説明

金属装填触媒を用いた立体障害の大きなアミノ−エーテルアルコール類の触媒的調製

本発明は、支持体として1種以上の規則的メソ細孔性材料に分散された形態で支持された1種以上の触媒活性金属の組み合わせをベースとした触媒を用いた、立体障害の大きなアミノ−エーテルアルコール類の製造法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体上に沈着させた1種以上の触媒活性金属成分を含んでなる触媒上で反応させた第一級アミノおよびポリアルケニルエーテルグリコールの混合物を用いた、立体障害の大きなアミノ−エーテルアルコール類、ジアミノポリアルケニルエーテル類、およびそれらの混合物の製造に関し、前記触媒法は、高温および高圧で実施される。
【背景技術】
【0002】
立体障害の大きなアミノ−エーテルアルコール類の触媒的製造は、文献上既に確立されている。かかる立体障害の大きなアミノ−エーテルアルコール類は、特許文献1に記載されているように、約160℃〜約425℃かつ約50psig〜約3,000psigなどの高温および高圧で支持された水素化触媒を含有するVIII族金属の触媒的有効量の存在下、t−ブチルアミン(TBA)などの第一級アミノ化合物とジエチレングリコール(DEG)などのポリアルケニルエーテルグリコールとを反応させることによって作製される。t−ブチルアミンとジエチレングリコールとの反応により、EETBとして知られているエトキシエタノール−t−ブチルアミンが生成される。EETBは、HSおよびCOの混合物を含有するガス流からHSを選択的に除去するためのガス処理法において有用である。このような分離法におけるかかる立体障害の大きなアミノ−エーテルアルコール類の使用は、特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6;特許文献7;特許文献8;特許文献9に記載されている。
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,487,967号明細書
【特許文献2】米国特許第4,894,178号明細書
【特許文献3】米国特許第4,405,585号明細書
【特許文献4】米国特許第4,508,692号明細書
【特許文献5】米国特許第4,618,481号明細書
【特許文献6】米国特許第4,112,052号明細書
【特許文献7】米国特許第4,961,873号明細書
【特許文献8】米国特許第4,892,674号明細書
【特許文献9】米国特許第4,417,075号明細書
【特許文献10】米国特許第5,250,282号明細書
【特許文献11】米国特許第5,102,643号明細書
【特許文献12】米国特許出願第07/625,245号明細書
【特許文献13】米国特許第5,098,684号明細書
【特許文献14】米国特許第5,951,962号明細書
【特許文献15】米国特許第6,238,701号明細書
【特許文献16】米国特許第5,936,126号細書
【特許文献17】米国特許第6,248,924号明細書
【特許文献18】米国特許第6,284,917号明細書
【非特許文献1】Pure Appl.Chem.、45(1976年)、79頁
【非特許文献2】ウィンサー(Winsor)、Chemical Reviews、68(1)、(1968年)
【非特許文献3】U.シースラおよびF.シュス(U.Ciesla and F.Schuth)「Review of Ordered Mesoporous Materials」、Microporous and Mesoporous Materials、27、(1999年)、131−49頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、望ましくない副生成物をより低レベルで生成し、所望の生成物に関して選択性の改善された、立体障害の大きなアミノ−エーテルアルコール類の新規な製造法が必要である。出発物質の高レベル変換および所望の最終生成物に関する選択性を特徴とする特定のクラスの触媒を用いた立体障害の大きなアミノ−エーテルアルコール類の製造のために新規な触媒法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、1種以上の支持体材料に支持された1種以上の触媒的に活性な高分散金属を含んでなる触媒上で、第一級アミノ化合物とポリアルケニルエーテルグリコールとの反応により、立体障害の大きなアミノエーテルアルコール類、ジアミノポリアルケニルエーテル類、およびそれらの混合物、好ましくは主として立体障害の大きなアミノエーテルアルコール類の製造法に関する。
【0006】
触媒支持体材料は、1種以上の規則的メソ細孔性支持体材料を含んでなり得る。
【0007】
触媒支持体材料はまた、従来の非晶質支持体材料、結晶性支持体材料、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種以上の追加の材料とマトリックス化または結合された1種以上の規則的メソ細孔性支持体材料を含んでなり得る。
【0008】
触媒支持体材料はまた、1種以上の混合多孔性メソ細孔性支持体材料と混合して組み合わされた1種以上の規則的メソ細孔性支持体材料を含んでなり得る。
【0009】
触媒支持体材料はまた、従来の非晶質支持体材料、結晶性支持体材料、およびそれらの混合物からなる群から選択される1種以上の支持体材料を含んでなり得る。
【0010】
触媒活性金属は、単独または1B族(例えば、銅)、IIA族(例えば、マグネシウム)の遷移金属およびこれらの混合物、好ましくはニッケルおよびコバルト、最も好ましくはニッケルからなる群から選択される少なくとも1種の追加金属と一緒に、白金およびパラジウム以外の周期律表のVIII族の少なくとも1種の遷移金属(例えば、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム)を含んでなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の方法において、1種以上の支持体材料上に分散された1種以上の触媒活性金属を含んでなる触媒存在下、第一級アミノ化合物をポリアルケニルエーテルグリコールと反応させる。高細孔容積、高表面積および少なくとも2nmの制御された細孔の大きさを有する規則的メソ細孔性材料として確認されている支持体材料のクラスは、立体障害の大きなアミノ−エーテルアルコール類の製造に有用である。かかるメソ細孔性支持体材料は、それ自体で、またはマクロ多孔性材料のマトリックス/バインダー材料としての追加材料、例えば従来のシリカまたはアルミナと結合させるか、またはマトリックス/バインダー材料としての混合多孔性材料と結合させて使用できる。高分散触媒活性金属に有用な他の支持体は、従来の非晶質および/または結晶性支持体材料である。
【0012】
この方法は、
(a)一般式:
−NH
(式中、Rは、3個〜8個の炭素原子を有する第二級および第三級アルキル基、3個〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基、およびそれらの混合物、好ましくは4個〜6個の炭素原子を有する第二級および第三級アルキル基、より好ましくは4個〜6個の炭素原子を有する第三級アルキル基からなる群から選択される)
の第一級アミノ化合物を、
(b)一般式:
【化1】

(式中、R、R、RおよびRは各々独立して、水素、C〜Cアルキル基およびC〜Cシクロアルキル基からなる群から選択され、ただし、窒素原子に直接結合したRの炭素原子が、第二級アルキル基である場合、ヒドロキシル基に結合する炭素に直接結合するRおよびRの少なくとも一方が、アルキル基またはシクロアルキル基であり;xおよびyは各々独立して、2〜4の範囲の正の整数であり;Zは1〜10である)
のポリアルケニルエーテルグリコールと反応させることによる、立体障害の大きなアミノエーテルアルコール類のバッチまたは連続製造を含んでなり、前記方法は、白金およびパラジウムを除いて周期律表のVIII族の1種以上の触媒活性な遷移金属を含んでなる触媒の存在下、単独または主要IIA族および遷移金属IBのいずれかまたは双方からなる群から選択される1種以上の追加金属と一緒になって、高温高圧で実施され、アミノ化合物対ポリアルケニルエーテルグリコールのモル比は、Zが1より大きい場合、その比が2:1未満であるという条件で、10:1〜0.5:1、好ましくは5:1〜1:1、より好ましくは3:1〜1:1の範囲内である。Zが1である場合、その比は約3:1〜約2:1の間が最も好ましい。
【0013】
好ましくは、Rは、4個〜6個の炭素原子を有するアルキル基であり、RおよびRは、水素であり、xおよびyは2であり、Zは1である。本法において有用な典型的な第二級または第三級アルキルの第一級アミン類としては、イソプロピルアミン、第三級ブチルアミン、1−メチル−1−エチルプロピルアミン、および第三級アミルアミンが挙げられる。最も好ましくは、Rは、第三級ブチルであり、R、R、RおよびRは、水素であり、xおよびyは2であり、Zは1である。反応物がそのように限定される場合、生成される化合物は、主としてエトキシエタノール第三級ブチルアミン(EETB)であり、もしあるとすれば、少量の共生成されるビス(第三級ブチルエトキシ)エタン(ジアミノポリアルケニルエーテル)を有する。
【0014】
第一級アミン化合物とポリアルケニルエーテルグリコールとの反応は、室温でかけられた約ゼロpsig〜約300psig、好ましくは約20psig〜約200psig、より好ましくは約20psig〜約150psigの水素圧、約150℃〜約350℃、好ましくは約160℃〜約300℃、より好ましくは約180℃〜約225℃の温度、操作温度における約50psig〜約1,500psig、好ましくは約50psig〜約1,000psig、より好ましくは約50psig〜約500psigの全反応器の反応圧で実施する。反応が操作される時間は、副生成物の形成の点から重要である。具体的な反応に必要とされる実際の時間は、変化し、具体的な反応物、用いられる温度と圧力、ならびに処理されるバッチのサイズに依る。長時間の反応は、より高温の反応と同様に一般に副生成物の形成に好ましくなる。一般に反応は、約0.5時間〜約24時間、好ましくは約1時間〜約12時間、より好ましくは約2時間〜約8時間の範囲の時間で操作される。
【0015】
本法において、1種以上の支持体材料に支持された1種以上の触媒活性の高分散金属を含んでなる触媒濃度は、第一級アミンとポリアルケニルエーテルグリコールとを、立体障害の大きなアミノエーテルアルコール、ジアミノポリアルケニルエーテル、および/またはそれらの混合物への触媒的変換を促進するのに十分な濃度である。従って、反応物の全量に対して存在する触媒量は、全反応物装填重量を基準にして一般に約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.01重量%〜約8重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約5重量%の範囲である。
【0016】
前記反応は、その方法を実施するために必要な圧力と温度に耐え得る任意の反応容器内で実施できる。反応物は、触媒と混合してバッチ法で反応できる。反応器内の触媒は、反応混合物中にスラリ化できるか、またはバスケット内に入れることができる。あるいは、反応物は触媒の固定床を、並流または向流的に通過することができる。使用に好適な他の反応器としては、移動床反応器および連続攪拌反応器が挙げられる。例えば、連続攪拌反応器においては、触媒が循環され、反応物と反応生成物は、制御速度で反応容器を通過する。
【0017】
前記反応は、任意の追加の溶媒、反応を促進させるための液体反応媒体として機能する液体反応物の不在下で実施できる。しかしながら、不活性溶媒を、反応媒体に含むことができる。
【0018】
典型的な溶媒としては、反応物が過剰の第二級または第三級アルキルアミン試薬に溶解する線状または環式エーテル類または炭化水素含有化合物が挙げられる。溶媒は、反応生成物からの除去を促進するために比較的低分子量である必要がある。溶媒量は変化し得るが、使用される反応物の重量を基準にして、一般に約10重量%〜50重量%、好ましくは約15重量%〜30重量%の範囲である。典型的な溶媒の例としては、ジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、テトラヒドロフランが挙げられる。過剰のアミン試薬は、溶媒として機能できるため、過剰のイソプロピルアミン、第三級ブチルアミン、第三級アミルアミンなどは、反応器内に存在でき、溶媒として機能する。好ましい溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルおよびトルエンが挙げられる。
【0019】
使用される触媒は、1種以上の支持体材料に分散された1種以上の還元型金属、1種以上のメソ細孔性支持体材料に分散された1種以上の還元型金属、1種以上のマクロ多孔性支持体材料と混合して組み合わされた1種以上のメソ細孔性支持体材料に分散された1種以上の還元型金属、マトリックスまたはバインダーである1種以上のマクロ多孔性支持体材料、または1種以上の混合多孔性材料と混合して組み合わされた1種以上のメソ細孔性支持体材料に分散された1種以上の還元型金属、または1種以上の従来の非晶質支持体材料および/または結晶性支持体材料に分散された1種以上の還元型金属である。
【0020】
本発明の目的に関して、用語の「マクロ細孔類」および「メソ細孔類」は、非特許文献1に定義されているように用いられ、即ちその細孔直径は、50nm(マクロ細孔類)超であるか、またはその直径が2nm〜50nm(メソ細孔類)である。本発明の方法において、1種以上の触媒活性金属は、具体的な触媒支持体に沈着される。
【0021】
前記支持体は、下記のとおりユニークな構造および細孔の幾何学的形状を有する1種以上の規則的メソ細孔性材料を含んでなり得る。好ましい規則的メソ細孔性材料は、それらの焼成形態において約18オングストローム単位(Å)超のd−スペーシングで少なくとも1本のピークを有するX線回折パターンを示す、無機の多孔性非層化材料である。それらはまた、50トルおよび25℃で材料100g当り15グラム超のベンゼンについてのベンゼン吸着能力有する。本発明に使用できる好ましい規則的メソ細孔性材料は、方向付け剤として両親媒性化合物を用いて合成できる規則的メソ細孔性材料のものである。かかる材料の例は、特許文献10に記載されており、その全体内容は、参照として本明細書に組み込まれている。両親媒性化合物の例はまた、非特許文献2に提供されている。かかるタイプの他の好適な規則的メソ細孔性材料はまた、非特許文献3に記載されている。かかる材料としては、限定はしないが、SBA−2、SBA−15およびSBA−16などのSBA(サンタバーバラ)と称される材料、FSM−16およびKSW−2などのFSM(折り畳みシート構造)と称される材料、MSU−SおよびMSU−XなどのMSU(ミシガン州)と称される材料、TMSまたは遷移金属シーブスと称される材料、FMMSまたはメソ細孔性支持体上の機能化単層と称される材料、APMまたは酸調製メソ構造と称される材料が挙げられる。好ましい形態において、前記支持体材料は、2nm超、典型的には2nm〜50nm、好ましくは3nm〜30nm、最も好ましくは3nm〜20nmのセル直径を有する均一な細孔の実質的に均一な六方晶系蜂の巣状ミクロ構造を特徴とする。特に好ましい規則的メソ細孔性材料は、MCM−41、MCM−48およびMCM−50などのM41Sと称されるシリケートまたはアルミノシリケート規則的メソ細孔性材料である。これらの材料の混合物が使用できる。これらの規則的メソ細孔性材料は、特許文献11に詳述されており、その全体内容が参照として本明細書に組み込まれている。このファミリーの材料の本発明の使用に特に好適なサブクラスは、MCM−41およびMCM−48と称されるメソ細孔性シリカである。MCM−41として特定されている規則的メソ細孔性材料は、これらの材料の中で最も卓越しており、シリケートのフレーム構造内にAl、Ga、B、またはFeなどの四面体配位の三価元素を組み込むことによりブレンステッド(Broensted)酸部位とのメタロシリケートとして通常合成される。これらの材料の好ましい形態は、アルミノシリケート類であるが、他のメタロシリケート類も利用できる。MCM−41は、少なくとも約2nmの直径を有する細孔の均一な六方晶系配置のミクロ構造を特徴とし:焼成後、それは、少なくとも1つの約18Å超のd−スペーシングを有するX線回折パターンおよびX線回折パターンにおけるピークのd−スペーシングに相当する約18Å超のd100値で指標できる六方晶系電子回折パターンを示す。MCM−41モレキュラーシーブスは一般に、アルミナが、100超、好ましくは200超、最も好ましくは300超である場合、SiO/Alモル比を有する。この材料は、以下に記載されており、特許文献12、現在特許文献13(クレスジ(Kresge)ら)およびクレスジ(Kresge)らに対する特許文献11に詳述されており、それら双方は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれている。
【0022】
規則的メソ細孔性材料は、例えば、焼成後、少なくとも1本のピークを有してX線回折、電子回折または中性子回折などの回折パターンを提供するのに十分な配列を有する結晶性であり得る。これらのメソ細孔性材料は、大きな細孔ウィンドウならびに高い吸着能力を含む構造を特徴とし得る。
【0023】
本明細書に用いられる規則的メソ細孔性材料は、それらの大きな開口細孔の規則性により他の多孔性無機固体と区別でき、その細孔径は、非晶質またはパラ結晶性材料のものに、殆どよく似ているが、その規則的な配置およびサイズの均一性(単相内の細孔径の分布が、例えば、その相の平均細孔径の±25%、通常±15%以下)は、ゼオライト類などの結晶性フレーム構造材料のものによく似ている。用語の「六方晶系」は、実験的測定の限界内で数理的完全六方晶系対称を示す材料のみならず、その理想的状態からの有意な観察可能な偏差を有するものを包含することが意図されている。規則的メソ細孔性材料のミクロ構造に適用された作業規定は、材料中のチャネルの大部分が、凡そ同じ距離で6つの最近傍のチャネルにより囲まれ得るものと考えられる。欠陥および不完全性は、材料調製の品質に依る変動程度にこの規準に反する有意な数のチャネルを生じる。隣接チャネル間で平均反復距離からの±25%ほどのランダム偏差を示すサンプルにより、当該規則的メソ細孔性材料の認識可能な画像が依然として明確に得られる。
【0024】
触媒支持体の調製に用いられる規則的メソ細孔性材料は、以下の組成:
n/q(W
(式中、Wは、二価の第1列遷移金属などの二価の元素、例えば、マンガン、コバルトおよび鉄、および/またはマグネシウム、好ましくはコバルトであり;Xは、アルミニウム、ホウ素、鉄および/またはガリウム、好ましくはアルミニウムなどの三価の元素であり;Yは、ケイ素および/またはゲルマニウム、好ましくはケイ素などの四価の元素であり;Zは、リンなどの五価の元素であり;Mは、例えば、アンモニウム、IA族、IIA族およびVIIB族イオン類、通常は水素イオン、ナトリウムイオンおよび/またはフッ素イオンなどの1種以上のイオン類であり;nは、酸化物として表される組成(Mを除く)の電荷であり;qは、1重量モルのMの平均価であり;n/qは、モル数またはMのモル分率であり;a、b、cおよびdは、それぞれW、X、YおよびZのモル分率であり;hは1〜2.5の数であり;(a+b+c+d)=1である)
を有することが好ましい。上記結晶性材料の好ましい実施形態は、(a+b+c)がd超であり、h=2である場合である。更なる実施形態は、aおよびd=0で、h=2である場合である。合成形態において、メソ細孔性材料は、以下の経験的に表される無水基準の組成:
rRMn/q(W
(式中、Rは、イオンとしてMに含まれていない全有機材料であり、rは、Rに関する係数、即ち、Rのモル数またはモル分率である)
を有する。MとRの成分は、材料の合成時に存在する結果、材料と会合しており、容易に除去されるか、またはMの場合は、後でより具体的に記載される合成後の方法によって置換される。
【0025】
望ましい範囲で、元のM、例えば、合成材料のアンモニウムイオン、ナトリウムイオンまたは塩素イオンは、少なくとも一部が他のイオン類との交換によって当業界に周知の方法に従って置換できる。好ましい置換イオン類としては、金属イオン類、水素イオン類、水素前駆体、例えば、アンモニウムイオン、およびそれらの混合物が挙げられる。他のイオン類としては、元素周期律表(サージェント−ウェルチ(Sargent−Welch)社のカタログ番号S−18806、1979年)のIA族(例えば、K)、IIA族(例えば、Ca)、VIIA族(例えば、Mn)、VIIIA族(例えば、Ni)、IB族(例えば、Cu)、IIB族(例えば、Zn)、IIIB族(例えば、In)、IVB族(例えば、Sn)、およびVIIB族(例えば、F)の希土類金属および金属、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0026】
本発明の方法の使用に好ましい規則的メソ細孔性材料は、規則的メソ細孔性シリカ類である。最も好ましい規則的メソ細孔性シリカ類は、M41Sと称されるものであり、MCM−41が最も好ましい。
【0027】
本発明の方法に使用できるメソ細孔性材料の例は、特許文献14に記載され、調製されるメソ細孔性シリカ類であり、その全体の開示が本明細書に組み込まれている。その実施形態において、メソ細孔性シリカは、水中のシリカ前駆体および反応媒体を含有するポリマー分散を変換することによって調製される。好ましいポリマー分散は、カチオン性ポリマーである。
【0028】
高表面積のメソ細孔性アルミナ固体は、本発明の方法に使用するために触媒支持体を調製するのにも使用でき;かかる高表面積のメソ細孔性アルミナ固体は、特許文献15に記載された方法に従って調製でき、その全体の開示が本明細書に組み込まれている。
【0029】
支持体はまた、従来の非晶質および/または結晶性マクロ多孔性材料から構成できる。それらの全体の開示が本明細書に組み込まれている特許文献16、特許文献17および特許文献18に記載のものなどのマクロ多孔性およびメソ細孔性双方の材料はまた、好適な触媒支持体として使用できる。これらの材料は、それら自体による支持体として、または互いに組み合わせるか、または本法に有用な触媒を調製する上で以前に記載されたメソ細孔性材料および/または規則的メソ細孔性材料と共に使用できる。
【0030】
それら自体支持体として、またはマトリックス材料あるいはバインダー材料としての使用に好適な従来の非晶質および/または結晶性マクロ多孔性材料は、少なくとも約50nm、好ましくは少なくとも約100nm、特に少なくとも約500nmの平均細孔直径を有する。好ましくは、これらのマクロ多孔性材料は、多くとも約30m/g、好ましくは多くとも15m/gまで、より好ましくは多くとも10m/g、特に多くとも5m/g、より好ましくは多くとも3m/gであるBET表面積を有する。これらマクロ多孔性材料の平均細孔直径は、好ましくは約100nm〜約20000nm、より好ましくは約500nm〜約5000nm、最も好ましくは500nm〜1000nmである。これらマクロ多孔性材料の表面積は、好ましくは約0.2m/g〜約15m/g、より好ましくは約0.5m/g〜約10m/g、特に約0.5m/g〜約5m/g、より好ましくは約0.5m/g〜約3m/gである。かかるマクロ多孔性材料は、メソ細孔性支持体材料と混合して使用できる。
【0031】
従来の非晶質および/または結晶性マクロ多孔性材料ならびに混合多孔性材料の表面積は、特にDIN66131に従ってN吸着を用いるBET法により測定できる。平均細孔直径およびサイズ分布は、N空洞形成測定により測定できる。BJH吸着等温面を、「Standard test method for determination of nitrogen adsorption and desorption isotherms of catalysts by static volumetric measurements」のASTM法D−4222を用いて測定する。
【0032】
支持体などとして用いることができる従来の非晶質および/または結晶性マクロ多孔性材料ならびに混合多孔性材料は、例えば、活性炭、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛またはそれら2種以上の混合物を含有するマクロ細孔であり、酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化ケイ素(シリカ)、およびそれらの混合物、好ましくはシリカを含有するマクロ細孔を使用することが優先される。
【0033】
メソ細孔性材料および/または規則的メソ細孔性材料が、マクロ多孔性材料および/または混合多孔性マトリックス材料と組み合わせて用いられる場合、この仕上げ触媒は、90重量%〜10重量%のメソ細孔性材料および10重量%〜90重量%のマクロ多孔性材料、好ましくは80重量%〜20重量%のメソ細孔性材料および20重量%〜80重量%のマクロ多孔性材料、より好ましくは80重量%〜40重量%のメソ細孔性材料および20重量%〜60重量%のマクロ多孔性材料の支持体マトリックスを含んでなる組成物であり得る。特に好ましい組成物は、70重量%〜60重量%、理想的には65重量%のメソ細孔性材料および30重量%〜40重量%、理想的には35重量%のマクロ多孔性材料の支持体マトリックスを含んでなる。
【0034】
本法において、最終触媒は、1種以上の先に記載された支持体材料の表面に堆積された1種以上の還元型金属から単独で構成され得る。本法に用いられる触媒は、1種以上のメソ細孔性支持体材料および/または規則的メソ細孔性支持体材料を含んでなることが好ましい。この触媒は、添加された無機バインダーが無くてもよいが、結合形態における触媒の使用も包含される。支持体に堆積された還元型金属有無の支持体は、多種多様の粒径に形状化できる。一般に、粒子は、2メッシュ(タイラー(Tyler))篩を通過するのに十分な粒径を有する押出物などの粉末、顆粒、または成形物の形態であり得、400メッシュ(タイラー(Tyler))篩上に保持できる。触媒が押出しなどによって成形される場合、それらは、乾燥する前に押出すか、または部分的乾燥してから押出すことができる。これらの実施形態において、種々の押出しまたは形成補助物は、1種以上の溶媒と共に押出しまたは形成工程で使用でき、それら全ての技法は、当業界に周知である。
【0035】
支持体材料に沈着された1種以上の触媒金属有無の支持体材料は、温度および本法に使用される他の条件に抵抗性である無機バインダー材料またはマトリックス材料との複合体中に形成できる。かかるバインダー材料またはマトリックス材料もまた、最終触媒の形成および製造を補助できる。かかるバインダー材料またはマトリックス材料としては、活性および不活性材料および合成または天然ゼオライトならびに粘土などの無機材料および/またはアルミナ、シリカまたはシリカ−アルミナなどの酸化物が挙げられる。後者は、天然またはゲル化沈殿物またはシリカおよび酸化金属の混合物を含むゲル類の形態であり得る。ゼオライトに関連させた材料の使用、即ち、それと組み合わされた、またはその合成時に存在するそれ自体が触媒活性のある材料の使用により、触媒の変換および/または選択性が変化し得る。これらの材料は、天然の粘土、例えば、ベントナイトおよびカオリンに組み込まれて、商業操作条件下で触媒の破砕強度を改良し、触媒用のバインダーまたはマトリックスとして機能できる。1種以上の触媒金属を含有する支持体は、触媒支持体対マトリックス材料の重量が99:01〜05:95、好ましくは99:01〜10:90、より好ましくは99:01〜20:80、最も好ましくは99:01〜50:50でマクロ多孔性マトリックス材料を含んでなる組成物に形状化できる。使用される場合の追加のマトリックス材料は、好ましくは、触媒支持体およびマトリックス材料の組み合わせ重量の典型的には最小50重量%未満、理想的には40重量%未満、好ましくは30重量%未満、より好ましくは20重量%未満、より好ましくは15重量%未満、最も好ましくは10重量%未満、最も好ましい実施形態において5重量%未満に維持される。組成物の形成は、一緒に材料を混和することを含む従来の手段に次いで、所望の仕上げ触媒粒子に押出し造粒することにより達成できる。理想的には、追加のバインダーマトリックス材料は、先に記載された従来の非晶質および/または結晶性マクロ多孔性材料から選択されるか、または混合多孔性材料、即ちマクロ多孔性およびメソ細孔性である。
【0036】
触媒は、触媒成分として還元型金属を含む。触媒成分は、1種の金属または金属類の組み合わせにより提供される。使用され得る触媒金属は、単独または1B族の1種以上の金属と組み合わせて、および、主要IIA族の1種以上の金属と組み合わせることができる、白金およびパラジウムを除く周期律表の1種以上のVIII族遷移金属であることが好ましい。触媒金属は、ニッケル、鉄、コバルト、オスミウム、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、およびそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、ニッケル、鉄、コバルトおよびそれらの混合物、より好ましくは、ニッケルおよびコバルト、最も好ましくはニッケルであり、銅、銀、金およびそれらの混合物からなる群から選択される追加の触媒、好ましくは銅と組み合わせることができ、更にベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される追加の金属、好ましくはマグネシウム、カルシウム、およびそれらの混合物、より好ましくはマグネシウムを含有できる。好ましい触媒金属としては、ニッケル;ニッケルとコバルト;ニッケルと銅;ニッケル、銅およびマグネシウム;ニッケル、コバルトとマグネシウム;より好ましくはニッケルが挙げられる。
【0037】
触媒は一般に、還元型触媒の全重量を基準にして支持体材料に約2.5重量%〜80重量%、好ましくは約10重量%〜65重量%の還元型触媒を含んでなる。ニッケルの場合、還元型金属量は、還元型触媒の全重量を基準にして、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも約12重量%、より好ましくは少なくとも約14重量%であることが好ましい。
【0038】
メソ細孔性支持体材料、特にMCM−41は、金属の高分散を維持する一方で、比較的より高い金属装填を考慮に入れている極めて高い表面積のため、とりわけ好ましい。触媒金属成分は、支持体材料上に交換できるか、それに含浸できるか、または物理的にそれと混合できるが、交換または含浸が好ましい。
【0039】
支持体に適用された複数の活性金属を有する触媒の場合、金属塩類または金属塩溶液は、同時にまたは連続して適用できる。
【0040】
規則的メソ細孔性材料が、マクロ多孔性マトリックス材料および/または混合多孔性マトリックス材料と組み合わせて用いられる場合、金属成分は、マトリックス材料と組み合わせた後に規則的メソ細孔性材料に適用されることが好ましい。
【0041】
支持体が、具体的な順序の方法ステップの使用を通して1種以上の触媒活性金属部位により提供される方法を用いて触媒を製造する。第1のステップにおいて、支持体に、1種以上の金属の1種以上の有機錯体が備えられ、第2のステップにおいて、有機錯体は、完全または部分的分解される。
【0042】
一実施形態において、1種以上の触媒金属の化合物または塩が、1種以上の有機化合物と組み合わされて支持体と接触させ、次いで混合物を形成して有機錯体を沈着させる。この実施形態において、錯体は、混合物の形成の際に形成し得るか、または支持体との接触後、および溶媒または混合物の形成時に用いられる溶媒の除去後に形成し得る。別の実施形態において、支持体を、1種以上の触媒金属の化合物または塩と先ず接触させ、次いで1種以上の有機化合物と処理して支持体上に有機錯体を形成させる。別の実施形態において、支持体を、1種以上の有機化合物と先ず接触させ、次いで1種以上の触媒金属の化合物、塩またはそれらの混合物と処理して支持体上に錯体を形成させる。更なる実施形態において、1種以上の有機化合物および1種以上の触媒金属の化合物および/または塩類を、支持体と同時に接触させて有機錯体を形成させる。また更なる実施形態において、所望の金属の好適な有機錯体を合成でき、錯体に好適な溶媒中、錯体の溶液を介して支持体に適用できる。しかしながら、全ての場合、有機化合物と触媒金属塩とを互いに接触させ、生じた錯体を支持体に接触させるために用いられる順序に関係なく、支持体を1種以上の触媒金属の有機錯体と接触させる。
【0043】
金属塩溶液を調製するのに好適な触媒金属塩類は、例えば、対応する金属の硝酸塩類、ニトロシル硝酸塩類、ハロゲン化物、炭酸塩類、カルボン酸塩類、アセチルアセトネート類、クロロ錯体、ニトリト錯体またはアミン錯体であり、硝酸塩類およびニトロシル硝酸塩類が好ましく、硝酸塩類が最も好ましい。
【0044】
金属類の1種以上の塩類または化合物により有機錯体を形成できる任意の有機化合物を使用してもよい。これらは、典型的に触媒金属を沈着させるために通常使用される条件下で安定な錯体を形成できる有機化合物である。理想的には、有機化合物は、1種以上の触媒金属との含浸後、触媒支持体を乾燥するために通常使用される条件下で安定な金属有機錯体を提供するために選択される。好適な有機化合物は、遷移金属化学業界に周知であり、遷移金属配位錯体の調製に通常使用される有機キレート化剤、有機単座配位子、二座配位子および多座配位子などの有機化合物を含む。多くのこのような錯体において、共有結合の分子および/またはイオン類の1つ以上のリガンドが、錯体中に存在し得る。有機化合物はまた、支持体の製造時に用いられるか、またはその合成時に存在する1種以上の有機化合物であり得る。別個の有機化合物および触媒金属塩の場合、任意の順序または同時に、触媒金属塩、有機化合物、有機化合物と触媒金属塩との有機錯体は、含浸または物理的混合により支持体上で交換できる。これは、適切な溶媒中、支持体を浸すことによるか、または浸漬、スプレーまたは任意の他の好適な技法により達成できる。
【0045】
特に好適な有機化合物は、アミン類またはアミノ酸類などの1つ以上のアミノ基を含有する化合物であり、最も好ましくは、アミノ基およびアルコール基の双方を含有する有機化合物である。
【0046】
1つ以上のアミノ基を含有する化合物は、脂肪族アミン類、脂環式アミン類、アラルキルアミン類およびアルキルアリールアミン類であり得る。これらは、第一級、第二級および第三級アミン類であり得る。それらはまた、対イオンとの四級アンモニウム塩類であり得る。窒素含有化合物は、1つ以上の第一級、第二級および第三級アミン類であることが好ましく、好ましくは1つ以上の脂肪族アミン類、最も好ましくは、例えば、ヒドロキシアルキルアミン類などの1つ以上のヒドロキシル基を有する1つ以上のアミン類である。アミン類の少なくとも1つは脂肪族アミンに用いられ、その脂肪族アミンは、1つ以上のヒドロキシル基を含有することが好ましい。
【0047】
本発明に従って用いられる窒素含有化合物は、以下の一般式:
NR (I)
(式中、R、RおよびRは、独立して1つ以上の以下の基である:C〜C50−アルキル、C〜C50−シクロアルキル、芳香族、C〜C50−アルキル置換芳香族などのアルキル置換芳香族、1つ以上の芳香族基で置換されているC〜C50−アルキレン部分などの芳香族置換脂肪族部分、C〜C50−ヒドロキシアルキル、アミノ−および/またはヒドロキシル−置換C〜C50−アルキル、C〜C50−アルコキシアルキルなどのアルコキシアルキル、C〜C50−ジアルキルアミノアルキルなどのジアルキルアミノアルキル、C〜C50−アルキルアミノアルキルなどのアルキルアミノアルキル、複素環、芳香族複素環、C〜C50−アルキル置換複素環および芳香族複素環化合物などのアルキル置換複素環およびアルキル置換芳香族複素環、および1つ以上の芳香族基で置換されているC〜C50−アルキレン部分などの複素環置換脂肪族部分)
を有する。更に、RおよびRは、独立して水素であってもよい。別の実施形態では、RおよびRは、窒素原子、窒素含有複素環、芳香族複素環、アルキル置換複素環またはアルキル置換芳香族複素環により形成し得る。
【0048】
アルキル基の例としては;メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、s−ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、n−デシル、2−n−プロピル−n−ヘプチル、n−トリデシル、2−n−ブチル−n−ノニルおよび3−n−ブチル−n−ノニル、特に好ましくは、エチル、イソプロピル、2−エチルヘキシル、n−デシル、2−n−プロピル−n−ヘプチル、n−トリデシル、2−n−ブチル−n−ノニルおよび3−n−ブチル−n−ノニル、およびポリブチル、ポリイソブチル、ポリプロピル、ポリイソプロピルおよびポリエチルなどのC40〜C200−アルキルが挙げられる。最も好ましい脂肪族アミン類は、1個〜20個の炭素原子、より好ましくは2個〜14個の炭素原子を持つ1つ以上のアルキル基を有する脂肪族アミン類である。
【0049】
シクロアルキル基の例としては、C〜C12−シクロアルキル、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルなどのC〜C−シクロアルキルが挙げられる。
【0050】
芳香族基の例としては;フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリルおよび9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリルおよび9−フェナントリルが挙げられる。
【0051】
アルキル置換芳香族基の例としては、C〜C50−アルキル芳香族基、好ましくは、2−ノニルフェニル、3−ノニルフェニル、4−ノニルフェニル、2−デシルフェニル、3−デシルフェニル、4−デシルフェニル、2,3−ジノニルフェニル、2,4−ジノニルフェニル、2,5−ジノニルフェニル、3,4−ジノニルフェニル、3,5−ジノニルフェニル、2,3−ジデシルフェニル、2,4−ジデシルフェニル、2,5−ジデシルフェニル、3,4−ジデシルフェニルおよび3,5−ジデシルフェニルなどのC〜C40−アルキルフェニル、より好ましくは、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,3,4−トリメチルフェニル、2,3,5−トリメチルフェニル、2,3,6−トリメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2−エチルフェニル、3−エチルフェニル、4−エチルフェニル、2−n−プロピルフェニル、3−n−プロピルフェニルおよび4−n−プロピルフェニルなどのC〜C12−アルキルフェニルが挙げられる。
【0052】
芳香族置換脂肪族部分の例としては、1つ以上の芳香族置換基で置換されたC〜C50−アルキレン部分、好ましくは、ベンジル、1−フェネチル、2−フェネチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、1−フェニルブチル、2−フェニルブチル、3−フェニルブチルおよび4−フェニルブチルなどのC〜C12−フェニルアルキル、特に好ましくは、ベンジル、1−フェネチルおよび2−フェネチルが挙げられる。
【0053】
ヒドロキシアルキル基の例としては、C〜C50−ヒドロキシアルキル、好ましくは、C〜C−ヒドロキシアルキル、特に好ましくは、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシ−n−プロピル、2−ヒドロキシ−n−プロピル、3−ヒドロキシ−n−プロピルおよび1−ヒドロキシ−メチル−エチルなどのC〜C−ヒドロキシアルキルが挙げられる。窒素化合物を含有する特に好ましいヒドロキシアルキル基としては、メタノールアミン、ジ−メタノールアミン、トリ−メタノールアミン、エタノールアミン、ジ−エタノールアミン、トリ−エタノールアミン、ブタノールアミン、ジ−ブタノールアミン、トリ−ブタノールアミン、プロパノールアミン、ジ−プロパノールアミン、およびトリ−プロパノールアミンなどのモノ−、ジ−、およびトリ−置換脂肪族ヒドロキシアルキルアミン類が挙げられる。
【0054】
アミノ−およびヒドロキシアルキル基の例としては、C〜C50−アルキル、好ましくは、アミノ−および/またはヒドロキシル−置換C〜C−アルキル、特に好ましくは、N−(ヒドロキシエチル)アミノエチルおよびN−(アミノエチル)アミノエチルなどのアミノおよび/またはヒドロキシル−置換C〜C−アルキルが挙げられる。
【0055】
アルコキシアルキル基の例としては、C〜C50−アルコキシアルキル、好ましくは、C〜C20−アルコキシアルキル、特に好ましくは、メトキシメチル、エトキシメチル、n−プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、n−ブトキシメチル、イソブトキシメチル、s−ブトキシメチル、t−ブトキシメチル、1−メトキシエチルおよび2−メトキシエチルなどのC〜C−アルコキシアルキル、特に好ましくは、メトキシメチル、エトキシメチル、n−プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、n−ブトキシメチル、イソブトキシメチル、s−ブトキシメチル、t−ブトキシメチル、1−メトキシエチルおよび2−メトキシエチルなどのC〜C−アルコキシアルキルが挙げられる。
【0056】
ジアルキルアミノ基の例としては、C〜C50−ジアルキルアミノアルキル、好ましくは、C〜C20−ジアルキルアミノアルキル、特に好ましくは、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ジ−n−プロピルアミノエチルおよびジイソプロピルアミノエチルなどのC〜C10−ジアルキルアミノアルキルが挙げられる。
【0057】
アルキルアミノアルキル基の例としては、C〜C50−アルキルアミノアルキル、好ましくは、C〜C20−アルキルアミノアルキル、特に好ましくは、メチルアミノメチル、メチルアミノエチル、エチルアミノメチル、エチルアミノエチルおよびイソ−プロピルアミノエチルなどのC〜C−アルキルアミノアルキルが挙げられる。
【0058】
芳香族複素環の例としては、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、ピラジニル、3−ピロリル、2−イミダゾリル、2−フラニルおよび3−フラニルが挙げられる。アルキル置換芳香族複素環の例としては、2−ピリジルメチル、2−フラニルメチル、3−ピロリルメチルおよび2−イミダゾリルメチルなどのC〜C50−モノ−ヘタリールアルキル、2−メチル−3−ピリジニル、4,5−ジメチル−2−イミダゾリル、3−メチル−2−フラニルおよび5−メチル−2−ピラジニルなどのC〜C50−アルキルヘタリールが挙げられる。
【0059】
ジアルキルアミノアルキル基の例としては、C〜C50−ジアルキルアミノアルキル、好ましくは、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ジ−n−プロピルアミノエチルおよびジイソプロピルアミノエチルなどのC〜C16−ジアルキルアミノアルキルが挙げられる。
【0060】
複素環化合物の例としては、ピリジン、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、3−ピロリン、ピロリジン、ピリミジン、およびこれら複素環化合物の置換例が挙げられる。有機ニトリル化合物の例としては、アクリロニトリル、例えば、メチルニトリル、およびエチルニトリルなどのアルキルニトリル類が挙げられる。
【0061】
好適なアミノ酸類には、天然および合成アミノ酸類が含まれる。天然アミノ酸類としては、以下の全ての異性体が挙げられる:アラニン、アルギニン、アスパラギン類、アスパラギン酸、システイン、シスチン、3,5−ジブロモチロシン、3,5−ジヨードチロシン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、チロキシン、トリプトファン、チロシンおよびバリン。特に好ましいアミノ酸はL−アルギニンである。
【0062】
有機錯体を形成するための好ましい有機化合物は、有機窒素含有化合物、より好ましくは、アミン類、より好ましくは、1つ以上のアルコール基を含有するアミン類である。
【0063】
有機化合物を、前記支持体の製造または合成に導入できる。有機化合物は、前記支持体がモレキュラーシーブスである場合、前記支持体の合成に用いられる有機テンプレートであり得る。かかる有機テンプレートは、当業界に周知であり、窒素含有有機テンプレート、特にヒドロキシル官能基を更に含んでなる窒素含有有機テンプレートであることが好ましい。支持体の製造または合成時、有機化合物を任意の有機テンプレートに更に導入できる。有機錯体の調製のためのいずれかまたは全ての成分が、支持体中または支持体内に組み込まれるか、または有機錯体自体が、支持体中または支持体内に組み込まれる場合の全ての態様において、支持体は、未加工状態で使用できる。
【0064】
有機化合物は、触媒金属の塩類または化合物の量に関連して任意の好適な濃度で使用できる。有機化合物は、有機錯体を形成するために必要なものよりも多く存在し得る。理想的には、化合物は、触媒金属の塩または化合物の全てを1種以上の有機錯体に変換させるために適切なモル比で用いられる。これは、有機化合物と錯化する金属の能力、金属と錯化する有機化合物の能力、および単座配位子などの他の錯化配位子の存在に依って1:1以上のモル比であり得る。しかしながら、全ての触媒金属との錯化に不十分である有機化合物濃度を使用することは可能であり;これらの状況においては、必ずしも全ての金属が有機錯体に変換されるとは限らず、生じた触媒は、錯化および非錯化金属中間体に由来する触媒金属部位を含有し得る。理想的には有機化合物対触媒金属のモル比は、0.1:1〜40:1、好ましくは0.1:1〜30:1、より好ましくは0.2:1〜25:1、更により好ましくは0.5:1〜10:1、最も好ましくは0.5:1〜5:1のモル比範囲内にある。有機化合物が、支持体の製造または合成時に支持体中に組み込まれるか、または支持体内にある場合に過剰の有機化合物が存在し得る。
【0065】
錯体が、支持体との接触前に混合物中で形成される場合、前記混合物は通常、および好ましくは、水または有機溶媒あるいは水と溶媒の混液であり得る溶媒と組み合わせて形成される。使用される溶媒量は、広範囲で変えることができるが、典型的には、前記混液が、支持体を濡らすために支持体と有効に接触でき、支持体が多孔性である場合は、混液の多孔性支持体への浸透を可能にすることを確保するのに十分な量である。典型的には、1種以上の触媒金属の塩または化合物および有機化合物が、それらの形態に依って、上記の必要なモル比を前記混液中で達成できる量で用いられる。前記混液の残りは、全混合物重量の1重量%〜99重量%、好ましくは全混合物重量の5重量%〜90重量%、より好ましくは全混合物重量の5重量%〜80重量%、更により好ましくは全混合物重量の10重量%〜70重量%、最も好ましくは全混合物重量の10重量%〜65重量%の量で存在し得る1種以上の溶媒を含んでなる。触媒を製造するために必要とされる1種以上の成分の適用を促進させるために追加の溶媒もまた用いることができる。
【0066】
支持体上での有機錯体形成後、支持体を乾燥して錯体形成時に存在する溶媒および/または水の大部分を除去することができるし、好ましい。乾燥は、室温などの周囲条件下で達成し得るか、または高温で達成でき、100℃〜150℃の温度での乾燥が好ましい。乾燥段階時に有機錯体の分解が、殆ど生じないか、または無く、乾燥によって単に、非錯化の揮発性物質が除去されることが好ましい。所望ならば、金属装填支持体は、200℃〜600℃、好ましくは350℃〜450℃で焼成できる。
【0067】
1種以上の有機錯体を含有する支持体が調製されたら、前記支持体上の有機錯体を完全または部分分解するように前記支持体が処理される。いかなる理論にも拘束されることは望まないが、この完全または部分分解により、触媒活性金属部位にインサイチュで1種以上の前駆体の形成が生じると考えられる。これらの前駆体形成および引き続く変換により、これらの態様において最終触媒が高度の触媒活性を示し、触媒内に高レベルの金属分散を有することが、ある程度確保されると考えられる。触媒金属の活性における重要なパラメータは、支持体上の金属の形態および支持体上の金属の分散レベルである。本発明の方法により、比較的小さな、触媒活性金属部位を含み、高度に分散した触媒が製造される。更に分散レベルは、比較的安定である。
【0068】
「部分分解」とは、有機錯体の化学組成が変化することを意味し;これは、有機錯体の構造変化によるものであり得るか、または前記錯体の一部、またはその一成分の化学的分解によるものであり得る。この分解が部分的である場合、分解方法は、錯体と会合する非金属化学種の除去が不完全であることを確保するように選択される。この分解が完全である場合、残っている錯体の唯一の重要な要素は、分解が酸化条件で実施される場合は酸化物としての、あるいは分解が水素の存在下で実施される場合は還元型金属としての1種以上の触媒金属となるであろう。また、有機錯体の分解から形成される炭素残渣などの残渣も存在し得る。部分分解は、触媒調製法で典型的に用いられる乾燥条件下で通常は生じない構造および/または組成の変化による。第2段階の条件下での構造および/または組成の変化は、赤外分析、質量分析、熱重量分析、ガスまたは液体クロマトグラフィおよび分光分析法などの当業界に周知の種々の分析法を用いて検出およびモニターできる。
【0069】
有機錯体の部分的または完全分解を誘導するために種々の方法が使用できる。これらは、酸または塩基またはオゾンまたは同様の化学活性物質を用いる処理などにより、化学的に誘導された加水分解または分解などの化学的方法を含む。完全または部分的分解を誘導する他の方法としては、熱分解および/または焼成などの熱的方法が挙げられ、それら双方とも好ましい方法であるが、特に焼成が好ましい。更なる方法は蒸気処理である。一実施形態において、熱分解は、水素存在下で実施でき;その場合、引き続く水素による処理が省略できる。
【0070】
焼成または熱分解が、有機錯体の完全または部分分解の方法として用いられる場合、使用される正確な条件は、錯体の性質、特に高温下でのその熱的安定性および分解プロフィルに依るであろう。有機錯体の制御された熱分解と関連させた熱重量分析法または質量分析を用いることによって、有機錯体の最初の分解および全体分解が焼成条件または熱分解条件のいずれかの条件下で生じる温度を決めることが可能である。これにより、この部分分解段階に着手すべき温度範囲、または完全分解の選択すべき必要最低温度が示される。あるいは、赤外透過分光分析により分析された場合、ある一定の官能基が処理のどの時点で、有機錯体から除去、または有機錯体中に形成されるか;部分分解用温度として、完全分解温度未満が選択できる場合、または完全分解用温度として完全分解温度超が選択できる場合に、前記のことが生じる温度を決定することができる。有機化合物としてアミン類が用いられる場合、有意な量の窒素酸化物が生成される温度未満が、部分分解を誘導するための処理用温度として選択できる。他の有機化合物については、それは、COまたはCOが錯体から除去される温度であり得る。アミン類、特に有機化合物としてヒドロキシル基またはアミノ酸を含有するアミン類の場合、それは赤外スペクトルにおいて2100cm−1〜2200cm−1の間に現れる部分的に分解された有機錯体に存在するニトリル類およびイソニトリル類などの錯体炭素窒素種に暫定的に帰属できる新たな振動バンドの形成であり得る。使用できる他の方法としてTGA分析は、有機錯体の全重量減少を示し;全重量減少の温度未満が、部分分解用に選択でき、全重量減少の温度超が、完全分解用に選択できる。
【0071】
有機錯体を部分的または完全に分解させるために焼成が用いられる場合、使用される焼成温度は、典型的には200℃〜1000℃、好ましくは250℃〜600℃までの範囲内である。使用される正確な温度は、有機錯体の完全分解または部分分解が望ましいかどうかに依存し、有機錯体の性質に依存する。有機金属錯体の分解温度に影響を及ぼし得る因子としては、金属の性質および/または錯体内の有機化合物が挙げられる。別の因子としては、金属が塩の形態で導入される場合に存在する対イオンの性質を挙げることができる。部分分解が必要とされる場合、空気中で有機錯体の全重量減少が生じるTGAにより判定される温度未満の温度で支持体上に沈着された有機錯体を有する支持体を焼成することが好ましい。その温度は、200℃と、有機錯体の全重量減少が生じる温度との間であることが好ましい。完全分解が必要とされる場合、有機錯体の全重量減少が生じるTGAにより判定される温度またはそれを超える温度で支持体に沈着された有機錯体を有する支持体を焼成することが好ましい。その温度は、有機錯体の全重量減少が生じる温度と1000℃との間であることが好ましい。焼成条件下で酸素は、他の不活性希釈剤の成分として、あるいは空気中で行われる焼成の結果存在する。熱分解が用いられる場合、熱分解は、酸素の無い不活性雰囲気内で行うことができるか、または酸素が無いと思われる、好ましくは酸素の無い水素雰囲気下で行うことができる。熱分解が用いられる場合、有機錯体は、焼成条件下で見られるよりも高温で分解できる。部分的または完全分解に関して、焼成による場合に熱分解条件下での温度は、種々の方法を用いて決めることができ、その中でTGAが好ましい。不活性雰囲気中または水素下の熱分解条件で部分分解が必要とされる場合、不活性雰囲気中または水素下で、有機錯体の全重量減少が生じるTGAにより判定される温度未満である温度で、支持体上に沈着された有機錯体を有する支持体を不活性雰囲気中または水素下で熱分解することが好ましい。その温度は、200℃と、不活性雰囲気中または水素下で有機錯体の全重量減少が生じる温度との間であることが好ましい。完全分解が必要とされる場合、有機錯体の全重量減少が、不活性雰囲気中または水素下の熱分解条件で生じるTGAにより判定される温度またはそれを超える温度で支持体上に沈着された有機錯体を有する支持体を熱分解することが好ましい。その温度は、不活性雰囲気中または水素下で有機錯体の全重量減少が生じる熱分解条件での温度と1000℃との間であることが好ましい。支持体上に沈着された有機錯体を有する支持体を、窒素または水素中、1000℃未満の温度で熱分解する。有機錯体を含んでなる支持体は、部分分解温度で有機錯体の部分分解が生じることを確実にするのに十分な時間、焼成または熱分解できる。典型的にこの時間は、少なくとも20分間、好ましくは少なくとも30分間、より好ましくは少なくとも45分間、最も好ましくは1時間以上である。典型的にこの時間は、48時間以内、好ましくは24時間以内、最も好ましくは12時間以内である。完全分解が必要とされる場合、有機錯体を含んでなる支持体を、完全分解温度で、有機錯体の完全分解を確実にするのに十分な時間で焼成または熱分解できる。
【0072】
複数の活性金属が支持体に適用され、その適用が連続して実施される場合、前記支持体は100℃〜150℃で乾燥でき、所望ならば、各適用または各浸漬後、200℃〜600℃までで焼成できる。
【0073】
錯体の部分分解または完全分解後、前記部分分解または完全分解された錯体は、触媒活性金属に変換される。即ち金属は還元型形態に変換される。その活性化は、還元体源の存在下、部分的または完全分解錯体を還元する条件下で部分的または完全分解錯体を処理することによって達成されることが好ましい。好ましい実施形態において、前記還元体源は、水素および/または一酸化炭素である。この変換は、最終触媒を使用するためにデザインされた工程へ1種以上の完全または部分分解有機錯体を導入することにより達成し得る;この実施形態において、前記変換は、工程条件または触媒再生またはこの工程に関連するリサイクル単位に存在する条件下で生じる。好ましい実施形態において、この処理は、触媒の活性化に通常用いられる条件および方法を用いて実施される。これらの条件および方法は、完全または部分分解有機錯体触媒の前駆体が、触媒活性金属に変換されることを確実にするために選択される。一実施形態において、還元体、例えば、水素および/またはCO源による処理は、部分分解錯体を含む支持体と、30℃〜600℃、好ましくは100℃〜550℃、更により好ましくは200℃〜500℃、最も好ましくは200℃〜450℃で、還元体、例えば、水素および/またはCO源を含んでなるガス流とを接触させることにより実施する。還元体流が遊離の水素を含む場合、それは、Hが50容量%〜100容量%およびNが0容量%〜50容量%により構成されていることが好ましい。この処理は、還元体、例えば、水素および/またはCO源の連続流下で、大気圧下で、または100バールまで、好ましくは1バール〜90バール、より好ましくは1バール〜20バールまでの高圧の静止条件下で実施できる。活性化は、48時間まで、好ましくは36時間以下、より好ましくは24時間未満、最も好ましくは30分〜12時間まで実施できる。支持体が、部分分解錯体を含む場合、それを、大気圧で還元体、例えば、水素および/またはCO源に曝し、その温度を、2℃/分−1の速度で処理温度に上昇させる。その温度で更に1時間〜10時間、好ましくは2時間〜8時間、最も好ましくは3時間〜6時間還元体処理を継続する。正確な温度および時間は、還元体処理下で残存する部分分解有機錯体の除去を確実にするように選択され;従って還元体処理温度は、一般に有機錯体、特に部分分解有機錯体の分解温度よりも高い。ニッケルの場合、例えば、酸化ニッケルまたは塩の有機錯体または部分分解有機錯体を、還元型触媒の全重量を基準にして、少なくとも約10重量%の還元型金属、好ましくは少なくとも約12重量%の還元型金属、より好ましくは少なくとも約13重量%の還元型金属に変換できるほど十分に高いことが好ましい。約350〜500℃、好ましくは約400℃の温度で少なくとも約1時間の初発還元が、ニッケルにとって望ましい。
【0074】
本明細書で調製された触媒サンプル、または市販の供給源から得られたものは、供給されたままで使用できるか、または活性化法に供されて、触媒上の活性金属量を還元型またはゼロ価金属状態に増加させることができる。これらの手法はよく確立されており、当業者に公知である。一般に、還元型または金属状態における金属量の増加は、触媒活性の増加と一致し得る。市販の触媒は、典型的には製造元によって還元/活性化され、出荷前に不活化されるか、または油下で輸送される。次いで顧客は、受領したままの触媒を使用するか、別個の再活性ステップを実施できる。使用される触媒金属および使用される触媒の還元特性に応じて、別個の再活性ステップを不必要にさせるために用いられる処理温度および水素圧で触媒使用時に十分な金属還元を行うことができる。処理条件での金属活性度が不十分である場合、触媒は、使用前に還元できる。還元を触媒反応器の外部で実施しなければならない場合、還元に次いで不活化を、有酸素触媒移動を考慮に入れて実施できる。提供される実施例において、もしあれば、活性化プロトコルが記載され、これらの条件下での還元型金属含量は、全触媒組成のパーセンテージとして得られるであろう。
【0075】
支持金属触媒のサイズおよび金属表面積を推定するために化学吸着の測定が、一般に用いられる。化学吸着による金属表面積を測定する一般法は、J.レメイトレ(J.Lemaitre)ら、「Characterization of Heterogenous Catalysts」、フランシス・デラニー(Francis Delanney)により編集、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)、ニューヨーク(1984年)、310〜324頁に記載されている。触媒上の金属全表面積は、触媒の0.01m/g〜100m/g、特に好ましくは0.05m/g〜50m/g、より好ましくは0.05m/g〜25m/gである。化学吸着測定に用いられる適切に選択された滴定液は、表面を取り込む金属原子上でのみ吸着するため化学吸着の測定から、分散%(金属粒子の表面を取り込む金属原子の%)を、推定できる。その結果、そのより高い分散値は、表面を取り込む更なる金属原子を有するより小さな粒子を示している。多くの反応に関して、活性は分散と関連する。金属分散を測定する好ましい方法は、以下の高度真空の静的条件下で、化学吸着プローブ分子として水素を使用することによるものである。サンプルを40℃の温度で保持し、化学吸着プローブ分子としてHを用いて8ポイント等温線(80トル〜400トルとの間の圧による)を得る。この等温線の線型部分をゼロ圧に外挿して、化学吸着された水素の全量を得る;これは組み合わせ分散である。次にサンプルを、40℃で排気して弱く吸着された水素を除き、弱い吸着等温線と称されるものを測定するために滴定を繰り返す。この弱い吸着等温線の線型部分を、ゼロ圧に外挿して、弱く化学吸着された水素の全量を得る。合わせられた分散および弱い分散についてのこれら2つの値の引算により、強く保持された化学吸着量を得る。従って、この方法により、全金属分散値、弱い化学吸着水素による分散値および強い化学吸着水素による分散値が提供される。強い化学吸着水素に関する値は、金属分散の正確な指標である。多くの先行技術の引用文献において、提供された金属分散形態は、全化学吸着プローブに基づいており、強弱の成分に分けられていない。本法において、使用される触媒は、5%過剰、より好ましくは10%過剰、最も好ましくは15%過剰の強い化学吸着成分に関連する分散値を有することが好ましい。
【0076】
活性な金属部位として比較的小さな金属粒子参照される場合、それは、25nm以下、好ましくは15nm以下、最も好ましくは9nm以下の平均粒径の金属粒子を意味する。
【0077】
EETBの合成のための新規触媒の評価において、活性および選択性の双方に注意を払う必要がある。活性は、所与の時間におけるDEG出発物質の変換度により示される。選択性は、DEGの所与の変換率における所望の生成物対副生成物の生成を比較することにより得られる。本発明の触媒の性能において、個々の活性が有利であることが明らかに見られた。所望の生成物に対する選択性は、現状技術の触媒よりも高変換率で高かった(即ち、変換レベルの増加で副生成物の形成が少ない)。TBM副生成物の製造結果、商業製造における変換が、DEGの低レベルに制限され得ることから、選択性と活性は、商業的操作において重要である。当該触媒では、DEG変換レベルは、EETB/TBM比の高い高レベルのEETB製造によって、先行触媒よりも高い。
【0078】
実施例においては、別に指示されるもの以外、表に示されたデータは、GCから全ての生成物および全ての反応物の正規化重量パーセント値を用いて得られた。前記変換率は、以下の方法により算出された:装填されたDEGの濃度から対象時点でのDEG濃度を引き、この量を装填されたDEG濃度で割り、100を掛けて変換されたDEGパーセントを得た。1モルのDEGは、1モルのTBAと反応して1モルのEETBを形成すること、およびDEG変換に基づく正規化は、このことを考慮に入れることに注意をされたい。幾つかの実施例において、変換されたDEG%は、負として報告されている。これは、低活性触媒で生じ、サンプルの正規化の人為結果および高温でのサンプリングの際のTBAの揮発である。GCにより、全体サンプル中の各反応物および生成物成分の相対濃度が報告される。少量のTBAは蒸発するので、サンプル中のDEGの相対量は、より高く報告される。反応器装填における初発濃度と比較すると、DEGは濃度が増加したように思われる。変換値は算出されたものが報告され、それらは負として報告されるが、事実上ゼロ変換であると考えるべきである。この傾向はまた、他の変換計算においてもある程度生じると考えられ、従って、これらの数は、恐らく変換についての下限を表すが、全てのサンプルにおいて同じ程度で生じると考えられ、操作間で意味のある比較をすることができる。EETB/TBMおよびEETB/Bis−SE比に関する重量パーセント比は、GC追跡から単にそれぞれの重量パーセント比をとることにより得られた。モル比は、各成分の重量パーセントをその分子量で割ることによりグラム/グラムからモル/モル比に変換することにより決定された。
【0079】
幾つかの実施例において、触媒サンプルは、受領したままの形でオートクレーブに充填し、水素による再活性化をしないで用いた。これらの場合、触媒中の還元型Ni含量は、水素中200℃で1時間還元後、触媒中の還元型金属含量のTGA測定により推定された。この含量は、触媒サンプルを充填し、水素で加圧し、反応温度にした後、オートクレーブ中で行われる還元の程度の近似値であると考えられる。
【実施例】
【0080】
実施例1:溶液中TEA添加物と結合したMCM−41/アルミナ上19.5%Niの調製
15.0gのアルミナ結合MCM−41の押出し支持体(それによってMCM−41は、規則的シリカ質メソ細孔性材料であり、アルミナはマトリックスである)を、6.82gの水および2.47gのトリエタノールアミン中に19.28gの硝酸ニッケル六水和物を溶解することにより調製された溶液を用いて初発湿潤点まで浸漬させた。次いでサンプルを、空気中100℃で4時間乾燥させた。乾燥サンプルを、硝酸ニッケルとアミノアルコールとの間で激しい酸化反応を加減する以下のプロトコルに従って温度を徐々にランピングすることによって気流中焼成させた:2℃/分で140℃まで30分間保持し、1℃/分で175℃まで30分間保持した。次いで触媒を、以下のプロトコルに従って、水素流中(200cc/分Hおよび50cc/分N)、400℃、大気圧で1時間の還元により活性化させた:水素流中、2℃/分で室温から400℃に加熱し、400℃で1時間保持した。そのように還元された触媒を、試験のためにオートクレーブへの有酸素移動を可能にするために不活化した。不活化は、水素流下、還元型触媒を室温まで冷却することによって達成された。冷却したら、水素を窒素により置換し、触媒を窒素で1時間パージし、窒素希釈中の酸素濃度を増加して徐々に曝露させた。先ず、窒素中0.02%酸素を30分間、次に窒素中0.1%酸素を30分間、次いで窒素中0.3%酸素を30分間、次いで窒素中10%酸素を30分間、最後に窒素中20%酸素を30分間用いた。
【0081】
実施例2:EETBの合成
1.59gのアルミナ結合MCM−41上Ni(19.5%)、実施例1の材料(粉末に破砕)は、EETBを合成するために使用した。
【0082】
使用前に、200℃/1psi水素を50cc/分で18時間インサイチュで再活性化し、還元型触媒全体を基準にして約14%の還元型ニッケル金属を生成した。次に108.0gのt−ブチルアミンおよび76.4gのジエチレングリコール、2:1モル比のTBA:DEGを、窒素下、室温で反応器に充填した。オートクレーブ反応器の内容物を180℃に加熱し、1時間間隔ごとにGC用にサンプリングしながら、1800rpmで6時間攪拌した。反応器温度は、180℃に保持した。室温での初発水素圧は、100psigであり、180℃での反応器の全体圧は372psigであった。
【0083】
この結果を下表に示す:
【0084】
【表1】

【0085】
6時間後、生成したEETB/TBMのモル比は、24%のジエチレングリコール変換で35であった。EETB/TBMのモル比は、評価される触媒の選択性を比較するために慣例的に用いられる。それは、所与の変換でTBM1モル当り、何モルのEETBが生成されるかを本質的に記載している。EETB/TBMのモル比が高いほど、触媒の選択性が大きい。
【0086】
実施例3:EETBの合成
107.0gのt−ブチルアミンおよび75.6gのジエチレングリコール(2:1モル比)を用いた以外は実施例2の方法を繰り返したが、触媒は、実施例2の触媒で、200℃、1psiの水素を50cc/分の流速で18時間インサイチュで再活性化した。この触媒は、還元型触媒全体を基準にして約14%の還元型ニッケル金属である。1800rpmで7時間攪拌しながら反応器温度を200℃に保持し、反応器の全体圧は385psigであった。室温での初発水素圧は、100psigであった。
【0087】
この結果を下表に示す:
実施例3の結果
【0088】
【表2】

【0089】
200℃で6時間後、EETB/TBMのモル比は、57.9%のジエチレングリコール変換で19であった。実施例2と実施例3とを比較すると、高温度操作が、有意に変換を増加させることは明白である。
【0090】
比較例
2つの先行技術の触媒を、EETB合成の比較目的で操作した。
【0091】
比較例A
E480−Pは、支持体上に沈着させた約65%ニッケルを含有するニッケル触媒である。それは9μmの平均粒径、20lbs/ftの見掛バルク密度を有する。
【0092】
比較例B
実施例1に用いられたものと同様のEETB合成法を使用した。
【0093】
E 480−P(比較例A)の新鮮なサンプルを、180℃でのEETB合成について評価した。使用前に、50cc/分での水素中、200℃で1psiで19時間再活性化し、還元型触媒全体を基準にして約53%の金属還元型ニッケル含量を生成した。次に108.0gのTBAおよび76.4gのDEG(2:1モル比)を、窒素下、室温でオートクレーブに充填した。1.57gの触媒を添加した。室温での初発水素圧は、100psigであった。オートクレーブを180℃に加熱し、内容物を、1800rpmで6時間攪拌した。容器の全体圧は262psigであった。この結果を下表に示す。
【0094】
比較例B(180℃)の結果
【0095】
【表3】

【0096】
比較例C
E 480−Pの新鮮なサンプルを用いた。それは、この実施例の評価前に再活性化しなかった。初期の研究では、この市販の触媒を再活性化しようと、受領したままの触媒を使用するにしても同様な性能であることを示していた。約107.8gのTBAおよび76.2gのDEG(2:1モル比)を、窒素下、室温でオートクレーブに充填した。1.59gの触媒を添加した。室温での初発水素圧は、100psigであった。オートクレーブを200℃に加熱し、内容物を、1800rpmで7時間攪拌した。水素中、200℃で1時間、この触媒に対して行われた還元実験に基づき、還元は、水素中、200℃での処理操作の使用過程で生じると考えられ、還元型金属含量は、還元型触媒全体を基準にして約47〜48%のニッケルであると考えられる。容器の全体圧は385psigであった。この結果を下表に示す。
【0097】
比較例C(200℃)の結果
【0098】
【表4】

【0099】
E−480Pは、実施例3の触媒よりも活性が低いのみならず、EETBに対する選択性は、DEG変換レベルが同じか、また高くても実施例3に記載された触媒よりも有意に低い。
【0100】
比較例D
1.14gのE480−P(比較例A)を、EETBを合成するために用いた。この触媒は、受領したままの形で用いた。次に66.0gのt−ブチルアミン、47.9gのジエチレングリコール、および119.0グラムのトルエン(不活性溶媒として)を、窒素下、室温で反応器に充填した。このオートクレーブを、室温で100psigの水素で充填した。次にオートクレーブ反応器の内容物を、200℃に加熱し、1800rpmで6時間攪拌した。水素中、200℃で1時間、この触媒に対して行われた還元実験に基づき、還元型金属含量は、還元型触媒全体を基準にして約47〜48%であると考えられ、比較例Cを参照されたく、このような還元は、水素中、200℃での処理操作における触媒の使用過程で生じると考えられる。200℃での容器の全体圧は310psigであった。反応器の最終生成物は、NMRにより分析された。この結果を下表に示す。
【0101】
比較例Dの結果
【0102】
【表5】

【0103】
比較例E
Ni 5132−Pは、支持体上に沈着された約60%ニッケルを含有するニッケル触媒である。それは、約160m/gの表面積、約6μmの平均粒径、約0.00508ml/gの細孔容積を有する。
【0104】
比較例F
1.11gのNi−5132−P(比較例E)を、EETBを合成するために用いた。この触媒は、受領したままの形で用いた。次に66.0gのt−ブチルアミン、47.9gのジエチレングリコール、および119.0グラムのトルエン(不活性溶媒として)を、窒素下、室温で反応器に充填した。このオートクレーブを、室温で100psigの水素で充填した。次にオートクレーブ反応器の内容物を、200℃に加熱し、1800rpmで6時間攪拌した。水素中、200℃で1時間、この触媒に対して行われた還元実験に基づき、還元型金属含量は、還元型触媒全体を基準にして約52%であると考えられ、この場合、還元は、処理ステップ中インサイチュで生じると考えられる。200℃での圧は290psigであった。反応器の最終生成物は、NMRにより分析された。この結果を下表に示す。
【0105】
比較例Fの結果
【0106】
【表6】

【0107】
比較例DおよびFにより、同一条件下での2つの先行技術の触媒は、実施例1の触媒よりも選択性が低いことを示している。
【0108】
比較例G
比較例Eの触媒を、EETBの合成のために別の操作で評価した。109.5gのTBAおよび77.6gのDEGを、窒素下、室温でオートクレーブ反応器に装填した。1.61gの比較例Eの触媒を、供給元から受領したままの形で反応器に加えた。室温での初発水素圧は、100psigであった。反応器の内容物を、200℃に加熱し、1時間ごとにGC用にサンプリングしながら1800rpmで4時間攪拌した。水素中、200℃で1時間、この触媒に対して行われた還元実験に基づき、還元型ニッケル含量は、還元型触媒全体を基準にして約52%であると考えられ、この場合、還元は、処理ステップ中インサイチュで生じると考えられる。反応温度での反応器圧は385psiであった。この結果を下表に示す。
【0109】
Ni−5132−P 200℃
【0110】
【表7】

【0111】
比較例H
溶液中TEA添加物の無いMCM−41に対する19.5%Niの調製
5.0gのアルミナ結合MCM−41の押出し支持体(それによってMCM−41は、規則的シリカ質メソ細孔性材料であり、アルミナはマトリックスである)を、2.10gの水に6.44gの硝酸ニッケル六水和物を溶解することにより調製された溶液を用いて初発湿潤点まで浸漬させた。次いでサンプルを、空気中60℃で2時間、100℃で2時間乾燥させた。乾燥サンプルを、以下のプロトコルに従って温度を徐々にランピングすることによって気流中焼成させた:1℃/分で205℃まで2時間保持し、1℃/分で300℃まで2時間保持した。次いで触媒を、以下のプロトコルに従って、水素流中(200cc/分Hおよび50cc/分N)、400℃、1時間の還元により活性化させた:水素流中、2℃/分で室温から400℃に1時間加熱する。そのように還元された触媒を、試験のためにオートクレーブへの有酸素移動を可能にするために不活化した。不活化は、水素流下、還元型触媒を室温まで冷却することによって達成された。冷却したら、水素を窒素により置換し、触媒を窒素で1時間パージし、窒素希釈中の酸素濃度を増加して徐々に曝露させた。先ず、窒素中0.02%酸素を30分間、次に窒素中0.1%酸素を30分間、次いで窒素中0.3%酸素を30分間、次いで窒素中10%酸素を30分間、最後に窒素中20%酸素を30分間用いた。
【0112】
比較例I
107.8gのTBAおよび78.0gのDEG(2:1モル比)を、窒素下、室温でオートクレーブに充填した。1.60gの実施例Hの触媒を、TBA/DEG混合物の添加前に、50cc/分での水素流の200℃/1psiで18時間再活性化し、還元型触媒全体を基準にして約17%の還元型ニッケル金属を生成した。室温での出発水素圧は、100psigであった。反応器内容物を1800rpmで攪拌し、下表に示した時間でGCをとりながら200℃で8時間加熱した。この結果を下表に示す。
【0113】
【表8】

【0114】
図1は、実施例3、比較例C、比較例Gおよび比較例Iに関するデータを比較している。TEA分散補助剤を用いて作製された実施例3の触媒は、EETB/TBM比および比較可能な時間でDEG変換度に基づく性能が著しく優れていることが図から明らかである。実施例3は、DEGのより高い変換度が、種々の触媒を用いるいかなる他の実施例よりも高いEETB/TBM比で得られることを示している。実施例3では、約14%の還元型ニッケルによる還元型ニッケルの装填で優れた結果が得られている。これを、還元型触媒全体を基準にして還元型ニッケルの約47〜48%および52%をそれぞれ有する触媒を利用する比較例CおよびGに対して比較するべきである。このように実施例3の触媒は、約70%のより低い活性金属含量で同様の結果から、幾らか優れた結果が得られる。比較例Iに対して実施例3を比較すると、有機分散補助剤(TEA)を用いて作製された触媒を利用する方法は、DEG変換に対するEETB/TBM比の観点から優れた結果を達成することが見られる。実施例3は、比較可能な時間で比較例Iに比べてより高いレベルでのDEG変換を特徴としている。このより高いレベルでのDEG変換は、より高いEETB/TBM比を伴い、実施例3において所望のEETBがより多く製造されることを示している。
【0115】
比較例JおよびK
2つの更なる触媒が、EETB製造に関して評価された。1つは、MCM−41/SiOベース(14×25メッシュ)上に1.2%白金を含有し、他は、MCM−41/Al上に0.9%パラジウム/0.3%白金を含有した。両触媒は、分散形態の金属を使用した。金属は、この場合に記載されたもの以外の技法による分散形態であった。
【0116】
双方の場合、108.0gのTBAおよび76.4gのDEG(2:1モル比)を、窒素下、室温でオートクレーブ反応器に充填した。1.59gの触媒を加えた。この触媒は、50cc/分の水素流で1psiの水素中、200℃で19時間各々活性化した。オートクレーブ中、室温での初発の水素圧は、100psigであった。オートクレーブを180℃に加熱し、1800rpmで6時間攪拌し、GCサンプルを指定された間隔で採取した。この結果を下表に示す。
【0117】
MCM−41/SiO上白金
【0118】
【表9】

【0119】
MCM−41/Al上パラジウム/白金
【0120】
【表10】

【0121】
表中に見ることができるように、白金およびパラジウム金属装填MCM−41は、良好なEETB合成触媒として機能していない。
【0122】
実施例4:溶液中TEA添加によりSiO上29.8%Niの調製
25.0gの従来の非晶質(非晶質メソ細孔性材料)シリカ支持体(250m/g)を、20.68gの水および7.48gのトリエタノールアミン中に58.40gの硝酸ニッケル六水和物を溶解することにより調製された溶液を用いて初発湿潤点まで浸漬させた。次いでサンプルを、100℃で一晩乾燥させた。乾燥サンプルを、硝酸ニッケルとアミノアルコールとの間で激しい酸化反応を加減する以下のプロトコルに従って温度を徐々にランピングすることによって気流中焼成させた:2℃/分で160℃まで30分間保持し、1℃/分で185℃まで30分間保持し、1℃/分で215℃まで30分間保持し、1℃/分で300℃まで1時間保持した。このように調製された27.00gのサンプル材料を、8.92gの水および3.23gのトリエタノールアミン中、25.18gの硝酸ニッケル六水和物を溶解することにより調製された溶液を用いて初発湿潤点まで再度浸漬させた。次いでサンプルを、空気中100℃で4時間乾燥させた。乾燥サンプルを、以下のプロトコルに従って温度を徐々にランピングすることによって気流中焼成させた:1℃/分で150℃まで1時間保持し、1℃/分で300℃まで1時間保持した。
【0123】
実施例5:分散ニッケル装填SiOを用いるEETBの合成
1.59gの250m/gシリカ(150Å細孔)上Ni(29.8%ニッケル)を、EETBを合成するために使用した。
【0124】
触媒を使用前に、50cc/分での1psi水素流中、200℃で13時間活性化することにより調製してから、オートクレーブ反応器に充填すると、還元型触媒全体を基準にして約23%の還元型ニッケル金属が生成した。108.0gのTBAおよび76.4gのジエチレングリコール(DEG)(2:1モル比)を、窒素下、室温で反応器に充填した。室温でのオートクレーブ中の初発水素圧は、100psigであった。オートクレーブの内容物を180℃に加熱し、指定された時間ごとにGC用にサンプリングしながら、1800rpmで8時間攪拌した。反応温度での反応器の全体圧は253psigであった。この結果を下表に示す:
【0125】
【表11】

【0126】
実施例6
この場合、触媒は400℃で還元し、実施例1に詳述された方法を用いて不活化したこと以外は、実施例5の方法を繰り返した。触媒を使用前に、50cc/分での1psi水素流中、200℃で13時間再活性化した。この触媒は、還元型触媒全体を基準にして約28%の還元型ニッケル金属であった。反応器温度を、1800rpmで攪拌しながら180℃で8時間保持し、下表に指定された時間でGC用にサンプリングした。室温での初発水素圧は、100psigであった。反応温度での反応器の全体圧は253psigであった。この結果を下表に示す。
【0127】
【表12】

【0128】
実施例5と実施例6とを比較すると、金属が活性型/還元型形態であることを確実にするほど十分な高温での還元が、本発明の実施の成功に必須であることが判る。
【0129】
比較例L
15.0gのシリカ支持体(250m/g)を、6.26gの水に19.24gの硝酸ニッケル六水和物を溶解することにより調製された溶液を用いて初発湿潤点まで浸漬させた。次いでサンプルを、空気中60℃で2時間、100℃で1時間および120℃で2時間乾燥した。この乾燥サンプルを、以下のプロトコルに従って温度を徐々にランピングすることによって気流中焼成させた:1℃/分で205℃まで2時間保持し、1℃/分で300℃まで2時間保持した。この触媒を、先に記載されたプロトコルを用いて、水素流中(200cc/分Hおよび50cc/分N)、400℃で1時間還元した。このように還元された触媒を、試験のためにオートクレーブへの有酸素移動を可能にするために不活化した。不活化は、水素流下、還元型触媒を室温まで冷却することによって達成された。冷却したら、水素を窒素により置換し、触媒を窒素で1時間パージし、窒素希釈中の酸素濃度を増加して徐々に曝露させた。先ず、窒素中0.02%酸素を30分間、次に窒素中0.1%酸素を30分間、次いで窒素中0.3%酸素を30分間、次いで窒素中10%酸素を30分間、最後に窒素中20%酸素を30分間用いた。
【0130】
比較例M
1.57gの比較例Lの触媒を、オートクレーブ中、50cc/分での1psig水素流中、200℃で18時間インサイチュで活性化すると、還元型触媒全体を基準にして約16%の還元型ニッケル金属が生成した。106.0gのTBAおよび76.7gのDEG(2:1モル比)を、窒素下、室温でオートクレーブ反応器に添加した。室温での初発水素圧は、100psigであった。反応器の内容物を、1800rpmで攪拌しながら200℃で8時間保持し、下表に指定された時間でGC用にサンプリングした。室温での反応器の全体圧は383psigであった。この結果を下表に示す。
【0131】
【表13】

【0132】
表中に見ることができるように、有機分散補助剤を用いて作製された触媒(実施例6)を使用する方法は、有機分散補助剤を用いて作製されたのではなくて(比較例M)、名目上同じ触媒を用いる方法に対して同じ反応時間で達成された変換レベルの点で著しく優れている。
【0133】
比較例N
この場合、触媒、Ni MCM−41を、水素中400℃の活性化に次いで不活化に供されなかったこと以外は実施例2の方法を繰り返した。そうではなくて、触媒を単に200℃の活性化ステップに供して、還元型触媒全体を基準にして約9%の還元型ニッケル金属を生成した。この合成反応を、実施例2に従って180℃、100psigのHで実施した。この実施例は、最少のDEG変換および測定できないほど少量のEETB生成を示しており、還元型触媒全体を基準にして少なくとも10%の還元型金属を有する活性なニッケル触媒を確保するために十分に高い温度での活性化が好ましいことを示した。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】有機分散補助物を使用しないで作製された触媒を利用する本発明以外の代表的な他の3つの方法と比較して、有機分散補助物を用いて作製された触媒であって本発明の代表的な使用可能なものを用いる方法の操作において、EETB/TBMモル比に対するジエチレングリコールの変換レベルのプロットを示す図である。TBMは、望ましくない副生成物(N−t−ブチルモルホリン)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に分散された触媒的に活性な還元型金属を含んでなる触媒の存在下、第一級アミノ化合物とポリアルキレングリコールを高温、高圧で反応させることによる、立体障害の大きなアミノエーテルアルコール、ジアミノポリアルケニルエーテルおよびそれらの混合物の合成方法であって、
前記触媒は、
前記支持体上に、1種以上の触媒金属の1種以上の有機錯体を導入する工程;
前記支持体上の前記1種以上の有機金属錯体を分解する工程;および
前記1種以上の分解された有機金属錯体を、触媒的に活性な還元型金属に変換する工程
を含んでなる方法によって調製されることを特徴とする合成方法。
【請求項2】
前記1種以上の触媒金属の有機錯体が、1種以上の触媒金属の化合物または塩と混合された有機化合物の混合物の形態で前記支持体上に導入されることを特徴とする請求項1に記載の合成方法。
【請求項3】
前記支持体を1種以上の有機化合物で処理し、次いで前記1種以上の有機化合物を含有する支持体を、1種以上の触媒金属の1種以上の化合物または塩類で処理して、1種以上の触媒金属の前記1種以上の有機錯体を形成することにより、前記1種以上の触媒金属の有機錯体を前記支持体上に導入することを特徴とする請求項1に記載の合成方法。
【請求項4】
前記支持体を1種以上の触媒金属の1種以上の化合物または塩類で処理し、次いで前記1種以上の触媒金属の1種以上の化合物または塩類を含有する支持体を、1種以上の有機化合物で処理して、1種以上の触媒金属の前記1種以上の有機錯体を形成することにより、前記1種以上の触媒金属の有機錯体を前記支持体上に導入することを特徴とする請求項1に記載の合成方法。
【請求項5】
前記支持体を、1種以上の触媒金属の1種以上の化合物または塩類および1種以上の有機化合物で同時に処理して、1種以上の触媒金属の前記1種以上の有機錯体を形成することにより、前記1種以上の触媒金属の有機錯体を前記支持体上に導入することを特徴とする請求項1に記載の合成方法。
【請求項6】
前記分解が、部分分解であることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項7】
前記分解が、完全分解であることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項8】
前記支持体が、1種以上のメソ細孔性材料を含んでなることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項9】
前記支持体が、1種以上の規則的メソ細孔性材料を含んでなることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項10】
前記支持体が、1種以上の混合多孔性材料を含んでなることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項11】
前記支持体が、1種以上の従来の非晶質材料、1種以上の結晶性支持体材料およびそれらの混合物からなる群から選択される支持体を含んでなることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項12】
前記支持体が、1種以上の混合多孔性支持体材料と組み合わされた1種以上のメソ細孔性支持体材料を含んでなることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項13】
前記支持体が、1種以上の混合多孔性支持体材料と組み合わされた1種以上の規則的メソ細孔性支持体材料を含んでなることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項14】
前記支持体が、従来の非晶質材料、結晶性材料およびそれらの混合物からなる群から選択される1種以上の追加の材料と組み合わされた1種以上のメソ細孔性支持体材料を含んでなることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項15】
前記支持体が、従来の非晶質材料、結晶性材料およびそれらの混合物からなる群から選択される1種以上の追加の材料と組み合わされた1種以上の規則的メソ細孔性支持体材料を含んでなることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項16】
前記メソ細孔性支持体材料が、M41Sと称される1種以上の材料を含んでなることを特徴とする請求項9に記載の合成方法。
【請求項17】
前記メソ細孔性材料が、MCM−41であることを特徴とする請求項16に記載の合成方法。
【請求項18】
前記支持体材料が、活性炭、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択される支持体材料を含んでなることを特徴とする請求項11に記載の合成方法。
【請求項19】
前記支持体材料が、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項18に記載の合成方法。
【請求項20】
前記有機化合物が、1種以上の有機窒素含有化合物から選択されることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項21】
前記1種以上の有機窒素含有化合物が、1種以上のアミンから選択されることを特徴とする請求項20に記載の合成方法。
【請求項22】
前記アミンの少なくとも1種が、脂肪族アミンであることを特徴とする請求項21に記載の合成方法。
【請求項23】
前記脂肪族アミンが、1つ以上のヒドロキシル基を含有することを特徴とする請求項22に記載の合成方法。
【請求項24】
前記有機錯体の分解が、焼成により達成されることを特徴とする請求項6に記載の合成方法。
【請求項25】
前記有機錯体の分解が、焼成により達成されることを特徴とする請求項7に記載の合成方法。
【請求項26】
前記有機錯体の分解が、熱分解により達成されることを特徴とする請求項6に記載の合成方法。
【請求項27】
前記有機錯体の分解が、熱分解により達成されることを特徴とする請求項7に記載の合成方法。
【請求項28】
前記還元型金属の含量が、還元型触媒全体を基準にして2.5重量%〜80重量%の範囲であることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項29】
前記触媒金属が、1種以上のVIII族遷移金属を含んでなることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項30】
前記触媒金属が、1B族、IIA族遷移金属およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の追加触媒金属を更に含んでなることを特徴とする請求項29に記載の合成方法。
【請求項31】
前記触媒金属が、ニッケルであることを特徴とする請求項30に記載の合成方法。
【請求項32】
前記触媒金属が、ニッケルであることを特徴とする請求項28に記載の合成方法。
【請求項33】
前記還元型金属の含量が、還元型触媒全体を基準にして10重量%〜65重量%の範囲であり、前記金属がニッケルであることを特徴とする請求項32に記載の合成方法。
【請求項34】
第一級アミン対グリコールのモル比が、10:1〜0.5対1の範囲にあることを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項35】
前記第一級アミン化合物が、一般式:
−NH
(式中、Rは、3〜8個の炭素原子を有する第二級および第三級アルキル基、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基およびそれらの混合物からなる群から選択される)
で表され、
前記ポリアルケニルグリコールが、一般式:
【化1】

(式中、R、R、RおよびRは各々独立して、水素、C〜Cアルキル基およびC〜Cシクロアルキル基からなる群から選択され、ただし、窒素原子に直接結合したRの炭素原子が第二級アルキル基である場合、ヒドロキシル基に結合する炭素に直接結合するRおよびRの少なくとも一方は、アルキル基またはシクロアルキル基であり;xおよびyは、各々独立して2〜4の範囲の正の整数であり;zは1〜10である)
で表され、
zが1より大きい場合、アルキル置換第一級アミン対グリコールの比が2:1未満である
ことを特徴とする請求項34に記載の合成方法。
【請求項36】
前記第一級アミンとグリコールの反応を、室温でかけられたゼロ〜300psigの水素圧、150〜350℃の温度、操作温度において50〜1500psigの反応器全体の反応圧で0.5〜24時間実施することを特徴とする請求項1、2、3、4および5のいずれかに記載の合成方法。
【請求項37】
前記室温でかけられた水素圧が20〜200psigであり、前記温度が160〜300℃であり、前記操作温度での反応器全体圧が50〜1000psigであり、前記反応時間が1〜12時間であることを特徴とする請求項36に記載の合成方法。
【請求項38】
前記室温でかけられた水素圧が20〜150psigであり、前記温度が180〜225℃であり、前記操作温度での反応器全体圧が50〜500psigであり、前記反応時間が2〜8時間であり、前記第一級アミン対グリコール比が2:1〜1:1であることを特徴とする請求項36に記載の合成方法。
【請求項39】
前記第一級アミンがt−ブチルアミンであり、前記グリコールがジエチレングリコールであることを特徴とする請求項36に記載の合成方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−523082(P2007−523082A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553156(P2006−553156)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/003059
【国際公開番号】WO2005/082834
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】