説明

鉄筋ソイルセメント複合抗

【課題】 工事が簡素でしかも低価格で済む住宅基礎に用いられる鉄筋ソイルセメント複合抗を提供する。
【解決手段】 ソイルセメント複合抗の芯材として、鉄筋を鋼管等に付帯させたり、スパイラル加工や網目組等の加工を施さず、未加工のままそのまま使用し、所定の品質および強度が得られることを可能にした鉄筋ソイルセメント複合抗。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は住宅基礎抗として所定の強度および品質を保ちながらも、工事は簡素であり且つ工事費用も抑制した鉄筋ソイルセメント複合抗およびその工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の住宅基礎用のソイルセメント複合抗の芯材として使用されている素材としては、鋼管、木材およびその複合体がある。鉄筋を使用したものもあるが、鉄筋をスパイラル状に加工したもの、網目状に組んだもの、あるいは、鋼管に鉄筋を取り付けたもの等何らかの加工を施している。そのため、前記素材をそのままの状態、つまり未加工で使用する以外の場合、前記加工を行うことにより、所定の人工および機材が必要となり、所定の費用が発生する。今までの素材をそのままの状態、つまり未加工で使用する場合も、鋼管の場合、強度は充分だが鉄筋と比較し高価格となる。木材の場合は、そのままでは腐食等による経年劣化が予想され、前記経年劣化を予防するため、防腐処理、防蟻処理等が必要となり、これも所定の人工および処理剤等に要する費用が発生する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明では、住宅基礎抗としてのソイルセメント複合抗の工事を所定の強度および品質を保ちながらも、材料、機材および人工面において最小限の費用で完結させることを目的としている。その方法として、ソイルセメント複合抗の芯材を鉄筋とした。前記鉄筋は、所定の長さに足りず溶接等の接合処理をすること以外は原則的に未加工とし、従来のようにスパイラル状に加工したり、網目状に組むことはせず、そのため、加工人工および機材、材料費等において低価格で済む。
【0004】
従来の住宅基礎抗としてのソイルセメント抗の多くは、ソイルセメントのみで形成され芯材を使用していない。それでも所定の強度および品質を保っており、ビル等の大規模建物ではなく一般住宅用の基礎杭の一つであるソイルセメント抗の芯材として、品質はともかく過度な強度は求められてはいない。本発明は、最小限度の人工および機材、材料費等でソイルセメント複合抗の強度および品質を補完するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、鉄筋をソイルセメント柱に落とし込んで形成したことを特徴とする鉄筋ソイルセメント複合抗である。
請求項2の発明は、前記鉄筋が複数本であることを特徴とする請求項1記載の鉄筋ソイルセメント複合抗である。
【発明の効果】
【0006】
本発明を使用することにより、住宅基礎杭としてのソイルセメント複合抗を最小限度の人工および機材、材料費で前記ソイルセメント抗の強度および品質を補完する工業上有用な効果がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0007】
次に、本発明の鉄筋ソイルセメント複合抗の実施態様を説明する。
図1は本発明の鉄筋ソイルセメント複合抗の立面図である。
使用される鉄筋は、一例として経13mm、長さは地盤調査データによって適正とされた所定の長さのもの(概ね3から6m程度)を使用する。尚、鉄筋表面とソイルセメントとの固着強度をより高めるため、当該鉄筋を圧延して表面にリブや節と呼ばれる凹凸の突起を設けた異形鉄筋(図示せず)を使用しても良い。そうすることによって、通常の鉄筋よりも支持力を引き上げることができる。
【0008】
工法としては、ソイルセメント柱を形成までは従来の工法でそのまま行い、その後、固化前のソイルセメント抗の中央に鉄筋1を垂直に圧入、埋設する。鉄筋の圧入方法の一例として、建柱車等の土木機械の堀削ビットを鉄筋圧入用の金具に交換し、この金具を利用してソイルセメント抗に鉄筋を圧入、場合によっては回転圧入する。その後、前記ソイルセメント抗が固化すれば鉄筋ソイルセメント複合抗が完成する。
【0009】
図2は本発明の鉄筋ソイルセメント複合抗において、ソイルセメント抗中に鉄筋を複数本配置埋設した実施態様を示した立面図である。
使用される鉄筋および工法は単体使用(1本)の場合と同じである。ただし、鉄筋のソイルセメント抗中における配置は、その本数により以下配置を基本とする。
(1)2本の場合
ソイルセメント抗口径の中心から等位置で、前記口径の半径の1/2以内の配置。
(2)3本の場合
ソイルセメント抗口径の中心と正三角形の中心とが合致し、前記正三角形の各頂点 で、前記口径の半径の1/2以内の配置。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】 本発明の鉄筋ソイルセメント複合抗の立面図である。
【図2】 本発明の別態様であるソイルセメント抗中に鉄筋を複数本配置埋設した実施態様を示した鉄筋ソイルセメント複合抗の立面図である。
【符号の説明】
【0011】
1 鉄筋
2 ソイルセメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋をソイルセメント柱に落とし込んで形成したことを特徴とする鉄筋ソイルセメント複合抗。
【請求項2】
前記鉄筋が複数本であることを特徴とする請求項1記載の鉄筋ソイルセメント複合抗。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−174354(P2011−174354A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61499(P2010−61499)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(510074519)株式会社アース建設 (3)
【Fターム(参考)】