説明

金属薄膜型磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムおよび磁気記録媒体

【課題】 環状三量体の析出が少なく金属薄膜型磁気記録媒体としたときに優れた電磁変換特性を発現する積層ポリエステルフィルムを提供すること。
【解決課題】 磁性層が設けられる表面Aの側に位置するポリエステル層Aと、バックコート層が設けられる表面Bの側に位置するポリエステル層Bとを備えた金属薄膜型磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステル層Aが、環状三量体の含有量が0.7wt%以下かつ固有粘度が0.4〜0.65であるポリエステルAを含み、表面Aの面粗さRaが0.5〜4nmであり、表面Bの面粗さが5〜20nmである金属薄膜型磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムとすること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは電磁変換特性、走行耐久性に優れた磁気記録媒体、特にデジタル信号を記録・再生する金属薄膜型磁気記録媒体、例えばデジタルビデオカセットテープ、データストレージテープ等のベースフィルムとして有用な金属薄膜型磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気記録媒体の高密度記録化の進歩はめざましく、例えば、強磁性金属薄膜を真空蒸着やスパッタリングなどの物理沈着法またはメッキ法により非磁性支持体上に形成させた強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の開発、実用化が進められている。
【0003】
強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の金属薄膜(磁性層)は、厚みが0.2μm以下となっており非常に薄く、高密度記録を実現している。更なる高密度記録を実現することを目的に磁性層の薄膜化はますます進み、厚みが100nm以下である記録媒体の開発が進んでいる。このため、非磁性支持体であるベースフィルムの表面状態が磁性層の表面性に影響する程度がますます大きくなってきている。すなわち、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の場合、非磁性支持体の表面状態が、そのまま金属薄膜の表面凹凸として発現し、それが記録・再生信号の雑音の原因となる。従って、非磁性支持体の表面は、できるだけ平滑であることが望ましい。
【0004】
一方、ベースフィルムの支持体としては製造コストで安価なポリエチレンテレフタレート(PET)の要望が高いが、ベースフィルムの長期保管や、金属蒸着時の熱負荷工程により、PETフィルム内部から環状三量体がフィルム表面へブリードアウトして結晶化し、ベースフィルムの表面に突起を形成して、ベースフィルムの平坦性を悪化させ、記録・再生信号の雑音の原因やテープのドロップアウトの原因となってしまう問題があった。この問題は金属薄膜の厚みが薄くなるにつれて、ますます顕著になってきている。
【0005】
環状三量体の析出を防止するために、磁性層を設けるベースフィルムの面にオリゴマの析出を防止させる皮膜層を設ける方法や、磁性層を設ける側のポリマーの重合触媒としてTiを用いる方法(特許文献1)、や積層フィルムであってそのバックコート層を設ける側のポリエステル層の含有する環状三量体を0.8wt%以下にする方法(特許文献2)が提案されているが、抜本的に磁性層を設けるベースフィルムの表面への環状三量体の析出を防止するまでにはいたらず、高密度化のため金属薄膜の薄膜化において問題となっている。
【0006】
環状三量体を減らす技術としてはポリマーの固相重合が知られているが、固相重合による環状三量体を減らしたポリマーの固有粘度は0.74程度と高く、ポリマー中の異物を減らすためのポリマーフィルターによる濾過をした場合、濾圧が上昇し、製膜ができず、強磁性金属薄膜型磁気記録媒体の支持体としては使用することができないという問題があった。
【特許文献1】特開2004−265551号公報
【特許文献2】特開2002−248723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、環状三量体の析出が少なく金属薄膜型磁気記録媒体としたときに優れた電磁変換特性を発現する積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、磁性層が設けられる表面Aの側に位置するポリエステル層Aと、バックコート層が設けられる表面Bの側に位置するポリエステル層Bとを備えた金属薄膜型磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステル層Aが、環状三量体の含有量が0.7wt%以下かつ固有粘度が0.4〜0.65であるポリエステルAを含み、表面Aの面粗さRaが0.5〜4nmであり、表面Bの面粗さが5〜20nmである金属薄膜型磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムを特徴とする。
【0009】
ここで、ポリエステル層Bが、環状3量体の含有量が0.7wt%以下かつ固有粘度が0.4〜0.65であるポリエステルBを含んでいることも好ましい。
【0010】
また、表面Aまたは表面Bの少なくとも一方の表面が皮膜層により形成されていることも好ましい。
【0011】
さらに、上記の金属薄膜型磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムの表面Aに強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録媒体も好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、環状三量体の析出がなく金属薄膜型磁気記録媒体としたときに優れた電磁変換特性を発現させ、かつ、ドロップアウトが少ない金属薄膜型磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の金属薄膜型磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルム(以下、単に積層ポリエステルフィルムということがある)は2層以上の積層構成を有しており、積層ポリエステルフィルムの最外層にあるポリエステル層がそれぞれポリエステル層Aおよびポリエステル層Bとなる。
【0014】
ここで、ポリエステル層Aは後に磁性層を設ける側の面(表面A)に位置しており、この表面Aはポリエステル層Aにより直接形成されることもあれば、後述する皮膜層により形成されることもある。同様に、ポリエステル層Bは、バックコート層を設ける側の面(表面B)に位置しており(表面Aの反対側の表面)、この表面Bはポリエステル層Bにより直接形成されることもあれば、後述する皮膜層により形成されることもある。
【0015】
上記のポリエステル層Aは、環状三量体の含有量が0.7wt%以下かつ固有粘度が0.4〜0.65であるポリエステルAを含んでいることが好ましく、また、ポリエステル層Bについても、環状三量体の含有量が0.7wt%以下かつ固有粘度が0.4〜0.65であるポリエステルBを含んでいることが好ましい(ポリエステルA、ポリエステルBという名称は便宜上のものであり、両者は同一のポリエステルでも異なるポリエステルであってもよい)。
【0016】
なお、3層以上の層構成とする場合、ポリエステル層Aとポリエステル層Bとの間にある層であって、ポリエステル層Aと直接積層されるポリエステル層を層Cとしたとき、層Cの含有する環状三量体量が0.7重量%より多い場合は、層Cからブリードアウトする環状三量体の析出を防止するため、ポリエステル層Aの厚みは0.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.7μm以上である。また、ポリエステル層Bの含有する環状三量体量が0.7重量%以下である場合、ポリエステル層Aと層Bとの間にある層であって、直接層Bとに積層されるポリエステル層を層D(ポリエステル層Dは3層積層の場合、上記ポリエステル層Cと同一となる)としたとき、層Dの含有する環状3量体量が0.7重量%より多い場合は、層Dからブリードアウトする環状3量体の析出を防止するため、ポリエステル層Bの厚みは0.5μm以上あることが好ましく、より好ましくは0.7μm以上である。
【0017】
前記ポリエステル層A、ポリエステル層Bに含まれるポリエステルA、Bとしては、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステルなどを用いることができるが、特に芳香族ポリエステルが好ましい。ポリエステルA、Bは同じ種類でも、異なる種類であってもよい。積層ポリエステルフィルムが2層より多い多層積層フィルムである場合、ポリエステル層A、ポリエステル層B以外の層に含まれるポリエステルとしては、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステルなどを用いることができるが、特に芳香族ポリエステルが好ましく、ポリエステルA、Bは同じ種類でも、異なる種類であってもよい。
【0018】
本発明におけるポリエステルとしては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環族ジカルボン酸などで示されるジカルボン酸成分と、エチレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール成分とから得られるポリエステルを用いることができ、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどを挙げることができる。これらの中でも特に工業上安価であるポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0019】
またポリエステルは、ホモポリマであっても共重合ポリマであってもよく、共重合成分としては、上記したジカルボン酸、ジオールを1種以上使用することができる。さらにはポリエチレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヒドロキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸なども使用することができる。
【0020】
本発明におけるポリエステルAの固有粘度は0.4〜0.65であることが好ましい。より好ましくは0.5〜0.63であり、特に好ましくは0.55〜0.6である。ポリエステルAの固有粘度が0.4未満であると、フィルム製膜時にフィルム破断が発生しやすくなり生産性が低下しやすい。また、ポリエステルAの固有粘度が0.65を超えると、ポリマーの溶融粘度が高くなり、ポリエステル樹脂中の異物を除去するためのフィルター濾過が困難となりやすい。本発明におけるポリエステルAは、環状三量体の含有量が0.7wt%以下であることが好ましい。より好ましくは0.7〜0.2wt%であり、さらに好ましくは0.6〜0.3wt%、より好ましくは0.5〜0.4wt%である。ポリエステルAに含有される環状三量体の量が0.7wt%を超えると、フィルムロールの長期保管や、金属蒸着時の熱負荷を受ける工程により、ポリエステル内部から環状三量体がフィルム表面へブリードアウトし、ベースフィルムの表面に突起を形成して、ベースフィルムの平坦性を悪化させる傾向がある。なお、環状三量体量が0.2wt%より小さいと、ポリエステルAを重合する過程での加熱処理時間が長くなりポリマーの劣化が進み、フィルム製膜時、異物の発生が多くなることがある。
【0021】
前記ポリエステルAは、種々のエステル化反応、エステル交換反応およびそれに引き続く重縮合反応により得られたポリエステル樹脂を、水分量が1,000ppm以下、酸素濃度が1,000ppm以下である不活性ガス雰囲気中であって、かつ実質的に不活性ガス非流通下その融点ないしその融点より80℃低い範囲の温度で2時間〜60時間加熱処理することにより、最適な固有粘度をもち、環状三量体の低減されたポリエステルとして得ることができる。
【0022】
本発明における積層ポリエステルフィルムの表面Aの面粗さRaは0.5〜4nm、好ましくは1〜3nm、より好ましくは1.5〜2.5nmである。表面Aの面粗さRa値が0.5nm未満であると、表面A上に真空蒸着により形成される強磁性金属薄膜層が平滑となり滑り性が低下し、磁性金属薄膜が磨耗してしまい磁気記録媒体の耐久性が低くなりやすい。また、表面Aの面粗さRaが4nmを超えると、該強磁性金属薄膜層が粗面となり、磁気記録媒体の電磁変換特性が低下しやすい。本発明における表面Aの面粗さRzは5〜50nmであることがフィルムの巻き取り性が向上するので好ましく、より好ましくは10〜30nmである。
【0023】
表面Aの面粗さRaは、ポリエステルAに含有させる不活性粒子の粒径と量により調整する方法や、ポリエステル層Aの最外面に皮膜層(以下、皮膜層Aという)を設ける方法により制御が可能であるが、特に皮膜層を設ける方法が、ポリエステル層Aからブリードアウトする環状三量体をブロックできるので好ましい。この皮膜層Aとしては、平均粒径が5〜50nm、より好ましくは10〜20nmの無機物質あるいは有機物質からなる不活性粒子を0.1〜30wt%含有していることが好ましい。
【0024】
皮膜層Aを形成する樹脂としてポリビニルアルコール、トラガントゴム、アラビアゴム、カゼイン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリエステルエーテル共重合体、水溶性ポリエステル共重合体等などが好ましく挙げられ、なかでも、セルロース誘導体と水溶性ポリエステル共重合体の高分子ブレンド体が特に好ましい。水溶性ポリエステル共重合体としては、ジカルボン酸成分とグリコール成分が重縮合したポリエステルであって、例えばスルホン酸基を有するジカルボン酸成分のような機能性酸成分を全カルボン酸成分の5モル%以上共重合せしめること、及び/又は、グリコール成分としてポリアルキレンエーテルグリコール成分を2〜70wt%共重合せしめることによって水溶性を付与したものが好ましいが、これらに限定されるものではない。スルホン酸基を有するジカルボン酸としては、好ましくは5−スルホイソフタル酸、2−スルホテレフタル酸などや、それらの金属塩、ホスホニウム塩などが使用でき、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が特に好ましい。5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合せしめる際の他のジカルボン酸成分としてはイソフタル酸、テレフタル酸などが好ましく、グリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコールなどが好ましい。セルロース誘導体は特に環状三量体の析出防止に寄与し、水溶性ポリエステル共重合体はセルロ−ス誘導体とポリエステルフィルム表面との接着性向上に寄与する。
【0025】
ポリエステル層Aに不活性粒子を含有させる場合、ポリエステルAに含有させる好ましい不活性粒子としては、例えば、(1)耐熱性ポリマー粒子(例えば、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステルなどからなる粒子)、(2)金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど)、(3)金属の炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど)、(4)金属の硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、(5)炭素(例えば、カーボンブラック、グラファイト、ダイヤモンドなど)、および(6)粘土鉱物(例えば、カオリン、クレー、ベントナイトなど)などのような無機化合物からなる微粒子が挙げられる。これらのうち、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒子、ポリアミドイミド樹脂粒子、その他酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、合成炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ダイヤモンド、またはカオリンからなる微粒子が好ましい。さらに好ましくは、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、その他酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、または炭酸カルシウムからなる微粒子である。これらの不活性粒子は1種または2種以上のものを使用してもよい。また界面活性化剤、帯電防止剤、各種エステル成分等、異なる成分を添加させてもよい。
【0026】
本発明における積層ポリエステルフィルムの表面Bは、面粗さRaが5〜20nmであることが好ましい。より好ましくは7〜15nmである。表面Bの面粗さRaが5nm未満であるとフィルムの巻取り性、耐ブロッキング性が不良となりやすい。一方、表面粗さRaが20nmを超えると、金属薄膜成形工程で、冷却キャンとの密着性が低下し、フィルムの熱負けの問題がおこりやすい。表面Bの面粗さRzは100〜400nmであるとフィルムの巻取り性がさらに向上するので好ましく、より好ましくは150〜300nmである。
【0027】
表面Bの面粗さRaは、ポリエステルBに含有させる不活性粒子の粒径と量により調整することができる。不活性粒子の好ましい平均粒径は50〜1,000nmであり、より好ましくは100〜500nmである。ポリエステルBに含まれる不活性粒子の好ましい含有量は0.01〜1.0wt%、より好ましくは0.1〜0.6wt%である。
【0028】
ポリエステルBに含有させる好ましい不活性粒子としては、例えば、(1)耐熱性ポリマー粒子(例えば、架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステルなどからなる粒子)、(2)金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど)、(3)金属の炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど)、(4)金属の硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、(5)炭素(例えば、カーボンブラック、グラファイト、ダイヤモンドなど)、および(6)粘土鉱物(例えば、カオリン、クレー、ベントナイトなど)などのような無機化合物からなる微粒子が挙げられる。これらのうち、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒子、ポリアミドイミド樹脂粒子、その他酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、合成炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ダイヤモンド、またはカオリンからなる微粒子が好ましい。さらに好ましくは、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、その他酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、または炭酸カルシウムからなる微粒子である。これらの不活性粒子は1種または2種以上のものを使用してもよい。また界面活性化剤、帯電防止剤、各種エステル成分等、異なる成分を添加させてもよい。
【0029】
ポリエステル層Bに用いられるポリエステルBは、固有粘度が0.4〜0.65であることが、ポリエステル樹脂中の異物を除去するため、溶融ポリマーをフィルター濾過がしやすくなる点から好ましく、より好ましいポリエステル0.55〜0.6である。
【0030】
また、ポリエステルBの環状三量体の含有量は0.7wt%以下であることが、ポリエステル層Bから析出する環状三量体がブリードアウトし、フィルムがロール状に巻かれた時に表面Aに転写することを抑制できる点から好ましく、より好ましくは0.6wt%以下である。下限値は、特に制限はないが、製造上の容易さ、コスト等の観点からみると、ポリエステルBの環状三量体の含有量は0.2〜0.7wt%であることが好ましく、0.3〜0.6wt%であることがより好ましい。
【0031】
前記ポリエステルポリエステル層Bに含まれるポリエステルBの製造方法としては前述のポリエステル層Aに用いられるポリエステルAの製造方法を用いることができる。
【0032】
ポリエステル層Bの最外面に皮膜層(皮膜ポリエステル層B)を設けると、ポリエステル層Bからブリードアウトする環状三量体が表面Bに析出することを抑制できるので好ましい。
【0033】
皮膜ポリエステル層Bは、金属薄膜成形加工時の冷却キャンとの摩擦により粒子の脱落を防止する点から粒子を含有していないことが好ましい。
【0034】
被膜ポリエステル層Bは、冷却キャンとの間で易滑性であって削られにくく、かつ、ポリエステルフィルムからの分解物を通さない機能を有するものであればよく、主として、水溶性高分子及び/又は水分散性高分子から構成され、好ましくは、水溶性高分子及び/又は水分散性高分子にシリコーン及びシランカップリング剤とが加わった組成物から形成されることが好ましい。
【0035】
被膜ポリエステル層Bに用いられる水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、トラガントゴム、アラビアゴム、カゼイン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリエステルエーテル共重合体、水溶性ポリエステル共重合体等が使用できる。また、水分散性高分子のエマルジョンとしては、ポリメタクリル酸メチルエマルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョン等が使用できる
シリコーンとしては、ポリジメチルシロキサン等のシロキサン結合を分子骨格にもつ有機ケイ素化合物が共有結合で多数つながった重合体が使用できる。シリコーンにより被膜層の易滑性が向上し、冷却キャンとの走行性、耐削れ性が確保される。またポリエステルフィルムを巻いたときのフィルム間のブロッキングが防止される。なおフッ素化合物を易滑剤として用いてもよい。
【0036】
シランカップリング剤としては、その分子中に2個以上の異なった反応基をもつ有機ケイ素単量体が挙げられ、その反応基の一つはメトキシ基、エトキシ基、シラノール基などであり、もう一つの反応基はビニル基、エポキシ基、メタアクリル基、アミノ基、メルカプト基などである。反応基としては水溶性高分子の側鎖、末端基およびポリエステルと結合するものが選ばれるが、シランカップリング剤としてビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が適用できる。シランカップリング剤はシリコーンの易滑剤層からの遊離防止に寄与し、さらに、被膜層とポリエステルとの接着性向上にも寄与する。
【0037】
本発明における積層ポリエステルフィルムの全厚みは2μm以上10μm未満であることが好ましく、より好ましくは4μm〜8μmである。
【0038】
本発明のフィルムにおける積層構造において、ポリエステル層Bの厚みの上限は全体厚みの8〜25%が好ましく、より好ましくは10〜20%である。ポリエステルBの厚みが全体厚みの8%未満であると、ポリエステルB中の不活性粒子が脱落しやすくなる。ポリエステル層Bの厚みが全体厚みの25%より厚くなると、ポリエステル層B中の不活性粒子の形状が表面Aに転写されることがある。
【0039】
本発明における積層ポリエステルフィルムは種々の方法により製造することが可能である。例えば、ポリエステル層Aとポリエステル層Bとの積層構造は、共押出し法により製造するのが好ましく、皮膜層Aおよび皮膜層Bの積層は塗布法により行うのが好ましい。もちろん、皮膜層は少なくともどちらか一方の表面に形成されていればよい。
【0040】
以下、二軸配向ポリエステルフィルムを例により説明する。
押出機にて必要に応じて不活性粒子を含有させたポリエステルAを溶融状態にしてさらにそのままフィルターにて高精度濾過し、また、別の押出機にて不活性粒子を含有させたポリエステルBを溶融状態にしてさらに別のフィルターにて高精度濾過したのち、フィードブロックにそれぞれ導き、溶融状態にて複合積層せしめる。ポリエステルAとポリエステルBとの積層厚みの比は、各層の押出機の押出量を調整することにより、上記記載の好適な積層厚み比にすることができる。3層以上に複合せしめる場合は、ポリエステルAとポリエステルBとを押し出す押出機のほかに、さらに押出機によりポリエステルCを溶融押出し、必要よりフィルターにて濾過せしめたのち、3層積層ができるフィードブロックに導き、ポリエステル層Aとポリエステル層Bとの間に積層せしめることができる。このようにして溶融積層せしめた後、融点(Tm)〜(Tm+70)℃の温度で口金より共押出ししたのち、10〜50℃のキャスティングドラム上で急冷固化して未延伸積層フィルムシートを得る。その後、上記未延伸積層フィルムを常法に従い、一軸方向(縦方向または横方向)に(Tg)〜(Tg+80)℃の温度(ただし、Tgはポリエステルのガラス転移温度)で2〜8倍の倍率で、好ましくは3〜7.5倍で延伸する。さらに必要に応じて、皮膜層Aあるいは皮膜層Bを形成するための塗液をフィルム表面に塗布して乾燥し、その後上記延伸方向とは直角方向に(一軸延伸方向とは直交する方向に)延伸配向させ、熱固定する製造方法により、本発明のフィルムを製造することができる。
【0041】
ポリエステル層A側の表面上に形成される皮膜層Aを形成するために塗布する塗液の固形分濃度としては0.01〜1wt%、より好ましくは0.04〜0.5wt%である。そして水性塗液には本発明の効果を妨げない範囲で、他の成分、例えば他の界面活性剤、安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、増粘剤、帯電防止剤などを添加することができる。
【0042】
ポリエステル層B側の表面上に形成される皮膜層Bを形成するために塗布する塗液の固形分濃度としては0.01〜1wt%、さらに好ましくは0.04〜0.5wt%である。そして水性塗液には本発明の効果を妨げない範囲で、他の成分、例えば他の界面活性剤、安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、増粘剤、帯電防止剤などを添加することができる。
【0043】
二軸延伸は例えば逐次二軸延伸法又は同時二軸延伸法で行うことができるが、所望するならば熱固定前にさらに縦方向あるいは横方向、またはその両方(縦と横方向)に再度延伸させ機械的強度を高めた、いわゆる強力化タイプとすることもできる。
【0044】
ポリエステル層A上に皮膜層Aを形成するためには、前述した通り、1軸方向への延伸を終えた段階で所定組成・濃度の塗液を基層フィルム上に塗布する方法をとればよい。その塗布方法としては、ドクターブレード方式、グラビア方式、リバースロール方式、メイヤーバー方式のいずれであってもよい。表面AのRaは皮膜層の微粒子、成分、ポリエステル層A内部の微細粒子の調整により制御することができる。ポリエステル層B上の皮膜層Bの形成に関しても同様の方法を用いればよく、皮膜層厚みは、塗布液の固形分濃度、塗布液厚みの調整により所望値に制御することができる。
【0045】
本発明においては、磁気記録媒体としてのヘッドタッチ、走行耐久性をはじめとする各種性能を向上させ、同時に薄膜化を達成するには、積層フィルムのヤング率を、縦方向および横方向でそれぞれ、通常4,000N/mm以上および5,500N/mm以上、好ましくは4,500N/mm以上および6,000N/mm以上、さらに好ましくは5,000N/mm以上および6,500N/mm以上である。また、ポリエステル層A、Bの結晶化度は、ポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合は30〜50%、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの場合は28〜38%であることが望ましい。いずれも下限を下回ると、熱収縮率が大きくなり、一方上限を上回るとフィルムの耐摩耗性が低下し、ロールやガイドピン表面と摺動した場合に白粉が生じやすくなる。
【0046】
本発明によれば、ポリエステル層Aの片面にポリエステル層Bが積層されてなる積層ポリエステルフィルム、さらには、該積層フィルムのポリエステル層Aの表面にさらに皮膜層Aが積層されている積層ポリエステルフィルム、さらにはポリエステル層Bの表面にさらに被膜層Bが積層されている積層ポリエステルフィルムのそれぞれをベースフィルムとする磁気記録媒体が同様に提供される。
【0047】
上記した本発明の積層ポリエステルフィルムから磁気記録媒体を製造する実施態様は、下記のとおりである。
【0048】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、表面Aに、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法により、鉄、コバルト、ニッケル、クロムまたはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物よりなる強磁性金属薄膜層を形成し、必要により表面Bに種々の方法でバックコート層を設けることにより磁気記録媒体とすることができる。強磁性金属薄膜層の厚みは20〜300nmであることが好ましい。
【0049】
また、本発明の積層ポリエステルフィルムは、上記強磁性金属薄膜層の表面にさらに、目的、用途、必要に応じてダイアモンドライクカーボン(DLC)などの保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、また必要により、表面Bに、種々の方法でバックコート層を設けることにより、特に短波長領域での出力、S/N、C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とすることができる。この蒸着型磁気記録媒体は、アナログ信号記録用Hi8、デジタル信号記録用デジタルビデオカセットレコーダー(DVC)、データ8ミリ、DDSIV用磁気テープ媒体として極めて有用であり、特にデジタルビデオテープ用途に使用すると優れた結果を得ることができ、好適である。またデータストレージテープ用途にしても優れた結果を得ることができ、好適である。また、光反応性のGe、Sb、Te等から成る映像データ記録用合金膜が形成され、映像データ等の記録が可能な光記録テープのベースフィルムとしても好適に用いることができる。
【実施例】
【0050】
本実施例で用いた測定法は次のとおりである。
【0051】
[測定法]
(1)フィルムの表面粗さRa値、Rz値
フィルムの表面の表面粗さRa値、Rz値は、原子間力顕微鏡(走査型プローブ顕微鏡)を用いて測定した。具体的には、セイコーインスツルメント(株)製の卓上小型プローブ顕微鏡(“Nanopics” 1000)を用い、ダンピングモードで、フィルムの表面を40μm角の範囲で原子間力顕微鏡計測走査を行い、得られる表面のプロファイル曲線よりJIS・B0601・Raに相当する算術平均粗さよりRa値を、十点平均粗さよりRz値を求めた。
なお、測定条件の詳細は以下のとおりである。

測定面 表面A 表面B
測定モード ダンピングモード ダンピングモード
測定方向 幅方向 幅方向
測定領域 40×40μm 40×40μm
スキャンスピード 380s/FRAME 380s/FRAME
スキャン回数 512本 512本
振幅モード LL(20%) HH(100%)

(2)ポリエステル中の環状三量体量
ポリエステル層Aまたはポリエステル層Bから削り出したポリエステル樹脂10mgを1mlの1,1,2,2−テトラクロルエタンにガラスアンプル中で200℃、10分間加熱して溶解し、冷却後内容物をクロロホルムで稀釈して25mlとし、得られた溶液を東洋曹達(株)の高速液体クロマトグラフHLC−802URを用いてクロロホルムを展開溶剤として分析した。
【0052】
(3)微細粒子の平均粒径
電子顕微鏡(電顕)試験台上に微細粒子粉体を、この粒子ができるだけ重ならないように散在せしめ、電顕(好ましくは透過型電子顕微鏡)により倍率100万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値をもって平均粒径とした。
【0053】
なお、この粒径をフィルムから求める場合には下記のa)手法等により求められる。
【0054】
a)フィルムの皮膜表面A上に金スパッター装置により金薄膜蒸着層を20〜30nm(χnm)で設け、電子顕微鏡(好ましくは走査型電子顕微鏡)により倍率10万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、この数平均値より2χnmを減じた値をもって粒径とする。
【0055】
(4)粒子の平均粒径
ポリエステルBに含有される粒子の場合、表面B側からポリエステル樹脂をプラズマ低温灰化処理法(たとえばヤマト科学製PR-503型)で除去し粒子を露出させる。処理条件は被膜や熱可塑性樹脂は灰化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択する。これをSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザー(たとえばケンブリッジインストルメント製QTM900)に結びつけ、観察箇所を変えて粒子数10,000個以上で次の数値処理を行い、それによって求めた数平均径Dを平均粒径とする。
【0056】
D=ΣDi/N
ここで、Diは粒子の円相当径、Nは個数である。ただし、皮膜層Bに微細粒子を含有する場合は、皮膜層Bを取り除いてから灰化処理を行う。
【0057】
ポリエステルAに含有される粒子の場合も同様な方法にて平均粒径を求める。ただし、皮膜層Aに微細粒子を含有する場合は、皮膜層Aを取り除いてから灰化処理を行う。
【0058】
(5)ポリエステル層A、Bの厚み、およびフィルム全体の厚み
フィルム全体の厚みはマイクロメーターにてランダムに10点測定し、その平均値を用いる。ポリエステル層A、Bの層厚については、相対的に薄いポリエステル層の層厚みを以下に述べる方法にて測定し、相対的に厚いポリエステル層の層厚みは、全厚みより皮膜層および相対的に薄いポリエステル層の層厚を引き算して求める。
【0059】
二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、深さ5,000nmの範囲のフィルム中の粒子の内最も高濃度の粒子に起因する金属元素、フィルム中に金属元素を含まない粒子を含有する場合は、ポリエステルフィルム重合時の最も高濃度に含有する触媒に起因する金属元素濃度(M)を測定する。金属元素濃度Mは一旦安定値1になったのち、単調に増加するかまたは減少して安定値2になる。この分布曲線をもとに、前者の場合は、(安定値1+安定値2)/2の粒子濃度を与える深さをもって、薄いポリエステル層の厚み(μm)とする。
【0060】
測定条件は、以下のとおりである。
【0061】
(a)測定装置
二次イオン質量分析装置(SIMS);パーキン・エルマー株式会社(PERKIN ELMER INC.)製、「6300」
(b)測定条件
一次イオン種:Cs2+
一次イオン加速電圧:3KV
一次イオン入射角:60°
一次イオン電流:150nA
ラスター領域:300μm×400μm
分析領域:ゲート9%
測定真空度:6.0×10−9 Torr
E−GUNN:0.5KV−3.0A
(6)ヤング率
JIS-Z-1702の規定された方法にしたがって、インストロンタイプの引っ張り試験機を用いて25℃、65%RHにて測定した。
【0062】
(7)ポリエステルの固有粘度IV
ポリエステル層Aまたは層Bから削り出したポリエステル樹脂を用いて、オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
【0063】
(8)磁気テープの製造および特性(電磁変換特性)評価
積層ポリエステルフィルムの表面Aに、連続真空斜め蒸着法により、コバルト100%の強磁性薄膜(膜厚150nm)を微量の酸素の存在下に形成させる。酸素濃度は強磁性金属薄膜の酸素含有量が金属に対する原子数比で5%となるように調整する。形成した強磁性薄膜の表面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜をCVD法で設け、さらに含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次設け、表面Bに、公知の方法でバックコート層を設ける。その後、8mm幅にスリットして磁気テープとする。このテープ50m長さをSONY製ハイエイトカセットに組み込みVTRカセットテープとした。このテープにSONY製家庭用VTR(商品名 EDV−6000)を用いてシバソク製のテレビ試験波形発生器(TG7/U706)により100%クロマ信号を記録し、その再生信号からシバソク製カラービデオノイズ測定器(925D/1)でクロマS/Nを測定した。
【0064】
次に実施例に基づき、本発明を説明する。
【0065】
[実施例1]
(ポリエステルAの製造方法)
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール70重量部、酢酸カルシウム0.09重量部を反応器に入れて180〜210℃にてエステル交換反応を施し、メタノールを留出させた。エステル交換反応が終了した時点でリン酸0.02重量部および三酸化アンチモン0.03重量部を添加し、引き続いて系内を徐々に減圧にし、60分で1mmHg以下とした。それと同時に徐々に昇温し290℃とした。重縮合反応を2時間実施し、その後吐出ノズルより水中に押し出しカッターによって径約5mm長さ約7mmの円柱状のチップとした(ポリマの等価球直径は6.4mmである)。
【0066】
得られたポリマの固有粘度は0.650であり、カルボキシ末端基濃度は25当量/10gポリマ、またポリマ中の環状三量体の量は1.3wt%であった。
【0067】
得られたポリマを150℃で減圧下に乾燥し、ついで窒素ガスで系内1.20kg/cmの微加圧にした。反応系内の酸素濃度は50ppm、水分12ppmである。該圧力で系内を保持し(非流通)、温度240℃で20時間熱処理を実施した後ポリマを取り出した。得られたポリマの固有粘度は0.60であり、カルボキシ末端基濃度は28当量/10gポリマであった。またポリマ中の環状三量体の量は0.30wt%であった。こうして得られたポリマに平均粒径60nmのシリカを0.02wt%含有させ、ポリエステルAを得た。
【0068】
(ポリエステルBの製造方法)
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール70重量部、酢酸カルシウム0.09重量部を反応器に入れて180〜210℃にてエステル交換反応を施し、メタノールを留出させた。エステル交換反応が終了した時点でリン酸0.02重量部および三酸化アンチモン0.03重量部を添加し、引き続いて系内を徐々に減圧にし、60分で1mmHg以下とした。それと同時に徐々に昇温し290℃とした。重縮合反応を2時間実施し、その後吐出ノズルより水中に押し出しカッターによって径約5mm長さ約7mmの円柱状のチップとした。(ポリマの等価球直径は6.4mmである)得られたポリマの固有粘度は0.650であり、カルボキシ末端基濃度は25当量/10gポリマ、またポリマ中の環状三量体の量は1.3wt%であった。こうして得られたポリマに平均粒径320nmのポリスチレン球を0.50wt%含有させ、ポリエステルBを得た。
【0069】
得られたポリエステルA、ポリエステルBを、それぞれ170℃で3時間乾燥後、2台の押し出し機に、厚みの比が5:1となるように調整して共押出しにより供給し、溶融温度280〜300℃にて溶融し、平均目開き1μmの鋼線フィルターで高精度ろ過したのち、マルチマニホールド型共押出しダイを用いて、ポリエステルAの片面にポリエステルBを積層させ、温度25℃のキャステイングドラム上にて急冷して厚さ84μmの未延伸積層ポリエステルフィルムを得た。押し出し時にはポリエステルAとポリエステルBともフィルター圧力上昇もなく押し出しができた。次にこのようにして得られた未延伸フィルムを予熱しロール延伸法で110℃で3.0倍に縦延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。中の環状三量体量は0.60wt%であった。
【0070】
この縦延伸フィルムに、皮膜層Aを設けるため、ポリエステル層Aの外側に下記組成・濃度の水溶液を、塗布厚み4.0μmでメイヤーバー方式にて塗布した。
【0071】
ポリエステル層A外側への塗布水溶液:
メチルセルロース 0.10wt%
水溶性ポリエステル 0.30wt%
平均粒径 12nmの球状シリカ 0.03wt%
また、皮膜層Bを設けるため、ポリエステル層Bの外側に下記組成・濃度の水溶駅を、塗布厚み4.0μmでメイヤーバー方式にて塗布した。
【0072】
メチルセルロース 0.12wt%
水溶性ポリエステル 0.30wt%
アミノエチルシランカップリング剤 0.01wt%
続いてステンターに供給し、110℃にて横方向に4.2倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを、220℃の熱風で4秒間熱固定し、全厚み6.4μmで、ポリエステル層Bの厚み1.0μmの積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムのヤング率は縦方向4,500N/mm、横方向6,500N/mmであった。この積層フィルムの他の特性、およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0073】
[実施例2]
(ポリエステルAの製造方法)
ポリマ中に平均粒径が60nmのシリカ粒子を無添加とした以外は実施例1と同様にしてポリエステルAを得た。
【0074】
(ポリエステルBの製造方法)
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール70重量部、酢酸カルシウム0.09重量部を反応器に入れて180〜210℃にてエステル交換反応を施し、メタノールを留出させた。エステル交換反応が終了した時点でリン酸0.02重量部および三酸化アンチモン0.03重量部を添加し、引き続いて系内を徐々に減圧にし、60分で1mmHg以下とした。それと同時に徐々に昇温し290℃とした。重縮合反応を2時間実施し、その後吐出ノズルより水中に押し出しカッターによって径約5mm長さ約7mmの円柱状のチップとした(ポリマの等価球直径は6.4mmである)。
【0075】
得られたポリマの固有粘度は0.650であり、カルボキシ末端基濃度は25当量/10gポリマ、またポリマ中の環状三量体の量は1.3wt%であった。
【0076】
得られたポリマを150℃で減圧下に乾燥し、ついで窒素ガスで系内1.20kg/cmの微加圧にした。反応系内の酸素濃度は50ppm、水分12ppmである。該圧力で系内を保持し(非流通)、温度240℃で20時間熱処理を実施した後ポリマを取り出した。得られたポリマの固有粘度は0.60であり、カルボキシ末端基濃度は28当量/10gポリマであった。またポリマ中の環状三量体の量は0.30wt%であった。こうして得られたポリマに平均粒径320nmのポリスチレン球を0.50wt%含有させ、ポリエステルBを得た。
【0077】
こうして得られたポリエステルAおよびポリエステルBを用いた以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0078】
[実施例3]
(ポリエステルAの製造方法)
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール70重量部、酢酸カルシウム0.09重量部を反応器に入れて180〜210℃にてエステル交換反応を施し、メタノールを留出させた。エステル交換反応が終了した時点でリン酸0.02重量部および三酸化アンチモン0.03重量部を添加し、引き続いて系内を徐々に減圧にし、60分で1mmHg以下とした。それと同時に徐々に昇温し290℃とした。重縮合反応を2時間実施し、その後吐出ノズルより水中に押し出しカッターによって径約5mm長さ約7mmの円柱状のチップとした(ポリマの等価球直径は6.4mmである)。
【0079】
得られたポリマの固有粘度は0.650であり、カルボキシ末端基濃度は25当量/10gポリマ、またポリマ中の環状三量体の量は1.3wt%であった。
【0080】
得られたポリマを150℃で減圧下に乾燥し、ついで窒素ガスで系内1.20kg/cmの微加圧にした。反応系内の酸素濃度は50ppm、水分15ppmである。該圧力で系内を保持し(非流通)、温度240℃で10時間熱処理を実施した後ポリマを取り出した。得られたポリマの固有粘度は0.5であり、カルボキシ末端基濃度は28当量/10gポリマであった。またポリマ中の環状三量体の量は0.65wt%であった。このようにしてポリエステルAを得た。
【0081】
(ポリエステルBの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルBを得た。
【0082】
こうして得られたポリエステルAおよびポリエステルBを用いた以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0083】
[実施例4]
(ポリエステルAの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルAを得た。
【0084】
(ポリエステルBの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルBを得た。
【0085】
このようにして得られたポリエステルを用いて、被覆層Bを設けなかった以外は実施例2と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0086】
[実施例5]
(ポリエステルAの製造方法)
実施例1と同様にしてポリエステルAを得た。
【0087】
(ポリエステルBの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルBを得た。
【0088】
このようにして得られたポリエステルを用いて、被覆層Aおよび被覆層Bを設けなかった以外は実施例2と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0089】
[実施例6]
(ポリエステルAの製造方法)
ポリマ中に平均粒径が60nmのシリカ粒子を0.1wt%含有させた以外は実施例1と同様にしてポリエステルAを得た。
【0090】
(ポリエステルBの製造方法)
実施例1と同様にしてポリエステルBを得た。
【0091】
このようにして得られたポリエステルを用いて、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0092】
[実施例7]
(ポリエステルAの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルAを得た。
【0093】
(ポリエステルBの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルBを得た。
【0094】
このようにして得られたポリエステルを用いて、被膜層Aを以下の塗液水溶液にて塗布した以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0095】
A層外側への塗布水溶液:
メチルセルロース 0.01wt%
水溶性ポリエステル 0.30wt%
[実施例8]
(ポリエステルAの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルAを得た。
【0096】
(ポリエステルBの製造方法)
平均粒径320nmのポリスチレン球を0.70重量%含有させた以外は実施例2と同様にしてポリエステルBを得た。
【0097】
このようにして得られたポリエステルを用いて、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
[実施例9]
(ポリエステルAの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルAを得た。
【0098】
(ポリエステルBの製造方法)
平均粒径200nmのポリスチレン球を0.30wt%含有させた以外は実施例2と同様にしてポリエステルBを得た。
【0099】
このようにして得られたポリエステルを用いて、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0100】
[比較例1]
(ポリエステルAの製造方法)
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール70重量部、酢酸カルシウム0.09重量部を反応器に入れて180〜210℃にてエステル交換反応を施し、メタノールを留出させた。エステル交換反応が終了した時点でリン酸0.02重量部および三酸化アンチモン0.03重量部を添加し、引き続いて系内を徐々に減圧にし、60分で1mmHg以下とした。それと同時に徐々に昇温し290℃とした。重縮合反応を2時間実施し、その後吐出ノズルより水中に押し出しカッターによって径約5mm長さ約7mmの円柱状のチップとした(ポリマの等価球直径は6.4mmである)。
【0101】
得られたポリマの固有粘度は0.650であり、カルボキシ末端基濃度は25当量/10gポリマ、またポリマ中の環状三量体の量は1.3wt%であった。このようにしてポリエステルAを得た。
【0102】
(ポリエステルBの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルBを得た。
【0103】
このようにして得られたポリエステルを用いて、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、金属薄膜蒸着工程時にブリードアウトするオリゴマーにより、十分な電磁変換特性を得ることができなかった。得られたフィルム特性およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0104】
[比較例2]
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール70重量部、酢酸カルシウム0.09重量部を反応器に入れて180〜210℃にてエステル交換反応を施し、メタノールを留出させた。エステル交換反応が終了した時点でリン酸0.02重量部および三酸化アンチモン0.03重量部を添加し、引き続いて系内を徐々に減圧にし、60分で1mmHg以下とした。それと同時に徐々に昇温し290℃とした。重縮合反応を2時間実施し、その後吐出ノズルより水中に押し出しカッターによって径約5mm長さ約7mmの円柱状のチップとした(ポリマの等価球直径は6.4mmである)。
【0105】
得られたポリマの固有粘度は0.650であり、カルボキシ末端基濃度は25当量/10gポリマ、またポリマ中の環状三量体の量は1.3wt%であった。得られたポリマを、常圧下ポリマ1kg当たり窒素ガスを60リットルの割合で流通させる以外は実施例1と同様にして熱処理を実施した。得られたポリマの環状三量体の量は0.40wt%であった。またポリマの固有粘度は0.75であり、カルボキシ末端基濃度は20当量/10gポリマであった。
【0106】
このようにして得られたポリエステルAを用いて実施例1と同様に押し出したところ、フィルター濾圧が上昇しフィルムを製膜することが得られなかった。
【0107】
[比較例3]
(ポリエステルAの製造方法)
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール70重量部、酢酸カルシウム0.09重量部を反応器に入れて180〜210℃にてエステル交換反応を施し、メタノールを留出させた。エステル交換反応が終了した時点でリン酸0.02重量部および三酸化アンチモン0.03重量部を添加し、引き続いて系内を徐々に減圧にし、60分で1mmHg以下とした。それと同時に徐々に昇温し290℃とした。重縮合反応を2時間実施し、その後吐出ノズルより水中に押し出しカッターによって径約5mm長さ約7mmの円柱状のチップとした(ポリマの等価球直径は6.4mmである)。
【0108】
得られたポリマの固有粘度は0.650であり、カルボキシ末端基濃度は25当量/10gポリマ、またポリマ中の環状三量体の量は1.3wt%であった。
【0109】
得られたポリマを150℃で減圧下に乾燥し、ついで窒素ガスで系内1.20kg/cmの微加圧にした。反応系内の酸素濃度は1,500ppm、水分1,800ppmである。該圧力で系内を保持し(非流通)、温度240℃で20時間熱処理を実施した後ポリマを取り出した。得られたポリマ中の環状三量体は0.45wt%であったが、ポリマの固有粘度は0.37であり、またカルボキシ末端基濃度は80当量/10gポリマであり、粘度低下が大きく、カルボキシ末端基濃度の高いポリマであった。このようにしてポリエステルAを得た。
【0110】
(ポリエステルBの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルBを得た。
【0111】
このようにして得られたポリエステルを用いて実施例1と同様にして製膜を実施したが、製膜時に膜破れが多発しフィルムを得ることができなかった。
【0112】
[比較例4]
(ポリエステルAの製造方法)
ポリマ中に平均粒径が70nmのシリカ粒子を0.1wt%添加とした以外は実施例1と同様にしてポリエステルAを得た。
【0113】
(ポリエステルBの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルBを得た。
【0114】
このようにして得られたポリエステルを用いて、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、表面Aの面粗さRaが4.3nmであり、十分な電磁変換特性が得られなかった。得られたフィルム特性およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0115】
[比較例5]
(ポリエステルAの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルAを得た。
【0116】
(ポリエステルBの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルBを得た。
【0117】
このようにして得られたポリエステルを用いて、被膜層Aを以下の塗液水溶液にて塗布した以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。
【0118】
A層外側への塗布水溶液濃度:
水溶性ポリエステル 0.30wt%
得られたフィルムは、表面Aの面粗さRaが0.4nmであり、磁性面が平滑となり摩擦が悪化することで走行耐久性が悪化するため、十分な電磁変換特性が得られなかった。得られたフィルム特性およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0119】
[比較例6]
(ポリエステルAの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルAを得た。
【0120】
(ポリエステルBの製造方法)
平均粒径400nmのポリスチレン球を0.40wt%含有させた以外は実施例2と同様にしてポリエステルBを得た。
【0121】
このようにして得られたポリエステルを用いて、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、表面Bの面粗さRaが22nmと本発明の範囲外であり、表面Bの表面突起の反対面への形状転写の程度が強く、十分な電磁変換特性が得られなかった。得られたフィルム特性およびそのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0122】
[比較例7]
(ポリエステルAの製造方法)
実施例2と同様にしてポリエステルAを得た。
(ポリエステルBの製造方法)
平均粒径200nmの球状シリカ粒子を0.10wt%含有させた以外は実施例2と同様にしてポリエステルBを得た。
【0123】
このようにして得られたポリエステルを用いて、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、表面Bの面粗さRaが3nmと本発明の範囲外であり、表面Bが平坦すぎて、良好な巻き取り性が得られず、フィルムにシワが入り、強磁性薄膜を蒸着する工程でフィルム破断をおこし、強磁性薄膜蒸着型磁気テープを得ることができなかった。
【0124】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性層が設けられる表面Aの側に位置するポリエステル層Aと、バックコート層が設けられる表面Bの側に位置するポリエステル層Bとを備えた金属薄膜型磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムであって、前記ポリエステル層Aが、環状三量体の含有量が0.7wt%以下かつ固有粘度が0.4〜0.65であるポリエステルAを含み、表面Aの面粗さRaが0.5〜4nmであり、表面Bの面粗さが5〜20nmである金属薄膜型磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルム。
【請求項2】
ポリエステル層Bが、環状3量体の含有量が0.7wt%以下かつ固有粘度が0.4〜0.65であるポリエステルBを含んでいる、請求項1記載の金属薄膜型磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルム。
【請求項3】
表面Aまたは表面Bの少なくとも一方の表面が皮膜層により形成されている、請求項1または2記載の金属薄膜型磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の金属薄膜型磁気記録媒体用積層ポリエステルフィルムの表面Aに強磁性金属薄膜層を設けてなる磁気記録媒体。

【公開番号】特開2006−347004(P2006−347004A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176151(P2005−176151)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】