説明

金属微粒子生成装置およびそれを備える髪ケア装置

【課題】従来の方式では微粒子を生成する元となる金属材料としては採用し難かったものについても採用しやすくした金属微粒子生成装置ならびにこれを備えた髪ケア装置を得る。
【解決手段】金属の微粒子を含有させた液体Lを霧化する霧化機構3を設け、当該液体Lに含有された金属の微粒子を霧とともに放出するようにした。したがって、電極として構成し難い金属の微粒子についても、これを放出することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属微粒子生成装置およびそれを備える髪ケア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遷移金属を含む電極間で放電させることによって当該遷移金属の微粒子を生成し、その微粒子を髪に向けて放出するようにしたヘアドライヤが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2008−23063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示される金属微粒子生成装置は、主として、電極に含まれる遷移金属の微粒子を生成するものである。
【0004】
したがって、電極として形成し難い金属や、電極を形成する合金として一体化し難い複数の金属の組み合わせについては、微粒子を生成する元となる金属材料としては採用し難かった。
【0005】
そこで、本発明は、従来の方式では微粒子を生成する元となる金属材料としては採用し難かったものについても採用しやすくした金属微粒子生成装置ならびにこれを備えた髪ケア装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にあっては、金属の微粒子を生成して放出する金属微粒子生成装置であって、金属の微粒子を含有させた液体を霧化する霧化機構を備え、当該液体に含有された金属の微粒子を霧とともに放出するようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明にあっては、液体を貯留する貯留部と、上記貯留部内で液体を電気分解するための一対の電極と、を備え、電気分解によって液体中に含まれた金属の微粒子を放出できるようにしたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明にあっては、上記霧化機構は、放電極とグラウンド電極とを有し、それら放電極とグラウンド電極との間の放電を利用して液体を霧化するものであり、上記放電極およびグラウンド電極のうちいずれか一方と、上記一対の電極のうちいずれか一方とを共用したことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明にあっては、金属の微粒子の元となる金属母材を上記貯留部内に臨ませて設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明にあっては、空気を冷却することで空気中に含まれる水蒸気を凝結させて上記液体となる水を得る凝結機構を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明にあっては、上記霧化機構の放電極またはグラウンド電極を細管状に構成して、その管内に導入した液体を霧化するようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明にあっては、上記霧化機構の放電極またはグラウンド電極を微細な隙間を有するメッシュ状に構成して、当該隙間に保持された液体を霧化するようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明にあっては、液体を貯留する貯留部を備え、上記貯留部の壁の少なくとも一部を、上記メッシュ状の放電極またはグラウンド電極で構成したことを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明にあっては、上記金属微粒子生成装置を備える髪ケア装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、金属の微粒子を含む液体を霧化して、霧とともに金属の微粒子を放出するようにしたため、電極として構成し難い金属の微粒子についても、これを放出することが可能となる。
【0016】
請求項2の発明によれば、当初から液体中に含まれていない金属の微粒子を、電気分解によって液体中に含ませて、これを放出させることができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、電気分解用の電極と放電用の電極とを共用することで装置構成を簡素化することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、金属母材に含まれる金属の微粒子を放出させることができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、凝結機構を設けた分、霧化させる液体として用いる水を供給する手間を減らすことができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、液体を移送する細管を電極として用いることで装置構成を簡素化することができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、上記メッシュにより、霧化機構の非作動時には液体が漏出するのを抑制し、かつ霧化機構の作動時にのみ液体を放出させる機構を、比較的簡素な構成として得ることができる。
【0022】
請求項8の発明によれば、貯留部の壁を上記メッシュとして形成した電極とすることで、装置構成をより一層簡素化することができる。
【0023】
請求項9の発明によれば、髪ケア装置において、従来の装置では放出させ難かった金属の微粒子を放出させ、髪や地肌に作用させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態および変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、それら同様の構成要素については共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。また、各実施形態および実施例に示す構成は、他の実施形態や他の実施例の対応する構成に置き換えることができる。
【0025】
(第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態にかかる金属微粒子生成装置の概略構成を示す図である。
【0026】
本実施形態にかかる金属微粒子生成装置1は、水を含む液体Lを貯留する貯留部2と、貯留部2内の液体Lを霧化する霧化機構3とを備えている。
【0027】
貯留部2は、その内部に液体Lの貯留室2aを形成するとともに、当該貯留室2a内に水を注入することが可能なパイプ2bを備えている。パイプ2bの入口には、キャップ8が着脱可能に装着されている。このキャップ8には、通気孔8aが形成されるとともに、当該通気孔8aを塞ぐように、通気性かつ防水性を有するメンブレン9が取り付けられている。
【0028】
霧化機構3は、放電極4とグラウンド電極5とを備えており、これら放電極4とグラウンド電極5との間に、高電圧回路6によって高電圧を印加するようになっている。
【0029】
放電極4は、細管状に形成されており、基端側の開口4cは貯留室2a内に臨み、先端側の開口4bは外部に露出している。
【0030】
グラウンド電極5は、略円形の貫通孔5aを有するリング状に形成されており、放電極4の先端側外方で、放電極4の延伸方向と略直交する姿勢で、貫通孔5aの中心が放電極4の延伸方向となるように配置されている。
【0031】
高電圧回路6によって放電極4とグラウンド電極5との間に高電圧が印加されると、放電極4とグラウンド電極5との間の電位差によって生じるクーロン力により、液体Lが放電極4内の通路4aを介して先端側の開口4bからグラウンド電極5に向けて放出される。このとき、放電極4とグラウンド電極5との間には放電(コロナ放電等)が生じており、その放電作用によって液体Lは微細化されて、ナノメータサイズの霧となり、貫通孔5aを通過して霧化機構3の外方(図1の右側)へ放出される。
【0032】
このとき、本実施形態では、液体L内に有効成分を含有させておくことで、金属の微粒子を霧とともに放出させることができる。この液体L中には、例えば、人毛中に含まれる金属や半金属(例えば、カルシウム,マグネシウム,ストロンチウム,ホウ素,アルミニウム,ナトリウム,カリウム,亜鉛,銅,マンガン,鉄,銀,金,アンチモン,チタン,タングステン,バナジウム,モリブデン等)を、イオンや分子(他の元素と結合した形態も含む)等の形で含ませておくことができる。
【0033】
また、貯留室2a内には、一対の電極7P,7Mが設けられており、これら一対の電極7P,7M間に電圧をかけて、液体Lを電気分解できるようにしてある。したがって、電極7P,7Mに含まれている金属をイオンや分子等の形で析出させ、液体L中に含ませることができる。具体的には、例えば、電極7P,7Mに、遷移金属(例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、チタン、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)を含ませておくことができる。金属微粒子生成装置1で生成され放出される金属の微粒子に、金や、銀、銅等が含まれている場合、当該金属の微粒子によって抗菌作用を生じさせることができる。また、金属の微粒子に、白金、亜鉛、チタン等が含まれている場合、当該金属の微粒子によって抗酸化作用を生じさせることができる。なお、白金は、抗酸化作用が極めて高いことが判明している。なお、液体L中に含まれていて霧化機構3によって霧とともに放出される金属微粒子となる各成分は、水に溶解した状態であることが望ましいが、それには限定されない。電極7P,7Mは、上記遷移金属の単体、合金、あるいは遷移金属をメッキ処理した部材として構成することができる。
【0034】
また、金属微粒子生成装置1は、霧化機構3での放電作用によってイオン(例えばマイナスイオン、例えばNO、NO等)を生じさせ、このイオンを、放電極4や、グラウンド電極5、他の金属材料や金属成分を含む部材等に衝突させることで、金属微粒子を生成できるように構成してもよい。すなわち、グラウンド電極5や上記他の部材を、上記遷移金属を含む材料によって構成し、これらから金属微粒子を放出させるようにしてもよい。
【0035】
以上のように、本実施形態にかかる金属微粒子生成装置1では、金属の微粒子を含有させた液体Lを霧化する霧化機構3を設け、当該液体Lに含有された金属の微粒子を霧とともに放出するようにした。したがって、電極として構成し難い金属の微粒子についても、これを放出することが可能となる。かかる構成は、水溶性金属や、固体として存在し難い金属、合金として形成し難い金属等を放出させたい場合に、特に有効となる。
【0036】
また、本実施形態にかかる金属微粒子生成装置1は、液体Lを貯留する貯留部2と、当該貯留部2内で液体Lを電気分解するための一対の電極7P,7Mと、を備え、電気分解によって液体L中に含まれた金属の微粒子を放出できるようにした。よって、当初から液体L中に含まれていない金属の微粒子を、電気分解によって液体中に含ませて、これを放出させることができる。また、この場合、電気分解を適宜に制御することで、金属の微粒子の放出の有無を切り替えたり、放出量を調整したり、電極の正負を入れ替えて析出させて放出する成分を変化させたりすることも可能となる。
【0037】
(第2実施形態)図2は、本発明の第2実施形態にかかる金属微粒子生成装置の概略構成を示す図である。
【0038】
本実施形態にかかる金属微粒子生成装置1Aは、空気を冷却することで空気中に含まれる水蒸気を凝結させて液体Lとなる水を得る凝結機構11を備える点が、上記第1実施形態にかかる金属微粒子生成装置1と相違している。
【0039】
凝結機構11は、冷却機構としてのペルチェ素子11aと、放熱部としてのフィン11bとを有している。そして、ペルチェ素子11aを貯留部2Aの壁面に当接させることで、貯留室2aの内面に水を結露させ、これを液体Lの水として用いている。
【0040】
また、貯留部2Aの壁にやや大きめの開口部2cを形成し、この開口部2cを、貯留室2a内に設けた電気分解用の電極7P,7Mの取り付けやメンテナンスに利用できるようにしてある。なお、この開口部2cは着脱可能なキャップ8で閉塞してある。
【0041】
以上の本実施形態によっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、空気を冷却することで空気中に含まれる水蒸気を凝結させて液体Lとなる水を得る凝結機構11を設けたため、霧化させる液体として用いる水を供給する手間を減らすことができる。すなわち、当初から貯留部2A内に水を入れておく手間や、水を補給する手間を減らすことができる。
【0042】
(第3実施形態)図3は、本発明の第3実施形態にかかる金属微粒子生成装置の概略構成を示す図である。
【0043】
本実施形態にかかる金属微粒子生成装置1Bは、貯留部2Bの貯留室2a内に、金属の微粒子の元となる金属母材12を収容した点が、上記第2実施形態にかかる金属微粒子生成装置1Aと相違している。
【0044】
この金属母材12は、上述した遷移金属や、液体Lに溶解する性質を有する金属材料とすることができる。また、この金属母材12を、金属材料と液体Lに溶けにくい物質とを適宜に混合させて形成しておくことで、当該金属材料の微粒子による効果がより長期に亘って得られるようにしてもよい。また、金属母材12は、貯留室2a内に臨む状態で設けられていればよく、例えば、貯留部2Bの壁の一部(例えば内側の表層部分等)を、当該金属母材12として構成してもよい。
【0045】
さらに、本実施形態では、放電極4を電気分解用の電極7M(負極)としても用いており、これにより装置構成の簡素化を図っている。
【0046】
以上の本実施形態によっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、金属の微粒子の元となる金属母材12を貯留部2B内に臨ませて設けた。したがって、この金属母材12から、金属の微粒子を放出させることができる。
【0047】
また、金属母材12を凝結機構11と組み合わせて設けた場合、必要なときのみ凝結機構11によって水を生成し、金属母材12から金属の微粒子を液体Lに溶解させるなどして含ませることができるため、金属の微粒子による効果をより長期に亘って得やすくなる。
【0048】
また、本実施形態では、放電極4と、電気分解用の電極7Mとを共用化した。よって、これらを別々に設けた場合に比べて、装置構成を簡素化することができる。なお、グラウンド電極を共用させてもよいし、プラス側の電極を共用化させてもよい。
【0049】
(第4実施形態)図4は、本発明の第4実施形態にかかる金属微粒子生成装置の概略構成を示す図(斜視図)である。
【0050】
本実施形態にかかる金属微粒子生成装置1Cは、霧化機構3Cの放電極4Cを微細な隙間4eを有するメッシュ状に構成して、当該隙間4eに保持された液体を霧化するようにした点が、上記第3実施形態にかかる金属微粒子生成装置1Bと相違している。微細なメッシュの隙間4eでは、液体Lとメッシュとの間で作用する吸引力が液体分子間で作用する分子間力より強くなる。よって、かかる構成によれば、通常状態(放電極4Cとグラウンド電極5Cとの間に高電圧を印加しない状態)では、放電極4Cから液体Lが漏出せず、作動状態(放電極4Cとグラウンド電極5Cとの間に高電圧を印加した状態)では、クーロン力によって、隙間4eから液体Lを放出させ、霧化させることができる。
【0051】
また、放電極4Cには、グラウンド電極5C側に突出する尖端部4dを複数形成し、この尖端部4dに電界を集中させ、放電による霧化作用を高めるようにしてある。
【0052】
また、本実施形態では、上記第3実施形態と同様に、放電極4Cを電気分解用の電極7Mとしても用いている。したがって、これらを別個に設ける場合に比べて、装置構成を簡素化することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、貯留部2Cや、グラウンド電極5C、凝結機構11C、金属母材12C等のスペック(形状や、大きさ、配置等)が上記第3実施形態とは異なるものの、これらを設けたことによる効果は、上記第3実施形態と同様である。
【0054】
以上の本実施形態によっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、霧化機構3Cの放電極4Cを、微細な隙間4eを有するメッシュ状に構成して、当該隙間4eに保持された液体Lを霧化するようにした。よって、霧化機構3Cの非作動時には液体Lが漏出するのを抑制し、霧化機構3Cの作動時にのみ液体Lを放出させる機構を、比較的簡素な構成として得ることができる。
【0055】
また、本実施形態では、貯留部2Cの壁の少なくとも一部を、メッシュ状の放電極4Cで構成したため、メッシュによる効果が得られる構成を、よりコンパクトに構成することができる。
【0056】
(第5実施形態)図5は、本発明の第5実施形態にかかる金属微粒子生成装置を備える髪ケア装置としてのヘアドライヤの側面図である。
【0057】
本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤ20は、使用者が手で握る部分としての把持部20bと、把持部20bと交差する方向に結合された本体部20aとを備えており、把持部20bと本体部20aとで略T字状あるいは略L字状(本実施形態では略T字状)の外観を呈するように構成されている。また、把持部20bの突出端側からは、電源コード23が引き出されている。なお、本実施形態では、把持部20bは折り畳み可能に構成されている。
【0058】
ケーシング24は、複数の分割体を継ぎ合わせて構成されている。このケーシング24の内部には空洞が形成されており、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0059】
本体部20aの内部には、その長手方向(図5の左右方向)の一方側(左側)の開口部28aから他方側(右側)の開口部28bに至る空洞28が形成されており、当該空洞28内に収容されたファン(図示せず)を回転することによって、外部から開口部28aを介して空洞28内に流入し、当該空洞28内を通って開口部28bから排出される空気流Wが形成されるようになっている。すなわち、本実施形態では、空洞28が送風通路に相当する。
【0060】
また、本実施形態では、本体部20aの内部に略円筒状の内筒25が設けられており、空気流Wは主としてこの内筒25の内側を流れるようになっている。内筒25の内部では、最も上流側にモータやファンを含む空気流生成部21が配置され、空気流生成部21の下流側に加熱機構としてのヒータ26が配置されている。ヒータ26を作動させたときには、吹出口となる開口部28bから温風が吹き出されることになる。
【0061】
また、本体部20aには、ケーシング24と内筒25との間に形成された空洞29内に、上記第4実施形態にかかる金属微粒子生成装置1Cと回路部27とが配置されている。回路部27には、少なくとも、金属微粒子生成装置1Cの放電極4Cとグラウンド電極5Cとの間に高電圧を印加する高電圧回路6が含まれる。
【0062】
内筒25の長手方向のほぼ中央部には、空洞28と空洞29とを連通する連通路(図示せず)が形成されており、内筒25の内側の空洞28を流れる空気流Wの一部が分岐されて外側の空洞29へ導入され、当該空洞29内を流れる分岐流Wpが形成されるようになっている。
【0063】
上述したように、本実施形態では、金属微粒子生成装置1Cは、空洞29内に配置されており、当該金属微粒子生成装置1Cで発生した荷電粒子(金属の微粒子)は、空洞29内を流れる分岐流Wpに乗せられて、開口部28bとは別の開口部28cから排出される。
【0064】
以上の本実施形態によれば、金属微粒子生成装置1Cによって生成した金属微粒子を含む分岐流Wpを、開口部28cから吹き出すことができるため、髪や地肌に対して、当該金属微粒子による種々の作用(抗菌作用、抗酸化作用など)を与えることができる。
【0065】
そして、本実施形態では、金属の微粒子を含む液体Lを霧化して、霧とともに金属の微粒子を放出するようにしたため、電極として構成し難い金属の微粒子についても、これを放出することが可能となる。よって、従来の装置では放出させ難かった金属の微粒子を放出させ、髪や地肌に作用させることが可能となる。なお、本実施形態に示したヘアドライヤ20はあくまで一例であって、第4実施形態以外の金属微粒子生成装置を設けてもよいし、ヘアドライヤの構成もこの実施形態に限定されるものではない。
【0066】
(第6実施形態)図6は、本発明の第6実施形態にかかる金属微粒子生成装置を備える髪ケア装置としてのヘアブラシの断面図である。
【0067】
図6に示すように、髪ケア装置としてのヘアブラシ20Aは、回動支持部22で折り畳み可能に形成されており、伸展させた状態で使用者が把持部20cを持って先端部20dに設けられたブラシ部30を髪に当てて整髪する(髪を梳かす)ものである。ブラシ部30には、複数のブリッスル30aが突設されている。
【0068】
ケーシング31は、複数の分割体を継ぎ合わせて構成されており、その内部には空洞が形成され、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。
【0069】
また、ケーシング31には、ブラシ部30のブリッスル30aに向けて開放された開口部33が形成され、さらに、この開口部33を終端とする空洞32が形成されている。そして、この空洞32内に、上記第4実施形態にかかる金属微粒子生成装置1Cが収容されている。よって、この金属微粒子生成装置1Cで生成された金属微粒子が開口部33から外部に放出され、髪や地肌に作用することになる。なお、金属微粒子生成装置1Cは、回路部27によって駆動される。
【0070】
以上の本実施形態にかかるヘアブラシ20Aも、髪や地肌に対して、金属微粒子による種々の作用(抗菌作用、抗酸化作用など)を与えることができる。
【0071】
そして、本実施形態でも、金属の微粒子を含む液体Lを霧化して、霧とともに金属の微粒子を放出するようにしたため、電極として構成し難い金属の微粒子についても、これを放出することが可能となる。よって、本実施形態でも、従来の装置では放出させ難かった金属の微粒子を放出させ、髪や地肌に作用させることが可能となる。なお、本実施形態に示したヘアブラシ20Aはあくまで一例であって、第4実施形態以外の金属微粒子生成装置を設けてもよいし、ヘアブラシの構成もこの実施形態に限定されるものではない。また、モータおよびファンを内蔵して、開口部33から金属の微粒子を含む空気流を吹き出させるようにしてもよい。
【0072】
(第7実施形態)図7は、本発明の第7実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアアイロンの断面図である。
【0073】
図7に示すように、本実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアアイロン20Bは、回動連結部36を介して略V字状に拡開可能な二つのアーム部20e,20fを備えており、それらアーム部20e,20fの先端側の挟持部37に髪を挟み込んで加熱部38で加熱して整髪するものである。
【0074】
ケーシング39の内部には空洞が形成され、この空洞内に、各種電気部品が収容されている。また、ケーシング39には開口部33が形成され、さらにこの開口部33を終端とする空洞32が形成されている。そして、この空洞32に、金属微粒子生成装置1Cが収容されている。金属微粒子生成装置1Cで発生した金属微粒子は、開口部33から放出される。
【0075】
以上の本実施形態にかかるヘアアイロン20Bも、髪や地肌に対して、金属微粒子による種々の作用(抗菌作用、抗酸化作用など)を与えることができる。
【0076】
そして、本実施形態でも、金属の微粒子を含む液体Lを霧化して、霧とともに金属の微粒子を放出するようにしたため、電極として構成し難い金属の微粒子についても、これを放出することが可能となる。よって、本実施形態でも、従来の装置では放出させ難かった金属の微粒子を放出させ、髪や地肌に作用させることが可能となる。なお、本実施形態に示したヘアアイロン20Bはあくまで一例であって、第4実施形態以外の金属微粒子生成装置を設けてもよいし、ヘアアイロンの構成もこの実施形態に限定されるものではない。
【0077】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる金属微粒子生成装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態にかかる金属微粒子生成装置の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態にかかる金属微粒子生成装置の概略構成を示す図である。
【図4】本発明の第4実施形態にかかる金属微粒子生成装置の概略構成を示す図(斜視図)である。
【図5】本発明の第5実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアドライヤの側面図である。
【図6】本発明の第6実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアブラシの断面図である。
【図7】本発明の第7実施形態にかかる髪ケア装置としてのヘアアイロンの断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1,1A,1B,1C 金属微粒子生成装置
2,2A,2B,2C 貯留部
3,3C 霧化機構
4,4C 放電極
4e 隙間
5,5C グラウンド電極
7P,7M 電極
11,11C 凝結機構
12,12C 金属母材
20 ヘアドライヤ(髪ケア装置)
20A ヘアブラシ(髪ケア装置)
20B ヘアアイロン(髪ケア装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の微粒子を生成して放出する金属微粒子生成装置であって、
金属の微粒子を含有させた液体を霧化する霧化機構を備え、当該液体に含有された金属の微粒子を霧とともに放出するようにしたことを特徴とする金属微粒子生成装置。
【請求項2】
液体を貯留する貯留部と、
前記貯留部内で液体を電気分解するための一対の電極と、
を備え、
電気分解によって液体中に含まれた金属の微粒子を放出できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の金属微粒子生成装置。
【請求項3】
前記霧化機構は、放電極とグラウンド電極とを有し、それら放電極とグラウンド電極との間の放電を利用して液体を霧化するものであり、
前記放電極およびグラウンド電極のうちいずれか一方と、前記一対の電極のうちいずれか一方とを共用したことを特徴とする請求項2に記載の金属微粒子生成装置。
【請求項4】
金属の微粒子の元となる金属母材を前記貯留部内に臨ませて設けたことを特徴とする請求項2または3に記載の金属微粒子生成装置。
【請求項5】
空気を冷却することで空気中に含まれる水蒸気を凝結させて前記液体となる水を得る凝結機構を備えることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の金属微粒子生成装置。
【請求項6】
前記霧化機構の放電極またはグラウンド電極を細管状に構成して、その管内に導入した液体を霧化するようにしたことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の金属微粒子生成装置。
【請求項7】
前記霧化機構の放電極またはグラウンド電極を微細な隙間を有するメッシュ状に構成して、当該隙間に保持された液体を霧化するようにしたことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の金属微粒子生成装置。
【請求項8】
液体を貯留する貯留部を備え、
前記貯留部の壁の少なくとも一部を、前記メッシュ状の放電極またはグラウンド電極で構成したことを特徴とする請求項7に記載の金属微粒子生成装置。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか一つに記載の金属微粒子生成装置を備える髪ケア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−75259(P2010−75259A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244161(P2008−244161)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】