説明

金銭取扱い装置

【課題】レシート挿入凹所の内底面が水平面であるためにレシートを水平に挿入していた従来の金銭取扱い装置の欠点である外乱光の影響によるバーコードリーダによる読取り精度の低下という不具合を解決する。また、レシート挿入凹所の構造を改良したことに伴って発生する不具合である雨水の滞留を防止することができる構造を提供する。
【解決手段】装置外装体3の外側面に配設されて取引関連情報を含むバーコードBCが上面に記録されたシートRを該シート先端を下向きに傾斜させて受け入れるシート挿入凹所30と、シート挿入凹所内の上部に配置され読取り用の光を下向きに出射して挿入されたシート上のバーコードを走査するバーコードリーダ20と、を備え、シート挿入凹所の内底面は、内奥部に向かって下向きに傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レシート等のシート上に記録されたバーコードを読取ることにより、バーコードに含まれる取引関連情報に基づいて金銭の払い出し等の処理を実施する機能を備えた金銭取扱い装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
セルフ給油方式を採用したガソリンスタンドでは、更なるコスト低減を図るために複数の給油機に対して、単数又は少数の精算機を別構成にして設置したシステムを採用することが多い。この給油システムにおいては、利用者が給油機の金銭投入口に金銭を投入してから給油操作を行った際に、釣銭がある場合においても、給油機自体からは釣銭は払い出されず、当該給油取引の内容を特定するのに必要な情報、或いは金銭に関する情報をバーコードにより記録したレシートを給油機から発行する。釣銭の払出しは、給油機から離間した箇所に別途設置された精算機により行われる。
利用者は精算機のレシート挿入口内にレシートを挿入して、挿入口内に配置されたバーコードリーダからの検知用レーザ光をレシートのバーコード部分に照射させることによって取引内容(釣銭)に関する情報の読取りを受ける。精算機側では、レシート上のバーコードから読取った釣銭情報に基づいて払出口に釣銭を払い出す。このように給油機毎に精算機を設けずに、複数の給油機に共通する一台、或いは少数の精算機によって釣銭を払い出すように構成することによって、給油機の装置構成を簡略化すると共に管理手数を低減して、コストダウンを図ることが可能となる(特開平8−119396号、特開2005−47558)。
図5(a)は精算機の外観図(正面図)であり、この精算機は、機器本体100の前面に開閉自在なドア(外装体)101を備え、このドア101の前面にはレシート挿入口(レシート挿入凹所)102、紙幣払出口103、硬貨払出口104、払出し金額等の表示部105等が装備されている。
図5(b)はレシート挿入口及びバーコードリーダの構成を示す断面図である。
レシート挿入口102は、ドア101に形成された挿入凹所110であり、その内底面は水平な底板111となっている。底板111と対向するレシート挿入口の天井面には透明板112が配置され、この透明板112の上側の精算機内部にはバーコードリーダ115の読取り部115aが近接配置されており、読取り部115aからの読取り用のレーザ光Lは透明板112を透過してレシート挿入口102内に照射されるように構成されている。
従来の挿入凹所110はこのように底面が水平面となっているため、利用者はレシートRを水平な底板111に沿って水平に挿入してレシート上面のバーコードBCの読取りを受けることとなる。
しかし、この精算機は屋外に設置されるため、太陽光、照明光等の外乱光が矢印方向から挿入凹所110内に入射し易い。特に、レシートを水平な姿勢でレシート挿入口102内に差し込むためにレシート上面のバーコードBC部分に対して外乱光が照射されるため、バーコードリーダによる読取り性能が安定しなくなる。
【特許文献1】特開平8−119396号公報
【特許文献2】特開2005−47558公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、挿入凹所内に挿入されたレシート等のシート上面に記録されたバーコード中からバーコードリーダによって読取った取引関連情報に基づいて金銭の払い出し等の処理を実施するように構成した従来の金銭取扱装置にあっては、シート挿入凹所の内底面が水平面であるために利用者はレシートを水平に差し込むこととなり、その結果バーコードリーダからの読取り用レーザ光に対して外乱光が重畳して読取り性能を低下させるという問題があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、レシート挿入凹所の内底面が水平面であるためにレシートを水平に挿入していた従来の金銭取扱い装置の欠点である外乱光の影響によるバーコードリーダによる読取り精度の低下という不具合を解決することを目的としている。
また、レシート挿入凹所の構造を改良したことに伴って発生する不具合である雨水の滞留を防止することができる構造を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、装置外装体の外側面に配設されて取引関連情報を含むバーコードが上面に記録されたシートを該シート先端を下向きに傾斜させて受け入れるシート挿入凹所と、該シート挿入凹所内の上部に配置され読取り用の光を下向きに出射して挿入された前記シート上のバーコードを走査するバーコードリーダと、金銭払出口から金銭を払い出す金銭払出装置と、制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記バーコードリーダが前記バーコードから読取った取引関連情報に基づいて前記金銭払出装置を作動させて該取引関連情報に基づいて決定した金額を前記金銭払出口から払い出すように制御する金銭取扱い装置であって、前記シート挿入凹所の内底面は、内奥部に向かって下向きに傾斜していることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1において、前記シート挿入凹所の内底面の奥部には内部排水部を設け、前記装置外装体の外側面には前記内部排水部と連通した排水孔を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明では、シート挿入凹所の内底面を内奥部に向かって下向きに傾斜させているため、外乱光の影響によるバーコードリーダによる読取り精度の低下という不具合を解決することができる。
また、シート挿入凹所の内底面の奥部に内部排水部を設け、前記装置外装体の外側面には内部排水部と連通した排水孔を備えているので、レシート挿入凹所の構造を改良したことに伴って発生する不具合である雨水の滞留を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る金銭取扱い装置としての精算機の正面図、及び正面ドアを開放した内部構成を示す図である。図2はレシート挿入凹所及び下部外面の拡大図、図3はレシート検知手段、レシート挿入凹所及びバーコードリーダの構成を示す断面図、図4は雨水排水ルートを示す断面図である。
この実施形態に係る金銭取扱い装置は、例えば背景技術において説明したように、セルフ給油方式を採用したガソリンスタンドにおいて給油機とは別途設置されて釣銭を払い出す精算機1を一例として説明する。
この精算機(金銭取扱い装置)1は、図1(a)に示すように、機器本体2の前面に横方向へ開閉自在なドア(装置外装体)3を備え、このドア3の前面にはレシート挿入口4、紙幣払出口(金銭払出口)5、硬貨払出口(金銭払出口)6、払出し金額等の表示部7等が装備されている。
更に、レシート挿入口4の直上位置には、レシート(シート)Rの進入を事前に(バーコードリーダによる読取り領域への進入前に)検知するための反射型光学センサからなるレシート検知手段(シート検知手段)10が配置されている。
図1(b)はドア3を開放した場合に露出する機器本体2の内部構成を示しており、レシート挿入口4の直上に相当する位置にはバーコードリーダ20が配置され、紙幣払出口5の内側に相当する位置には紙幣払出口5に払出し用の紙幣を供給する紙幣ユニット(金銭払出装置)21が配置され、硬貨払出口6の内側に相当する位置には硬貨払出口6に払出し用の硬貨を供給する硬貨ユニット(金銭払出装置)22が配置されている。更に、機器本体2内には図示しない制御手段が配置されている。
精算機1は、伝票番号や給油日時、釣銭金額等の取引関連情報を含むバーコードBCが上面に記録されたレシートRが読取り領域内に近づきつつあることをレシート検知手段10からの検知光L1により事前に検知した上で、該検知情報に基づいてバーコードリーダ20の作動を開始して読取り用のレーザ光L2を出射してバーコードを走査可能なスキャンモードに移行する。制御手段は、バーコードリーダ20がバーコードから読取った取引関連情報に基づいて各金銭払出装置21、22を作動させて該取引関連情報に基づいて決定した金額を各金銭払出口5、6から払い出すように制御する。
【0007】
図3に示すように、レシート挿入口4は、ドア3前面に形成されたレシート挿入凹所(シート挿入凹所)30を備え、レシート挿入凹所30の内底面は手前側から奥側へ下向きに傾斜した平坦な底板31となっている。底板31と対向するレシート挿入口4の天井面には透明板32が配置され、この透明板32の上側の精算機内部にはバーコードリーダ20の読取り部20aが近接配置されており、読取り部20aからの読取り用のレーザ光L2は透明板32を透過してレシート挿入口4内に照射されるように構成されている。
バーコードリーダ20による走査時には、レシート挿入凹所30内において、バーコードリーダの読取り部20aから出射された拡散光としてのスキャン用のレーザ光L2が上方から下方へ向けて斜めに照射される。従って、図示しない給油機から発行されたレシートRの上面に記録されたバーコードBCがレーザ光L2の照射領域(読取り領域)に達するようにレシートを差し込むことにより読取りが可能となる。
本発明では、レシート挿入凹所30の内底面に奥側へ下向きに傾斜した平坦な底板31を設けているため、利用者がレシートRをレシート挿入凹所30内に差し込む際にレシート先端を下向きに傾斜させて差し込むこととなる。必要に応じて、レシート挿入口4の開口周辺のドア前面に「レシートを下向きにさし込んで下さい」等の表示を設けることにより、下向き傾斜した挿入が確実に行われる。
このようにレシートを奥に向かって下向きに傾斜させて挿入することにより、レシートを把持してレシート挿入凹所30内にレシートを差し込む際に、レシートを把持した利用者の手が、レシート挿入凹所30の入口を塞ぐこととなり、太陽光、照明光などの外来光がレシート上面のバーコードBC部分に外乱光として入来することを阻止して、バーコードリーダ20からの読み取り用レーザ光L2による読取り精度の低下を防止することができる。換言すれば、レシートを把持する利用者の手がレシート挿入凹所30の入口からレシート上面のバーコードBCに達する外来光の入射経路を遮蔽するようにレシート挿入凹所30の開口サイズ、レシート挿入時の傾斜角度を設定する。
更に、レシートの挿入角度が水平面よりも下向きに傾斜していることにより、レシート挿入凹所30の開口部から外来光が入射したとしても、バーコード部分BCに対する照射光量が少なくなり、バーコードリーダ20からの読み取り用レーザ光L2による読取り精度の低下を防止することができる。
【0008】
次に、図4は本発明のレシート挿入凹所が備えた雨水の排水構造を示す側部断面図である。
レシート挿入凹所30の内底面に位置する傾斜した底板31の奥部にはスリット状の内部排水部35が設けられている。即ち、底板31の奥端縁とシート挿入凹所30の奥壁33との間にスリット状の空隙からなる排水部35を設けている。更に、奥壁33の下端部からは前方へ向けて所定の下向きの傾斜角度にて延びる雨水ガイド板36を設け、この雨水ガイド板36の前端縁はドア3の内壁と一体化している。雨水ガイド板36の前端縁の直上位置に相当するドア3部分には排水孔37を形成している(図2参照)。
従って、屋外に設置された精算機1のレシート挿入凹所30内に雨水が浸入したとしても、雨水が底板31に沿って奥側へ流動し、奥端部に位置する排水部35から雨水ガイド36上面を経て前方へ移動し、最後には排水孔37から機外に排出される。
このため、レシート挿入凹所30の底板31を奥に向かって下向きに傾斜させたとしても、上記排水構造を設けたことにより雨水が溜まることがなくなり、汚れや錆等により装置の耐久性が低下することがなくなる。
なお、本発明の金銭取扱い装置によるシート検知のための構成は、ガソリンスタンドに設置される精算機ばかりでなく、バーコードを備えたシートをバーコードリーダにかざすことによって金銭を払い出す機構を備えた金銭取扱い装置一般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る金銭取扱い装置としての精算機の正面図、及び正面ドアを開放した内部構成を示す図。
【図2】レシート挿入凹所及び下部外面の拡大図。
【図3】レシート検知手段、レシート挿入凹所及びバーコードリーダの構成を示す断面図。
【図4】雨水排水構造を示す断面図。
【図5】(a)は精算機の外観図(正面図)、(b)はレシート挿入口及びバーコードリーダの構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0010】
1…精算機、2…機器本体、3…ドア(装置外装体)、4…レシート挿入口、5、6…各金銭払出口、7…表示部、10…レシート検知手段、20…バーコードリーダ、21、22…各金銭払出装置、30…シート挿入凹所、31…底板、32…透明板、33…奥壁、35…内部排水部、36…雨水ガイド、36…雨水ガイド板、37…排水孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置外装体の外側面に配設されて取引関連情報を含むバーコードが上面に記録されたシートを該シート先端を下向きに傾斜させて受け入れるシート挿入凹所と、該シート挿入凹所内の上部に配置され読取り用の光を下向きに出射して挿入された前記シート上のバーコードを走査するバーコードリーダと、金銭払出口から金銭を払い出す金銭払出装置と、制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記バーコードリーダが前記バーコードから読取った取引関連情報に基づいて前記金銭払出装置を作動させて該取引関連情報に基づいて決定した金額を前記金銭払出口から払い出すように制御する金銭取扱い装置であって、
前記シート挿入凹所の内底面は、内奥部に向かって下向きに傾斜していることを特徴とする金銭取扱い装置。
【請求項2】
前記シート挿入凹所の内底面の奥部には内部排水部を設け、前記装置外装体の外側面には前記内部排水部と連通した排水孔を備えていることを特徴とする請求項1に記載の金銭取扱い装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−133786(P2007−133786A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328128(P2005−328128)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(305027456)東洋ネットワークシステムズ株式会社 (200)
【Fターム(参考)】