説明

金属担持カーボンナノチューブからの担持触媒調製方法

担持触媒を調製する新しい方法が提供される。カーボンナノチューブが、酸化剤と接触することによって官能化され、官能化カーボンナノチューブを形成する。次いで金属触媒が、官能化カーボンナノチューブ上に担持又は堆積される。次いで混合物を押し出して、カーボンナノチューブ構造体の内部構造の中により均一に分散した金属触媒を含むカーボンナノチューブ構造体を有する担持触媒を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照としてその全体を本明細書に組み込む、2004年11月16日に出願された米国仮出願第60/628,469号の利益と優先権を主張する。
【0002】
本発明は、触媒又は触媒前駆体をカーボンナノチューブ上に予備堆積させ、次に予備堆積した又は金属担持させたカーボンナノチューブを有するカーボンナノチューブ構造体を形成することによる、新しい担持触媒の調製方法に関する。得られた担持触媒は、金属触媒が構造体中により均質にそして完全に分散しているカーボンナノチューブ構造体を含む。本発明の担持触媒は、より高濃度で、より良好に分散している金属触媒を含有しているので、所望する最終生成物を、より効率的により高い収率で得る結果をもたらす。
【背景技術】
【0003】
担持触媒
担持触媒(即ち、ある種の表面、構造体、又は支持体などに担持された触媒)は、一般的に不活性支持材料及び触媒活性材料を含む。通常不均一反応が、高温(時折は高圧においても)及び活性雰囲気中で行われるため、反応ゾーン内の活性触媒成分の正確な化学的性質を測定するのは困難であることがある。それ故、不活性支持材料と反応ゾーンに担持される触媒活性材料の両方を含む組成物を参照するのに、「触媒」或いは「担持触媒」という用語が、反応ゾーン内の活性材料の正確な性質は通常測定可能ではないことが認識されてはいるものの、産業界においてしばしば相互交換可能なものとして使用されている。
【0004】
担持触媒は、例えば、最初に実際の触媒活性材料の前駆体を不活性支持体に堆積させ、次いでこれらを反応ゾーンに供給する前に、それに応じた処理(例えば、焼成)することによって調製することもできる。反応ゾーンに供給する前に、より広範囲な予備処理を行うこと及び担持触媒を安定化させるために不動体化ステップも通常行われている。一般的な例において、金属塩が不活性支持体上に堆積し、高温において焼成されることで金属酸化物へと転換され、次いで原位置(in situ)において、活性純粋金属触媒に更に還元される。
【0005】
担持触媒は、石油における化学プロセス、石油化学及び化学産業のための不均一触媒反応において広範囲に使用されている。かかる反応は、一般的に液相における反応物及び生成物並びに固相における触媒の状態で行われる。不均一触媒反応において、反応は相の間の界面、即ち、反応物及び生成物の液相と担持触媒の固相との間の界面において起こる。従って、不均一担持触媒の表面の性質は、触媒を有効に使用する上での重要な要素である。
【0006】
例えば、担持された場合の活性触媒の表面積、及びこの表面積の反応物吸着及び生成物脱着に対する接近可能性が重要である。これらの要因は、触媒の活性、即ち、反応物の生成物への転換速度に影響する。
【0007】
一般的に、触媒活性は触媒表面積に比例する。従って、高比表面積が望ましい。しかしながら、表面積は反応物及び生成物並びに熱の流れに対して接触可能でなければならない。
【0008】
活性触媒材料は、支持体の外部及び/又は内部構造に担持することもできる。内部気孔率のせいで、しばしば支持体の内部構造が外部表面よりもより大きな表面積を有することができる。触媒表面による反応物の化学吸着は、その反応物の支持体の内部構造を通しての拡散によって先行される。
【0009】
従って、十分な量の活性触媒が支持体の内部構造に配置又は担持された場合、支持体の内部構造の反応物、生成物及び熱の流れに対する接近可能性が重要である。接触可能性は、気孔率及び気孔径分布によって決定される。触媒支持体として使用される活性炭素及びチャコールは、1g当たり約1,000平方メートルの表面積及び1ml/gmを超える気孔率を有することもある。しかしながら、この表面積及び気孔率の多くは(例えば、50%程度、しばしばそれ以上)、微小孔(即ち、2nm以下の細孔直径を有する細孔)にしばしば関係がある。これら細孔は、拡散限度のため接近できない。これらは容易にふさがれてしまいこれによって非活性化となる。それ故、細孔が主としてメゾ細孔領域(即ち、2〜50nm)又はマクロ細孔領域(即ち、50nm超)である高気孔率材料が最も望ましい。
【0010】
担持触媒が、使用中に破断したり磨滅したりしないことも、かかる破片が反応流に取り込まれる可能性があり、反応混合物から分離しなければならないので、重要である。磨滅した触媒を取り替える費用、磨滅した触媒を反応混合物から分離する費用及び生成物を汚染するリスクの費用は、全てプロセスの負担である。スラリー相において、例えば固体担持触媒をプロセス流からろ過し反応ゾーンにリサイクルする場合、磨滅した微粉がフィルターを詰まらせ、プロセスを混乱させる可能性もある。
【0011】
触媒及び触媒支持体の化学的純度も、触媒の選択性、即ち触媒が幾つかの生成物中から1つの生成物を生成する度合い、及び触媒の寿命に重要な影響を有する。それ故、触媒が最低限でも反応物及び生成物の化学的汚染への寄与を最小化することも重要である。触媒支持体の場合、触媒支持体が、支持する触媒及び化学的工程の両方に対する潜在的汚染源であるので、この点は一層重要である。更に、一部の触媒は、望ましくない競合反応を促進する、即ちその選択性に悪影響を与える、又は触媒を無効にする、即ち、触媒を「毒する」可能性のある汚染に対して特に鋭敏である。例えば、チャコール及び石油残留物から作られた市販のグラファイト又は炭素は、通常微量の硫黄又は窒素を含有している。天然資源の炭素は、生態系に共通であり、そしてその理由によって望ましくないかもしれない、これら材料並びに金属を含んでいることもある。
【0012】
担持触媒の効率に影響することのできる別の重要な要素は、支持体内又は支持体上の活性触媒の量並びに支持体自体を通しての又は支持体自体内の活性触媒の分布である。支持体内又は支持体上により多くの活性触媒を含有する担持触媒が、主に支持材料から成り活性触媒をほとんど含んでいない担持触媒よりも、一般的により良い結果と触媒活性を有している。更に、支持体を通して又は支持体内により均一に分散している触媒材料を有する担持触媒が、触媒材料の支持体内又は支持体上の分布が不十分な担持触媒よりも、一般的により高い収率と触媒活性を有している。
【0013】
カーボンナノチューブ
カーボンナノチューブは、触媒及び触媒支持体として使用するのに興味のある材料として知られている。カーボンナノチューブは、様々な形態で存在し、様々な炭素含有気体の金属表面における触媒分解を通して調製される。
【0014】
カーボンナノチューブ(フィブリルとしても知られている)は、蠕虫状の炭素堆積物で、1.0μ未満の、好ましくは0.5μ未満の、より好ましくは0.2μ未満の直径を有する。カーボンナノチューブは、多層(即ち、ナノチューブ軸にほぼ平行している2層以上のグラフェン層を有する)又は単層(即ち、ナノチューブ軸に平行している1層だけのグラフェン層を有する)のいずれでもあることができる。他の種類のカーボンナノチューブ、例えば、フィッシュボーンフィブリス(例えばここでは、グラフェン層がチューブ軸に対してヘリングボーン模様を示す)も同様に知られている。生成された時、カーボンナノチューブは、不連続ナノチューブ、凝集ナノチューブ(即ち、密で微細な粒子構造が、絡み合ったカーボンナノチューブを含む)又は両方の混合物の形態であることもできる。
【0015】
カーボンナノチューブの形成方法はよく知られている。例えば、Baker及びHarris,Chemistry and Physics of Carbon,Walker及びThrower ed.,Vol.14,1978,p.83;Rodriguez,N.,Journal of Materials Research,Vol.8,p.3233(1993);Oberlin,A.及びEndo,M.,Journal of Crystal Growth,Vol.32(1976),pp.335−349;米国特許第4,663,230号(Tennent);米国特許第5,171,560号(Tennent);lijima,Nature、vol.354,56,1991;Weaver,Science 265,1994;de Heer,Walt A.,「ナノチューブ及び用途の探求(Nanotubes and the Pursuit of Applications)」MRS Bulletin,April,2004など;「1nm直径の単一外殻カーボンナノチューブ(Single−shell carbon nanotubes of 1−nm diameter),S.Iijima及びT.Ichihashi、Nature,vol.363,p.603(1993);「単一原子層を有するカーボンナノチューブのコバルト触媒成長(Cobalt−catalysed growth of carbon nanotubes with single−atomic−layer walls)」,D.S.Bethune,C.H.Kiang,M.S.DeVries,G.Gorman,R.Savoy及びR.Beyers、Nature,vol.363,p.605(1993);米国特許第5,424,054号(Bethune他);Guo,T.,Nikoleev,P.,Thess,A.,Colbert,D.T.,及びSmally,R.E.,Chemical Physics Letters 243:1−12(1995);Thess,A.,Lee,R.,Nikolaev,P.,Dai,H.,Petit,P.,Robert,J.,Xu,C.,Lee,Y.H.,Kim,S.G.,Rinzler,A.G.,Colbert,D.T.,Scuseria,G.E.,Tonarek,D.,Fischer,J.E.,及びSmalley,R.E.,Science,273:483−487(1996);Dai.,H.,Rinzler,A.G.,Nikolaev,P.,Thess,A.,Colbert,D.T.,及びSmalley,R.E.,Chemical Physics Letters260:471−475(1996);米国特許第6,761,870号(Smalley他)(同じく国際公開第00/26138号);「バイメタルCo−Mo触媒上のCO触媒分解による単層カーボンナノチューブの管理生産」(Controlled production of single−wall carbon nanotubes by catalytic decomposition of CO on bimetallic Co−Mo catalysts),Chemical Physics Letters,317(2000)497−503;米国特許第6,333,016号(Resasco他)などである。これら参考文献は、全て参照として本明細書に組み込まれる。
【0016】
最も好ましいカーボンナノチューブの作製方法は、担持又はフリーフロートの触媒粒子を媒体とする、炭化水素又はCOなどの他の気体炭素化合物からの触媒成長によるものである。
【0017】
カーボンナノチューブは、絡み合ったカーボンナノチューブの密で微細な粒子構造の凝集物として形成することもでき、鳥の巣、綿菓子、コーマ糸又は解放ネットの形態に似ていてもよい。凝集物は、カーボンナノチューブ作製中に形成され、凝集物の形態は、触媒支持体の選択によって制御される。球形の支持体は、全ての方向にナノチューブを成長させ、結果として鳥の巣形態の凝集物を作る。コーマ糸及び解放ネットの凝集物は、1つ又は複数の容易に開裂可能な平面な表面を有する支持体、例えば、1つ又は複数の容易に開裂する表面、及びグラム当たり少なくとも1平方メートルの表面積を有する支持体材料上に堆積した鉄又は鉄含有の金属触媒粒子を使用して調製される。カーボンナノチューブ凝集物の形成に関する更なる詳細は、米国特許第6,143,689号(Moy)、米国特許第5,165,909号(Tennent他)、米国特許第5,456,897号(Moy他)、米国特許第5,707,916号(Snyder他、出願1991年5月1日)、PCT出願US89/00322(出願1989年1月28日)(“Carbon Fibrils”)国際公開第89/07163号、米国特許第5,456,897号(Moy他、出願1994年8月2日)、PCT出願US90/05498(出願1990年9月27日)(“Battery”)国際公開第91/05089号、米国特許第5,500,200号(Mandeville他、出願1995年6月7日)、米国特許第5,456,897号(出願1994年8月2日)及び米国特許第5,569,635号(Moy他、出願1994年10月11日)の開示において見出すことができる。これらの全ては、本発明と同じ譲受人に譲渡され、参照として本明細書に組み込まれる。
【0018】
カーボンナノチューブは、市販の連続炭素繊維とは区別できる。例えば、炭素繊維は、少なくとも10、しばしば10又はそれ以上の縦横比(L/D)を有する一方、カーボンナノチューブは、大きいことが望ましいが、しかし避けられない縦横比の限界がある(例えば、100未満又は100超)。更に、常に1.0μ超、一般的には5から7μである連続炭素繊維の直径は、通常1.0μ未満であるカーボンナノチューブの直径よりもはるかに大きい。またカーボンナノチューブは、炭素繊維よりずっと優れた強度及び伝導性を有する。
【0019】
またカーボンナノチューブは、標準的グラファイト及びカーボンブラックなど、他の種類の炭素と物理的及び化学的に異なる。標準的グラファイトは、その構造のため、ほぼ完全な飽和の状態まで酸化されることができる。更に、カーボンブラックは無定形炭素であり、一般的に無秩序な核の回りの炭素層などのグラフェン構造を有する球状粒子の形をしている。他方カーボンナノチューブは、ナノチューブの円柱軸の周りにほぼ同心円状に配置されている秩序正しい黒鉛状炭素原子の1つ又は複数の層を有する。これらの違いによって、特に、グラファイト及びカーボンブラックはカーボンナノチューブ化学の予測の判断材料となりにくい。
【0020】
カーボンナノチューブ構造体
カーボンナノチューブに加えて、カーボンナノチューブ構造体は、有用な触媒支持体及び触媒であることが知られている。カーボンナノチューブ構造体は、内部細孔構造の多くがメソ細孔(即ち2から50nm)及びマクロ細孔(即ち50μ超)の形態であり、他の既知の炭素触媒支持体を超えて、幾つかの構造上の利点を備えている。更に、カーボンナノチューブ構造体は、より大きな構造強度も有し、それ故他の既知の触媒支持体よりも、飛散したり磨滅したりすることが少ない。
【0021】
カーボンナノチューブには、それだけに限定されないが、集合物及び硬い多孔質構造体が含まれる。
【0022】
a.集合物は、三次元集合物の一次元、好ましくは二次元、最も好ましくは三次元軸に沿って比較的に均一な性質を有するカーボンナノチューブ構造体である(例えば、参照として本明細書に組み込まれる米国特許第5,691,054号)。一般的に、集合物(それだけに限定されないが、マット及びプラグを含む)は、カーボンナノチューブ凝集物の解凝集(de−aggregating)によって形成され、次いでこれら再組み立てして、最初の凝集物よりも大きな間隔にわたり均一な性質を有する集合物を形成する。ナノチューブのマット又は集合物は、カーボンナノチューブを水性又は有機性媒体中に分散し、次いでナノチューブをろ過してマット又は集合物を形成することによって調製される。マット及びプラグは、例えば、プロパンなどの有機溶媒の流体中でナノチューブのゲル又はペーストを形成し、次いでゲル又はペーストを、媒体の臨界温度を超える温度に加熱し、超臨界流体を除去し、得られた多孔質マット又はプラグを、工程が実施された容器から最終的に取り出すことによっても調製される。マット又はプラグ形成ステップ中に、粘着剤が存在してもよい。集合物が乾燥されるとき、粘着剤は、ナノチューブの相互接続点に濃縮される。好ましい粘着剤又は結合剤には、セルロース系ポリマー、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、セルロース、炭水化物、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(ジメチルシロキサン)、アクリルポリマー、及びフェノール樹脂が含まれる。ポリマーは、ナトリウム又はカリウム塩などアルカリ金属塩を含まないことが好ましい。
【0023】
b.硬質多孔性構造体は、個々の官能化カーボンナノチューブを、結合分子を使用せずに結合するか、又はカーボンナノチューブ凝集物を、粘着剤と接着するかのいずれかによって形成される。参照として本明細書に組み込まれる、米国特許第6,099,965号は、ある種の官能化ナノチューブは、適切な熱処理後自己接着性になることを開示している。カーボンナノチューブは、例えば、これらを適切な試薬に接触させるか(例えば、国際公開第97/32571号、米国特許第6,203,814号、これらの全ては参照として本明細書に組み込まれる)、又はこれらを塩素酸カリウム(KClO)、硫酸(HSO)、硝酸(HNO)、過硫酸塩、過酸化水素(H)、CO、O、水蒸気、NO、NO、NO、O、ClOなどの酸化剤と接触させる(例えば、米国特許第5,965,470号,国際公開第95/07316号,PCT/US00/18670号又は国際公開第01/07694号、これらの全ては参照として本明細書に組み込まれる)ことよって官能化される。酸化されたナノチューブは、エステル、無水物、ラクトン及びエーテル結合をこれらの間に形成するものと考えられる。
【0024】
粘着剤を使用する場合、ナノチューブは官能化されなくてもよく、また個別のチューブ又はこれらの凝集物の形で使用することもできる。好ましい粘着剤又は結合剤には、セルロース系ポリマー、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、セルロース、炭水化物、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(ジメチルシロキサン)、アクリルポリマー、及びフェノール樹脂が含まれる。ポリマーは、ナトリウム又はカリウム塩などアルカリ金属塩を含まないことが好ましい。
【0025】
工業用触媒支持体の一般的に許容される形式の成形には、“Catalyse de Contact”edited by J.F.Le Page,Paris,1978(参照として本明細書に組み込まれる)に示されるように、造粒、押出し、圧密化又は粉体凝集が含まれる。硬質多孔性構造体は、官能化ナノチューブのペースト状懸濁物又は作製した凝集物及び粘着剤の混合物を(場合によっては液体媒体と混合して)押出し、その後焼成ステップで随伴してきた液体を駆逐し、官能化ナノチューブを架橋するか又は粘着剤を熱分解することで有利に作ることもできる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
活性炭及び他の材料が触媒及び触媒支持体として使用されているが、カーボンナノチューブ構造体に比べて、これまでに選択された様々な石油化学及び精製プロセス処理に関し、高表面積、気孔率、気孔径分布、耐磨滅性及び純度の必須の品質を全て有しているものはない。更に、カーボンナノチューブ構造体と異なり、活性炭及び他の材料の表面積の多くは、接近できない微細孔の形をしている。
【0027】
従って、その中に十分に又は均一に分散した金属触媒を有するカーボンナノチューブ構造体を含み、結果として極めて接近可能な表面積、高気孔率、及び耐磨滅性を有しており、実質的に微細孔を含まず、高度に活性で、高い選択性があり、著しい非活性化無しで広範囲に使用できる担持触媒を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0028】
金属触媒をカーボンナノチューブ上に担持させて金属担持カーボンナノチューブを形成し、前記金属担持カーボンナノチューブからカーボンナノチューブ構造体を形成するステップを含む、担持触媒を調製する新規の方法が提供される。
【0029】
担持触媒が、官能化剤を用いてカーボンナノチューブを官能化して官能化カーボンナノチューブを形成するステップと、金属触媒を前記官能化カーボンナノチューブ上に担持させて金属担持カーボンナノチューブを形成するステップと、前記金属担持カーボンナノチューブからカーボンナノチューブ硬質多孔性構造体を形成するステップとを含むプロセスによって調製されることが好ましい。カーボンナノチューブ構造体中の金属触媒の分散が、はじめの金属担持カーボンナノチューブの金属触媒分散と同じか又はそれより大きいことが望ましい。
【0030】
特に多層ナノチューブに有用な、最も直接的な官能化は酸化である。有用な酸化剤には、それだけに限定されないが、塩素酸カリウム、硫酸、硝酸(HNO)、過硫酸塩、過酸化水素(H)、CO、O、水蒸気、NO、NO、NO、O、又はClOが含まれる。
【0031】
本発明の方法に有用な触媒又は触媒前駆体には、それだけに限定されないが、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金などの金属又はこれらの混合物、並びにこれだけに限定されないが、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、La、Ce、W 又はこれらの混合物を含む他の遷移金属の酸化物、ハロゲン化物、炭化物、窒化物、リン化物及び硫化物が含まれる。金属触媒又は金属触媒前駆体は、イオン交換、含浸法、インシピエントウェットネス法、沈澱、物理的又は化学的吸着或いは共沈など、周知のどの方法によってもナノチューブ上に担持させることができる。好ましい実施形態において、金属触媒はイオン交換によって官能化カーボンナノチューブ上に予備堆積又は担持される。即ち、前記金属触媒の塩を含有する溶液を、官能化カーボンナノチューブと混合し、塩が官能化カーボンナノチューブの官能基と反応することを可能にし、残留溶液(例えば、溶液からの過剰溶媒)を蒸発させる。別法として、金属触媒は含浸法又はインシピエントウェットネス法によってカーボンナノチューブ上に予備堆積又は担持される。即ち、多量のカーボンナノチューブを金属塩の溶液で含浸させ、溶媒を蒸発させるものである。別の方法として、多量のカーボンナノチューブの存在下で、金属塩を溶液から沈澱させ、前記の沈澱した金属塩を物理的又は化学的に前記ナノチューブ上に吸着させ、その後溶媒を蒸発させることもできる。
【0032】
カーボンナノチューブ構造体は、金属担持カーボンナノチューブを押し出すことによって形成した硬質多孔性構造体であることが好ましい。この金属担持硬質多孔性構造体は、構造的一体性を改良するために、更に焼成することもできる。
【0033】
別の方法として、構造体は、金属担持カーボンナノチューブの懸濁物をろ過して形成した集合物であることもできる。これらは、特に電気触媒作用に有用な、薄いマットの形を取るのが都合よい。この金属担持集合物は、構造的一体性を改良するために、更に焼成することもできる。
【0034】
別の方法として、カーボンナノチューブ構造体は、前記金属担持カーボンナノチューブを、セルロース系ポリマー、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、セルロース、炭水化物、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(ジメチルシロキサン)、アクリルポリマー、及びフェノール樹脂からなる群から選択される粘着剤又は結合剤と共に押出すことによって形成した硬質多孔性構造体である。これらポリマーは、ナトリウム又はカリウム塩などアルカリ金属塩を含まないことが好ましい。集合物を、その中に粘着剤も存在する懸濁物から金属担持カーボンナノチューブをろ過することによっても形成することができる。集合物を乾燥したとき、粘着剤はナノチューブの相互接続点に吸い上げられる。この場合もやはりこれら集合物は電気触媒作用に有用なマットの形が便利である。
【0035】
これら接着構造体は、いずれも焼成によって硬化することが望ましい。焼成は、空気が存在しても存在しなくても実施することができる。空気が存在する場合、焼成温度は300℃未満に制限される。不活性雰囲気中における焼成では、約300℃から約900℃までの温度で実施することもできる。
【0036】
本発明が、従来技術を超えて備えている他の改良点は、本発明の好ましい実施形態について説明する以下の記述の結果として明らかにされる。この記述は決して本発明の範囲を制限することを意図するものではなく、本発明の好ましい実施形態の例としてのみ提供するものである。本発明の範囲は、添付の特許請求範囲によって指摘される。
【0037】
添付図面は、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、本発明の代表的実施形態を図示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本明細書で参照する全ての特許、特許出願、及び特許公報は、その全体を参照として本明細書に組み込まれる。
【0039】
用語の定義
「ナノチューブ(nanotube)」、「ナノファイバー(nanofiber)」及び「フィブリル(fibril)」という用語は、単層又は多層層カーボンナノチューブを指すのに相互交換可能なものとして使用される。それぞれが、細長い構造を指し、好ましくは(例えば、エッジを有する角度のあるファイバー)断面及び1ミクロン未満(多層ナノチューブの場合)或いは5nm未満(単層ナノチューブの場合)の(例えば、丸みをおびた)直径を有する。「ナノチューブ」という用語には、「バッキーチューブ」及びフィッシュボーンフィブリルも含まれる。
【0040】
「凝集物(aggregate)」は、絡み合ったカーボンナノチューブの密で微細な粒子構造体を指す。
【0041】
「集合物(assemblage)」は、少なくとも1つの次元軸に沿って比較的に又は実質的に均一な物理的性質を有し、集合物内で少なくとも1つ又は複数の面が比較的に又は実質的に均一な物理的性質を望ましくは有する、即ち、これらがその面において等方性の物理的性質を有する構造を指す。集合物は、均一に分散した個別の相互結合したナノチューブ又はナノチューブの結合した凝集物の塊を含むこともできる。他の実施形態において、1つ又は複数の物理的性質に関して全集合物が比較的に又は実質的に等方性である。容易に測定でき、これによって均一性又は等方性を決定できる物理的性質には、抵抗性及び光学濃度が含まれる。
【0042】
「グラフェン(graphenic)」炭素は、炭素原子がそれぞれ他の3個の炭素原子と、六角形状縮合環を形成する基本的に平面な層において結合している形状の炭素である。この層は、その直径内に僅かな環だけを有する小板(platelet)又はその長さ方向には多くの環を有するが幅方向には僅かな環を有するリボンである。
【0043】
「グラフェン」炭素は、基本的にお互いが平行で、3.6オングストロームを超えて離れていない層からなる。
【0044】
「内部構造(Internal structure)」は、カーボンナノチューブの相対配向、ナノチューブ配向の多様性及び総体平均、ナノチューブのお互いの近接性、ファイバー間のすき間及び空間によって作られた空間又は細孔、空間及び/又は細孔の接続によって形成されたフローチャンネル若しくは経路の寸法、形状、数及び配向を含むカーボンナノチューブ構造体の内部構造を指す。別の実施形態によれば、構造は、集合物を形成する凝集粒子の寸法、空間及び配向に関連する特性を含むこともできる。「相対配向(relative orientation)」という用語は、個々のナノチューブ又は凝集物のその他に関する配向(即ち、整列対非整列)を指す。ナノチューブ又は凝集物配向の「多様性(diversity of)」及び「総体平均(overall average)」という用語は、構造体内ナノチューブの配向の範囲(構造体の外面に対する整列及び配向)を指す。
【0045】
「等方性(isotropic)」は、構造体の面又は容積内の物理的性質の全ての測定値が、測定の方向に関係なく一定値であることを意味する。空間の平均値を考慮するために、かかる非固体組成物の測定を、構造体の代表サンプルについて実施しなければならないことが理解される。
【0046】
「マクロ細孔(macropore)」は、50nm以上の直径を有する細孔を指す。
【0047】
「メソ細孔(mesopore)」は、2nm以上で50nm未満の直径を有する細孔を指す。
【0048】
「ミクロ細孔(micropore)」は、2nm未満の直径を有する細孔を指す。
【0049】
「不均一細孔構造(nonuniform pore structure)」は、個々の別個のナノチューブが、ナノチューブ間が実質的に不均一な間隔が空いた状態で実質的に不均一な方法で分布した場合に生ずる細孔構造を指す。
【0050】
「物理的性質(physical property)」は、例えば、表面積、抵抗性、流量特性、密度、気孔率など、固有の測定可能な細孔構造の性質を意味する。
【0051】
「細孔(pore)」は、伝統的に触媒又は触媒支持体の表面における開口部又はくぼみを指している。カーボンナノチューブを含む触媒又は触媒支持体は、かかる伝統的な細孔が欠落している。むしろ、これらの材料においては、個別のナノチューブ間の空間が細孔として振る舞い(本明細書では、これを細孔と称する)、ナノチューブ凝集物の等価細孔寸法を、細孔寸法及び細孔寸法分布を測定する従来の方法(ポロシメトリー)で測定することができる。凝集物の密度及び構造が変わると、等価細孔寸法及び細孔寸法分布は変わり得る。
【0052】
「比較的に(relatively)」は、場合に応じて、軸に沿って、又は構造体の平面内部又は容積内部で測定した場合の物理的性質の値の95%が平均値の±20%以内であることを意味する。
【0053】
「実質的に(substantially)」又は「主に(predominantly)は、場合に応じて、軸に沿って、又は構造体の平面内部又は容積内部で測定した場合の物理的性質の値の95%が平均値の±10%以内であることを意味する。
【0054】
「表面積(surface area)」は、当該技術分野において知られている物理吸着技術のBET技術によって測定可能な物質の全表面積を指す。窒素又はヘリウムを、表面積を測定するために吸着剤として使用することができる。
【0055】
「均一細孔構造(uniform pore structure)」は、個々の別個のナノチューブ又はナノファイバーが構造体を形成するときに起こる細孔構造を指す。この様な場合、粒子中の個別のナノチューブの分布は、ナノチューブ間が実質的に正則空間の状態で実質的に均一である。これら空間(従来の支持体における細孔に類似している)は、構造体の密度により変わる。
【0056】
好ましい態様の方法
本発明は、金属担持カーボンナノチューブ構造体を含む担持触媒を調製するための新しい方法を提供する。好ましい実施形態に従って調製した担持触媒は、カーボンナノチューブ構造体内の金属触媒のより良好な分布及びより良好な分散をもたらし、結果としてより良好な触媒活性を生み出すことができる。
【0057】
好ましい実施形態の方法は、金属触媒をカーボンナノチューブ上に担持させ、担持させたカーボンナノチューブからカーボンナノチューブ構造体を形成することを含む。本願を通して使用されるように、「金属触媒」にはかかる金属触媒の前駆体が含まれる。即ち、金属触媒がルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金などの金属又はこれらの混合物、並びにこれだけに限定されないが、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、La、Ce、W 又はこれらの混合物を含む他の遷移金属の酸化物、ハロゲン化物、炭化物、窒化物、リン化物及び硫化物を含む。
【0058】
カーボンナノチューブは、金属触媒担持前に官能化され、カーボンナノチューブ構造体が金属担持カーボンナノチューブを押し出すことによって形成される硬質多孔性構造体であることが好ましい。金属触媒を含有するカーボンナノチューブ構造体が、担持触媒を表す。金属触媒(金属触媒の前駆体の形状において)がカーボンナノチューブ上に担持される場合、焼成、還元、炭化、窒化、燐化、硫化などの様々な押出し後処理を、所望の触媒組成物を得るために適用することができる。
【0059】
従って、担持触媒及び担持金属触媒という用語は、本願において使用される場合、その上に堆積された金属塩(又は活性材料前駆体)を有する不活性支持体、焼成又は他の反応前処理を行った後の同じ材料、又はそれが反応ゾーンにおいてどの様な組成物であっても、その上に活性材料を有する不活性支持体のいずれも参照することができる。
【0060】
官能化
好ましい実施形態において、カーボンナノチューブ(個々のナノチューブの形態又は作製された状態の凝集物、或いは両方の混合物のいずれで生成されたものであってもよい)は、金属担持カーボンナノチューブが押出し又はその他によってカーボンナノチューブ構造体に作製される前に、金属触媒を予備堆積するか又は担持させる。作製されたカーボンナノチューブの全ての種類は、それが多層であっても或いは単層であっても、使用することができる。
【0061】
金属触媒のカーボンナノチューブ上への予備堆積又は担持を達成する好ましい方法は、金属触媒又はその塩と混合する前に、最初にカーボンナノチューブ表面を官能化することである。カーボンナノチューブの官能化は、酸素含有部分(moiety)などの官能基のカーボンナノチューブ表面上への置換をもたらし、その結果金属触媒のカーボンナノチューブ表面へのより良い付着が(吸着、水素結合、付着、静電気引力、共有結合、吸収、ファン・デル・ワールス力によるか又は金属触媒をカーボンナノチューブ表面に確保、支持、保持、さもなければ保存するかもしれないその他の機構のいずれかにより)もたらされる。官能化についての優良な調査論文は、参照として本明細書に組み込まれる、単層及び多層チューブの両方をカバーしている、Hirsch、A.及びVostrowsky、O.、「カーボンナノチューブの官能化(Functionalization of Carbon Nanotubes)」、Topics in Current Chemistry、 (2005)245:193−237である。
【0062】
官能化は、例えば、カーボンナノチューブを適切な試薬と接触させる(例えば、国際公開第97/32571号、米国特許第6,203,814号、これらは全て参照として本明細書に組み込まれる)、又は好ましくはこれらを塩素酸カリウム、硫酸、硝酸(HNO)、過硫酸塩、過酸化水素(H)、CO、O、水蒸気、NO、NO、NO、O、ClOなどの酸化剤と接触させることによって達成できる(例えば、米国特許第5,965,470号、国際公開第95/07316号、PCT/US00/18670号又は国際公開01/07694号、これらは全て参照として本明細書に組み込まれる)。
【0063】
カーボンナノチューブが凝集物の形状の場合、凝集物を解体又は解凝集すること及びこれらを官能化することの両方を行うことが好ましい。かかる課題は、カーボンナノチューブ凝集物を酸化させる、例えば塩素酸カリウム、硫酸、硝酸(HNO)、過硫酸塩、過酸化水素(H)、CO、O、水蒸気、NO、NO、NO、O、ClOなどの酸化剤と接触させる(例えば、米国特許第5,965,470号、国際公開第95/07316号、PCT/US00/18670号又は国際公開01/07694号、これらは全て参照として本明細書に組み込まれる)ことによって同時に達成される。作製されたままの凝集物を個別のカーボンナノチューブに解体することは、官能基のカーボンナノチューブ表面上へのより完全な分布を可能にし、同時に集合物、マット、硬質多孔性構造体など、他のカーボンナノチューブ構造体の作製を促進することを容易にするために、(必要ではないが)好ましい。それ故、酸化剤を使用する場合、「官能化」及び「酸化」という用語は、相互交換可能なものとして使用される。
【0064】
模範的実施形態において、カーボンナノチューブは、所望の官能化(及び凝集物の形状のカーボンナノチューブの場合には、解凝集)を達成するのに適した条件の下で、ナノチューブをオゾンと接触することで酸化される。更なる詳細は、参照として本明細書に組み込まれる、2004年10月22日出願、米国仮出願第60/621,132号、題目「カーボンナノチューブのオゾン分解(OZONOLYSIS OF CARBON NANOTUBES)」に示されている。特に単層チューブに適した特に有用な官能化方法は、付加環化である。例えば、Holzinger,M.他「架橋SWCNTのための[2+1]付加環化([2+1] cycloaddition for cross linking SWCNTs)」、Carbon42(2004)941−947及びGeorgakilas,V.他「カーボンナノチューブの有機官能化(Organic Functionalization of Carbon Nanotubes)」JACS Communications,124(2002)760,761(これらは両方とも参照として本明細書に組み込まれる)を参照されたい。別法として、単層チューブは、2004年6月23日出願の米国特許出願第10/875,435号に記載のように官能化することができる。
【0065】
官能化によって供される別の有用な目的は、金属触媒の堆積又は担持の後に残存する官能基が、個々のカーボンナノチューブがこれら残存官能基又はサイトを経由して結合し、例えば、集合物、硬質多孔性構造体などの付加的カーボンナノチューブ構造体を形成することを可能にすることである。残存官能基は、架橋剤、焼成、熱分解、炭化など周知の技法を用いて結合又は架橋することもできる。
【0066】
これら付加的カーボンナノチューブ構造体のその後の作製は、押出し、粘着剤、架橋、熱分解、炭化などのいずれかの方法又は組合せを用いて達成することができる。(例えば、米国特許第6,031,711号、米国特許第6,099,965号など、これらは全て参照として本明細書に組み込まれる)。
【0067】
金属触媒の予備堆積又は担持
好ましい金属触媒には、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金又はこれらの混合物並びにこれだけに限定されないが、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、La、Ce、W 又はこれらの混合物を含む他の遷移金属の酸化物、ハロゲン化物、炭化物、窒化物、リン化物及び硫化物が含まれる。金属触媒は、パラジウム、白金、又はこれらの混合物であることがより好ましい。
【0068】
カーボンナノチューブが事前に官能化されている場合、金属触媒のカーボンナノチューブの表面への予備堆積又は担持は、金属触媒材料をカーボンナノチューブと混合することによって遂行することができる。官能基の存在に起因するカーボンナノチューブの界面化学の変化により、金属触媒を、吸着、水素結合、付着、静電気引力、共有結合、吸収、ファン・デル・ワールス力又は金属触媒をカーボンナノチューブ表面に確保、支持、保持、さもなければ保存するかもしれないその他の機構を経由して、カーボンナノチューブ表面に保持又は担持することもできる。官能基が、その後個々のナノチューブを結合してカーボンナノチューブ構造体を形成するのに使用される場合、カーボンナノチューブ表面に堆積又は担持される金属の量は、金属触媒をカーボンナノチューブ表面に保持又は担持するのに必要な官能基に過剰でも「使い尽くす」ものでもないことが好ましい。換言すれば、金属触媒を予備堆積又は担持させた後に、自由な官能基がカーボンナノチューブ表面に残存することが好ましい。
【0069】
更に、金属触媒は、塩又は誘導体の形式の又は金属含有ミセル形式のカーボンナノチューブに導入することができる。前に説明したように、これらの形式はしばしば金属触媒の前駆体として参照されるが、本出願で使用されるときは金属触媒の用語に含まれる。金属は、例えば硝酸塩、酢酸塩又は塩化物などの水溶性塩の形式のカーボンナノチューブに導入することができる。塩としてカーボンナノチューブ上に担持された金属触媒は、更に金属触媒のカーボンナノチューブ表面上への堆積をなし遂げるために、次いで還元剤を通して還元することが好ましい。更に金属触媒が、溶液中の金属塩として導入された場合は、溶液の溶媒成分をその後に蒸発させることが好ましい。
【0070】
従来のどの混合装置又は混合機器も使用することができる。混合速度又は混合時間などの要素は、カーボンナノチューブと金属触媒の接触が促進され、カーボンナノチューブ上により良好な金属触媒分散を作り出すために、金属触媒が混合物を通して完全に分散するよう、適宜調節できる。
【0071】
カーボンナノチューブ表面へ金属触媒の予備堆積を遂行する更なる方法には、これだけに限定されないが、含浸法、インシピエントウェットネス法、イオン交換、沈澱、物理的又は化学的吸着及び共沈が含まれる。
【0072】
カーボンナノチューブ上に金属触媒が堆積したカーボンナノチューブは、「予備堆積カーボンナノチューブ」又は「金属担持カーボンナノチューブ」と呼ばれる。
【0073】
構造体
金属触媒が、カーボンナノチューブの表面に堆積したならば、次いでこれらの金属担持カーボンナノチューブを使用し、集合物、硬質多孔性構造体などのカーボンナノチューブ構造体を前述の従来の方法を用いて形成する。これらの方法には、押出し、造粒、圧密化などを含むこともできる。
【0074】
好ましい実施形態において、カーボンナノチューブ構造体は、金属担持カーボンナノチューブを押し出して硬質多孔性カーボンナノチューブ構造体(押出し物とも呼ばれる)を作り出すことによって形成される。押出しは、ダイ、1軸又は2軸押出機など、いずれの従来式押出し装置を用いてもなし遂げることができる。押出しの速度又は率は、押し出す材料の量に応じて変わる。
【0075】
前述の硬質多孔性構造体は、ナノチューブを、ナノチューブの相互接続点において他のナノチューブと結合又は接着させることにより形成される。結合は、「接着」剤を加える及び/又はナノファイバーを熱分解して相互接続点において溶融又は結合を生じさせて、結合を促進するためにナノチューブ表面を化学的に改質することによって引き起こすことができる。米国特許第6,099,965号(Tennent、参照として本明細書に組み込まれる)は、カーボンナノチューブから硬質多孔性構造体を形成する方法について説明している。
【0076】
金属担持カーボンナノチューブは、スラリーの形状で押出機に導入される。好ましいスラリー運搬物には、水及び他の非反応性溶媒が含まれる。押出しは、金属担持カーボンナノチューブに圧縮力及び剪断力をかけて、商業的に所望される形状の湿潤生成物を作り出す。押出機流出物は、通常乾燥及び焼成の前に便利なペレット形状に切り刻まれる。
【0077】
好ましい実施形態において、金属触媒が、カーボンナノチューブ構造体が作り出される前に既に堆積し分離した形状のカーボンナノチューブを通して分散及び分布しているので、結果として、カーボンナノチューブ構造体自体が、構造体を通じて及び構造体の内部において、より大きな及び/又はより均一な金属触媒の分布を有する。更に、カーボンナノチューブ構造体の気孔率特性(例えば、より多いメソ及びマクロ細孔)故に、金属触媒の反応に関する接近可能性及び有用性は、以前に調製された他の担持触媒構造物よりも大きい。この有用性の改良は、液相反応物が内部金属触媒に達するために大きな細孔が必要な液相反応において特に著しい。
【0078】
更に、好ましい実施形態によって調製したカーボンナノチューブ構造体は、押出し前の金属担持カーボンナノチューブに比較して、少なくとも同じか又はより多い量の金属触媒分散を有している。触媒分散は、反応に利用できる金属触媒粒子の百分率を測定する。換言すれば、40%金属触媒分散は、その金属触媒粒子の40%しか反応に利用できない−残りの60%は反応に利用できない(例えば、カーボンナノチューブの表面に結合し、中心部の粒子はできない)ことを意味する。触媒の分散は、カーボンナノチューブ表面に吸着された一酸化炭素などのガスの量を決定することで測定することもできる。従って、好ましい実施形態において、例えば、押出し前に50%の金属触媒分散を有している金属担持カーボンナノチューブは、好ましい実施形態に従って押出後に得られるカーボンナノチューブ構造体において、少なくとも50%又はそれを超える金属触媒分散を有している。その結果として、好ましい実施形態により調製した担持触媒(即ち、金属触媒を含有するカーボンナノチューブ構造体)は、触媒の分散が望ましくなく減少する(例えば、剪断力が個別の粒子を一緒にしてしまうため、これによって化学反応に参加するのに利用できる触媒粒子の数が減少する)他の既知の担持触媒よりも優れている。
【0079】
一旦押し出したならば、押出し物は乾燥し焼成することもできる。焼成は、空気又は不活性ガス中で、100〜300℃の温度範囲で行うこともできる。押出し物は、更に水素で還元するか又は他の試薬と反応して、炭化物、窒化物、燐化物又は硫化物を産することもできる。別の方法として、押出し物は400℃を超える温度において熱分解又は炭化して、相互接続点において溶融又は結合を生じさせ、続いて室温で不動体化することもできる。
【0080】
別の代替実施形態において、例えば、硬質多孔性構造体内のカーボンナノチューブ間の結合を促進することよって押出し物の機械的強度を更に改良するために、粘着剤及び/又は結合剤を使用することもできる。特に粘着剤及び水溶性ポリマー結合剤は、金属担持カーボンナノチューブを押し出す前にスラリーに加えることができる。これら結合剤の例には、ヒドロキシルエチルセルロース及びカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース系ポリマーが含まれる。他の粘着剤及び結合剤の例には、制限無しで、セルロース、炭水化物、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(ジメチルシロキサン)、フェノール樹脂、アクリルポリマーなどが含まれる。ポリマーは、ナトリウム又はカリウム塩などアルカリ金属塩を含まないことが好ましい。
【0081】
粘着剤を添加することで、ポリマー試薬中で分散金属前駆体と一緒になり、金属担持ミセルとしても知られている、金属ナノクラスターを形成することができる。これらミセルは、表面上の秩序構造へと自己組織化できる溶液中のポリ(スチレン−ブロック−アクリル酸)(PS−b−PAA)などの両親媒性ブロック共重合体から生成される。これは、PSマトリックス中にPAA領域の疑似六角形配列の創造を可能にする。PAAドメイン中のカルボン酸基は、イオン交換プロトコール中で、金属イオンを選択的に捕獲するのに使用することができる。得られた金属含有ナノクラスターはほぼ単分散であり、(直径<10nm)の寸法においてcm当たり粒子約1011の密度でパターン化されている。更に、ブロック共重合体の分子量を変えることでクラスターの寸法と間隔を調節することが可能である。例えば、低分子量のポリマーを選択すれば、その結果としてより小さな寸法のミセルが形成され、これはより小さな金属クラスター寸法へと更に転化される。
【0082】
好ましい実施形態において、担持触媒は、実質的にミクロ細孔を含まず、100m/gmを超える表面積及び直径1/8インチの押出し物では5psiを超える破壊力を有する硬質多孔性構造体を含む。硬質多孔性構造体の表面積は、好ましくは200m/gm超、より好ましくは250m/gmと1000m/gmの間である。カーボンナノチューブ押出し物は、0.2gm/cm超、好ましくは0.3gm/cm超の密度を有することもでき、これは押出しペーストの密度によって制御することができる。好ましい範囲は、0.3gm/cm〜1.0gm/cmを含む。押出し物は、約0.7gm/cmを超える液体吸収体積を有する。
【0083】
押出し物が、押出し前の金属担持カーボンナノチューブに比較して、同じか或いはそれより高い水準の金属触媒分散を有していることが更に好ましい。金属触媒の分散は、従来の化学吸着(即ち、化学的吸着)技術を用いて測定することができ、しばしば「見掛」分散と呼ばれる。例えば、カーボンナノチューブ構造体中のパラジウムなどの金属触媒の分散測定において、通常一酸化炭素が使用されるが、これはCO分子がPd分子に結合することが知られており、カーボンナノチューブを通してのPd触媒の見掛分散が計算或いは測定することもできることによる。
【0084】
カーボンナノチューブ構造体を含む自己担持触媒が、様々な方法において遭遇する閉塞問題を改良する高い内部空隙容積を有していることが見出された。更に、大きな細孔が優勢であることは、拡散又は物質移動が反応の限界である反応においてしばしば遭遇する問題を防ぐ。高い空隙率は、触媒の寿命を更に延ばす。
【0085】
これら触媒組成物は、水素化、水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱金属、水素化脱酸素、水素化脱芳香族、脱水素化、水素化分解、異性化、アルキル化、脱アルキル化、トランスアルキル化、ヒドロホルミル化、ウォーター−シフト、フィッシャー−トロプッシュ合成、COフリー水素生成、アンモニア合成、電気触媒、酸化、フッ素化及びNO低減などの触媒作用反応の触媒として使用することができる。
【実施例】
【0086】
例は、例示的なものであり、発明の範囲を限定するものと考えてはならない。本発明に関して数多くの変更及び修正を行うことが可能である。本明細書の例で使用した材料は、市場で容易に入手できる。
【0087】
以下の全ての実験において、カーボンナノチューブの凝集物は、Hyperion Catalysis International of Cambridge(マサチューセッツ州)で製造されたものを使用した。カーボンナノチューブの凝集物は綿菓子(「CC」)形態のもので、コーマ糸(「CY」)としても知られている。
【0088】
用語
便利な場合には、以下の例において以下の用語を使用してもよい。
【0089】
「HNO酸化CCカーボンナノチューブ粉末」は、その後HNOを用いて酸化し、次いで粉末形状に粉砕したCCカーボンナノチューブ凝集物のサンプルを指す。
【0090】
「Pd/ナノチューブ押出し物」は、Pd金属触媒を担持させた押出し物のサンプルを指す。Pd触媒の担持は、例中で使用される方法に応じて、押出し物形成の前でも後でもよい。
【0091】
「Pd/ナノチューブ粉末」は、Pdを担持させ、未だ押し出していない酸化カーボンナノチューブのサンプルを指す。
【0092】
「Pd/ナノチューブペレット」は、Pd金属触媒を担持させたペレットのサンプルを指す。 Pd触媒の担持は、例中で使用される方法に応じて、ペレットが形成される前でも後でもよい。
【0093】
(例1)
HNO酸化CCカーボンナノチューブ粉末は、HNO酸化CCカーボンナノチューブを予備破砕し、20メッシュの篩で篩分けすることによって作製した。0.148gのPdAcを含有するPdAc/アセトン溶液70mlを、7.0gのHNO酸化CCカーボンナノチューブ粉末を有する磁器製坩堝に注いでスラリーを生成し、次いでこれを磁気攪拌機で攪拌した。室温において大部分の溶媒を蒸発させた後、泥状のケーキを真空下、100℃で1〜2時間乾燥した。
【0094】
押出し処置を、Brabender装置を用いて実施した(PLASTI−CORDER(登録商標)3/4”Laboratory Extruder。スクリューは、25のフリットと3:1の圧縮比を有している。)。14.0gの脱イオン(「DI」)水を、6.0gの1wt%Pd/ナノチューブ粉末に、室温で加えた。この乾燥状混合物の固体含有量は約30%である。混合物を室温で30RPMで押し出し、得られた押出し物を真空オーブン中で100〜110℃において乾燥した。
【0095】
2つの押出し物のバッチを、異なる2種類のHNO酸化CCナノチューブのバッチから作製した。これら2つのカーボンナノチューブバッチの性質を以下の表1に示す。2つのバッチは同じ条件の下で作製された。しかしながら、バッチ1は硝酸酸化プロセスの後もウェットケーキの状態を維持しており、次いでPd担持の前に乾燥した。バッチ2は押出し物とし、次いでPd担持の前に粉砕した。
【表1】

【0096】
見掛けPd分散及び粒径などのPd/ナノチューブ 押出し物の物理的性質を、1CO分子が1Pd原子の上に吸着されると仮定し、一酸化炭素(CO)化学吸着を用いて室温において調査した。CO化学吸着の前に、サンプルを原位置(in situ)において、H流の下、300℃において2時間還元し、その後300℃において30分間排気した。結果を表2に示す。
【表2】

【0097】
表2に示すように、押出し前のPd/ナノチューブ粉末の両方のバッチは、非常に類似した見掛けPd分散を有していた(例えば、49.3%対50.1%)。バッチを押し出した後、Pd/ナノチューブ押出し物間の見掛けPd分散は異なっていたが(例えば、46.2%対52.6%)、実験誤差の内である。より重要なのは、これらのデータが、Pdを予備堆積したナノチューブが、基本的に分散の損失無しで押出し物へと製造できることを示していることである。
【0098】
2つのバッチの押出し物が、同じく異なる強度を示すことが更に観察された。バッチ1の押出し物は、指で破壊されて、フィンガースマッシュ試験に合格しなかった。一方、バッチ2の押出し物は、指では破壊されず、より強い構造体であることを示した。
【0099】
構造強度を更に調べるために、バッチ押出し物に破砕力試験を行った。バッチを最初にH下で2時間焼成した。H下での焼成が、いくらかの酸素官能基を除去しその結果破砕力を弱めてしまう可能性を取り除くために、2つのバッチ押出し物中で弱い方のバッチ1のサンプルについて、Ar下での焼成も実施した。結果を表3に示す。
【表3】

【0100】
Ar下で焼成したバッチ1押出し物の破砕強度は、H下で焼成したバッチ1押出し物の破砕強度よりも大きかったので、これらの結果によって、H下での焼成は破砕強度の低下を起こすことができることが確認される。
【0101】
表3から、バッチ2押出し物は、バッチ1押出し物より高い破砕強度を有しており、従って、バッチ1押出し物より構造的により強いことが確認される。バッチ2押出し物は、約7lb/inの平均破砕強度を有しているが、大きな標準偏差を持っている。
【0102】
破砕強度へのPd担持の影響を更に調べるために、バッチ2からPd触媒の担持無しの押出し物を作製した。バッチ2ナノチューブから作製されたPd担持有りと無しの場合の押出し物について、破砕強度を調べた。結果を表4に示す。
【表4】

【0103】
表4の結果は、バッチ2のPd/ナノチューブ押出し物が、Pd担持させていないバッチ2のナノチューブ押出し物よりも破砕強度が小さいことを示している。
【0104】
(例2)
(a)押出し後にPdを担持させた押出し物、対(b)Pdを担持させ押し出していないCCナノチューブ粉末の2つの担持触媒間の比較を行った。
【0105】
押出し物を、PAM−3Kポリマー結合剤と共にプレーンCCナノチューブから作製し、Ar中で600℃において2時間焼成した。次いで押出し物を、ガス相中のオゾンを用いて室温において48時間酸化した。滴定において示された酸力価は、約0.968meq/gであった。Pdを、室温においてPd(NH(NO溶液中のイオン交換によって押出し物上に担持させた。Pdの公称担持量は、約0.5wt%である。
【0106】
粉末CCナノチューブ上に担持したPd触媒を含む担持触媒を、類似の方法で作製した。即ち、粉末CCナノチューブは、ガス相中のオゾンを用いて室温において48時間酸化した。滴定において示された酸力価は、約1.35meq/gであった。Pdを、室温においてPd(NH(NO溶液中のイオン交換によって粉末上に担持させた。Pdの公称担持量は、約0.5wt%である。
【0107】
2種類の担持触媒における見掛けPd分散を、室温においてCO化学吸着によって測定した。測定値は、Pd/ナノチューブ押出し物に関して37.4%、担持Pd/ナノチューブ粉末に関しては47.9%であった。
【0108】
次に、2つの担持触媒のシクロヘキセン水素化における触媒活性を調べた。Pd押出し物を20〜40メッシュの顆粒に破砕し、原位置において40ml/分のHを用いて300℃で2時間還元した。Pd/ナノチューブ粉末は変えなかった。各担持触媒の10mgを反応装置に入れ、シクロヘキセン水素化を周囲温度及び周囲圧力で行った。総流量のバランスを保つために、20ml/分のHと40ml/分のArと共にシクロヘキセンを反応容器中で泡立てた。従って、HとArの比は1対2である。結果を図1及び2に示す。
【0109】
触媒間の性能の違いは、分散の違いから予測されるよりもずっと劇的である。従って、予備押出し物の高分散の達成が問題である(37.4%対47.9%)だけでなく、分散の差異からだけで説明できるよりも反応性能が低い。Pd金属触媒は、(押出し物形成以前のカーボンナノチューブ上への担持に代わって)押出し物上に担持されるため、押出し物中のPd原子の不均一な分布によって、低い触媒活性が生ずることが理論付けられている。換言すれば、Pdイオンの押出し物の外部から内部への拡散に問題があると考えられる。ナノチューブ上にしっかりと固定されたPdイオンの多くは押出し物の外部表面付近に位置し、押出し物の内部にはPdの少量部分しか存在しなかった可能性が大いにある。これは、押出し物の外部領域の大きなPd粒子、及び内部領域の小さなPd粒子につながるであろう。それ故、見掛けPd分散が低下した。押出し物を破砕した場合、一部の顆粒は大きなPd粒子によって高Pd担持されており、一方他の顆粒は、小さなPd粒子によって低Pd担持され、更に別の顆粒はいかなるPd粒子も有していないこともある。大きなPd粒子を含む又はPd粒子を含まない顆粒が優位を占める担持触媒混合物は、触媒活性が低いと考えられる。
【0110】
(例3)
室温におけるPd(NH(NO溶液中でのイオン交換によって、PdをHNO酸化CCナノチューブ(即ち、HNOで酸化したCC凝縮物)上に担持させた。溶液を蒸発すると、その上に0.5wt%Pdを担持したナノチューブが残った。Pd/ナノチューブを粉末に粉砕した。0.6gのHOを、0.2gのPd/ナノチューブ粉末に加えた。湿った粉末混合物の半分を1/2インチのペレットダイに入れた。ダイを室温で1,500psiの下、約30秒間加圧した。ペレットの厚さは約1.7mmである。ペレットは、真空下、100℃において3時間乾燥した。見掛けPd分散を、Pd/ナノチューブ粉末(即ち加圧前)及びペレット(即ちダイ加圧後)について、CO化学吸着によって測定した。結果を表5に示す。
【表5】

【0111】
表5は、Pd/ナノチューブペレットが、Pd/ナノチューブ粉末よりも高い見掛けPd分散を有していることを明らかにした。
【0112】
更に、これら担持触媒の触媒活性を、シクロヘキセン水素化に関して例2と同じ条件で調べた。結果を図3及び4に示す。図3及び4は、Pd/ナノチューブペレットが、Pd/ナノチューブ粉末よりも高い総括的触媒活性及びより驚くべきことに、シクロヘキセン水素化に関するより高い安定性の両方を有していたことを明らかにした。両方の触媒に関する顆粒寸法は、20メッシュと40メッシュの間であった。
【0113】
高い安定性に関して、シクロヘキセンの最初の転換は、両触媒に関してほぼ同じであった。しかしながら、図3及び4に見られるように、Pd/ナノチューブ粉末が存在する場合のシクロヘキセンの転換は、時間の経過と共に評価し得るほど減少し、実験に割り当てた350分以内において定常状態条件には達しなかった。一方、Pd/ナノチューブペレットが存在する場合のシクロヘキセンの転換は、相対的に僅かに減少し、実験に割り当てた時間以内で定常状態条件に達した。これらの結果は、その上にPdが予備堆積されたナノチューブから形成されたカーボンナノチューブ構造体は、その分散を保持しているだけではなく、これが反応性能に反映されることを示している。
【0114】
(例4)
例2の、Pd/ナノチューブ押出し物担持触媒を調製するプロセスを繰り返した。但し、Pd/ナノチューブ押出し物を2段階で粉砕した。最初の粉砕の後、小さな押出し物粒子は無視し、大きな押出し物粒子を選択的に捕集し、これを再度粉砕して篩別し、20と40メッシュの間の粒子を得た。押出し物の外側部分は、内側部よりも高い密度と強度を有しているので、大きな押出し物粒子は、押出し物の外側が起源であると思われる。また押出し物の外側部は、形成済みの押出し物上にPdを担持させるのに使用されたイオン交換法が原因で、押出し物の内側部より多いPd原子を含有しているであろう。
【0115】
この再サンプリングしたPd/押出し物担持触媒の触媒活性を、例2と同じ条件の下でシクロヘキセン水素化に関して調べた。新しい結果を図5の中白三角で示すが、比較のために例3からの結果も同様に示す。
【0116】
この例の再サンプリングしたPd/押出し物触媒は、Pd/ナノチューブ粉末と同程度の触媒活性を示した。
【0117】
(例5)
Pd/ナノチューブ粉末及びPd/ナノチューブペレットを、例3の0.5wt%Pd/ナノチューブ触媒サンプルに代えて、0.2wt%Pd/ナノチューブ触媒サンプルを調製したことを除き、例2に従って調製した。ペレットを破砕した粒子上へのシクロヘキセン水素化を実施した。結果を図6に示す。
【0118】
図6は、例3の結果と異なり、0.2wt%Pd/ナノチューブの粉末とペレットの触媒活性は同程度であったことを明らかにした。
【0119】
(例6)
CCナノチューブを、PAM−3Kポリマー結合剤と共に押し出した。次いで押出し物をAr中、600℃において2時間焼成し、35%HNOを用いて80℃において2時間官能化した。押出し物は、Pd担持の前に粉砕しなかった。
【0120】
Pd/ナノチューブ押出し物触媒の3つの担持を調製した。0.5wt%Pdを有する担持触媒を、Pd(NHCl溶液を用いた室温における24時間のイオン交換により調製した。
【0121】
1.5wt%及び3wt%のPdを有する担持触媒を、PdCl/HCl溶液を用いた室温でのインシピエントウェットネス含浸法により調製した。
【0122】
見掛けPd分散を、室温においてCO化学吸着により測定した。結果を表6に示す。表7に示すように、3.0wt%Pd/ナノチューブ押出し物触媒の見掛けPd分散を、様々な条件の下で酸化された他のPd/ナノチューブ粉末触媒と更に比較した。サンプルは、化学吸着の前に300℃において2時間還元した。
【表6】


【表7】

【0123】
(例7)
押出し物をHNOに代えてオゾンで酸化したことを除き、Pd/ナノチューブ押出し物を例6のプロセスを用いて調製した。全体の押出し物は、小片に割れることなく、室温におけるPd(NH(NO/HO溶液中のイオン交換によってPd担持された。Pdの公称担持量は、約0.5wt%であった。CO化学吸着により室温で測定した見掛けPd分散は37.4%で、これはオゾン酸化CCナノチューブ粉末上に担持されたPd触媒の47.9%より低かった。
【0124】
(例8)
例2と同じ方法を用いてCCナノチューブから調製した押出し物を、室温においてオゾンで酸化した。Pdの担持前に、0.5gのオゾン処理したCCナノチューブ押出し物を、1.0mlのDI水で水和し、真空下100℃で一夜乾燥した。2.5mgのPdを含有している3.0mlのPdAc/アセトン溶液を押出し物と混合し、過剰のアセトンを室温で蒸発させた。坩堝の壁に、いくらかのオレンジ色の固体が観察された。固体を溶解するために1〜2mlのアセトンを加えた。アセトンが蒸発したとき、固体の残量は減少している様に見えた。固体がほとんど消滅するまで、3回アセトンを加えて蒸発させた。
【0125】
Pd/ナノチューブ押出し物を、真空下60℃で1時間乾燥し、次いで100℃で更に1時間乾燥し、それからオーブン中で室温に冷却した。室温においてCO化学吸着で測定した見掛けPd分散は39.1%で、これは同じ手順で担持させたPd/ナノチューブ粉末(酸化剤としてオゾンを用いて調製したもの)の57.8%より低かった。
【0126】
(例9)
Pd分散及び押出し物強度についての加熱及び排気の影響について調べた。押出し物は、HNO酸化CCナノチューブ粉末の押出しにより作製した。これらを、Ar中、240℃において2時間焼成した。滴下において示された酸力価は、約0.668meq/gであった。0.5gのHNO酸化CCナノチューブ粉末及び押出し物を、十分に密封され、真空システムに接続されたフラスコ中で担持させた。フラスコを100mTorrに排気し、120℃、100mTorrで30分間加熱した。フラスコを室温に冷却してから、2.5mgのPdを含有する5.0ml(押出し物に関して3.0ml)のPdAc/アセトン溶液をフラスコに注入した。溶液を加えたときに幾つかの押出し物が崩れ、これによって加熱及び排気は、必ずしも押出し物の強度を改良しないことが確認された。過剰のアセトンは、室温において蒸発により除去された。触媒は、真空下100℃において1時間乾燥し、次いで40℃で一夜乾燥した。
【0127】
比較のために、ほぼ同程度の触媒(即ち、サンプル3及び5)を、加熱及び排気を適用することなく調製した。見掛けPd分散を、室温においてCO化学吸着を用いて測定した。結果を表8に示す。
【表8】

【0128】
表8は、加熱及び排気処理が必ずしもPd分散を改良しないことを明らかにした(即ち、サンプル3対4、サンプル5対6)。
【0129】
(例10)
大きな表面積を有する支持体上に少量の貴金属を導入し、均一に分散させるためには、競合イオン交換が通常使用される。物質移動を改良するのを支援するため、粉末上よりも、円筒状ペレット上に金属触媒を担持させるために使用される場合の方がより効果的である。この例において、押出し物上に担持された0.5wt%のPd触媒の調製におけるPd(NHに関する競合イオンとして、NHが選択された。
【0130】
0.5gのオゾン酸化プレーンCCナノチューブを押し出して、押出し物を形成した。押出し物を、25mlのPd(NH(NO並びに2.5mgのPd及び61.7mgのNHAcを含有するNHAc水溶液を有するフラスコに加えた。混合システムを、室温において、機械式攪拌機を用いて24時間攪拌した。触媒を、ろ過しDI水で完全に洗浄した後、真空下、100℃において2時間乾燥した。見掛けPd分散を、室温においてCO化学吸着を用いて測定した。結果を表9に示す。
【表9】

【0131】
(例11)
担持触媒11を、室温における5.0mlのPdAc/アセトン溶液を用いた含浸により調製した。含浸の前に、オゾン酸化CCナノチューブ粉末は水で水和し、真空オーブン中で100℃において3時間乾燥した。
【0132】
担持触媒12を、2つの相違点、1)ナノチューブは予備水和しなかった、2)PdAcは、アセトンに代わってメタノール中に溶解した、を除き担持触媒11と同じ手順に従って調製した。
【0133】
担持触媒13を、2つの相違点、1)ナノチューブは予備水和しなかった、2)PdAcは、アセトン/水混合物中に溶解した、を除き担持触媒11を作製したのと同じ手順に従って調製した。混合物は、4mlのPdAc/アセトン溶液及び1mlのDI水を含有している。
【0134】
見掛けPd分散を、室温においてCO化学吸着によって測定した。結果を表10に示す。
【表10】

【0135】
表10は、Pd担持前のオゾン酸化ナノチューブの水和がアセトンを溶媒として使用した場合にPd分散を増加できることを明らかにした。
【0136】
(例12)
10gのCC型カーボンナノチューブを、200ccの丸底フラスコに入れ、100mlの63%硝酸を加えて温度を還流条件に上昇させて2時間保持した。次いで生成物を冷却し、ろ過し、脱イオン水で完全に洗浄して80℃で乾燥した。次いで指定された担持状態のアンモニウムヘプタモリブデートを、インシピエントウェットネス含浸法で酸化カーボンナノチューブに加えた。次いで金属担持カーボンナノチューブ中の固体含有量を測定し、その後押出しを行う前に、溶媒を加えるか又は過剰な溶媒を取り除くことにより、固体含有量を30〜40%に調節した。次いで得られた押出し物を乾燥し、空気中で250〜300℃で焼成した。担持モリブデン酸化物の硫化を、水素/チオフェン混合物(H中の10%チオフェン)中、400℃において実施し、Mo硫化物をカーボンナノチューブ構造体上に担持させた。前記の触媒について、チオフェン水素化物脱硫の触媒作用が可能であることを試験した。
【0137】
(例13)
脱イオン水(50ml)中のCrCl.HO(3.15g)溶液を、丸底フラスコ中で調製する。次いで25.0gの酸化カーボンナノチューブ(CC型)を上記溶液に加え、スラリーをロータリーエバポレーターで室温及び周囲圧力で2時間攪拌する。次いで、真空下で水分を除去し、押出し前のウェットケーキ中の固体含有量を25〜40%に調節する。押出し物を更に窒素中130℃において20時間乾燥する。回収した触媒は、重量26.65gで、約7.5重量%のCrClを含んでいた。反応、CHClのフッ素化、をニッケル合金反応容器で調査する。275℃及びHFのCHClに対する比率が4において、反応1時間後にCHの50%選択性に達することができる。
【0138】
(例14)
CC型多層カーボンナノチューブを、最初に丸底フラスコ中で還流条件下、63%の硝酸により4時間酸化する。ろ過し、脱イオン水で完全に洗浄した後、フィルターケーキを更に音波処理の下、水中に分散する。このナノチューブ懸濁物の固体含有量を0.05wt%未満に維持する。
【0139】
米国特許第6,827,919号に記載されている方法によって作製される単層ナノチューブは、前述と同様の方法で最初に硝酸で酸化される。得られたナノチューブは金属触媒を含んでおらず、出来上がった状態の材料に比べて、小さくて短いバンドル状である。ろ過し、脱イオン水及びアセトンで順次完全に洗浄した後、生成物を真空下、室温で慎重に乾燥する。乾燥した単層ナノチューブを、米国仮出願第60/621,132号(2004年10月22日出願)で開示されている方法を使用して、オゾンで更に処理する。この方法では、カルボキシル、ヒドロキシル、カルボニル及びラクトンなどの官能基が、より効率的にナノチューブの表面に生成される。希釈したエチレングリコール(エチレングリコール対DI水の容積比率が3:2)中で、KPtClを120〜130℃において8時間還流し、次いでPt粒子を予め処理した単層ナノチューブ上に堆積させる。単層ナノチューブ10mg当たり約1.5mgのKPtCl及び20mlの希釈したエチレングリコールを加える。生成物(Pt担持SWNTバンドル)を冷却し、遠心分離し、数滴のHCl(懸濁物を不安定化するための非酸化性酸)で僅かに酸性としたDI水で洗浄する。一般的な最終材料の金属担持は、10wt%Ptである。次いで、Pt担持単層ナノチューブに脱イオン水を加えて、均一な懸濁物を形成し、予め音波処理の下で作製した多層ナノチューブ懸濁物と混合する。最後に、得られた懸濁物を、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、ろ過し、慎重に乾燥して固体含有量を20〜40%とし、押し出して1/8インチの円筒状押出し物を形成する。最後に、これらの押出し物をアルゴン中で500℃において焼成し、架橋により硬質多孔性構造体物を形成する。生成物は、硬質多孔性構造体の多層ナノチューブ内部に固定された、102nmのPt粒子担持の単層ナノチューブの小さなバンドルより成る。
【0140】
使用された用語及び表現は、説明のための用語として使用されたものであり制限のためのものではなく、かかる用語又は表現の使用は、それの一部と示され記述されている特徴の均等物を排除することを意図するものではなく、本発明の範囲内で様々な改良が可能であることが認識される。
【0141】
従って、現在本発明の好ましいと考えられる実施形態について説明したが、当業者は、本発明の実際の範囲から逸脱することなく、別のそして更なる改良に気づくであろう。かかる改良及び変更は、特許請求の範囲に含めることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】例2に従って調製した、粉末及び押出し物形態の0.5wt%Pd担持触媒を用いたシクロヘキセン水素化結果を示す図である。
【図2】例2に従って調製した、粉末及び押出し物形態の0.5wt%Pd担持触媒を用いたシクロヘキセン水素化結果を示す図である。
【図3】例3に従って調製した、粉末及びペレット形状の0.5wt%Pd担持触媒を用いたシクロヘキセン水素化結果を示す図である。
【図4】例3に従って調製した、粉末及びペレット形状の0.5wt%Pd担持触媒を用いたシクロヘキセン水素化結果を示す図である。
【図5】例4に従って調製した、0.5wt%Pd担持触媒を用いたシクロヘキセン水素化結果を示す図である。
【図6】例5に従って調製した、0.2wt%Pd担持触媒を用いたシクロヘキセン水素化結果を示す図である。
【図7】本発明の様々な実施形態を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属触媒又は金属触媒前駆体を、カーボンナノチューブ上に担持させるステップと、
カーボンナノチューブ構造体を、前記金属担持カーボンナノチューブから形成するステップと
を含む、担持触媒の調製方法。
【請求項2】
カーボンナノチューブを、官能化剤を用いて官能化して官能化カーボンナノチューブを形成するステップと、
金属触媒又は金属触媒前駆体を、前記官能化カーボンナノチューブ上に担持させて、金属担持カーボンナノチューブを形成するステップと
を含む、担持触媒の調製方法。
【請求項3】
カーボンナノチューブを、官能化剤を用いて官能化して官能化カーボンナノチューブを形成するステップと、
金属触媒又は金属触媒前駆体を、前記官能化カーボンナノチューブ上に担持させて、金属担持カーボンナノチューブを形成し、前記金属触媒が、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金又はこれらの混合物からなる群から選択されるステップと、
カーボンナノチューブ構造体を、前記金属担持カーボンナノチューブから形成するステップと
を含む、担持触媒の調製方法。
【請求項4】
カーボンナノチューブを、酸化剤を用いて官能化して官能化カーボンナノチューブを形成するステップと、
金属触媒を、前記官能化カーボンナノチューブ上に担持させて、金属担持カーボンナノチューブを形成し、前記金属触媒が、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金又はこれらの混合物からなる群から選択されるステップと、
カーボンナノチューブ構造体を、前記金属担持カーボンナノチューブから形成するステップと
を含む、担持触媒の調製方法。
【請求項5】
前記酸化剤が、塩素酸カリウム、硫酸、硝酸(HNO)、過硫酸塩、過酸化水素(H)、CO、O、水蒸気、NO、NO、NO、O又はClOからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブ構造体が、前記金属担持カーボンナノチューブを押し出すことによって形成された硬質多孔性構造体である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記金属担持硬質多孔性構造体の焼成を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記カーボンナノチューブ構造体が、セルロース系ポリマー、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、セルロース、炭水化物、ポリエチレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(ジメチルシロキサン)、アクリルポリマー、及びフェノール樹脂からなる群から選択される粘着剤又は結合剤と共に、前記金属担持カーボンナノチューブを押し出すことによって形成された硬質多孔性構造体である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記金属触媒が、前記金属触媒の塩を含有する溶液を前記官能化カーボンナノチューブと混合し、前記溶液を蒸発することによって、前記官能化カーボンナノチューブ上に担持される、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記金属触媒が、含浸法、インシピエントウェットネス法、イオン交換、沈澱、物理的若しくは化学的吸着又は共沈によって前記官能化カーボンナノチューブ上に担持される、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
カーボンナノチューブを、酸化剤を用いて官能化して官能化カーボンナノチューブを形成するステップと、
金属触媒を、前記官能化カーボンナノチューブ上に担持させて、金属担持カーボンナノチューブを形成し、前記金属触媒が、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、La、Ce、W又はこれらの組合せの酸化物、ハロゲン化物、炭化物、窒化物、リン化物及び硫化物からなる群から選択されるステップと、
カーボンナノチューブ構造体を、前記金属担持カーボンナノチューブから形成するステップと
を含む、担持触媒の調製方法。
【請求項12】
チューブが、多層カーボンナノチューブである、請求項1又は11に記載の方法。
【請求項13】
チューブが、単層カーボンナノチューブである、請求項1又は11に記載の方法。
【請求項14】
前記カーボンナノチューブが、多層及び単層ナノチューブの混合物である、請求項1又は11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−520413(P2008−520413A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541475(P2007−541475)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/041603
【国際公開番号】WO2006/060168
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(593169485)ハイピリオン カタリシス インターナショナル インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】