説明

釣り具

【課題】アミエビ等の生き餌が付いた状態であっても、簡単な操作で剥離させることのできる装飾層を備えた釣り具を提供する。
【解決手段】竿素材1の表面に装飾層Bを設け、装飾層Bの表面自由エネルギーを30mj/m2以下、かつ、極性成分を10mj/m2以下に設定してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り具用素材の表面に装飾層を施してある釣り具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装飾層としては、美観を高める為、或いは、釣り具用素材の保護の為に、複数層に設けてあり、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂等の軟質の下地層を形成し、その下地層の表面に硬質の表面層を形成していた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−234810号公報(段落〔0012〕,図4及び図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のものにおいては、表面層を硬質にして美観とともに下地層等の保護機能を高めるために、UV塗料、アクリルウレタン塗料等を使用して、表面層を形成している。
しかし、防汚性については考慮されてなく、これらの釣り具が釣り操作に使用された後に、アミエビ等の生き餌が付いたまま放置されると、その後、付着した生き餌等を剥がし処理しようとしても、円滑に行えないことがあった。
【0005】
本発明の目的は、アミエビ等の生き餌が付いた状態であっても、簡単な操作で剥離させることのできる装飾層を備えた釣り具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、釣り具用の素材表面に装飾層を設け、前記装飾層の表面を低表面自由エネルギー層に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用効果〕
ここでは、表面自由エネルギーという概念を導入することによって、防汚性について評価することとした。表面自由エネルギーは表面張力と同様の概念と考えられ、分散成分量、極性成分量、水素結合成分量をトータルすることによって得られる。これらの成分は、試薬の液滴をテスト面に垂らし、垂らした液滴の作る接触角を測定することによって、求められる。
【0008】
水素結合成分は、他の成分に比して絶対値が小さなものであるので、ここでは、分散成分と極性成分に着目する。両成分は共に分子・原子の引き合う状態を指示する数値であるが、ここでは、主として表面自由エネルギーとして評価してみた。
【0009】
表面自由エネルギーを低表面自由エネルギー(0〜30mj/m2)に設定すると、表面層の疎水性が向上し、アミエビ等が付着して乾燥した表面層であっても、簡単な水洗い等で剥離することができる。
【0010】
〔構成〕
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記装飾層の表面を低極性表面自由エネルギー層に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0011】
〔作用効果〕
ここでは、表面自由エネルギーにおける極性成分について着目して、防汚性について評価することとした。装飾層の表面を低極性表面自由エネルギー層に形成することによる効果を実証する為に、次のようなテストを行った。
つまり、高極性成分状態を呈する10mj/m2を越える従来品と、極性成分が10mj/m2以下である低極性成分の本発明品との剥離性能を比較するために、釣り具に見立てた資料板にオキアミを付着させ、80℃で乾燥させたものを数十時間経過後に、適当な手段によって、剥離を試みた。この時の状態が別途提出した資料に載せている写真である。ただし、表面自由エネルギーとしては、低表面自由エネルギー(30j/m2以下)に設定してあることが条件となる。
【0012】
このテストによると、極性成分がゼロに近い本発明に係るテスト板では、簡単な操作で剥離することができた。極性成分が大きな数値を示す、アクリルウレタン塗料を塗布したテスト板では、簡単な操作では剥離することができなかった。
【0013】
〔構成〕
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記装飾層の表面を低分散表面自由エネルギー層に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0014】
〔作用効果〕
ここでは、表面自由エネルギーを構成するもののうち、分散成分に着目して、防汚性について評価することとした。この場合にも、極性成分で防汚性を評価した場合と同様に、分散成分が低分散成分(15mj/m2以下)状態を呈するように設定すると、良好な防汚性を呈した。ただし、表面自由エネルギーとしては低表面自由エネルギー状態(30j/m2以下)に設定してあることが条件となる。
テスト結果については、第2実施形態において説明する。
【0015】
〔構成〕
請求項4に係る発明の特徴構成は、釣り具用の素材表面に装飾層を設け、前記装飾層を複数層に形成し、前記複数層のうちの表面層を低極性表面自由エネルギー層、または、低分散表面自由エネルギー層に形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0016】
〔作用効果〕
装飾層が複数層であっても、その表面層が、低極性表面自由エネルギー層(表面自由エネルギーが30mj/m2以下でかつ極性成分が10mj/m2以下)、または、低分散表面自由エネルギー層(表面自由エネルギーが30mj/m2以下でかつ分散成分が15mj/m2以下)に形成してあるので、良好な剥離性を確保することができた。
【0017】
〔構成〕
請求項5に係る発明の特徴構成は、前記装飾層を形成する塗料として、アミノ基を含有したアクリル樹脂にコロイダルシリカを分散した主剤に、架橋剤としてシランカップリング剤とポリイソシアネートを用いる点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0018】
〔作用効果〕
コロイダルシリカがアルキル化されることによって、装飾層の表面が疎水性を向上させて、防汚性能を高めている。
このように、架橋密度の向上と表面自由エネルギーの低下という二つの課題を克服した有用な装飾層を有する釣り具を提供することができた。
【0019】
〔構成〕
請求項6に係る発明の特徴構成は、前記装飾層を、前記素材表面に施される下地塗装層とその下地塗装層の表面に施される表面層とで構成し、前記表面層を形成する塗料として、アミノ基を含有したアクリル樹脂にコロイダルシリカを分散した主剤に、架橋剤としてシランカップリング剤とポリイソシアネートを用いる点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0020】
〔作用効果〕
このように、表面層を下地塗装層の表面に塗装する形態を採ることによって、表面層を直接素材の表面に施す場合に比べて密着性を向上させることができ、長期使用によって、表面層と下地塗装層との間にブリスター等の発生が抑制される。
【0021】
〔構成〕
請求項7に係る発明の特徴構成は、前記装飾層を形成する塗料として、フッ素樹脂塗料を主剤として用いる点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0022】
〔作用効果〕
つまり、後記する第5実施形態で示すように、フッ素樹脂塗料を用いることによって、分散成分及び極性成分共に小さな値を採ることになり、結果として表面自由エネルギーの低い、防汚性の高い装飾層を有する釣り具を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】下塗塗装層と表面層とを備えた竿体の縦断側面図である。
【図2】下塗塗装層と表面層との間に中間塗装層を設けた竿体における縦断側面図 である。
【図3】酸化膜層、下地塗装層、中間塗装層、表面塗装層を設けてあるリールの本 体における縦断側面図である。
【図4】酸化膜層、下地塗装層、表面塗装層を設けてあるリールの本体における縦 断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第1実施形態〕
本発明を釣り竿に適用する形態について説明する。
図示してはいないが、炭素繊維等の強化繊維を一方向に引き揃えたものに、エポキシ等の熱硬化性樹脂を含浸させて、プリプレグシートを構成する。その他、バルクモールド法、シートモールド法を利用して、プリプレグシートを構成してもよい。このプリプレグシートを所定形状に裁断して、メインパターンを形成する。この他、竿尻端等の補強を図る為に、メインパターンより軸芯長の短い補強パターン等が使用される。
【0025】
メインパターンとして、強化繊維を周方向に引き揃えた第1層と、強化繊維を軸線方向に沿って引き揃えた第2層と、強化繊維を周方向に引き揃えた第3層とを揃える。これらを重ね合わせてマンドレルに巻回し、または、順次マンドレルに巻回して積層していくことによって、筒状体を構成する。筒状体をマンドレルと一体で焼成し、マンドレルを脱芯後所定長さに裁断し研磨処理等を行って竿素材1を構成する。
【0026】
図1に示すように、竿素材1の表面に、下地塗装層2を形成するとともに、下地塗装層2の表面に表面層としての表面塗装層3を形成して、竿体Aを構成する。下地塗装層2と表面層3とで装飾層Bを構成する。
【0027】
下地塗装層2について説明する。下地塗装層2に利用される塗料は、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂からなる群のうちから適宜選択される合成樹脂から構成される。これらの塗料を吹き付け、扱き、刷毛塗り等の手法を用いて、竿素材1の表面に施す。
【0028】
下地塗装層2の表面に施される表面塗装層3に利用される塗料は、アミノ基を含有したアクリル樹脂に平均粒子径が10〜50nmのコロイダルシリカを分散した主剤に、架橋剤としてシランカップリング剤とポリイソシアネートを用いる塗料である。
上記したような塗料成分によって、コロイダルシリカがアルキル化される反応が進行して架橋密度の向上、及び、表面自由エネルギーの低下を図ることができる。ここで、この塗料をウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料と称する。
【0029】
防汚性については、表面塗装層3の表面自由エネルギーによって評価される。
表面自由エネルギーとは、表面張力と類似する概念を提示するものであり、単位長さ当たりの作用する力として現される表面張力と異なり、単位面積当たりのエネルギー(mj/m2)として表示されて、数値としては同じ数値を表すものとなる。
【0030】
表面自由エネルギーを算出する際に、使用される算出式は、基本となるヤング−デュプレの式を参考にして、独自のものを使用している。
ヤング−デュプレの式:WSL =RL(1+COSθ)
SL:固体と液体とをその界面で引き離すに必要なエネルギー
L :液体(固体)の表面自由エネルギー
θ :液体等の表面に付着した液滴の接触角
【0031】
本願発明においては、ヤング−デュプレの式を基礎に提案されている北崎―畑理論で説明する。
(1) 次式は仮定式であり、この仮定のもとにRd、Rp、Rhの最適値を算出する。
L=Rd+Rp+Rh
d :分散成分
p :極性成分
h :水素結合成分
(2) 上記仮定式を検証するのに、下記のような置換式、および、計算式を用いて、RSd、RSp Shを算出する。この数値は、液体の分散成分、極性成分、水素結合成分である。
(3) 置換式は次のようなものである。
2=RSd、y2=RSp、z2=RSh
12=RL1d、b12=RL1p、c12=RL1h、2d1=RL1total(1+COSθL1
22=RL2d、b22=RL2p、c22=RL2h、2d2=RL2total(1+COSθL2
32=RL3d、b32=RL3p、c32=RL3h、2d3=RL3total(1+COSθL3
(4) 計算式は次のようなものである。
1x+b1y+c1z=d1
2x+b2y+c2z=d2
3x+b3y+c3z=d3
x≧0、y≧0、z≧0
(5) 計算式によって、次の解を得て、RSd、RSp Shを算出する。
Sd=x2 Sp=y2、RSh=z2
【0032】
接触角θの測定について説明する。測定対象となるクリアー塗装面に垂らすプローブ液体の違いによって接触角θが異なるので、そこで、3種のプローブ液体を用いて接触角θを測定する。プローブ液体としては、水、ノルマルヘキサデカン、ジョードメタンを使用する。
ここで、従来の塗料と極性成分を小さくした本願発明の塗料の表面自由エネルギーの比較表である。
【0033】
〔テスト結果〕
ここでは、釣り竿に使用された装飾層Bについて、従来品と本発明品とを比較したテストを行ってみた。鋼板の表面に本発明に係る塗料を塗布したものと、従来の塗料を塗布したものとの、表面自由エネルギーの差を測定し、参考図(写真)によって本発明の防汚効果を確認した状態を説明する。
本願発明を構成する塗料は、前記した通りである。比較する従来の塗料も前記したように、通常のアクリルウレタン樹脂塗料である。
【0034】
(1) これらを二枚の鋼板に塗り分けて、テスト鋼板を二枚作成する。
(2) 参考資料における上段写真には、これら二枚の鋼板に釣り餌のオキアミを塗りつけて、80℃で乾燥したものが示されている。
(3) 参考資料における中段写真には、鋼板に塗りつけたオキアミを、指で擦り落した状態を示すものである。従来品では、指で擦るだけでは落ち難いことを示している。
(4) 参考資料における下段写真には、鋼板に塗りつけたオキアミを、水洗いして落とした状態を示している。従来品では、或る程度水洗いで落とすことができるが、完全には落ち難いことを示している。
【0035】
【表1】

ここで、表面自由エネルギーを測定する装置としては、次のものである。
測定装置は、名称が「固液界面解析装置」で、「協和界面科学株式会社」製である。そして、上記した表面自由エネルギーを算出する理論式は、当測定装置の取扱い説明書に記載されたものである。
【0036】
以上のように、表面塗装層3は、低極性表面自由エネルギー(表面自由エネルギーが30mj/m2以下でかつ極性成分が10mj/m2以下)層として形成されていることを示している。
【0037】
〔第2実施形態〕
本発明を釣り竿Aに適用する別形態について説明する。つまり、図2に示すように、竿素材1の表面に、下地塗装層2と、下地塗装層2の表面に中間塗装層4と、中間塗装層4の表面に表面塗装層3とを設けて、釣り竿Aを構成する。
下地塗装層2としては、エポキシ樹脂塗料を用いて密着性の向上を図り、中間塗装層4としては、アクリルウレタン樹脂塗料でメタリック塗装を行い、表面塗装層3として、前記した本発明に係るウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料を用いる。
【0038】
〔第3実施形態〕
ここでは、図3に示すように、リール本体5に装飾層Bを施す場合について説明する。
マグネシュウム合金製のリール本体5の表面に、耐食性の向上を図って陽極酸化法による酸化膜層6を形成する。酸化膜層6の表面に下地塗装層7を施す。下地塗装層7では、エポキシ樹脂を主成分とするカチオン形電着塗料を用いて電着塗装をしている。電着塗装法を用いているので、酸化膜層6の表面に均一に塗料を施すことができる。下地塗装層7の表面に中間塗装層8を設ける。中間塗装層8は、アクリルウレタン樹脂塗料等で形成される。中間塗装層8の表面に表面塗装層9を設ける。表面塗装層9では、従来品は、アクリルウレタン塗料を使用しているが、本発明品においては、本発明にかかる前記したウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料を使用している。
【0039】
【表2】

【0040】
上記したように、リール本体に本願発明の塗料を施した場合にも、極性成分が略ゼロを示すところから、防汚性に寄与していることが十分に窺える。極性成分がゼロを示すとしたのは、前記したように、極性成分は理論式より導かれるものであるので、100分の1以下の位については、省略したからである。
【0041】
〔第4実施形態〕
リール本体5に施される装飾層Bの別実施形態について説明する。図4に示すように、アルミニュウム合金製のリール本体5を使用する場合には、リール本体5の表面に、耐食性の向上を図って陽極酸化法によって酸化膜層6を形成する。酸化膜層6の表面には、前記したような下地塗装層7を省略し、中間塗装層8を直接施している。中間塗装層8は、アクリルウレタン樹脂塗料等で形成される。表面塗装層9では、本発明にかかる前記したウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料を使用している。
【0042】
〔第5実施形態〕
ここでは、分散成分に着目して、分散成分の違いによって、表面自由エネルギーの低下による防汚性について検討してみた。その結果が下記のようなものである。検査した対象はリール本体であり、本発明品においては、酸化膜層6の上に直接フッ素樹脂塗料を使用したものであり、従来品は、第3実施形態で記載したものと同様の表面層3を有するものである。
【0043】
【表3】

【0044】
この第5実施形態においては、発明品1とは異なる塗料を発明したところ、極性成分については、発明品1に比べてやや高い数値を示しているが、発明品2は、分散成分において良好な数値を示しており、分散成分も表面自由エネルギーの低下に寄与することが裏付けられ、防汚性の高い装飾層Bを提案できた。
したがって、リール本体5の装飾層Bの表面塗装層9は、低分散表面自由エネルギー(表面自由エネルギーが30mj/m2以下でかつ分散成分が15mj/m2以下)層として形成されていることを示している。
【0045】
〔第6実施形態〕
ここでは、本発明に係るウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料に更に他の要素を付加して耐候性を向上させたものについて説明する。以下、説明する発明品3は、リール本体の素材表面に直接ウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料(厚みが厚い)を塗布し、少量のシンナーと対候性を向上させる為に紫外線吸収剤を加えてある。
【0046】
発明品4は、リール本体の素材表面に、前記した酸化層5と、下地塗装層6と、中間塗装層7とを形成し、表面塗装層8として、発明品3と同様に、ウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料にシンナー、紫外線吸収剤を加えたものを使用している。
【0047】
【表4】

ここでも、防汚性を向上させる表面自由エネルギーと極性成分が小さい値を示している。また、本願発明に係る塗料を素材表面に直接塗布するか、あるいは、下地塗装層6と中間塗装層7とを介して本願発明に係る塗料を塗布するかの違いによる、表面自由エネルギー上の違いはみられなかった。
【0048】
〔別実施形態〕
(1) 前記した第4実施形態においては、酸化膜層5の表面にアクリルウレタン樹脂塗料製の中間塗装層8を設け、中間塗装層8の表面にウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料製の表面塗装層9を設けた。
これに対して、ここでは、酸化層5の表面に中間塗装層8と表面塗装層9とを積層するが、中間塗装層8と表面塗装層9とを同一の材料である本願発明のウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料を使用してもよい。
(2) 装飾層Bにおける表面層3に使用される塗料には、ウレタン変性アクリルシリコン樹脂塗料の代わりにシリコン樹脂塗料及びフッ素樹脂塗料等を使用してもよい。
(3) 第1実施形態では、下地塗装層2の表面に表面層3を形成して装飾層Bを構成したが、図示してはいないが、下地塗装層2を省略して、表面層3を直接竿素材1の表面に塗布して設けてもよい。第2実施形態では、酸化膜層5の表面に、下地塗装層6、中間塗装層7、表面塗装層8を形成して装飾層Bを構成したが、図示してはいないが、下地塗装層6、中間塗装層7を省略して、表面塗装層3を直接酸化膜層5の表面に塗布して設けてもよい。
(4) 表面層3の内側が中間塗装層7であれば中間塗装層7の表面に、または、表面層3の内側が下地塗装層6であれば、下地塗装層7の表面に、銘版や品番を表示するラベルを装着してもよい。その銘版等の上から前記した表面層3を施す。このように、銘版の上から表面層3を施しても、剥離等が起こることは少なく、良好な密着性を示す。
(5) 素材としては、釣り具としての釣り竿の竿素材1、釣り具としてのリールの本体用素材等をいう。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本願発明は、竿、玉の柄やリール本体だけでなく、竿に使用される、リールシート、釣り糸ガイド、リールを構成するロータ、ハンドル、クーラーボックス、或いは、ルアー等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 竿素材(素材)
2、7 下地塗装層
3、9 表面塗装層(表面層)
9 表面塗装層(表面層)
B 装飾層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り具用の素材表面に装飾層を設け、前記装飾層の表面を低表面自由エネルギー層に形成してある釣り具。
【請求項2】
前記装飾層の表面を低極性表面自由エネルギー層に形成してある請求項1記載の釣り具。
【請求項3】
前記装飾層の表面を低分散表面自由エネルギー層に形成してある請求項1記載の釣り具。
【請求項4】
釣り具用の素材表面に装飾層を設け、前記装飾層を複数層に形成し、前記複数層のうちの表面層を低極性表面自由エネルギー層、または、低分散表面自由エネルギー層に形成してある釣り具。
【請求項5】
前記装飾層を形成する塗料として、アミノ基を含有したアクリル樹脂にコロイダルシリカを分散した主剤に、架橋剤としてシランカップリング剤とポリイソシアネートを用いる請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の釣り具。
【請求項6】
前記装飾層を、前記素材表面に施される下地塗装層とその下地塗装層の表面に施される表面層とで構成し、前記表面層を形成する塗料として、アミノ基を含有したアクリル樹脂にコロイダルシリカを分散した主剤に、架橋剤としてシランカップリング剤とポリイソシアネートを用いる請求項5記載の釣り具。
【請求項7】
前記装飾層を形成する塗料として、フッ素樹脂塗料を主剤として用いる請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の釣り具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−263871(P2010−263871A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120013(P2009−120013)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】