの量の不透明な顔料、フィラーおよび融合助剤と共にフルオロポリマーを主として含有するが、トップコートはほとんど専らフルオロポリマーよりなる。
【0005】
(特許文献8)は、
(a)コアおよびシェルを有する二重層構造の粒子の形での変性テトラフルオロエチレンポリマーであって、コアがテトラフルオロエチレンホモポリマーまたはテトラフルオロエチレンと式
CF2=CFR
(式中、Rは、塩素、ならびにそれぞれ1〜10個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル、ポリフロオロアルキル、パーフルオロアルキルオキシおよびポリフルオロアルキルオキシよりなる群から選択されたメンバーであり、そして前記アルキルまたはアルキルオキシ基がそれらの鎖に1つもしくはそれ以上の酸素原子を有してもよい)
で表されるフッ素含有α−オレフィンとの共重合体を含み、シェルがテトラフルオロエチレンと、それとコア中より多量の共重合されたフッ素含有α−オレフィンとの共重合体を含む変性テトラフルオロエチレンポリマーと、
(b)テトラフルオロエチレンと、それと一様に共重合されたフッ素含有α−オレフィンとの共重合体と、
(c)ポリイミド、ポリビスマレイミド、ポリアミドイミドおよび芳香族ポリアミドよりなる群から選択された補助接着剤と
を含むプライマーコーティング組成物を開示している。
【0006】
(特許文献2)は、非付着性コーティングシステムで被覆された基材だけでなく、プライマー、トップコート、および場合によりミッドコートを含む多重コート非付着性コーティングシステムを提供している。多重コートシステムのプライマーは、ポリマー鎖にCF2−CH2部分を含むポリマーである、フルオロポリマーを含む。その例として、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(「HFP」)、およびフッ化ビニリデン(VDF)の繰り返しモノマーを含むフルオロポリマー三元重合体のような、フルオロポリマー共重合体が開示されている。
【0007】
【特許文献1】欧州特許第894541号明細書
【特許文献2】国際公開第02/14065号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,160,791号明細書
【特許文献4】米国特許第5,230,961号明細書
【特許文献5】米国特許第5,223,343号明細書
【特許文献6】米国特許第5,168,107号明細書
【特許文献7】米国特許第5,168,013号明細書
【特許文献8】欧州特許第124085号明細書
【特許文献9】国際公開第00/35971号パンフレット
【特許文献10】欧州特許第1059342号明細書
【特許文献11】欧州特許第712882号明細書
【特許文献12】欧州特許第752432号明細書
【特許文献13】欧州特許第816397号明細書
【特許文献14】米国特許第6,025,307号明細書
【特許文献15】米国特許第6,103,843号明細書
【特許文献16】米国特許第6,126,849号明細書
【特許文献17】米国特許第5,229,480号明細書
【特許文献18】米国特許第5,763,552号明細書
【特許文献19】米国特許第5,688,884号明細書
【特許文献20】米国特許第5,700,859号明細書
【特許文献21】米国特許第5,804,650号明細書
【特許文献22】米国特許第5,895,799号明細書
【特許文献23】国際公開第00/22002号パンフレット
【特許文献24】国際公開第00/71590号パンフレット
【特許文献25】米国特許第5,285,002号明細書
【特許文献26】欧州特許第30663号明細書
【特許文献27】米国特許第4,548,986号明細書
【特許文献28】米国特許第4,049,863号明細書
【特許文献29】米国特許第3,981,945号明細書
【特許文献30】米国特許第4,090,933号明細書
【特許文献31】米国特許第4,131,711号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
金属基材を被覆するための多くの公知コーティング組成物にもかかわらず、さらなる好適な組成物および好ましくは、基材、特に金属基材へのPTFEコーティングの接着性をさらに向上させることができる組成物を見いだす必要性は引き続き存在する。一般に、かかるコーティング組成物は便利なおよび費用効果的な方法で容易に製造できることが望ましいであろうし、好ましくはかかる組成物は、被覆基材、具体的には調理器具でのような被覆金属基材を製造するための既存製造方法と互換性があるべきである。望ましくは、コーティング組成物は、コーティングが食品と接触する用途で塗布される傾向がある。また、コーティングは良好な耐熱性、耐腐食性および非付着性を提供するべきであり、かつ、コーティングの良好なまたは優れた耐引っ掻き性および耐摩耗性を得ることができるように基材に十分に接着するべきである。望ましくは、コーティング組成物は、かかるコーティングを有する物品の正常な使用中に起こるかもしれない条件に耐え得る強靱なコーティングを金属基材上に提供することができる。例えば、熱い塩水に対する良好なまたは優れた耐性のコーティングを有することは望ましいであろう。
【0009】
本発明は、(i)テトラフルオロエチレンの非溶融加工性ポリマーの粒子と(ii)ポリスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリビスマレイミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択された非フッ素化ポリマーと、を含む水性コーティング組成物であって、前記粒子がコア−シェル粒子であり、それによって該シェルがテトラフルオロエチレンと部分フッ素化または非フッ素化コモノマーとの共重合体を含む組成物を提供する。
【0010】
本水性コーティング組成物は、金属またはガラス基材のような基材上にプライマーコーティングを提供するために使用されてもよい。かかるプライマーコーティングは、コーティングの良好なまたは優れた耐引っ掻き性および耐摩耗性と組み合わせて良好なまたは優れた非付着性コーティングを提供するかもしれない。また、かかるプライマーコーティングは、熱い塩水に耐えることができる良好〜優れたPTFEコーティングを提供するかもしれない。本水性コーティング組成物はまた、多層コーティングの他のコーティング層を提供するために使用されてもよい。
【0011】
従って、さらなる態様では、本発明は、コーティング組成物を基材上に塗布する工程を含む方法を提供する。本発明は、もっとさらなる態様では前記方法によって被覆された基材を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
プライマーコーティングのための組成物は典型的には、非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粒子の水性分散系である。用語「非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレン」とは、ポリテトラフルオロエチレンの溶融粘度が非常に高いので、通常の溶融加工装置がポリテトラフルオロエチレンを加工するために使用できないことを意味する。これは一般に、溶融粘度が>1010Pa・sであることを意味する。
【0013】
PTFEの粒子はTFEの水性エマルジョン重合を用いて都合よく製造される。重合は場合により、例えばパーフッ素化ビニルエーテルまたは例えばヘキサフルオロプロピレン(HFP)などのパーフッ素化C3〜C8オレフィンのようなパーフッ素化コモノマーの使用を伴ってもよい。用語「パーフッ素化モノマー」は、本発明に関連して用いられるところでは、炭素およびフッ素原子よりなるモノマーを含むだけでなく、例えばクロロトリフルオロエチレンでのようなフッ素原子の幾らかが塩素または臭素で置換されているモノマーをも含む。それにもかかわらず、パーフッ素化モノマーは、本明細書で用いるところでは、分子中に炭素−水素結合を持たない。
【0014】
水性エマルジョン重合はフッ素化界面活性剤の存在下に実施される。有効量のフッ素化界面活性剤が、PTFE粒子を十分に安定化させるためにおよび所望粒度のPTFE粒子を得るために典型的には使用されるべきである。フッ素化界面活性剤の量は一般に、水性エマルジョン重合に使用される水の量に対して0.03〜1重量%、好ましくは0.08〜0.5重量%である。重合後に、フッ素化界面活性剤は、(特許文献9)に開示されているように、分散系から回収され、そしてアニオン交換樹脂を用いて非イオン性界面活性剤で置換されてもよい。
【0015】
公知のまたはフッ素化モノマーの水性エマルジョン重合での使用に好適なフッ素化界面活性剤の任意のものを使用することができる。特に好適なフッ素化界面活性剤は典型的には、テローゲンでない(non−telogenic)、かつ、式
Q−Rf−Z−Ma (I)
(式中、Qは水素、ClまたはFを表し、それによってQは末端位に存在しても存在しなくてもよく、Rfは、4〜15個の炭素原子を有する線状または分岐パーフッ素化アルキレンを表し、ZはCOO-またはSO3-を表し、Maは、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンをはじめとするカチオンを表す)
に相当するものを含むアニオン性フッ素化界面活性剤である。上の式(I)に従った乳化剤の代表的な例は、パーフルオロオクタン酸およびその塩、特にアンモニウム塩のようなパーフルオロアルカン酸およびその塩である。
【0016】
使用されてもよいさらなるフッ素化界面活性剤には、(特許文献10)、(特許文献11)、(特許文献12)、(特許文献13)、(特許文献14)、(特許文献15)および(特許文献16)に開示されているようなパーフルオロポリエーテル界面活性剤が含まれる。使用されてきたもっとさらなる界面活性剤は、(特許文献17)、(特許文献18)、(特許文献19)、(特許文献20)、(特許文献21)、(特許文献22)、(特許文献23)および(特許文献24)に開示されている。
【0017】
TFEの水性エマルジョン重合はフリーラジカル開始剤で開始される。公知のまたはTFEの水性エマルジョン重合を開始するために好適な開始剤の任意のものを使用することができる。好適な開始剤には、無機だけでなく有機開始剤も含まれるが、無機開始剤が一般に好ましい。使用することができる無機開始剤の例には、例えば、過硫酸、過マンガン酸またはマンガン酸のアンモニウム、アルカリまたはアルカリ土類金属塩が挙げられる。過硫酸塩開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)は、そのままで使用することができるし、または還元剤と組み合わせて使用されてもよい。好適な還元剤には、例えば亜硫酸水素アンモニウムまたはメタ亜硫酸水素ナトリウムのような亜硫酸水素塩、例えばチオ硫酸アンモニウム、カリウムまたはナトリウムのようなチオ硫酸塩、ヒドラジン、アゾジカルボキシレートおよびアゾジカルボキシルジアミド(ADA)が含まれる。使用されてもよいさらなる還元剤には、ホルムアルデヒド・スルホキシル酸ナトリウム(ロンガリット(Rongalit)(登録商標))または(特許文献25)に開示されているようなフルオロアルキルスルフィネートが含まれる。還元剤は典型的には過硫酸塩開始剤の半減期を減らす。さらに、例えば銅、鉄または銀塩のような金属塩触媒が添加されてもよい。一般に、マンガン酸または過マンガン酸ベースの開始剤が使用された場合、マンガンイオンは、重合後に、生じた分散系をカチオン交換樹脂と接触させることによって除去されてもよい。
【0018】
重合は典型的には10〜100℃、好ましくは20℃〜90℃の温度で、および4〜30バール、好ましくは10〜25バールの圧力で行われるであろう。水性エマルジョン重合システムはさらに、緩衝剤、錯体形成剤およびガスキャリアのような補助剤を含んでもよい。特定の実施形態では、PTFE粒子を製造するためにシード重合が用いられてもよい。すなわち、重合は、フルオロポリマーの小さい粒子、典型的には、50〜100nmの体積平均径を有する小さいPTFE粒子の存在下に開始される。かかるシード粒子は、別個の水性エマルジョン重合で製造されてもよく、水性エマルジョン重合での水の重量を基準にして20〜50重量%の量で使用されてもよい。シード粒子の使用は、所望されるPTFE粒度のより良好なコントロールを可能にし、重合中に爆発を引き起こし得る凝塊の形成を重合の間ずっと回避する。シード粒子は例えば、少量の部分フッ素化モノマー(例えば、下に開示されるような)またはパーフルオロアルキルビニルモノマーもしくはパーフッ素化ビニルエーテルもしくは下に開示されるような他のパーフッ素化コモノマーのようなパーフッ素化コモノマーの存在下にTFEを重合させることによって製造されてもよい。
【0019】
重合の最終段階で、部分フッ素化コモノマーまたは非フッ素化コモノマーが、TFEと部分フッ素化コモノマーまたは非フッ素化コモノマーとの共重合体を含むシェルを有する粒子を得るように加えられる。最終重合段階での使用のための好適な部分フッ素化コモノマーには、一般式
CR12=CFR3
(式中、R1、R2およびR3のそれぞれは独立してH、Cl、Fまたは例えば1〜3個の炭素原子のパーフルオロアルキル基を表す、ただしR1、R2およびR3の少なくとも1つはHを表す)
に従ったものが含まれる。使用されてもよい部分フッ素化コモノマーの具体的な例には、フッ化ビニリデン、トリフルオロエテン、ペンタフルオロプロペンおよびヘプタフルオロブテンが挙げられる。好適な非フッ素化コモノマーには、エチレンおよびプロピレンのようなアルファ−オレフィンが含まれる。
【0020】
その間に前述のコモノマーの1つもしくはそれ以上が加えられる、最終重合段階は、その間にポリマー固形分の最後の25重量%もしくはそれ未満が生み出される段階と典型的には定義され、従って、シェルはPTFE粒子の総重量の25重量%もしくはそれ未満を構成するであろう。特定の実施形態では、シェルはPTFE粒子重量の20重量%以下または15重量%以下を構成する。最終重合段階で使用される部分フッ素化および/または非フッ素化モノマーの総量は、0.05〜20重量%または典型的には0.1〜10重量%の部分フッ素化および/または非フッ素化コモノマーを有するTFE共重合体を生み出すように典型的には選ばれる。特定の実施形態では、シェルのTFE共重合体中の部分フッ素化および/または非フッ素化モノマーの量は0.5〜5重量%である。
【0021】
特定の実施形態では、パーフッ素化コモノマーは、最終重合段階で部分フッ素化または非フッ素化コモノマーに加えて使用されてもよい。パーフッ素化コモノマーの例には、パーフッ素化ビニルエーテル、例えば式
CF2=CF−O−Rf
(式中、Rfは1つもしくはそれ以上の酸素原子を含有してもよいパーフッ素化脂肪族基を表す)
のものが挙げられる。具体的な例には、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、パーフルオロエチルビニルエーテルおよびパーフルオロn−プロピルビニルエーテル(PPVE−1)、パーフルオロ−2−プロポキシプロピルビニルエーテル(PPVE−2)、パーフルオロ−3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテルおよびパーフルオロ−2−メトキシ−エチルビニルエーテルのようなパーフルオロアルキルビニルエーテルが挙げられる。特定のパーフルオロアルキルビニルエーテルには、ガス状パーフルオロアルキルビニルエーテルまたは重合温度で少なくとも10kPaの蒸気圧を有するものが含まれる。好適なパーフッ素化コモノマーのさらなる例には、パーフッ素化アリルエーテルおよび例えばヘキサフルオロプロピレンのような3〜8個の炭素を有するパーフッ素化オレフィンが挙げられる。
【0022】
完全フッ素化、部分フッ素化または非フッ素化であろうと、PTFE粒子を製造するために使用されるコモノマーの総量は一般に、PTFE粒子の総体的な非溶融加工特性を損なわないように十分に低く保たれるべきである。従って、コモノマーの総量は典型的にはPTFEの総量を基準にして1重量%を超えるべきではない。
【0023】
最終重合段階の間に、さらなる量の開始剤または開始剤成分が重合速度を高めるためにおよび/または形成される共重合体の分子量を下げるために加えられてもよい。さらに、最終重合段階の間に、1つもしくはそれ以上の連鎖移動剤が同様に加えられてもよい。
【0024】
このように、特定の実施形態では、PTFE粒子は、TFEを部分フッ素化またはパーフッ素化コモノマーと共重合させることによって生み出されたPTFE粒子を使用するTFEのシード重合を用いることによって得られてもよい。重合の最終段階で、次に部分フッ素化または非フッ素化コモノマーが加えられる。従って、このように生み出されたPTFE粒子は、TFEの共重合体のコア、TFEのホモポリマーの中間シェル、およびTFEと部分フッ素化または非フッ素化コモノマーとの共重合体のシェルを含むであろう。かかるPTFE粒子を製造するための重合条件に関するさらなる詳細は(特許文献26)に見いだされるかもしれない。典型的には、コアはPTFE粒子の5〜15重量%を占め、PTFEのホモポリマーは90〜70重量%を占めるであろう。
【0025】
PTFE粒子は、20nm〜500nm、典型的には50nm〜350nmの平均粒度(体積平均径)を典型的には有する。本発明に関連した特定の実施形態では、混合物が粒度において二峰性または多峰性分布を有するように相異なる平均粒度を有するPTFE粒子の混合物が使用される。例えば、一実施形態では、100nm以下、例えば20〜90nmまたは50〜80nmの平均粒度を有するPTFE粒子の混合物が、少なくとも180nm、例えば190nm〜400nmまたは200nm〜350nmの平均粒度を有するPTFE粒子と混合される。PTFE粒子の混合物が使用されるとき、混合物を得るために使用されるPTFE粒子分散系の少なくとも1つは、TFE共重合体のシェルを有する本発明によるPTFE粒子からなるべきである。
【0026】
本コーティング組成物中の本発明によるPTFE粒子の量は広く変わってもよく、コーティング組成物が単一コーティングまたは多層コーティングシステムで使用されることになっているかどうかに一般に依存するであろう。多層コーティングシステムで使用されるとき、本発明によるPTFE粒子の量は、コーティング組成物がプライマー層、中間コーティング層またはトップコーティング層用であるかどうかに依存して一般に異なるであろう。一般に、高い量がプライマー層では用いられるべきであり、より低い量が中間および/またはトップコート層で用いられ得る。さらに、多層コーティングシステムでは、コーティング層の少なくとも1つは本発明によるPTFE粒子を含むべきであり、一般に少なくともプライマー層はかかるPTFE粒子を含むであろう。本発明によるPTFE粒子は、中間および/またはトップコート層に使用されても使用されなくてもよいが、かかる層が非フッ素化ポリマーを含むときには、本発明によるPTFE粒子をかかる中間および/またはトップコート層にも使用することが一般に有利であろう。一般に、本発明によるPTFE粒子の量は、適切量および最適量が前に議論されたような因子に依存して、組成物中の非溶融加工性ポリテトラフルオロエチレンの総量の少なくとも10重量%、または少なくとも50重量%を構成するであろう。別の実施形態では、組成物中のPTFE粒子のすべてが本発明による。
【0027】
それらのシェルにTFEと部分フッ素化または非フッ素化モノマーとの共重合体を有する本発明によるPTFE粒子の量は、組成物中の固形分の総重量を基準にして少なくとも10重量%、典型的には15重量%〜65重量%の量で組成物に含まれる。
【0028】
本組成物はさらに、ポリスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリビスマレイミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択された非フッ素化ポリマーを含有する。ポリアミド・イミドおよびポリビスマレイミド・ポリマーの例には、(特許文献27)および(特許文献28)に開示されているものが挙げられる。好適なポリアミドの例には、(特許文献27)に開示されているような芳香族ポリアミドが挙げられる。好適なポリスルホン樹脂には、(特許文献29)、(特許文献30)および(特許文献31)に開示されているポリエーテルスルホンが含まれる。非フッ素化ポリマーは、組成物中の固形分の総重量を基準にして少なくとも10重量%、典型的には10重量%〜50重量%の量で組成物に典型的に含まれる。非フッ素化ポリマーの量は、コーティング組成物がプライマー、中間またはトップコート層用であるかどうかに依存して変わってもよい。一般に、バインダーの量は、プライマー用のコーティング組成物ではより大きいであろうし、中間層またはトップコート層ではより少ない量で使用されても全く使用されなくてもよい。プライマー用のコーティング組成物中の非フッ素化ポリマーは典型的には、PTFE粒子の総量に対して2:1〜4:1の重量比で使用される。
【0029】
本組成物はさらに、溶融加工可能である例えばTFEの共重合体のようなパーフッ素化溶融加工性フルオロポリマーを含有してもよい。かかる共重合体の例には、当該技術でFEPポリマーとして公知であるTFEとHFPとの共重合体、または当該技術でPFAポリマーとして公知である、TFEと上に開示されたもののようなパーフッ素化ビニルエーテルとの共重合体が挙げられる。典型的には、かかる共重合体はエマルジョン重合によって製造されてもよく、プライマーコーティング用の組成物の他の成分とブレンドできる水性分散系をもたらすであろう。一般に、かかる共重合体の平均粒度は20nm〜500nm、典型的には50〜350nmである。特定の実施形態によれば、PTFE粒子と共重合体粒子との混合物は二峰性または多峰性粒度分布を形成する。例えば、一実施形態では、PTFE粒子は少なくとも180nmの平均粒度を有してもよく、共重合体粒子の粒度は100nm以下、典型的には80nm以下である。
【0030】
本コーティング組成物はさらに、有機溶媒、コロイド状シリカ、雲母、フィラー、着色剤、レベリング剤および粘着性付与剤のような成分を含有してもよい。一般に、本コーティング組成物はまた、組成物を安定化させるために1つもしくはそれ以上の界面活性剤を含む。これらの界面活性剤の幾つかは、PTFE粒子および任意のTFE共重合体を製造するために用いられた水性エマルジョン重合に由来してもよい。かかる界面活性剤はフッ素化界面活性剤である。しかしながら、その量を最小限にすることが好ましいであろうし、従って、かかるフッ素化界面活性剤は好ましくは、プライマーコーティング組成物を製造するために用いられるフルオロポリマー分散系から実質的に除去される。典型的には、本組成物中のフッ素化界面活性剤の量は、PTFE粒子と任意のTFE共重合体との組み合わせた量を基準にして100ppm以下または50ppm以下である。しばしば、本組成物は、エトキシル化および/またはプロポキシル化アルコール、特にエトキシル化脂肪族アルコールまたはエトキシル化芳香族アルコールのような1つもしくはそれ以上の非イオン性界面活性剤を含むであろう。本組成物はさらに1つもしくはそれ以上のアニオン性炭化水素界面活性剤を含んでもよい。
【0031】
本コーティング組成物は、組成物を構成する様々な成分を一緒にブレンドすることによって都合よく製造することができる。一般に、PTFE粒子は水性分散系の形にあろうし、TFEの任意の共重合体は一般にまた水性分散系の形にある。これらの分散系は単に一緒にブレンドされてもよいし、非フッ素化ポリマーがそれに加えられてもよい。非フッ素化ポリマーは同様に水性分散系の形にあってもよいし、またはトルエン、キシレンなどのような例えば芳香族溶媒のような有機溶媒に溶解または分散されてもよい。他のさらなる原料は、水性分散系として、または有機溶媒中の溶液もしくは分散系から組成物に加えられてもよい。
【0032】
本発明によるコーティング組成物は、基材上に非付着性コーティングを提供するために使用することができる。本コーティング組成物は、単層コーティングシステムに関連して使用することができるが、一般には多層コーティングシステムに関連して使用される。一実施形態では、本コーティング組成物は、その上にPTFEおよび他のフルオロポリマーの堅固な接着が望まれる様々な基材上にプライマーコーティングを提供するために使用される。多層コーティングシステムのさらなる層は、本発明によるコーティング組成物で提供されても提供されなくてもよい。従って、2層コーティングシステムの一実施形態では、プライマーおよびトップコートは本発明によるコーティング組成物を使用することによって提供される。
【0033】
別の実施形態では、多層コーティングシステムのプライマーコーティングおよび中間コーティングは、本発明によるコーティング組成物を使用して提供され、トップコートは別の組成物、例えば、非フッ素化バインダーを含まない、かつ、シェル中にTFEと部分フッ素化または非フッ素化共重合体との共重合体を必ずしも含まないPTFE粒子を含むものを使用して提供される。
【0034】
一般に、本組成物は、金属基材またはガラス基材上に少なくともプライマーコーティングを提供するために特に有益である。金属基材の例には、アルミニウム、スチールおよびステンレススチールが挙げられる。これらの基材への本組成物の塗布前に、基材は、基材へのプライマーコーティングの接着性をさらに高めるために粗くされてもよい。典型的には、サンドブラスティングまたはエッチングが金属基材を粗くするために用いられる。基材はいわゆる平滑基材であってもよい。平滑基材は典型的には基材の化学洗浄および軽いエッチングによって得られ、典型的には2.5μm未満、好ましくは1.25μm未満の平均粗さ(Ra)を有する。比較すると、未処理の巻いたアルミニウム基材は0.25〜0.5μmの粗さを有し、サンドブラスト仕上げまたはグリットブラスト仕上げアルミニウムは4〜5.25μmの平均粗さを有するかもしれない。本組成物は、例えば組成物の吹き付け塗装、ローラー塗り、カーテンコーティングまたはコイルコーティングをはじめとする、コーティングを基材へ塗布するために公知テクニックの任意のものによって塗布されてもよい。
【0035】
本組成物の塗布後に、プライマーコーティングは一般に、コーティングを例えば50〜100℃、一般に80〜90℃の高温にさらすことによって乾燥される。プライマーコーティングは次に非溶融加工性PTFEの1つもしくはそれ以上の層でさらに被覆されてもよい。PTFEのかかる1つもしくはそれ以上の層は、TFEの溶融加工性共重合体のような溶融加工性フルオロポリマーを含んでも含まなくてもよいし、本発明によるコーティング組成物を使用しても使用しなくてもよい。かかる溶融加工性TFE共重合体が使用される場合、その比は、トップコーティングに向かってPTFEの増加する量の勾配を生み出すように多層コーティングで変えられてもよい。同様に、非フッ素化ポリマー対PTFE粒子の比は、トップコーティングに向かって非フッ素化ポリマーの減少する量の勾配を生み出すように変えられてもよい。
【0036】
プライマーコーティングおよびさらなる1つもしくはそれ以上のコーティングの塗布後に、得られた多層被覆基材はベーキングまたは焼結される。一般に、ベーキングはオーブン中350℃〜450℃、典型的には370℃〜400℃の温度で実施される。ベーキング時間は1から20分まで変わってもよく、オーブンは一定温度を有してもよく、または上昇する温度分布が用いられてもよく、すなわち、温度は、ベーキングサイクルで最初のより低い温度から後のより高い温度まで高められてもよい。一般に、被覆物品のベーキングは、入口から出口まで上昇する温度分布のオーブンを通して被覆物品を搬送することによって実施される。
【0037】
本発明は、本発明をそれに限定する意図なしに、次の実施例に関連してさらに例示される。
【実施例】
【0038】
TFEコア・シェルポリマーの製造
A.シード・ラテックスの調製
400gのパーフルオロオクタン酸アンモニウム(APFO)を含有する100Lの脱イオン水を150Lの重合容器にフィードした。排気および窒素での6バールまでの加圧を交互に行うことによって空気を除去した。次に140gのHFPを容器にフィードした。容器中の温度を35℃に調節した。容器をTFEで15バール(絶対)に加圧した。次に0.5gのNa225、25gの25%アンモニア溶液および20mgのCuSO4×5H2Oを含有する100mLの脱イオン水を容器にポンプ送液した。1.1gのAPSを含有する100mLの脱イオン水を容器に速くポンプ送液することによって重合を開始させた。重合温度および圧力を一定に保った。TFEの吸収速度を、かき混ぜの速度を適切に調節することによって約12gk/hに調節した。11kgのTFEが消費されたときに、TFEフィードを閉め、そしてかき混ぜの速度を下げることによって重合を停止させた。容器をガス抜きし、生じた分散系を排出させた。このように得られた分散系は10%の固体含有率および約100nmの粒度を有した。この分散系は下記では「シード・ラテックス」と呼ばれる。
【0039】
B.TFE共重合体をシェル中に持たない比較PTFEポリマー粒子の合成
上に記載したように調製した20Lのシード・ラテックスを、270gのオクタン酸アンモニウムを含有する80Lの脱イオン水と一緒に150Lの重合容器に装入した。空気を実施例1に記載したように除去した。容器をTFEで15バール絶対に加圧し、温度を42℃に調節した。重合を一定の圧力および温度で行った。0.7gのAPS、20mgのCuSO4×5H2Oおよび120gの25%アンモニア水溶液を含有する200mLの水溶液を容器へ装入した。15mLの10%NaOHを含有する10Lの脱イオン水に溶解した0.50gのアゾジカルボキシルジアミド(ADA)を含有する水溶液を容器に連続的にポンプ送液することによって重合を開始させた。連続的にフィードされるべきADA溶液は0.05gのADA/Lの濃度を有した。最初の10分間のポンプ送液速度は50mL/分であり、次に15〜25mL/分に下げた。フィード速度およびかき混ぜ速度を、約12gk/hのTFEについての吸収速度を達成するように調節した。22kgのTFEが消費されたときに、ADA溶液およびTFEのフィードを遮断することによって重合を停止させた。容器をガス抜きし、分散系を排出させた。そのように得られた分散系は約21重量%の固体含有率および220nmの粒度を有した。固体含有率を基準にして5重量%のトリトン(Triton)(登録商標)X100を加え、APFOをイオン交換によって固形分を基準にして10ppm未満のレベルに下げた。分散系を、58重量%の総固形分を得るために熱的に濃縮させた。分散系にさらに、PTFE固形分の量に対して2000ppmの量でアニオン性界面活性剤(ホスタプル(Hostapur)TMSAS 30)を加えた。
【0040】
C.本発明によるPTFEポリマー粒子1〜3の合成
PTFE粒子1〜3を製造するための重合は一般に、TFEの90重量%が重合にフィードされたときに、ADAのフィードを停止し、50g水中0.8gのNa225の溶液を先ず容器へ装入し、引き続き150mLの水に0.8gのAPS、20mgのCuSO4×5H2Oおよび60gの25%アンモニア水溶液を含有する溶液を容器へ装入したことを除いて、比較PTFEポリマー粒子について上に記載したように実施した。その後、20gのVDF(実施例1)、40gのVDF(実施例2)または10gのVDFおよび28gのHFP(実施例3)を重合容器に加えた。23kgのTFEの総量が消費されたときに、TFEフィードを終えることによって重合を停止させた。容器をガス抜きし、分散系を排出させた。固体含有率を基準にして5重量%のトリトン(登録商標)X100を加え、APFOをイオン交換によって固形分を基準にして10ppm未満のレベルに下げた。分散系を、58重量%の総固形分を得るために熱的に濃縮させた。分散系にさらに、PTFE固形分の量に対して2000ppmの量でアニオン性界面活性剤(ホスタプルTMSAS 30)を加えた。
【0041】
コーティングの調製
平滑なおよびサンドブラスト仕上げアルミニウムプレート(100×100×1mm)を、コーティング前にアセトンで脱脂した。2つのコートシステムを用いた。
【0042】
プライマーコート
プライマーコート用の組成物は、ポリアミド・イミド・バインダー(PAI)を含む、ワイルブルゲル・ラックファブリック・ジェイ・グレーベ有限責任会社(Weilburger Lackfabrik J.Grebe GmbH)から入手した、67.8部のグレブロン(Greblon)TMブラックベース・コンセントレート、17.24部のPTFE分散系および14.96部の無塩水をブレンドすることによって調製した。コーティング組成物中のPAI対PTFEの重量比は1:1であった。プライマーコートを、約15〜20μmの乾燥コーティング厚さを得るように、ビンクス(Binks)TMモデル96スプレーガンを用いる、2バールの圧力での吹き付け塗布によってアルミニウムプレートに塗布した。被覆アルミニウムプレートを90℃で5分間乾燥させ、室温まで放冷した。
【0043】
トップコート
トップコート用の組成物は、13.10部のグレブロンTMアンチスティック・トップコート・コンセントレート(Antistic Topcoat Concentrate)(ワイルブルゲル・ラックファブリック・ジェイ・グレーベ有限責任会社から入手可能な)、72.0部のPTFE分散系および14.9部の無塩水をブレンドすることによって調製した。トップコート用の組成物はPAIを含有しなかった。トップコートを、25〜35μmの乾燥コーティング厚さを得るように、プライマーコートで被覆されたアルミニウムプレートにスプレーガンを用いて、上記のように塗布した。被覆アルミニウムプレートを90℃で5分間、引き続き250℃で10分間乾燥させ、そして最後に被覆プレートを400℃で10分間焼結させた。
【0044】
試験方法
ペンボール(Pen Ball)試験
被覆基材の硬度を、ウィットフォード引っ掻き(Whitford Scratch)試験機を用いてウィットフォード試験方法(Whitford Test Method)137Cに従って試験した。使用した基材は平滑なアルミニウム基材であった。ペンボール試験は、(特許文献2)に記載されているように170℃の植物油で行う。試験値が高ければ高いほど、より良好である。
【0045】
クロスハッチ試験
基材へのコーティングの接着性を、DIN EN ISO 2409に従って、クロスハッチ試験を用いて評価した。1mmのクロスハッチ模様を、ナイフを用いることによって被覆基材に作った。接着テープ(テサ(Tesa)TM4104/50mm)をカットライン上へできるだけしっかりと貼り付けた。接着テープを垂直に引っ張った。テープを10回貼り付け、引っ張った後、カットラインの外観を、DIN EN ISO 2409(0=優れた、5=悪いコーティング)に従って評価した。トップコートおよびプライマーコートへのいかなる損傷も顕微鏡下に測定し、下の表で別々に報告する。
【0046】
水および塩水クッキング試験
被覆基材を沸騰する水または10%塩水中に48時間浸漬した。室温へ冷却した後、サンプルを上に示すようなクロスハッチ試験に従って試験した。
【0047】
実施例1〜3および比較例C−1
TFEポリマー分散系1〜3および比較TFEポリマー分散系を、上記のコーティング方法で示すように平滑なおよびサンドブラスト仕上げアルミニウムプレート上へ被覆した。乾燥および焼結後に、被覆プレートを、上記のような試験方法を用いてそれらの硬度ならびに沸騰する水および塩水に対する耐性について試験した。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表1の結果は、高い硬度を有するコーティングが得られたことを示唆する。コーティングは沸騰水および沸騰塩水に対して高い耐性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)テトラフルオロエチレンの非溶融加工性ポリマーの粒子と(ii)ポリスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリビスマレイミドおよびそれらの混合物よりなる群から選択された非フッ素化ポリマーと、を含む水性コーティング組成物であって、該粒子がコア−シェル粒子であり、それによって該シェルがテトラフルオロエチレンと部分フッ素化または非フッ素化コモノマーとの共重合体を含む水性コーティング組成物。
【請求項2】
前記部分フッ素化コモノマーがフッ化ビニリデンを含む請求項1に記載の水性コーティング組成物。
【請求項3】
前記非フッ素化コモノマーがエチレンまたはプロピレンを含む請求項1に記載の水性コーティング組成物。
【請求項4】
前記シェルがテトラフルオロエチレン、部分フッ素化または非フッ素化コモノマーおよびパーフッ素化コモノマーの共重合体を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性コーティング組成物。
【請求項5】
前記パーフッ素化コモノマーがパーフッ素化アルキルビニルモノマーおよびパーフッ素化ビニルエーテルから選択される請求項4に記載の水性コーティング組成物。
【請求項6】
非イオン性界面活性剤をさらに含み、そしてフッ素化界面活性剤の量がポリテトラフルオロエチレン固形分とパーフッ素化溶融加工性ポリマーの任意の固形分との総量を基準にして100ppm以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性コーティング組成物。
【請求項7】
パーフッ素化溶融加工性ポリマーをさらに含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性コーティング組成物。
【請求項8】
前記パーフッ素化溶融加工性ポリマーがテトラフルオロエチレンとパーフッ素化コモノマーとの共重合体である請求項7に記載の水性コーティング組成物。
【請求項9】
前記コア−シェル粒子のコアがテトラフルオロエチレンのホモポリマーおよび/またはテトラフルオロエチレンとパーフッ素化コモノマーとの共重合体を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の水性コーティング組成物。
【請求項10】
前記シェルに含まれるテトラフルオロエチレンと部分フッ素化または非フッ素化コモノマーとの前記共重合体が前記粒子の総重量の25重量%以下を構成する請求項1〜9のいずれか一項に記載の水性コーティング組成物。
【請求項11】
基材を請求項1〜10のいずれか一項に記載の水性コーティング組成物で被覆する工程を含む方法。
【請求項12】
前記基材が金属基材である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属基材がアルミニウム基材、スチール基材およびステンレススチール基材よりなる群から選択される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記水性コーティング組成物がプライマーコーティングとして前記基材に塗布され、そしてポリテトラフルオロエチレンを含む1つもしくはそれ以上のさらなる層が該プライマーコーティングに塗布される請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法で得ることができるコーティングを含む基材。

【公表番号】特表2008−508366(P2008−508366A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520419(P2007−520419)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/023669
【国際公開番号】WO2006/014393
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】