説明

鉄道車両用電力変換装置

【課題】車両の走行風により冷却するようにした鉄道車両用電力変換装置にける冷却体の冷却フィンの基板との結合部分が破損するようなことがあっても、冷却フィンが冷却体から離脱又は脱落することがないようする。
【解決手段】車両の走行風により冷却するようにした鉄道車両用電力変換装置における記冷却体に設けられた放熱フィンを車両の走行方向と平行となる方向に向けて配置し、鉄道車両の走行方向に直角な方向に延びたフィン押え板により前記冷却体の全部の放熱フィンを連結結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道車両の駆動等のためにこれに搭載される鉄道車両用電力変換装置、特に車両の走行風により冷却を行うようにした電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両に搭載される電力変換装置においては、小形軽量化および省メンテナンス化のために、特許文献1および2に示されるように半導体素子等で構成されるパワーユニットを冷却する冷却体の放熱フィンに車両の走行に伴って発生する走行風を当てて冷却する走行風冷却方式がとられる。
【0003】
図14に示すように、鉄道車両の駆動装置は、一般に、単相の主変圧器MTrの2次巻線wg21から出力される交流電圧をコンバータCNVにより直流電圧に変換し、この直流電圧をインバータINVにより可変電圧可変周波数(VVVF)の3相交流電圧に変換して車両を駆動する交流電動機IMに供給し、交流電動機IMを可変速駆動するよう構成されている。このような鉄道車両駆動装置において使用されるコンバータCNVおよびインバータINV等の電力変換装置を構成する半導体素子およびその他の付属回路素子をユニットにまとめたものが、パワーユニットと呼ばれるものである。なお、図14においてPTは架線から集電するためのパンタグラフである。
【0004】
図15は、図14に示した鉄道車両駆動装置における電力変換装置を構成するパワーユニットの鉄道車両の車体Bへの取り付け状態を示す従来装置ある。車体Bの床下に設けられた密閉機器室CRに収納されたパワーユニットPUは、それぞれ冷却体HSを備え、この冷却体HSの基板の受熱面上にコンバータCNVおよびインバータINV等を構成するパワーユニットPUが熱伝導的に取り付けられている。パワーユニットPUを構成する半導体モジュールなどの発生する熱を冷却するために、冷却体HSを、車体Bの床下に下向きにして、固定フレームFRに取り付け、冷却体HSの基板の受熱面と反対側の放熱面に所定の間隔をおいて複数植設された放熱フィンRFが直接外気と接触するように機器室CRを貫通して外へ露出される。これにより、放熱フィンRFが車両の走行によって生じる走行風を直接受ける。各放熱フィンRFは車両の走行方向と平行に相互に間隔をおいて並置され、各放熱フィンRF間に形成される溝内に走行風を通流させることにより、冷却体HSにパワーユニットPUから伝導される熱を放熱フィンRFを介して大気中へ放熱し、パワーユニットPUを冷却する。
このように、電力変換装置のパワーユニットを車両の走行風によって冷却するようにすると、強制冷却用の冷却ファンが不要となるため、装置が小形軽量化されると共に、回転機構を有する冷却ファンのメンテナンスが不要となりメンテナンスの手間を省くことができる利点が得られる。
【特許文献1】特開2003-048533号公報
【特許文献2】特開2004-006901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような鉄道車両に搭載される鉄道用電力変換装置を構成するパワーユニットを冷却するための冷却体は、平板状の銅やアルミニウムのような高熱伝導性の金属材料で構成され、例えば、長さ(L)=900mm×幅(W)=820mm×厚さ(D)=20mmの大きさの基板に、高さ(H)=120mm×長さ(L)=850mm×厚さ(D)=5mm程度の複数の平板状の放熱フィンをろう付けなどにより所定の間隔はなして平行に立設したものを用いるのが一般的である。
【0006】
このような電力変換装置を登載する鉄道車両は、速度が300km/hにも達する高速度で走行するため、走行中に、冷却体の放熱フィンに車両の振動や走行風により大きな機械的応力が加わる。放熱フィンはこの機械的応力によって共振や変形を起こしたり、飛来する異物と衝突したりすることによって、運転中に冷却体の放熱フィンの基板との結合部分などが破損することがある。特に、運転時間が長くなるに従って、フィン自身の腐食や、冷却体における放熱フィンを基板にろう付けしている場合は、このろう付け部分の不良などにより、冷却フィンと基板との結合強度が低下し、車両の走行にともなう振動や走行風の圧力によって放熱フィンの結合部分が破損し、放熱フィンが冷却体の基板から離脱したり、脱落したりするようなことが起こる可能性がある。
【0007】
このように鉄道車両用電力変換装置においては、特に車両の走行風により冷却するようにした冷却体の冷却フィンの破損等により、放熱フィンが冷却体から離脱や脱落するような事態なると、車両の運行を停止させたり、車両に搭載された他の機器や鉄道地上設備を破損する危険や、電力変換装置の冷却性能の低下が起こったりするため、これを防止することが強く要望されている。
【0008】
この発明は、前記にかんがみ、鉄道車両用電力変換装置において冷却体の冷却フィンの基板との結合部分が破損するようなことがあっても、冷却フィンが冷却体から離脱又は脱落することがないようにした鉄道車両用電力変換装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するため、この発明は、平板状の基板の一方の主面に複数の平板状の放熱フィンを所定の間隔をおいて平行に植設してなる冷却体と、この冷却体の基板の他方の主面上に熱伝導的に取り付けられた電力変換装置を構成する主回路構成素子および付属回路構成素子等とによりパワーユニットを構成し、このパワーユニットを前記冷却体の放熱フィンが鉄道車両の車体の外側に露出するように前記鉄道車両の車体に搭載し、前記冷却体の放熱フィンに車両の走行によって発生される走行風を当てて前記パワーユニットを冷却するように構成した鉄道車両用電力変換装置において、前記冷却体の放熱フィンを車両の走行方向と平行となる方向に向けて配置し、鉄道車両の走行方向に直角な方向に延びたフィン押え板により前記冷却体の全部の放熱フィンを連結したことを特徴とするものである。
【0010】
この発明においては、前記フィン押え板は、冷却体の車両走行方向の前、後端において、前記パワーユニットを取り付けるフレームまたは冷却体に固定され、すべての放熱フィンの根元部に係合してこれを基板側へ押さえつけるように構成することができる。この場合、フィン押え板と放熱フィンの係合のためにそれぞれに切欠きを設けて、この切欠きを互いにかみ合わせるにようにすることができる。そして、フィン押え板の放熱フィン間に伸びる突出部分をフィン押え板の固定面に対して10〜15°傾斜させるのがよい。
【0011】
また、前記の発明においては、フィン押え板は、冷却体の複数の放熱フィンの先端側にろう付け等によりそれぞれ結合して、全放熱フィンを連結するようにしてもよく、この場合、フィン押え板は放熱フィンの車両走行方向の前後端部と中間部に設けるのが好ましい。そしてこのフィン押え板に前記冷却体の各放熱フィン間の溝内に入り込む突出部を設け、この突出部が車両走行方向の前後側に傾斜し台形状をなすようにすることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、鉄道車両に搭載された鉄道車両用電力変換装置において、この電力変換装置を構成するパワーユニットの取り付けられた冷却体に植設された複数の放熱フィンをフィン押え板により一体的に結合しているので、複数の放熱フィンのうちの一部の放熱フィンが、車両走行に伴う振動や走行風、あるいは飛来物との衝突などによる機械的応力を受けて、冷却体の基板との結合部が破損しても、この破損した放熱フィンは、破損していない正常な放熱フィンとフィン押え板とによって支持されているため、冷却体から離脱または脱落することが防止される。
【0013】
また、フィン押え板を、放熱フィンの先端側に設けた場合は、前記のような破損した放熱フィンの冷却体からの離脱または脱落が防止されることに加えて、フィン押え板の整風作用により走行風を冷却体全体に効率よく送り込むことができ冷却効果を高めることができるという副次的な効果も得られる。
【0014】
そして、複数の放熱フィンをフィン押え板により一体的に結合することにより、車両の走行に伴う振動による共振の発生を抑えることが可能となり、放熱フィンの脱落の原因である破損そのものを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下にこの発明の実施の形態を、図に示す実施例について説明する。
【実施例1】
【0016】
図1にこの発明の実施例1による電力変換装置のパワーユニットの構成を示す。この図1の(a)はその平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【0017】
図1において、1は、銅やアルミニウム等の高熱伝導材で形成した平板状の基板11とこの基板11の下方の主面にろう付けまたは、引き抜き一体成形法などにより植設形成した複数の薄平板状の放熱フィン12とにより構成された冷却体である。この冷却体1の基板11の上方の主面上には、図15に示すような3レベルコンバータのような電力変換装置の主回路を構成するIGBTモジュールIGBTやダイオードモジュールDなどの半導体モジュール2を全て配設し、熱伝導的に結合することにより一体的なパワーユニットを構成する。
【0018】
冷却体1の放熱部を構成する各放熱フィン12は、矢印で示す車両走行方向(従って走行風の流れ方向)と平行に所定の間隔おいて基板の全幅に渡って並べられ、各放熱フィン間に形成される溝内に走行風を通流させることによって、冷却体1に伝導される半導体モジュール2の熱を大気中に放熱して半導体モジュールを冷却する。
【0019】
そして、31は、この発明にしたがって設けた第1のフィン押え板である。このフィン押え板31は冷却体1の走行風の流れ方向の前端および後端(図1(b)における右端と、左端)側において放熱フィン12の根元部(放熱フィンの基板1との結合部)付近に係合し、全部の放熱フィン12を冷却体1の基板11側に押えつけるように構成されている。
【0020】
このようなフィン押え板31の構成の詳細を図3および図4に示す。図3は、冷却体1の放熱フィン根元部分を拡大して示す部分的な正面断面図、図4は、図3におけるIV−IV線の断面図である。
【0021】
フィン押え板31は、冷却体1の基板と同じ幅の長さを有し(図1(c)参照)、その放熱フィン12と対向する端面に、図4および図6に示すように放熱フィン12の設けられたピッチと同じピッチで矩形状の切欠き31aが設けられている。そして、放熱フィン12には、図5に詳細を示すように、フィン押え板31と対向する端面のその根元付近に矩形状の切欠き12aがそれぞれ設けられている。フィン押え板31の切欠き31aと放熱フィン12の切欠き12aとが咬み合うようにフィン押え板31を放熱フィン12に係合したうえで、冷却体1の基板11とともに電力変換装置に設けた固定フレーム5(図3参照)に固定ねじ51により締付け固定する。フィン押え板31の各切欠き31a間の突出部31bは、各冷却フィン12間の溝12b内に挿入され、その先端部が図3に示すように、冷却体の基板11側へ10〜15°傾斜されている。
【0022】
放熱フィン12の切欠き12aはその前端面だけでなく、後端面にも設けられる。フィン押え板31を、放熱フィン12の前端面および後端面に互いの切欠きを咬み合わせてそれぞれ係合し(図1(b)参照)、固定フレーム5に固定することによって(図3参照)、全部の放熱フィン12を連結すると共に、冷却体1の基板11側に強力に押さえつけることができる。
【0023】
このように構成したパワーユニットは、車両の走行に伴って車両の走行方向と反対方向に流れる走行風が発生し、この走行風が冷却体1の放熱フィン12間の溝12b内を通流するようになり、放熱フィン12の熱がこの走行風によって大気中へ放熱されて冷却体1に取付けた半導体モジュール2を冷却する。車両の走行に伴って放熱フィン12は、車両の振動や、走行風の風圧による機械的応力を受けるので、放熱フィン12の基板11との結合部の強度が、ろう付け不良等のために低下していると、この車両の振動や走行風の風圧によって破損を起こすことがある。
【0024】
しかしこの発明においては、放熱フィン12の全部がフィン押え板31によって連結されると共に冷却体1の基板11側に強力に押えつけられているので、放熱フィン12の基板11との結合部が破損したとしても基板11から離脱したり脱落したりすることが防止される。
【0025】
また、フィン押え板31の突出部32bの先端部が基板11側へ傾斜されているので、放熱フィン12間の溝12b内に通流される走行風が冷却体1の基板11側に案内され基板の11と接触して流れる走行風の量が多くなるため、冷却体1の走行風による冷却効果を高めることができる。
【0026】
なお、フィン押え板31は、固定フレーム5に固定する代わりに冷却体1の基板11に固定してもよい。
【実施例2】
【0027】
次に、この発明の実施例2について説明する。
【0028】
図7は、この発明の実施例2の第1の形態による電力変換装置を構成するパワーユニットPUの構成を示すものである。(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【0029】
冷却体1の高熱伝導材で形成された平板状の基板11の上面にパワーユニットを構成する複数の半導体モジュール2が熱伝導的に載置搭載され、下面に複数の薄平板状の放熱フィン12が所定の間隔おいて平行に植設されている構成は実施例1のものと同じである。
【0030】
この実施例2では、冷却体1の放熱フィン12の先端面(図7(b)における下端側)に基板11の幅方向(図7(a)の上下方向)に平板状のフィン押え板32を渡して、ろう付などにより結合し、全放熱フィンを連結する。このフィン押え板32は、図7(b)に示すように、放熱フィン12の長さ方向(走行風の流れ方向)の前端、後端および中間点の3ケ所に設けるのが、放熱フィン間の溝に流す走行風を整風する上で効果がある。
【0031】
このようにパワーユニットの冷却体1の全部の放熱フィン12の先端を3つのフィン押え板32により連結結合することにより、車両の走行による振動や走行風の風圧による応力を受けて、基板との結合強度の低下した一部の放熱フィンが破損するようなことがあっても、他の正常な放熱フィンおよびフィン押え板によって結合支持されているので、この破損した放熱フィンが冷却体の基板11から離脱したり脱落したりすることはない。
【0032】
また、このように放熱フィン12の先端をフィン押え板32により連結結合すると、フィン押え板32が走行風の流れ方向に並置されることにより、図8に矢印で示すような整風作用が生じる。すなわち、車両の走行に伴う走行風が、走行風の上流側の放熱フィン12の前端部からフィン間の溝12b送り込まれた走行風は、各フィン押え板32により放熱フィンの外側への流れが押さえ込まれるとともに、溝12b内で流速を増して流れる走行風によって、放熱フィンの外側を流れる走行風が、それぞれ前端と中間点のフィン押え板32の間および中間点と後端のフィン押え板32の間から放熱フィン間の溝12b内に吸い込まれて流れるようになる。これにより、冷却体の基板11の全長に渡る冷却効果をより均等にすることができ、基板11の走行風の下流側(後端側)の位置における温度上昇を抑えることができる効果が得られる。
【0033】
この実施例2のフィン押え板による冷却効果をさらに高めるように改良した第2の形態を図9に示す。
【0034】
この第2の形態は、図7の実施例2の第1の形態における、冷却体1の放熱フィン12の先端を連結結合する平板状のフィン押え板32が、特に図9(b)から明らかなように中間部が屈曲され、断面が台形状の突出部を有する板材で形成されたフィン押え板33に変更されている点が異なるだけでその他の構成は、第1の形態と同じである。
【0035】
図9からは、フィン押え板33の構造が理解しがたいので、図10にこのフィン押え板33を拡大して示す。フィン押え板33の幅方向の両側端部には平坦部33aが形成され、中間部に断面形状が台形となるように屈曲して形成された突出部33bが設けられる。フィン押え板33の長さは、冷却体1の両側端の放熱フィン間に渡る長さを有し、フィン押え板33の長さ方向に突出部33bは、その間に冷却体1の放熱フィン12が挿入可能な間隙33cをおいて放熱フィン12のピッチと同じピッチで複数設けられる。
【0036】
このフィン押え板33を放熱フィン12の先端に結合するときは、各放熱フィン12の先端を、部分的にフィン押え板33の突出部33b間の間隙33cにそれぞれ挿入して平坦部33aに接合し、接合部分を金属ろうなどにより結合し、フィン押え板33により複数の放熱フィン12を連結結合する。
【0037】
これにより、冷却体1の放熱フィン12間の溝内にフィン押え板33の断面が台形状の突出部33bがそれぞれ挿入され、この突出部bの傾斜面が溝内に通流された走行風を冷却体1の基板11側に偏向案内するので、冷却風が基板表面を多量接触して流れるため、冷却体1の冷却効果をより高めることができる。
【0038】
フィン押え板33は、全部の放熱フィン12を連結結合するので、一部の放熱フィン12の基板との結合部が破損しても基板11から離脱および脱落することが防止され、第1の形態におけるフィン押え板32となんら変わらない作用をする。
【0039】
第1の形態および第2の形態の冷却効果を確認するために、図11に示すように、(a)のこの発明の第1形態のパワーユニットおよび(b)のこの発明の第2の形態のパワーユニットに(c)の従来例のパワーユニットを比較例として加えて温度試験を行なった。
【0040】
これらの例の何れも、冷却体1およびパワーユニットPUは同じものであり、第1の形態例および第2の形態例は、それぞれ図11の(a)および(b)に示すように放熱フィンの先端に平板状のフィン押え板32あるいは断面が台形状のフィン押え板33が連結結合されたものであり、比較例は(c)に示すように放熱フィンにフィン押え板も何も結合されていないものである。そして、各例の冷却体の基板のパワーユニットを構成する半導体モジュール2の直下の位置に温度センサを取り付け、それぞれパワーユニットPUa、PUb、PUcを同じ条件で運転し、冷却風の送風開始前と、冷却風の送風開始から所定時間経過後における各温度センサ取り付け位置P1〜P6における温度上昇値求める温度試験を行なった。
【0041】
この温度試験の結果を、図12に示す。図12において、特性線aは第1の形態例、特性線bは第2の形態例、そして特性線cは比較例の温度特性を示す。
【0042】
この図12から、第1の形態例および第2の形態例のものは、何れも冷却体基板の各点の温度上昇値が、比較例のものより小さく、冷却効果を高くなったことが理解できる。そして、第2の形態例は、冷却体の基板11のどの位置においても第1の形態例よりも温度上昇値が小さく、より冷却効果が高いものでることが理解できる。
【実施例3】
【0043】
この発明は、前記の実施例1と実施例2とを組み合わせて構成するようにしてもよく、このように構成したものを実施例3として図13に示す。
【0044】
この実施例3によるパワーユニットに結合された冷却体1の放熱フィン12には、その根元部に第1のフィン押え板31が結合され、そして放熱フィン12の先端に第2のフィン押え板33が結合される。これらのフィン押え板により複数の放熱フィン12が相互に連結され、かつ基板11へ押さえつけられるようになる。
【0045】
これにより、車両の走行にともなって加わる振動や走行風の風圧による機械的応力を受けて一部の放熱フィン12の基板11との結合部が破損しても、この破損した放熱フィンはフィン押え板31および33と正常な放熱フィン12によって基板11に連結されているため、この破損した放熱フィンがフィン押え板により支持され、基板から離脱したり脱落したりすることが防止される。そして、放熱フィン12の先端に結合した第2のフィン押え板33は、その整風作用により、走行風を放熱フィン12の結合された基板11側へ効果的に案内するようになるため、特に冷却体の基板11の走行風の流れ方向における上流側と下流側との冷却効果の差が小さくなり、基板全体の冷却効果をより均一化することができる効果が得られる。なお、図では放熱フィン12の先端側をフィン押え板33としているが、これに代えてフィン押え板32としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の実施例1による電力変換装置を構成するパワーユニットの構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図2】鉄道車両用電力変換装置として使用される3レベルコンバータの回路構成図である。
【図3】図1のパワーユニットの一部を拡大して示す縦断面図である。
【図4】図3のIV−IV線の断面図である。
【図5】図1のパワーユニットの冷却体の一部を拡大して示す斜視図である。
【図6】図1のパワーユニットのフィン押え板を拡大して示す部分的な斜視図である。
【図7】この発明の実施例2によるパワーユニットの第1の形態を示す構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図8】この発明の作用説明図である。
【図9】この発明の実施例2によるパワーユニットの第2の形態を示す構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図10】この発明の実施例2によるパワーユニットの第2の形態で使用するフィン押え板を拡大して示す部分的な斜視図である。
【図11】この発明の実施例および比較例における温度試験の説明図である。
【図12】この発明の実施例および比較例の温度特性を示す図である。
【図13】この発明の実施例3によるパワーユニットを示す構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図14】一般的な鉄道車両の駆動装置を示す回路構成図である。
【図15】従来の鉄道車両電力変換装置の車両への取り付け構成図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の基板の一方の主面に複数の平板状の放熱フィンを所定の間隔をおいて平行に植設してなる冷却体と、この冷却体の基板の他方の主面上に熱伝導的に取り付けられた電力変換装置を構成する主回路構成素子および付属回路構成素子等とによりパワーユニットを構成し、このパワーユニットを前記冷却体の放熱フィンが鉄道車両の車体の外側に露出するように前記鉄道車両の車体に搭載し、前記冷却体の放熱フィンに車両の走行によって発生される走行風を当てて前記パワーユニットを冷却するように構成した鉄道車両用電力変換装置において、前記冷却体の放熱フィンを車両の走行方向と平行となる方向に向けて配置し、鉄道車両の走行方向に直角な方向に延びたフィン押え板により前記冷却体の全部の放熱フィンを連結したことを特徴とする鉄道車両用電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道車両用電力変換装置において、前記フィン押え板は、冷却体の車両走行方向の前、後端において、前記パワーユニットを取り付けるフレームまたは冷却体に固定され、各放熱フィンの根元部に係合してこれを基板側へ押さえつけるように構成したことを特徴とする鉄道車両用電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の鉄道車両用電力変換装置において、前記フィン押え板と放熱フィンの係合のためにそれぞれに切欠きを設けて、この切欠きを互いに咬み合わせることによるフィン押え板と放熱フィンを結合したことを特徴とする鉄道車両用電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の鉄道車両用電力変換装置において、前記フィン押え板の放熱フィン間に伸びる突出部分をフィン押え板の固定面に対して10〜15°傾斜させたことを特徴とする鉄道車両用電力変換装置。
【請求項5】
請求項1に記載の鉄道車両用電力変換装置において、前記フィン押え板は、平板からなり、前記冷却体の複数の放熱フィンの先端側にろう付け等によりそれぞれ結合することにより、全放熱フィンを連結することを特徴とする鉄道車両用電力変換装置。
【請求項6】
請求項5に記載の鉄道車両用電力変換装置において、前記フィン押え板を前記冷却体の放熱フィンの車両走行方向の前、後端および中間部に結合したことを特徴とする鉄道車両用電力変換装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の鉄道車両用電力変換装置において、前記フィン押え板に前記冷却体の各放熱フィン間の溝内に入り込む突出部を設け、この突出部が車両走行方向の前後側に傾斜し台形状をなすことを特徴とする鉄道車両用電力変換装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−134471(P2007−134471A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325584(P2005−325584)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】