金属屋根における馳部の馳幅テスター
【目的】 本発明は、馳部（馳締部）の横幅（馳幅）を簡易且つ正確に測定することができると共に、連続的に測定できること。
【構成】 四辺形状の天板１１と四周に垂下した周壁板１２とで形成された箱状体１と、金属屋根８の馳部８１の背面基準線８１ａを支持する被押圧部２と、金属屋根８の馳部８１の馳幅の正常幅に相当する間隔を有しつつ、正常値を超えたときに後退するように弾性を有する押圧部３と、前後の複数のロール４，４…とからなること。被押圧部２と押圧部３とが箱状体１内に垂設されると共に、ロール４は箱状体１内で且つ被押圧部２と押圧部３との両外側位置で且つ前後に設けられてなること。測定時において正常値を超えたときに警報信号が検出されるように警報手段Ｘが備えられていること。
【構成】 四辺形状の天板１１と四周に垂下した周壁板１２とで形成された箱状体１と、金属屋根８の馳部８１の背面基準線８１ａを支持する被押圧部２と、金属屋根８の馳部８１の馳幅の正常幅に相当する間隔を有しつつ、正常値を超えたときに後退するように弾性を有する押圧部３と、前後の複数のロール４，４…とからなること。被押圧部２と押圧部３とが箱状体１内に垂設されると共に、ロール４は箱状体１内で且つ被押圧部２と押圧部３との両外側位置で且つ前後に設けられてなること。測定時において正常値を超えたときに警報信号が検出されるように警報手段Ｘが備えられていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、馳部（馳締部）の横幅（馳幅）を簡易且つ正確に測定することができると共に、連続的に測定できる金属屋根における馳部の馳幅テスターに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、馳部にて屋根板の端部相互を結合して葺成する金属屋根は数多く存在している。その葺成後の馳部は、長さが１００ｍ程度存在しても、断面として見れるのは、両端部のみであり、その途中は、平面的に外観を見れるのみである。これを目視したのみでは、施工が適正であるか、不適正ではないかの見分けは殆どできないのが現状である。その金属屋根８における馳部８１における正常な断面（適正断面）は、図６（Ａ）及び（Ｃ）に示すように、丸形タイプの馳部８１の横幅（馳幅）が所定値Ｌであることが前提となる。さらに、図６（Ｄ）に示すように、角形タイプの馳部８１でも横幅（馳幅）が所定値Ｌが必要とされる。この外に、図６（Ａ）の場合には、通称溝幅も所定値を取ることが必要である。
【０００３】
これが、図６（Ａ），（Ｃ）及び（Ｄ）の鎖線又は図３（Ｂ）のＬ´のように、馳締加工された場合には、雨水が容易に浸入する危険性がある。ところで、公知又は特許文献１に示すノギスなどの測定ゲージにて馳部８１の横幅（馳幅）は測定できるが、スポット的な箇所のみであり、連続して測定することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００３−３４４００３
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
このため、本発明が解決しようとする課題（技術的課題又は目的等）は、馳部の横幅（馳幅）Ｌの測定が連続的にでき、極めて能率的に測定できるものが求められている。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意，研究を重ねた結果、請求項１の発明を、四辺形状の天板と四周に垂下した周壁板とで形成された箱状体と、金属屋根の馳部の背面基準線を支持する被押圧部と、金属屋根の馳部の馳幅の正常幅に相当する間隔を有しつつ、正常値を超えたときに後退するように弾性を有する押圧部と、前後の複数のロールとからなり、前記被押圧部と前記押圧部とが前記箱状体内に垂設されると共に、前記複数のロールは前記箱状体内で且つ前記被押圧部と前記押圧部との両外側位置で且つ前後に設けられてなり、測定時において正常値を超えたときに音又は光などの警報信号が検出されるように警報手段が備えられてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスターとしたことにより、前記課題を解決した。
【０００７】
請求項２の発明を、請求項１において、前記押圧部の山形垂直片箇所にて馳部の屈曲側線を押圧するようにしてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスターとしたことにより、前記課題を解決した。請求項３の発明を、請求項１又は２において、前記前後の両ロールの側部には、前記金属屋根の傾斜部を転動する側部ロールが形成されてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスターとしたことにより、前記課題を解決したものである。
【０００８】
請求項４の発明を、請求項１，２又は３において、前記警報手段の電源は直流電源による閉ループが構成され、前記直流電源と前記警報手段との間に、正常値を超えたときに後退するように構成された金属製の前記押圧棒状部接点と、前記箱状体に固定された対応接点とが直列に設けられてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスターとしたことにより、前記課題を解決した。請求項５の発明を、請求項１，２，３又は４において、前記警報手段はブザー又は発光部とからなると共に、前記警報信号は音又は光からなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスターとしたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【０００９】
請求項１の発明においては、馳部の横幅（馳幅）の測定が連続的にでき、極めて能率的に測定でき、しかも正確な測定ができる利点がある。特に、測定時には、音又は光などの警報信号が検出されため、計測のミスが回避できる利点がある。請求項２においては、請求項１と同様の効果を奏する。請求項３の発明では、特に、本発明品の走行が直線的となり、操縦しやすいと共に正確な測定ができる効果がある。請求項４の発明では、簡単な直流電源による簡易な回路で安価に実現できる。請求項５の発明では、ブザーか発光部の何れかによるもので不良箇所を警告してくれるため、簡単で且つ正確な測定ができる。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】（Ａ）は本発明を底面から見た一部切除した斜視図、（Ｂ）及び（Ｃ）は本発明を金属屋根に載置した一部断面図である。
【図２】（Ａ）は本発明を斜視図である。
【図３】（Ａ）は本発明を金属屋根に載置した要部断面図である。
【図４】（Ａ）は本発明の回路図、（Ｂ）は（Ａ）の（ア）部の箇所の具体的構成の一部側面とした断面図である。
【図５】フローチャートである。
【図６】（Ａ）は正常に施工した金属屋根の馳部箇所の断面図、（Ｂ）は正常ではなく施工した金属屋根の馳部箇所の断面図、（Ｃ）は正常に施工した別の実施形態の金属屋根の馳部箇所の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１１】
以下、本発明の実施形態について、図１乃至図３に基づいて説明する。本発明は、図１及び図２に示すように、主に、四辺形状の天板１１とこの四周に垂下した周壁板１２とで形成された箱状体１と、金属屋根８の馳部８１の横幅（馳幅）の背面基準線８１ａを支持する被押圧部２と、前記金属屋根８の馳部８１の馳幅の正常幅Ｌに相当する間隔を有しつつ、正常値を超えたときに後退するように弾性を有する押圧部３と、両側前後での４個のロール４，４・４，４と、側部ロール５から構成されている。
【００１２】
前記被押圧部２と前記押圧部３とが前記箱状体１の中底板１３内に垂設されると共に、前記４個のロール４は、前記箱状体１内で且つ前記被押圧部２と前記押圧部３との両外側位置で且つ前後に設けられている。測定時において正常値を超えたときに警報信号である音又は光が検出されるように警報手段Ｘが備えられている。前記押圧部３の山形垂下片３２箇所にて馳部８１の屈曲側線８１ｂを押圧するようにして構成されている。前記前後の両ロール４，４・４，４の側部には、前記金属屋根８の傾斜部８３を転動する側部ロール５，５が形成されている。該側部ロール５，５は、図１（Ｂ）及び（Ｃ）において、左右対称に設けられているが、一側のみに設けられることもある。
【００１３】
警報手段Ｘの電源は直流電源Ｅ（一般には、１．５Ｖ）によるブザー回路９２及び発光回路９１が並列に構成されている。前記警報手段Ｘとしては、ブザー９６の場合と、発光部９５との場合がある。本発明では、ブザー９６と発光部９５とを両方設けたが、どちらか１つにする場合もある。特に、前記直流電源Ｅと前記警報手段Ｘとの間に、正常値を超えたときに後退するように構成された金属製の前記押圧棒状部３１の後部端に固着された押圧棒状部接点３５と、前記箱状体１に固定された対応接点１５とが直列に設けられている。該対応接点１５と前記押圧棒状部接点３５とで接点スイッチＳが構成されている〔図４（Ａ）及び（Ｂ）参照〕。
【００１４】
前記箱状体１の前後面には、前後ガイド板６，６が設けられ、該前後ガイド板６，６には、その略中央位置に切り込み状の門形ガイド窓６１，６１が設けられている。図２に示すように、金属屋根８の馳部８１が中心に位置するようにセットする際に、前記門形ガイド窓６１，６１がその役割をなす。また、両側前後での４個のロール４，４・４，４と、側部ロール５，５とで、図１（Ｂ）及び（Ｃ）に示すように、前記箱状体１を中央位置に保持する役割をなす。
【００１５】
前記押圧部３と被押圧部２の関係を詳細に説明する。該被押圧部２は、前記金属屋根８の馳部８１の横幅（馳幅）の背面基準線８１ａを支持する部位であり、前記押圧部３は、この山形垂下片３２箇所にて前記馳部８１の屈曲側線８１ｂを押圧するようにして構成する部材であり、常時、前記馳部８１の屈曲側線８１ｂを弾発支持するように構成されている。
【００１６】
具体的には、前記押圧部３は、ケース状の押圧本体部３３内に、前記押圧棒状部３１が、コイル状の弾性体３４にて常時外側〔図１（Ｃ）、図３及び図４（Ｂ）において右側方向〕に弾発支持するように構成されている。該弾性体３４は、前記押圧棒状部３１に設けられた弾性体受片３４ａと、前記押圧本体部３３に設けられた弾性体支持片３４ｂとの間に介在されている。
【００１７】
特に、前記押圧部３の山形垂下片３２の内端（図３において右側端）と、前記被押圧部２の内端（図３において左側端）との間の間隔Ｗ（以下、「押圧部３と被押圧部２との間隔Ｗ」という）は、前記馳部８１の横幅（馳幅）によって適宜広くなるが、該馳部８１の馳幅の正常幅Ｌの許容限界寸法（正常寸法）をＷ０とする（３図参照）。この正常寸法を正常値とも言う。また、正常幅Ｌを合格寸法とも言う。
【００１８】
また、馳部８１の馳幅の正常幅Ｌとし、正常でない幅Ｌ´とすると、
Ｌ´＞Ｗ０＞Ｌが成り立つ。
つまり、正常でない幅Ｌ´のときには、前記接点スイッチＳが動作して、警報手段Ｘとしては、ブザー９６又は発光部９５が作動し、馳幅が正常でないことを作業者に知らせるように構成されている。
【００１９】
次に、馳幅の測定方法について説明する。馳幅検査のフローについて説明する。馳部８１の馳幅を測定するのに、図１（Ｂ）及び（Ｃ）に示すように、金属屋根８の山部の両肩部８２，８２上に本発明の両ロール４，４を載置すると共に、前記金属屋根８の山部の傾斜部８３上に側部ロール５を載置して、さらに前後ガイド板６，６の門形ガイド窓６１，６１を見ながら、前記馳部８１を該門形ガイド窓６１，６１で跨ぐようにセットし、この状態で、操作杆７の握り手７ａを持ちながら転がす。このような状態下では、正常な馳部８１として、前記押圧部３と被押圧部２との間隔Ｗは、許容限界寸法（正常寸法）Ｗ０を保持しており、馳部８１の馳幅は、合格寸法Ｌとなっている〔図６（Ａ）参照〕。
【００２０】
そして、馳部８１の馳幅が、正常ではない場合（Ｌ´）には、広がりを生じ、跨ぐようにした前記押圧部３と被押圧部２との間隔Ｗは、許容限界寸法（正常寸法）Ｗ０を超えた状態となり、図４（Ｂ）鎖線に示すように、接点スイッチＳが動作して、警報手段Ｘが動作して、ブザー９６又は発光部９５が作動し、馳幅が正常でないことを作業者に知らせる。このような場合には、その箇所を正常ではない馳部８１として、ハサミ部、接着テープ、ペンキ塗りなどマーキングして、後に、その箇所を補修する必要がある。
【００２１】
つまり、フローチャートで説明すると、図５に示すようになる。本発明の馳幅テスターにて検査すると（ステップ１０）、ステップ１１の判断にて、警報手段Ｘが動作した場合には、ブザー９６又は発光部９５が作動し、ＹＥＳ状態となり、次のハサミ部などのマーキング処理（ステップ１２）することになり、この検査は終了する。
【符号の説明】
【００２２】
１…箱状体、１１…天板、１２…周壁板、１５…対応接点、２…被押圧部、
３…押圧部、３２…山形垂直片、３５…押圧棒状部接点、４…ロール、５…側部ロール、８…金属屋根、８１…馳部、８１ａ…背面基準線、８１ｂ…屈曲側線、９５…発光部、
９６…ブザー、Ｌ…正常幅、Ｗ…間隔、Ｅ…直流電源、Ｘ…警報手段。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、馳部（馳締部）の横幅（馳幅）を簡易且つ正確に測定することができると共に、連続的に測定できる金属屋根における馳部の馳幅テスターに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、馳部にて屋根板の端部相互を結合して葺成する金属屋根は数多く存在している。その葺成後の馳部は、長さが１００ｍ程度存在しても、断面として見れるのは、両端部のみであり、その途中は、平面的に外観を見れるのみである。これを目視したのみでは、施工が適正であるか、不適正ではないかの見分けは殆どできないのが現状である。その金属屋根８における馳部８１における正常な断面（適正断面）は、図６（Ａ）及び（Ｃ）に示すように、丸形タイプの馳部８１の横幅（馳幅）が所定値Ｌであることが前提となる。さらに、図６（Ｄ）に示すように、角形タイプの馳部８１でも横幅（馳幅）が所定値Ｌが必要とされる。この外に、図６（Ａ）の場合には、通称溝幅も所定値を取ることが必要である。
【０００３】
これが、図６（Ａ），（Ｃ）及び（Ｄ）の鎖線又は図３（Ｂ）のＬ´のように、馳締加工された場合には、雨水が容易に浸入する危険性がある。ところで、公知又は特許文献１に示すノギスなどの測定ゲージにて馳部８１の横幅（馳幅）は測定できるが、スポット的な箇所のみであり、連続して測定することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００３−３４４００３
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
このため、本発明が解決しようとする課題（技術的課題又は目的等）は、馳部の横幅（馳幅）Ｌの測定が連続的にでき、極めて能率的に測定できるものが求められている。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意，研究を重ねた結果、請求項１の発明を、四辺形状の天板と四周に垂下した周壁板とで形成された箱状体と、金属屋根の馳部の背面基準線を支持する被押圧部と、金属屋根の馳部の馳幅の正常幅に相当する間隔を有しつつ、正常値を超えたときに後退するように弾性を有する押圧部と、前後の複数のロールとからなり、前記被押圧部と前記押圧部とが前記箱状体内に垂設されると共に、前記複数のロールは前記箱状体内で且つ前記被押圧部と前記押圧部との両外側位置で且つ前後に設けられてなり、測定時において正常値を超えたときに音又は光などの警報信号が検出されるように警報手段が備えられてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスターとしたことにより、前記課題を解決した。
【０００７】
請求項２の発明を、請求項１において、前記押圧部の山形垂直片箇所にて馳部の屈曲側線を押圧するようにしてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスターとしたことにより、前記課題を解決した。請求項３の発明を、請求項１又は２において、前記前後の両ロールの側部には、前記金属屋根の傾斜部を転動する側部ロールが形成されてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスターとしたことにより、前記課題を解決したものである。
【０００８】
請求項４の発明を、請求項１，２又は３において、前記警報手段の電源は直流電源による閉ループが構成され、前記直流電源と前記警報手段との間に、正常値を超えたときに後退するように構成された金属製の前記押圧棒状部接点と、前記箱状体に固定された対応接点とが直列に設けられてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスターとしたことにより、前記課題を解決した。請求項５の発明を、請求項１，２，３又は４において、前記警報手段はブザー又は発光部とからなると共に、前記警報信号は音又は光からなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスターとしたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【０００９】
請求項１の発明においては、馳部の横幅（馳幅）の測定が連続的にでき、極めて能率的に測定でき、しかも正確な測定ができる利点がある。特に、測定時には、音又は光などの警報信号が検出されため、計測のミスが回避できる利点がある。請求項２においては、請求項１と同様の効果を奏する。請求項３の発明では、特に、本発明品の走行が直線的となり、操縦しやすいと共に正確な測定ができる効果がある。請求項４の発明では、簡単な直流電源による簡易な回路で安価に実現できる。請求項５の発明では、ブザーか発光部の何れかによるもので不良箇所を警告してくれるため、簡単で且つ正確な測定ができる。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】（Ａ）は本発明を底面から見た一部切除した斜視図、（Ｂ）及び（Ｃ）は本発明を金属屋根に載置した一部断面図である。
【図２】（Ａ）は本発明を斜視図である。
【図３】（Ａ）は本発明を金属屋根に載置した要部断面図である。
【図４】（Ａ）は本発明の回路図、（Ｂ）は（Ａ）の（ア）部の箇所の具体的構成の一部側面とした断面図である。
【図５】フローチャートである。
【図６】（Ａ）は正常に施工した金属屋根の馳部箇所の断面図、（Ｂ）は正常ではなく施工した金属屋根の馳部箇所の断面図、（Ｃ）は正常に施工した別の実施形態の金属屋根の馳部箇所の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１１】
以下、本発明の実施形態について、図１乃至図３に基づいて説明する。本発明は、図１及び図２に示すように、主に、四辺形状の天板１１とこの四周に垂下した周壁板１２とで形成された箱状体１と、金属屋根８の馳部８１の横幅（馳幅）の背面基準線８１ａを支持する被押圧部２と、前記金属屋根８の馳部８１の馳幅の正常幅Ｌに相当する間隔を有しつつ、正常値を超えたときに後退するように弾性を有する押圧部３と、両側前後での４個のロール４，４・４，４と、側部ロール５から構成されている。
【００１２】
前記被押圧部２と前記押圧部３とが前記箱状体１の中底板１３内に垂設されると共に、前記４個のロール４は、前記箱状体１内で且つ前記被押圧部２と前記押圧部３との両外側位置で且つ前後に設けられている。測定時において正常値を超えたときに警報信号である音又は光が検出されるように警報手段Ｘが備えられている。前記押圧部３の山形垂下片３２箇所にて馳部８１の屈曲側線８１ｂを押圧するようにして構成されている。前記前後の両ロール４，４・４，４の側部には、前記金属屋根８の傾斜部８３を転動する側部ロール５，５が形成されている。該側部ロール５，５は、図１（Ｂ）及び（Ｃ）において、左右対称に設けられているが、一側のみに設けられることもある。
【００１３】
警報手段Ｘの電源は直流電源Ｅ（一般には、１．５Ｖ）によるブザー回路９２及び発光回路９１が並列に構成されている。前記警報手段Ｘとしては、ブザー９６の場合と、発光部９５との場合がある。本発明では、ブザー９６と発光部９５とを両方設けたが、どちらか１つにする場合もある。特に、前記直流電源Ｅと前記警報手段Ｘとの間に、正常値を超えたときに後退するように構成された金属製の前記押圧棒状部３１の後部端に固着された押圧棒状部接点３５と、前記箱状体１に固定された対応接点１５とが直列に設けられている。該対応接点１５と前記押圧棒状部接点３５とで接点スイッチＳが構成されている〔図４（Ａ）及び（Ｂ）参照〕。
【００１４】
前記箱状体１の前後面には、前後ガイド板６，６が設けられ、該前後ガイド板６，６には、その略中央位置に切り込み状の門形ガイド窓６１，６１が設けられている。図２に示すように、金属屋根８の馳部８１が中心に位置するようにセットする際に、前記門形ガイド窓６１，６１がその役割をなす。また、両側前後での４個のロール４，４・４，４と、側部ロール５，５とで、図１（Ｂ）及び（Ｃ）に示すように、前記箱状体１を中央位置に保持する役割をなす。
【００１５】
前記押圧部３と被押圧部２の関係を詳細に説明する。該被押圧部２は、前記金属屋根８の馳部８１の横幅（馳幅）の背面基準線８１ａを支持する部位であり、前記押圧部３は、この山形垂下片３２箇所にて前記馳部８１の屈曲側線８１ｂを押圧するようにして構成する部材であり、常時、前記馳部８１の屈曲側線８１ｂを弾発支持するように構成されている。
【００１６】
具体的には、前記押圧部３は、ケース状の押圧本体部３３内に、前記押圧棒状部３１が、コイル状の弾性体３４にて常時外側〔図１（Ｃ）、図３及び図４（Ｂ）において右側方向〕に弾発支持するように構成されている。該弾性体３４は、前記押圧棒状部３１に設けられた弾性体受片３４ａと、前記押圧本体部３３に設けられた弾性体支持片３４ｂとの間に介在されている。
【００１７】
特に、前記押圧部３の山形垂下片３２の内端（図３において右側端）と、前記被押圧部２の内端（図３において左側端）との間の間隔Ｗ（以下、「押圧部３と被押圧部２との間隔Ｗ」という）は、前記馳部８１の横幅（馳幅）によって適宜広くなるが、該馳部８１の馳幅の正常幅Ｌの許容限界寸法（正常寸法）をＷ０とする（３図参照）。この正常寸法を正常値とも言う。また、正常幅Ｌを合格寸法とも言う。
【００１８】
また、馳部８１の馳幅の正常幅Ｌとし、正常でない幅Ｌ´とすると、
Ｌ´＞Ｗ０＞Ｌが成り立つ。
つまり、正常でない幅Ｌ´のときには、前記接点スイッチＳが動作して、警報手段Ｘとしては、ブザー９６又は発光部９５が作動し、馳幅が正常でないことを作業者に知らせるように構成されている。
【００１９】
次に、馳幅の測定方法について説明する。馳幅検査のフローについて説明する。馳部８１の馳幅を測定するのに、図１（Ｂ）及び（Ｃ）に示すように、金属屋根８の山部の両肩部８２，８２上に本発明の両ロール４，４を載置すると共に、前記金属屋根８の山部の傾斜部８３上に側部ロール５を載置して、さらに前後ガイド板６，６の門形ガイド窓６１，６１を見ながら、前記馳部８１を該門形ガイド窓６１，６１で跨ぐようにセットし、この状態で、操作杆７の握り手７ａを持ちながら転がす。このような状態下では、正常な馳部８１として、前記押圧部３と被押圧部２との間隔Ｗは、許容限界寸法（正常寸法）Ｗ０を保持しており、馳部８１の馳幅は、合格寸法Ｌとなっている〔図６（Ａ）参照〕。
【００２０】
そして、馳部８１の馳幅が、正常ではない場合（Ｌ´）には、広がりを生じ、跨ぐようにした前記押圧部３と被押圧部２との間隔Ｗは、許容限界寸法（正常寸法）Ｗ０を超えた状態となり、図４（Ｂ）鎖線に示すように、接点スイッチＳが動作して、警報手段Ｘが動作して、ブザー９６又は発光部９５が作動し、馳幅が正常でないことを作業者に知らせる。このような場合には、その箇所を正常ではない馳部８１として、ハサミ部、接着テープ、ペンキ塗りなどマーキングして、後に、その箇所を補修する必要がある。
【００２１】
つまり、フローチャートで説明すると、図５に示すようになる。本発明の馳幅テスターにて検査すると（ステップ１０）、ステップ１１の判断にて、警報手段Ｘが動作した場合には、ブザー９６又は発光部９５が作動し、ＹＥＳ状態となり、次のハサミ部などのマーキング処理（ステップ１２）することになり、この検査は終了する。
【符号の説明】
【００２２】
１…箱状体、１１…天板、１２…周壁板、１５…対応接点、２…被押圧部、
３…押圧部、３２…山形垂直片、３５…押圧棒状部接点、４…ロール、５…側部ロール、８…金属屋根、８１…馳部、８１ａ…背面基準線、８１ｂ…屈曲側線、９５…発光部、
９６…ブザー、Ｌ…正常幅、Ｗ…間隔、Ｅ…直流電源、Ｘ…警報手段。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
四辺形状の天板と四周に垂下した周壁板とで形成された箱状体と、金属屋根の馳部の背面基準線を支持する被押圧部と、金属屋根の馳部の馳幅の正常幅に相当する間隔を有しつつ、正常値を超えたときに後退するように弾性を有する押圧部と、前後の複数のロールとからなり、前記被押圧部と前記押圧部とが前記箱状体内に垂設されると共に、前記のロールは前記箱状体内で且つ前記被押圧部と前記押圧部との両外側位置で且つ前後に設けられてなり、測定時において正常値を超えたときに警報信号が検出されるように警報手段が備えられてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスター。
【請求項２】
請求項１において、前記押圧部の山形垂直片箇所にて馳部の屈曲側線を押圧するようにしてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスター。
【請求項３】
請求項１又は２において、前記前後の両ロールの側部には、前記金属屋根の傾斜部を転動する側部ロールが形成されてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスター。
【請求項４】
請求項１，２又は３において、前記警報手段の電源は直流電源による閉ループが構成され、前記直流電源と前記警報手段との間に、正常値を超えたときに後退するように構成された金属製の前記押圧棒状部接点と、前記箱状体に固定された対応接点とが直列に設けられてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスター。
【請求項５】
請求項１，２，３又は４において、前記警報手段はブザー又は発光部とからなると共に、前記警報信号は音又は光からなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスター。
【請求項１】
四辺形状の天板と四周に垂下した周壁板とで形成された箱状体と、金属屋根の馳部の背面基準線を支持する被押圧部と、金属屋根の馳部の馳幅の正常幅に相当する間隔を有しつつ、正常値を超えたときに後退するように弾性を有する押圧部と、前後の複数のロールとからなり、前記被押圧部と前記押圧部とが前記箱状体内に垂設されると共に、前記のロールは前記箱状体内で且つ前記被押圧部と前記押圧部との両外側位置で且つ前後に設けられてなり、測定時において正常値を超えたときに警報信号が検出されるように警報手段が備えられてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスター。
【請求項２】
請求項１において、前記押圧部の山形垂直片箇所にて馳部の屈曲側線を押圧するようにしてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスター。
【請求項３】
請求項１又は２において、前記前後の両ロールの側部には、前記金属屋根の傾斜部を転動する側部ロールが形成されてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスター。
【請求項４】
請求項１，２又は３において、前記警報手段の電源は直流電源による閉ループが構成され、前記直流電源と前記警報手段との間に、正常値を超えたときに後退するように構成された金属製の前記押圧棒状部接点と、前記箱状体に固定された対応接点とが直列に設けられてなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスター。
【請求項５】
請求項１，２，３又は４において、前記警報手段はブザー又は発光部とからなると共に、前記警報信号は音又は光からなることを特徴とする金属屋根における馳部の馳幅テスター。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１１−２１５０４４（Ｐ２０１１−２１５０４４Ａ）
【公開日】平成２３年１０月２７日（２０１１．１０．２７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−８４５４３（Ｐ２０１０−８４５４３）
【出願日】平成２２年３月３１日（２０１０．３．３１）
【出願人】（０００１７５９７３）三晃金属工業株式会社 (85)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１０月２７日（２０１１．１０．２７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年３月３１日（２０１０．３．３１）
【出願人】（０００１７５９７３）三晃金属工業株式会社 (85)
【Ｆターム（参考）】
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