説明

鉛筆芯

【課題】香料を含有した鉛筆芯の芳香を長期にわたり持続させる。
【解決手段】 自身が摩耗することによって筆跡を形成する多孔質の芯体に、自身が摩耗することによって筆跡を形成する多孔質の芯体に、香料と、香料に対する割合が0.1重量%〜3.0重量%であるポリビニルピロリドンを含浸させることにより、芳香を長期にわたり持続し、且つ筆記時には強い芳香を得られる香料入り鉛筆芯を得た。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼成芯体が有する気孔中に、含浸成分を含浸させてなる鉛筆芯に関する。
【背景技術】
【0002】
固形描画材や焼成芯体には、種々の物質を配置させ、芯体に様々な機能を付与する技術が公開されている。例えば、液状物を配置させる例として、焼成芯体の気孔に油を配置することで筆線濃度の向上や運筆の良さを得る技術であったり、固体や半固体状物を配置させる例として、シクロデキストリンを固形描画材や焼成芯体気孔に配置して強度を向上する技術(特許文献1、2)や、焼成芯体の気孔に、香料を、蜜蝋や木蝋、固形パラフィンなどワックスと組み合わせて含浸させ、筆記の際に香りを得る技術(特許文献3)が開示されている。
【特許文献1】特開2008−56829号公報
【特許文献2】特開2008−88263号公報
【特許文献3】特開昭49−32726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、固体や半固体状物を配置させる場合、特許文献1及び2で用いられている固体・半固体状物は、芯体の結合材や体質材、着色剤といった固体の間に介在させるか表面に配置させるものであり、固形描画材や焼成芯体の強度は向上するものの、焼成芯体の気孔に含浸した液体や、若しくは芯体の中に存在する気体の挙動を制御するものではなく、また挙動を制御する発想も存在し得なかったので、例えば香料のように揮発し易い液体を芯体にとどめようとする目的には不向きであった。特許文献3で用いられている固体・半固体状物は、液体である香料を気孔内で半固形化もしくは固形化することにより揮発を抑える技術ではあるが、気孔内の香料全てを固体・半固体状物とするために、芯体の保香性はあるものの運筆による芯体の摩耗時に強い香りが立ち難く、香りを感じながら筆記を楽しむ効果を得難いものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、焼成芯体が有する気孔中に、少なくとも香料とポリビニルピロリドンを含有し、該ポリビニルピロリドンの香料に対する割合が0.1重量%以上3.0重量%以下である含浸成分を含浸した鉛筆芯を要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
含浸成分中の香料が気孔開口部から揮発していくと、開口部周辺の含浸成分はポリビニルピロリドンの濃度が上昇して増粘やゲル化が起き、さらにその表面では香料の揮発が進むことでポリビニルピロリドンの皮膜が形成する。
皮膜は、ポリビニルピロリドンの環状官能基が気体の透過を妨げる為に、香料は揮発を抑制されて気孔内に閉じ込められ、筆記の際には、柔軟なポリビニル結合が粘着力をもたらし、紙面に接触した皮膜が紙面上で空滑りすることなく速やかに摩耗若しくは剥離するので、閉じ込められていた香料が揮発する。
ポリビニルピロリドンの量が香料に対して0.1重量%未満であると、皮膜化するためには多量の香料揮発を伴わなければならず、閉じ込められる香料量が少なくなる為に香りが得難くなり、香料に対して3.0重量%より多くなると、皮膜は出来易くなるのであるが、ゲルや皮膜層が厚くなる他、含浸直後に芯体表面に付いている含浸物が厚膜化してしまって芯体が崩れ難くなり、筆記時に芳香を得られなくなる。
よって、香料と香料に対する割合が0.1重量%以上3.0重量%以下のポリビニルピロリドンを含浸した芯体は、保香性を有しながらも、筆記時には強い芳香を得られる事が出来るものと推察される。
【0006】
また、含浸成分に両親媒性の環状オリゴ糖が加わると、皮膜はポリビニルピロリドンと両親媒性の環状オリゴ糖の混成皮膜となり、気液の透過性の低いポリビニルピロリドン皮膜の性質を持ち、且つ、ポリビニルピロリドン皮膜でも透過してしまうような分子量の小さな香料成分は、環状オリゴ糖の包接作用によって透過を抑えることが出来るので、香料の揮発をより抑制して気孔内に閉じ込めることができる。包接作用とは、環状オリゴ糖の環内部に一部若しくは全部が入った分子を、環状オリゴ糖が保持する作用である。
また、環状オリゴ糖が両親媒性であることにより、混成皮膜は疎水性の気孔壁に対して隙間無く形成される。親水性のポリビニルピロリドンのみであると、皮膜化する際に膜は気孔壁から遊離して隙間が生じることもあり、香料の揮発に繋がる。
ここで、両親媒性の環状オリゴ糖の香料に対する割合が1.0重量%に満たないと、包接による香料揮発の抑制効果が得難く、5.0重量%を超えると、混成皮膜の粘着力が低下することにより筆記時の摩耗や剥離が起き難くなって、筆記時に芳香を得られなくなるので、両親媒性の環状オリゴ糖の香料に対する割合は1.0重量%以上5.0重量%以下が好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、香料とは香気を放つ成分及びそれを含む組成物を包含するものである。例えば、植物性原料から圧搾、水蒸気蒸留などの手段により得られるラベンダー、ジャスミン、ローズ、ベルガモットなどの精油や、麝香鹿の香のうや抹香鯨の結石などの動物性原料を、各種溶媒により抽出し濃縮して得られるムスクやアンバーグリースなどの精油や、食品素材を圧搾抽出したり加熱処理を施すなどして得られる調理フレーバー、また、乳原料、脂質、タンパク質及び糖質等と微生物・酵素との化学反応により生成する微生物・酵素フレーバーや、エチルアセテート、プロピルアセテート、エチルブチレート、ベンジルアセテート、酢酸アミル、イソボルニルアセテート、フェニルエチルアルコール、ヘキシルアルコール、ターピネオール、ベンジルアルコールなどの合成香料が挙げられ、さらには、香気の立ち上がり強度や、香りのバランス、更には香りの持続性などを調整する際に使用される各種溶剤類が配合されている場合も含む。
【0008】
ポリビニルピロリドンとしては、ルビスコール(ビーエーエスエフ・ジャパン(株)製)、POVODERM SK3、PVP K(アイエスピー・ジャパン(株)製)、などが挙げられ、いずれか1種若しくは2種以上を用いることができる。
【0009】
両親媒性の環状オリゴ糖は、単糖類が4個〜8個環状に結合しており、環の内側が疎水性、外側が親水性となる構造であり、環状四糖である環状ニゲロシルニゲロース、環状マルトシルマルトース、環状五糖である環状ニゲロシルトリサッカライド、イソサイクロマルトペンタオース、環状六糖であるイソサイクロマルトヘキサオース、α‐シクロ‐L‐ラムノヘキサオース、α−シクロデキストリン、環状七糖であるβ−シクロデキストリン、β‐シクロ‐L‐ラムノヘキサオース、環状八糖であるγ−シクロデキストリンなどが挙げられる。
中でもシクロデキストリンは、環内径が大きく、イソサイクロマルトヘキサオースのように環が歪でないことから、分子量の異なる各種の香料成分を種類によらず包接し易く、且つα‐及びγ‐シクロ‐L‐ラムノヘキサオースに比べて環外側の水酸基数が多く、より親水性の香料およびポリビニルピロリドン溶剤に溶けて分散し易いので、包接作用を発揮し易く良い。
シクロデキストリンとしては、ヒドロキシルアルキル化シクロデキストリン、アルキル化シクロデキストリン、グルコキシル化シクロデキストリン、アミノ化シクロデキストリン、カルボキシメチル化シクロデキストリン、グルコース残基の少なくともその一部をヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシイソブチル、ジエチルアミノエチル、トリメチルアンモニウムプロピルなどの親水性官能基にしたシクロデキストリン、エピクロルヒドリンや多価グリシジルエーテルなどの架橋剤にて高分子化したシクロデキストリンポリマー、グルコース、マルノースなどの分岐側鎖を有する分岐シクロデキストリン、高度分岐環状デキストリン等のいずれか1種若しくは2種以上を用いることができる。
【0010】
これらの香料、ポリビニルピロリドン、両親媒性の環状オリゴ糖を芯体に含浸させる方法は限定されない。
例えば、香料と溶媒(水、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコール、グリセリン等)で溶解または分散したポリビニルピロリドン及び又は両親媒性の環状オリゴ糖を予め混合した液に、芯体を浸漬する。浸漬の際に30℃以上50℃以下の加温状態としても良い。混合した液から芯体を取り出し、表面に残る含浸成分を遠心分離器などで除去する。
また、先ず溶媒に溶かしたポリビニルピロリドン及び又は両親媒性の環状オリゴ糖を含浸し、加熱乾燥などにより溶媒を揮発させた芯体を、香料に浸漬しても良い。
上述の香料、ポリビニルピロリドン、両親媒性の環状オリゴ糖からなる含浸成分を含浸する割合は任意でよいが、例えば香りを強く感じたければ、香料を芯体重量に対して10重量%以上になるように含浸すれば良い。
【0011】
本発明に使用する、上述の各成分を含浸させる媒体となる芯体は、従来用いられている構成材料及び製造方法を限定なく用いることができる。
黒鉛や窒化硼素等の各種体質材と、粘土や各種合成樹脂などを結合材として使用し、必要に応じて使用される着色材、気孔形成材、可塑剤、溶剤などと共にニーダー、ヘンシェルミキサー、3本ロールなどで均一分散させ、押し出し成形後、800℃以上1200℃以下で高温焼成して得られる。
具体的には、粘土やポリ塩化ビニル、ポリ塩素化ポリエチレン、フラン樹脂、ポリビニルアルコール、スチロール樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂などの合成樹脂を結合材として使用し、黒鉛、窒化硼素、タルク、雲母などの体質材、必要に応じて使用される有機顔料や無機顔料などの着色材、ポリアミド、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの気孔形成材、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)などの可塑剤、水、アルコール、ケトン、エステル、芳香族炭化水素などの溶剤と共にニーダー、ヘンシェルミキサー、3本ロールなどで均一分散させた後に成形、高温焼成して黒色又は白色の焼成鉛筆が得られる。
【実施例】
【0012】
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<焼成芯体1の準備>
塩化ビニル樹脂 40重量部
黒鉛 50重量部
カーボンブラック 2重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合を配合物として、ニーダー及び3本ロールにより十分混練後、細線状に押し出し成形し、空気中で300℃まで加熱し、更に、不活性雰囲気で950℃に加熱し、焼成芯体1を得た。
【0013】
<焼成芯体2の準備>
ベントナイト 20重量部
窒化硼素 50重量部
塩化ビニル樹脂 10重量部
ジオクチルフタレート 10重量部
ステアリン酸 2重量部
メチルエチルケトン 30重量部
上記配合を配合物として、ニーダー及び3本ロールにより十分混練後、細線状に押し出し成形し、空気中で180℃まで加熱し、更に、不活性雰囲気で1000℃に加熱し、そして空気中で500℃に加熱して白色の焼成芯体を得る。この白色焼成芯体を下記赤色インキへ浸し30℃で24時間静置したのち芯体表面の余分なインキを遠心分離器で除去し赤色の焼成芯体2を得た。
【0014】
(赤色インキ)
赤色染料(染料、Sumifix HF Red G gran、ケムテックス(株)製) 30重量部
エチルアルコール(溶剤) 70重量部
上記配合物を混合して赤色インキを得た。
【0015】
<実施例1>
上記焼成芯体1をステンレス製の金網で出来た容器に入れ、ベルガモット抽出液と、ポリビニルピロリドン(PVP K90、アイエスピー・ジャパン(株)製)との混合溶液で満たされたビーカー内に投入した。ベルガモット抽出液に対するポリビニルピロリドンの割合は、1.5重量%になるよう調整した。このビーカーをマグネティックスターラー上に置き、スターラーの回転端子が、焼成芯体1が入った金網容器と接触しないように調整しながら撹拌を行った。30℃の加温で24時間含浸後に焼成芯体1を引き上げ、芯体表面の余分な含浸成分を遠心分離器で除去し、芯径0.572mmのベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約13.0重量%であった。
【0016】
<実施例2>
実施例1において、ベルガモット抽出液を、ローズ系香料成分に代えた以外は実施例1と同様にして、ローズの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約12.8重量%であった。
【0017】
<実施例3>
実施例1において、ベルガモット抽出液に対するポリビニルピロリドンの割合を0.1重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約13.4重量%であった。
【0018】
<実施例4>
実施例1において、ベルガモット抽出液に対するポリビニルピロリドンの割合を0.7重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約14.5重量%であった。
【0019】
<実施例5>
実施例1において、ベルガモット抽出液に対するポリビニルピロリドンの割合を2.3重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約12.5重量%であった。
【0020】
<実施例6>
実施例1において、ベルガモット抽出液に対するポリビニルピロリドンの割合を3.0重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約12.4重量%であった。
【0021】
<実施例7>
実施例1において、ベルガモット抽出液とポリビニルピロリドンの混合溶液を、ベルガモット抽出液とポリビニルピロリドンと環状ニゲロシルニゲロース((株)林原生物化学研究所製)の混合溶液に変え、ベルガモット抽出液に対するポリビニルピロリドンの割合を1.5重量%に、ベルガモット抽出液に対する環状ニゲロシルニゲロースの割合を3.0重量%に調整した以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約13.2重量%であった。
【0022】
<実施例8>
実施例7において、ベルガモット抽出液に対する環状ニゲロシルニゲロースの割合を1.0重量%に調整した以外は実施例7と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約13.5重量%であった。
【0023】
<実施例9>
実施例7において、ベルガモット抽出液に対する環状ニゲロシルニゲロースの割合を2.0重量%に調整した以外は実施例7と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約12.9重量%であった。
【0024】
<実施例10>
実施例7において、ベルガモット抽出液に対する環状ニゲロシルニゲロースの割合を4.5重量%に調整した以外は実施例7と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約12.3重量%であった。
【0025】
<実施例11>
実施例7において、ベルガモット抽出液に対する環状ニゲロシルニゲロースの割合を5.0重量%に調整した以外は実施例7と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約12.1重量%であった。
【0026】
<実施例12>
実施例7において、ベルガモット抽出液に対する環状ニゲロシルニゲロースの割合を0.30重量%に調整した以外は実施例7と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約13.6重量%であった。
【0027】
<実施例13>
実施例7において、ベルガモット抽出液に対する環状ニゲロシルニゲロースの割合を0.90重量%に調整した以外は実施例7と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約13.3重量%であった。
【0028】
<実施例14>
実施例7において、ベルガモット抽出液に対する環状ニゲロシルニゲロースの割合を5.2重量%に調整した以外は実施例7と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約12.8重量%であった。
【0029】
<実施例15>
実施例7において、ベルガモット抽出液に対する環状ニゲロシルニゲロースの割合を6.0重量%に調整した以外は実施例7と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約12.7重量%であった。
【0030】
<実施例16>
実施例7において、環状ニゲロシルニゲロースをヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン(日本食品化工(株)製)に変えた以外は実施例7と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約13.1重量%であった。
【0031】
<実施例17>
実施例1において、焼成芯体1を、焼成芯体2に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き赤鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体2の重量に対して約14.3重量%であった。
【0032】
<比較例1>
実施例1において、ベルガモット抽出液とポリビニルピロリドンとの混合液をベルガモット抽出液に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約14.3重量%であった。
【0033】
<比較例2>
実施例1において、ベルガモット抽出液とポリビニルピロリドンの混合液をベルガモット抽出液とパラフィンワックス(パラフィンワックス120、日本精鑞(株)製)の混合液に変え、ベルガモット抽出液に対するパラフィンワックスの割合が1.5重量%になるよう調整し、30℃の加温を50℃に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約13.1重量%であった。
【0034】
<比較例3>
実施例1において、ベルガモット抽出液に対するポリビニルピロリドンの割合を0.08重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約14.2重量%であった。
【0035】
<比較例4>
実施例1において、ベルガモット抽出液に対するポリビニルピロリドンの割合を0.05重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約14.4重量%であった。
【0036】
<比較例5>
実施例1において、ベルガモット抽出液に対するポリビニルピロリドンの割合を3.2重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約12.2重量%であった。
【0037】
<比較例6>
実施例1において、ベルガモット抽出液に対するポリビニルピロリドンの割合を4.0重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約12.1重量%であった。
【0038】
<比較例7>
実施例1において、ポリビニルピロリドンをポリビニルアルコール(デンカポバールK−17E、電気化学工業(株)製)に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約13.6重量%であった。
【0039】
<比較例8>
実施例1において、ポリビニルピロリドンをアミロース(酵素合成アミロース、三和澱粉工業(株)製)に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約12.8重量%であった。
【0040】
<比較例9>
実施例1において、ポリビニルピロリドンを環状ニゲロシルニゲロースに代え、ベルガモット抽出液に対する環状ニゲロシルニゲロースの割合を3.0重量%に調整した以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約13.9重量%であった。
【0041】
<比較例10>
実施例1において、ベルガモット抽出液とポリビニルピロリドンの混合溶液を、ベルガモット抽出液とポリビニルピロリドンと環状ニゲロシルニゲロースの混合溶液に変え、ベルガモット抽出液に対するポリビニルピロリドンの割合を0.05重量%に、ベルガモット抽出液に対する環状ニゲロシルニゲロースの割合を0.5重量%に調整した以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体1の重量に対して約13.8重量%であった。
【0042】
<比較例11>
実施例1において、焼成芯体1を焼成芯体2に変え、ポリビニルピロリドンの割合を0.08重量%に代えた以外は実施例1と同様にして、ベルガモットの香り付き赤鉛筆芯を得た。含浸された含浸成分は、含浸する前の焼成芯体2の重量に対して約14.6重量%であった。
【0043】
以上、各実施例及び比較例の鉛筆芯について、通気のある25℃に設定された室内に放置して、所定期間(ア:直後、イ:2週間放置、ウ:1ヶ月放置)毎に取り出して、JIS S 6005の濃度測定で使用する画線機にて筆記し、無作為に選んだ50人のパネラーによって、画線直後の画線紙から芳香を感じられたとするパネラーの割合を百分率にして、各鉛筆芯の芳香性を比較した。各結果を表1に示す。
【0044】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼成芯体が有する気孔中に、少なくとも香料とポリビニルピロリドンを含有し、該ポリビニルピロリドンの香料に対する割合が0.1重量%以上3.0重量%以下である含浸成分を含浸した鉛筆芯。
【請求項2】
前記含浸成分に、両親媒性の環状オリゴ糖を含有し、該両親媒性の環状オリゴ糖の香料に対する割合が1.0重量%以上5.0重量%以下であることを特徴とする、請求項1記載の鉛筆芯。
【請求項3】
両親媒性の環状オリゴ糖がシクロデキストリンであることを特徴とする、請求項2記載の鉛筆芯。

【公開番号】特開2009−286973(P2009−286973A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143775(P2008−143775)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】