説明

銅微粒子分散体の製造方法

【課題】製造時の銅濃度が高く生産効率、コスト性に優れ、工業用規模での安定生産に適した銅微粒子分散体の製造方法を提供する。
【解決手段】a)R−N−(R)R(R、Rは水素原子又はメチル基、Rはアルキル基、芳香族基、フェニル基で置換されたメチル基又はエチル基を表す。)又はHN−(R)R(R、Rはアルキル基、芳香族基、フェニル基で置換されたメチル基又はエチル基を表す。)で示されるアミン類、(R)−HN−N−(R)R(R〜Rは水素原子又はアルキル基、芳香基、又は芳香族基で置換されたアルキル基を表す。)で示されるヒドラジン類、及び2価の銅化合物を混合する工程、b)a工程で得られた混合物に、水に溶解させた還元剤を添加し、銅微粒子を還元析出させる工程、並びにc)b工程で得られた混合物から、相分離した水相を除去する工程、とを含む製法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅微粒子分散体の製造方法に関する。
【0002】
本発明の方法によって製造された銅微粒子分散体は、エレクトロニクス分野で配線基板の回路パターン形成用材料である、導電性インク、導電性ペーストとして好適に用いることができる。
【背景技術】
【0003】
近年、インクジェット印刷法やスクリーン印刷法により所望のパターンを形成し、回路基板における配線等を形成するための導電性パターン形成用材料として、ナノサイズの銅の微粒子をインク化又はペースト化して用いることが注目を集めている。
【0004】
しかしながら、銅は酸化されやすく、ナノサイズの銅微粒子ではその傾向がさらに顕著となる。酸化された銅は著しく導電性が低下するため、銅微粒子をインク若しくはペーストとして用いるためには、分散性を維持しながら酸化を防止することが大きな課題となっている。
【0005】
このような課題を解決するため、銅微粒子の表面保護剤として、窒素原子を分子構造内に有する有機化合物を銅微粒子と共存させ、銅金属表面に吸着させ、銅微粒子と酸素や水との接触を妨げ酸化を防ぐと同時に、銅微粒子相互の凝集を防止し、分散性を保持する方法が検討されている。例えば、銅微粒子の表面保護剤として、ベンゾトリアゾールを利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に記載の方法では、ヒドラジンを還元剤として使用し、ベンゾトリアゾールの存在下、銅イオン溶液を還元することで、平均粒子径50nm程度の銅微粒子が得られている。しかしながら、この方法では、反応溶液の銅濃度が約2重量%以下と低いため、釜効率が悪く、工業用規模での生産には適していなかった。
【0007】
そこで、製造時の反応溶液中の銅濃度を高めた方法がさらに検討されている。例えば、反応溶媒である長鎖アルキルアミンに約5重量%程度の銅濃度で銅化合物を溶解させ、還元剤としてジメチルアミンボランを添加し、銅微粒子を得る方法(例えば、特許文献2参照)や、銅化合物を約10重量%程度の銅濃度でアミノ基含有置換アルコール類を含有する溶媒に溶解させ、ヒドラジンやヒドロキシルアミンにより還元することで銅微粒子を得る方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、一般的に長鎖アルキルアミンに対する銅化合物の溶解性が低いため、完全に溶解させるのに工業的でないほど時間がかかったり、別途加温が必要となるおそれがある。また、長鎖アルキルアミンの銅化合物溶解液は、常温での粘度が高く、工業用規模での生産では攪拌不良等のため、均一性が維持できない可能性があり、安定的に生産できないおそれがある。
【0009】
また、特許文献3に記載の方法においても、銅化合物を溶解させるには100℃以上の加熱が必要であり、ユーティリティーコストが増大し、工業的には不利である。
【0010】
また、特許文献2及び特許文献3に記載の方法において、銅微粒子分散体の精製については、いずれも貧溶媒を添加することで銅微粒子を沈降させ、単離後、再分散するプロセスが行われている。しかしながら、添加する貧溶媒は銅微粒子分散体に対して3〜10倍容量と膨大な量であり、釜効率を低下させる要因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−211108公報
【特許文献2】特開2007−197755公報
【特許文献3】特開2004−232012公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造時の銅濃度が高く生産効率、コスト性に優れ、工業用規模での安定生産に適した銅微粒子分散体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、銅微粒子分散体及びその製造方法について鋭意検討した結果、特定の工程からなる銅微粒子分散体の製造方法により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、以下に示すとおりの銅微粒子分散体の製造方法、銅微粒子分散体、銅微粒子、及びその製造方法、並びに導電性パターン形成用組成物に関するものである。
【0015】
[1]a)下記一般式(1)又は一般式(2)
【0016】
【化1】

[上記一般式(1)中、R、Rは各々独立して、水素原子、又はメチル基を表し、Rは炭素数6〜18の直鎖状アルキル基、炭素数8〜18の分岐状、又は環式のアルキル基、炭素数6〜10の芳香族基、炭素数1〜4のアルキル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数6〜10の芳香族基、フェニル基で水素が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表す。]
【0017】
【化2】

[上記一般式(2)中、R、Rは各々独立して、炭素数4〜12の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数6〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数6〜10の芳香族基、フェニル基で水素が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表す。]
で示されるアミン類、下記一般式(3)
【0018】
【化3】

[上記一般式(3)中、R〜Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、R〜Rが全て水素原子となることはない。]
で示されるヒドラジン類、及び2価の銅化合物を混合する工程、
b)上記a工程で得られた混合物に、水に溶解させた還元剤を添加し、銅微粒子を還元析出させる工程、並びに
c)上記b工程で得られた混合物から、相分離した水相を除去する工程、
を含む銅微粒子分散体の製造方法。
【0019】
[2]上記一般式(1)において、R、Rで表される置換基が各々独立して、水素原子、又はメチル基であり、Rで表される置換基がn−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−i−ブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基であることを特徴とする上記[1]に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0020】
[3]上記一般式(2)において、R、Rで表される置換基が各々独立して、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0021】
[4]上記一般式(1)又は一般式(2)で示されるアミン類が、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、アニリン、p−トルイジン、4−エチルアニリン、ベンジルアミン、2−フェニルエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−i−ペンチルアミン、ジ−neo−ペンチルアミン、ジ−t−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、及びジ−i−ヘキシルアミンからなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0022】
[5]上記一般式(3)において、R〜Rで表される置換基の少なくとも1種は水素原子であり、残りの置換基が各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜12の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基である(ただし、R1〜R3で表される置換基の全てが同時に水素原子となることはない。)ことを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0023】
[6]上記一般式(3)において、R〜Rで表される置換基の少なくとも1種は水素原子であり、残りの置換基が各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基である(ただし、R1〜R3全てが同時に水素原子となることはない。)ことを特徴とする上記[1]乃至[5]のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0024】
[7]上記一般式(3)で示されるヒドラジン類が、n−プロピルヒドラジン、i−プロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、n−ヘキシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、n−ヘプチルヒドラジン、n−オクチルヒドラジン、2−エチルヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、1,1−ジ−n−プロピルヒドラジン、1,1−ジ−i−プロピルヒドラジン、1,1−ジ−n−ブチルヒドラジン、1,1−ジ−t−ブチルヒドラジン、1,1−ジ−n−ペンチルドラジン、1,1−ジ−n−ヘキシルプロピルヒドラジン、1,1−ジシクロヘキシルヒドラジン、1,1−ジ−n−ヘプチルヒドラジン、1,1−ジ−n−オクチルヒドラジン、1,1−ジ−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1,1−ジフェニルヒドラジン、1,1−ジベンジルヒドラジン、1,2−ジ−n−プロピルヒドラジン、1,2−ジ−i−プロピルヒドラジン、1,2−ジ−n−ブチルヒドラジン、1,2−ジ−t−ブチルヒドラジン、1,2−ジ−n−ペンチルドラジン、1,2−ジ−n−ヘキシルプロピルヒドラジン、1,2−ジシクロヘキシルヒドラジン、1,2−ジ−n−ヘプチルヒドラジン、1,2−ジ−n−オクチルヒドラジン、1,2−ジ−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1,2−ジフェニルヒドラジン、及び1,2−ジベンジルヒドラジンからなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする上記[1]乃至[6]のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0025】
[8]2価の銅化合物が、銅酸化物、銅水酸化物、銅ハロゲン化物、銅無機酸塩、銅有機酸塩及び銅キレート錯体からなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする上記[1]乃至[7]のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0026】
[9]2価の銅化合物が、酸化銅、水酸化銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅、ギ酸銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、イソ酪酸銅、吉草酸銅、イソ吉草酸銅、ピバリン酸銅、シュウ酸銅、マロン酸銅、安息香酸銅、クエン酸銅、及びアセチルアセトナト銅からなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする[1]乃至[8]のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0027】
[10]b工程で使用する還元剤が、ヒドラジン、ナトリウムハイドロホスフェート、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライド、ナトリウムボロハイドライド、カリウムボロハイドライド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、ヒドロキシアセトン、及びヒドロキシルアミンからなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする上記[1]乃至[9]のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0028】
[11]銅微粒子分散体に含まれる銅微粒子の平均粒子径が1〜100nmの範囲であることを特徴とする上記[1]乃至[10]のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0029】
[12]さらに、銅微粒子の酸化を抑制する表面保護剤を添加する工程を含むことを特徴とする[1]乃至[11]のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0030】
[13]表面保護剤が、ポリヒドラゾン化合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、及びポリエチレンオキシドからなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする上記[12]に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0031】
[14]表面保護剤が、ポリ(プロペンアルデヒドヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2,2−ジメチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンフェニルヒドラゾン)、及びポリ(メチルイソプロペニルケトン−2,2−ジメチルヒドラゾン)からなる群より選ばれる一種又は二種以上のポリヒドラゾン化合物であることを特徴とする上記[12]又は[13]に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【0032】
[15]上記[1]乃至[14]のいずれかに記載の方法により得られる銅微粒子分散体であって、銅微粒子分散体に含まれる銅微粒子の平均粒子径が1〜100nmの範囲であることを特徴とする銅微粒子分散体。
【0033】
[16]上記[1]乃至[14]のいずれかに記載の方法により得られる銅微粒子分散体から、分離操作により銅微粒子を分離することを特徴とする銅微粒子の製造方法。
【0034】
[17]分離操作が、濾過、遠心分離、又は銅微粒子以外の成分の留去であることを特徴とする上記[16]に記載の銅微粒子の製造方法。
【0035】
[18]上記[16]又は[17]に記載の方法により得られる銅微粒子であって、その平均粒子径が1〜100nmの範囲であることを特徴とする銅微粒子。
【発明の効果】
【0036】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法によれば、上記アミン類とヒドラジン類との混合物に銅イオンが、高濃度に溶解可能なため、製造時の銅濃度を高くすることができ、工業規模において効率的な生産が行うことができる。
【0037】
また、銅イオンが上記アミン類とヒドラジン類の混合物に溶解した溶液は、粘度が低く、均一性に優れるため、再現性良く安定生産が可能である。
【0038】
また、銅微粒子分散体の精製に関しては、反応終了後、相分離した還元剤残渣を含む水相を除去するのみで不純物を除去可能であり、釜効率に優れ、作業工数が少ないため、コスト性に優れる。
【0039】
また、本発明の銅微粒子分散体の製造方法は、高温、高圧、高真空等の特別な反応装置の設置が必要なく、設備投資及び、ユーティリティコスト低減が図れる。
【0040】
さらに、本発明の銅微粒子分散体の製造方法は、低価格で入手、製造可能なヒドラジン類、銅前駆体、還元剤を原料として利用しているため、コスト性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
【0042】
本発明は、次の工程を含む銅微粒子分散体の製造方法である。
a)上記一般式(1)又は一般式(2)で示されるアミン類、上記一般式(3)で示されるヒドラジン類、及び2価の銅化合物を混合する工程(以下、a工程と称する。)、
b)上記a工程で得られた混合物に、水に溶解させた還元剤を添加し、銅微粒子を還元析出させる工程(以下、b工程と称する。)、並びに
c)上記b工程で得られた混合物から、相分離した水相を除去する工程(以下、c工程と称する。)。
【0043】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程で使用するアミン類とは、上記一般式(1)又は一般式(2)で示される化合物である。本発明において、上記a工程では、上記一般式(1)又は一般式(2)で示される化合物を単独で使用、又は二種以上を併用することができる。
【0044】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程で使用する上記一般式(1)又は一般式(2)で示されるアミン類としては、特に限定するものではないが、ヒドラジン類、及び/又は2価の銅化合物の溶解度、さらには導電性パターン形成用組成物とした際の除去性を考慮すると、上記一般式(1)において、置換基R、Rが各々独立して、水素原子、又はメチル基であり、置換基Rがn−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−i−ブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基であることが好ましい。また、上記一般式(2)において、置換基R、Rが各々独立して、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基であることが好ましい。
【0045】
上記一般式(1)において、置換基R、Rが共に水素原子であるアミン類としては、具体的には、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、アニリン、p−トルイジン、4−エチルアニリン、4−n−プロピルアニリン、4−i−プロピルアニリン、4−n−ブチルアニリン、4−i−ブチルアニリン、4−sec−ブチルアニリン、4−t−ブチルアニリン、ベンジルアミン、2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0046】
また上記一般式(1)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがメチル基であるアミン類としては、具体的には、N−メチル−n−オクチルアミン、N−メチル−2−エチルヘキシルアミン、N−メチル−n−ノニルアミン、N−メチル−n−デシルアミン、N−メチル−n−ウンデシルアミン、N−メチル−n−ドデシルアミン、N−メチル−n−トリデシルアミン、N−メチル−n−テトラデシルアミン、N−メチル−n−ペンタデシルアミン、N−メチル−n−ヘキサデシルアミン、N−メチル−n−ヘプタデシルアミン、N−メチル−n−オクタデシルアミン、N−メチル−アニリン、N−メチル−p−トルイジン、N−メチル−4−エチルアニリン、N−メチル−4−n−プロピルアニリン、N−メチル−4−i−プロピルアニリン、N−メチル−4−n−ブチルアニリン、N−メチル−4−i−ブチルアニリン、N−メチル−4−sec−ブチルアニリン、N−メチル−4−t−ブチルアニリン、N−メチル−ベンジルアミン、N−メチル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0047】
また上記一般式(1)において、置換基R、Rが共にメチル基であるアミン類としては、具体的には、N,N−ジメチル−n−オクチルアミン、N,N−ジメチル−2−エチルヘキシルアミン、N,N−ジメチル−n−ノニルアミン、N,N−ジメチル−n−デシルアミン、N,N−ジメチル−n−ウンデシルアミン、N,N−ジメチル−n−ドデシルアミン、N,N−ジメチル−n−トリデシルアミン、N,N−ジメチル−n−テトラデシルアミン、N,N−ジメチル−n−ペンタデシルアミン、N,N−ジメチル−n−ヘキサデシルアミン、N,N−ジメチル−n−ヘプタデシルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチル−アニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−n−プロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−i−プロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−n−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−4−i−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−4−sec−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−ベンジルアミン、N,N−ジメチル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0048】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−ブチル基であるアミン類としては、ジ−n−ブチルアミン、N−n−ブチル−i−ブチルアミン、N−n−ブチル−sec−ブチルアミン、N−n−ブチル−t−ブチルアミン、N−n−ブチル−n−ペンチルアミン、N−n−ブチル−i−ペンチルアミン、N−n−ブチル−neo−ペンチルアミン、N−n−ブチル−t−ペンチルアミン、N−n−ブチル−n−ヘキシルアミン、N−n−ブチル−i−ヘキシルアミン、N−n−ブチル−n−ヘプチルアミン、N−n−ブチル−n−オクチルアミン、N−n−ブチル−2−エチルヘキシルアミン、N−n−ブチル−n−ノニルアミン、N−n−ブチル−n−デシルアミン、N−n−ブチル−n−ウンデシルアミン、N−n−ブチル−n−ドデシルアミン、N−n−ブチルアニリン、N−n−ブチル−p−トルイジン、N−n−ブチルベンジルアミン、N−n−ブチル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0049】
また上記一般式(2)において、置換基Rがi−ブチル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−i−ブチルアミン、N−i−ブチル−sec−ブチルアミン、N−i−ブチル−t−ブチルアミン、N−i−ブチル−n−ペンチルアミン、N−i−ブチル−i−ペンチルアミン、N−i−ブチル−neo−ペンチルアミン、N−i−ブチル−t−ペンチルアミン、N−i−ブチル−n−ヘキシルアミン、N−i−ブチル−i−ヘキシルアミン、N−i−ブチル−n−ヘプチルアミン、N−i−ブチル−n−オクチルアミン、N−i−ブチル−2−エチルヘキシルアミン、N−i−ブチル−n−ノニルアミン、N−i−ブチル−n−デシルアミン、N−i−ブチル−n−ウンデシルアミン、N−i−ブチル−n−ドデシルアミン、N−i−ブチルアニリン、N−i−ブチル−p−トルイジン、N−i−ブチルベンジルアミン、N−i−ブチル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0050】
また上記一般式(2)において、置換基Rがsec−ブチル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−sec−ブチルアミン、N−sec−ブチル−t−ブチルアミン、N−sec−ブチル−n−ペンチルアミン、N−sec−ブチル−i−ペンチルアミン、N−sec−ブチル−neo−ペンチルアミン、N−sec−ブチル−t−ペンチルアミン、N−sec−ブチル−n−ヘキシルアミン、N−sec−ブチル−i−ヘキシルアミン、N−sec−ブチル−n−ヘプチルアミン、N−sec−ブチル−n−オクチルアミン、N−sec−ブチル−2−エチルヘキシルアミン、N−sec−ブチル−n−ノニルアミン、N−sec−ブチル−n−デシルアミン、N−sec−ブチル−n−ウンデシルアミン、N−sec−ブチル−n−ドデシルアミン、N−sec−ブチルアニリン、N−sec−ブチル−p−トルイジン、N−sec−ブチルベンジルアミン、N−sec−ブチル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0051】
また上記一般式(2)において、置換基Rがt−ブチル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−t−ブチルアミン、N−t−ブチル−n−ペンチルアミン、N−t−ブチル−i−ペンチルアミン、N−t−ブチル−neo−ペンチルアミン、N−t−ブチル−t−ペンチルアミン、N−t−ブチル−n−ヘキシルアミン、N−t−ブチル−i−ヘキシルアミン、N−t−ブチル−n−ヘプチルアミン、N−t−ブチル−n−オクチルアミン、N−t−ブチル−2−エチルヘキシルアミン、N−t−ブチル−n−ノニルアミン、N−t−ブチル−n−デシルアミン、N−t−ブチル−n−ウンデシルアミン、N−t−ブチル−n−ドデシルアミン、N−t−ブチルアニリン、N−t−ブチル−p−トルイジン、N−t−ブチルベンジルアミン、N−t−ブチル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0052】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−ペンチル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−n−ペンチルアミン、N−n−ペンチル−i−ペンチルアミン、N−n−ペンチル−neo−ペンチルアミン、N−n−ペンチル−t−ペンチルアミン、N−n−ペンチル−n−ヘキシルアミン、N−n−ペンチル−i−ヘキシルアミン、N−n−ペンチル−n−ヘプチルアミン、N−n−ペンチル−n−オクチルアミン、N−n−ペンチル−2−エチルヘキシルアミン、N−n−ペンチル−n−ノニルアミン、N−n−ペンチル−n−デシルアミン、N−n−ペンチル−n−ウンデシルアミン、N−n−ペンチル−n−ドデシルアミン、N−n−ペンチルアニリン、N−n−ペンチル−p−トルイジン、N−n−ペンチルベンジルアミン、又はN−n−ペンチル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0053】
また上記一般式(2)において、置換基Rがi−ペンチル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−i−ペンチルアミン、N−i−ペンチル−neo−ペンチルアミン、N−i−ペンチル−t−ペンチルアミン、N−i−ペンチル−n−ヘキシルアミン、N−i−ペンチル−i−ヘキシルアミン、N−i−ペンチル−n−ヘプチルアミン、N−i−ペンチル−n−オクチルアミン、N−i−ペンチル−2−エチルヘキシルアミン、N−i−ペンチル−n−ノニルアミン、N−i−ペンチル−n−デシルアミン、N−i−ペンチル−n−ウンデシルアミン、N−i−ペンチル−n−ドデシルアミン、N−i−ペンチルアニリン、N−i−ペンチル−p−トルイジン、N−i−ペンチルベンジルアミン、N−i−ペンチル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0054】
また上記一般式(2)において、置換基Rがneo−ペンチル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−neo−ペンチルアミン、N−neo−ペンチル−t−ペンチルアミン、N−neo−ペンチル−n−ヘキシルアミン、N−neo−ペンチル−i−ヘキシルアミン、N−neo−ペンチル−n−ヘプチルアミン、N−neo−ペンチル−n−オクチルアミン、N−neo−ペンチル−2−エチルヘキシルアミン、N−neo−ペンチル−n−ノニルアミン、N−neo−ペンチル−n−デシルアミン、N−neo−ペンチル−n−ウンデシルアミン、N−neo−ペンチル−n−ドデシルアミン、N−neo−ペンチルアニリン、N−neo−ペンチル−p−トルイジン、N−neo−ペンチルベンジルアミン、N−neo−ペンチル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0055】
また上記一般式(2)において、置換基Rがt−ペンチル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−t−ペンチルアミン、N−t−ペンチル−n−ヘキシルアミン、N−t−ペンチル−i−ヘキシルアミン、N−t−ペンチル−n−ヘプチルアミン、N−t−ペンチル−n−オクチルアミン、N−t−ペンチル−2−エチルヘキシルアミン、N−t−ペンチル−n−ノニルアミン、N−t−ペンチル−n−デシルアミン、N−t−ペンチル−n−ウンデシルアミン、N−t−ペンチル−n−ドデシルアミン、N−t−ペンチルアニリン、N−t−ペンチル−p−トルイジン、N−t−ペンチルベンジルアミン、N−t−ペンチル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0056】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−ヘキシル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−n−ヘキシルアミン、N−n−ヘキシル−i−ヘキシルアミン、N−n−ヘキシル−n−ヘプチルアミン、N−n−ヘキシル−n−オクチルアミン、N−n−ヘキシル−2−エチルヘキシルアミン、N−n−ヘキシル−n−ノニルアミン、N−n−ヘキシル−n−デシルアミン、N−n−ヘキシル−n−ウンデシルアミン、N−n−ヘキシル−n−ドデシルアミン、N−n−ヘキシルアニリン、N−n−ヘキシル−p−トルイジン、N−n−ヘキシルベンジルアミン、N−n−ヘキシル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0057】
また上記一般式(2)において、置換基Rがi−ヘキシル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−i−ヘキシルアミン、N−i−ヘキシル−n−ヘプチルアミン、N−i−ヘキシル−n−オクチルアミン、N−i−ヘキシル−2−エチルヘキシルアミン、N−i−ヘキシル−n−ノニルアミン、N−i−ヘキシル−n−デシルアミン、N−i−ヘキシル−n−ウンデシルアミン、N−i−ヘキシル−n−ドデシルアミン、N−i−ヘキシルアニリン、N−i−ヘキシル−p−トルイジン、N−i−ヘキシルベンジルアミン、N−i−ヘキシル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0058】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−ヘプチル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−n−ヘプチルアミン、N−n−ヘプチル−n−オクチルアミン、N−n−ヘプチル−2−エチルヘキシルアミン、N−n−ヘプチル−n−ノニルアミン、N−n−ヘプチル−n−デシルアミン、N−n−ヘプチル−n−ウンデシルアミン、N−n−ヘプチル−n−ドデシルアミン、N−n−ヘプチルアニリン、N−n−ヘプチル−p−トルイジン、N−n−ヘプチルベンジルアミン、N−n−ヘプチル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0059】
また上記一般式(2)において、置換基Rがn−オクチル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−n−オクチルアミン、N−n−オクチル−2−エチルヘキシルアミン、N−n−オクチル−n−ノニルアミン、N−n−オクチル−n−デシルアミン、N−n−オクチル−n−ウンデシルアミン、N−n−オクチル−n−ドデシルアミン、N−n−オクチルアニリン、N−n−オクチル−p−トルイジン、N−n−オクチルベンジルアミン、N−n−オクチル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0060】
また上記一般式(2)において、置換基Rが2−エチルヘキシル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−2−エチルヘキシルアミン、N−2−エチルヘキシル−n−ノニルアミン、N−2−エチルヘキシル−n−デシルアミン、N−2−エチルヘキシル−n−ウンデシルアミン、N−2−エチルヘキシル−n−ドデシルアミン、N−2−エチルヘキシルアニリン、N−2−エチルヘキシル−p−トルイジン、N−2−エチルヘキシルベンジルアミン、N−2−エチルヘキシル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0061】
また上記一般式(2)において、置換基Rがノニル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−n−ノニルアミン、N−ノニル−n−デシルアミン、N−ノニル−n−ウンデシルアミン、N−ノニル−n−ドデシルアミン、N−ノニルアニリン、N−ノニル−p−トルイジン、N−ノニルベンジルアミン、又はN−ノニル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0062】
また上記一般式(2)において、置換基Rがデシル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−n−デシルアミン、N−デシル−n−ウンデシルアミン、N−デシル−n−ドデシルアミン、N−デシルアニリン、N−デシル−p−トルイジン、N−デシルベンジルアミン、N−デシル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0063】
また上記一般式(2)において、置換基Rがウンデシル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−n−ウンデシルアミン、N−ウンデシル−n−ドデシルアミン、N−ウンデシルアニリン、N−ウンデシル−p−トルイジン、N−ウンデシルベンジルアミン、又はN−ウンデシル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0064】
また上記一般式(2)において、置換基Rがドデシル基であるアミン類としては、具体的には、ジ−n−ドデシルアミン、N−ドデシルアニリン、N−ドデシル−p−トルイジン、N−ドデシルベンジルアミン、N−ドデシル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0065】
また上記一般式(2)において、置換基Rがフェニル基であるアミン類としては、具体的には、ジフェニルアミン、N−フェニル−p−トルイジン、N−フェニルベンジルアミン、N−フェニル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0066】
また上記一般式(2)において、置換基Rが4−メチルフェニル基であるアミン類としては、具体的には、N−4−メチルフェニル−p−トルイジン、N−4−メチルフェニルベンジルアミン、N−4−メチルフェニル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0067】
また上記一般式(2)において、置換基Rがベンジル基である上記アミン類としては、具体的には、ジベンジルアミン、N−ベンジル−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0068】
そして、上記一般式(2)において、置換基Rが2−フェニルエチル基である上記アミン類としては、具体的には、ジ−2−フェニルエチルアミン等が例示される。
【0069】
これらのアミン類のうち、上記一般式(1)における置換基R〜Rの炭素数の総和、及び上記一般式(2)における置換基R、Rの炭素数の総和は、芳香族基を含まない場合は各々13未満のもの、芳香族基を含む場合は各々9未満のものが好ましい。炭素数の総和が、芳香族基を含まない場合において各々13以上、芳香族基を含む場合において各々9以上であると、上記アミン類の沸点が高くなり、銅微粒子分散体の調製後における濃縮作業等において作業性が低下したり、銅微粒子分散体を導電性パターン形成用組成物として使用した場合に、蒸発、気散することができずに銅薄膜中に残存し、金属銅としての純度や、形成した銅薄膜の導電性に悪影響を与えるおそれがある。さらに製造又は入手のコストを考慮すると、これらのアミン類のうち、上記一般式(1)において、置換基R〜Rのうち2種が水素原子であること、上記一般式(2)において、置換基R、Rは同一の置換基であることが好ましい。
【0070】
以上の点を考慮すると、本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程で使用するアミン類としては、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、アニリン、p−トルイジン、4−エチルアニリン、ベンジルアミン、2−フェニルエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−i−ペンチルアミン、ジ−neo−ペンチルアミン、ジ−t−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、及びジ−i−ヘキシルアミンからなる群の中より選ばれる一種又は二種以上の化合物がさらに好ましい。
【0071】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法におけるa工程において、本発明の趣旨に反しない程度であれば、上記した以外のアミン類を含んでいても差し支えない。
【0072】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、上記一般式(1)又は一般式(2)で示されるアミン類は市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよく、特に限定されない。
【0073】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、上記一般式(1)又は一般式(2)で示されるアミン類の純度については、特に限定するものではないが、電子材料分野での使用を考慮すると、95%以上が好ましく、99%以上がさらに好ましい。
【0074】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程で使用する上記一般式(3)で示されるヒドラジン類としては、特に限定するものではないが、上記アミン類への溶解度、2価の銅化合物の溶解度、さらには導電性パターン形成用組成物とした際の除去性を考慮すると、上記一般式(3)において、置換基R〜Rの少なくとも1種は水素原子であり、残りの置換基が各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜12の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基である(ただし、R〜Rで表される置換基の全てが同時に水素原子となることはない。)ことが好ましい。また、上記一般式(3)において、置換基R〜Rの少なくとも1種は水素原子であり、残りの置換基が各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基である(ただし、R〜R全てが同時に水素原子となることはない。)ことがさらに好ましい。
【0075】
上記一般式(3)において、置換基R、Rが共に水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、i−プロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、i−ブチルヒドラジン、sec−ブチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、i−ペンチルヒドラジン、neo−ペンチルヒドラジン、t−ペンチルヒドラジン、n−ヘキシルヒドラジン、i−ヘキシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、n−ヘプチルヒドラジン、n−オクチルヒドラジン、2−エチルヘキシルヒドラジン、n−ノニルヒドラジン、n−デシルヒドラジン、n−ウンデシルヒドラジン、n−ドデシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、4−メチルフェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、2−フェニルエチルヒドラジン等が例示される。
【0076】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがメチル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジメチルヒドラジン、1−メチル−1−エチルヒドラジン、1−メチル−1−n−プロピルヒドラジン、1−メチル−1−i−プロピルヒドラジン、1−メチル−1−n−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−i−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−メチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−メチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−メチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−メチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−メチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−メチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−メチル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−メチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−メチル−1−n−デシルヒドラジン、1−メチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−メチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−メチル−1−フェニルヒドラジン、1−メチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−メチル−1−ベンジルヒドラジン、1−メチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0077】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがエチル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジエチルヒドラジン、1−エチル−1−n−プロピルヒドラジン、1−エチル−1−i−プロピルヒドラジン、1−エチル−1−n−ブチルヒドラジン、1−エチル−1−i−ブチルヒドラジン、1−エチル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−エチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−エチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−エチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−エチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−エチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−エチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−エチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−エチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−エチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−エチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−エチル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−エチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−エチル−1−n−デシルヒドラジン、1−エチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−エチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−エチル−1−フェニルヒドラジン、1−エチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−エチル−1−ベンジルヒドラジン、1−エチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0078】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがn−プロピル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−n−プロピルヒドラジン、1−n−プロピル−1−i−プロピルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ブチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−i−ブチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−t−ブチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−プロピル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−プロピル−1−フェニルヒドラジン、1−n−プロピル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−プロピル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−プロピル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0079】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがi−プロピル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−i−プロピルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ブチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−i−ブチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−t−ブチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−オクチルヒドラジン、1−i−プロピル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ノニルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−デシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−i−プロピル−1−フェニルヒドラジン、1−i−プロピル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−i−プロピル−1−ベンジルヒドラジン、1−i−プロピル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0080】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがn−ブチル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−n−ブチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−i−ブチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−ブチル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ブチル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ブチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ブチル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ブチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0081】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがi−ブチル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−i−ブチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−sec−ブチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−i−ブチル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−デシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−i−ブチル−1−フェニルヒドラジン、1−i−ブチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−i−ブチル−1−ベンジルヒドラジン、1−i−ブチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0082】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがsec−ブチル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−sec−ブチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−t−ブチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−デシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−フェニルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−ベンジルヒドラジン、1−sec−ブチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0083】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがt−ブチル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−t−ブチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ペンチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−t−ブチル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−デシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−t−ブチル−1−フェニルヒドラジン、1−t−ブチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−t−ブチル−1−ベンジルヒドラジン、1−t−ブチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0084】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがn−ペンチル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−n−ペンチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−i−ペンチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ペンチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0085】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがi−ペンチル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−i−ペンチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−neo−ペンチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−デシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−フェニルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−ベンジルヒドラジン、1−i−ペンチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0086】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがneo−ペンチル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−neo−ペンチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−t−ペンチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−デシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−フェニルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−ベンジルヒドラジン、1−neo−ペンチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0087】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがt−ペンチル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−t−ペンチルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ヘキシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−デシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−フェニルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−ベンジルヒドラジン、1−t−ペンチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0088】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがn−ヘキシル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0089】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがi−ヘキシル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−i−ヘキシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−シクロヘキシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−ノニルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−デシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−フェニルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−ベンジルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0090】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがシクロヘキシル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジシクロヘキシルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−n−ヘプチルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−n−オクチルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−n−ノニルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−n−デシルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−フェニルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−シクロヘキシル−1−ベンジルヒドラジン、1−i−ヘキシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0091】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがn−ヘプチル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−オクチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ヘプチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0092】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがn−オクチル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−n−オクチルヒドラジン、1−n−オクチル−1−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−n−オクチル−1−n−ノニルヒドラジン、1−n−オクチル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−オクチル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−オクチル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−オクチル−1−フェニルヒドラジン、1−n−オクチル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−オクチル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−オクチル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0093】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rが2−エチルヘキシル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ビス−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−1−n−ノニルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−1−n−デシルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−1−n−ドデシルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−1−フェニルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−1−ベンジルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0094】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがn−ノニル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−n−ノニルヒドラジン、1−n−ノニル−1−n−デシルヒドラジン、1−n−ノニル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ノニル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ノニル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ノニル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ノニル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ノニル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0095】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがn−デシル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−n−デシルヒドラジン、1−n−デシル−1−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−デシル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−デシル−1−フェニルヒドラジン、1−n−デシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−デシル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−デシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0096】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがn−ウンデシル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ウンデシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0097】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがn−ドデシル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジ−n−ドデシルヒドラジン、1−n−ドデシル−1−フェニルヒドラジン、1−n−ドデシル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−n−ドデシル−1−ベンジルヒドラジン、1−n−ドデシル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0098】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがフェニル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジフェニルヒドラジン、1−フェニル−1−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−フェニル−1−ベンジルヒドラジン、1−フェニル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0099】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rが(4−メチル)フェニル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ビス−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−1−ベンジルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0100】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rがベンジル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジベンジルヒドラジン、1−ベンジル−1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0101】
また上記一般式(3)において、置換基Rが水素原子、置換基Rが2−フェニルエチル基であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ビス−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0102】
また上記一般式(3)において、置換基Rがメチル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジメチルヒドラジン、1−エチル−2−メチルヒドラジン、1−n−プロピル−2−メチルヒドラジン、1−i−プロピル−2−メチルヒドラジン、1−n−ブチル−2−メチルヒドラジン、1−i−ブチル−2−メチルヒドラジン、1−sec−ブチル−2−メチルヒドラジン、1−t−ブチル−2−メチルヒドラジン、1−n−ペンチル−2−メチルヒドラジン、1−i−ペンチル−2−メチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−2−メチルヒドラジン、1−t−ペンチル−2−メチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−2−メチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−2−メチルヒドラジン、1−シクロヘキシル−2−メチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−メチルヒドラジン、1−n−オクチル−2−メチルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−メチルヒドラジン、1−n−ノニル−2−メチルヒドラジン、1−n−デシル−2−メチルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−メチルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−メチルヒドラジン、1−フェニル−2−メチルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−メチルヒドラジン、1−ベンジル−2−メチルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−メチルヒドラジン等が例示される。
【0103】
また上記一般式(3)において、置換基Rがエチル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジエチルヒドラジン、1−n−プロピル−2−エチルヒドラジン、1−i−プロピル−2−エチルヒドラジン、1−n−ブチル−2−エチルヒドラジン、1−i−ブチル−2−エチルヒドラジン、1−sec−ブチル−2−エチルヒドラジン、1−t−ブチル−2−エチルヒドラジン、1−n−ペンチル−2−エチルヒドラジン、1−i−ペンチル−2−エチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−2−エチルヒドラジン、1−t−ペンチル−2−エチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−2−エチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−2−エチルヒドラジン、1−シクロヘキシル−2−エチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−エチルヒドラジン、1−n−オクチル−2−エチルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−エチルヒドラジン、1−n−ノニル−2−エチルヒドラジン、1−n−デシル−2−エチルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−エチルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−エチルヒドラジン、1−フェニル−2−エチルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−エチルヒドラジン、1−ベンジル−2−エチルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−エチルヒドラジン等が例示される。
【0104】
また上記一般式(3)において、置換基Rがn−プロピル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−n−プロピルヒドラジン、1−i−プロピル−2−n−プロピルヒドラジン、1−n−ブチル−2−n−プロピルヒドラジン、1−i−ブチル−2−n−プロピルヒドラジン、1−sec−ブチル−2−n−プロピルヒドラジン、1−t−ブチル−2−n−プロピルヒドラジン、1−n−ペンチル−2−n−プロピルヒドラジン、1−i−ペンチル−2−n−プロピルヒドラジン、1−neo−ペンチル−2−n−プロピルヒドラジン、1−t−ペンチル−2−n−プロピルヒドラジン、1−n−ヘキシル−2−n−プロピルヒドラジン、1−i−ヘキシル−2−n−プロピルヒドラジン、1−シクロヘキシル−2−n−プロピルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−n−プロピルヒドラジン、1−n−オクチル−2−n−プロピルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−n−プロピルヒドラジン、1−n−ノニル−2−n−プロピルヒドラジン、1−n−デシル−2−n−プロピルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−n−プロピルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−n−プロピルヒドラジン、1−フェニル−2−n−プロピルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−n−プロピルヒドラジン、1−ベンジル−2−n−プロピルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−n−プロピルヒドラジン等が例示される。
【0105】
また上記一般式(3)において、置換基Rがi−プロピル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−i−プロピルヒドラジン、1−n−ブチル−2−i−プロピルヒドラジン、1−i−ブチル−2−i−プロピルヒドラジン、1−sec−ブチル−2−i−プロピルヒドラジン、1−t−ブチル−2−i−プロピルヒドラジン、1−n−ペンチル−2−i−プロピルヒドラジン、1−i−ペンチル−2−i−プロピルヒドラジン、1−neo−ペンチル−2−i−プロピルヒドラジン、1−t−ペンチル−2−i−プロピルヒドラジン、1−n−ヘキシル−2−i−プロピルヒドラジン、1−i−ヘキシル−2−i−プロピルヒドラジン、1−シクロヘキシル−2−i−プロピルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−i−プロピルヒドラジン、1−n−オクチル−2−i−プロピルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−i−プロピルヒドラジン、1−n−ノニル−2−i−プロピルヒドラジン、1−n−デシル−2−i−プロピルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−i−プロピルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−i−プロピルヒドラジン、1−フェニル−2−i−プロピルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−i−プロピルヒドラジン、1−ベンジル−2−i−プロピルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−i−プロピルヒドラジン等が例示される。
【0106】
また上記一般式(3)において、置換基Rがn−ブチル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−n−ブチルヒドラジン、1−i−ブチル−2−n−ブチルヒドラジン、1−sec−ブチル−2−n−ブチルヒドラジン、1−t−ブチル−2−n−ブチルヒドラジン、1−n−ペンチル−2−n−ブチルヒドラジン、1−i−ペンチル−2−n−ブチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−2−n−ブチルヒドラジン、1−t−ペンチル−2−n−ブチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−2−n−ブチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−2−n−ブチルヒドラジン、1−シクロヘキシル−2−n−ブチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−n−ブチルヒドラジン、1−n−オクチル−2−n−ブチルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−n−ブチルヒドラジン、1−n−ノニル−2−n−ブチルヒドラジン、1−n−デシル−2−n−ブチルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−n−ブチルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−n−ブチルヒドラジン、1−フェニル−2−n−ブチルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−n−ブチルヒドラジン、1−ベンジル−2−n−ブチルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−n−ブチルヒドラジン等が例示される。
【0107】
また上記一般式(3)において、置換基Rがi−ブチル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−i−ブチルヒドラジン、1−sec−ブチル−2−i−ブチルヒドラジン、1−t−ブチル−2−i−ブチルヒドラジン、1−n−ペンチル−2−i−ブチルヒドラジン、1−i−ペンチル−2−i−ブチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−2−i−ブチルヒドラジン、1−t−ペンチル−2−i−ブチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−2−i−ブチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−2−i−ブチルヒドラジン、1−シクロヘキシル−2−i−ブチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−i−ブチルヒドラジン、1−n−オクチル−2−i−ブチルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−i−ブチルヒドラジン、1−n−ノニル−2−i−ブチルヒドラジン、1−n−デシル−2−i−ブチルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−i−ブチルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−i−ブチルヒドラジン、1−フェニル−2−i−ブチルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−i−ブチルヒドラジン、1−ベンジル−2−i−ブチルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−i−ブチルヒドラジン等が例示される。
【0108】
また上記一般式(3)において、置換基Rがsec−ブチル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−sec−ブチルヒドラジン、1−t−ブチル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−n−ペンチル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−i−ペンチル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−t−ペンチル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−シクロヘキシル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−n−オクチル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−sec−ブチルヒドラジン、1−n−ノニル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−n−デシル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−フェニル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−ベンジル−2−sec−ブチルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−sec−ブチルヒドラジン等が例示される。
【0109】
また上記一般式(3)において、置換基Rがt−ブチル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−t−ブチルヒドラジン、1−n−ペンチル−2−t−ブチルヒドラジン、1−i−ペンチル−2−t−ブチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−2−t−ブチルヒドラジン、1−t−ペンチル−2−t−ブチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−2−t−ブチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−2−t−ブチルヒドラジン、1−シクロヘキシル−2−t−ブチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−t−ブチルヒドラジン、1−n−オクチル−2−t−ブチルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−t−ブチルヒドラジン、1−n−ノニル−2−t−ブチルヒドラジン、1−n−デシル−2−t−ブチルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−t−ブチルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−t−ブチルヒドラジン、1−フェニル−2−t−ブチルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−t−ブチルヒドラジン、1−ベンジル−2−t−ブチルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−t−ブチルヒドラジン等が例示される。
【0110】
また上記一般式(3)において、置換基Rがn−ペンチル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−n−ペンチルヒドラジン、1−i−ペンチル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−t−ペンチル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−シクロヘキシル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−n−オクチル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−n−ペンチルヒドラジン、1−n−ノニル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−n−デシル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−フェニル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−ベンジル−2−n−ペンチルヒドラジン、1−(2−フェニル)−2−n−ペンチルエチルヒドラジン等が例示される。
【0111】
また上記一般式(3)において、置換基Rがi−ペンチル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−i−ペンチルヒドラジン、1−neo−ペンチル−2−i−ペンチルヒドラジン、1−t−ペンチル−2−i−ペンチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−2−i−ペンチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−2−i−ペンチルヒドラジン、1−シクロヘキシル−2−i−ペンチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−i−ペンチルヒドラジン、1−n−オクチル−2−i−ペンチルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−i−ペンチルヒドラジン、1−n−ノニル−2−i−ペンチルヒドラジン、1−n−デシル−2−i−ペンチルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−i−ペンチルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−i−ペンチルヒドラジン、1−フェニル−2−i−ペンチルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−i−ペンチルヒドラジン、1−ベンジル−2−i−ペンチルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−i−ペンチルヒドラジン等が例示される。
【0112】
また上記一般式(3)において、置換基Rがneo−ペンチル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−neo−ペンチルヒドラジン、1−t−ペンチル−2−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−2−neo−ペンチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−2−neo−ペンチルヒドラジン、1−シクロヘキシル−2−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−オクチル−2−neo−ペンチルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−ノニル−2−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−デシル−2−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−neo−ペンチルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−neo−ペンチルヒドラジン、1−フェニル−2−neo−ペンチルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−neo−ペンチルヒドラジン、1−ベンジル−2−neo−ペンチルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−neo−ペンチルヒドラジン等が例示される。
【0113】
また上記一般式(3)において、置換基Rがt−ペンチル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−t−ペンチルヒドラジン、1−n−ヘキシル−2−t−ペンチルヒドラジン、1−i−ヘキシル−2−t−ペンチルヒドラジン、1−シクロヘキシル−2−t−ペンチルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−t−ペンチルヒドラジン、1−n−オクチル−2−t−ペンチルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−t−ペンチルヒドラジン、1−n−ノニル−2−t−ペンチルヒドラジン、1−n−デシル−2−t−ペンチルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−t−ペンチルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−t−ペンチルヒドラジン、1−フェニル−2−t−ペンチルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−t−ペンチルヒドラジン、1−ベンジル−2−t−ペンチルヒドラジン、1−(2−フェニル)−2−t−ペンチルエチルヒドラジン等が例示される。
【0114】
また上記一般式(3)において、置換基Rがn−ヘキシル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−n−ヘキシルヒドラジン、1−i−ヘキシル−2−n−ヘキシルヒドラジン、1−シクロヘキシル−2−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−オクチル−2−n−ヘキシルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−ノニル−2−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−デシル−2−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−n−ヘキシルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−n−ヘキシルヒドラジン、1−フェニル−2−n−ヘキシルヒドラジン、1−(4−メチル)−2−n−ヘキシルフェニルヒドラジン、1−ベンジル−2−n−ヘキシルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−n−ヘキシルヒドラジン等が例示される。
【0115】
また上記一般式(3)において、置換基Rがi−ヘキシル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−i−ヘキシルヒドラジン、1−シクロヘキシル−2−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−オクチル−2−i−ヘキシルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−ノニル−2−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−デシル−2−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−i−ヘキシルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−i−ヘキシルヒドラジン、1−フェニル−2−i−ヘキシルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−i−ヘキシルヒドラジン、1−ベンジル−2−i−ヘキシルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−i−ヘキシルヒドラジン等が例示される。
【0116】
また上記一般式(3)において、置換基Rがシクロヘキシル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジシクロヘキシルヒドラジン、1−n−ヘプチル−2−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−オクチル−2−シクロヘキシルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ノニル−2−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−デシル−2−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−シクロヘキシルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−シクロヘキシルヒドラジン、1−フェニル−2−シクロヘキシルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−シクロヘキシルヒドラジン、1−ベンジル−2−シクロヘキシルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−シクロヘキシルヒドラジン等が例示される。
【0117】
また上記一般式(3)において、置換基Rがn−ヘプチル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−オクチル−2−n−ヘプチルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ノニル−2−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−デシル−2−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−n−ヘプチルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−n−ヘプチルヒドラジン、1−フェニル−2−n−ヘプチルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−n−ヘプチルヒドラジン、1−ベンジル−2−n−ヘプチルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−n−ヘプチルヒドラジン等が例示される。
【0118】
また上記一般式(3)において、置換基Rがn−オクチル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−n−オクチルヒドラジン、1−(2−エチルヘキシル)−2−n−オクチルヒドラジン、1−n−ノニル−2−n−オクチルヒドラジン、1−n−デシル−2−n−オクチルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−n−オクチルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−n−オクチルヒドラジン、1−フェニル−2−n−オクチルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−n−オクチルヒドラジン、1−ベンジル−2−n−オクチルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0119】
また上記一般式(3)において、置換基Rが2−エチルヘキシル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ビス−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−n−ノニル−2−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−n−デシル−2−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−n−ドデシル−2−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−フェニル−2−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−ベンジル−2−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン等が例示される。
【0120】
また上記一般式(3)において、置換基Rがn−ノニル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−n−ノニルヒドラジン、1−n−デシル−2−n−ノニルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−n−ノニルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−n−ノニルヒドラジン、1−フェニル−2−n−ノニルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−n−ノニルヒドラジン、1−ベンジル−2−n−ノニルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−n−ノニルヒドラジン等が例示される。
【0121】
また上記一般式(3)において、置換基Rがn−デシル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−n−デシルヒドラジン、1−n−ウンデシル−2−n−デシルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−n−デシルヒドラジン、1−フェニル−2−n−デシルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−n−デシルヒドラジン、1−ベンジル−2−n−デシルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−n−デシルヒドラジン等が例示される。
【0122】
また上記一般式(3)において、置換基Rがn−ウンデシル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−n−ウンデシルヒドラジン、1−n−ドデシル−2−n−ウンデシルヒドラジン、1−フェニル−2−n−ウンデシルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−n−ウンデシルヒドラジン、1−ベンジル−2−n−ウンデシルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−n−ウンデシルヒドラジン等が例示される。
【0123】
また上記一般式(3)において、置換基Rがn−ドデシル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジ−n−ドデシルヒドラジン、1−フェニル−2−n−ドデシルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−n−ドデシルヒドラジン、1−ベンジル−2−n−ドデシルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−n−ドデシルヒドラジン等が例示される。
【0124】
また上記一般式(3)において、置換基Rがフェニル基、置換基Rがで水素原子あるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ジフェニルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−フェニルヒドラジン、1−ベンジル−2−フェニルヒドラジン、1−(2−フェニル)エチル−2−フェニルヒドラジン等が例示される。
【0125】
また上記一般式(3)において、置換基Rが(4−メチル)フェニル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,2−ビス(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−ベンジル−2−(4−メチル)フェニルヒドラジン、1−(4−メチル)フェニル−2−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0126】
また上記一般式(3)において、置換基Rがベンジル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ジベンジルヒドラジン、1−ベンジル−2−(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0127】
そして、上記一般式(3)において、置換基Rが2−フェニルエチル基、置換基Rが水素原子であるヒドラジン類としては、具体的には、1,1−ビス(2−フェニル)エチルヒドラジン等が例示される。
【0128】
これらのヒドラジン類のうち、上記一般式(3)において、置換基R〜Rの炭素数が各々3〜8のものが好ましい。R〜Rの炭素数が3未満であると上記アミン類へ溶解しないおそれがあり、8を超えると、銅微粒子分散体の調製時における分解生成物である炭化水素類の沸点が高くなり、蒸発、気散することができずに銅微粒子分散体中に残存するおそれがあるため、導電性パターン形成用組成物として使用した場合に、金属銅としての純度や、形成した銅薄膜の導電性に悪影響を与える場合がある。さらに製造又は入手のコストを考慮すると、これらのヒドラジン類のうち、上記一般式(3)において、置換基R〜Rのうち2種が水素原子であるか、又は置換基R〜Rのうち1種が水素原子であり、残りの置換基は同一の置換基であることが好ましい。
【0129】
以上の点を考慮すると、本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程で使用するヒドラジン類としては、n−プロピルヒドラジン、i−プロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、n−ヘキシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、n−ヘプチルヒドラジン、n−オクチルヒドラジン、2−エチルヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、1,1−ジ−n−プロピルヒドラジン、1,1−ジ−i−プロピルヒドラジン、1,1−ジ−n−ブチルヒドラジン、1,1−ジ−t−ブチルヒドラジン、1,1−ジ−n−ペンチルドラジン、1,1−ジ−n−ヘキシルプロピルヒドラジン、1,1−ジシクロヘキシルヒドラジン、1,1−ジ−n−ヘプチルヒドラジン、1,1−ジ−n−オクチルヒドラジン、1,1−ジ−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1,1−ジフェニルヒドラジン、1,1−ジベンジルヒドラジン、1,2−ジ−n−プロピルヒドラジン、1,2−ジ−i−プロピルヒドラジン、1,2−ジ−n−ブチルヒドラジン、1,2−ジ−t−ブチルヒドラジン、1,2−ジ−n−ペンチルドラジン、1,2−ジ−n−ヘキシルプロピルヒドラジン、1,2−ジシクロヘキシルヒドラジン、1,2−ジ−n−ヘプチルヒドラジン、1,2−ジ−n−オクチルヒドラジン、1,2−ジ−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1,2−ジフェニルヒドラジン、及び1,2−ジベンジルヒドラジンからなる群の中より選ばれる一種又は二種以上の化合物がさらに好ましい。
【0130】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法におけるa工程において、本発明の趣旨に反しない程度であれば、上記した以外のヒドラジン類を含んでいても差し支えない。
【0131】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、上記一般式(3)で示されるヒドラジン類は市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよく、特に限定されない。公知の合成方法としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩を亜硫酸塩や塩化スズ(II)等の還元剤で還元する方法、ヒドラゾンやアジンを白金触媒を用いて接触還元する方法、アシルヒドラジンの還元、N−ニトロソアミンの還元、高後続ニトロ化合物の還元的カップリング、ヒドラジンやアジンのアルキル化及びアリール化、アミンとクロラミンの反応(Reasching反応)等の方法が挙げられる。
【0132】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程で使用するヒドラジン類の純度について、特に限定するものではないが、電子材料分野での使用を考慮すると、95%以上が好ましく、99%以上がさらに好ましい。
【0133】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程で使用する2価の銅化合物とは、2価の銅イオンを含む化合物であればよく、特に限定するものではないが、例えば、銅酸化物、銅水酸化物、銅ハロゲン化物、銅無機酸塩、銅有機酸塩、銅キレート錯体等を用いることができる。具体的には、酸化銅、水酸化銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅、ギ酸銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、イソ酪酸銅、吉草酸銅、イソ吉草酸銅、ピバリン酸銅、シュウ酸銅、マロン酸銅、安息香酸銅、クエン酸銅、及びアセチルアセトナト銅等の錯体からなる群より選ばれる一種又は二種以上を好適に用いることができる。これらのうち、コスト及び溶解性の面を考慮すると、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、イソ酪酸銅、吉草酸銅、イソ吉草酸銅等のカルボン酸銅が好ましい。
【0134】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、上記した以外の2価の銅化合物を使用しても差し支えないが、入手が困難であったり、高価であったりするため、工業的に不利な場合がある。また、2価の銅化合物としては、電子材料用に市販されている高純度のものを使用することができるが、工業的に流通しているものを使用してもよい。なお、1価の銅化合物を使用すると、上記アミン類とヒドラジン類との混合物へ完全に溶解させるのに工業的でないほど時間がかかったり、別途加温が必要となるため、2価の銅化合物を使用することが望ましい。
【0135】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程での上記一般式(1)又は一般式(2)で示されるアミン類と、2価の銅化合物との混合比は、特に限定するものではないが、上記アミン類に対し、2価の銅化合物が金属銅量として1〜50重量%であることが好ましく、5〜30重量%であることがさらに好ましい。上記アミン類に対し、2価の銅化合物が金属銅量として1重量%未満では釜効率が悪化し、製造コストの増加を招くおそれがあり、50重量%を超えて混合すると上記アミン類とヒドラジン類との混合物に完全に溶解しないおそれがある。
【0136】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程での上記一般式(3)で示されるヒドラジン類と、2価の銅化合物との混合比は、特に限定するものではないが、2価の銅化合物と反応し消費されるため、2価の銅化合物の1モル当量に対し、ヒドラジン類が0.5〜10モル当量であることが好ましく、1〜3モル当量であることがさらに好ましい。ヒドラジン類の量が2価の銅化合物に対し、0.5モル当量未満では上記アミン類とヒドラジン類との混合物に完全に溶解しないおそれがあり、10モル当量を超えて使用しても、入れただけの効果は得られない。
【0137】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、b工程では、上記a工程で得られた混合物に、水に溶解させた還元剤を添加して、銅微粒子を還元析出させる。b工程で使用する還元剤としては、銅イオンを金属銅まで還元できる還元力を有するものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、ヒドラジン、ナトリウムハイドロホスフェート、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライド、ナトリウムボロハイドライド、カリウムボロハイドライド、ボラン、ジボラン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、ヒドロキシアセトン、及びヒドロキシルアミンからなる群より選ばれる一種又は二種以上を好適に用いることができる。これらのうち、安全性及びコストの面から、ナトリウムボロハイドライドが特に好ましい。また、還元剤としては、電子材料用に市販されている高純度のものを使用することができるが、工業的に流通しているものを使用してもよい。
【0138】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、b工程で使用する還元剤の量は、銅イオンを完全に金属銅まで還元できる量であればよく、特に限定するものではないが、2価の銅化合物1モル当量に対し、還元剤の量が1〜10モル当量の範囲であることが好ましく、1〜3モル当量の範囲であることがさらに好ましい。還元剤の量が2価の銅化合物のモル数に対し、1モル当量未満では金属銅への還元が完全に進行しないおそれがあり、10モル当量を超えて使用しても、入れただけの効果は得られない。
【0139】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、b工程で使用する還元剤は水に溶解させて用いられる。この際に用いられる水は、銅微粒子分散体が電子材料として使用されることを考慮すると、例えば、イオン交換水、純水、超純水等のイオン性物質やパーティクル等を極力低減させたものを用いることが好ましい。
【0140】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、b工程で使用する還元剤の濃度としては、還元剤の水への溶解度にもよるため、特に限定するものではないが、5〜50重量%の範囲が好ましく、10〜40重量%の範囲がさらに好ましい。還元剤の濃度が5重量%未満では反応液量が増大するため、釜効率の低下するおそれがあり、50重量%を超えると溶液の粘度上昇や、スラリー化が生じるおそれがあり、工業的に不利である。
【0141】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、b工程の温度は、還元剤が銅イオンを金属銅まで還元できる温度であればよく、特に限定するものではないが、通常−50〜100℃の範囲であり、0〜60℃の範囲が好ましい。−50℃未満では、還元反応は極めて遅くなるおそれがあり、100℃を超える温度では、還元剤が分解する場合があるため、現実的ではない。
【0142】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、b工程では還元反応を制御するために、pH調整を行っても良い。pH調整を行うために使用する塩基としては、特に限定するものではないが、例えば、アンモニア水の他、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化テトラメチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらは電子材料用に市販されている高純度のものを使用することができるが、工業的に流通しているものを使用してもよい。
【0143】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、c工程では、上記b工程で得られた混合物から、相分離した水相を除去する。b工程で加えた水により、得られた混合物は有機相(アミン相)と水相に相分離し、銅微粒子は有機相に分散する。相分離した水相を除去することにより、銅微粒子が分散した有機相(すなわち、本発明の銅微粒子分散体)を水相から分離することができる。水相を除去する方法としては、公知の方法を利用することができ、特に限定するものではないが、例えば、抜出し、膜分離、吸収剤での吸収、留去等が挙げられる。これらの中でも、作業性、コストの面から抜出しによる除去が好ましい。
【0144】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、c工程では還元剤の残渣に由来する、アルカリ金属等の不純物をさらに低減するための水洗を行ってもよい。この際に用いる水は、銅微粒子分散体が電子材料として使用されることを考慮すると、例えば、イオン交換水、純水、超純水等のイオン性物質やパーティクル等を極力低減させたものが好ましい。
【0145】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程及び/又はb工程では有機溶媒を添加してもよい。添加する有機溶媒としては、上記したアミン類、及びヒドラジン類が溶解し、反応せず、且つ上記したアミン類と水とを混和させないものであればよく、特に限定するものではないが、例えば、アルコール類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、及び芳香族炭化水素類から選ばれる一種、又は相溶性のある二種以上の混合物が挙げられる。
【0146】
具体的には、アルコール類としては、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール等が挙げられ、エーテル類としては、ジエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル等が挙げられ、エステル類としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられ、炭化水素類としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロヘキサン、デカリン等が挙げられ、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。これらの中でも、コスト、及び安全性の面から、ヘキサノール、ターピネオール、メチル−t−ブチルエーテル、及びγ−ブチロラクトンからなる群より選ばれる一種、又は相溶性のある二種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
【0147】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法においては、上記したa工程、b工程、及びc工程を実施していればよく、これら以外の工程を追加して実施しても一向に差し支えない。そのような工程としては、例えば、上記アミン類、上記ヒドラジン類、及び/又は2価の銅化合物を希釈する工程、上記アミン類、上記ヒドラジン類、及び2価の銅化合物の混合物を希釈又は濃縮する工程、上記アミン類、上記ヒドラジン類、及び2価の銅化合物の混合物を冷却又は加熱する工程、銅微粒子分散体を洗浄する工程、銅微粒子分散体を希釈又は濃縮する工程、銅微粒子分散体中の銅微粒子を凝集及び/又は沈降させる工程、銅微粒子の酸化を抑制するため表面保護剤を添加する工程等を適宜実施することができる。
【0148】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、a工程は、上記したアミン類、ヒドラジン類、及び2価の銅化合物を単に混合すればよく、これらを混合する順序、混合する方法に特に制限はないが、作業性、及び安全性を考慮すると、例えば、上記アミン類を反応容器に仕込み、2価の銅化合物を加えた後、上記ヒドラジン類を少量ずつ添加する方法が好ましい。
【0149】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法によれば、得られる銅微粒子分散体に含有される銅微粒子の平均粒子径は、通常1〜100nmの範囲になる。
【0150】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法においては、上記したa工程、b工程、及びc工程に加え、生成した銅微粒子に配位して銅微粒子の酸化を抑制する表面保護剤を添加する工程を実施することができる。表面保護剤を添加する工程は、a工程の後、b工程の後、又はc工程の後のうち、少なくとも一回行うことができ、そのタイミングは限定されない。
【0151】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、表面保護剤としては、例えば、チオール基、ニトリル基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシカルボニル基等の官能基を有する化合物を広く用いることができる。これらの中でも、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子をその分子構造内に有するポリマーを好適に使用することができる。表面保護剤として用いることができるポリマーとしては、例えば、ポリヒドラゾン化合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、及びポリエチレンオキシド等が挙げられ、これらからなる群より選ばれる一種、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも溶解性、酸化抑制効果、及び分解性を考慮すると、ポリヒドラゾン化合物を用いることが好ましい。
【0152】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、ポリヒドラゾン化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(4)
【0153】
【化4】

[上記一般式(4)中、X、Y、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基又は2−フェニルエチル基を表す。]
で示される構造の繰り返し単位からなる化合物が好適なものとして挙げられる。具体的には、ポリ(プロペンアルデヒドヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2,2−ジメチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンフェニルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン−2,2−ジメチルヒドラゾン)等が挙げられ、これらからなる群より選ばれる一種、又は二種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
【0154】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、表面保護剤として用いるポリマーとしては、数平均分子量が、ポリスチレン換算で100〜1,000,000の範囲のものを用いることができるが、好ましくは、数平均分子量が、ポリスチレン換算で1000〜50,000の範囲のものである。数平均分子量が100未満であると、銅微粒子への吸着力が低下し、分散剤、酸化防止剤としての効果を発現しない場合があり、数平均分子量が1,000,000を超えると、焼成処理時において、ポリマーの分解がスムーズに進まず、分解に要する時間が工業的でないほど長くなる場合や、ポリマーが炭化し銅薄膜中に残存するおそれがある。
【0155】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、表面保護剤として用いるポリマーは、市販のものでも良いし、公知の方法により合成したものでもよい。例えば、ポリヒドラゾン化合物の合成方法としては、ポリカルボニル化合物を、ヒドラジン類と脱水縮合することで合成することができる。
【0156】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、表面保護剤として用いるポリマーの純度については、特に限定するものではないが、電子材料分野での使用を前提とするため、95%以上が好ましく、99%以上がさらに好ましい。
【0157】
本発明の銅微粒子分散体の製造方法において、表面保護剤として用いるポリマーの添加量としては、特に限定するものではないが、金属銅量に対し、ポリマーが5〜1000重量%の範囲であることが好ましく、10〜200重量%の範囲であることがさらに好ましい。ポリマーの量が金属銅量に対し、5重量%未満では酸化を抑制できないおそれがあり、1000重量%を超えて使用しても、入れただけの効果は得られないだけでなく、銅微粒子分散体中の単位重量当たりの金属銅の含有量が低下する。
【0158】
本発明の銅微粒子分散体は、上記した製造工程により製造され、少なくとも、銅微粒子、上記アミン類を含有するものであり、さらに、表面保護剤を含有することが好ましく、ヒドラジン類を含有していても差し支えない。
【0159】
本発明の銅微粒子分散体において、含有される銅微粒子は、平均粒子径が1〜100nmの範囲のものである。銅微粒子の粒子径が1nm未満になると、銅表面の活性が非常に高くなり、酸化を抑制できなくなる場合がある。また、100nmを超えると、融点降下の度合いが減少し、粒子同士の融着が起こりにくくなる場合があるため、好ましくない。
【0160】
本発明において、銅微粒子の粒子径の測定方法としては、一般的な粒子の測定方法を用いることができる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM),電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM),電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)等を適宜使用することができる。平均粒子径の値は、上記装置を用いて測定し、観測された視野の中から、粒子径が比較的そろっている箇所を3箇所選択し、粒径測定に最も適した倍率で撮影する。おのおのの写真から、一番多数存在すると思われる粒子を100個選択し、その直径をものさしで測り、測定倍率を除して粒子径を算出する。これらの値を算術平均することにより求めることができる。また、標準偏差については、上記観察時に個々の銅微粒子の粒子径と数により求めることができる。そして、変動係数は、上記した平均粒子径及びその標準偏差に基づいて、下式により算出することができる。
【0161】
変動係数=標準偏差/体積平均粒子径×100(%)。
【0162】
本発明の銅微粒子分散体において、上記アミン類と銅微粒子の組成比は特に制限はないが、上記アミン類に対し、銅微粒子が金属銅量として1〜50重量%であることが好ましく、5〜30重量%であることがさらに好ましい。銅微粒子が金属銅量として、上記アミン類に対し、1重量%未満では銅微粒子分散体中の単位重量当たりの金属銅の含有量が低下するため好ましくなく、50重量%を超えて混合すると流動性が低下し、作業性が著しく低下するおそれがあり、好ましくない。
【0163】
本発明の銅微粒子分散体において、銅微粒子分散体中に表面保護剤を含有する場合、表面保護剤と銅微粒子の組成比は特に制限はないが、金属銅量に対し、表面保護剤が5〜1000重量%であることが好ましく、10〜200重量%であることがさらに好ましい。表面保護剤の量が金属銅量に対し、5重量%未満では酸化を抑制できないおそれがあり、1000重量%を超えて使用しても、入れただけの効果は得られないだけでなく、銅微粒子分散体中の単位重量当たりの金属銅の含有量が低下するため好ましくない。
【0164】
本発明の銅微粒子分散体において、ヒドラジン類の含有量は、ヒドラジン類が製造時のa工程において、2価の銅化合物と反応し消費されるため、規定することは困難ではあるが、あえて規定すると、銅微粒子分散体中0〜10重量%が好ましい。ヒドラジン類の含有量が10重量%を超えて使用しても、入れただけの効果は得られないだけでなく、銅微粒子分散体中の単位重量当たりの金属銅の含有量が低下するため好ましくない。
【0165】
本発明の銅微粒子分散体において、その組成は銅微粒子及び上記アミン類だけでも問題は無いが、その他に、上記アミン類が溶解し、上記アミン類と反応しないものであれば、どの様な有機溶媒を含んでいても一向に差し支えない。例えば、アルコール類、グリコール類、エーテル類、エステル類、炭化水素類及び芳香族炭化水素類から選ばれる1種若しくは相溶性のある2種以上の混合物が挙げられる。
【0166】
具体的には、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール等が挙げられ、グリコール類としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられ、エーテル類としては、具体的には、ジエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が挙げられ、エステル類としては、具体的には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられ、炭化水素類としては、具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロヘキサン、デカリン等が挙げられ、芳香族炭化水素類としては、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0167】
中でもコスト、安全性及び水の溶解度の面から、エタノール、i−プロピルアルコール、ターピネオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチロラクトンからなる群の中から一種若しくは、二種以上を組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0168】
本発明の銅微粒子分散体において、その組成に有機溶媒を含む場合、上記アミン類と銅微粒子の合計重量は銅微粒子分散体全体の重量に対して0.1重量%以上、100重量%以下で残部が有機溶媒であることが好ましく、10重量%以上、80重量%以下で残部が有機溶媒であることがさらに好ましい。上記アミン類と銅微粒子の合計重量が銅微粒子分散体全体の重量に対して、10重量%未満では導電性パターン形成用組成物として利用する際に、濃縮等の操作が必要となり作業工数の増加を招き、80重量%を超えると、流動性がほとんどなくなり作業性が著しく低下するおそれがある。
【0169】
本発明の銅微粒子分散体は、必要に応じ、その形態を自由に選択することができる。例えば、銅微粒子分散体中の上記アミン類及び/又は有機溶媒の一部を除去することにより所望の濃度の濃縮液として用いたり、ペースト状に加工して用いることもできる。さらには、濃縮物、若しくはペースト状加工物は所望の有機溶媒の共存下で再分散できることから、有機溶媒の置換を自由に行うことができる。
【0170】
本発明の銅微粒子分散体は、そのままで又は必要に応じて添加剤を混合する等して、インク状若しくはペースト状の導電性パターン形成用組成物として好適に用いることができる。
【0171】
また、本発明の銅微粒子分散体のそれ以外の用途としては、電極材料、触媒、着色剤、化粧品、近赤外線吸収剤、光記録材料、偏光材料、偽造防止用インク、電磁波シールド材等の材料等が挙げられる。
【0172】
本発明の銅微粒子は、上記アミン類及び/又は表面保護剤が当該粒子表面に吸着していることをその特徴とする。
【0173】
本発明の銅微粒子は、平均粒子径が1〜100nmの範囲のものである。銅微粒子の粒子径が1nm未満になると、銅表面の活性が非常に高くなり、酸化を抑制できなくなる場合がある。また、100nmを超えると、融点降下の度合いが減少し、粒子同士の融着が起こりにくくなる場合があるため、好ましくない。
【0174】
本発明の銅微粒子は、上記した本発明の銅微粒子分散体から分離操作により銅微粒子を分離し、粉末の形状で得ることができる。
【0175】
本発明の銅微粒子の製造方法において、銅微粒子の分離操作としては、特に限定するものではないが、例えば、濾過、遠心分離、銅微粒子以外の成分の留去等が挙げられる。
【0176】
本発明の銅微粒子の製造方法において、分離操作が濾過である場合、その濾過効率を向上させるため、貧溶媒を添加し銅微粒子の凝集を促すことができる。貧溶媒としては、例えば、メタノール、アセトニトリル及び水等の極性溶媒から選ばれる1種若しくは相溶性のある2種以上の混合物を好適に用いることができる。
【0177】
本発明の銅微粒子の製造方法において、分離操作が遠心分離である場合、公知の方法を用いることができる。
【0178】
本発明の銅微粒子の製造方法において、分離操作が銅微粒子以外の成分の留去である場合、公知の方法を用いることができ、その方法は特に限定されないが、留去に必要な加熱温度が、上記アミン類及び/又は表面保護剤の分解温度以上である場合、減圧条件下で行うことが好ましい。
【0179】
本発明の銅微粒子は、有機溶媒に再分散させ、必要に応じて添加剤を混合する等して、インク状若しくはペースト状の導電性パターン形成用組成物として好適に用いることができる。
【0180】
本発明の導電性パターン形成用組成物は、上記した本発明の銅微粒子分散体を含有するか、又は上記した本発明の銅微粒子と当該銅微粒子を分散させる分散剤とを含有する。
【0181】
本発明の導電性パターン形成用組成物において、本発明の銅微粒子を分散させる分散剤としては、特に限定するものではないが、有機溶媒を分散剤として使用することにより、その濃度、粘度等を自由にコントロールすることができる。
【0182】
有機溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、アルコール類、グリコール類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、及び芳香族炭化水素類からなる群より選ばれる一種、又は相溶性のある二種以上の混合物が挙げられる。
【0183】
具体的には、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ターピネオール等が挙げられ、グリコール類としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられ、エーテル類としては、具体的には、ジエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジブチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン等が挙げられ、エステル類としては、具体的には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられ、炭化水素類としては、具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロヘキサン、デカリン等が挙げられ、芳香族炭化水素類としては、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、メシチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0184】
これらの中でもコスト及び安全性の面から、エタノール、i−プロピルアルコール、ターピネオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、n−デカン、トルエン及びn−ブチルベンゼンからなる群より選ばれる一種、又は相溶性のある二種以上を組み合わせて用いることがさらに好ましい。
【0185】
上記した本発明の銅微粒子と当該銅微粒子を分散させる分散剤とを含有する導電性パターン形成用組成物において、銅微粒子量は、銅微粒子と分散剤全体の重量に対して0.1重量%以上、100重量%未満で、残部が有機溶媒であることが好ましく、10重量%以上、80重量%以下で残部が有機溶媒であることがさらに好ましい。銅微粒子と分散剤全体の重量に対し、銅微粒子の合計量が10重量%未満では、その使用の際に濃縮等の操作が必要となり作業工数の増加を招くおそれがあり、80重量%を超えると、流動性が低下して作業性が著しく低下するおそれがある。
【0186】
本発明の導電性パターン形成用組成物は、必要に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤等の添加剤を含有することができる。
【0187】
本発明の導電性パターン形成用組成物は、インクジェットやディスペンサー又はスクリーン印刷で基板上に描画し加熱することによりプリント配線に利用することができ、また基板上に塗布し乾燥することにより高密度記録材料や遮光用フィルター等として利用することができる。
【実施例】
【0188】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定解釈されるものではない。
【0189】
なお、以下の実施例において、銅微粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)で、観測した視野の中から、粒子径が比較的そろっている箇所を3箇所選択し、100,000倍の倍率で撮影を行い、それぞれの写真から、粒子を計100個選択し、その直径をものさしで測り、測定倍率を除して粒子径を算出し、これらの値を算術平均することにより求めた。TEMは日本電子製、商品名「JEM−2000FX」を使用した。また、元素分析はパーキンエルマー全自動元素分析装置 「2400II」により測定し、H−NMRはVarian製「Gemini−200」により測定した。
【0190】
[参考例1] ポリ(メチルビニルケトン)の調製.
マグネット攪拌子を入れた50mlのナス型フラスコ中、蒸留生成したメチルビニルケトン3.5g(50mmol)をトルエン10gに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル32mg(0.2mmol)を加え、60℃まで加熱し、2時間攪拌した。反応終了後、反応液を200mlのメタノールに投入し、次いで析出物をろ取した。得られた白色固体を水洗、次いでメタノール洗浄した後、室温度で減圧下、乾燥することによりポリ(メチルビニルケトン)3.03gを得た(収率86.7%)。
【0191】
数平均分子量(Mn)=62.8×10,Mw/Mn=4.03。
【0192】
[参考例2] ポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)の調製.
マグネット攪拌子を入れた50mlのナス型フラスコ中、ポリ(メチルビニルケトン)1.4g(ケトン量20mmol)をテトラヒドロフラン40gに溶解させ、ジメチルヒドラゾン1.44g(22mmol)、p−トルエンスルホン酸5mgを添加し、60℃まで加熱し2時間攪拌した。反応終了後、反応液を200mlのメタノールに投入し、次いで析出物をろ取した。得られた白色固体を水洗、次いで少量のメタノール洗浄した後、室温度で減圧下、乾燥することによりポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)2.12gを得た(収率82.8%)。
【0193】
数平均分子量(Mn)=58.2×10,Mw/Mn=4.32。
【0194】
[実施例1] n−ドデシルアミン及びn−ヘキシルヒドラジンを用いた銅微粒子分散体の調製.
n−ドデシルアミン6gに酢酸銅(II)一水和物2gを加え、n−ヘキシルヒドラジン1.16gを室温で10分間かけて滴下し、さらに10分間室温で攪拌した。反応液は固形物が完全に溶解し、均一な溶液となり、溶液の粘度は2.8cP(25℃)でスムーズに攪拌できた。続いて、水素化ホウ素ナトリウム0.37gを水1.63gに溶解させた溶液を、室温で30分間かけて滴下した。さらに室温で30分間攪拌し、窒素気流下分液ロートに移液した。相分離した下部の無色透明な水相を除去した後、10gのイオン交換水で洗浄し再び相分離した下部の水相を除去することで、黒色の銅微粒子分散体を得た(銅濃度7.9重量%)。この銅微粒子分散体をTEMで観測し平均粒子径を求めたところ、10.2nm(標準偏差4.7、変動係数46%)であった。得られた銅微粒子分散体は密閉保存下24時間放置しても、均一な分散状態を維持していた。銅微粒子分散体を減圧下(120Pa)、80℃に加熱し留出物を除くことにより、銅微粒子粉体を得た。元素分析の結果、得られた銅微粒子は62重量%の銅と、38重量%の有機成分から構成され、H−NMRによる解析結果より有機物の主成分はn−ドデシルアミンであった。得られた銅微粒子粉体はテトラデカンに再分散可能であった。
【0195】
[実施例2] アニリン及びフェニルヒドラジンを用いた銅微粒子分散体の調製.
アニリン6gにイソ酪酸銅(II)2.4gを加え、フェニルヒドラジン1.08gを室温で10分間かけて滴下した。さらに10分間室温で攪拌し、さらに10分間室温で攪拌した。反応液は固形物が完全に溶解し、均一な溶液となり、溶液の粘度は3.8cP(25℃)でスムーズに攪拌できた。続いて、水素化ホウ素ナトリウム0.37gを水1.63gに溶解させた溶液を、室温で30分間かけて滴下した。さらに室温で30分間攪拌し、窒素気流下分液ロートに移液した。相分離した下部の無色透明な水相を除去した後、10gのイオン交換水で洗浄し再び相分離した下部の水相を除去することで、黒色の銅微粒子分散体を得た(銅濃度7.7重量%)。この銅微粒子分散体をTEMで観測し平均粒子径を求めたところ、17.4nm(標準偏差6.7、変動係数39%)であった。得られた銅微粒子分散体は密閉保存下24時間放置しても、均一な分散状態を維持していた。銅微粒子分散体を減圧下(120Pa)、80℃に加熱し留出物を除くことにより、銅微粒子粉体を得た。元素分析の結果、得られた銅微粒子は59重量%の銅と、41重量%の有機成分から構成され、H−NMRによる解析結果より有機物の主成分はアニリンであった。得られた銅微粒子粉体はトルエンに再分散可能であった。
【0196】
[実施例3] アニリン、フェニルヒドラジン及びポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)を用いた銅微粒子分散体の調製.
アニリン6gにポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)0.48g、2−エチルヘキサン酸銅(II)3.5gを加え、フェニルヒドラジン1.08gを室温で10分間かけて滴下し、さらに10分間室温で攪拌した。反応液は固形物が完全に溶解し、均一な溶液となり、溶液の粘度は4.6cP(25℃)でスムーズに攪拌できた。続いて、水素化ホウ素ナトリウム0.37gを水1.63gに溶解させた溶液を、室温で30分間かけて滴下した。さらに室温で30分間攪拌し、窒素気流下分液ロートに移液した。相分離した下部の無色透明な水相を除去した後、10gのイオン交換水で洗浄し再び相分離した下部の水相を除去することで、黒色の銅微粒子分散体を得た(銅濃度7.2重量%)。この銅微粒子分散体をTEMで観測し平均粒子径を求めたところ、3.9nm(標準偏差1.4、変動係数36%)であった。得られた銅微粒子分散体は大気下1時間放置しても、酸化による変色は見られず、均一な分散状態を維持していた。銅微粒子分散体を減圧下(120Pa)、80℃に加熱し留出物を除くことにより、銅微粒子粉体を得た。元素分析の結果、得られた銅微粒子は64重量%の銅と、36重量%の有機成分から構成され、H−NMRによる解析結果より有機物の主成分はポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)であった。得られた銅微粒子粉体はターピネオールに再分散可能であった。
【0197】
[比較例1] n−ドデシルアミンを用いた銅微粒子分散体の調製.
n−ドデシルアミン6gに酢酸銅(II)一水和物2.0gを加え、室温で攪拌した。反応液は青色に変色したが、次第に反応液が固化し攪拌が不能となり、酢酸銅(II)は完全に溶解せず、底部に固形物が残留した。続いて、水素化ホウ素ナトリウム0.37gを水1.63gに溶解させた溶液を、室温で30分間かけて滴下した。滴下の進行と共に攪拌が可能となったため、さらに室温で30分間攪拌したところ、粉末状の金属銅が生成し、反応容器底部に沈殿となって、堆積した。この沈殿を濾過により採取し、TEMで観測し平均粒子径を求めたところ、2.17μm(標準偏差4.5、変動係数207%)であった。
【0198】
[比較例2] アニリンを用いた銅微粒子分散体の調製.
アニリン6gに酢酸銅(II)一水和物2.0gを加え、60分間室温で攪拌した。反応液は緑色に変色したが、酢酸銅(II)は完全に溶解せず、底部に固形物が残留し、均一な溶液とはならなかった。続いて、水素化ホウ素ナトリウム0.37gを水1.63gに溶解させた溶液を、室温で30分間かけて滴下した。さらに室温で30分間攪拌したところ、粉末状の金属銅が生成し、反応容器底部に沈殿となって、堆積した。この沈殿を濾過により採取し、TEMで観測し平均粒子径を求めたところ、1.39μm(標準偏差2.58、変動係数186%)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)下記一般式(1)又は一般式(2)
【化1】

[上記一般式(1)中、R、Rは各々独立して、水素原子、又はメチル基を表し、Rは炭素数6〜18の直鎖状アルキル基、炭素数8〜18の分岐状、又は環式のアルキル基、炭素数6〜10の芳香族基、炭素数1〜4のアルキル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数6〜10の芳香族基、フェニル基で水素が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表す。]
【化2】

[上記一般式(2)中、R、Rは各々独立して、炭素数4〜12の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数6〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素が1〜3置換された炭素数6〜10の芳香族基、フェニル基で水素が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基を表す。]
で示されるアミン類、下記一般式(3)
【化3】

[上記一般式(3)中、R〜Rは各々独立して、水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、又は炭素数5〜10の芳香族基で水素原子が1〜3置換された炭素数1〜4のアルキル基を表す。ただし、R〜Rが全て水素原子となることはない。]
で示されるヒドラジン類、及び2価の銅化合物を混合する工程、
b)上記a工程で得られた混合物に、水に溶解させた還元剤を添加し、銅微粒子を還元析出させる工程、並びに
c)上記b工程で得られた混合物から、相分離した水相を除去する工程、
を含む銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項2】
一般式(1)において、R、Rで表される置換基が各々独立して、水素原子、又はメチル基であり、Rで表される置換基がn−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−i−ブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基であることを特徴とする請求項1に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項3】
一般式(2)において、R、Rで表される置換基が各々独立して、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項4】
一般式(1)又は一般式(2)で示されるアミン類が、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、アニリン、p−トルイジン、4−エチルアニリン、ベンジルアミン、2−フェニルエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−i−ペンチルアミン、ジ−neo−ペンチルアミン、ジ−t−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、及びジ−i−ヘキシルアミンからなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項5】
一般式(3)において、R〜Rで表される置換基の少なくとも1種は水素原子であり、残りの置換基が各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜12の直鎖状、分岐状若しくは環式のアルキル基、炭素数5〜10の芳香族基、メチル基で芳香環上の水素原子が1〜3置換された炭素数5〜10の芳香族基、フェニル基で水素原子が1〜3置換されたメチル基、又はフェニル基で水素原子が1〜3置換されたエチル基である(ただし、R1〜R3で表される置換基の全てが同時に水素原子となることはない。)ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項6】
一般式(3)において、R〜Rで表される置換基の少なくとも1種は水素原子であり、残りの置換基が各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、neo−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、ベンジル基、又は2−フェニルエチル基である(ただし、R1〜R3全てが同時に水素原子となることはない。)ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項7】
一般式(3)で示されるヒドラジン類が、n−プロピルヒドラジン、i−プロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、t−ブチルヒドラジン、n−ペンチルヒドラジン、n−ヘキシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、n−ヘプチルヒドラジン、n−オクチルヒドラジン、2−エチルヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、1,1−ジ−n−プロピルヒドラジン、1,1−ジ−i−プロピルヒドラジン、1,1−ジ−n−ブチルヒドラジン、1,1−ジ−t−ブチルヒドラジン、1,1−ジ−n−ペンチルドラジン、1,1−ジ−n−ヘキシルプロピルヒドラジン、1,1−ジシクロヘキシルヒドラジン、1,1−ジ−n−ヘプチルヒドラジン、1,1−ジ−n−オクチルヒドラジン、1,1−ジ−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1,1−ジフェニルヒドラジン、1,1−ジベンジルヒドラジン、1,2−ジ−n−プロピルヒドラジン、1,2−ジ−i−プロピルヒドラジン、1,2−ジ−n−ブチルヒドラジン、1,2−ジ−t−ブチルヒドラジン、1,2−ジ−n−ペンチルドラジン、1,2−ジ−n−ヘキシルプロピルヒドラジン、1,2−ジシクロヘキシルヒドラジン、1,2−ジ−n−ヘプチルヒドラジン、1,2−ジ−n−オクチルヒドラジン、1,2−ジ−(2−エチルヘキシル)ヒドラジン、1,2−ジフェニルヒドラジン、及び1,2−ジベンジルヒドラジンからなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項8】
2価の銅化合物が、銅酸化物、銅水酸化物、銅ハロゲン化物、銅無機酸塩、銅有機酸塩及び銅キレート錯体からなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項9】
2価の銅化合物が、酸化銅、水酸化銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅、ギ酸銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、酪酸銅、イソ酪酸銅、吉草酸銅、イソ吉草酸銅、ピバリン酸銅、シュウ酸銅、マロン酸銅、安息香酸銅、クエン酸銅、及びアセチルアセトナト銅からなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項10】
b工程で使用する還元剤が、ヒドラジン、ナトリウムハイドロホスフェート、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、リチウムボロハイドライド、ナトリウムボロハイドライド、カリウムボロハイドライド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、ヒドロキシアセトン、及びヒドロキシルアミンからなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項11】
銅微粒子分散体に含まれる銅微粒子の平均粒子径が1〜100nmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項12】
さらに、銅微粒子の酸化を抑制する表面保護剤を添加する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項13】
表面保護剤が、ポリヒドラゾン化合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、及びポリエチレンオキシドからなる群より選ばれる一種又は二種以上であることを特徴とする請求項12に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項14】
表面保護剤が、ポリ(プロペンアルデヒドヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドヒドラゾン)、ポリ(2−メチル−2−プロペンアルデヒドフェニルヒドラゾン)、ポリ(プロペンアルデヒド−2,2−ジメチルヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンヒドラゾン)、ポリ(メチルビニルケトンフェニルヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンヒドラゾン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトンフェニルヒドラゾン)、及びポリ(メチルイソプロペニルケトン−2,2−ジメチルヒドラゾン)からなる群より選ばれる一種又は二種以上のポリヒドラゾン化合物であることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の銅微粒子分散体の製造方法。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の方法により得られる銅微粒子分散体であって、銅微粒子分散体に含まれる銅微粒子の平均粒子径が1〜100nmの範囲であることを特徴とする銅微粒子分散体。
【請求項16】
請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の方法により得られる銅微粒子分散体から、分離操作により銅微粒子を分離することを特徴とする銅微粒子の製造方法。
【請求項17】
分離操作が、濾過、遠心分離、又は銅微粒子以外の成分の留去であることを特徴とする請求項16に記載の銅微粒子の製造方法。
【請求項18】
請求項16又は請求項17に記載の方法により得られる銅微粒子であって、その平均粒子径が1〜100nmの範囲であることを特徴とする銅微粒子。

【公開番号】特開2010−174312(P2010−174312A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17062(P2009−17062)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】