説明

金属多孔体及びその製造方法

【課題】単位体積当たりの表面積が極めて大きく、かつ強度に優れた3次元網目状構造を有するフィルタや電池用電極板等に適用可能な金属多孔体を提供すること。
【解決手段】3次元網目状構造を有する金属多孔体であって、3次元網目状構造を形成する骨格の少なくとも表層に、骨格によって形成されている孔よりも径の小さな微小孔が形成されていることを特徴とする3次元網目状構造を有する金属多孔体。前記微小孔は、球体状もしくは半球状であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3次元網目状構造を有する金属多孔体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属多孔体は、耐熱性を必要とするフィルタや、電池用電極板、更には、触媒担持体、金属複合材等、様々な用途に利用されている。これらの金属多孔体の製造方法としては、主として、発泡樹脂等に導電性処理を施した後に電気めっきする方法と、粉末金属を発泡樹脂等に付着させて焼結する方法が知られている。
【0003】
電気めっきによる方法では、例えばウレタンフォームなどの発泡樹脂の骨格表面にカーボン粉末等を塗着することによって導電化処理を行い、その上に電気めっきにより所定に金属を電析させ、その後発泡樹脂及びカーボンを焼失させて金属多孔体を得ている(特許文献1、2等)。
また、焼結法では、スラリー化した金属粉末をウレタンフォームなどの発泡樹脂の骨格表面に含浸塗布し、その後加熱することにより金属粉末を焼結している(特許文献3、4等)。
【0004】
このような金属多孔体は、主として、単位体積当たりの表面積を大きくすることを目的として使用されているため、表面積が大きければ大きい程望ましいものである。しかしながら単位体積当たりの表面積を大きくしすぎると、金属多孔体の強度が低下するという問題が有った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−193232号公報
【特許文献2】特開平09−195090号公報
【特許文献3】特開2001−226723号公報
【特許文献4】特開平10−046268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて、従来の金属多孔体よりも更に大きな表面積を持ち、かつ強度に優れた金属多孔体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意探求を重ねた結果、金属多孔体の骨格の表層部分に微小孔を形成することが有効であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
【0008】
(1)3次元網目状構造を有する金属多孔体であって、
3次元網目状構造を形成する骨格の少なくとも表層に、骨格によって形成されている孔よりも径の小さな微小孔が形成されていることを特徴とする金属多孔体。
(2)前記微小孔が、球体状もしくは半球状であることを特徴とする上記(1)に記載の金属多孔体。
(3)前記微小孔が、前記骨格の厚さ方向において、表面から厚みの1/4の範囲内にのみ形成されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の金属多孔体。
(4)前記微小孔の孔径が0.2μm以上、20μm以下の範囲にあることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属多孔体。
(5)上記(1)に記載の金属多孔体の製造方法であって、
少なくとも、
樹脂製3次元網目状多孔体に導電化処理を施す工程と、
上記樹脂製3次元網目状多孔体に金属めっきを施す第1のめっき工程と、
上記第1のめっき工程によって形成された金属めっき上に、金属と共に微小球体を付着させる第2のめっき工程と、
上記微小球体を除去する工程と、
上記樹脂製3次元網目状多孔体を除去する工程と、
を有することを特徴とする金属多孔体の製造方法。
(6)前記第1のめっき工程で、めっき量を第2のめっき工程でのめっき量よりも多くすることを特徴とする上記(5)に記載の金属多孔体の製造方法。
(7)前記第1のめっき工程における金属と、上記第2のめっき工程における金属が同一であることを特徴とする上記(5)又は(6)に記載の金属多孔体の製造方法。
(8)前記第1のめっき工程及び/又は第2のめっき工程において使用するめっき液が、スルファミン酸ニッケルめっき液を主体とするめっき液であることを特徴とする上記(5)〜(7)のいずれかに記載の金属多孔体の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、単位体積当たりの表面積が極めて大きく、かつ強度に優れた3次元網目状構造を有する金属多孔体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の3次元網目状構造を有する金属多孔体の一例の電子顕微鏡観察による写真である。
【図2】図1の写真の太枠で囲った部分を拡大したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る3次元網目状金属多孔体は、3次元網目状構造を形成する骨格の少なくとも表層に、骨格によって形成されている孔よりも径の小さな微小孔が形成されていることを特徴とする。
図1に本発明の3次元網目状金属多孔体の一例の電子顕微鏡観察による写真を示し、図2に、図1の写真の太枠で囲った部分の拡大した写真を示す。図1及び図2から明らかなように、本発明の3次元網目状金属多孔体の骨格の表面には無数の微小孔による凹凸が形成されており、これにより単位体積当たりの表面積が極めて大きくなっている。
【0012】
一般に、3次元網目状構造を有する多孔体は単位体積あたりの表面積を大きくすることを目的として使用されるが、多孔体の表面積を高めると機械的な強度が低下する弊害がある。しかし、本発明の3次元網目状構造を有する金属多孔体は、骨格の表層に微小孔を形成することにより、強度の低下を抑えつつ、表面積を大きくすることを可能にした。
【0013】
上記微小孔は金属多孔体の表面積を大きくする観点から、骨格部分の少なくとも表層に形成されていればよいが、骨格内部に形成されていても構わない。微小孔が骨格の内部に形成されている場合には、金属多孔体を軽量化することが可能となる。
【0014】
上記微小孔の形状は、球体状もしくは半球状であることが好ましい。微小孔の形状が球体状もしくは半球状であることにより、微小孔の周辺に加わる応力が集中しないため、金属骨格部分に微小孔を形成することによる強度の低下を抑制することができる。
【0015】
上記のごとく、金属多孔体の表面積を大きくするには、骨格の内部に微小孔を形成するよりも、骨格の表面付近のみに形成した方が、強度の低下を抑えつつ表面積を拡大することができる。このため、本発明の3次元網目状構造を有する金属多孔体においては、上記微小孔は、金属骨格の厚さ方向において、表面から厚みの1/4以下の範囲にのみ形成されていることが好ましい。
【0016】
上記微小孔の孔径は、0.2μm以上、20μm以下の範囲にあることが好ましい。微小孔の孔径が小さい程、強度の低下を抑えつつ表面積を大きくすることができる。このため、孔径は20μm以下であることが好ましいが、一方で、孔径が小さすぎると生産性が悪化するため、0.2μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.2μm以上、10μm以下であり、更に好ましくは0.2μm以上、5μm以下である。
【0017】
本発明に係る3次元網目状構造を有する金属多孔体の製造方法は、少なくとも、樹脂製3次元網目状多孔体に導電化処理を施す工程と、上記樹脂製3次元網目状多孔体に金属めっきを施す第1のめっき工程と、上記第1の金属めっき工程によって形成された金属めっき上に、金属と共に微小球体を付着させる第2の金属めっき工程と、上記微小球体を除去する工程と、上記樹脂製3次元網目状多孔体を除去する工程と、を有することを特徴とする。これにより、本発明の3次元網目状金属多孔体を良好に製造することができる。
【0018】
(樹脂多孔体)
樹脂製3次元網目状多孔体としては、樹脂発泡体、不織布、フェルト、織布などが用いられるが必要に応じてこれらを組み合わせて用いることもできる。また、素材としては特に限定されるものではないが、金属をめっきした後焼却処理により除去できるものが好ましい。また、樹脂多孔体の取扱い上、特にシート状のものにおいては剛性が高いと折れるので柔軟性のある素材であることが好ましい。
【0019】
本発明においては、樹脂製3次元網目状多孔体として樹脂発泡体を用いることが好ましい。樹脂発泡体は、多孔性のものであればよく公知又は市販のものを使用でき、例えば、発泡ウレタン、発泡スチレン等が挙げられる。これらの中でも、特に多孔度が大きい観点から、発泡ウレタンが好ましい。発泡状樹脂の厚み、多孔度、平均孔径は限定的でなく、用途に応じて適宜に設定することができる。
【0020】
(導電化処理)
樹脂製3次元網目状多孔体の導電化処理の方法は、樹脂製の多孔体の表面に導電被覆層を設けることができる方法であれば特に限定されない。導電被覆層を構成する材料としては、例えば、ニッケル、チタン、ステンレススチール等の金属の他、カーボンブラック等の非晶質炭素、黒鉛等のカーボン粉末が挙げられる。これらの中でも特にカーボン粉末が好ましく、カーボンブラックがより好ましい。なお、金属以外の非晶質炭素等を用いた場合には、後述する樹脂製多孔体の除去処理において当該導電被覆層も除去される。
【0021】
導電処理の具体例としては、例えば、ニッケルを用いる場合は、無電解めっき処理、スパッタリング処理等が好ましく挙げられる。また、チタン、ステンレススチール等の金属、カーボンブラック、黒鉛などの材料を用いる場合は、これら材料の微粉末にバインダを加えて得られる混合物を、樹脂製多孔体の表面に塗着する処理が好ましく挙げられる。
【0022】
ニッケルを用いた無電解めっき処理としては、例えば、還元剤として次亜リン酸ナトリウムを含有した硫酸ニッケル水溶液等の公知の無電解ニッケルめっき浴に樹脂製多孔体を浸漬すればよい。必要に応じて、めっき浴浸漬前に、樹脂製多孔体を微量のパラジウムイオンを含む活性化液(カニゼン社製の洗浄液)等に浸漬してもよい。
【0023】
ニッケルを用いたスパッタリング処理としては、例えば、基板ホルダーに樹脂製多孔体を取り付けた後、不活性ガスを導入しながら、ホルダーとターゲット(ニッケル)との問に直流電圧を印加することにより、イオン化した不活性ガスをニッケルに衝突させて、吹き飛ばしたニッケル粒子を樹脂製多孔体の表面に堆積すればよい。
【0024】
(第1のめっき工程)
第1のめっき工程においては、公知のめっき法によって金属めっきを施す工程であれば特に限定されないが、電気めっき法を用いることが好ましい。上記した無電解めっき処理及び/又はスパッタリング処理によってめっき膜の厚みを増していけば電気めっき処理の必要性はないが、生産性、コストの観点から好ましくない。このため、上記したような、まず樹脂製多孔体を導電化処理する工程を経た後に、電気めっき法により金属めっき層を形成する方法を採用することが好ましい。
【0025】
電気めっき処理は、常法に従って行えばよい。例えばニッケルめっきの場合には、めっき浴としては、公知又は市販のものを使用することができ、例えば、ワット浴、塩化浴、スルファミン酸浴等が挙げられる。前記の無電解めっきやスパッタリング等により表面に導電被覆層が形成された樹脂製多孔体をめっき浴に浸し、樹脂製多孔体を陰極に、めっき金属の対極板を陽極に接続して直流或いはパルス断続電流を通電させることにより、導電被覆層上に、さらに電気めっき被覆を形成することができる。導電被覆層及び電気めっき層の目付量(付着量)は特に制限されない。
【0026】
導電被覆層は樹脂製多孔体表面に連続的に形成されていればよく、電気めっき層は導電被覆層が露出しない程度に当該導電被覆層上に形成されていればよい。導電被覆層の目付量は限定的でなく、通常0.1〜20g/m2程度、好ましくは0.5〜5g/m2程度とすればよい。電気めっき層の目付量は限定的でなく、通常100〜600g/m2程度、好ましくは200〜500g/m2程度とすればよい。
【0027】
(第2のめっき工程)
第2のめっき工程において使用するめっき液は、微小球体を含むめっき液であれば特に限定されず、上記第1の金属めっきと同様のものを用いることができる。
微小球体をめっき液中に浮遊させ、当該めっき液を用いて上記金属めっきが形成された多孔体にめっき処理を行うと、金属と共に微小球体が表面に付着し、また場合によっては金属の内部に微小球体が取り込まれた状態でめっきが出来上がる。そして、後述する工程において微小球体が除去されることにより、金属多孔体の骨格の表層に微小孔が形成される。
【0028】
微小球体としては、例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムや塩化ベンザルコニウム等の第四級アンモニウム塩の陽イオン界面活性剤で、水溶液中で球体状のミセルを形成するものを用いることができる。また、微小球体としてはめっき液に対して不溶性の無機又は有機の微小球体も利用可能である。そして、当該微小球体は、上記第2のめっき工程において使用するめっき液中に、攪拌等により均一に分散させて用いる。
第2のめっき工程においてめっきする金属の目付量は限定的でなく、通常10〜300g/m2程度、好ましくは20〜250g/m2程度とすればよい。
また、第2の金属めっき中の微小球体の濃度は特に限定されず目的によって変化させればよい。表面積を大きくする観点からは、0.01mol/L以上、0.1mol/L以下程度とすることが好ましい。
【0029】
上記のように微小球体は金属多孔体骨格の表層部に微小孔を形成するためのものであるため、微小孔と同サイズであることが好ましい。すなわち、微小球体の粒径は、0.2μm以上、20μm以下の範囲にあることが好ましい。より好ましくは0.2μm以上、10μm以下であり、更に好ましくは0.2μm以上、5μm以下である。
【0030】
(微小球体及び樹脂製3次元網目状多孔体を除去する工程)
この工程は、上記第2のめっき工程において作製された微小球体を表層部に有する多孔体から、微小球体を除去する工程と、樹脂製3次元網目状多孔体を除去する工程とを含む工程である。この工程において、微小球体を除去する工程と、樹脂製3次元網目状多孔体を除去する工程とは、以下に述べるように、別々に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0031】
上記微小球体と第2の金属めっきとの間には、共有結合や水素結合のような強い分子間力は形成されていないことから、第2のめっき工程後に水洗処理をすることによって微小球体を除去することができる。そして、続いて600℃以上、800℃以下、好ましくは600℃以上、700℃以下の大気等の酸化性雰囲気におくことにより、樹脂製3次元網目状多孔体を除去することができる。
また、仮に、上記微小球体が第2のめっき工程後の水洗処理によって除去できなくても、上記第2のめっき工程後の製品を、600℃以上、800℃以下、好ましくは600℃以上、700℃以下の大気等の酸化性雰囲気におくことで、上記微小球体及び樹脂製3次元網目状多孔体を同時に除去することができる。
【0032】
また、高温酸化性雰囲気において微小球体及び樹脂製3次元網目状多孔体を除去した後に、得られた3次元網目状金属多孔体を還元性雰囲気で処理することが好ましい。処理温度はできるだけ高温であることが望ましいが、コスト的に不利になることや、還元炉の炉体材質の面から、750℃以上、1000℃以下で処理することが好ましい。
【0033】
本発明の3次元網目状金属多孔体の製造方法においては、上記第1のめっき工程でのめっき量を、第2のめっき工程でのめっき量よりも多くすることが好ましい。これにより、金属多孔体骨格の中心部分の金属のみの部分の方が、表層の微小孔を有する部分よりも厚くなり、金属多孔体の強度を保つことができる。
【0034】
上記第1のめっき工程における金属と、上記第2のめっき工程における金属とは同一であることが好ましい。これによりめっき液の混入による液劣化を抑えることができる。
また、スルファミン酸ニッケルめっき液は、めっき応力が小さく、かつ、つきまわり性が良いため、熱処理前の中間製品においても柔軟性が確保でき、製造工程内での破断などのトラブルを抑制することができる。このため、上記第1のめっき工程及び/又は第2のめっき工程において使用するめっき液は、スルファミン酸ニッケルめっき液を主体とするめっき液であることが好ましい。
【実施例】
【0035】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明の3次元網目状金属多孔体はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(樹脂製3次元網目状多孔体の導電化処理)
樹脂製3次元網目状多孔体として、1.5mm厚のポリウレタンシートを用いて、粒径0.01〜0.2μmの非晶性炭素であるカーボンブラック100gを0.5Lの10%アクリル酸エステル系樹脂水溶液に分散し、この比率で粘着塗料を作製した。次に樹脂多孔シートを前記塗料に連続的に漬け、ロールで絞った後乾燥させることによって導電化処理を施し、樹脂製3次元網目状多孔体の表面に導電被覆層を形成した。
【0036】
(第1のめっき工程)
導電化処理を施した樹脂製3次元網目状多孔体に、ニッケルを電気めっきにより250g/m2付着させ、電気めっき層を形成した。めっき液としては、スルファミン酸ニッケルめっき液を用いた。
(第2のめっき工程)
上記第1の金属めっきが施された3次元網目状多孔体に、更に第2の金属めっきを施した。めっき液としては、スルファミン酸ニッケルめっき液に、粒径が0.2μm〜5μmで、塩化ベンザルコニウムを浮遊させたものを用いた。当該めっき液は、攪拌しながら微小球体がめっき液中に均一に分散するようにして用いた。
ニッケルの目付量は150g/m2とした。
【0037】
(微小球体及び樹脂製3次元網目状多孔体の除去)
上記により得られた3次元網目状多孔体から、微小球体を除去するため、第2のめっき工程の後に水洗処理を施した。次いで、樹脂製3次元網目状多孔体を除去するため、650℃の大気の酸化性雰囲気下で加熱した。続いて、窒素と水素の混合気体を用いた還元性ガスにより還元性雰囲気を形成して、1000℃で還元処理を行った。
上記工程により、金属多孔体の骨格の少なくとも表層に微小孔を有する本発明の3次元網目状構造を有する金属多孔体Aを作製することができた。
【0038】
[比較例1]
実施例1の第2のめっき工程において微小球体を含まないスルファミン酸ニッケルめっき液を使用した以外は、実施例1と同様にして3次元網目状金属多孔体Bを作製した。
【0039】
(評価)
上記により得られた3次元網目状金属多孔体A、Bの表面積を直接測定することは難しいため静電容量で代用評価した。
また、3次元網目状金属多孔体A、Bの強度を引張強度試験機で測定した。
結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る3次元網目状構造を有する金属多孔体は、従来の金属多孔体よりも極めて大きな表面積を有し、かつ、強度にも優れる。このため、フィルタや、電池用電極板、更には、触媒担持体、吸音材、放熱体、金属複合材等、単位体積当たりの表面積が大きい材料が望まれる様々な分野に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元網目状構造を有する金属多孔体であって、
3次元網目状構造を形成する骨格の少なくとも表層に、骨格によって形成されている孔よりも径の小さな微小孔が形成されていることを特徴とする金属多孔体。
【請求項2】
前記微小孔が、球体状もしくは半球状であることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔体。
【請求項3】
前記微小孔が、前記骨格の厚さ方向において、表面から厚みの1/4以下の範囲内にのみ形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属多孔体。
【請求項4】
前記微小孔の孔径が0.2μm以上、20μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属多孔体。
【請求項5】
請求項1に記載の金属多孔体の製造方法であって、
少なくとも、
樹脂製3次元網目状多孔体に導電化処理を施す工程と、
上記樹脂製3次元網目状多孔体に金属めっきを施す第1のめっき工程と、
上記第1のめっき工程によって形成された金属めっき上に、金属と共に微小球体を付着させる第2のめっき工程と、
上記微小球体を除去する工程と、
上記樹脂製3次元網目状多孔体を除去する工程と、
を有することを特徴とする金属多孔体の製造方法。
【請求項6】
前記第1のめっき工程で、めっき量を第2のめっき工程でのめっき量よりも多くすることを特徴とする請求項5に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項7】
前記第1のめっき工程における金属と、上記第2のめっき工程における金属が同一であることを特徴とする請求項5又は6に記載の金属多孔体の製造方法。
【請求項8】
前記第1のめっき工程及び/又は第2のめっき工程において使用するめっき液が、スルファミン酸ニッケルめっき液を主体とするめっき液であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の金属多孔体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−41608(P2012−41608A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184802(P2010−184802)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(591174368)富山住友電工株式会社 (50)
【Fターム(参考)】