説明

金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器

【課題】 従来の金属容器は、三角形状のコーナ部の底板、垂直長側板と垂直短側板が交わる周辺箇所に割れやひびを発生し、容器内の液体が漏れるという欠点があった。
【解決手段】 金属平面板である底板、この平面板と一体的に形成される連続した二枚の垂直側板、この二枚の垂直側板に連続して三角形に折り返され折り曲げて形成される三角形状のコーナ部を有する構造であり、コーナ部の斜面に沿って平面板、二枚の垂直側板の交点付近まで延び、かつ一枚の垂直側板の下方に平面板に対してほぼ平行に連続して延びるヘヤピン形状の空間を有するリブを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器に関し、特に三角形状のコーナ部を改良した金属薄板製容器の側板のコーナ部構造と改良した三角形状のコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器に関するものである。
【0002】
本発明は、金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器に関し、特に三次元動作をする金型を用いてプレス加工により、折り返され折り曲げて三角形状のコーナ部を有する側板を製作する金属薄板製容器の側板のコーナ部構造と三角形状のコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器に関するものである。
【0003】
本発明は、側板に部品を取り付ける金属薄板製容器に関し、特に容器の平面板(底板)の液体又は気体の排出口周辺にある側板に部品を取り付ける金属薄板製容器に関する。
【背景技術】
【0004】
従来の金属薄板で被覆された金属薄板箱として、箱体の展開形状に打ち抜きされた四角形の金属薄板を箱形に折曲形成している。金属薄板で箱を溶接で製作しているがこの金属薄板の板厚が薄く、溶接が困難になり、箱の製作に多くの時間を要していた。
【0005】
また、従来の金属薄板で被覆された金属パネル体及びパネル構造体として、箱体の展開形状に打ち抜きされた四角形の金属薄板を箱形に折曲しパネル体又はパネル構造体を形成している。金属薄板を底板(表面板)に対向する両側縁に所望の深さ(高さ)の長側板及び短側板と、これら長側板及び短側板の両端に連続して三角形に折り返して重ねたコーナ板を形成するように折曲している。
【0006】
従来の金属パネル体及びパネル構造体として、例えば下記特許文献1に示されている金属パネル体及びパネル構造体が知られている。
【0007】
この特許文献1に示されている金属パネル体及びパネル構造体は、三角形状のコーナ部の底板、垂直長側板と垂直短側板が交わる箇所、即ち底板、垂直長側板の垂直短側板が交点であるコーナ部の角部分に割れやひびを発生し、金属パネル体又はパネル構造体の容器内の液体が外部に漏れるという欠点があった。
【0008】
また、従来の金属薄板箱では、箱の平面板(底板)の排出口周辺の部品の取り付け、例えば継ぎ手(ニップル)を溶接で箱に取り付けているので、箱内の液体が外部に漏れ易く、箱の高さに制限があるので継ぎ手(ニップル)の箱への取り付け高さが制限されるという欠点を有している。
【特許文献1】特開2003−154600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、コーナ部に割れやひびを防止できる金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器を提供することにある。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、コーナ部の曲げ元部周辺の金属の延び幅を長くできる金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器を提供することにある。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、三次元動作をする金型を使用してコーナ部を折り曲げ加工で製作できる金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器を提供することにある。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、大量生産が可能な金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器を提供することにある。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、種々の材質に対応できる金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器を提供することにある。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、これまで溶接加工又はしぼり加工では困難であった例えば約0.1mmから約2mmの板厚を有する容器が容易に製作できる金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器を提供することにある。
【0015】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、平面板(底板)の液体又は気体の排出口の周辺部にある側板に部品を溶接なしに取り付けることができる金属薄板製容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明では、上記目的を達成するために、金属平面板、前記平面板と一体的に連続して形成される第一の垂直側板、前記第一の垂直側板に隣接し前記平面板と一体的に連続して形成される第二の垂直側板を有し、前記第二の垂直側板の内側に、前記第一の垂直側板と前記第二の垂直側板に連続して三角形に折り曲げて形成される三角形状のコーナ部を有するものにおいて、前記コーナ部の斜面に沿って前記第二の垂直側板の上方から前記第二の垂直側板の下方に、前記平面板、前記第二の垂直側板及び前記第一の垂直側板の交点付近まで延び、かつ前記第一の垂直側板の下方に連続して延びるリブを有することを特徴とする金属薄板製容器の側板のコーナ部構造としている。
【0017】
本発明では、上記目的を達成するために、金属平面板、前記平面板と一体的に連続して形成される第一の垂直側板、前記第一の垂直側板に隣接し前記平面板と一体的に連続して形成される第二の垂直側板、前記第二の垂直側板に隣接し前記平面板と一体的に連続して形成される第三の垂直側板、前記第一の垂直側板と前記第三の垂直側板に隣接し前記平面板と一体的に連続して形成される第四の垂直側板を有し、前記第二の垂直側板の内側に、前記第一の垂直側板と前記第二の垂直側板に連続して三角形に折り曲げて形成される三角形状の第一のコーナ部、前記第二の垂直側板の内側に、前記第二の垂直側板と前記第三の垂直側板に連続して三角形に折り曲げて形成される三角形状の第二のコーナ部、前記第四の垂直側板の内側に、前記第三の垂直側板と前記第四の垂直側板に連続して三角形に折り曲げて形成される三角形状の第三のコーナ部、前記第四の垂直側板の内側に、前記第一の垂直側板と前記第四の垂直側板に連続して三角形に折り曲げて形成される三角形状の第四のコーナ部を有するものにおいて、前記第一のコーナ部の斜面に沿って前記第二の垂直側板の上方から前記第二の垂直側板の下方に、前記平面板、前記第二の垂直側板及び前記第一の垂直側板の交点付近まで延び、かつ前記第一の垂直側板の下方に連続して延びる第一のリブ、前記第二のコーナ部の斜面に沿って前記第二の垂直側板の上方から前記第二の垂直側板の下方に、前記平面板、前記第二の垂直側板及び前記第三の垂直側板の交点付近まで延び、かつ前記第三の垂直側板の下方に連続して延びる第二のリブ、前記第三のコーナ部の斜面に沿って前記第四の垂直側板の上方から前記第四の垂直側板の下方に、前記平面板、前記第四の垂直側板及び前記第三の垂直側板の交点付近まで延び、かつ前記第三の垂直側板の下方に連続して延びる第三のリブ、前記第四のコーナ部の斜面に沿って前記第四の垂直側板の上方から前記第四の垂直側板の下方に、前記平面板、前記第四の垂直側板及び前記第一の垂直側板の交点付近まで延び、かつ前記第一の垂直側板の下方に連続して延びる第四のリブを有することを特徴とするコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器としている。
【0018】
本発明では、上記目的を達成するために、下部に表面から外側に突出する排出口を有する金属平面板、前記平面板と一体的に連続して形成され側面に部品取り付け部を有する側板からなり、前記平面板の前記排出口の上部に前記側板の前記部品取り付け部を配置したものにおいて、前記平面板の前記排出口の底面部位に前記側板の前記部品取り付け部の最低部位をほぼ位置させたことを特徴とする金属薄板製容器としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コーナ部の曲げ元部周辺の金属の割れやひびを防止できる金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器を得ることができた。
【0020】
本発明によれば、コーナ部の曲げ元部周辺の金属の延び幅を長くできる金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器を得ることができた。
【0021】
本発明によれば、種々の材質に対応できる金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器を得ることができた。
【0022】
本発明によれば、加工時間が短縮できる金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器を得ることができた。
【0023】
本発明によれば、三次元動作をする金型を使用してコーナ部を折り曲げ加工で製作できる金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器を得ることができた。
【0024】
本発明によれば、これまで溶接加工、しぼり加工では不可能であった例えば板厚0.1mmからの容器を容易に製作できる金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器を得ることができた。
【0025】
本発明によれば、平面板の液体又は気体の排出口周辺にある側板に部品を溶接なしに取り付けることができる金属薄板製容器を得ることができた。
【0026】
本発明によれば、側板に取り付ける部品の取り付け高さを低くできる金属薄板製容器を得ることができた。
【0027】
本発明によれば、容器に残存する液体又は気体の容量を最小限にできる金属薄板製容器を得ることができた。
【0028】
本発明の金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器の容器に使用する金属薄板の材料としては、ステンレス鋼薄板、亜鉛めっき鋼薄板、特殊コーティング鋼薄板、アルミニウム合金薄板、銅薄板等を採用する。また、使用する金属薄板の板厚としては、約0.1mmから約3mm、好適には約0.3mmから約0.8mmのものを使用する。
【0029】
本発明の金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器は、底板と複数の側板で構成されるか天板と複数の側板で構成される。
【0030】
本発明のコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器は、空調機(エアコンデイショナー)のドレインパン(排水容器)、雨樋、園芸用プランタン容器等に適用できる。
【0031】
本発明の部品を取り付ける金属薄板製容器として、空調機のドレインパンの外、液体の排出口を有する金属薄板製容器又は空気等の気体排出口を有する金属薄板製容器を採用してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施例を示す金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器の形成途中工程(第1期)の一部斜視図である。容器製作用板10は、横幅約2、000mm、縦幅約170mm、板厚約0.5mmで、一枚のステンレス鋼薄板で構成されている。この容器製作用板10は、底面板11に対向する両側縁に所望の深さ(高さ)約30mmを有する二枚の底面板11と一体的に連続した側面板12及び側面板13をプレス加工によって垂直に折り曲げて製作する。
【0034】
ついで、容器製作用板10の側面板12に全長約45mm、幅約3mmのリブ(押し出し突出部)r1及び側面板13に全長約45mm、約3mmのリブ(押し出し突出部)r2を金型を用いそれぞれ内側に押し出し加工(リブ加工)により設ける。容器製作用板10の側面板12のリブ(押し出し突出部)r1及び側面板13のリブ(押し出し突出部)r2は、それぞれゴルフのアイアン棒状を呈している。
【0035】
リブ(押し出し突出部)r1及びリブ(押し出し突出部)r2はそれぞれ、容器製作用板10の側面板12及び側面板13の上部の角部から斜め下方に角度約45度で傾斜し、側面板12及び側面板13の下部で、底面板11の上方で水平方向に平行に直線状に延びている。
【0036】
図2は、本発明の一実施例を示す金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器の形成途中工程(第2期)の一部斜視図である。図2に示されている金属薄板製容器20は、空調機の構成部品として使用されるのドレインパンで、金属薄板製容器20の一部として、主として底板21、長側板22、短側板23及び長側板24で構成されている。
【0037】
この金属薄板製容器20の長側板22及び短側板23を図1に示す点線に沿って折り曲げる。ついで折り曲げた金属薄板製容器20の長側板22及び短側板23のリブ(押し出し突出部)r1の一部を図2に示すように三角形状に折り返して重ねるように折り曲げる。短側板23は、短側板23とすきまを有する一枚の三角形状板とこの三角形状板の間にすきまの有するもう一枚の三角形状板を備えている。このように金属薄板製容器20の短側板23と長側板21に連続して三角形状に折り返して重ねている。この二枚の三角形状板でコーナ部C1を形成する。
【0038】
また金属薄板製容器20の長側板24及び短側板23を図1に示す点線に沿って折り曲げる。折り曲げた金属薄板製容器20の長側板24及び短側板23のリブ(押し出し突出部)r2の一部を図2に示すように三角形状に折り返して重ねるように折り曲げる。短側板23は、短側板23とすきまを有する一枚の三角形状板とこの三角形状板と間にすきまの有するもう一枚の三角形状板を備えている。このように金属薄板製容器20の短側板23と長側板24の両端に連続して三角形状に折り返して重ねて上記の二枚の三角形状板でコーナ部C2を形成する。
【0039】
この金属薄板製容器20の長側板22、短側板23、長側板24、折り返して重ねた三角形状のコーナ部C1及び折り返して重ねた三角形状のコーナ部C2は、リブ(押し出し突出部)r1及びリブ(押し出し突出部)r2とともに三次元動作をする金型を使用して折り曲げて製作される。
【0040】
図3は、本発明の一実施例を示す金属薄板製容器のコーナ部とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器の形成最終工程(第3期)の一部斜視図である。さらに、三次元動作をする金型を使用してコイニング成形加工で図3に示すように三角形状のコーナ部C1及び三角形状のコーナ部C2を短側板23に接触するように垂直に折り曲げる。
【0041】
即ち、金属薄板製容器20は底板21に対して長側板22及び短側板23を起立させながらコーナ部C1を三角形に折り返して起立させた後に折り返された直角三角形状のコーナ部C1を長側板22或いは短側板23の内面に重ねて四角形の箱に形成する。長側板22の角部面とこの長側板22に隣接する短側板23の角部面は直角に配置される。
【0042】
このように短側板23の内面に、長側板22と短側板23に連続して三角形に折り返され折り曲げて形成された三角形状のコーナ部C1を形成する。コーナ部C1は、二枚の相似形の直角三角形の薄板を折り曲げ、折り返したものである。
【0043】
その結果、金属薄板製容器20の一部は、一枚の水平に配置された底板21と垂直に配置された三枚の側板である長側板22、短側板23、長側板24、三角形状のコーナ部C1及び三角形状のコーナ部C2で構成される。このように、短側板23には、二枚の三角形状のコーナ部C1と三角形状のコーナ部C2が密着成形により設けられる。リブ(押し出し突出部)r1とリブ(押し出し突出部)r2は、コイニング角仕上げが施される。
【0044】
図3に示すように、リブ(押し出し突出部)r1は、短側板23の三角形状のコーナ部C1と長側板22の下方に跨って連続して形成され、リブ(押し出し突出部)r2は、短側板23の三角形状のコーナ部C2と長側板24の下方に跨って連続して形成される。
【0045】
図4は、本発明の一実施例を示す金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器のコーナ部周辺の拡大斜視図である。コーナ部C1は、長側板22及び短側板23に連続して薄板を二つの三角形に折り返して重ねた形状で、折り返し箇所にヘヤピン形状のリブ(押し出し突出部)r1を有している。リブ(押し出し突出部)r1は、金属薄板製容器20のコーナ部を有する短側板23と長側板22に沿って延び、金属薄板製容器20の内部に突出している。
【0046】
リブ(押し出し突出部)r1は、コーナ部C1の折り返し箇所の斜面側壁に沿って上方から下方に、底板21、長側板22及び短側板23の下方の交点の近くまで斜め下方に直線状に延びている。即ち、底板21、長側板22及び短側板23の三枚の板の三面が重なる角部の直上部(曲がり元部)周辺の近くまで斜め下方に直線状に延びている。
【0047】
リブ(押し出し突出部)r1は、長側板22及び短側板23の下方の交点の近くの曲がり元部で屈曲し、リブ(押し出し突出部)r1の下方部は金属薄板製容器20の長側板22の下方に底板21と長側板22との折り目近くの上方に長側板22に水平に直線状に延びている。このヘヤピン形状のリブ(押し出し突出部)r1は、その内部中央を貫通する空間を構成するヘヤピン形状の孔h1を有している。
【0048】
図5は、本発明の一実施例を示す金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器の斜視図である。図5に示すように、この実施例では、金属薄板製容器20は、上述のように形成された底板21、垂直長側板22及びこの垂直長側板22に隣接した二枚の三角形状のコーナ部C1及び三角形状のコーナ部C2を有する垂直短側板23と、この垂直短側板23に隣接した垂直長側板24とこの垂直長側板24に隣接した二枚の三角形状のコーナ部C3及び三角形状のコーナ部C4を有する垂直短側板25で構成されている。
【0049】
このように、本発明のこの実施例の金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器は、一枚の四角形状ステンレス鋼板製容器20であり、水平の配置された底板21、この底板21に対して垂直に配置された垂直長側板22及び垂直短側板23、及びこの底板21に対して垂直に配置された垂直長側板25及び垂直短側板24で構成されている。
【0050】
底板21と一体的に連続して形成された垂直長側板22及び垂直短側板23、垂直短側板23と垂直長側板24、垂直長側板24及び垂直短側板25及び垂直短側板25と垂直長側板22は、それぞれ直角に配置されている。
【0051】
上記の垂直短側板25は、上述のコーナ部C1及びコーナ部C2と同様な方法で形成された二つの三角形状のコーナ部C3及び三角形状のコーナ部C4を有する。また、リブ(押し出し突出部)r3は、垂直短側板25の三角形状のコーナ部C3と垂直長側板24の下方に跨って連続して形成され、リブ(押し出し突出部)r4は、垂直短側板25の三角形状のコーナ部C4と垂直長側板21の下方に跨って連続して形成される。
【0052】
このように、本発明の上記した一実施例の金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器によれば、三角形状のコーナ部C1、C2、C3及びC4の曲げ元部周辺にリブ(押し出し突出部)r1、r2、r3及びr4を設けたので、三角形状のコーナ部C1、C2、C3及びC4の斜面部の金属の延び幅を長くでき、金属を無理なく延ばすことができた。また、三角形状のコーナ部C1、C2、C3及びC4の折り曲げ加工時に金属が無理に延ばされることを防ぎ、三角形状のコーナ部C1、C2、C3及びC4の割れやひびをが防止できた。
【0053】
図6は、本発明の他の実施例を示すコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器の一部斜視図である。図6の金属薄板製容器30は、液体受け流し容器である空調機の構成部品であるドレインパンの実施例である。図6において、金属薄板製容器30の一部は、底板31、長側板32及び短側板33で構成されている。底板31は底板31の上面(表面)より下方に突出する凹部(溝部)31aを有し、短側板33は内方に突出する環状突出部33aを有している。
【0054】
底板31の凹部31aは、金属薄板製容器30の液体の排出口の役目をする。短側板33の環状突出部33aは、底板31の凹部31aの出口部の上部に位置している。この環状突出部33aは、内径が約22mmで、金属薄板製容器30の内側に約3mm突出し、短側板33と一体的に形成されている。
【0055】
図7は、本発明の他の実施例を示すコーナ部を有する側板を備えた有する金属薄板製容器に取り付けられるニップルの斜視図である。図7において、ニップル36は、環状の小径突出部36aと環状の大径部36bで構成されている。ニップル36の環状大径部36bは、平坦リング部36b1と環状リング部36b2で構成されている。
【0056】
図8は、本発明の他の実施例を示すコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器にニップルを取り付けた構成の斜視図である。図8に示すように、金属薄板製容器30は、底板31、長側板32、短側板33、長側板34及び短側板35で構成されている。この金属薄板製容器30は、短側板33の環状突出部33aとニップル36の環状の小径突出部36aのかしめ部に8箇所の段差をかしめて設けている。かしめ部に8箇所の段差をかしめて設けることにより、配管作業時に回り止めの役割を果たすことができる。このように、溶接作業を不要とした容器30が得られた。
【0057】
図9は、本発明の他の実施例を示すコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器にニップルを取り付けた場合の容器とニップルの断面図である。図9に示すように、金属薄板製容器30の短側板33の環状突出部33aとニップル36の環状の小径突出部36aは、カーリングかしめ加工により取り付けられる。図9に示すように、金属薄板製容器30の凹部(溝部)31aを除いた底板31の底面部位にニップル36の環状大径部36bの最低部位に一致するように取り付けている。
【0058】
このように、金属薄板製容器30の短側板33の環状突出部33aとニップル36の環状の小径突出部36aをカーリング加工することにより、金属薄板製容器30からの液体の漏れを防止できた。また、金属薄板製容器30の底板31の底面の位置とニップル36の環状の大径部36bの最低部を一致するようにニップル36を金属薄板製容器30に取り付けたので、金属薄板製容器30に残存する液体量を最小限にできた。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の本発明の一実施例を示す金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器の形成途中工程(第1期)の一部斜視図。
【図2】本発明の本発明の一実施例を示す金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器の形成途中工程(第2期)の一部斜視図。
【図3】本発明の本発明の一実施例を示す金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器の形成最終工程(第3期)の一部斜視図。
【図4】本発明の本発明の一実施例を示す金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器のリブ(押し出し突出部)周辺の拡大斜視図。
【図5】本発明の一実施例を示す金属薄板製容器の側板のコーナ部構造とコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器の斜視図。
【図6】本発明の他の実施例を示すコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器の一部斜視図。
【図7】本発明の他の実施例を示すコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器に取り付けられるニップルの斜視図。
【図8】本発明の他の実施例を示すコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器にニップルを取り付けた構成の斜視図。
【図9】本発明の他の実施例を示すコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器にニップルを取り付けた場合の金属薄板製容器とニップルの断面図。
【符号の説明】
【0060】
20・・・金属薄板製容器
21・・・底板
22・・・長側板
23・・・短側板
24・・・長側板
25・・・短側板
C1・・・コーナ板
C2・・・コーナ板
C3・・・コーナ板
C4・・・コーナ板
r1・・・リブ(押し出し突出部)
r2・・・リブ(押し出し突出部)
r3・・・リブ(押し出し突出部)
r4・・・リブ(押し出し突出部)
30・・・金属薄板製容器
31・・・底板
31a・・排出口
32・・・長側板
33・・・短側板
34・・・長側板
35・・・短側板
36・・・ニップル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属平面板、前記平面板と一体的に連続して形成される第一の垂直側板、前記第一の垂直側板に隣接し前記平面板と一体的に連続して形成される第二の垂直側板を有し、前記第二の垂直側板の内側に、前記第一の垂直側板と前記第二の垂直側板に連続して三角形に折り曲げて形成される三角形状のコーナ部を有するものにおいて、前記コーナ部の斜面に沿って前記第二の垂直側板の上方から前記第二の垂直側板の下方に、前記平面板、前記第二の垂直側板及び前記第一の垂直側板の交点付近まで延び、かつ前記第一の垂直側板の下方に連続して延びるリブを有することを特徴とする金属薄板製容器の側板のコーナ部構造。
【請求項2】
請求項1において、前記リブはヘヤピン形状であることを特徴とする金属薄板製容器の側板のコーナ部構造。
【請求項3】
請求項1において、前記リブは内部に空間を有することを特徴とする金属薄板製容器の側板のコーナ部構造。
【請求項4】
金属平面板、前記平面板と一体的に連続して形成される第一の垂直側板、前記第一の垂直側板に隣接し前記平面板と一体的に連続して形成される第二の垂直側板、前記第二の垂直側板に隣接し前記平面板と一体的に連続して形成される第三の垂直側板、前記第一の垂直側板と前記第三の垂直側板に隣接し前記平面板と一体的に連続して形成される第四の垂直側板を有し、前記第二の垂直側板の内側に、前記第一の垂直側板と前記第二の垂直側板に連続して三角形に折り曲げて形成される三角形状の第一のコーナ部、前記第二の垂直側板の内側に、前記第二の垂直側板と前記第三の垂直側板に連続して三角形に折り曲げて形成される三角形状の第二のコーナ部、前記第四の垂直側板の内側に、前記第三の垂直側板と前記第四の垂直側板に連続して三角形に折り曲げて形成される三角形状の第三のコーナ部、前記第四の垂直側板の内側に、前記第一の垂直側板と前記第四の垂直側板に連続して三角形に折り曲げて形成される三角形状の第四のコーナ部を有するものにおいて、前記第一のコーナ部の斜面に沿って前記第二の垂直側板の上方から前記第二の垂直側板の下方に、前記平面板、前記第二の垂直側板及び前記第一の垂直側板の交点付近まで延び、かつ前記第一の垂直側板の下方に連続して延びる第一のリブ、前記第二のコーナ部の斜面に沿って前記第二の垂直側板の上方から前記第二の垂直側板の下方に、前記平面板、前記第二の垂直側板及び前記第三の垂直側板の交点付近まで延び、かつ前記第三の垂直側板の下方に連続して延びる第二のリブ、前記第三のコーナ部の斜面に沿って前記第四の垂直側板の上方から前記第四の垂直側板の下方に、前記平面板、前記第四の垂直側板及び前記第三の垂直側板の交点付近まで延び、かつ前記第三の垂直側板の下方に連続して延びる第三のリブ、前記第四のコーナ部の斜面に沿って前記第四の垂直側板の上方から前記第四の垂直側板の下方に、前記平面板、前記第四の垂直側板及び前記第一の垂直側板の交点付近まで延び、かつ前記第一の垂直側板の下方に連続して延びる第四のリブを有することを特徴とするコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器。
【請求項5】
請求項4において、前記第一のリブ、前記第二のリブ、前記第三のリブ及び前記第四のリブはそれぞれヘヤピン形状であることを特徴とするコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器。
【請求項6】
請求項5において、前記第一のリブ、前記第二のリブ、前記第三のリブ及び前記第四のリブはそれぞれ内部に空間を有することを特徴とするコーナ部を有する側板を備えた金属薄板製容器。
【請求項7】
下部に表面から外方に突出する排出口を有する金属平面板、前記平面板と一体的に連続して形成され側面に部品取り付け部を有する側板からなり、前記平面板の前記排出口の上部に前記側板の前記部品取り付け部を配置したものにおいて、前記平面板の前記排出口の底面部位に前記側板の前記部品取り付け部の最低部位をほぼ位置させたことを特徴とする金属薄板製容器。
【請求項8】
請求項7において、前記側板の前記部品取り付け部に部品をカーリング加工により取り付けたことを特徴とする金属薄板製容器。
【請求項9】
請求項7において、前記部品は継ぎ手であることを特徴とする金属薄板製容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−95311(P2010−95311A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288229(P2008−288229)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(508334007)有限会社渡辺製作所 (1)
【Fターム(参考)】