説明

鉄道信号システムの信号灯制御ユニット

【課題】信号灯制御ユニット(FSG2−C)41における消灯球断芯検知機能を実現する。
【解決手段】鉄道信号システムの電子連動装置において、信号灯に電流を流し点灯させる信号灯制御ユニット(FSG2−C)41の本体ボードとは別のボードに消灯球断芯検知回路を設け、信号灯制御ユニット(FSG2−C)41と消灯球断芯検知ボード42を制御架の複数のI/O制御ユニットのスロット内に格納し、信号灯制御ユニット(FSG2−C)41と消灯球断芯検知ボード42のそれぞれの機器間を専用のケーブル43で接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道信号システムにおける電子連動装置の信号灯制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の信号灯制御ユニット(FSG2)では消灯球断芯検知機能を有していない。これは、信号灯制御ユニット(FSG2)が制御する対象が入換信号機、誘導信号機、中継信号機、進路表示機、進路予告機、出発反応標識と種別が多く、それぞれの灯の消灯球断芯手法が異なるため、ため信号灯制御ユニット(FSG1)の様に色灯式信号機のみの消灯球断芯検知回路に比べサイズが大きくなり、従来のIOユニットのボード内に納めることができなかった。
【0003】
現在、消灯集う球断芯検知回路として、信号灯制御ユニット(FSG2−C)41の信号機への出力回線に消灯中の電球が点灯しないレベルの微弱な電流を流し信号灯の断芯検知を行う技術が開発されている(消灯球断芯検知回路の詳細は特願2008−330142号参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
消灯球断芯検知機能は信号灯制御ユニット(FSG2−C)41が制御する配下装置の中で、色灯式信号機のみに必要であり、信号標識類に対して行う必要がない。信号灯制御ユニット(FSG2−C)41内部に消灯球断芯検知回路を実装することは、信号灯制御ユニット(FSG2−C)41の配下装置が信号標識類のみの場合には不要な回路を持つことになる。
【0005】
さらに、消灯球断芯検知回路を信号灯制御ユニット(FSG2−C)41のボード内部に持つことは、信号灯制御ユニット(FSG2−C)41のボードサイズが大きくなり、制御部22の他IOユニットと同じスロットに納めることができなくなる問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
消灯球断芯検知機能は信号灯制御ユニット(FSG2−C)41とは別のボードで消灯球断芯検知回路を実装することで、消灯球断芯機能を必要とする色灯式信号機を配下装置に持つ場合のみ消灯球断芯検知ボードを設置することにより、信号標識類のように配下装置が消灯球断芯検知機能を不要とする場合には断芯検知回路を持たないことを実現した。
【0007】
信号灯制御ユニット(FSG2−C)41と消灯球断芯検知ボードを分けて実装することにより、他のIOユニットと同じスロットに納まる従来の信号灯制御ユニット(FSG2)と同サイズのボードで信号灯制御ユニット(FSG2−C)41を実装した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、信号灯制御ユニット(FSG2−C)41における消灯球断芯検知機能の実現。また、信号灯制御ユニット(FSG2−C)41から消灯球断芯検知回路を分けることにより、消灯球断芯検知を行う必要がない設備(例えば、出発反応標識等)のみを制御する場合には消灯球断芯検知ボード42を取り付ける必要がなくなる。
【0009】
また、信号灯制御ユニット(FSG2−C)41は2重系で使用されるため、信号灯制御ユニット(FSG2−C)41内部に消灯球断芯検知回路を搭載した場合に比べ、消灯球断芯検知回路2重に持つことがなくなるためコストパフォーマンスが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、電子連動装置のイメージ図である。
【図2】図2は、電子連動装置の機器構成を示すである。
【図3】図3は、電子連動装置の制御部の概要を示すである。
【図4】図4は、消灯球断芯検知機能の接続構成を示すである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は、電子連動装置のイメージ図である。鉄道システムの中で電子連動装置とは、停車場構内にあり、複雑に集合あるいは分岐する線路を転てつ機により開通させ、あるいは、信号機や信号標識類を点灯させる装置のことである。
【0012】
本発明が対象とする電子連動装置は大きく分けて連動論理部21と制御部22で構成されるが、連動論理部21では上位装置23からの進路要求に対し、現場機器24の状態が所定条件を満たしているか判断し、条件を満たしている場合、現場の転てつ機を転換し、あるいは、信号を現示させ進路を構成する。
【0013】
また、制御部22とは連動論理部21の下位装置であり、連動論理部21からの命令を基に現場の転てつ機や信号機を制御する。信号灯制御ユニットは制御部22に属し、上位装置が指定する信号機や信号標識類へ電流を流し点灯させる装置である。
【0014】
本発明では信号灯制御ユニットの中の1機種である(FSG2−C)で制御する信号機類の消灯球断芯機能の実現方法である。色灯式信号機のみを制御する機種である(FSG1)では既に消灯球断芯検知回路は信号灯制御ユニットのボード本体に内蔵されている。
【0015】
しかし、信号灯制御ユニット(FSG2−C)41は入換信号機、誘導信号機、中継信号機、進路表示機、進路予告機、出発反応標識と多種類の信号機を制御するため、それぞれの信号灯は固有の定格値を持っており、消灯球断芯検知回路も多種類の信号機に対応するため複雑になり信号灯制御ユニット(FSG2−C)41ボード内の限られたスペースに消灯球断芯検知回路を納めることができなかった。
【0016】
本発明は信号灯制御ユニット(FSG2−C)41に消灯球断芯検知機能を実現させるために、信号灯制御ユニット(FSG2−C)41とは別のボードで消灯球断芯検知ボード42を設けた。また、信号灯制御ユニット(FSG2−C)41と消灯球断芯検知回路は専用のケーブル43で接続し、消灯球断芯検知回路は信号灯制御ユニット(FSG2−C)41の信号機への出力回線に消灯中の電球が点灯しないレベルの微弱な電流を流し信号灯の断芯検知を行う。
【0017】
本発明では消灯球断芯検知ボード42と信号灯制御ユニット(FSG2−C)41を接続するために、両ボードに接続用の端子を設け、消灯球断芯検知ボード42から信号灯制御ユニット(FSG2−C)41へケーブル43で接続することで、信号灯制御ユニット(FSG2−C)41での消灯球断芯検知機能を実現した。
【0018】
消灯球断芯検知回路は信号灯制御ユニット(FSG2−C)41へ接続されたケーブル43を介し信号灯制御ユニット(FSG2−C)41の信号機への出力点へ微弱な電流を流し消灯中の信号灯の断芯を検知する。
【0019】
図3は、本発明における電子連動装置の制御部22の機器構成である。信号灯制御ユニット(FSG2−C)41は制御架46に設けられた複数のIO制御ユニット44のスロット内に格納される。IO制御ユニット44のスロットは転てつ機制御や外部リレー駆動用のIO制御ユニットのボードも使用する。そのため、信号灯制御ユニット41の筐体は転てつ機制御や外部リレー駆動用のIO制御ユニット44と同じ幅に設計されなければならない。
【0020】
信号灯制御ユニット(FSG2−C)41における消灯球断芯検知回路を信号灯制御ユニット41内に納めることができないため、消灯球断芯検知回路を信号灯制御ユニットや他のIO制御ユニットと同サイズのボードに格納して消灯球断芯検知機能専用のボード42を作成した。
【0021】
図4に示すように、消灯球断芯検知ボード42と信号灯制御ユニット(FSG2−C)41を、IO制御ユニット44のスロット内に格納し、専用のケーブル43で接続することで信号灯制御ユニット(FSG2−C)41における消灯球断芯検知機能を実現した。
【0022】
断芯検知機能を不要とする信号標識類24のみを配下装置として制御する場合には、消灯球断芯検知ボード42をIO制御ユニット44のスロット内に格納せず、断芯検知機能を必要とする信号標識類を配下装置として制御する場合には、IO制御ユニット44のスロット内に格納された複数の信号灯制御ユニット系41と、信号灯制御ユニット系と別ボードに形成された消灯球断芯検知ボード42とを、制御架46の裏面側で専用の接続ケーブル43により電気的に接続する。
【0023】
上記の配置により、不必要な場合には、消灯球断芯検知ボード42を配置する必要がなく、信号灯制御ユニット内部に消灯球断芯検知回路を搭載するよりも低コストであり、必要な設備のみ断芯検知することを可能とした。
【符号の説明】
【0024】
11 信号機
12 電子連動装置
21 連動論理部
22 制御部
23 上位装置
24 現場装置
41 制御ユニット系
42 消灯球断芯検知ボード
43 接続テーブル
44 IO制御ユニット
45 制御部
46 制御架

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連動装置からの命令で現示を決定する信号機と、前記連動装置からの命令を受けて前記信号機を制御する鉄道信号システムの信号灯制御ユニットにおいて、
制御架に配置された複数のIO制御ユニットのスロット内に格納可能な複数の信号灯制御ユニット系と、前記複数の信号灯制御ユニット系と別ボードに形成された消灯球断芯検知ボードと、により構成されていることを特徴とする鉄道信号システムの信号灯制御ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道信号システムの信号灯制御ユニットにおいて、
断芯検知機能を不要とする信号標識類のみを配下装置として制御する場合には、前記消灯球断芯検知ボードを前記IO制御ユニットのスロット内に格納せず、断芯検知機能を必要とする信号標識類を配下装置として制御する場合には、IO制御ユニットのスロット内に格納された複数の信号灯制御ユニット系と、信号灯制御ユニット系と別ボードに形成された消灯球断芯検知ボードとを、前記制御架の裏面側で、接続ケーブルで電気的に接続することを特徴とする鉄道信号システムの信号灯制御ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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