説明

鉄骨部材の高力ボルト接合部

【課題】本発明は、建築鋼構造物の構築に用いられる鉄骨部材の支圧接合部において、遅れ破壊の発生が懸念される高強度の高力ボルトを用いた場合にも、その高強度特性(変形性能)を安定確保し、支圧接合部としての最大耐力(せん断耐力)を安定確保可能にする。これによってボルト本数を低減し、コンパクト化や加工手間、締付施工の省力化を安価に実現できる鉄骨部材の高力ボルト支圧接合部を提供する。
【解決手段】添板2a、2bを介して高力ボルト3で接合する支圧接合部であって、高力ボルト・ナット3、4による締付面と被接合母材1、1または添板2a、2b間に、異常荷重が作用時に被接合母材1、1または添板2a、2bのボルト孔近傍部に生じる板厚方向の局部的な膨らみにより高力ボルト3に作用する材軸方向の張力増加を(吸収)緩和する隙間cを形成したり、バネや軟質材による緩衝材を介在させた状態で締結してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い耐震性が要求される建築鋼構造物を構築する鉄骨部材の接合に用いられる、主として、せん断接合形式の高力ボルト支圧接合部に関するものである。
ここで、支圧接合部とは、例えば、図14(a)、(b)に一般例として示すように、板状の被接合母材1、1を間隙cをあけて突き合わせ、その両面に添板2a、2bを当接して被接合母材1、1の孔と添板2a、2bのボルト孔にせん断抵抗体である高力ボルト3を挿通して、高力ボルト3と被接合母材1、1のボルト孔面との接触(支圧)によって応力を伝達する、せん断接合形式の接合に分類されるものであるが、同じせん断接合形式の接合に分類される摩擦接合部とは、摩擦力、締付軸力の導入を必須としない点で異なるもので、接合強度は、主として、高力ボルト3のせん断耐力または被接合母材板1、1の支圧耐力などによって支配される接合部である。
【背景技術】
【0002】
建築鋼構造物を構築する鉄骨部材の高力ボルト接合の分野では、接合部のコンパクト化や加工手間、締付施工の省力化の観点からボルト本数の低減要請が高まってきており、この要請に応えるために、せん断抵抗体としての高力ボルト(以下「高力ボルト」と称する)を高強度化して1本当たりの荷重伝達能力を高め、ボルト本数を低減する開発が進められてきた。
従来、高力ボルトとしては、引張強さが1000MPa級(締付軸力:1000MPa×ネジ部有効断面積×0.74)の高力ボルトが主体になっていたが、現状では、引張強さが1400MPa級(締付軸力:1400MPa×ネジ部有効断面積×0.74)の高力ボルトが使用されるようになってきている。これらは専ら摩擦接合や引張接合で利用されている。
ここで、ネジ有効断面積とは、JIS B 1082−1987で規定されるネジの有効断面積であり、(1)式により計算されるものである。
As=π/4・{(d+d)/2} ・・・・・(1)
ここで、
As:ネジの有効断面積
:高力ボルトのネジの有効径の基準寸法で、ネジ溝の幅がネジ山の幅に等しくなるような仮想的な円筒の直径
:高力ボルトのネジ谷径の基準寸法。
【0003】
また、特許文献1では、橋脚などの鋼構造での補修工法の分野で、支圧接合用の打ち込み式高力ボルトとして、引張強さが1200〜1600MPa級(導入張力:1000MP級の標準的な導入張力かそれ以下の値)の高力ボルトが開示されている。
このように、高力ボルトは、かなり高強度化が進んだものであるが、建築鋼構造物の分野で用いる高力ボルトとしては、必ずしも高強度化が十分に満足できるレベルまで達しているとは言い難い。
高力ボルトを、現状技術レベルで十分に可能な1700〜2600MPa程度まで高強度化することにより、使用ボルト本数をさらに低減し、接合部のコンパクト化や、ボルト孔加工手間、および締付施工の省力化が可能性がある。
ところが、高力ボルトに高張力を導入して使用する摩擦接合や引張接合の場合には、高力ボルトの強度が1100MPa以上になると高強度化するほど遅れ破壊が発生する可能性が高くなるため、何らかの対策が必要になる。
ここで、遅れ破壊とは、金属材料が引張荷重が負荷されてから、ある時間経過後に突然破壊を生ずる現象である。
【0004】
高力ボルトの材料に合金元素を添加することで耐遅れ破壊性能を高めた材料を用いるとともに、ネジ形状を改良することで遅れ破壊の要因の1つと考えられる応力集中を緩和する対策を講ずる技術が知られている。しかし、これは強度レベルが1400MPa級(締付軸力:1400MPa×ネジ部有効断面積×0.74)と、未だ十分満足出来るレベルではない。
したがって、高力ボルトを高強度化(例えば1700〜2600MPa程度まで上げる)した場合では、遅れ破壊発生を回避するために、例えば導入張力を下げて使用する必要があり、持てる高強度特性を十分に発揮した使用ができないことから、十分な接合強度を確保しながらボルト本数を十分に低減するという要請に対して十分に応えられないという問題がある。
遅れ破壊発生を回避できる更なる高強度特性を有する高力ボルトの要請とともに、現状の強度レベルの高力ボルトを使用して、各種形式の接合部としての総合特性を増強できる技術も求められている。
例えば、添板と高強度ボルトを用いた高力ボルト支圧接合では、被接合母材の支圧降伏が先行する場合、高力ボルトによる被接合母材のボルト孔近傍部の変形挙動が高力ボルトの耐力に影響を与える可能性もあることから、これらの変形挙動も考慮して、上記の1700〜2600MPaレベルの高強度高力ボルトを用いた場合にも、その特性を十二分に発揮可能な条件を整えた高力ボルト支圧接合部構造が求められている。
【特許文献1】特開2004−176253号公報
【非特許文献1】日本建築学会論文報告集 第218号・昭和49年4月 27p−36p
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、建築鋼構造物の構築に用いられる鉄骨部材の支圧接合部において、高力ボルト(ナット)により添板を介して被接合母材を厚み方向に拘束する場合で、被接合母材の支圧降伏が先行する設計をしている場合には、例えば図15(a)、(b)に示すように、被接合母材1、1のボルト孔1o近傍部が支圧降伏して塑性化後に板厚方向に局部的に膨らみ6(以下「膨らみ」と称し、この「膨らみ」の最大値を「膨らみ量δ」という。)が生じ、この膨らみ量δが大きい場合には、高力ボルト3に過大な引張応力が発生して、高力ボルト3が破断する懸念がある。特に1700MPa以上の高強度の高力ボルトの場合には、設計上母材の支圧降伏が発生しやすくなるのでその懸念が大である。
本発明は、このような高力ボルトの破断を防止し、遅れ破壊の発生が懸念される高強度の高力ボルトを用いた場合にも、その高強度特性(変形性能)を安定確保し、支圧接合部としての最大耐力(せん断耐力)を安定確保可能にする。これによってボルト本数を低減し、コンパクト化や加工手間、締付施工の省力化を安価に実現できる鉄骨部材の高力ボルト支圧接合部を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、以下の(1)〜(5)を要旨とするものである。
(1) 建築鋼構造物を構築する鉄骨部材である被接合母材を、添板を介して高力ボルトで接合する支圧接合部であって、高力ボルト・ナットによる締付面と被接合母材または添板間に、異常荷重が作用時に被接合母材または添板のボルト孔近傍部に生じる板厚方向の局部的な膨らみにより高力ボルトに作用する材軸方向の張力増加を(吸収)緩和する隙間を形成した状態で締結したことを特徴とする鉄骨部材の高力ボルト支圧接合部。
(2) 建築鋼構造物を構築する鉄骨部材である被接合母材を、添板を介して高力ボルトで接合する支圧接合部であって、高力ボルト・ナットによる締付面と被接合母材または添板間に、異常荷重が作用時に被接合母材または添板のボルト孔近傍部に生じる板厚方向の局部的な膨らみにより高力ボルトに作用する材軸方向の張力増加を(吸収)緩和する緩衝材を介在させ、この緩衝材を軽度の締付力で圧縮した状態で締結したことを特徴とする鉄骨部材の高力ボルト支圧接合部。
(3) (2)において、緩衝材が、高力ボルトの破断張力以下の圧縮力で前記膨らみを吸収できる自由高さを有するバネやバネ座金からなることを特徴とする鉄骨部材の高力ボルト支圧接合部。
(4) (2)において、緩衝材が、高力ボルトの破断張力以下の圧縮力で厚みを縮小して前記膨らみを吸収できる軟質材からなることを特徴とする鉄骨部材の高力ボルト支圧接合部。
(5) (1)〜(4)の高力ボルト支圧接合部を1箇所以上有することを特徴とする建築鋼構造物。
なお、本発明でいう接合対象の鉄骨部材とは、建築鋼構造物を構築するための厚鋼板や、板状部(フランジ)を有する形鋼(溶接組立てによる形鋼も含む)などの鋼部材であり、本発明は、この鉄骨部材、及び複数の鉄骨部材からなる中間部材を接合対象とし、添板と、高力ボルトで代表されるせん断抵抗体(以下「高力ボルト」と称する。)を用いて、1面または2面接合する支圧接合部として適用するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の鉄骨部材の高力ボルト支圧接合部は、被接合母材や添板の支圧降伏が先行する設計になっている場合に、異常荷重が作用時に被接合母材や添板のボルト孔近傍部に生じる板厚方向の局部的な膨らみにより高力ボルトに作用する材軸方向の張力増加を(吸収)緩和する構造を有する。
この構造により、接合部に高い変形性能を付与することができ、せん断耐力を安定確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、主として厚鋼板や、形鋼(溶接組立てによるものを含む)のフランジを、添板と高力ボルトを介して支圧接合する場合に適用とするものであり、基本的には、被接合母材や添板の支圧降伏が先行する設計になっている高力ボルト支圧接合部で、添板に拘束された被接合母材のボルト孔近傍部に高力ボルトにより支圧降伏して板厚方向に局部的な膨らみを生じ、この膨らみが高力ボルトの材軸方向で張力増加をもたらす場合において適用し効果を奏する。
本発明の高力ボルト支圧接合部においては、例えば高力ボルト・ナットによる締付面(軸方向の拘束面)と被接合母材(または添板)間に、大地震時などにより異常荷重が作用した場合に、被接合母材のボルト孔近傍部において支圧降伏・塑性化後に生じる板厚方向の局部的な膨らみにより高力ボルトに作用する材軸方向の張力増加を(吸収)緩和する構造を備えている。
【0009】
具体的には、隙間を形成したり、高力ボルトの破断張力以下の圧縮力で厚み(自由高さ)が減少して前記膨らみを吸収できるバネや軟質材などによる緩衝材を介在させた状態で締結する構造を有することを特徴とする。
これによって、前記膨らみ発生による高力ボルトの軸方向の張力増加を緩和し、高力ボルトの破断発生を防止して、支圧接合部のせん断耐力を安定確保することができる。
【0010】
本発明は、以下のような知見に基づくものである。
添板と高強度ボルトを用いた支圧接合では、例えば技術文献1などによって、被接合母材の支圧降伏が先行する場合、高力ボルトにより母材のボルト孔が応力方向に拡大し、塑性化後に割れ・破断現象が生じる。この場合、母材の幅方向、長さ方向の変形を伴うことが知られている。
しかし、本発明者らの実験によれば、例えば、添板による被接合母材の拘束領域を十分に確保した場合において被接合母材や添板の支圧降伏が先行する設計になっている場合、異常荷重が作用時には、図15(a)、(b)に示すように、被接合母材1、1のボルト孔1近傍部に生じる板厚方向の局部的な膨らみ6が発生し、膨らみ量δが大きい場合には、被接合母材1、1や添板2a、2bをその板厚方向で拘束する高力ボルト3に材軸方向の張力増加を生じることが判明した。
このように高力ボルト3の材軸方向に張力増加がある場合、高力ボルト3が破断してしまうという懸念がある。特に母材強度が400MPa〜800MPa程度に対し高力ボルトの強度が1700MPa以上と大きい場合に、母材の支圧降伏が先行しやすくなる上、ボルト素材が高強度のため、伸び性能が低下しやすいので、このようなボルト破断が発生する可能性が高い。
そこで、本発明では、前記膨らみによる高力ボルト3の材軸方向の張力増加を緩和する支圧接合部構造を採用する。
【0011】
本発明で、前記膨らみによる高力ボルトの材軸方向の張力増加を緩和する支圧接合部構造について、さらに具体的に説明する。
(1)隙間の形成
高力ボルト(ナット)による拘束面(締結面)と添板(または被接合母材)間に、前記膨らみ量δを吸収できる隙間を形成する。
この隙間は、大き過ぎると高力ボルトの突出長を大きくすることになり好ましくない。また、高力ボルト軸とボルト孔とが遊合状態にある場合では、初期段階での接合部が安定しないため、この隙間は極力小さくする必要がある。ただし、小さ過ぎると前記膨らみに対する吸収効果が小さく、高力ボルトの材軸方向の張力増加を緩和することができず、高力ボルトの破断を防止できないので、適切な値にする必要がある。
好ましい値としては、被接合母材による高力ボルト軸の支圧位置の変化量(水平変形量)と同等程度あれば十分な効果を得ることができる。
【0012】
(2)緩衝材の介在
高力ボルト(ナット)による拘束面(締結面)と添板(または被接合母材)間に、前記膨らみ量δを吸収できる緩衝材を介在させ、高力ボルトによる軽度の締付力により緩衝材に軽度の圧縮力を付与して締結して、添板と被接合母材を拘束する。
この緩衝材としては、高力ボルトの破断張力以下の圧縮力で厚み(自由高さ)が減少して前記膨らみ量δを吸収できる変形特性を有する板バネ、皿バネ、らせん(つる巻き)バネ、波形バネやバネ座金を用いることができる。
バネやバネ座金を用いる場合、バネ剛性が高い程、接合部は剛強になるため好ましいと言えるが、バネ剛性が高過ぎると高力ボルトの軸力が過大となり、1100MPa以上の高力ボルトを用いた場合には、遅れ破壊が発生することが懸念される。
この緩衝材の効果を十分に発揮させるためには、適切なバネ剛性を付与しておく必要がある。高力ボルトの材料によって遅れ破壊特性が異なるが、標準ボルト張力の0.1〜0.75程度の範囲内で、前記膨らみ量δ相当程度の厚み(自由高さ)を減少できるバネ剛性を有することが望ましい。
【0013】
また、バネやバネ座金以外の緩衝材としては、高力ボルトの破断張力以下の圧縮力で厚みを減少して前記膨らみ量δを吸収できる、一定の弾性を有し塑性変形しやすい軟質材を用いることもできる。例えば、軟質の薄鋼板や軽金属板で形成した孔空きキャップ状や環状の緩衝材、あるいは、プラスチック、樹脂などの非金属で形成した緩衝材などを用いることもできる。
これらの軟質材からなる緩衝材の場合も、前記バネやバネ座金の場合と同様、標準ボルト張力の0.1〜0.75程度の範囲内で、前記膨らみ量δ相当程度の厚み(自由高さ)を減少できる変形特性(剛性)を有することが望ましい。
なお、緩衝材を介在させ、予め緩衝材に圧縮力を付与しておく場合には、付与する圧縮力の度合いによっては、添板と被接合母材間に摩擦力が作用して、摩擦接合部的機能も併せ持つ支圧接合部になる。この場合、摩擦力以上の荷重が作用した場合に本発明の支圧接合部として機能することになる。
【0014】
[支圧接合部の破壊モード]
支圧せん断型の接合部では、接合部の破壊モードを大別すると、被接合母材側(または添板)の支圧破壊モードと高力ボルトせん断破壊モードの2種類があるが、本発明は、主として、被接合母材の支圧破壊モードで接合部の耐力が決定する場合に適用して、その効果が発揮されるものである。
添板の支圧破壊モードで支圧接合部の耐力が決定する場合もあり、この場合での本発明の適用も可能であるが、効果は被接合母材の支圧破壊モードの場合程顕著ではないので、具体的な説明は省略する。
支圧破壊モードは、被接合母材の板厚と強度、高力ボルト径と強度と関係し、被接合母材の支圧破壊モードとなる条件は、1面せん断接合、2面せん断接合で各々下式によって表すことができる。
また、本発明は、特に引張強度で1700MPa〜2600MPa程度の高強度の高力ボルトを用いた場合に、その効果が大きい(高強度になると伸び性能が10%以下となるケースがあり、14%以上が確保されている1000MPa級と比べ、相対的に伸び性能が小さくなるため前記膨らみ対策が重要になる。また遅れ破壊発生の懸念の解消にも寄与する)。
【0015】
[1面せん断の場合]
被接合母材の支圧破壊モードになる条件は、
bRsa<pRbra
bRsa=0.60×1×bAs・bFy=0.60・π(D/2)・bFy
=0.4713・d・bFy (1)
pRbra=t・d×1.25×piFy×1.5=1.875・t・d・piFy (2)
bRsa:高力ボルトのせん断破壊耐力
pRbra:被接合母材の支圧破壊耐力
piFy:被接合母材の降伏強さ
bAs:高力ボルト軸の断面積
bFy:高力ボルトの降伏強さ
d:高力ボルト軸径
【0016】
[2面せん断の場合]
被接合母材の支圧破壊モードになる条件は、
bRsa>pRbra
bRsa=0.60×2×bAs・bFy=1.20・π(D/2)・bFy
=0.9426・d・bFy (3)
pRbra=t・d×1.25×piFy×1.5=1.875・t・d・piFy (4)
本発明の支圧接合部での前記膨らみ量δを吸収する隙間や、介在させる緩衝材の条件については、例えば大地震による(想定)最大応力作用時の被接合母材の変形(伸び)を、上記各式(1)〜(4)などによって求め、この変形によって生じる膨らみ量δを求めることができる。
本発明では、この膨らみ量δによって生じる高力ボルトに対する張力増加を緩和するため、隙間や介在させる緩衝材の条件を設定し、高力ボルトの破断を防止し、支圧接合部の最大耐力を安定確保するものである。
【0017】
[実施形態例1]
以下に、本発明の実施形態例1を模式図である図1(a)、(b)、図2(a)、(2)に基づいて説明する。
この実施形態例1は、図1(a)、(b)に示すように、接合対象である被接合母材が厚鋼板1、1であり、接合部を微小間隙cを生じるように突き合わせ、突き合わせた厚鋼板1、1に跨がって、上下面に当接した添板2a、2b(添板が1枚でも可)を介して、頭部を有し他端側にナット4を螺合する型式の頭部を有する高力ボルト3で接合した、破壊モードが被接合母材の支圧破壊モードである高力ボルト支圧接合部例に係わるものである。
【0018】
この例では、高力ボルト3で締結した状態(初期状態)で、頭部座面と、厚鋼板1、1に当接した添板2aとの間、ナット4と厚鋼板1、1に当接した添板2b間に、それぞれ隙間5を形成しておき、この状態では厚鋼板1、1と添板2a、2bをその板厚方向で拘束しないで、高力ボルト3の軸方向に張力が作用しないようにしている。
高力ボルト3頭部と添板2a間、ナット4と添板2b間の隙間5は、例えば大地震発生時に支圧接合部に大きな応力が作用した時に、図2(a)、(b)に示すように、高力ボルト3の支圧により厚鋼板1、1のボルト孔1o近傍部が支圧降伏して変形し、塑性化して、両面側にそれぞれ板厚方向の局部的な膨らみ6を生じ、膨らみ量δが隙間5相当以上になった場合に、厚鋼板1、1と添板2a、2bが高力ボルト3の頭部とナット4間で拘束される。
このとき、隙間5は、膨らみ6により高力ボルト3の軸方向に作用する張力が、高力ボルトの破断張力以下で膨らみ量δを吸収して厚鋼板1、1と添板2a、2bを拘束できるように設定しているので、膨らみ量δ(δ×2)を隙間5(5×2)が吸収したとき、高力ボルト3の軸方向には張力が作用する場合もあるが、隙間5は膨らみ6による張力が高力ボルトの破断張力以下(標準ボルト張力の0.75〜0.1程度)に抑制できるように設定されているので、高力ボルトの破断を防止することができる。
なお、この例では隙間5は、高力ボルト3頭部と添板2a間と、ナット4と添板2b間の両側に設けたが、いずれか一方の片側にのみ設けることも考慮できる。
【0019】
なお、この実施形態例1では、支圧接合部は初期から膨らみ6発生終期に至るまで、厚鋼板1、1と添板2a、2bが板厚方向で高力ボルト3の頭部とナット4間で拘束がないまたは拘束が不十分な構造になり、接合部として安定を欠く懸念がある。
この懸念を解消するため、高力ボルト3とボルト孔1o、2o間の間隙を充填材の充填などによって、厚鋼板1、1と添板2a、2bの高力ボルト3の軸方向の動きを抑制することも考慮できる。(請求項1の形態例に相当)。
【0020】
[実施形態例2]
以下に、本発明の実施形態例を模式図である図3〜図5および図6に基づいて説明する。
この実施形態例2は、実施形態例1と同様、接合対象である被接合母材が厚鋼板1、1であり、接合部を微小間隙cを生じるように突き合わせ、突き合わせた厚鋼板1、1に跨がって、上下面に当接した添板2a、2b(添板が1枚でも可)を介して両端部にナット4a、4bを螺合する型式の頭部を有しない高力ボルト3で接合した、破壊モードが被接合母材の支圧破壊モードである高力ボルト支圧接合部例に係わるものである。
この実施形態例2は、ナット4a、4bと添板2a、2b間に、隙間5に代えて緩衝材として、図5に示すような、公知(例えばJIS規格に記載)のバネ座金8を介在させた点で実施形態例1とは異なるものである。
【0021】
この例では、高力ボルト3で締結する前の状態では、図3(a)、(b)に示すように、ナット4a、4b間と、厚鋼板1、1に当接した添板2a、2bとの間に、それぞれ緩衝材であるバネ座金8を介在させておく。このとき、バネ座金8は圧縮されておらず、厚み(自由高さ)はHである。
図6に示すように、初期段階で支圧接合部を安定させるために、ナット4a、4b間で厚鋼板1、1と添板2a、2bを軽度の締付力で締付けて、その板厚方向に拘束する。このとき、バネ座金8は軽度に圧縮されて、厚み(自由高さは)HからHに減少する。このとき、このバネ座金8の反力により高力ボルト3の軸方向に標準ボルト張力の0.1程度の張力が作用して、初期段階の支圧接合部を安定させている。
この状態で、例えば大地震発生して支圧接合部に大きな応力が作用した時に、高力ボルト3の支圧により厚鋼板1、1のボルト孔1o近傍部が支圧降伏して変形し、両面側にそれぞれ局部的な膨らみ6を生じた場合に、図4(a)、(b)に示すように、バネ座金8は、添板2a、2bとナット4a、4b間で膨らみ量δ程度圧縮されて、厚み(自由高さ)がHからHに減少する。
このとき、バネ座金8の反力により高力ボルト3の軸方向に作用する張力は、高力ボルト3の破断張力以下(標準ボルト張力の0.75程度以下)で、膨らみ量δ(δ×2)を吸収して高力ボルト3の破断を防止することができる。
なお、この例ではバネ座金8は、ナット4aと添板2a間と、ナット4bと添板2b間の両側に介在させたが、いずれか一方の片側に介在させることも考慮できる。
【0022】
ここでは、緩衝材としてバネ座金を用いたが、例えばJISなどに記載があるような公知の板バネ、らせん(つる巻き)バネ、波形バネ、あるいは皿バネなど、他のバネ特性を有するものを用いることができる。この場合、高力ボルト3の破断張力以下(標準ボルト張力の0.75程度以下)で、膨らみ量δを吸収して高力ボルト3の破断を防止できる条件を満足できるものを選択して用いるものである。(請求項2、3の形態例に相当)。
【0023】
[実施形態例3]
以下に、本発明の実施形態例3を模式図である図7〜図9に基づいて説明する。
この実施形態例3は、実施形態例1、2と同様、接合対象である被接合母材が厚鋼板1、1であり、接合部を微小間隙cを生じるように突き合わせ、突き合わせた厚鋼板1、1に跨がって、上下面に当接した添板2a、2b(添板が1枚でも可)を介して両端部にナット4a、4bを螺合する型式の高力ボルト3で接合した、破壊モードが被接合母材の支圧破壊モードである高力ボルト支圧接合部例に係わるものである。
この実施形態例3は、ナット4a、4bと添板2a、2b間に、バネ座金8に代えて緩衝材として軟質材(プラスチック)を介在させた点で実施形態例2とは異なるものである。
【0024】
この例では、高力ボルト3で締結する前の状態では、図7(a)、(b)に示すように、ナット4a、4b間と、厚鋼板1、1に当接した添板2a、2bとの間に、それぞれ、緩衝材である図9に示すようなプラスチック製の孔空きキャップ9を介在させておく。このとき、孔空きキャップ9は、初期段階で支圧接合部を安定させるために、ナット4a、4b間で厚鋼板1、1と添板2a、2bを軽度の締付力で締付けて、その板厚方向に拘束する。このとき、孔空きキャップ9は僅かに圧縮されて厚み(自由高さ)HからH(図示省略)まで厚み(自由高さは)を減少し、孔空きキャップ9の反力により高力ボルト3の軸方向に標準ボルト張力の0.1程度の張力が作用している。
この状態で、例えば大地震発生して支圧接合部に大きな応力が作用した時に、図8(a)、(b)に示すように、高力ボルト3の支圧により厚鋼板1、1のボルト孔1o近傍部が支圧降伏して変形し、局部的な膨らみ6を生じた場合に、孔空きキャップ9は、添板2a、2bとナット4a、4b間で圧縮されて、厚み(自由高さ)をHまで減少する。このとき、孔空きキャップ9の反力により高力ボルト3の軸方向に作用する張力は、高力ボルト3の破断張力以下(標準ボルト張力の0.75程度以下)で、膨らみ量(δ×2)を吸収して高力ボルト3の破断を防止することができる。
なお、孔空きキャップ9は、ナット4aと添板2a間とナット4bと添板2b間の両側に介在させたが、いずれか一方の片側にのみ介在することも考慮できる。
【0025】
孔空きキャップ9としては、上記のように適度(低度)の弾性を有し、添板2a、2bや厚鋼板1、1より塑性変形しやすい変形特性を有するものを用いるものである。ここでは緩衝材としてプラスチック製の孔空きキャップ9を用いたが、例えば、極軟鋼板や軽金属板で形成した孔空きキャップ状や環状の緩衝材、あるいは、樹脂などの非金属で形成した緩衝材など適度(低度)の弾性を有し、添板2a、2bや厚鋼板1、1より塑性変形しやすい変形特性を有するものを用いることができる。(請求項2、4の形態例に相当)。
【0026】
上記実施形態例1、2、3で用いた高力ボルト3、3は、遅れ破壊の発生の懸念のある引張強さが1700MPa級のものであり、ナット4または4a、4bを螺合して、ナット4または4a、4bを締め付けて締結する一般的な高力ボルト・ナットを使用したが、例えば図12(a)、(b)に示すように、高力ボルト3の頭部やナット4または4a、4bを螺合する端部側に締付トルクを管理できる、ピンテール3pを形成した公知のトルシア形高力ボルト3、3などであってもよい。
なお、ナット4、4a、4bの特性については、硬さがHRC30以上のものであればよい。
また、添板2a、2bの特性については、上記の各実施形態例では、支圧接合破壊モードを被接合母材の破壊モードの支圧接合部としているので、厚鋼板1、1と同じ程度以上であることがより好ましい。
また、上記各実施形態例では、添板2a、2bの2枚を用いたが、例えば図11に示すようにいずれか1枚(2a)のみを用いてもよい。
座金については、バネ座金を必要する場合以外には、必要に応じて使用するものであり、この場合の座金特性については、硬さがHRC45以上のものであればよい。
【0027】
上記各実施形態例は、本発明を厚鋼板の支圧接合部として適用した場合の例であるが、本発明を適用する高力ボルト支圧接合部としては、上記実施形態例以外に、例えば、図10に示すように、H形鋼梁10、10を接合対象として、軸方向に微小間隙cをあけて突き合わせた上下フランジ10a、10bどうしを、その上下フランジ10a、10bの上下面に当接した添板2a、2bを介して高力ボルト3(で接合する高力ボルト支圧接合部などとしても適用することができる。
他に、本発明の解決する課題と同様の課題がある高力ボルト支圧接合部にも適用可能である。また、本発明の高力ボルト支圧接合部は、基本的には鉄骨部材の高力ボルトとして適用するものであるが、接合部位に要求される接合部特性に応じて、一部の接合部位にのみ適用して、本発明以外の高力ボルト摩擦接合部や高力ボルト引張接合部を併用して建築鋼構造物を構築することができる。(請求項5の形態例に相当)
【実施例】
【0028】
図3〜図5に示すような高力ボルト支圧接合部を、800MPa級で、厚さ9mm、幅120mmの厚鋼板1、1を微小間隙を有するように突き合わせ、この厚鋼板1、1に跨がって、上下面に当接した添板2a、2bを介して高力ボルト3で支圧接合する場合において適用し、引張荷重を漸増付加して、バネ座金8の介在効果を確認する実験を行った。
バネ座金8を介在させない、従来の高力ボルト支圧接合部の場合とともに実験結果を図13に示す。なお、この実験では、付与荷重による厚鋼板1、1のボルト孔1o近傍部の伸びと局部的膨らみ量δと高力ボルトの破断(最大耐力)で接合部性能を評価した。
ここでの従来の支圧接合部は、ナット4a、4bと添板2a、2b間に隙間の形成やバネ座金8の介在をさせないで、ナット4a、4b間で厚鋼板1、1と添板2a、2bを軽度の締付力(ボルト標準張力の0.1程度)で拘束した場合のものである。
【0029】
[実験条件]
高力ボルト3
軸径:27mm
引張強さ:1700MPa
厚鋼板1、1
ボルト孔径:27.2mm
ボルト孔中心と板端間距離:410mm
添板2a、2b
長さ:410mm
幅:120mm
厚さ:9mm
引張強さ:800MPa
ボルト孔径:27.2mm
ボルト孔中心と添板長さ中心間距離:220mm
ナット4a、4b:硬さ HRC30
バネ座金8
内径d:27.5mm
外径D:45.3mm
厚さt:6.8mm
硬さ :HRC45
ナット間での締付力
バネ座金8をボルト標準張力の0.1程度で圧縮して拘束。
【0030】
[実験例1]
図13に示すように、バネ座金8を介在させた本発明の支圧接合では、引張荷重を漸増付加していくと、荷重が300kN程度から剛性が低下し、変形が増加する性状が見られた。変形の増加とともに、厚鋼板1、1のボルト孔1o近傍の局部的膨らみ6が板厚中心から概ね対称の形状に発生したが、荷重が約600kNに達し変形量で16mmを超えても、高力ボルト3は破断することなく安定した耐荷性能を示した。実験はこの時点で終了し除荷した。この時の局部的な膨らみ量δは約5mmであった。
【0031】
[従来例]
従来の支圧接合部では、図13に示すように、引張荷重を漸増付加していくと、荷重が300kN程度から剛性が低下し変形が増加する性状が見られた。変形の増加とともに、厚鋼板1、1のボルト孔1近傍の局部的膨らみ6が板厚中心から概ね対称の形状に発生した。荷重が約600kNに達し変形量で8mmを超えた当たりで、高力ボルト3が破断し耐荷能力を失い。接合部としての機能を失った。この時の局部的な膨らみ量δは約2mmであった。
【0032】
以上の実験結果から、厚鋼板1、1に当接した添板2a、2bと、これを板厚方向で拘束するナット4a、4b間に、バネ座金8を介在させ、厚鋼板1、1のボルト孔近傍に支圧降伏によって生ずる局部的な膨らみによる高力ボルト軸方向の張力増加を吸収緩和できる本発明の支圧接合部は、高力ボルト破断による接合部耐力の急激な劣化を防ぎ、接合部として高い変形性能を兼ね備え、安定した耐荷能力を発揮することができる。
これにより、大地震発生時にも十分に耐えられる建築鋼構造物を実現可能である。
【0033】
本発明は上記の実施例の内容に限定されるものではなく、適用する接合部位に要求される支圧接合部特性に応じて、用いる高力ボルトの形式、引張強さ、ボルト本数、締付軸力、被接合母材、添板、緩衝材特性、ナット、座金などの各部材の材質、引張強さ、形状(サイズを含む)などの条件を、請求項を満足する範囲内で変更のあるものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)図は、本発明の高力ボルト支圧接合部の実施形態例1を示す側断面説明図で、(b)図は、(a)図の平面説明図。
【図2】(a)図は、図1の支圧接合部での異常荷重作用時の支圧接合部の状態例を示す説明図。(b)図は、(a)図のAa−Ab矢視断面説明図。
【図3】(a)図は、本発明の高力ボルト支圧接合部の実施形態例2を示す側断面説明図で、(b)図は、(a)図の平面説明図。
【図4】(a)図は、図3の支圧接合部での異常荷重作用時の支圧接合部の状態例を示す説明図。(b)図は、(a)図のBa−Bb矢視断面説明図。
【図5】実施形態例2で用いたバネ座金の形状例を示す側面説明図と平面説明図。
【図6】実施形態例2での支圧接合部でのバネ座金の圧縮変形と高力ボルトの張力領域を示す説明図。
【図7】(a)図は、本発明の高力ボルト支圧接合部の実施形態例3を示す側断面説明図。(b)図は、(a)図の平面説明図。
【図8】(a)図は、図3の支圧接合部での異常荷重作用時の支圧接合部の状態例を示す説明図。(b)図は、(a)図のCa−Cb矢視断面説明図。
【図9】実施形態例2で用いた孔空きキャップの形状例を示す中心部断面説明図と平面説明図。
【図10】本発明を適用できる他の高力ボルト支圧接合部例を示す側面説明図。
【図11】本発明を適用できる他の高力ボルト支圧接合部例を示す側断面説明図。
【図12】(a)図は、本発明で用いる他の高力ボルト例を示す側面説明図。(b)図は、本発明で用いる他の高力ボルト例を示す側面説明図。
【図13】本発明の実施例および従来例での支圧接合部の評価実験結果を示す説明図。
【図14】(a)図は、板状の被接合母材を接合対象とした従来の一般的 な支圧接合部例を示す断面説明図。(b)図は、(a)図の平面説明図。
【図15】(a)図は、図14に示すような支圧接合部での異常荷重作用時の支圧接合部の状態例を示す説明図。(b)図は、(a)図のDa−Db矢視断面説明図。
【符号の説明】
【0035】
、1 厚鋼板(板状の被接合母材) 1o ボルト孔
2a、2b 添板 2o ボルト孔
3、3、3 高力ボルト 4、4a、4b ナット
5 隙間 6 膨らみ
7 座金 8 バネ座金
8o 孔 9 孔空きキャップ
9o 孔 10、10 H形鋼梁
10a、10b フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築鋼構造物を構築する鉄骨部材である被接合母材を、添板を介して高力ボルトで接合する支圧接合部であって、高力ボルト・ナットによる締付面と被接合母材または添板間に、異常荷重が作用時に被接合母材または添板のボルト孔近傍部に生じる板厚方向の局部的な膨らみにより高力ボルトに作用する材軸方向の張力増加を(吸収)緩和する隙間を形成した状態で締結したことを特徴とする鉄骨部材の高力ボルト支圧接合部。
【請求項2】
建築鋼構造物を構築する鉄骨部材である被接合母材を、添板を介して高力ボルトで接合する支圧接合部であって、高力ボルト・ナットによる締付面と被接合母材または添板間に、異常荷重が作用時に被接合母材または添板のボルト孔近傍部に生じる板厚方向の局部的な膨らみにより高力ボルトに作用する材軸方向の張力増加を(吸収)緩和する緩衝材を介在させ、この緩衝材を軽度の締付力で圧縮した状態で締結したことを特徴とする鉄骨部材の高力ボルト支圧接合部。
【請求項3】
緩衝材が、高力ボルトの破断張力以下の圧縮力で前記膨らみを吸収できる自由高さを有するバネやバネ座金からなることを特徴とする請求項2記載の鉄骨部材の高力ボルト支圧接合部。
【請求項4】
緩衝材が、高力ボルトの破断張力以下の圧縮力で厚みを縮小して前記膨らみを吸収できる軟質材からなることを特徴とする請求項2記載の鉄骨部材の高力ボルト支圧接合部。
【請求項5】
請求項1〜請求項4高力ボルト支圧接合部を1箇所以上有することを特徴とする建築鋼構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−156908(P2008−156908A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347063(P2006−347063)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】